プライ&エンドレス(Prey & Endres)映像;オージェ&ボールドウィン(Augér & Baldwin)1984年NYリサイタル音源

長い新型コロナウイルス対策、皆様大変お疲れ様です。
音楽がお好きな方々は、最近アップしてくださった素敵な映像や音源で一息ついて下さいね。

●ヘルマン・プライ(BR)&ミヒャエル・エンドレス(P)
シューベルト「美しい水車屋の娘」より~1.さすらい

Hermann Prey, baritone
Michael Endres, piano

Die schöne Müllerin, D 795: 1. Das Wandern


●アーリーン・オージェ(S)&ドルトン・ボールドウィン(P)1984年ニューヨーク・リサイタル

Recital
録音:25 January 1984, Alice Tully Hall, New York City (live)

Arleen Augér(アーリーン・オージェ), soprano
Dalton Baldwin(ドルトン・ボールドウィン), piano

Mozart(モーツァルト):
- Das Veilchen(すみれ) 0:00
- Die Verschweigung() 2:43
- Als Luise die Briefe …ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼いた時) 5:55
- Sehnsucht nach dem Frühling(春への憧れ) 7:37
- Abendempfindung(夕暮れの感情) 9:35
Schumann(シューマン):
- Widmung(献身) 15:11
- Röselein, Röselein!(ばらよ、ばらよ!) 17:40
- Er ist’s!(あの季節だ!) 20:27
- Geisternähe(魂の近さ) 21:55
- Mondnacht(月夜) 24:18
- Aufträge(ことずて) 28:40
- Des Sennen Abschied(羊飼いの別れ) 31:04
- Kennst du das Land?(あの国をご存知でしょうか) 32:58
- Singet nicht in Trauertönen(悲しい音色で歌わないで) 37:09
Debussy(ドビュッシー):
- Romance(ロマンス) 39:12
- Mandoline(マンドリン) 41:31
- Clair de lune(月の光) 42:54
- Apparition(現れ) 45:36
Strauss(シュトラウス):
- Waldseligkeit(森の至福) 48:52
- Glückes genug(十分幸せ) 51:55
- Schlechtes Wetter(悪天候) 54:32
- Ach Lieb, ich muß nun scheiden(ああ恋人よ、ぼくはもう別れなければならない) 56:54
- Gefunden(見つけた) 59:15
- Hat gesagt - bleibt’s nicht dabei(言いました-それだけでは済みません) 1:02:01
Wolf(ヴォルフ): (encore)
- Auch kleine Dinge(小さなものでも私たちをうっとりさせることが出来るの) 1:03:58
Mozart(モーツァルト): (encore)
- Alleluia(アレルヤ) 1:06:51

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ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)の共演者たち

2019年12月に87歳で亡くなったドルトン・ボールドウィンの共演者をインターネットで分かる範囲内でリストにしてみました。
もちろん不完全ですが、かなりの数にのぼりますね。録音ではスゼー、アーメリング、キンブロー、ヴァン・ダムらが複数残していますが、コンサートでは録音のない人ともかなり共演しているようです。
ドイツ語圏の歌手がほとんどおらず、アメリカ人、フランス人が多いのが興味深く感じました。
日本人はこれまで頻繁に来日して、コンサートをしたり、録音をしたりした際の情報が多かったので、リストでもかなり目立ちますが、おそらく他の国でも沢山の歌手たちと共演したことでしょう。日本人の漢字の読みは分かる範囲で調べましたが、明記されていない場合は一般的な読み方に従いました。その為間違えている可能性もあります。お気づきの点がありましたらコメント欄でお知らせいただけますと幸いです。

