エリー・アーメリング/バッハ・エディション&フィリップス・リサイタル(Elly Ameling: Bach Edition; The Philips Recitals)

エリー・アーメリング(Elly Ameling)の90歳を記念したバッハ・エディション(3月下旬以降発売予定)とフィリップス・リサイタル(4月下旬以降発売予定)の情報が国内各CDショップに掲載されました。購入を考えておられる方は、各社比較して検討されることをお勧めいたします。
Amazon以外は、曲目の日本語詳細が掲載されていますので、ぜひご覧ください。初CD化の作品が多数含まれていますので個人的にこれは見逃せません(特に「ドイツ・ロマン派歌曲集」とシューマン「子供のためのリートアルバム」、ブラームス「歌曲集」のB面曲、「アフターアワーズ」はそれぞれ一部の曲を除き待望の初復活です!)。
フィリップス・リサイタルの[CD 11]は、8曲目までがアーメリング&ボールドウィンで、9曲目以降がヘルマン・プライ&カール・エンゲルです(「シューベルト:ゲーテ歌曲集」として発売されたLPをそのまま収録したものと思われます。HMVのサイトは正しく表記されています)。
なお、下記の値段や発売日は2023.3.18現在の情報を記載していますので、最新の情報はリンク先をご確認ください。

●エリー・アーメリング/バッハ・エディション
Elly Ameling: Bach Edition

Amazon.co.jp
発売予定日:2023年3月31日(4月 11-13日にお届け)
¥16,996 税込

HMV
2023年03月31日 発売予定
価格(税込):¥13,970
会員価格(税込):¥10,990
まとめ買い価格(税込):¥10,338

Tower Records
発売日 2023年03月下旬(発売日以降のお届け)
¥ 11,126(税込)

Disk Union
発売日 2023年03月25日
13,200円(税込)

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 1

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 2

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 3

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 4

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 5

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 6

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 7

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 8

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 9

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 10

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 11

ELLY AMELING - BACH EDITION SAMPLER 12

ELLY AMELING IN HER OWN WORDS: アーメリング自身の言葉(バッハについて)

●エリー・アーメリング/フィリップス・リサイタル
Elly Ameling: The Philips Recitals

ELLY AMELING - THE PHILIPS RECITALS SAMPLER 1

ELLY AMELING - THE PHILIPS RECITALS SAMPLER 2

ELLY AMELING - THE PHILIPS RECITALS SAMPLER 3

ELLY AMELING - THE PHILIPS RECITALS SAMPLER 4

ELLY AMELING - THE PHILIPS RECITALS SAMPLER 5

Amazon.co.jp
発売予定日2023年4月28日(5月 9-11日にお届け)
¥21,833 税込

HMV
2023年04月30日 発売予定
価格(税込):¥18,920
会員価格(税込):¥15,290
まとめ買い価格(税込):¥14,190

Tower Records
発売日 2023年04月下旬(発売日以降のお届け)
¥ 15,376(税込)

Disk Union
発売日 2023年04月27日
18,205円(税込)

Elly Ameling with her Two Eloquence Box Sets

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【朗報】アーメリングのPhilipsリサイタル盤、Decca・Philipsのバッハ録音盤の2種類のボックス2023年に発売!

アーメリングファンの皆様、朗報です!
コメント欄でjunさんに教えていただいた情報をシェアいたします。junさん、有難うございます!

なんとエリー・アーメリング(Elly Ameling)の90歳を記念して、2023年にオーストラリアのELOQUENCEレーベルから、彼女の過去の録音をまとめたボックスが2つリリースされるそうです。
1つはPhilipsに録音したリサイタル盤のボックス、もう1つはDeccaとPhilipsのバッハ録音に参加したもののボックスだそうです。

ELOQUENCEレーベルは彼女に限らず、眠ったままになっている音源の発掘を積極的に行っているのですが、まさかこのレーベルからアーメリング全集をリリースしてもらえるとは正直想像していませんでした。

調べたところこちらに情報が出ていますが、詳細はこれから出てくると思います。
来年の楽しみが出来ました!

