歌曲録音の宝の山-Hyperion Recordsのサブスク解禁

昨年あたりから少しずつHyperion Recordsのサブスクリプションが解禁されてきましたが、とうとうHyperionの一連の歌曲シリーズが日本でも(おそらく)全面解禁されたようです(私はApple Musicを利用しているので、他のサブスクは分からないですが、おそらく同時解禁ではないかと想像します)。
グレアム・ジョンソンによるシューベルト、シューマン、ブラームス、フォレ、プランク歌曲全集、ジュリアス・ドレイクによるリスト歌曲全集、ロジャー・ヴィニョールズによるR.シュトラウス歌曲全集やいくつかのヴォルフ歌曲集、その他1枚ものの名盤など、歌曲録音の充実ぶりは目を見張るほどです。
幸いなことにHyperion RecordsのWebサイトからCDに付属しているブックレットがそのままダウンロードできるようになっています。
興味深いのは、G.ジョンソンがシューベルト歌曲全集を完成して間もなく、シューベルトの友人や同時代人の歌曲をまとめた3枚組のCDが、シューベルト全集のBOXにおまけで付いていたのですが、それもサブスク解禁されていることです。
シューベルトの歌曲「期待(Die Erwartung)」はツムシュテークの同テキストの歌曲の影響を受けていると文献では読んでいたものの、とうとうこのCDで実際に音として聞けるわけです。
アーメリング・ファンの立場としては、ジョンソンとのシューベルト全集第7巻、ヤンセンとのブラームス歌曲集、ヴォルフ歌曲集を聞くことが出来ます。特にシューベルトとブラームスはアーメリングの円熟の境地にいたった最高の名唱を満喫できるので強くお勧めします。
イギリスは歌曲ピアニストが主導して全集を作るという伝統があるようで、このレーベルでそれが脈々と受け継がれているのを感じます。珍しい歌曲もサブスクを検索すると見つかるかもしれません。便利な世の中になりました。もちろんCDというパッケージ商品も並行して販売しているようですので、サブスクや配信はあまり聞かないという方はCDで聴くのもいいかと思います。

グレアム・ジョンソンのApple Musicで聴けるアルバム(シューベルト、シューマン、ブラームス、フォレ、プランク歌曲全集、シューベルトの友人・同時代人の歌曲集を含む)

ジュリアス・ドレイクのApple Musicで聴けるアルバム(リスト歌曲全集を含む)

ロジャー・ヴィニョールズのApple Musicで聴けるアルバム(R.シュトラウス歌曲全集やいくつかのヴォルフ歌曲集を含む)

グレアム・ジョンソン:シューベルト歌曲全集より
シューベルト:イーダより
Schubert: Von Ida, D228
Elly Ameling(S), Graham Johnson(P)

グレアム・ジョンソン:シューマン歌曲全集より
シューマン:釣り人
Schumann: Der Fischer, RSW Anh. M2.6
Mark Padmore(T), Christopher Maltman(BR), Graham Johnson(P)

グレアム・ジョンソン:ブラームス歌曲全集より
ブラームス:春の歌
Brahms: 6 Lieder, Op. 85: No. 5, Frühlingslied
Harriet Burns(S), Graham Johnson(P)

グレアム・ジョンソン:プランク歌曲全集より
プランク:歌曲集『こんな日こんな夜』~私達は夜を創った
Poulenc: Tel jour, telle nuit, FP 86: No. 9, Nous avons fait la nuit
Sarah Fox(S), Graham Johnson(P)

ジュリアス・ドレイクによるリスト歌曲全集より
リスト:シラーのヴィルヘルム・テルからの歌曲:アルプスの狩人
Liszt: Lieder aus Schillers Wilhelm Tell, S. 292b: III. Der Alpenjäger
Julia Kleiter(S), Julius Drake(P)

ロジャー・ヴィニョールズによるR.シュトラウス歌曲全集より
R.シュトラウス:歌曲集『商人の鑑』~おお吸血鬼の一団よ、おお商人業界よ
R. Strauss: Krämerspiegel, Op. 66: No. 12, O Schröpferschwarm, o Händlerkreis
Elizabeth Watts(S), Roger Vignoles(P)

