グンドゥラ・ヤノヴィツ・ラスト・コンサート・ライヴ(チャールズ・スペンサー:ピアノ)(1999年9月16日)

グンドゥラ・ヤノヴィツ(1937年8月2日生まれ)の70歳の誕生日を記念して、昨年、彼女のラスト・ライブのCDがリリースされました。
ギリシャで催されたこのコンサート、なんでもマリア・カラスの記念も兼ねているのだとか。
実は私はまだ入手していないのですが、先日何の気なしにYouTubeを見ていたら、このCDの発売元からプロモーションビデオがアップされていました。
おそらく音源だけのダイジェストだろうと思っていたら、なんと映像付きで、ヤノヴィツが歌っている姿が映っているのです。
どうやらプロモーション用に簡単に撮影されたようで、全部で12分ほど撮影したものを編集して使ったとのことです。
これほど素晴らしい出来ならば全部撮影してほしかったところですが、部分的でも、彼女の最後のリートリサイタルの映像が見れるだけでも有難いと思うべきなのでしょう。

この映像で見る限り、引退間際の歌手とはとても思えないほどの充実した美声です。
まだおそらく殆ど衰えを見せていないまま舞台を去ったのだと思います。
舞台人としての厳しい自覚が、一見早過ぎる引退を決意させたのではないでしょうか。

今回のレパートリーは、決して多いとは言えない彼女のリートのスタジオ録音でも聞けるものが多く含まれている一方で、おそらく一度もスタジオ録音を残さなかったシューマンが5曲も含まれているのが、ファンには嬉しいところです。
『冬の旅』を録音しなかった彼女の「ぼだいじゅ」がここで聞けるのも嬉しいです。

私が唯一彼女のライブを聞いたのは、神奈川県立音楽堂で催された歌曲の夕べで、小林道夫さんのピアノで、前半はブラームス、後半はヴォルフが歌われました。
全曲が彼女のレコーディングしていないレパートリーでした。
第一声を聞いて、あまりの声の美しさに驚嘆したことが昨日のことのように思い出されます。
もちろんレコードを通じて、その気品のある歌唱を知ってはいたものの、ここまで芯のあるぶれない美声だとは想像していなかったのです。

今回の動画を見ていても、落ち着いた気品に満ちた彼女の美声は堪能できます。
まだまだ現役として通用するほどの素晴らしい歌唱がここで披露されています。

共演のピアニストはイギリスのベテラン、チャールズ・スペンサー。
ヤノヴィツ晩年のシューベルト歌曲集の録音でも共演した名コンビです。

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録音:1999年9月16日, Herodes Atticus Odeon, Athens, Greece

グンドゥラ・ヤノヴィツ(Gundula Janowitz) (S)
チャールズ・スペンサー(Charles Spencer) (P)

シューベルト:ギリシャの神々 D 677
シューベルト:イーピゲネイア D 573
シューベルト:竪琴に寄せて D 737
シューベルト:エレンの歌Ⅰ D 837
シューベルト:漁師の歌 D 881
シューベルト:流れ D 693
シューベルト:夕映えの中で D 799
シューベルト:ぼだいじゅ D 911-5
シューベルト:緑野の歌 D 917

シューマン:ズライカの歌 Op. 25-9
シューマン:松雪草 Op. 79-26
シューマン:はすの花 Op. 25-7
シューマン:私のばら Op. 90-2
シューマン:くるみの木 Op. 25-3

リヒャルト・シュトラウス:薔薇のリボン Op. 36-1
リヒャルト・シュトラウス:万霊節 Op. 10-8
リヒャルト・シュトラウス:明日! Op. 27-4
リヒャルト・シュトラウス:夜の散歩 Op. 29-3
リヒャルト・シュトラウス:解き放たれて Op. 39-4

シューベルト:ます D 550

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「エディト・マティスの芸術(The Art of Edith Mathis)」発売情報(Deutsche Grammophon, 7CDs)

1963年にベルリン・ドイツ・オペラの一員として初来日を果たし、その時のケルビーノは語り草になるほどだった名ソプラノのエディト・マティスが、今年の2月11日で80歳を迎えます(生年は諸説ありますが、1938年説が一般に信じられています)。
その彼女を称えて、Deutsche Grammophonレーベルに残した数々の録音の中から厳選された選曲で7枚組のCDが発売されるそうです。

彼女のレパートリーの幅広さは膨大で、オペラや宗教曲、声楽曲に彼女が参加した録音の多さはただただ驚くばかりです。
さらに嬉しいことに彼女は歌曲も沢山歌ってくれています。

今回の選集では、前半に宗教曲、中盤にオペラからの抜粋、後半に歌曲が収められています。
歌曲に関しては、名高いシューマンの女性用歌曲集(エッシェンバッハのピアノ)がまとめて収められているのが貴重でしょう(国内盤ではF=ディースカウの録音とまとめてかつて発売されていましたが、海外盤では一部を除いて初出ではないでしょうか)。
そして、ご主人のクレーのピアノによるモーツァルト歌曲から数曲、ブラームスの網羅的な全集からの抜粋などもありますが、ここで私が最も注目したいのは、ヴォルフの「イタリア歌曲集」からの抜粋が収められていることです。
おそらく正規盤としてはこれらのCD復活は初めてではないでしょうか。
ただ残念なことにマティスの歌った曲が全部収録されているわけではなく、オペラティックな情熱が聞きものの"Verschling' der Abgrund meines Liebsten Hütte(深淵が恋人の小屋を飲み込んでしまえ)"などを含む数曲が省かれています。
レコード・アカデミー賞も受賞した名盤で、テノールのシュライアーやピアノのエンゲルも見事なので、ぜひとも全曲の復活を期待したいところです。

今回の選集の曲目詳細は下記のサイトをご覧ください。
 こちら

マティスさん、80歳おめでとうございます!