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(2023年2月8日追記→アーメリングの90歳の誕生日です)

junさんから続報のシェアがありました。いつも有難うございます!

こちらのリンク先に、3月(バッハ)と4月(リサイタル)にリリース予定のCDボックスの写真がアップされています。バッハのボックスの写真は初めて見ました。楽しみですが、高価そうですね...

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(2023年2月26日追記)

3月に発売されるアーメリングのバッハ・エディションについて、Tower RecordsとHMVに詳細が出ていました。

エリー・アメリング90歳記念『バッハ・エディション』(20枚組)<限定盤>

Tower Records

HMV

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(2023年2月27日追記)

Elly Ameling – The Philips Recitals

Eloquenceレーベルのサイトに4月に発売予定の29枚組のフィリップス・リサイタルが掲載されていました。
Track listingの行をクリックすると、各CDのおおまかな内容が表示されます。
最後のCD(29枚目)に
Mozart · Thomas · Verdi
Schubert · Grieg · Mahler
Halina Łukomska · Edna Graham
Hein Jordans · Kurt Masur · Edo de Waart · Bernard Haitink
と記載されています。
トマやヴェルディはおそらくオペラアリアと思われますが、SandmanさんのElly Ameling Discographyにもトマの項目はないので初出音源、もしくはオランダ限定で発売された音源なのかもしれませんね。
曲目詳細の発表が待ち遠しいです。→(2023年3月4日追記:トマとヴェルディはアーメリングと同じ年にセルトーヘンボスのコンクールで上位入賞したハリナ・ルコムスカとエドナ・グレアムがそれぞれ歌っているようです。アーメリングはモーツァルトの"Laudate Dominum"KV 321-5を歌っています)

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ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau)のDeutsche Grammophon全歌曲録音発売予定

2012年5月に86歳で亡くなったディートリヒ・フィッシャー=ディースカウがDeutsche Grammophonに録音した全歌曲集成が2022年10月末にドイツで発売されるそうです(106枚組)。PhilipsやDeccaの録音も含まれるそうで、「冬の旅」は4種類が収録されることになるとのことです(デームス、ムーア、バレンボイム、ブレンデルのピアノ)。

ソース(jpc)

フィッシャー=ディースカウほどの著名なリート歌手でも没後10年経たないと全集が発売されないというのは寂しいところではありますが、CDが売れない時代でレコード会社もいろいろ大変なのでしょう。ようやく待望の録音がまとめて復活されることを素直に喜びたいと思います。かなり高価なのがちょっと痛いですが...

(2022/5/19追記)
Dietrich Fischer-Dieskau - Complete Lieder (Trailer)

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クリスティアン・ゲルハーエル&ゲロルト・フーバー/シューマン歌曲全集スタート

現代屈指の名バリトン、クリスティアン・ゲルハーエル(Christian Gerhaher)と名伴奏ピアニストのゲロルト・フーバー(Gerold Huber)がシューマン歌曲全集に取り組むそうです。

その第1巻が間もなく発売予定です。

 こちら

彼が一人で全部歌うことになるのか、もしそうならば「女の愛と生涯」を含む女声用歌曲も彼が歌うことになるのか、興味は尽きません。

完成時(2020年予定)には10枚組のボックスになる予定とのことですから、それを待つのもいいかもしれませんね。

フィッシャー=ディースカウでさえ全曲は歌わなかったので、ゲルハーエルが師匠を超える日は遠くないのかもしれません。

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マティス、ファスベンダーらによる重唱曲集発売(ORFEOレーベル: 1974年8月25日ザルツブルク音楽祭ライヴ)

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超豪華なリート演奏家たちによるザルツブルク・ライヴ音源がORFEOレーベルから発売されるそうです(amazonでは発売日は2018/10/12となっています)。
録音は1974年で、マティス、ファスベンダー、シュライアー、ベリーがヴェルバ、シルハウスキーのピアノで、シューマンとブラームスの重唱曲を歌っています。
これは楽しみです。
全員集合したジャケット写真を見るだけでもわくわくしますね!
興味のある方はぜひ入手を検討されてみてはいかがでしょうか。

 こちら

シューマン(Schumann)/スペインの歌芝居 (Spanisches Liederspiel, Op. 74)