エリー・アーメリング&ルドルフ・ヤンセンのブラームス歌曲集より
ブラームス:夢にさまよう者
Brahms: Nachtwandler, Op. 86/3
Elly Ameling(S), Rudolf Jansen(P)

アーリーン・オジェー&アーウィン・ゲイジのヴォルフ:ゲーテ&メーリケ歌曲集より
ヴォルフ:つれない娘
Wolf: Goethe-Lieder: No. 26, Die Spröde
Arleen Augér(S), Irwin Gage(P)

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(サブスクではなく、CDで購入する場合のリンク集)

ハイペリオン・シューベルト歌曲全集:7(エリー・アーメリング、グレアム・ジョンソン)

ハイペリオン・シューマン歌曲全集:8(モルトマン、レマル、パドモア、ジョンソン)

ハイペリオン・ブラームス歌曲全集:8(ハリエット・バーンズ、グレアム・ジョンソン)

ハイペリオン・プランク歌曲全集(フォックス、ジョンソン、他)

ハイペリオン・リスト歌曲全集:6(ユリア・クライター、ジュリアス・ドレイク)

ハイペリオン・ R.シュトラウス歌曲全集:6(エリザベス・ワッツ、ロジャー・ヴィニョールズ)

ブラームス歌曲集(エリー・アーメリング、ルドルフ・ヤンセン)

ヴォルフ歌曲集(アーリーン・オジェー、アーウィン・ゲイジ)

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エリー・アーメリング/バッハ・エディション&フィリップス・リサイタル(Elly Ameling: Bach Edition; The Philips Recitals)

エリー・アーメリング(Elly Ameling)の90歳を記念したバッハ・エディション(3月下旬以降発売予定)とフィリップス・リサイタル(4月下旬以降発売予定)の情報が国内各CDショップに掲載されました。購入を考えておられる方は、各社比較して検討されることをお勧めいたします。
Amazon以外は、曲目の日本語詳細が掲載されていますので、ぜひご覧ください。初CD化の作品が多数含まれていますので個人的にこれは見逃せません(特に「ドイツ・ロマン派歌曲集」とシューマン「子供のためのリートアルバム」、ブラームス「歌曲集」のB面曲、「アフターアワーズ」はそれぞれ一部の曲を除き待望の初復活です!)。
フィリップス・リサイタルの[CD 11]は、8曲目までがアーメリング&ボールドウィンで、9曲目以降がヘルマン・プライ&カール・エンゲルです(「シューベルト:ゲーテ歌曲集」として発売されたLPをそのまま収録したものと思われます。HMVのサイトは正しく表記されています)。
なお、下記の値段や発売日は2023.3.18現在の情報を記載していますので、最新の情報はリンク先をご確認ください。

●エリー・アーメリング/バッハ・エディション
Elly Ameling: Bach Edition

Amazon.co.jp
発売予定日:2023年3月31日(4月 11-13日にお届け)
¥16,996 税込

HMV
2023年03月31日 発売予定
価格(税込):¥13,970
会員価格(税込):¥10,990
まとめ買い価格(税込):¥10,338

Tower Records
発売日 2023年03月下旬(発売日以降のお届け)
¥ 11,126(税込)

Disk Union
発売日 2023年03月25日
13,200円(税込)

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 1

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 2

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 3

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 4

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 5

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 6

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 7

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 8

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 9

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 10

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 11

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 12

ELLY AMELING IN HER OWN WORDS: アーメリング自身の言葉(バッハについて)

●エリー・アーメリング/フィリップス・リサイタル
Elly Ameling: The Philips Recitals

ELLY AMELING - THE PHILIPS RECITALS SAMPLER 1

ELLY AMELING - THE PHILIPS RECITALS SAMPLER 2

ELLY AMELING - THE PHILIPS RECITALS SAMPLER 3

ELLY AMELING - THE PHILIPS RECITALS SAMPLER 4

ELLY AMELING - THE PHILIPS RECITALS SAMPLER 5

Amazon.co.jp
発売予定日2023年4月28日(5月 9-11日にお届け)
¥21,833 税込

HMV
2023年04月30日 発売予定
価格(税込):¥18,920
会員価格(税込):¥15,290
まとめ買い価格(税込):¥14,190

Tower Records
発売日 2023年04月下旬(発売日以降のお届け)
¥ 15,376(税込)

Disk Union
発売日 2023年04月27日
18,205円(税込)

Elly Ameling with her Two Eloquence Box Sets

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【朗報】アーメリングのPhilipsリサイタル盤、Decca・Philipsのバッハ録音盤の2種類のボックス2023年に発売!