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東京芸術劇場シリーズ~ペーター・シュライヤー1996年10月16日リーダー・アーベント(ピアノ:ヘルムート・ドイチュ)のCD化

1996年10月16日に東京芸術劇場で催されたテノールのペーター・シュライヤー(Peter Schreier)とピアニストのヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch)によるリーダーアーベントがCD化されたようです。
東京芸術劇場は以前にもF=ディースカウの最後の来日公演(1992年)を2公演ともCD化して歌曲ファンを驚かせてくれましたが、今回のシュライアーの録音もまさか復活するとは思っていなかっただけに、望外の贈り物です。
そもそも東京芸術劇場がこれらの演奏を独自に録音して保管していたということすら想定していなかったのですが、今後も東京芸術劇場で催されたコンサートが復刻されるのではないかと期待してしまいます。
シュライアーはこの公演で、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、メンデルスゾーンの有名な作品を歌い、さらに後半ではシューマンの「詩人の恋」を歌っています。
一晩のリーダーアーベントとしては相当なボリュームであり、演奏者も気力体力を持続させるのが大変ではないかと思われます。

実はこの日のコンサート会場に私もいました。
シュライアーとドイチュの組み合わせは、スタジオ録音では私の知る限り皆無だったはずで、来日を知った時に伴奏者がドイチュということを知って珍しいなと思ったことを今でも覚えています(当時シュライアーの来日公演はヴァルター・オルベルツが同行することが多かったので)。ただ海外ではこのコンビで演奏することもあったようです(ドイチュの著書に少しシュライアーのことが触れられています)。

曲目などの詳細はこちら

私も入手したらじっくり聞いてみようと思います。

スタジオ録音とは違った臨場感なども味わえるのではないかと期待しています。
興味のある方はお聞きになってみて下さい。

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トーマス・ハンプソン&アムステルダム・シンフォニエッタ/Tides of Life: 弦楽オーケストラ伴奏による歌曲集

Tides of Life(タイズ・オヴ・ライフ)

Tides_of_life


CHANNEL CLASSICS: CCS 38917

Recording: 22 September 2015 (Wolf, Schubert), 14 & 15 April 2016 (Brahms, Barber), TivoliVredenburg, Utrecht

Thomas Hampson(トーマス・ハンプソン)(BR) (1-8, 10-14)

Netherlands Female Youth Choir(オランダ・ユース女声合唱団) (8)
Wilma ten Wolde(ヴィルマ・テン・ヴォルデ)(Choirmaster) (8)

Amsterdam Sinfonietta(アムステルダム・シンフォニエッタ)
Candida Thompson(カンディダ・トンプソン)(VLN, artistic director)

1. Wolf(ヴォルフ): Auf einer Wanderung(旅先で)(Arr. David Matthews)
2. Wolf: Fussreise(散歩)(Arr. David Matthews)
3. Schubert(シューベルト): An die Leier(竪琴に), D.737 (Arr. David Matthews)
4. Schubert: Memnon(メムノン), D.541 (Arr. David Matthews)
5. Wolf: Anakreons Grab(アナクレオンの墓)(Arr. David Matthews)
6. Wolf: Der Rattenfänger(ねずみ取りの男)(Arr. David Matthews)
7. Schubert: Geheimes(ひめごと), D.719 (Arr. David Matthews)
8. Schubert: Ständchen(セレナーデ), D920 (Arr. Bob Zimmerman)
9. Wolf: Italienische Serenade(イタリア・セレナーデ)
10. Brahms(ブラームス): Vier ernste Gesänge(四つの厳粛な歌), Op. 121: No. 1, Denn es gehet dem Menschen(人の子らに臨むところは獣にも臨むからである)(Arr. David Matthews)
11. Brahms: Vier ernste Gesänge, Op. 121: No. 2, Ich wandte mich und sahe(わたしはまた、日の下に行われるすべてのしえたげを見た)(Arr. David Matthews)
12. Brahms: Vier ernste Gesänge, Op. 121: No. 3, O Tod, wie bitter bist du!(ああ死よ、おまえを思い出すのはなんとつらいことか)(Arr. David Matthews)
13. Brahms: Vier ernste Gesänge, Op. 121: No. 4, Wenn ich mit Menschen und mit Engelszungen redete(たといわたしが、人々の言葉や御使たちの言葉を語っても)(Arr. David Matthews)
14. Barber(バーバー): Dover Beach(ドーヴァー・ビーチ), Op. 3

