ヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch)の自伝 "Gesang auf Händen tragen: Mein Leben als Liedbegleiter"

かつて鮫島有美子さんと日本歌曲の膨大なアンソロジーを録音し、ヘルマン・プライとは来日公演や録音でしばしば共演を重ねてきた
名歌曲ピアニストのヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch)がドイツで自伝を出版しました。
彼は以前日本の出版社の依頼で音楽雑誌に伴奏者としてのエッセーを連載し(訳はもちろん鮫島さん)、後にそれを一冊の本(『伴奏の芸術 ドイツリートの魅力』)にまとめたことがありました。
その時に、ジェラルド・ムーア以来久しぶりに伴奏の極意を論じ、共演した歌手たちのエピソードも織り交ぜて肩のこらない文体でリートファンを楽しませてくれたものでした。

それから年月が流れ、ドイチュは今やヨーロッパで最も活躍している歌曲ピアニストとして認識されています。
1945年12月生まれとのことですので、2019年6月現在ですでに73歳です。
ジェラルド・ムーアは67歳でコンサートから引退しました。
ドイチュはまだまだ現役ですが、あまりにも盛んに活動しているので70代になっていたとは全く気づきませんでした。

今年出版した彼の自伝のタイトルは"Gesang auf Händen tragen: Mein Leben als Liedbegleiter"です。
訳してみると『歌を両手で届けて:歌曲伴奏者としてのわが生涯』という感じでしょうか。

 こちら

先日amazonで注文した本が届き、ぱらぱらとめくってみました。223頁からなるずっしりとした本です。
目次を見ると、彼の共演者たちの名前がそれぞれの章の見出しになっています。

序文はなんとアルフレート・ブレンデル(Alfred Brendel)!
見出しを日本語に訳してみます。

・アルフレート・ブレンデルの序文
・プロローグ
・ヘルマン・プライ。最初のコンサート
・「...そして至福の夢を見る」日本
・「我々はなんて夢のような仕事に就いたんだ!」ヘルマン・プライとの数年間
・カラヤンでさえ笑わずにはいられない。青少年時代
・適切なパートナー関係。歌曲伴奏者としての最初の数年間
・ヘルマン・プライ。冬の旅とちょっとしたお話
・鮫島有美子
・ヨーゼフ・プロチュカ
・オーラフ・ベーア
・ブリギッテ・ファスベンダー
・練習
・歌手との仕事
・ボー・スコウフス
・ベルント・ヴァイクル
・ペーター・シュライアー
・トーマス・クヴァストフ
・授業
・ユリアーネ・バンゼ
・ディートリヒ・ヘンシェル
・ヨナス・カウフマン
・シュテファニー・イラーニ
・マウロ・ペーター
・クラヴィーア(Klavier)とフリューゲル(Flügel)について
・コンサートの当日
・コンサート
・譜めくり
・コンサート終了後
・バーバラ・ボニー
・アンゲリカ・キルヒシュラーガー
・プログラム
・アンドレアス・シュミット
・レコーディング
・グレイス・バンブリー
・マティアス・ゲルネ
・評論
・作品への忠誠と自由
・ミヒャエル・フォレ
・ディアナ・ダムラウ
・コンクール
・ピョートル・ベチャワ
・カミラ・ニルンド
・歌手と伴奏者
・リーダーアーベント(歌曲の夕べ)。過去と将来
・エピローグ
・共演した歌手たち
・謝辞

・生い立ち
・ディスコグラフィー(抜粋)
・人名索引
・写真の出典
・文献

途中で16頁にも及ぶ歌手たちとの貴重な写真があり、ヘルムート・ドイチュの人望が伺えます。
中には1965年ザルツブルクでのカラヤン、ヤノヴィッツとのハイドン「天地創造」のリハーサル写真まであります。

共演した歌手たちの膨大なリストは、現役の殆どのリート歌手たちから引く手あまただったことが分かります。

ドイツ語の書籍なので、簡単には読み進められませんが、時間を見つけて少しずつつまみ読みしたいと思います。

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ダムラウ&カウフマン&ドイチュ/ヴォルフ「イタリア歌曲集」CDリリース予定

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世界中のオペラハウスで大活躍している二人の歌手ディアナ・ダムラウ(Diana Damrau)(S)とヨナス・カウフマン(Jonas Kaufmann)(T)が、ヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch)のピアノでヴォルフ「イタリア歌曲集(Italienisches Liederbuch)」のCDを録音したそうです。
ヨーロッパ各地でのコンサートツアー中のライヴ収録らしいです(2018年2月18日録音)。
HMVの情報ですと、来年(2019年)1月半ば頃には入手できるようです。