アーメリングファンの皆様、朗報です!
コメント欄でjunさんに教えていただいた情報をシェアいたします。junさん、有難うございます!

なんとエリー・アーメリング(Elly Ameling)の90歳を記念して、2023年にオーストラリアのELOQUENCEレーベルから、彼女の過去の録音をまとめたボックスが2つリリースされるそうです。
1つはPhilipsに録音したリサイタル盤のボックス、もう1つはDeccaとPhilipsのバッハ録音に参加したもののボックスだそうです。

ELOQUENCEレーベルは彼女に限らず、眠ったままになっている音源の発掘を積極的に行っているのですが、まさかこのレーベルからアーメリング全集をリリースしてもらえるとは正直想像していませんでした。

調べたところこちらに情報が出ていますが、詳細はこれから出てくると思います。
来年の楽しみが出来ました!

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(2023年2月8日追記→アーメリングの90歳の誕生日です)

junさんから続報のシェアがありました。いつも有難うございます!

こちらのリンク先に、3月(バッハ)と4月(リサイタル)にリリース予定のCDボックスの写真がアップされています。バッハのボックスの写真は初めて見ました。楽しみですが、高価そうですね...

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(2023年2月26日追記)

3月に発売されるアーメリングのバッハ・エディションについて、Tower RecordsとHMVに詳細が出ていました。

エリー・アメリング90歳記念『バッハ・エディション』(20枚組)<限定盤>

Tower Records

HMV

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(2023年2月27日追記)

Elly Ameling – The Philips Recitals

Eloquenceレーベルのサイトに4月に発売予定の29枚組のフィリップス・リサイタルが掲載されていました。
Track listingの行をクリックすると、各CDのおおまかな内容が表示されます。
最後のCD(29枚目)に
Mozart · Thomas · Verdi
Schubert · Grieg · Mahler
Halina Łukomska · Edna Graham
Hein Jordans · Kurt Masur · Edo de Waart · Bernard Haitink
と記載されています。
トマやヴェルディはおそらくオペラアリアと思われますが、SandmanさんのElly Ameling Discographyにもトマの項目はないので初出音源、もしくはオランダ限定で発売された音源なのかもしれませんね。
曲目詳細の発表が待ち遠しいです。→(2023年3月4日追記:トマとヴェルディはアーメリングと同じ年にセルトーヘンボスのコンクールで上位入賞したハリナ・ルコムスカとエドナ・グレアムがそれぞれ歌っているようです。アーメリングはモーツァルトの"Laudate Dominum"KV 321-5を歌っています)

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ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau)のDeutsche Grammophon全歌曲録音発売予定

2012年5月に86歳で亡くなったディートリヒ・フィッシャー=ディースカウがDeutsche Grammophonに録音した全歌曲集成が2022年10月末にドイツで発売されるそうです(106枚組)。PhilipsやDeccaの録音も含まれるそうで、「冬の旅」は4種類が収録されることになるとのことです(デームス、ムーア、バレンボイム、ブレンデルのピアノ)。

ソース(jpc)

フィッシャー=ディースカウほどの著名なリート歌手でも没後10年経たないと全集が発売されないというのは寂しいところではありますが、CDが売れない時代でレコード会社もいろいろ大変なのでしょう。ようやく待望の録音がまとめて復活されることを素直に喜びたいと思います。かなり高価なのがちょっと痛いですが...