●Dalton Baldwin(P)と共演した歌手、演奏家たち

Kimiko Adachi(S) 足立季実子
Colette Alliot-Lugaz(S) コレット・アリオ=ルガズ
Elly Ameling(S) エリー・アーメリング
Norah Amsellem(S) ノラ・アンセレム
Emi Arai(S) 荒井恵美
Tami Asakura(S) 朝倉蒼生
Arleen Augér(S) アーリーン・オジェー
Violet Chang(S) 張縵
Michèle Command(S) ミッシェル・コマン
Yukari Endo(S) 遠藤友歌里
Noriko Ichikawa(S) 市川倫子
Takako Ishii(S) 石井高子
Shigeko Kamada(S) 鎌田滋子
Mayuko Karasawa(S) 唐澤まゆこ
Rosemarie Landry(S) ローズマリー・ランドリー
Soon-Hee Lee(S) イ・ソニ
Felicity Lott(S) フェリシティー・ロット
Yolanda Marcoulescou(S) ヨランダ・マルクレスク
Mady Mesplé(S) マディ・メスプレ
Olivera Miljaković(S) オリヴェラ・ミリャコヴィッチ
Satomi Miyaji(S) 宮地里実
Michie Nakamaru(S) 中丸三千繪
Kuniko Nakatsuji(S) 中辻邦子
Jessye Norman(S) ジェシー・ノーマン
Fujiko Oshima(S) 大島富士子
Emiko Otsuka(S) 大塚恵美子
Kyoko Saito(S) 齊藤京子
Chikako Shimizu(S) 清水知加子
Michiko Sunamura(S) 砂村美智子
Yoko Tachibana(S) 橘洋子
Sayaka Takahashi(S) 高橋さやか
Terumi Takahashi(S) 高橋照美
Yasuko Takemura(S) 竹村靖子
Mieko Takizawa(S) 滝沢三重子
Jennie Tourel(S) ジェニー・トゥレル
Elizabeth Vidal(S) エリザベス・ヴィダル

Teresa Berganza(MS) テレサ・ベルガンサ
Motoko Eguchi(MS,S) 江口元子
Désirée Halac(MS) デジレ・ハラク
Atsumi Honda(MS) 本多厚美
Marilyn Horne(MS) マリリン・ホーン
Ayumi Ikehata(MS) 池端歩
Satomi Kano(MS) 加納里美
Jennifer Larmore(MS) ジェニファー・ラーモア
Glenda Maurice(MS) グレンダ・モーリス
Keiko Ogawa(MS) 小川恵子
Sofie-Christine Süssmann(MS) ゾフィー=クリスティーネ・ジュースマン
Takako Taguchi(MS) 田口孝子
Janice Taylor(MS) ジャニス・テイラー
Yuko Tsuji(MS) 辻宥子
Frederica von Stade(MS) フレデリカ・ヴォン・スターデ

Sandra Goodman(CA) サンドラ・グッドマン
Nathalie Stutzmann(CA) ナタリー・ストゥッツマン

John Aler(T) ジョン・アラー
Nicolai Gedda(T) ニコライ・ゲッダ
Hiromi Itoi(T) 糸井博己
Peter Pears(T) ピーター・ピアーズ
Takateru Sakamoto(T) 坂本貴輝
Teruo Sanbayashi(T) 三林輝夫
Michel Sénéchal(T) ミッシェル・セネシャル
Masao Takeda(T) 武田正雄

Gabriel Bacquier(BR) ガブリエル・バキエ
Simon Chaussé(BR) シモン・ショッセー
Sean Daniel(BR) ショーン・ダニエル
Franck Ferrari(BR) フランク・フェラーリ
Shigeo Harada(BR) 原田茂生
Wolfgang Holzmair(BR) ヴォルフガング・ホルツマイア
Masanori Kawakami(BR) 川上勝功
Steven Kimbrough(BR) スティーヴン・キンブロー
Katsuto Kobayashi(BR) 小林克人
Meinard Kraak(BR) メイナルト・クラーク
Bernard Levasseur(BR) ベルナール・ルヴァスール
Kurt Ollmann(BR) カート・オルマン
William Parker(BR) ウィリアム・パーカー
Gregory Reinhart(BR) グレゴリー・ライナート
Tadahiro Sakashita(BR) 坂下忠弘
Gérard Souzay(BR) ジェラール・スゼー
Muneaki Taguchi(BR) 田口宗明
Yasuo Yoshino(BR) 芳野靖夫

Seiichiro Sato(BSBR) 佐藤征一郎
Pierre Thirion-Vallet(BS) ピエール・ティリオン=ヴァレ
José Van Dam(BSBR) ジョゼ・ヴァン・ダム

Michel Debost(FL) ミッシェル・ドゥボスト
James Galway(FL) ジェイムズ・ゴールウェイ
Maxence Larrieu(FL) マクサンス・ラリュー
Jean-Pierre Rampal(FL) ジャン=ピエール・ランパル
Helmut Riessberger(FL) ヘルムート・リースベルガー
David Glazer(CL) デイヴィッド・グレイザー
A. Robert Johnson(French Horn) A.ロバート・ジョンソン
Masahiro Tanaka(HRN) 田中正大