ブラームス(Brahms)/愛の歌-ワルツ(Liebeslieder-Walzer, Op. 57)

録音:1974年8月25日, Großes Festspielhaus, Salzburg (live)

エディト・マティス(Edith Mathis)(S)
ブリギッテ・ファスベンダー(Brigitte Fassbaender)(A)
ペーター・シュライアー(Peter Schreier)(T)
ヴァルター・ベリー(Walter Berry)(BS)
エリク・ヴェルバ(Erik Werba)(P)
パウル・シルハウスキー(Paul Schilhawsky)(P) (ブラームスのみ)

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エルナ・ベルガー&ヘルマン・プライ&ヴァイセンボルン(Berger, Prey & Weissenborn): ヴォルフ「イタリア歌曲集」(Wolf: Italienisches Liederbuch)全曲CD復活!

ヘルマン・プライの没後20年の今年(2018年)に記念盤が出ないのではと半ば諦めていたところに朗報です!
ソプラノのエルナ・ベルガーとピアニストのギュンター・ヴァイセンボルンと組んで1959年に録音されたヴォルフ「イタリア歌曲集」がCDでとうとう復活します。
ドイツのamazonではすでに購入できるようですが、日本のamazonのサイトには2018年8月24日現在まだ掲載されておらず、もうしばらく待たされそうです。
すぐに欲しい方は下記のドイツのamazonから購入可能ですし(ドイツからの送料はかかりますが)、待てるという方は日本のamazonのサイトに掲載されるのを待ってみてはいかがでしょうか。
 こちら

CDは2枚組で、CD1はヴォルフ「イタリア歌曲集」全46曲、CD2はシューマン「女の愛と生涯」、メンデルスゾーン2曲、レーヴェ2曲、ヴォルフ2曲、シューベルト3曲、グリーグ2曲、ブラームス「4つの厳粛な歌」が収録されているそうです。
CD2はシューマンとメンデルスゾーンがベルガーの歌唱で、他はプライの歌唱です(共演ピアニストはラウハイゼン、メルツァー等、曲により様々です)。
もちろん目玉はCD1のヴォルフ「イタリア歌曲集」全46曲です。
とびきりの名演にもかかわらず、今まで復活しなかったのは不思議です。
ソプラノのエルナ・ベルガーはもちろんチャーミングな歌唱を聞かせてくれますが、プライと組むと若干年齢差を感じさせる感はあります(プライより29歳年上です)。
ここでは若かりしヘルマン・プライの歌唱が本当に素晴らしいです。
かつて「詩と音楽 梅丘歌曲会館」さんのサイトにヴォルフ「イタリア歌曲集」全曲の記事を投稿した際に、様々な演奏家の録音を聞き比べたのですが、プライは他のどの男声歌手にも増して、この歌曲集のキャラクターにぴったりマッチしていました。
しかし、CD化されていなかった為、中古屋さんで購入したLPを毎回再生する手間がかかったのですが、その手間が報われるようなプライの溌剌とした名唱でした。
今回ようやくCD化されてこの名演がより広く知られることになればとても嬉しいことです。

上記のドイツのサイトで少しずつ試聴できるようになっているので、よろしければぜひサンプルを聴いてみてください。

Berger_prey_weissenborn_wolf


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(2018.12.2追記)

日本のamazonに上記のCDが掲載されていました。
 こちら


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グンドゥラ・ヤノヴィツ・ラスト・コンサート・ライヴ(チャールズ・スペンサー:ピアノ)(1999年9月16日)

グンドゥラ・ヤノヴィツ(1937年8月2日生まれ)の70歳の誕生日を記念して、昨年、彼女のラスト・ライブのCDがリリースされました。
ギリシャで催されたこのコンサート、なんでもマリア・カラスの記念も兼ねているのだとか。
実は私はまだ入手していないのですが、先日何の気なしにYouTubeを見ていたら、このCDの発売元からプロモーションビデオがアップされていました。
おそらく音源だけのダイジェストだろうと思っていたら、なんと映像付きで、ヤノヴィツが歌っている姿が映っているのです。
どうやらプロモーション用に簡単に撮影されたようで、全部で12分ほど撮影したものを編集して使ったとのことです。
これほど素晴らしい出来ならば全部撮影してほしかったところですが、部分的でも、彼女の最後のリートリサイタルの映像が見れるだけでも有難いと思うべきなのでしょう。