(2022/5/19追記)
Dietrich Fischer-Dieskau - Complete Lieder (Trailer)

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クリスティアン・ゲルハーエル&ゲロルト・フーバー/シューマン歌曲全集スタート

現代屈指の名バリトン、クリスティアン・ゲルハーエル(Christian Gerhaher)と名伴奏ピアニストのゲロルト・フーバー(Gerold Huber)がシューマン歌曲全集に取り組むそうです。

その第1巻が間もなく発売予定です。

 こちら

彼が一人で全部歌うことになるのか、もしそうならば「女の愛と生涯」を含む女声用歌曲も彼が歌うことになるのか、興味は尽きません。

完成時(2020年予定)には10枚組のボックスになる予定とのことですから、それを待つのもいいかもしれませんね。

フィッシャー=ディースカウでさえ全曲は歌わなかったので、ゲルハーエルが師匠を超える日は遠くないのかもしれません。

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マティス、ファスベンダーらによる重唱曲集発売(ORFEOレーベル: 1974年8月25日ザルツブルク音楽祭ライヴ)

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超豪華なリート演奏家たちによるザルツブルク・ライヴ音源がORFEOレーベルから発売されるそうです(amazonでは発売日は2018/10/12となっています)。
録音は1974年で、マティス、ファスベンダー、シュライアー、ベリーがヴェルバ、シルハウスキーのピアノで、シューマンとブラームスの重唱曲を歌っています。
これは楽しみです。
全員集合したジャケット写真を見るだけでもわくわくしますね!
興味のある方はぜひ入手を検討されてみてはいかがでしょうか。

 こちら

シューマン(Schumann)/スペインの歌芝居 (Spanisches Liederspiel, Op. 74)

ブラームス(Brahms)/愛の歌-ワルツ(Liebeslieder-Walzer, Op. 57)

録音:1974年8月25日, Großes Festspielhaus, Salzburg (live)

エディト・マティス(Edith Mathis)(S)
ブリギッテ・ファスベンダー(Brigitte Fassbaender)(A)
ペーター・シュライアー(Peter Schreier)(T)
ヴァルター・ベリー(Walter Berry)(BS)
エリク・ヴェルバ(Erik Werba)(P)
パウル・シルハウスキー(Paul Schilhawsky)(P) (ブラームスのみ)

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エルナ・ベルガー&ヘルマン・プライ&ヴァイセンボルン(Berger, Prey & Weissenborn): ヴォルフ「イタリア歌曲集」(Wolf: Italienisches Liederbuch)全曲CD復活!

ヘルマン・プライの没後20年の今年(2018年)に記念盤が出ないのではと半ば諦めていたところに朗報です!
ソプラノのエルナ・ベルガーとピアニストのギュンター・ヴァイセンボルンと組んで1959年に録音されたヴォルフ「イタリア歌曲集」がCDでとうとう復活します。
ドイツのamazonではすでに購入できるようですが、日本のamazonのサイトには2018年8月24日現在まだ掲載されておらず、もうしばらく待たされそうです。
すぐに欲しい方は下記のドイツのamazonから購入可能ですし(ドイツからの送料はかかりますが)、待てるという方は日本のamazonのサイトに掲載されるのを待ってみてはいかがでしょうか。
 こちら

CDは2枚組で、CD1はヴォルフ「イタリア歌曲集」全46曲、CD2はシューマン「女の愛と生涯」、メンデルスゾーン2曲、レーヴェ2曲、ヴォルフ2曲、シューベルト3曲、グリーグ2曲、ブラームス「4つの厳粛な歌」が収録されているそうです。
CD2はシューマンとメンデルスゾーンがベルガーの歌唱で、他はプライの歌唱です(共演ピアニストはラウハイゼン、メルツァー等、曲により様々です)。
もちろん目玉はCD1のヴォルフ「イタリア歌曲集」全46曲です。
とびきりの名演にもかかわらず、今まで復活しなかったのは不思議です。
ソプラノのエルナ・ベルガーはもちろんチャーミングな歌唱を聞かせてくれますが、プライと組むと若干年齢差を感じさせる感はあります(プライより29歳年上です)。
ここでは若かりしヘルマン・プライの歌唱が本当に素晴らしいです。
かつて「詩と音楽 梅丘歌曲会館」さんのサイトにヴォルフ「イタリア歌曲集」全曲の記事を投稿した際に、様々な演奏家の録音を聞き比べたのですが、プライは他のどの男声歌手にも増して、この歌曲集のキャラクターにぴったりマッチしていました。
しかし、CD化されていなかった為、中古屋さんで購入したLPを毎回再生する手間がかかったのですが、その手間が報われるようなプライの溌剌とした名唱でした。
今回ようやくCD化されてこの名演がより広く知られることになればとても嬉しいことです。