 こちら

彼らは日本でも人気者ですから、いずれ国内盤も出るかもしれませんが、ヴォルフの歌曲というのはあまりCD会社としては売れるものではないので輸入盤で入手しておいた方が確実かもしれません。

この豪華な二人のスターたちは共に歌曲にも力を入れており、特にオペラのような男女の駆け引きが重要な要素となるヴォルフの「イタリア歌曲集」では、彼らの声の演技力もまた大いに期待されます。
そして、今やムーアやパーソンズの後継者として脂の乗り切ったヘルムート・ドイチュのピアノもまたとても楽しみです(ドイチュはかつてEMIにアップショー&ベーアと全曲盤を録音しています)。

ヴォルフの歌曲集の中でもメーリケ歌曲集と並んで録音に恵まれている「イタリア歌曲集」ですが、これはヴォルフファンにとっては垂涎ものですね。

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東京芸術劇場シリーズ~ペーター・シュライヤー1996年10月16日リーダー・アーベント(ピアノ:ヘルムート・ドイチュ)のCD化

1996年10月16日に東京芸術劇場で催されたテノールのペーター・シュライヤー(Peter Schreier)とピアニストのヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch)によるリーダーアーベントがCD化されたようです。
東京芸術劇場は以前にもF=ディースカウの最後の来日公演(1992年)を2公演ともCD化して歌曲ファンを驚かせてくれましたが、今回のシュライアーの録音もまさか復活するとは思っていなかっただけに、望外の贈り物です。
そもそも東京芸術劇場がこれらの演奏を独自に録音して保管していたということすら想定していなかったのですが、今後も東京芸術劇場で催されたコンサートが復刻されるのではないかと期待してしまいます。
シュライアーはこの公演で、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、メンデルスゾーンの有名な作品を歌い、さらに後半ではシューマンの「詩人の恋」を歌っています。
一晩のリーダーアーベントとしては相当なボリュームであり、演奏者も気力体力を持続させるのが大変ではないかと思われます。

実はこの日のコンサート会場に私もいました。
シュライアーとドイチュの組み合わせは、スタジオ録音では私の知る限り皆無だったはずで、来日を知った時に伴奏者がドイチュということを知って珍しいなと思ったことを今でも覚えています(当時シュライアーの来日公演はヴァルター・オルベルツが同行することが多かったので)。ただ海外ではこのコンビで演奏することもあったようです(ドイチュの著書に少しシュライアーのことが触れられています)。

曲目などの詳細はこちら

私も入手したらじっくり聞いてみようと思います。

スタジオ録音とは違った臨場感なども味わえるのではないかと期待しています。
興味のある方はお聞きになってみて下さい。

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最近購入したCD(プライ&ドイチュ「冬の旅」、ボストリッジ&ドレイク「シューベルト・ライヴ2」ほか)

ここのところ、CDショップで実際に現物を手にとってCDを購入するということからめっきり遠ざかっていたのですが、つい最近久しぶりにCDショップを訪れ、気になる5枚を購入しました。

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1)シューベルト/「冬の旅」 ヘルマン・プライ(Br)ヘルムート・ドイチュ(P) (1987年5月17日, Schwetzingen, Schloss, Rokokotheater)
2)シューベルト/歌曲集2 イアン・ボストリッジ(T)ジュリアス・ドレイク(P) (2014年5月22日, Wigmore Hall, London)
3)ブラームス/歌曲集 マティアス・ゲルネ(Br)クリストフ・エッシェンバッハ(P) (2013年4月、2015年12月, Teldex Studio Berlin)
4)シューベルト/「美しい水車屋の娘」 ルドルフ・ショック(T)ジェラルド・ムーア(P) (1958年11月, Gemeindehaus Berlin-Zehlendorf)他3曲(アドルフ・シュタウホのピアノ:1959年6月10日, Gemeindehaus Berlin-Zehlendorf)
5)シューベルト/「冬の旅」 ジョン。・ヴィッカーズ(T)ジェフリー・パーソンズ(P) (1983年7月9-13日, Salle Wagram, Paris)他インタビュー付き

現在のところ、5のみ未聴ですが、他の4枚は程度の差はあれど、聴いてみました。

2のボストリッジとドレイクのシューベルトはウィグモア・ホールでのシューベルト・ライヴの第2集で珍しいレパートリー満載で、シューベルト・ファン必聴の録音です。

3のゲルネとエッシェンバッハのブラームスですが、実は以前ゲルネがインタビューで「ブラームスはあまり好きではないので録音もしないかもしれない」というようなことを読んだことがあったので、今回興味をもって聞いてみました。
Op.32全9曲と、ハイネの詩による5曲、そして「4つの厳粛な歌」全4曲という内容です。
まだ聞きこんでいない為、はっきりと断言はしませんが、ゲルネのアプローチは若干ブラームスの歌曲とは相性がよくないのかもしれないと感じました。
もちろんいつものふくよかで包み込むような声はブラームス歌曲の温かみをしっかり感じさせてくれますし、ゲルネに合ったレパートリーを選んでいるとは思います。
ただ、彼の表現がドラマティックになる際に、ブラームス特有の器楽的なバランスが崩れがちに感じられ、同じことがピアノのエッシェンバッハにも感じられました。