この映像で見る限り、引退間際の歌手とはとても思えないほどの充実した美声です。
まだおそらく殆ど衰えを見せていないまま舞台を去ったのだと思います。
舞台人としての厳しい自覚が、一見早過ぎる引退を決意させたのではないでしょうか。

今回のレパートリーは、決して多いとは言えない彼女のリートのスタジオ録音でも聞けるものが多く含まれている一方で、おそらく一度もスタジオ録音を残さなかったシューマンが5曲も含まれているのが、ファンには嬉しいところです。
『冬の旅』を録音しなかった彼女の「ぼだいじゅ」がここで聞けるのも嬉しいです。

私が唯一彼女のライブを聞いたのは、神奈川県立音楽堂で催された歌曲の夕べで、小林道夫さんのピアノで、前半はブラームス、後半はヴォルフが歌われました。
全曲が彼女のレコーディングしていないレパートリーでした。
第一声を聞いて、あまりの声の美しさに驚嘆したことが昨日のことのように思い出されます。
もちろんレコードを通じて、その気品のある歌唱を知ってはいたものの、ここまで芯のあるぶれない美声だとは想像していなかったのです。

今回の動画を見ていても、落ち着いた気品に満ちた彼女の美声は堪能できます。
まだまだ現役として通用するほどの素晴らしい歌唱がここで披露されています。

共演のピアニストはイギリスのベテラン、チャールズ・スペンサー。
ヤノヴィツ晩年のシューベルト歌曲集の録音でも共演した名コンビです。

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録音:1999年9月16日, Herodes Atticus Odeon, Athens, Greece

グンドゥラ・ヤノヴィツ(Gundula Janowitz) (S)
チャールズ・スペンサー(Charles Spencer) (P)

シューベルト:ギリシャの神々 D 677
シューベルト:イーピゲネイア D 573
シューベルト:竪琴に寄せて D 737
シューベルト:エレンの歌Ⅰ D 837
シューベルト:漁師の歌 D 881
シューベルト:流れ D 693
シューベルト:夕映えの中で D 799
シューベルト:ぼだいじゅ D 911-5
シューベルト:緑野の歌 D 917

シューマン:ズライカの歌 Op. 25-9
シューマン:松雪草 Op. 79-26
シューマン:はすの花 Op. 25-7
シューマン:私のばら Op. 90-2
シューマン:くるみの木 Op. 25-3

リヒャルト・シュトラウス:薔薇のリボン Op. 36-1
リヒャルト・シュトラウス:万霊節 Op. 10-8
リヒャルト・シュトラウス:明日! Op. 27-4
リヒャルト・シュトラウス:夜の散歩 Op. 29-3
リヒャルト・シュトラウス:解き放たれて Op. 39-4

シューベルト:ます D 550

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「エディト・マティスの芸術(The Art of Edith Mathis)」発売情報(Deutsche Grammophon, 7CDs)

1963年にベルリン・ドイツ・オペラの一員として初来日を果たし、その時のケルビーノは語り草になるほどだった名ソプラノのエディト・マティスが、今年の2月11日で80歳を迎えます(生年は諸説ありますが、1938年説が一般に信じられています)。
その彼女を称えて、Deutsche Grammophonレーベルに残した数々の録音の中から厳選された選曲で7枚組のCDが発売されるそうです。

彼女のレパートリーの幅広さは膨大で、オペラや宗教曲、声楽曲に彼女が参加した録音の多さはただただ驚くばかりです。
さらに嬉しいことに彼女は歌曲も沢山歌ってくれています。