上記のドイツのサイトで少しずつ試聴できるようになっているので、よろしければぜひサンプルを聴いてみてください。

Berger_prey_weissenborn_wolf


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(2018.12.2追記)

日本のamazonに上記のCDが掲載されていました。
 こちら


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グンドゥラ・ヤノヴィツ・ラスト・コンサート・ライヴ(チャールズ・スペンサー:ピアノ)(1999年9月16日)

グンドゥラ・ヤノヴィツ(1937年8月2日生まれ)の70歳の誕生日を記念して、昨年、彼女のラスト・ライブのCDがリリースされました。
ギリシャで催されたこのコンサート、なんでもマリア・カラスの記念も兼ねているのだとか。
実は私はまだ入手していないのですが、先日何の気なしにYouTubeを見ていたら、このCDの発売元からプロモーションビデオがアップされていました。
おそらく音源だけのダイジェストだろうと思っていたら、なんと映像付きで、ヤノヴィツが歌っている姿が映っているのです。
どうやらプロモーション用に簡単に撮影されたようで、全部で12分ほど撮影したものを編集して使ったとのことです。
これほど素晴らしい出来ならば全部撮影してほしかったところですが、部分的でも、彼女の最後のリートリサイタルの映像が見れるだけでも有難いと思うべきなのでしょう。

この映像で見る限り、引退間際の歌手とはとても思えないほどの充実した美声です。
まだおそらく殆ど衰えを見せていないまま舞台を去ったのだと思います。
舞台人としての厳しい自覚が、一見早過ぎる引退を決意させたのではないでしょうか。

今回のレパートリーは、決して多いとは言えない彼女のリートのスタジオ録音でも聞けるものが多く含まれている一方で、おそらく一度もスタジオ録音を残さなかったシューマンが5曲も含まれているのが、ファンには嬉しいところです。
『冬の旅』を録音しなかった彼女の「ぼだいじゅ」がここで聞けるのも嬉しいです。

私が唯一彼女のライブを聞いたのは、神奈川県立音楽堂で催された歌曲の夕べで、小林道夫さんのピアノで、前半はブラームス、後半はヴォルフが歌われました。
全曲が彼女のレコーディングしていないレパートリーでした。
第一声を聞いて、あまりの声の美しさに驚嘆したことが昨日のことのように思い出されます。
もちろんレコードを通じて、その気品のある歌唱を知ってはいたものの、ここまで芯のあるぶれない美声だとは想像していなかったのです。

今回の動画を見ていても、落ち着いた気品に満ちた彼女の美声は堪能できます。
まだまだ現役として通用するほどの素晴らしい歌唱がここで披露されています。

共演のピアニストはイギリスのベテラン、チャールズ・スペンサー。
ヤノヴィツ晩年のシューベルト歌曲集の録音でも共演した名コンビです。

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録音:1999年9月16日, Herodes Atticus Odeon, Athens, Greece

グンドゥラ・ヤノヴィツ(Gundula Janowitz) (S)
チャールズ・スペンサー(Charles Spencer) (P)

シューベルト:ギリシャの神々 D 677
シューベルト:イーピゲネイア D 573
シューベルト:竪琴に寄せて D 737
シューベルト:エレンの歌Ⅰ D 837
シューベルト:漁師の歌 D 881
シューベルト:流れ D 693
シューベルト:夕映えの中で D 799
シューベルト:ぼだいじゅ D 911-5
シューベルト:緑野の歌 D 917

シューマン:ズライカの歌 Op. 25-9
シューマン:松雪草 Op. 79-26
シューマン:はすの花 Op. 25-7
シューマン:私のばら Op. 90-2
シューマン:くるみの木 Op. 25-3

