第1回来日:1963年10~11月
ディートリッヒ・フィッシャー=ディスカウ(Dietrich Fischer-Dieskau)(BR)
イヨルク・デームス(Jörg Demus)(P)
ベルリン・ドイツ・オペラ(Deutsche Oper Berlin)
カール・ベーム(Karl Böhm)(C)
10月20日(日)日生劇場:ベルリン・ドイツ・オペラ「フィデリオ」
10月21日(月)日生劇場:ベルリン・ドイツ・オペラ「フィガロの結婚」
10月23日(水)日生劇場:ベルリン・ドイツ・オペラ「フィガロの結婚」
10月24日(木)日生劇場:ベルリン・ドイツ・オペラ「フィデリオ」(W.ドウリーとダブルキャスト)
10月26日(土)19:00 京都市民会館:プログラムA
10月28日(月)日生劇場:ベルリン・ドイツ・オペラ「フィガロの結婚」
10月29日(火)日生劇場:ベルリン・ドイツ・オペラ「フィデリオ」(W.ドウリーとダブルキャスト)
10月31日(木)19:00 日生劇場:プログラムB(日生劇場開場記念公演:ベルリン=ドイツ=オペラ特別演奏会)
11月2日(土)日生劇場:ベルリン・ドイツ・オペラ「フィガロの結婚」
11月5日(火)日生劇場:ベルリン・ドイツ・オペラ「フィデリオ」(W.ドウリーとダブルキャスト)
●ベルリン・ドイツ・オペラ「フィデリオ」
ベートーヴェン/「フィデリオ」
グスタフ・ルドルフ・ゼルナー(演出)
W.ラインキング(装置・衣装)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(ドン・フェルナンド: 10/20)
W.ドウリー(ドン・フェルナンド: 10/20以外)
ヴァルター・ベリー(ドン・ピツァロ)
G.ナイトリンガー(ドン・ピツァロ)
ジェイムズ・キング(フロレスタン)
クリスタ・ルートヴィヒ(レオノーレ)
ヨーゼフ・グラインドル(ロッコ)
リーザ・オットー(マルツェリーナ)
D.グローブ(ヤキーノ)
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団と管弦楽団
W.ハーゲン=グロル(合唱指揮)
カール・ベーム(C)
●ベルリン・ドイツ・オペラ「フィガロの結婚」
モーツァルト/「フィガロの結婚」
グスタフ・ルドルフ・ゼルナー(演出)
M.ラファエリー(装置・衣装)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(アルマヴィーヴァ伯爵)
エリーザベト・グリュンマー(伯爵夫人)
エーリカ・ケート(スザンナ)
ヴァルター・ベリー(フィガロ)
エーディト・マティス(ケルビーノ)
パトリシア・ジョンソン(マルツェリーナ)
P.ラッガー(バルトロ)
B.フォーゲル(バルバリーナ)
J.カトナ(バジリオ)
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団と管弦楽団
W.ハーゲン=グロル(合唱指揮)
カール・ベーム(C)
●プログラムA 共演:イヨルク・デームス(P)
シューベルト作曲
アトラス(Der Atlas, D957-8)
あのひとの絵姿(Ihr Bild, D957-9)
漁師の娘(Das Fischermädchen, D957-10)
町(Die Stadt, D957-11)
海べにて(Am Meer, D957-12)
影法師(Der Doppelgänger, D957-13)
シューマン作曲
「詩人の恋(Dichterliebe, Op. 48)」全曲
●プログラムB 共演:イヨルク・デームス(P)
シューベルト作曲
魔王(Erlkönig, D328)
さすらい人(Der Wanderer, D489)
冥府の群像(Gruppe aus dem Tartarus, D583)
メムノン(Memnon, D541)
友らに(An die Freunde, D654)
沈みゆく日の神(Freiwilliges Versinken, D700)
たて琴に(An die Leier, D737)
ヘリオポリス(2作)(Heliopolis 2, D754)
~休憩~
ミューズの子(Der Musensohn, D764)
あなたはわたしのやすらぎ(Du bist die Ruh', D776)
孤独な男(Der Einsame, D800)
夕映えに(Im Abendrot, D799)
ブルックの丘で(Auf der Bruck, D853)
セレナーデ(Ständchen, D957-4)
星(Die Sterne, D939)
(プログラムA、Bの演奏者名、曲名の日本語表記はプログラム冊子の表記に従い、オペラ公演の情報は「音楽年鑑」の記載に従った)
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これまでアーメリング、シュヴァルツコプフ、プライ、ホッターと続けてきた過去来日公演調査だが、リート歌手の代名詞と言っても過言ではないあの人を忘れるわけにはいかない。
もし彼がいなかったら私もこれほど歌曲にのめりこむことはなかったかもしれない。
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ。
この偉大なバリトン歌手の1980年代以降の実演を何度か聴けたことは、私にとって最高の思い出の一つとなっている。
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau: 1925.5.28, Zehlendorf生まれ)の初来日は、ベルリン・ドイツ・オペラのメンバーとしてであり、当時すでに38歳の絶頂期だった。
日生劇場の開場記念として行われたベルリン・ドイツ・オペラの公演中、F=ディースカウは「フィデリオ」のドン・フェルナンド(W.ドウリーとダブルキャスト)と、「フィガロの結婚」のアルマヴィーヴァ伯爵を歌った(どちらもカール・ベームの指揮)。
10月23日の「フィガロの結婚」ライヴ録音はかつてキャニオンからCD発売されていた。
ちなみに彼が出演しなかった他の演目はベルク「ヴォツェック」とヴァーグナー「トリスタンとイゾルデ」だった。
「フィデリオ」はダブルキャストのため、どの日にF=ディースカウが出演したのか今のところ確認できていないが、オペラ2役の合間を縫ってリサイタルを京都と東京で行っている(追記:「フィデリオ」のF=ディースカウの出演は10月20日のみとコメント欄でさすらい人さんに教えていただきました)。
京都ではハイネの詩によるシューベルトとシューマンの名作、そして東京ではシューベルトの歌曲ばかりでプログラムが組まれている。
どちらのプログラムもF=ディースカウがジェラルド・ムーアとともにザルツブルクで歌ったプログラムと共通しており、そのザルツブルク公演はORFEOレーベルからCD化されている。
日本ではじめてF=ディースカウが歌った歌曲はシューベルトの「アトラス」、そして東京の聴衆がはじめて聴いた彼の歌曲はシューベルトの「魔王」だったことになる。
この時のピアニストはイェルク・デームスがつとめたが、すでに海外でコンビを組んでいた二人だけにF=ディースカウも安心して初めての日本公演にのぞめたのではないだろうか。
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