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今回、この記事ではプライとドイチュの「冬の旅」について、感想を記したいと思います。

この日のプライは声の調子もすこぶる良く、音程がぴたっとはまっています。

比較的軽快なリズムで第1曲「おやすみ」が始められ、悲壮感よりもわき目もふらずに前進していく感じが出ています。
1987年といえば、当時の彼の録音ではすでに第三者的な諦観をすら漂わせていたプライですが、ここではライヴゆえか、かなり振幅の大きいドラマティックな表現も聞かせ、若かりし頃のプライを彷彿とさせる「なりきり」感が嬉しく感じられました。
声はあくまで自然に語るように、しかしメロディーラインは壊さずにという姿勢が感じられるのは、いつものプライですが、一言一言への軽重の比重の付け方が細やかで、言葉へのプライの寄り添い方は傾聴に値します。
例えば、「風見」の中の"reiche Braut(金持ちの嫁)"という言葉にアクセントを付けているのを聞くと、プライなりの強烈な皮肉を込めているように感じられます。
その他にも聞くべき箇所は多々あります。
例えば、

・「休息」での単語による"r"の巻き舌の付け方の軽重や、めりはりのきいた語り口。
・「春の夢」での甘美さな夢と冷たい現実の対比、そして最後の恋人をいつになったら抱けるのだろうというわずかに盛り上がって沈み込む箇所。
・「道しるべ」の最後の"zurück"に込められた思いの深さ!
・「宿」で墓地にも眠りを拒否されて、ただ進むのだと歌う箇所の決然とした歌いぶり!

「ライアー弾き」ではプライの歌う主人公は絶望しているようには聞こえません。
力強く自分の分身のようなライアー弾きに言葉をかけます。
プライはそこを大きなクレッシェンドの後に軽いデクレッシェンドで若干のアーチを作りますが、基本はよく響く声で、前を向いて歩きだす様を想像させる終わり方でした。

これより前に映像収録してDVDでも発売されている、同じくドイチュとの共演による演奏では、室内での演奏ということもあるのでしょうが、もっと振幅を抑えた、内向きの演奏だったように感じられます。

このライヴ、プライの甘美な美声がまだまだ健在だったことにまず喜びを感じますが、さらに言葉の語り方の軽重の付け方が微に入り細を穿つのは、歌いこんできた年輪のなせる業なのかもしれません。

そして、忘れてならないのがヘルムート・ドイチュのピアノです!
安定したテクニックに裏付けられたピアノは、粒立ちが明瞭で、クリアな響きが冬の凍てつく雰囲気をあらわす一方、「ボダイジュ」などでは包み込むような温かい響きも聞かせています。
その演奏はテキストとぴったり一致し、まさに変幻自在と言ってよいでしょう。
レガートとノンレガートの使い分けが絶妙にうまいのもドイチュの美点だと思います(ペダリングのうまさも)。
「からす」でのつきまとうような右手の響きのなんといううまさ!
リズムにのったテンポ感がプライの歌をどれほど助けていることでしょう。

まさにプライとドイチュが二人三脚で作り上げた、深遠だけれども、達観していない、最後に希望が見える世界を描き出してくれたように思います。

興味のある方はぜひお聞きになってみて下さい!

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ヘルマン・プライ&ヘルムート・ドイチュ/「冬の旅」(1987年シュヴェツィンゲン音楽祭初出ライヴCD)

ヘルマン・プライの初出音源による「冬の旅」が発売されることを、コメント欄より真子さんに教えていただいたので、ご紹介します。
すでに日本のamazonでも購入出来るようです(2016/6/29発売予定)。

シューベルト(Schubert)/「冬の旅(Winterreise)」
録音:1987年5月17日、シュヴェツィンゲン・シュロス、ロココ劇場
ヘルマン・プライ(Hermann Prey)(Br)
ヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch)(P)

詳細は以下のサイトをご覧下さい。
 こちら

プライは複数回「冬の旅」の録音を残していますが、名手ヘルムート・ドイチュとのこのライヴ録音は初出で、ファン待望のものでしょう(スタジオでの映像収録でも共演しているので、そのDVDとの比較も興味深いところです)。