Ani Kavafian(VLN) アニ・カヴァフィアン
Henryk Szeryng(VLN) ヘンリク・シェリング
John Harrington(VLA) ジョン・ハリントン
Yukimi Kambe(VLA) 神戸愉樹美
Robert Cordier(VLC) ロベール・コルディエ
Pierre Degenne(VLC) ピエール・ドゥジェンヌ
Renaud Fontanarosa(VLC) ルノー・フォンタナロザ
Pierre Fournier(VLC) ピエール・フルニエ
Bernard Greenhouse(VLC) バーナード・グリーンハウス
Friedrich Hiller(VLC) フリードリヒ・ヒラー

Yasuko Suzuki(P) 鈴木靖子

Quatuor Via Nova ヴィア・ノヴァ四重奏団

English Chamber Orchestra イギリス室内管弦楽団

Edo de Waart(C) エド・ドゥ・ヴァールト

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エリー・アーメリング&ドルトン・ボールドウィン(Elly Ameling & Dalton Baldwin)/1982年サル・プレイエル・シューベルト・リサイタル

Récital Elly Ameling, soprano avec Dalton Baldwin, piano : Salle Pleyel, 1982

 こちら

※日本時間の2020.1.16 AM7:00に聴けるようになりました。

Elly Ameling, soprano
Dalton Baldwin, piano

録音:5 novembre 1982 (Salle Pleyel, Paris)

Franz Schubert(シューベルト)

An die Musik(音楽に寄せて) D547
Nachtviolen(ハナダイコン) D752
An den Mond(月に寄せて) D259
Im Freien(戸外にて) D880
Auf dem See(湖上にて) D543
Erlafsee(エルラフ湖) D586
Die Forelle(ます) D550
Wanderers Nachtlied I(さすらい人の夜の歌Ⅰ) D284
Sei mir gegrüsst(わが挨拶を送ろう) D741
Der Musensohn(ムーサの息子) D764
Nähe des Geliebten(恋人のそば) D162
Heidenröslein(野ばら) D257
Amalia(アマーリア) D195
Das Mädchen(乙女) D652
Gretchen's Bitte(グレートヒェンの祈り) D564
Gretchen am Spinnrade(糸を紡ぐグレートヒェン) D118

エリー・アーメリングとドルトン・ボールドウィンによる1982年パリのシューベルト・リサイタルがfrance musiqueのサイトで聞けます。素晴らしいコンビによる素晴らしい音楽をぜひお聞き下さい。

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ドルトン・ボールドウィン追悼ラジオ番組「Hawaii Public Radio presents the Dalton Baldwin Trilogy memorial tribute」

NPR - Hawaii Public Radio presents the Dalton Baldwin Trilogy memorial tribute (part 1)

ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)が亡くなって1ヶ月が経とうとしています。
このタイミングでYouTubeのASPS NYチャンネルからボールドウィンを特集した番組がアップされました。

ボールドウィンのキャリアと、過去のインタビューなど、そしてボールドウィンの好きな演奏家の録音を聞きながらのコメントなど、盛り沢山の内容になっています。
ボールドウィンのファン必聴の番組です。

part 1とあるので、シリーズで次週以降アップされることと思います。

ボールドウィンはキャスリン・フェリア、ユッシ・ビョルリング、レナータ・テバルディ、ベルナック&プランク等の録音を聞きながら語っています。ディヌ・リパッティの演奏したモーツァルトのソナタ第8番の最終楽章も流れますが、ボールドウィンはご夫人であるマドレーヌ・リパッティに師事しました。

彼はソリストになろうとしたわけでなく"human voice"を崇拝していたと言っています。
一生を好きな声、歌の為に捧げることが出来たのは幸せな人生だったのかもしれませんね。

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●ドルトン・ボールドウィンの経歴

ドルトン・ボールドウィンは、1931年12月19日にニュージャージー州サミットで生まれた。
ボールドウィンは高校生の時、Morristownで開かれたイギリスのコントラルト歌手キャスリン・フェリアのリサイタルを聞き、「歌の世界へ誘ってくれた」と語っている。
ジュリアード音楽院で学んだ後、オハイオ州のオーバリン音楽院に学び音楽学士を取得した。
パリで著名な教育者ナディア・ブランジェやマドレーヌ・リパッティに師事し、ヴァルター・ギーゼキングやアルフレッド・コルトーのクラスにも参加した。

22歳の時に13歳年長のジェラール・スゼーとはじめて共演し、生涯を通じて共演を続けた。
フランシス・プランクやフランク・マルタンのような作曲家たちからも指導を受けた。
ネッド・ローレムの歌曲集「War Scenes」の1969年の初演をスゼーと共にワシントンで行った。