※上記の邦訳は原則として付属の日本語帯に従いましたが、数か所私が変更したり、インターネットを参照したところもあります。

※amazonのサイトはこちら

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アメリカを代表する名バリトン、トーマス・ハンプソンによる歌曲の新譜が出たので、早速聴いてみました。
1955年6月生まれとのことなので、この録音時すでに60歳になっていたことになります。
共演はカンディダ・トンプソン率いるアムステルダム・シンフォニエッタです。

このCDではシューベルト、ブラームス、ヴォルフ、サミュエル・バーバーの歌曲が集められていますが、おまけとしてヴォルフのよく知られた弦楽合奏曲「イタリア・セレナーデ」も収録されています。
その「イタリア・セレナーデ」とバーバーによる弦楽合奏伴奏歌曲「ドーヴァー・ビーチ」がオリジナルなのを除いて、他の曲はすべて別の人が弦楽合奏用にアレンジしています。
最近ピアノパートを他の楽器群に置き換えてアレンジするのが流行りのようで、それ自体は様々な可能性や新たな魅力を付与するという意味で意義深いことだと思っています。
ただ、あまりにもピアノ伴奏の歌曲が好き過ぎる私は、これまで他の楽器群に編曲した試みをあまり積極的には聴いてこなかったことも率直に申し上げます。
しかし、結論から言ってこのCDは先入観を覆すに足る見事さで、とても素晴らしかったです。
まず弦楽合奏の編曲が原曲を崩さず、ピアノだとどうしてもポツリポツリと音が減衰してしまう箇所が弦楽器によって真のレガートになっているのが特に美しく感動的でした。

ヴォルフのメーリケの詩による「旅先で」は、途中で旅のさなかの光景に酔いしれ感極まる箇所があるのですが、そこの弦の恍惚感は、弦楽合奏だからこそ実現できたものだと深く胸に響きました。
続くヴォルフの「散歩」では爽やかな朝の散歩に人生の喜びを感じる内容が弦楽合奏の歯切れのいいリズムに合っています。
シューベルトの「竪琴に」は、弦楽器が歌のない箇所のメロディーを朗々と奏でるのが何とも美しく響き、これは聴きものの一つです。
ヴォルフのゲーテの詩による名作「アナクレオンの墓」はただでさえ美しいピアノ伴奏を弦楽合奏のレガートに置き換えたことにより、このうえない感動的な響きとなっていました。
続く「ねずみ取りの男」は完全なるスケルツォで、歌手も弦楽合奏も慌ただしくて大変だと思うのですが、実に鋭利な切れ味で楽しい演奏でした。
グリルパルツァーの詩によるシューベルトの合唱付き歌曲「セレナーデ」は、オリジナルのピアノパートが細かく分散和音を刻むので、もともと弦楽合奏に向いているのでしょう。
とても自然な編曲だと感じました。
合唱団も美しく独唱に呼応していました。
ブラームスの「四つの厳粛な歌」は確かに重く深刻なのですが、ピアノのようなアタックの強さの代わりに包み込むような響きの魅力が増し、救いや癒しという要素も感じられ、ハンプソンの歌唱もその方向に沿った歌を聞かせてくれます。

アメリカの作曲家バーバーの「ドーヴァー・ビーチ」は、このCDのタイトル「Tides of Life(人生の潮流という感じでしょうか)」のきっかけとなったものと想像されますが、テキストは人生の栄枯盛衰を悲観的に歌っています。
詩と対訳を「詩と音楽」さんで御覧ください。

 こちら

最後の詩句など、現代においてもいささかも変わらない状況のようにすら思えますし、ハンプソンたちが、この作品を今選んだことにも意図があるように思えてなりません。

ハンプソンは円熟のさ中にあり、どのフレーズにしても完全に血肉にした表現が聴けるので、作品の美しさが素直に感じられるのが素晴らしいです。
往年の声のつややかさの代わりに包容力が増して、味わい深い成熟した歌が聴けるのがなんとも嬉しいです。
ドイツ語の語りかけなど、今が旬のネイティヴの歌手たちと比べていささかの遜色がないばかりか、むしろ極限に洗練された発音のように感じられたほどです。
声には温かみが加わり、テキストの細やかな表現に真実味が感じられます。
この境地に達したハンプソンに敬意を払うのと同時に、ドイツの文化に根付いた芸術であるリートが他国の歌手によってこれほどまでにネイティヴの歌手と肩を並べるほどの充実を示しているのは本当に凄いことなのではないでしょうか。

アムステルダム・シンフォニエッタはオリジナル作品でない難しさを感じさせない非常に美しい演奏を聴かせてくれます。
ハンプソンの歌と実に見事に溶け合って、停滞することなく、よく歌う演奏でした。

以下のサイトで少しずつ試聴が出来ますので、興味のある方はぜひお聴き下さい。

 こちら

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歌曲を扱ったサイトの草分け的存在であり、Schubertiadeのレポートやシューベルトの「冬の旅」「美しき水車小屋の娘」の聞き比べなど、とても充実した内容のWebサイト「LIEDERKREIS」の共同管理人のお一人であった奥様の龍田靖子様が昨年お亡くなりになりました。

私が知ったのもつい最近のことでした為、こちらに触れさせていただくのが今になりました。
ただただ驚いて言葉になりません。
そして二人三脚でサイトを作り上げてこられたご主人英世様のお気持ちを思うと何と申しあげてよいものか思い浮かびません。