1987年といえば、そろそろ渋みを増してきたプライの表現の深みが注目されるところです。
どんな演奏をドイチュと共に作り上げているのか、発売を楽しみに待つことにしましょう。

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ヘルマン・プライ&ヘルムート・ドイチュ/シューベルト:シラーの詩による歌曲リサイタル映像(1990年 バート・ウーラハ、フェストハレ)

バリトンのヘルマン・プライがピアニストのヘルムート・ドイチュと共演したライヴ映像がアップされていましたので、ご紹介します。
1990年のバート・ウーラハ秋の音楽祭のコンサートからで、すべてシューベルトのシラーの詩による歌曲が並んでいます。
プライのシューベルト、シラー歌曲集といえば、PHILIPSへの全集からの分売として出されたLPレコード(カール・エンゲルのピアノ)が大変高く評価されているとおり、プライお得意のレパートリーです。
東京でも、シューベルト生誕200年を記念して1997年初頭に催された一連のシューベルト・シリーズの一環としてシラー歌曲集が歌われたのが懐かしく思い出されます(ミヒャエル・エンドレスのピアノ)。
下記の8曲中、最初の3曲は非常に長い曲ですので、ご覧になる前に用事をお済ませになった方がいいかもしれませんね(笑)。
「人質」は太宰治の「走れメロス」の原型となったシラーの詩によるもので、テキストの2行目に「メロス」という言葉も出てきます(下記の歌詞リンクではダモン(Damon)となっていますが、シラーの変更により、歌われる歌詞も演奏者にゆだねられるようです)。
いずれも必ずしも知られているとは言えない作品ばかりですが、もし時間がない方は最初に「タルタロスの群れ」を、そして時間に余裕の出来た方は歌詞を追いながら「海に潜る男」をご覧になるといいのではないでしょうか。
プライの噛みしめるような一言一言の重みは、バラード歌いとしての彼の良さが最大限に発揮されていますし、シューベルトのメロディーの素晴らしさに寄り添っていて見事です。
若かりしドイチュが、プライという巨匠を前にして、あくまでプライの音楽性を優先して、かっちりとした骨組みを作っているのを聴くのも楽しみの一つです。
どうぞゆっくり楽しんで下さい!

※なお、下記で歌詞対訳をリンクさせていただいた藤井さんのサイト「梅丘歌曲会館 詩と音楽」は、2016年9月29日まで現在のリンク先で閲覧可能で、それ以降は別の場所に移転予定とのことです。

バート・ウーラハ秋の音楽祭1990年
バート・ウーラハ、、フェストハレ(フェスティヴァルホール)にて
(Herbstliche Musiktage Bad Urach 1990
aus der Festhalle in Bad Urach)

ヘルマン・プライ(Hermann Prey) (Baritone)
ヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch) (Piano)

シューベルト/屍の幻想(Eine Leichenphantasie) D7 (21:46)

 歌詞対訳(藤井宏行訳)

シューベルト/海に潜る男(Der Taucher) D111 (23:58)

 歌詞対訳(藤井宏行訳)

シューベルト/人質(Die Bürgschaft) D246 (15:40)

 歌詞対訳(甲斐貴也訳)

シューベルト/タルタロスの群れ(Gruppe aus dem Tartarus) D583 (3:05)

シューベルト/アルプスの狩人(Der Alpenjäger) D588 (6:28)

 歌詞対訳(藤井宏行訳)

シューベルト/希望(Hoffnung) D637 (3:36)

 歌詞対訳(藤井宏行訳)

憧れ(Sehnsucht) D636 (4:12)

 歌詞対訳(藤井宏行訳)

巡礼者(Der Pilgrim) D794 (7:33)

 歌詞対訳(藤井宏行訳)

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ディアナ・ダムラウ&ヘルムート・ドイチュ/シュヴァルツェンベルク・シューベルト・ライヴRadio4配信中(期間限定)

毎年オーストリアの閑静な場所で開かれているシューベルティアーデから、ソプラノのディアナ・ダムラウと、ピアニストのヘルムート・ドイチュによる今年行われたばかりのライヴがオランダのRadio4で期間限定配信されています。

 こちら

上記のサイトの「Luister concert」をクリックすると全曲続けて流れます。
ブロックごとに聞きたい時は、その下の4つの再生ボタンのうち、お好きなボタンをクリックしてお聞き下さい。

曲目などデータは以下のとおりです。

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ライヴ録音:2015年6月21日, Angelika Kauffmann Hall, Schwarzenberg

ディアナ・ダムラウ(Diana Damrau) (sopraan)
ヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch) (piano)
ポール・メイエ(Paul Meyer) (klarinet)(D.965)

フランツ・シューベルト(Franz Schubert):