エリー・アーメリングとは1969年には共演し始め(この年にPhilipsにヴォルフ「イタリア歌曲集」を録音している)、その数年後にジェシー・ノーマンとも共演するようになる。
他にはアーリーン・オージェー、マリリン・ホーン、ジェニー・トゥレル、フレデリカ・ヴォン・スターデ、ミッシェル・コマン、マディ・メスプレ、ローズマリー・ランドリー、フェリシティ・ロット、ニコライ・ゲッダ、ジョゼ・ヴァン・ダム、スティーヴン・キンブロー、等とも共演した。
ヘンリク・シェリングやピエール・フルニエなどの楽器奏者やヴィア・ノヴァ四重奏団とも共演したが、彼は歌手との共演が最も好きだった。

彼は伴奏者(accompanist)と呼ばれることを好まず、単にピアニスト(pianist)と呼ばれたがった。
彼は5つの大陸で演奏し、生涯の録音は100を超えた。

ボールドウィンは2019年11月からの3週間に及ぶ日本での演奏と指導の日程を終え、仏教寺院を見るための短いミャンマー旅行をし、再び日本に戻る飛行機の中で体調を崩した。
飛行機は緊急着陸し、病院に運ばれたが、12月12日に雲南省昆明で亡くなった。87歳。

参考サイトはこちら

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(2020.1.18(土)追記)

ラジオ番組のpart 2がアップされましたので、こちらに貼り付けておきます。スゼーやアーメリングの録音についてボールドウィンが語っています。

NPR - Hawaii Public Radio presents a memorial tribute to Dalton Baldwin (part 2)

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エリー・アーメリング(Elly Ameling)&ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)のLP「Souvenirs」を聞けるサイト

エリー・アーメリング(Elly Ameling)が録音したLPレコードの多くは未だにCD化されないまま埋もれています。
それらが日の目を見ることはもしかしたらないかもしれません。
そうした中、ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)とCBSに録音した1979年のレコード「Souvenirs」を解説付きで扱っているサイトを見つけました。

 こちら

画面上方のプレイヤーの再生ボタンをクリックすると始まります。全部で1時間20分ぐらいです。
演奏と解説が重なっていますが、こういう形でこのLPをフィーチャーしてもらえるのは有難いです。

アーメリング・ファンの方はぜひお聞きください。そして、同時にボールドウィンを偲びながら、その至芸を味わいたいです。
中田喜直の歌曲「おやすみなさい」も含まれていますが、とても美しい曲です(私はアーメリングのこの演奏で、この曲を知りました)。

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エリー・アメリンク・リサイタル(SOUVENIRS)(全17曲)
CBS SONY: 25AC 680 (LP)
録音:1977年11月, 30th Street Studio, NYC
エリー・アメリンク(Elly Ameling)(S)
ダルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)(P)

1.ロッシーニ(Rossini)/踊り(La danza)2'54
2.カントルーブ(Canteloube)/「オーヴェルニュの歌」:子守歌(Brezairola)3'16
3.ロドリーゴ(Rodrigo)/お母さん、ポプラの林へ行ってきたよ(De los alamos)1'58
4.ヴュイエルモズ(Vuillermoz)/愛の庭(Jardin d'amour)2'59
5.ラフマニノフ(Rachmaninoff)/雪解け(Spring waters)1'57
6.アーン(Hahn)/ラストワルツ(La dernière valse)4'41
7.アイヴズ(Ives)/追憶(Memories)2'38
8.シェーンベルク(Schönberg)/ギゲールレッテ(Gigerlette)1'39
9.中田喜直(Nakada)/おやすみなさい2'12

10.パーセル(Purcell)/憩いの音楽(Music for a while)4'11
11.ウェルドン(Weldon)/眠らないよるうぐいす(The wakeful nightingale)1'52
12.ブリトゥン(Britten)/おお、あわれよ(O Waly, Waly)3'49
13.マルタン(Martin)/菩提樹の下で(Unter der Linden)2'47
14.リスト(Liszt)/おお、いとしい人よ(O lieb)5'20
15.シベリウス(Sibelius)/春は飛ぶが如く足早に(Våren flyktar hastigt)1'38
16.オランダ民謡(Dutch folk song)/母(Moeke)1'47
17.フレブレーク(Hullebroeck)/アフリカーンスの子守歌(Afrikaans Wiegeliedjie)2'35

(日本語表記はジャケット記載に従った)