リヒャルト・シュトラウス:薔薇のリボン Op. 36-1
リヒャルト・シュトラウス:万霊節 Op. 10-8
リヒャルト・シュトラウス:明日! Op. 27-4
リヒャルト・シュトラウス:夜の散歩 Op. 29-3
リヒャルト・シュトラウス:解き放たれて Op. 39-4

シューベルト:ます D 550

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「エディト・マティスの芸術(The Art of Edith Mathis)」発売情報(Deutsche Grammophon, 7CDs)

1963年にベルリン・ドイツ・オペラの一員として初来日を果たし、その時のケルビーノは語り草になるほどだった名ソプラノのエディト・マティスが、今年の2月11日で80歳を迎えます(生年は諸説ありますが、1938年説が一般に信じられています)。
その彼女を称えて、Deutsche Grammophonレーベルに残した数々の録音の中から厳選された選曲で7枚組のCDが発売されるそうです。

彼女のレパートリーの幅広さは膨大で、オペラや宗教曲、声楽曲に彼女が参加した録音の多さはただただ驚くばかりです。
さらに嬉しいことに彼女は歌曲も沢山歌ってくれています。

今回の選集では、前半に宗教曲、中盤にオペラからの抜粋、後半に歌曲が収められています。
歌曲に関しては、名高いシューマンの女性用歌曲集(エッシェンバッハのピアノ)がまとめて収められているのが貴重でしょう(国内盤ではF=ディースカウの録音とまとめてかつて発売されていましたが、海外盤では一部を除いて初出ではないでしょうか)。
そして、ご主人のクレーのピアノによるモーツァルト歌曲から数曲、ブラームスの網羅的な全集からの抜粋などもありますが、ここで私が最も注目したいのは、ヴォルフの「イタリア歌曲集」からの抜粋が収められていることです。
おそらく正規盤としてはこれらのCD復活は初めてではないでしょうか。
ただ残念なことにマティスの歌った曲が全部収録されているわけではなく、オペラティックな情熱が聞きものの"Verschling' der Abgrund meines Liebsten Hütte(深淵が恋人の小屋を飲み込んでしまえ)"などを含む数曲が省かれています。
レコード・アカデミー賞も受賞した名盤で、テノールのシュライアーやピアノのエンゲルも見事なので、ぜひとも全曲の復活を期待したいところです。

今回の選集の曲目詳細は下記のサイトをご覧ください。
 こちら

マティスさん、80歳おめでとうございます!

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東京芸術劇場シリーズ~ペーター・シュライヤー1996年10月16日リーダー・アーベント(ピアノ:ヘルムート・ドイチュ)のCD化

1996年10月16日に東京芸術劇場で催されたテノールのペーター・シュライヤー(Peter Schreier)とピアニストのヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch)によるリーダーアーベントがCD化されたようです。
東京芸術劇場は以前にもF=ディースカウの最後の来日公演(1992年)を2公演ともCD化して歌曲ファンを驚かせてくれましたが、今回のシュライアーの録音もまさか復活するとは思っていなかっただけに、望外の贈り物です。
そもそも東京芸術劇場がこれらの演奏を独自に録音して保管していたということすら想定していなかったのですが、今後も東京芸術劇場で催されたコンサートが復刻されるのではないかと期待してしまいます。
シュライアーはこの公演で、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、メンデルスゾーンの有名な作品を歌い、さらに後半ではシューマンの「詩人の恋」を歌っています。
一晩のリーダーアーベントとしては相当なボリュームであり、演奏者も気力体力を持続させるのが大変ではないかと思われます。

実はこの日のコンサート会場に私もいました。
シュライアーとドイチュの組み合わせは、スタジオ録音では私の知る限り皆無だったはずで、来日を知った時に伴奏者がドイチュということを知って珍しいなと思ったことを今でも覚えています(当時シュライアーの来日公演はヴァルター・オルベルツが同行することが多かったので)。ただ海外ではこのコンビで演奏することもあったようです(ドイチュの著書に少しシュライアーのことが触れられています)。

曲目などの詳細はこちら

私も入手したらじっくり聞いてみようと思います。

スタジオ録音とは違った臨場感なども味わえるのではないかと期待しています。
興味のある方はお聞きになってみて下さい。

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