今回の選集では、前半に宗教曲、中盤にオペラからの抜粋、後半に歌曲が収められています。
歌曲に関しては、名高いシューマンの女性用歌曲集(エッシェンバッハのピアノ)がまとめて収められているのが貴重でしょう(国内盤ではF=ディースカウの録音とまとめてかつて発売されていましたが、海外盤では一部を除いて初出ではないでしょうか)。
そして、ご主人のクレーのピアノによるモーツァルト歌曲から数曲、ブラームスの網羅的な全集からの抜粋などもありますが、ここで私が最も注目したいのは、ヴォルフの「イタリア歌曲集」からの抜粋が収められていることです。
おそらく正規盤としてはこれらのCD復活は初めてではないでしょうか。
ただ残念なことにマティスの歌った曲が全部収録されているわけではなく、オペラティックな情熱が聞きものの"Verschling' der Abgrund meines Liebsten Hütte(深淵が恋人の小屋を飲み込んでしまえ)"などを含む数曲が省かれています。
レコード・アカデミー賞も受賞した名盤で、テノールのシュライアーやピアノのエンゲルも見事なので、ぜひとも全曲の復活を期待したいところです。

今回の選集の曲目詳細は下記のサイトをご覧ください。
 こちら

マティスさん、80歳おめでとうございます!

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東京芸術劇場シリーズ~ペーター・シュライヤー1996年10月16日リーダー・アーベント(ピアノ:ヘルムート・ドイチュ)のCD化

1996年10月16日に東京芸術劇場で催されたテノールのペーター・シュライヤー(Peter Schreier)とピアニストのヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch)によるリーダーアーベントがCD化されたようです。
東京芸術劇場は以前にもF=ディースカウの最後の来日公演(1992年)を2公演ともCD化して歌曲ファンを驚かせてくれましたが、今回のシュライアーの録音もまさか復活するとは思っていなかっただけに、望外の贈り物です。
そもそも東京芸術劇場がこれらの演奏を独自に録音して保管していたということすら想定していなかったのですが、今後も東京芸術劇場で催されたコンサートが復刻されるのではないかと期待してしまいます。
シュライアーはこの公演で、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、メンデルスゾーンの有名な作品を歌い、さらに後半ではシューマンの「詩人の恋」を歌っています。
一晩のリーダーアーベントとしては相当なボリュームであり、演奏者も気力体力を持続させるのが大変ではないかと思われます。

実はこの日のコンサート会場に私もいました。
シュライアーとドイチュの組み合わせは、スタジオ録音では私の知る限り皆無だったはずで、来日を知った時に伴奏者がドイチュということを知って珍しいなと思ったことを今でも覚えています(当時シュライアーの来日公演はヴァルター・オルベルツが同行することが多かったので)。ただ海外ではこのコンビで演奏することもあったようです(ドイチュの著書に少しシュライアーのことが触れられています)。

曲目などの詳細はこちら

私も入手したらじっくり聞いてみようと思います。

スタジオ録音とは違った臨場感なども味わえるのではないかと期待しています。
興味のある方はお聞きになってみて下さい。

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トーマス・ハンプソン&アムステルダム・シンフォニエッタ/Tides of Life: 弦楽オーケストラ伴奏による歌曲集

Tides of Life(タイズ・オヴ・ライフ)

Tides_of_life


CHANNEL CLASSICS: CCS 38917

Recording: 22 September 2015 (Wolf, Schubert), 14 & 15 April 2016 (Brahms, Barber), TivoliVredenburg, Utrecht

Thomas Hampson(トーマス・ハンプソン)(BR) (1-8, 10-14)

Netherlands Female Youth Choir(オランダ・ユース女声合唱団) (8)
Wilma ten Wolde(ヴィルマ・テン・ヴォルデ)(Choirmaster) (8)

Amsterdam Sinfonietta(アムステルダム・シンフォニエッタ)
Candida Thompson(カンディダ・トンプソン)(VLN, artistic director)