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ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)の伴奏LP「レッツ・シング・シューベルト(Let's sing Schubert with Dalton Baldwin)」(キングレコード: SEVEN SEAS: K28C-152)

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レッツ・シング・シューベルト(Let’s sing Schubert with Dalton Baldwin)」(キングレコード: SEVEN SEAS: K28C-152)

ダルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)(P)

録音:1980年12月12日, King Record Studio No 1, Tokyo

[第1面]
シューベルト(Franz Schubert)作曲
1. ます(Die Forelle)
2. 春の信仰(Frühlingsglaube)
3. 聞け、聞け、ひばりを(Ständchen "Horch, horch, die Lerch")
4. 水の上にて歌える(Auf dem Wasser zu singen)
5. 君は我が憩い(Du bist die Ruh)
6. シルヴィアに(An Silvia)
7. 子守歌(Wiegenlied)

[第2面]
8. 楽に寄す(An die Musik)
9. 糸を紡ぐグレートヒェン(Gretchen am Spinnrade)
10. 野ばら(Heidenröslein)
11. 笑いと涙(Lachen und Weinen)
12. 春に(Im Frühling)
13. ミューズの子(Der Musensohn)
14. アヴェ・マリア(Ave Maria)

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歌曲の伴奏者がピアノパートのみを演奏して録音したLPレコードやCDがいくつか出ています。
例えば、エリク・ヴェルバ(Erik Werba)やジョン・ワストマン(John Wustman)、アーウィン・ゲイジ(Irwin Gage)、イェルク・デームス(Jörg Demus)、カール・カマーランダー(Karl Kammerlander)等の録音を挙げることが出来るでしょう。
私の知る限り、ヴェルバのLP以外はCDとして入手可能だったはずです。
私はヴェルバの録音については入手できていない為未聴なのですが、それ以外の録音を聞いた記憶では、アーウィン・ゲイジのシューベルトとブラームスの録音については歌手の練習用というよりはピアノパートの鑑賞用という印象を受けました。
ルバートの多いゲイジの演奏に合わせて歌うのはなかなか大変なのではないかと思ったのです。
もしかしたらゲイジは最初から歌手の存在を意識せず、ピアノパートだけでどれだけ芸術性があるのかを演奏で実証しようとしたのではないかとすら想像してしまいます。

先日(2019年12月12日)亡くなった名伴奏ピアニスト、ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)も日本のスタジオでシューベルトの伴奏レコードを録音していました。
このLPレコードはCD化されておらず、知る人ぞ知る隠れた録音となっています。
私もこのレコードは随分昔にネットのオークションサイトで見つけて入手しましたし、現在も探せば時折出品されているようですので、気になる方は検索してみてはいかがでしょうか。
録音は1980年12月12日と記されています。
偶然にも彼の命日と同じ日でした。

このLPジャケットの表には「糸を紡ぐグレートヒェン(Gretchen am Spinnrade)」の自筆譜が、裏面にはボールドウィンによる各曲の演奏の手引きが翻訳されて(鈴木靖子氏による翻訳)掲載されています。
このLPでのボールドウィンの演奏は、シューベルトの楽譜に忠実でありながら、そこに美しい歌が感じられ、テンポももたつくことがなく、ピアノパートだけで素晴らしい響きを再現しています。
一見特別なことはしていないように感じられるほど自然でありながら、よく聴くと実に細やかな表情が込められているのが分かります。
ゲイジと対照的に、このボールドウィンの演奏に合わせて歌うのはとても気持ちよさそうです。
ボールドウィンというピアニストは、もともと歌手になりたかったけれど声に恵まれていなかった為にピアニストになって歌曲と関わっていくことを決心したとプロフィールにはよく書かれています。
実際に彼の歌声がどうだったのかは分かりませんが、彼の理想が高かったのかもしれません。
でも、そのお陰でEMIの膨大なフランス歌曲全集(Fauré、Debussy、Ravel、Poulenc、Roussel)を、ボールドウィンの最高の演奏で聴くことが出来るわけですから、彼が伴奏者の道を選んでくれたことに感謝したいです。

ボールドウィンが「楽に寄す(An die Musik)」について述べている言葉を引用したいと思います。

「間奏と後奏にでてくるforte pianoのアクセントは、その音をよく響かせるためにほんの少し時間をかけて弾いて下さい。それは強く叩くアクセントではなく、inner(内的)な=つまり奥の深いところでのアクセントと思って下さい。」

アクセントを杓子定規に強く叩いてしまってはこの曲のデリカシーを壊してしまうのでしょう。
そういう繊細さをボールドウィンはピアニストに求めていますし、聴き手も内的なアクセントを味わいたいものだと思います。