靖子様とは昔ハンプソンの掲示板に書き込んでやり取りをさせていただいたことはあったかと記憶していますが、直接やり取りさせていただく機会は残念ながらございませんでした。
しかし、「LIEDERKREIS」のサイトでは、リート・ファンの私たちが知りたいと思うことを情熱をもって取り上げて下さり、特にオーストリアのシューベルティアーデに毎年お出かけになり、詳細なレポートを書かれていたのを拝見するのがいつも楽しみでした。
コンサートだけでなく、旅行の道中での様々な出来事なども書いて下さり、海外へコンサートに行こうと思っておられる方々にとっても大きな道しるべとなられたことと思います。

そして、靖子様といえば、トーマス・ハンプソンです。
ハンプソンの歌を求めて国内、海外を問わず精力的に回られたのは、本当に素晴らしいことと思います。
これほど限りない愛情を注がれたハンプソンは本当に幸せな歌手だったのではないでしょうか。
昨年7月のシューベルティアーデでは、ハンプソンのコンサートとマスタークラスのチケットをとられ、楽しみにされていたそうですが、お聴きになれず、さぞかし無念だったこととお察しいたします。

歌曲ファンの端くれとして、心からご冥福をお祈り申し上げます。
そして、今回のこの駄文を靖子様に捧げさせていただきたいと存じます。
天上にハンプソンのこの新しい録音が届きますように。
どうぞ安らかにお休み下さい。

                                  フランツ

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F=ディースカウ&サヴァリッシュ/1992年東京公演ライヴCD化!!!

バリトンのディートリヒ・フィッシャー=ディースカウが引退を表明したのは1993年の年明けごろだったと思います。
1992年の大晦日のコンサートが私の歌手活動最後のステージだったという発表を聞いて驚いたことを思い出します。
つまり、引退の1カ月ちょっと前に来日して2晩にわたるシューベルトの夕べを催してくれたのは、彼の長いコンサート・キャリアの殆どピリオドを打とうとしていた時期だったのです。
私は11月16日の個々の歌曲アンソロジーのコンサートを聴いたのですが、池袋の東京芸術劇場ということもあって、遠くてあまりよく見えなかったという印象があります。
しかし、F=ディースカウお得意の歌がずらりと並んだ演奏はやはり私にとっていい思い出になっています。
「水車屋の娘」の日(11月24日)は、アーメリングの府中公演と重なっていた為、迷った挙句、アーメリングの方に行ってしまいました。
そういうわけで、今回、この2夜のシューベルト・リサイタルがCD化されるというのは大歓迎なわけです(CD化されるとは全く想像もしていませんでした)。
この時期は、ディースカウ、アーメリング、ポップ、テオ・アダム、ミュンヒェン歌劇場のガラコンサートなど、毎日異なる公演を連続して聴いたのを懐かしく思い出します。

曲目などの詳細は以下のページをご覧ください。
 こちら

ここのところ、ニコライ・ゲッダやクルト・モルの逝去など、歌曲ファンにとって悲しいニュースが続いたので、久しぶりに嬉しいニュースとなりました。

購入してじっくり聴いてみようと思います。

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最近購入したCD(プライ&ドイチュ「冬の旅」、ボストリッジ&ドレイク「シューベルト・ライヴ2」ほか)

ここのところ、CDショップで実際に現物を手にとってCDを購入するということからめっきり遠ざかっていたのですが、つい最近久しぶりにCDショップを訪れ、気になる5枚を購入しました。

Prey_bostridge_goerne

Schock_vickers

1)シューベルト/「冬の旅」 ヘルマン・プライ(Br)ヘルムート・ドイチュ(P) (1987年5月17日, Schwetzingen, Schloss, Rokokotheater)
2)シューベルト/歌曲集2 イアン・ボストリッジ(T)ジュリアス・ドレイク(P) (2014年5月22日, Wigmore Hall, London)
3)ブラームス/歌曲集 マティアス・ゲルネ(Br)クリストフ・エッシェンバッハ(P) (2013年4月、2015年12月, Teldex Studio Berlin)
4)シューベルト/「美しい水車屋の娘」 ルドルフ・ショック(T)ジェラルド・ムーア(P) (1958年11月, Gemeindehaus Berlin-Zehlendorf)他3曲(アドルフ・シュタウホのピアノ:1959年6月10日, Gemeindehaus Berlin-Zehlendorf)
5)シューベルト/「冬の旅」 ジョン。・ヴィッカーズ(T)ジェフリー・パーソンズ(P) (1983年7月9-13日, Salle Wagram, Paris)他インタビュー付き

現在のところ、5のみ未聴ですが、他の4枚は程度の差はあれど、聴いてみました。

2のボストリッジとドレイクのシューベルトはウィグモア・ホールでのシューベルト・ライヴの第2集で珍しいレパートリー満載で、シューベルト・ファン必聴の録音です。

3のゲルネとエッシェンバッハのブラームスですが、実は以前ゲルネがインタビューで「ブラームスはあまり好きではないので録音もしないかもしれない」というようなことを読んだことがあったので、今回興味をもって聞いてみました。
Op.32全9曲と、ハイネの詩による5曲、そして「4つの厳粛な歌」全4曲という内容です。
まだ聞きこんでいない為、はっきりと断言はしませんが、ゲルネのアプローチは若干ブラームスの歌曲とは相性がよくないのかもしれないと感じました。
もちろんいつものふくよかで包み込むような声はブラームス歌曲の温かみをしっかり感じさせてくれますし、ゲルネに合ったレパートリーを選んでいるとは思います。
ただ、彼の表現がドラマティックになる際に、ブラームス特有の器楽的なバランスが崩れがちに感じられ、同じことがピアノのエッシェンバッハにも感じられました。