1. Wolf(ヴォルフ): Auf einer Wanderung(旅先で)(Arr. David Matthews)
2. Wolf: Fussreise(散歩)(Arr. David Matthews)
3. Schubert(シューベルト): An die Leier(竪琴に), D.737 (Arr. David Matthews)
4. Schubert: Memnon(メムノン), D.541 (Arr. David Matthews)
5. Wolf: Anakreons Grab(アナクレオンの墓)(Arr. David Matthews)
6. Wolf: Der Rattenfänger(ねずみ取りの男)(Arr. David Matthews)
7. Schubert: Geheimes(ひめごと), D.719 (Arr. David Matthews)
8. Schubert: Ständchen(セレナーデ), D920 (Arr. Bob Zimmerman)
9. Wolf: Italienische Serenade(イタリア・セレナーデ)
10. Brahms(ブラームス): Vier ernste Gesänge(四つの厳粛な歌), Op. 121: No. 1, Denn es gehet dem Menschen(人の子らに臨むところは獣にも臨むからである)(Arr. David Matthews)
11. Brahms: Vier ernste Gesänge, Op. 121: No. 2, Ich wandte mich und sahe(わたしはまた、日の下に行われるすべてのしえたげを見た)(Arr. David Matthews)
12. Brahms: Vier ernste Gesänge, Op. 121: No. 3, O Tod, wie bitter bist du!(ああ死よ、おまえを思い出すのはなんとつらいことか)(Arr. David Matthews)
13. Brahms: Vier ernste Gesänge, Op. 121: No. 4, Wenn ich mit Menschen und mit Engelszungen redete(たといわたしが、人々の言葉や御使たちの言葉を語っても)(Arr. David Matthews)
14. Barber(バーバー): Dover Beach(ドーヴァー・ビーチ), Op. 3

※上記の邦訳は原則として付属の日本語帯に従いましたが、数か所私が変更したり、インターネットを参照したところもあります。

※amazonのサイトはこちら

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アメリカを代表する名バリトン、トーマス・ハンプソンによる歌曲の新譜が出たので、早速聴いてみました。
1955年6月生まれとのことなので、この録音時すでに60歳になっていたことになります。
共演はカンディダ・トンプソン率いるアムステルダム・シンフォニエッタです。

このCDではシューベルト、ブラームス、ヴォルフ、サミュエル・バーバーの歌曲が集められていますが、おまけとしてヴォルフのよく知られた弦楽合奏曲「イタリア・セレナーデ」も収録されています。
その「イタリア・セレナーデ」とバーバーによる弦楽合奏伴奏歌曲「ドーヴァー・ビーチ」がオリジナルなのを除いて、他の曲はすべて別の人が弦楽合奏用にアレンジしています。
最近ピアノパートを他の楽器群に置き換えてアレンジするのが流行りのようで、それ自体は様々な可能性や新たな魅力を付与するという意味で意義深いことだと思っています。
ただ、あまりにもピアノ伴奏の歌曲が好き過ぎる私は、これまで他の楽器群に編曲した試みをあまり積極的には聴いてこなかったことも率直に申し上げます。
しかし、結論から言ってこのCDは先入観を覆すに足る見事さで、とても素晴らしかったです。
まず弦楽合奏の編曲が原曲を崩さず、ピアノだとどうしてもポツリポツリと音が減衰してしまう箇所が弦楽器によって真のレガートになっているのが特に美しく感動的でした。

ヴォルフのメーリケの詩による「旅先で」は、途中で旅のさなかの光景に酔いしれ感極まる箇所があるのですが、そこの弦の恍惚感は、弦楽合奏だからこそ実現できたものだと深く胸に響きました。
続くヴォルフの「散歩」では爽やかな朝の散歩に人生の喜びを感じる内容が弦楽合奏の歯切れのいいリズムに合っています。
シューベルトの「竪琴に」は、弦楽器が歌のない箇所のメロディーを朗々と奏でるのが何とも美しく響き、これは聴きものの一つです。
ヴォルフのゲーテの詩による名作「アナクレオンの墓」はただでさえ美しいピアノ伴奏を弦楽合奏のレガートに置き換えたことにより、このうえない感動的な響きとなっていました。
続く「ねずみ取りの男」は完全なるスケルツォで、歌手も弦楽合奏も慌ただしくて大変だと思うのですが、実に鋭利な切れ味で楽しい演奏でした。
グリルパルツァーの詩によるシューベルトの合唱付き歌曲「セレナーデ」は、オリジナルのピアノパートが細かく分散和音を刻むので、もともと弦楽合奏に向いているのでしょう。
とても自然な編曲だと感じました。
合唱団も美しく独唱に呼応していました。
ブラームスの「四つの厳粛な歌」は確かに重く深刻なのですが、ピアノのようなアタックの強さの代わりに包み込むような響きの魅力が増し、救いや癒しという要素も感じられ、ハンプソンの歌唱もその方向に沿った歌を聞かせてくれます。