大都会から遠く(Ferne von der großen Stadt) D.483
春の歌(Frühlingslied) D.398
春の信仰(Frühlingsglaube) D.686
春の歌(Frühlingslied) D.919
大地(Die Erde) D.579B
緑野の歌(Das Lied im Grünen) D.917

岩の上の羊飼い(Der Hirt auf dem Felsen) D.965

愛はいたる道に漂う(Liebe schwärmt auf allen Wegen) D.239/6
愛(Die Liebe) D.522
あちらこちらに矢が飛び交う(Hin und wieder fliegen Pfeile) D.239/3
アノット・ライルの歌(Lied der Anne Lyle) D.830

エレンの歌Ⅰ(憩え、兵士よ)、Ⅱ(狩人よ、狩をやめよ)、Ⅲ(アヴェ・マリア)(Ellens Gesänge aus Walter Scotts "The Lady of the Lake") D.837-839
マリア像(Das Marienbild) D.623
ひめやかな恋(Heimliches Lieben) D.922
デルフィーネ(Delphine) D.857/1

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ダムラウの伸縮自在で細やかな表現はリートそのものの魅力を伝えてくれますし、ベテラン、ドイチュのピアノは余裕すら感じられる変幻自在のタッチで堅実に演奏しています。

期間限定配信ですので、興味のある方はくれぐれもお早めに!

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ヴォルフ「イタリア歌曲集」全曲の映像

パメラ・コバーン(ソプラノ)とヘルマン・プライ(バリトン)がそれぞれヘルムート・ドイチュとトーマス・レアンダーのピアノで、ヴォルフの「イタリア歌曲集」を男女の対話が続くような配列に並べ替えて全曲演奏したライヴ映像を見つけました。

いつもはプライと共演しているドイチュが、ここではコバーンの共演者となり、プライの共演者はレアンダーという人。
ピアニストが異なると、曲と曲の合間をほとんどおかずに畳み掛けるように曲をつなげることが出来るのが効果的です。

アップしてくれた方に感謝!
素晴らしい演奏なので、ぜひご覧ください。

Recorded at Festhalle Bad Urach, 1989

(1/6)
Auch kleine Dinge können uns entzücken(小さくてもうっとりとさせられるものはある) (S)
Nicht länger kann ich singen, denn der Wind(ぼくはもう歌えないよ、だって風が) (BR)
Schweig einmal still, du garst'ger Schwätzer dort(ちょっと黙ってよ、そこの不愉快なおしゃべり男) (S)
O wüßtest du, wie viel ich deinetwegen(おお、お前は分かっているのだろうか、どれほど俺がお前を思って) (BR)
Wer rief dich denn?(一体誰があんたを呼んだのよ) (S)
Hoffärtig seid Ihr, schönes Kind(ふんぞり返っておいでだな、麗しき娘よ) (BR)
Was soll der Zorn, mein Schatz, der dich erhitzt(なにを怒っているの、大切な方、そんなに熱くなって) (S)
Geselle, woll'n wir uns in Kutten hüllen(相棒よ、おれたちゃ修道服でもまとって) (BR)
Verschling der Abgrund meines Liebsten Hütte(深淵が恋人の小屋を飲み込んでしまえ) (S)
Nun laß uns Frieden schließen(さあ、仲直りしよう) (BR)

(2/6)
Wohl kenn' ich Euren Stand, der nicht gering(賤しからぬあなた様の御身分は重々承知しておりますわ) (S)
Wenn du mich mit den Augen streifst und lachst(君が僕をちら見して笑い出し) (BR)
Wenn du, mein Liebster, steigst zum Himmel auf(あなたが、愛する方、天国に昇る時がきたら) (S)
Gesegnet sei, durch den die Welt entstund(この世界の生みの親に祝福あれ) (BR)
Mir ward gesagt, du reisest in die Ferne(遠いところに旅立つそうね) (S)
Selig ihr Blinden(見えない人たちは幸いだ) (BR)
Man sagt mir, deine Mutter woll es nicht(あなたのお母さんがお望みでないらしいわね) (S)
Heut Nacht erhob ich mich um Mitternacht(昨夜、真夜中に私が起き上がると) (BR)
O wär dein Haus durchsichtig wie ein Glas(ああ、あなたのお家がガラスみたいに透き通っていたらいいのに) (S)