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今回、この記事ではプライとドイチュの「冬の旅」について、感想を記したいと思います。

この日のプライは声の調子もすこぶる良く、音程がぴたっとはまっています。

比較的軽快なリズムで第1曲「おやすみ」が始められ、悲壮感よりもわき目もふらずに前進していく感じが出ています。
1987年といえば、当時の彼の録音ではすでに第三者的な諦観をすら漂わせていたプライですが、ここではライヴゆえか、かなり振幅の大きいドラマティックな表現も聞かせ、若かりし頃のプライを彷彿とさせる「なりきり」感が嬉しく感じられました。
声はあくまで自然に語るように、しかしメロディーラインは壊さずにという姿勢が感じられるのは、いつものプライですが、一言一言への軽重の比重の付け方が細やかで、言葉へのプライの寄り添い方は傾聴に値します。
例えば、「風見」の中の"reiche Braut(金持ちの嫁)"という言葉にアクセントを付けているのを聞くと、プライなりの強烈な皮肉を込めているように感じられます。
その他にも聞くべき箇所は多々あります。
例えば、

・「休息」での単語による"r"の巻き舌の付け方の軽重や、めりはりのきいた語り口。
・「春の夢」での甘美さな夢と冷たい現実の対比、そして最後の恋人をいつになったら抱けるのだろうというわずかに盛り上がって沈み込む箇所。
・「道しるべ」の最後の"zurück"に込められた思いの深さ!
・「宿」で墓地にも眠りを拒否されて、ただ進むのだと歌う箇所の決然とした歌いぶり!

「ライアー弾き」ではプライの歌う主人公は絶望しているようには聞こえません。
力強く自分の分身のようなライアー弾きに言葉をかけます。
プライはそこを大きなクレッシェンドの後に軽いデクレッシェンドで若干のアーチを作りますが、基本はよく響く声で、前を向いて歩きだす様を想像させる終わり方でした。

これより前に映像収録してDVDでも発売されている、同じくドイチュとの共演による演奏では、室内での演奏ということもあるのでしょうが、もっと振幅を抑えた、内向きの演奏だったように感じられます。

このライヴ、プライの甘美な美声がまだまだ健在だったことにまず喜びを感じますが、さらに言葉の語り方の軽重の付け方が微に入り細を穿つのは、歌いこんできた年輪のなせる業なのかもしれません。

そして、忘れてならないのがヘルムート・ドイチュのピアノです!
安定したテクニックに裏付けられたピアノは、粒立ちが明瞭で、クリアな響きが冬の凍てつく雰囲気をあらわす一方、「ボダイジュ」などでは包み込むような温かい響きも聞かせています。
その演奏はテキストとぴったり一致し、まさに変幻自在と言ってよいでしょう。
レガートとノンレガートの使い分けが絶妙にうまいのもドイチュの美点だと思います(ペダリングのうまさも)。
「からす」でのつきまとうような右手の響きのなんといううまさ!
リズムにのったテンポ感がプライの歌をどれほど助けていることでしょう。

まさにプライとドイチュが二人三脚で作り上げた、深遠だけれども、達観していない、最後に希望が見える世界を描き出してくれたように思います。

興味のある方はぜひお聞きになってみて下さい!

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ヘルマン・プライ&ヘルムート・ドイチュ/「冬の旅」(1987年シュヴェツィンゲン音楽祭初出ライヴCD)

ヘルマン・プライの初出音源による「冬の旅」が発売されることを、コメント欄より真子さんに教えていただいたので、ご紹介します。
すでに日本のamazonでも購入出来るようです(2016/6/29発売予定)。

シューベルト(Schubert)/「冬の旅(Winterreise)」
録音:1987年5月17日、シュヴェツィンゲン・シュロス、ロココ劇場
ヘルマン・プライ(Hermann Prey)(Br)
ヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch)(P)

詳細は以下のサイトをご覧下さい。
 こちら

プライは複数回「冬の旅」の録音を残していますが、名手ヘルムート・ドイチュとのこのライヴ録音は初出で、ファン待望のものでしょう(スタジオでの映像収録でも共演しているので、そのDVDとの比較も興味深いところです)。

1987年といえば、そろそろ渋みを増してきたプライの表現の深みが注目されるところです。
どんな演奏をドイチュと共に作り上げているのか、発売を楽しみに待つことにしましょう。

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クリスティアン・ゲアハーアー&ゲロルト・フーバーのシューベルト歌曲集録音第2弾(SONY CLASSICAL)

Gerhaher_huber_schubert_nachtviolen


バリトンのクリスティアン・ゲアハーアー(ゲルハーヘル)とピアノのゲロルト・フーバーのコンビによるシューベルト歌曲集の新譜がSONY CLASSICALから発売された。
第1弾が録音されたのが2005年とのことなので、7年ぶりの新録音ということになる。