ボールドウィンはジェラール・スゼー(Gérard Souzay)の1960年代以降のほぼ唯一の共演ピアニストでした。
もちろん例外はあって、80年代に日本に来た時にはピアニストの三浦洋一(Youichi Miura)とブラームスの歌曲集を録音しています。
でもスゼーにとって、彼の歌を最も理解しているピアニストは複数必要なかったのでしょう。
ボールドウィンのような常に快適なテンポで過剰さとは無縁の引き締まった演奏を聞かせてくれるピアニストと出会えたことがスゼーにとっても運命的なものだったのでしょう。
ボールドウィン以前にスゼーが共演していたジャクリーヌ・ロバン=ボノー(Jacqueline Robin-Bonneau)はソリストでもあり、シュヴァルツコプフ等とも共演した名伴奏者でもあったのですが、飛行機が苦手だった為、スゼーの演奏旅行の際に同行する別のピアニストが必要になり、ボールドウィンとの共演が始まったようです。
スゼー&ボールドウィンは、Philipsにフランス歌曲の主だったところを録音し、その後にEMIのフランス歌曲全集に参加しました。
後者では声の衰えが指摘されることも少なくないスゼーですが、その語り口の見事さはやはり別格だと思います。
そして、その優れた歌唱を完璧なまでに支え、時にリードし、一体となって歌の細やかな世界を披露してくれたボールドウィンは、スゼー同様の大きな貢献をしてきたと思っています。

私はスゼーと1回、アーメリングと2回の他は、日本人歌手たちと複数回共演するボールドウィンの実演に接することが出来ました。
日本人歌手と共演した時のボールドウィンは、演奏の一グループが終わり、袖に戻る時に、常に歌手に声をかけていて、労わっているように見えました。
歌を演奏するのが本当に心から好きなんだなぁというのが、舞台上でも感じられました。
こういうピアニストはそういるものではないと思います。

彼は最近ほぼ毎年秋に来日して日本人歌手たちとコンサートの舞台に出ていました。
今年の11月にも来日したそうですが、おそらく一般には非公開の形でレッスンを行ったのではないかと思います。
その後にミャンマーに旅行に行き、家に帰る飛行機の中で具合が悪くなり、緊急着陸したものの北京で亡くなったということのようです。

生涯現役を貫いた名手に心からの賛辞と感謝を捧げたいと思います。

Thank you and rest in peace, Mr. Dalton Baldwin.

Fauré: Les berceaux, Op. 23: No. 1(フォレ:ゆりかご)

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P)

Schubert: An die Musik, D 547(シューベルト:音楽に寄せて)

Elly Ameling(S), Dalton Baldwin(P)

Duparc: Chanson triste(デュパルク:悲しい歌)

Jessye Norman(S), Dalton Baldwin(P)

Quilter: Love's Philosophy(クィルター:愛の哲学)

Arleen Augér(S), Dalton Baldwin(P)

Masterclasse Dalton Baldwin(マスタークラス:ファリャ(Falla)「ムルシア地方のセギディーリャ(Seguidilla murciana)」)

Chrystelle Couturier janvier 2009
Centre d'ARt Lyrique de la Méditerranée

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インターネットで聴けるドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)のライヴ録音など

●ジェラール・スゼーBBCリサイタル(1966年)

A Gérard Souzay Recital (BBC, 1966)

Gérard Souzay (1918-2004) (BR)
Dalton Baldwin (1931-2019) (P)

In memory of the late Dalton Baldwin (1931-2019),
here is a recital he gave with his long-time musical partner Gérard Souzay (1918-2004).
They perform works by Schubert, Debussy, Francaix, Poulenc, and Roussel.

I. Franz Schubert (シューベルト): "Harfenspieler (竪琴弾き)", D. 478 0:00
Wer sich der Einsamkeit ergibt (孤独にひたりこむ者は)
Wer nie sein Brod mit Thränen aß (涙を流してパンを食べたことのない者は)
An die Thüren will ich schleichen (私が戸口に忍び寄ろうとすると)

II. Claude Debussy (ドビュッシー): "Le promenoir des deux amants (二人の恋人の散歩道)" 12:58
Auprès de cette grotte sombre (この暗い洞窟のほとり)
Crois mon conseil, chère Climène (愛するクリメーヌよ、私の言う通りにしておくれ)
Je tremble en voyant ton visage (お前の顔をみて私は震える)