(3/6)
Schon streckt' ich aus im Bett die müden Glieder(ベッドの中でへとへとの体を大きく伸ばしているというのに) (BR)
Heb' auf dein blondes Haupt und schlafe nicht(ブロンドの頭をあげておくれ、眠るんじゃないぞ) (BR)
Mein Liebster singt am Haus im Mondenscheine(あたしの恋人が月明りの注ぐ家の前で歌っているわ) (S)
Ein Ständchen Euch zu bringen kam ich her(セレナードを捧げにわたくし参りました) (BR)
Wir haben beide lange Zeit geschwiegen(私たちは二人とも、長いこと押し黙っていました) (S)
Was für ein Lied soll dir gesungen werden(君にはどんな歌を歌ってあげたらいいのかな) (BR)
Ich esse nun mein Brot nicht trocken mehr(私はもう乾いたパンを食べることはありません) (S)

(4/6)
Benedeit die sel'ge Mutter(今は亡き君の母上に祝福あれ) (BR)
Ihr jungen Leute, die ihr zieht ins Feld(戦場に向かわれるお若い方々) (S)
Sterb' ich, so hüllt in Blumen meine Glieder(僕が死んだら、この体を花で包みこんでおくれ) (BR)
Wie soll ich fröhlich sein und lachen gar(どうして陽気でいられるもんか、まして笑うことなんて) (S)
Der Mond hat eine schwere Klag' erhoben(月がひどい不満をぶちまけ) (BR)
Gesegnet sei das Grün und wer es trägt(緑色と、緑を身にまとう人に幸ありますように) (S)
Und willst du deinen Liebsten sterben sehen(君の彼氏が死ぬところを見たいのなら) (BR)

(5/6)
Mein Liebster hat zu Tische mich geladen(彼氏があたしを食事に招いてくれたの) (S)
Ich ließ mir sagen und mir ward erzählt(私がしょっちゅう聞かされた噂では) (BR)
Wie lange schon war immer mein Verlangen(もうどれほどずっと待ち焦がれてきたことでしょう) (S)
Und steht Ihr früh am Morgen auf vom Bette(それから、あなたが朝早くベッドから起き上がり) (BR)
Mein Liebster ist so klein(私の恋人はとってもちっちゃいの) (S)
Daß doch gemalt all deine Reize wären(君の魅力がすべて描かれて) (BR)
Du denkst mit einem Fädchen mich zu fangen(あなたは細い糸たった一本で私を捕まえて) (S)
Ihr seid die Allerschönste weit und breit(あなたはこの世で最高に美しい方) (BR)
Nein, junger Herr, so treibt man's nicht, fürwahr(駄目よ、お若い方、そんな事しちゃ嫌) (S)

(6/6)
Wie viele Zeit verlor ich, dich zu lieben(君を愛することで、どれほどの時間を無駄使いしてきたことか) (BR)
Du sagst mir, daß ich keine Fürstin sei(侯爵夫人様じゃないんだからって、あたしに言うけど) (S)
Laß sie nur gehn, die so die Stolze spielt(放っておけばいいさ、あんな高慢ちきを演じる女なんか) (BR)
Ich hab in Penna einen Liebsten wohnen(あたし、ペンナに住んでる恋人がいるの) (S)

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キルヒシュラーガー&ドイチュ/ヴォルフ歌曲集

ヴォルフ歌曲集(HUGO WOLF / SONGS)
Kirchschlager_deutsch_wolfSONY CLASSICAL: 88697391892
録音:2003年8月26-29日, Casino Baumgartner, Vienna

アンゲーリカ・キルヒシュラーガー(Angelika Kirchschlager)(MS)
ヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch)(P)

ヴォルフ(1860-1903)作曲
1.アナクレオンの墓(ゲーテ歌曲集)
2.娘の初恋の歌(メーリケ歌曲集)
3.少年とみつばち(メーリケ歌曲集)
4.夜明け前のひととき(メーリケ歌曲集)
5.飽くことのない愛(メーリケ歌曲集)
6.捨てられた娘(メーリケ歌曲集)
7.出会い(メーリケ歌曲集)
8.ミニョンⅠ(ゲーテ歌曲集)
9.ミニョンⅡ(ゲーテ歌曲集)
10.ミニョンⅢ(ゲーテ歌曲集)
11.ミニョンの歌(ゲーテ歌曲集)
12.ジプシー娘(アイヒェンドルフ歌曲集)
13.災難(アイヒェンドルフ歌曲集)
14.夜の魔力(アイヒェンドルフ歌曲集)
15.眠られぬ者の太陽(「ハイネ、シェイクスピア、バイロン歌曲集」よりバイロン歌曲)
16.あらゆる美女もかなわない(「ハイネ、シェイクスピア、バイロン歌曲集」よりバイロン歌曲)
17.隠遁(メーリケ歌曲集)
18.春に(メーリケ歌曲集)
19.さようなら(メーリケ歌曲集)
20.考えてもみよ、おお心よ(メーリケ歌曲集)
21.旅路で(メーリケ歌曲集)
22.お入り、立派な兵隊さん(ケラーによる「昔の調べ」No.1)
23.愛する人がアトリのように歌うというのなら(ケラーによる「昔の調べ」No.2)
24.ねえ、青っぽい坊や(ケラーによる「昔の調べ」No.3)
25.朝露の中、歩いていると(ケラーによる「昔の調べ」No.4)
26.炭焼き女が酔っ払って(ケラーによる「昔の調べ」No.5)
27.明るい月が、なんと冷たく遠くに輝いていることか(ケラーによる「昔の調べ」No.6)