NACHTVIOLEN: SCHUBERT LIEDER (はなだいこん:シューベルト歌曲集)

SONY CLASSICAL: 88883712172

録音:2012年7月20-24日, Studio 2, Bayerischer Rundfunk, München

Christian Gerhaher (クリスティアン・ゲアハーアー) (baritone)
Gerold Huber (ゲロルト・フーバー) (piano)

1. An den Mond in einer Herbstnacht (秋の夜の月に寄せて) D 614
2. Hoffnung (希望) D 295
3. Im Jänner 1817 (Tiefes Leid) (1817年1月に:深い悩み) D 876
4. Abschied (別れ) D 475
5. Herbst (秋) D 945
6. Über Wildemann (ヴィルデマンの丘で) D 884
7. Der Wanderer (さすらい人) D 649
8. Der Wanderer an den Mond (さすらい人が月に寄せて) D 870
9. Der Zwerg (小人) D 771
10. Abendstern (夕星) D 806
11. Im Walde (森で) D 843
12. Nach einem Gewitter (嵐のあとで) D 561
13. Der Schiffer (舟人) D 694
14. An die Nachtigall (ナイチンゲールに寄せて) D 196
15. Totengräber-Weise (墓掘り人の歌) D 869
16. Frühlingsglaube (春の想い) D 686
17. Nachtviolen (はなだいこん) D 752
18. Abendlied für die Entfernte (遥かな女性に寄せる夕べの歌) D 856
19. Wehmut (悲しみ) D 772
20. Der Strom (川) D 565
21. Der Hirt (羊飼い) D 490
22. Lied eines Schiffers an die Dioskuren (双子座に寄せる舟人の歌) D 360
23. Nachtgesang (夜の歌) D 314
24. Der Sänger am Felsen (岩山の歌手) D 482

今や、最もリートに力を入れている歌手の一人となった名バリトン、ゲアハーアーは40代半ば。
ピアノのフーバーも同年である。
この2人によるシューベルト歌曲集第2弾を聴いて、なんと心地よい時間が流れていくのかと感じながら、歌曲を聴く喜びをこころゆくまで堪能した。
私はゲアハーアーの明晰なハイバリトンの声質が大好きである。
そして絶妙に美しいドイツ語の語りと、誇張のないレガートが本当に素晴らしい!
彼の美声と芸術はまさに今が旬と言ってもいいのではないか。
彼の師匠だったフィッシャー=ディースカウもハイバリトンの美声だったが、ディースカウは明らかに大ホール向きの声のボリュームを持っていた。
実際に大ホールでディースカウを聴いて、彼のフルボリュームのすごさに驚いたものだった。
ゲアハーアーが声量がないわけでは決してないのだが、彼はむしろより自然な語り口とメロディーへの誠実な寄り添い方が特徴と思う。
ディースカウは今聴くと若干誇張に感じられることもないわけではないが、ゲアハーアーは徹底して自然さを貫く。
彼が来日公演で中小ホールのみでリサイタルを開くのも自身の特性をわきまえてのことと思われる。
そしてリートが本来サロンの中で親密に演奏されたというルーツを彼の歌唱が思い出させてくれるのである。

それにしてもシューベルトは歌曲のピアノパートに時にソロ曲と思えるほどの愛らしさを与えることがある。
「秋の夜の月に寄せて」や「嵐のあとで」、「はなだいこん(夜咲きすみれ)」の前奏を聴いて心惹かれない人は少ないだろう。

ピアノのフーバーは現役の中で特にリート伴奏者としての存在感を増している。
生で彼を聴くと、唸り声が結構目立つのと、演奏ものめりこむタイプで、曲によってはもう少し素直に弾いた方が好ましく感じられる場合もあった。
だが、CD録音で彼の演奏を聴く限りでは、唸り声も聞こえないし、ゲアハーアーとのバランスも絶妙で演奏は細やかで成熟した充実感が感じられる。
つまり、フーバーの美点のみが味わえるというわけである。

私が中学生の頃、はじめて聴いてその魅力にとりつかれた「川」も含まれているのがうれしかった。
選曲はかなり渋めだが、素晴らしい作品が厳選されているので、シューベルト歌曲に馴染みの薄い人でも充分に楽しめると思う。
曲の雰囲気もバラエティに富んでいるのでシューベルトの多面性が味わえる。
「春の想い」はお馴染みの名曲である。
あまり知られていない中では「夕星」「悲しみ」などはリートファンの琴線に触れるのではないか。
「小人」や「ヴィルデマンの丘で」のドラマティックな展開も聴きものである。
「秋」の冷え冷えとした雰囲気に強い印象を受ける方もおられるだろう。
「さすらい人」は有名なリューベックの詩によるものではなく、F.シュレーゲルの詩による曲だが、いかにもシューベルトらしい慎ましやかな名作である。

このアルバムで貴重なのはゲアハーアーのハミングが聴ける曲があることである。
F.シュレーゲルの詩による「舟人」がそれである。
シューベルト歌曲の中でハミングが歌われるのはおそらくこの曲のみではないか。

試聴はこちら(ドイツのamazon)

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ヘルマン・プライ&ジェラルド・ムーア/ヴォルフ&プフィッツナー、シュトラウス歌曲集 初CD化(DECCA)