III. Jean Françaix (フランセ): "L'adolescence clémentine (クレマンの若き日)" 20:07
De jan-jan (ジャン=ジャンのこと)
Mon cœur est tout endormy (わが心は眠っている)
D'une vieille dame fort pâle et d'un vieil gentilhomme (とても青ざめた老婦人と老紳士のこと)
Complainte (嘆き)
Avant naissance (生まれる前に)

IV. Francis Poulenc (プランク): "Calligrammes (カリグラム)" 26:52
L'espionne (女スパイ)
Mutation (変容)
Vers le sud (南の方へ)
Il pleut (雨が降る)
La grâce exilée (追われる美女)
Aussi bien que les cigales (蝉と同じように)
Voyage (旅)

V. Albert Roussel (ルッセル): "Trois mélodies (3つの歌)" 39:02
Amoureux séparés (引き裂かれた恋人たち)
Sarabande (サラバンド)
Cœur en péril (危機に瀕した心)


●ジェラール・スゼー「冬の旅」1959年パリ・ライヴ

Gérard Souzay sings "Winterreise" - Paris, 1959

Here is a live recital with Gérard Souzay and Dalton Baldwin
 from Paris of Schubert's setting of Wilhelm Müller's "Die Winterreise".
From the Salle Gaveau, Paris, December 2, 1959.
 (The illustrations are by Lotte Lehmann).


エリー・アーメリング、シューベルト・リサイタル 1978年アムステルダム・ライヴ
(オランダ放送局Radio4によるボールドウィンを偲ぶ文章と共に)

Sopraan Elly Ameling en pianist Dalton Baldwin

vrijdag 14 april 1978, Concertgebouw

Elly Ameling(S), Dalton Baldwin(P)

Schubert(シューベルト)作曲

1. Ellens Gesang nr.1 (エレンの歌Ⅰ“憩いなさい、兵士よ”D837)
2. Ellens Gesang nr.2 (エレンの歌Ⅱ“狩人よ、休みなさい”D838)
3. Ellens Gesang nr.3 (エレンの歌Ⅲ“アヴェ・マリア”D839)

4. Rosamunde, Fürstin von Zypern D.797: Romanze "Der Vollmond strahlt" (「キプロスの女王ロザムンデ」D797より~ロマンツェ“満月は輝き”)
5. Amalia (アマーリア D195)
6. Das Mädchen (乙女 D652)
7. Refrainlieder: Die Männer sind méchant (「4つのリフレイン歌曲」より~男はみんなこんなもの D866-3)

8. Suleika I (ズライカⅠ D720)
9. Der König in Thule (トゥーレの王 D367)
10.Gretchens Bitte (グレートヒェンの祈り D564)
11.Gretchen am Spinnrade (糸を紡ぐグレートヒェン D118)

12.Die Liebende schreibt (恋する娘が手紙を書く D673)
13.Claudine von Villa Bella: "Liebe schwärmt auf allen Wegen" (「ベラ荘のクラウディーネ」D239より“愛はいたるところに”)
14.Nähe des Geliebten (恋人のそば D162)
15.Liebhaber in allen Gestalten (あらゆる姿をとる恋人 D558)

16.Heidenröslein (野ばら D257)
17.Der Schmetterling (蝶々 D633)


ジェシー・ノーマン、オペラ・ギャルニエ・リサイタル

Concert exceptionnel à l’Opéra Garnier du 04/11/1980 (Archive INA)

Récital Jessye NORMAN accompagnée par Dalton BALDWIN au piano

Franz Schubert(シューベルト)
 Die Allmacht(全能) D.852
 An die Natur(自然に寄せて) D.372
 Am See(湖畔で) D.746
 Der Musensohn(ムーサの息子) D.764

Johannes Brahms(ブラームス)
 Ständchen(セレナーデ) Opus 106 n°1
 Dein blaues Auge(あなたの青い瞳) Opus 59 n°8
 Es träumte mir(私は夢に見た) Opus 57 n°3
 Feldeinsamkeit(野の孤独) Opus 86 n°2 
 Das Mädchen spricht(娘は語る) Opus 107 n°3

Charles Gounod(グノー)
 Ou voulez-vous aller?(どこへ行きたいの)
 Mignon(ミニョン)
 Sérénade(セレナード)
 Aimons-nous(愛し合おう)

Richard Wagner(ヴァーグナー)
 Wesendonck Lieder(5つのヴェーゼンドンクの詩による歌曲集)

Bis(アンコール)

Cäcilie de Richard Strauss (extrait des Quatre lieder op 27)(R.シュトラウス: ツェツィーリエ)

Je suis un peu grise de Jacques Offenbach (extrait de la Périchole) (オッフェンバック: 「ラ・ペリコール」より「ちょっぴり酔っぱらっちゃってるの」)


●Tadahiro Sakashita Official Web Site

師走はいかがお過ごしですか?