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以前に書籍にCDが付いた形でフランスで出版されたものと同一音源が最近純粋なCDパッケージで再発売された。
書籍の時は若干値段が高めだったこともあり、購入を見合わせていたのだが、今回通常の価格で再発されたことを喜びたい。
録音も今から6年も前に録音されたものだが、その分歌手の若々しい美声を堪能でき、今や重鎮のドイチュの名人芸も味わえる。

オーストリアのサルツブルク出身のメゾソプラノ歌手、キルヒシュラーガーの声は明るくて美しい。
ソプラノと間違えそうな透き通った清澄な美声で、作為もなく素直に明晰に歌を紡いでいく。
低声よりもむしろ高声が魅力的だ。
ヴォルフの歌曲に難解さを感じる向きには格好の入門となるのでないか。
ドイツ語は舞台発音と日常発音の折衷のように聞こえる。
"r"もあまり巻き舌を強調することはなく、母音化することが多い印象だ。
一方、声が軽めで、あまり声色に深さを加えようともしないため、「ミニョン」歌曲群や「捨てられた娘」などの深刻な表情が求められる作品では、聴き手の心を動かすまでには至らない感も残る。
とはいえ、訓練され、コントロールの行き届いた声と音楽はやはり素晴らしく、ヴォルフの曲を楽しく聴くには問題ない。
「ジプシー娘」や「眠られぬ者の太陽」など、往年のシュヴァルツコプフのような濃密な表情を期待してしまうと肩すかしをくらうほどあっさりしているが、これはこれで現代風の解釈として新鮮であり、そろそろシュヴァルツコプフの呪縛から聴き手も解き放たれるべきなのかもしれない。
「隠遁」のような旋律美がまさった素直な作品ではキルヒシュラーガーの美質が発揮されて素晴らしい。
今ならおそらくもっと成熟を求められるかもしれないが、6年前の30代後半の美声と若々しい表現は確かに貴重な記録である。

ドイチュは持てる音色、テクニック、音楽性、テンポ感覚、バランス感覚、詩の読解力の限りを尽くして、個々の全く異なる作品から見事なまでに魅力を惹き出す。
このピアノの多彩さと豊かでデリケートな響きは時に歌声以上に耳をそばだたせる。
ただただ素晴らしいの一言に尽きる。

選曲もさまざまな歌曲集から満遍なく名曲が集められており、珍しいケラーの詩による「昔の調べ」が全曲聴けるのも貴重である。
昨日3月13日はヴォルフの149回目の誕生日であった。
キルヒシュラーガーのストレートな美声と、ドイチュの練達の至芸で、ヴォルフの多彩な作品を聴くのも楽しいのではないか。

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プライ日本公演曲目1988年(第8回来日)

第8回来日:1988年11月

Prey_deutsch_1988_pamphletヘルマン・プライ(Hermann Prey)(BR)
ヘルムート・ドイッチェ(Helmut Deutsch)(P)
バイエルン国立歌劇場(Bayerische Staatsoper)
ウォルフガング・サヴァリッシュ(Wolfgang Sawallisch)(C)

11月13日(日)15:00 NHKホール:バイエルン国立歌劇場
11月18日(金)17:00 NHKホール:バイエルン国立歌劇場
11月22日(水)18:30 宇都宮市文化会館:リサイタル
11月24日(金)18:30 群馬音楽センター:リサイタル
11月26日(日)19:00 サントリーホール:リサイタル
11月28日(火)19:00 茨城県立県民文化センター:リサイタル
(?12月3日(土)15:00 神奈川県民ホール:バイエルン国立歌劇場)(12月3日はプライとネッカーのどちらがベックメッサーとして出演したか不明)

●バイエルン国立歌劇場公演

ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(Die Meistersinger von Nürnberg)(プライはベックメッサー役)