DECCAレーベルの"MOST WANTED RECITALS"でプライ&クリーンの「白鳥の歌」ほか数々の名盤がCD化されたことは既述のとおりですが、このシリーズ中、日本でなぜか今のところ流通していない複数のCDの中にヘルマン・プライ&ジェラルド・ムーアの「ヴォルフ&プフィッツナー歌曲集」があります。
しかもボーナストラックとして同じコンビによるR.シュトラウス歌曲集も含まれているというお得な盤です。
amazonなどでいずれ扱うのかどうか不明ですが、メキシコのDECCAの企画とのことで、どうしてもすぐに欲しい方はPresto Classicalというイギリスのサイトからお求めになるのがいいかと思います。

私はこのプライ&ムーアの「ヴォルフ&プフィッツナー歌曲集」と「ホッター&パーソンズ/リサイタルVol.2」を注文しましたが、1週間も経たないうちに届きました。
さらに「スゼー&ボールドウィン/フランス歌曲集(これも初CD化)」も追加で注文しているので届くのが楽しみです。

このCDの購入については下の記事の追記をご覧ください。
 こちら

ではこのCDの中身をご紹介します。

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DECCA: 480 8172
MOST WANTED RECITALS 35

ヘルマン・プライ(Hermann Prey)(Baritone)
ジェラルド・ムーア(Gerald Moore)(Piano)

録音:1965年4月2-5日, Decca Studios, West Hampstead, London (1-19)
1963年6月4-7日, Decca Studios, West Hampstead, London (20-33)

ヴォルフ(Wolf)作曲/「メーリケ歌曲集」より
1.庭師
2.依頼
3.飽くことのない愛
4.出会い
5.狩人の歌
6.春だ!
7.散歩
8.旅路で
9.郷愁
10.祈り
11.隠棲
12.ヴァイラの歌
13.告白
14.鼓手

プフィッツナー(Pfitzner)作曲/「5つの歌曲」Op.9
15.庭師
16.孤独な娘
17.秋に
18.勇敢な男
19.別れ

R.シュトラウス(R.Strauss)作曲
20.献呈Op.10-1
21.何もOp.10-2
22.夜Op.10-3
23.ぼくの頭上に広げておくれOp.19-2
24.ぼくたち、隠しておいていいものだろうかOp.19-4
25.わが思いのすべてOp.21-1
26.あなた、わが心の冠よOp.21-2
27.ああ、恋人よ、もう別れなければならないOp.21-3
28.ああ辛い、俺はなんて不幸な男なんだOp.21-4
29.憩え、わが魂Op.27-1
30.明日Op.27-4
31.夜の散歩Op.29-3
32.親しげな幻影Op.48-1
33.あなたの青い瞳でOp.56-4

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すべて初CD化です。
録音年月日も今回明記されているのが有難いです。
1965年録音の「ヴォルフ&プフィッツナー歌曲集」全曲と、1963年録音の「R.シュトラウス歌曲集」(「白鳥の歌」のCDに含まれる3曲以外全曲)で構成されていますが、どちらも30代のプライの声の美しさ、張り、表現力、語り口は絶好調です!

ヴォルフの「メーリケ歌曲集」は全53曲からなるのですが、その中からプライの声やキャラクターに合った作品が慎重に選ばれているのが感じられます。
「庭師」では通りかかった王女様へのひそやかな愛の告白を実直なまでにストレートに歌い上げ、聴き手の気持ちを心地よく明るくしてくれます。
「依頼」では友人に好きな人の返事を代わりに聞いてもらう切迫した感じが"Warum schreibt Er aber nicht?(なぜ手紙をくれないのですか)"の歌いぶりによく表れていて、オペラの一場面のように楽しいです。
「飽くことのない愛」では"Je weher, desto besser!(痛ければ痛いほど気持ちがいいの)"の"besser"におけるプライのなんともいえないニュアンスが聴きどころです。
「春だ(あの季節だ)!」では春の到来の喜びを前半は抑制を利かせ、後半に爆発するその配分が素敵です。
「祈り」の厳かな歌唱や有名な「隠棲」での真摯で力強い歌いぶりも素晴らしいのですが、最後の「告白」「鼓手」のユーモアはまさにプライの独壇場でしょう。
「告白」では兄弟がいない為に母親から一心に期待を寄せられて重いよぉと嘆くさまが実にユーモラスに語られ、声のちょっとしたニュアンス付けなど芸達者なプライを満喫できます。
一方「鼓手」では、お母さんが魔法が使えたら酒保で働いてご馳走が食べられるのにと、「告白」とは逆の母親好きな少年を描いていて、そのプログラミングも絶妙と言えましょう。

プフィッツナーは作品番号9のアイヒェンドルフの詩による全5曲が演奏されていますが、第1曲のタイトルが「庭師」で、メーリケ歌曲集のプログラミングに合わせたとも考えられますね。
最後は「別れ」というタイトルですし、プライならではの凝った選曲&曲順ということがいえそうです。
哀愁漂う歌曲集で、プライの甘美な声が一層切なさを際立たせているように感じられます。