アメリカの作曲家バーバーの「ドーヴァー・ビーチ」は、このCDのタイトル「Tides of Life(人生の潮流という感じでしょうか)」のきっかけとなったものと想像されますが、テキストは人生の栄枯盛衰を悲観的に歌っています。
詩と対訳を「詩と音楽」さんで御覧ください。

 こちら

最後の詩句など、現代においてもいささかも変わらない状況のようにすら思えますし、ハンプソンたちが、この作品を今選んだことにも意図があるように思えてなりません。

ハンプソンは円熟のさ中にあり、どのフレーズにしても完全に血肉にした表現が聴けるので、作品の美しさが素直に感じられるのが素晴らしいです。
往年の声のつややかさの代わりに包容力が増して、味わい深い成熟した歌が聴けるのがなんとも嬉しいです。
ドイツ語の語りかけなど、今が旬のネイティヴの歌手たちと比べていささかの遜色がないばかりか、むしろ極限に洗練された発音のように感じられたほどです。
声には温かみが加わり、テキストの細やかな表現に真実味が感じられます。
この境地に達したハンプソンに敬意を払うのと同時に、ドイツの文化に根付いた芸術であるリートが他国の歌手によってこれほどまでにネイティヴの歌手と肩を並べるほどの充実を示しているのは本当に凄いことなのではないでしょうか。

アムステルダム・シンフォニエッタはオリジナル作品でない難しさを感じさせない非常に美しい演奏を聴かせてくれます。
ハンプソンの歌と実に見事に溶け合って、停滞することなく、よく歌う演奏でした。

以下のサイトで少しずつ試聴が出来ますので、興味のある方はぜひお聴き下さい。

 こちら

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歌曲を扱ったサイトの草分け的存在であり、Schubertiadeのレポートやシューベルトの「冬の旅」「美しき水車小屋の娘」の聞き比べなど、とても充実した内容のWebサイト「LIEDERKREIS」の共同管理人のお一人であった奥様の龍田靖子様が昨年お亡くなりになりました。

私が知ったのもつい最近のことでした為、こちらに触れさせていただくのが今になりました。
ただただ驚いて言葉になりません。
そして二人三脚でサイトを作り上げてこられたご主人英世様のお気持ちを思うと何と申しあげてよいものか思い浮かびません。

靖子様とは昔ハンプソンの掲示板に書き込んでやり取りをさせていただいたことはあったかと記憶していますが、直接やり取りさせていただく機会は残念ながらございませんでした。
しかし、「LIEDERKREIS」のサイトでは、リート・ファンの私たちが知りたいと思うことを情熱をもって取り上げて下さり、特にオーストリアのシューベルティアーデに毎年お出かけになり、詳細なレポートを書かれていたのを拝見するのがいつも楽しみでした。
コンサートだけでなく、旅行の道中での様々な出来事なども書いて下さり、海外へコンサートに行こうと思っておられる方々にとっても大きな道しるべとなられたことと思います。

そして、靖子様といえば、トーマス・ハンプソンです。
ハンプソンの歌を求めて国内、海外を問わず精力的に回られたのは、本当に素晴らしいことと思います。
これほど限りない愛情を注がれたハンプソンは本当に幸せな歌手だったのではないでしょうか。
昨年7月のシューベルティアーデでは、ハンプソンのコンサートとマスタークラスのチケットをとられ、楽しみにされていたそうですが、お聴きになれず、さぞかし無念だったこととお察しいたします。

歌曲ファンの端くれとして、心からご冥福をお祈り申し上げます。
そして、今回のこの駄文を靖子様に捧げさせていただきたいと存じます。
天上にハンプソンのこの新しい録音が届きますように。
どうぞ安らかにお休み下さい。

                                  フランツ

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