 ハンス・ザックス:ベルント・ヴァイクル(Bernd Weikl)/テオ・アダム(Theo Adam)
 ポーグナー:クルト・モル(Kurt Moll)/ヤン=ヘンドリック・ローターリング(Jan-Hendrik Rootering)
 ワルター:ルネ・コロ(René Kollo)/ヨーゼフ・ホプファーヴィーザー(Josef Hopferwieser)
 ダーヴィット:ペーター・シュライヤー(Peter Schreier)
 エヴァ:ルチア・ポップ(Lucia Popp)
 マグダレーナ:コルネリア・ヴルコップフ(Cornelia Wulkopf)
 ベックメッサー:ヘルマン・プライ(Hermann Prey)/ハンス=ギュンター・ネッカー(Hans Günter Nöcker)
 コートナー:アルフレート・クーン(Alfred Kuhn)
 フォーゲルゲザング:ケネス・ガリソン(Kenneth Garrison)
 ナハティガル:マルコ・シンデルマン(Marco Schindelmann)
 ツォルン:ウルリヒ・レス(Ulrich Reß)
 アイスリンガー:ヘルマン・サペル(Hermann Sapell)
 モーザー:クラース・アーカン・アーンシェ(Claes H. Ahnsjö)
 オルテル:ウォルフガング・ラオホ(Wolfgang Rauch)
 シュヴァルツ:クリスチャン・ベッシュ(Christian Boesch)
 フォルツ:ハンス・ヴィルブリンク(Hans Wilbrink)
 夜警:ヤン=ヘンドリック・ローターリング(Jan-Hendrik Rootering)/クルト・モル(Kurt Moll)/ヘルマン・サペル(Hermann Sapell)
 バイエルン国立歌劇場合唱団(Der Chor der Bayerischen Staatsoper)
 バイエルン国立管弦楽団(Das Bayerische Staatsorchester)
 指揮:ウォルフガング・サヴァリッシュ(Wolfgang Sawallisch)

 演出:アウグスト・エヴァディング(August Everding)
 装置・衣装:ユルゲン・ローゼ(Jürgen Rose)
 合唱指揮:ウド・メアポール(Udo Mehrpohl)

●リサイタル 共演:ヘルムート・ドイッチェ(P)

シューベルト/歌曲集「冬の旅」(Winterreise)D911
(おやすみ/風見の旗/凍った涙/かじかみ/菩提樹/あふれる涙/川の上で/回想/鬼火/休息/春の夢/孤独/郵便馬車/白くなった頭/からす/最後の希望/村にて/嵐の朝/まぼろし/道しるべ/宿/勇気/まぼろしの太陽/辻音楽師)

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ヘルマン・プライ8回目の来日は、前回から4年後の1988年。
今回はバイエルン国立歌劇場の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」公演でベックメッサーを歌うための来日で、同時に「冬の旅」のリサイタルを4箇所で歌った。
前回来日時のオペラ・アリア・プログラムでもハンス・ザックスの“にわとこ”のモノローグは歌っていたが、ベックメッサー役、しかも全曲を披露したのはこの時が最初で最後であった。
バイエルン国立歌劇場は「マイスタージンガー」を11月13日、18日、23日(以上NHKホール)、12月3日(神奈川県民ホール)の4回公演しているが、ベックメッサー役はプライとハンス=ギュンター・ネッカーのダブルキャストになっている。
そのうち、13日と18日はプライ、23日はネッカーが歌ったことが、たかさんのブログ他で分かったが、12月3日はどちらが歌ったのか分からなかった。
プライは「冬の旅」を連続して歌った後なので、ネッカーが歌った可能性の方が高いかもしれない。
「冬の旅」のピアニストは前回に続き、ヘルムート・ドイチュとの2度目の共演である。
「冬の旅」は1980年のフィガロ出演時を除いて、連続披露の記録を続けている。
私は26日のサントリーホールでの「冬の旅」を安価なP席で聴いたのだが、当時つけていた自分のメモを読むと、この時のプライの「豊麗な声」に感激している。
プライの声は録音で聴くと、その温かみのある声の印象が強いが、体の奥から湧き出てくるような豊かな声のボリュームは実演に接してはじめて感じたものだった。
この時はP席(ステージの後ろ)だったため、プライの声が反対側に響いていくのを惜しく思いつつも、かなり近くから彼の歌う姿を見ることが出来た貴重な体験だった。
この時も音程が上がりきらない箇所はあったが、80年代にDENONレーベルに録音したビアンコーニとの録音と基本的には近い解釈だったようだ。
「かじかみ」「回想」のような早目の曲をあえてゆっくり歌うのもこの当時のプライの特徴だが、全体的に自然でおおらかな歌唱だったとメモに書いている。
当時の私はこの演奏から絶望よりも希望を感じ取ったようだ。

ちなみにバイエルン国立歌劇場の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」以外の公演は、「アラベラ」「コシ・ファン・トゥッテ」「ドン・ジョヴァンニ」で、「ミサ・ソレムニス」「第九交響曲」「ワーグナーのガラ・コンサート」も披露されているが、プライはそれらには出演していないようだ。

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