シュトラウスの歌曲集は作品番号順に並べられているのはプライの考えなのでしょうか。
有名で親しみやすい作品が選ばれていて魅力的な選曲です。
「献呈」での全霊を傾けた歌唱はプライの良さ全開です。
「憩え、わが魂」のような重めの作品でもプライが歌うとほのかな光が射すのがまた魅力です。
「あなたの青い瞳で」での素朴でストレートで甘美な歌はまさにプライの良さが集約されていますね。
こぼれおちそうなほど熟れたプライの美声が存分に味わえる素敵な歌曲集でした。

ムーアは60代半ばの脂の乗り切った円熟味がそのまろやかなタッチから感じられ、これまた耳を惹きつけて離しません。
「明日」など絶品です。
そしてディースカウと共演した時とは違ったプライ仕様の演奏になっているのが興味深いです。
例えばヴォルフの「出会い」をディースカウとは猛スピードで駆け抜ける風のように演奏していましたが、プライとは最初のうちややテンポをゆるやかにとり、恋人との逢瀬を歌う直前の間奏で恋の嵐を吹き荒れさせます。
そして、そのどちらにもムーアの個性が刻印されているのが素晴らしいところです。
ヴォルフの「春だ!」はF=ディースカウとのメーリケ歌曲(男声用)全集録音時に省かれてしまった為、ムーアファンにとっては、プライが録音してくれて感謝です!
ムーアの軽やかで味のあるタッチが魅力的です。

Prey_moore_wolf_lieder

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(2014年8月9日追記)

HMVでとうとう扱うようです。9月10日発売とのことです。
 こちら

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ヘルマン・プライの「白鳥の歌」、シュトラウス歌曲など再発録音発売情報(DECCA)(初CD化を含む)

DECCAレーベルの数多くの歌手たちのアリア集や歌曲集をリマスターして再発するシリーズ"DECCA MOST WANTED RECITALS"が始まりました。
スゼーやホッター、パツァーク、カレーラス、デラ・カーザなど錚々たる名前が挙げられています。
早速ハンス・ホッターがパーソンズと録音した1973年のCDを購入して楽しみましたが、このシリーズにヘルマン・プライのリサイタルも加わることが発表されています。
どうやらプライの録音は発売されるのが6月半ばのようで、ファンの方々はいましばらく我慢が必要です。

内容は以下のとおりです。

・シューベルト:歌曲集『白鳥の歌』 D.957(全曲)

 ヘルマン・プライ(バリトン)
 ヴァルター・クリーン(ピアノ)
 録音時期:1963年4月13-15日
 録音場所:ヴィーン、ゾフィエンザール

シューベルト:歌曲集
・野ばら D.257
・遠く離れた人に D.765
・憩いなき愛 D.138
・最初の喪失 D.226
・馭者クロノスに D.369
・羊飼いの嘆きの歌D.121
・出会いと別れ D.767

 ヘルマン・プライ(バリトン)
 カール・エンゲル(ピアノ)
 録音時期:1964年2月14-18日
 録音場所:ロンドン、デッカ・スタジオ

R.シュトラウス:歌曲集
・私は恋を抱いて Op.32-1
・解き放たれて Op.39-4
・道楽者 Op.41-4

 ヘルマン・プライ(バリトン)
 ジェラルド・ムーア(ピアノ)
 録音時期:1963年6月4-7日
 録音場所:ロンドン、デッカ・スタジオ

※ソースはこちらです。

「白鳥の歌」は情熱的なプライ第1回目の録音の久しぶりの復活です。
海外ではまだCD化されていなかったのかもしれません。
そしてエンゲル伴奏のシューベルト歌曲7曲も復活し、さらに注目なのが、ムーア伴奏のシュトラウス歌曲集がとうとうCD化されることです。
たった3曲なのが残念なところですが、録音データも今回明記されているようで、これらの演奏がほぼ同時期の録音ということになります。
6月まで首を長くして待ちましょう。

DECCAさん、次回はシュトラウス歌曲集の残りと、ヴォルフ&プフィッツナー歌曲集(ムーア伴奏)もお願いします!

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(2014年5月29日追記)

junさんにコメント欄で教えていただいたサイトをご紹介いたします。
このプライの「白鳥の歌」を含む"DECCA MOST WANTED RECITALS"シリーズはすでに下のサイトでは販売しているようです(まだ日本で取り扱っていないCDも含みます)。
amazonなど日本で流通するのを待つか、下のサイトで先に買ってみるか迷うところですね。
驚くことに、プライ&ムーアのシュトラウス&ヴォルフ&プフィッツナー歌曲集がCD化されているようなので、私は購入してみようと思います(5月29日現在、amazonなどには掲載されていません)。

シリーズ一覧
 こちら

プライ&クリーン他「白鳥の歌」他
 こちら

プライ&ムーア「シュトラウス、ヴォルフ&プフィッツナー歌曲集」
 こちら
「白鳥の歌」にカップリングされている3曲を含めれば、ムーアとのシュトラウス歌曲集は全曲揃います。
ヴォルフ&プフィッツナーも全曲復活しているようです。

junさん、有難うございました。

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(2014年6月2日追記)

上記のシリーズでまだ国内で入手できない盤をPRESTO CLASSICALのサイトから購入する方法を簡単にWordにまとめましたので、参考にしていただければと思います。

 「presto_classical.docx」をダウンロード

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