ボールドウィンの愛弟子でもあったバリトンの坂下忠弘さんのブログで、貴重な思い出話が書かれています。


SLIPPED DISC

同僚のグレアム・ジョンソン(Graham Johnson)の追悼文が掲載されています。

 

●追悼とVermontでのマスタークラスについての記事

The Lowe Down: Dalton Baldwin brought Vermonters ‘magic moments’


●私が過去に投稿したドルトン・ボールドウィンの記事

フィフティ・フィフティの関係-ドルトン・ボールドウィン

鎌田滋子&ボールドウィン/リサイタル(2008年11月15日 サントリーホール ブルーローズ)

メゾソプラノ本多厚美リサイタル~ダルトン・ボールドウィンとともに~(2011年11月22日 サントリーホール ブルーローズ)

大塚恵美子&坂下忠弘Joint Concert~Dalton Baldwin氏を迎えて~(2012年11月15日 ルーテル市ヶ谷センターホール)

大島富士子&ダルトン・ボールドウィン/リーダーアーベント(2012年11月20日 ルーテル市ヶ谷ホール)

鎌田滋子ほか&ダルトン・ボールドウィン/プーランク没後50年記念ガラコンサート(2013年11月19日 白寿ホール)

ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)逝去(1931.12.19-2019.12.12)

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ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)逝去(1931.12.19-2019.12.12)

大好きなアーティストがまた一人天に召されました。

ピアニストとして、そして後進の指導者として、歌曲の普及発展に大きく貢献されたドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)が2019年12月12日(木)に亡くなりました。一般的にはダルトン・ボールドウィンと表記されることが多かったのですが、NHKではより正確なドルトンという表記が使われていました。

ある記事によると、ミャンマーと日本で指導した後家路につく際に亡くなったとのことです。

https://slippedisc.com/2019/12/reports-jessye-normans-accompanist-has-died/

1週間後には88歳の誕生日を迎えるはずでした。87歳といえばジェラルド・ムーアが亡くなった年齢でもあります。長生きだとは思いますが、クラシック音楽を聴き始めた当初から馴染みのあったピアニストで、何度も実演を聴けたこともあり、とても寂しいです。

ボールドウィンの名前と切っても切れないのがフランスの名バリトン、ジェラール・スゼーで、ベルナック&プーランク、パンゼラ、モラーヌの流れを汲み、二人でフランス歌曲を網羅的に録音し、世に広めてきました。

数ヶ月前に亡くなったジェシー・ノーマンとも素敵な録音を残していますし、スゼーに次いで沢山共演したエリー・アーメリング、さらにアーリーン・オージェ、フレデリカ・ヴォン・スターデ、ニコライ・ゲッダ、スティーヴン・キンブロー、ジョゼ・ヴァン・ダム等世界中の歌手たちから求められるピアニストでした。

いろいろ書きたいことはあるのですが、整理してまた記事をアップしたいと思います。

歌曲を聴く喜びを常に教えてくれたドルトン・ボールドウィンに心から感謝したいと思います。

どうか安らかに。

https://www.wfmt.com/2019/12/14/dalton-baldwin-pianist-who-shared-stage-with-gerard-souzay-for-30-years-has-died/

https://www.google.co.jp/amp/s/amarketnews.com/2019/12/13/dalton-baldwin-death-obituary/amp/

https://www.francemusique.fr/actualite-musicale/mort-du-pianiste-dalton-baldwin-figure-des-accompagnateurs-79513

https://www.google.co.jp/amp/s/www.nicematin.com/amp/culture/dalton-baldwin-le-plus-antibois-des-pianistes-americains-est-decede

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ジェラール・スゼー(Gérard Souzay)生誕100年~フランス歌曲12選

フランスの名バリトン歌手ジェラール・スゼー(Gérard Souzay, 1918年12月8日 – 2004年8月17日)が今年で生誕100年を迎えました(ちなみに、スゼーの生まれた年はドビュッシーの没年でもあり、つまり、ドビュッシーは没後100年にあたるわけです)。
パンゼラ、モラーヌ、ベルナックらの跡を継いだスゼーは膨大なフランス歌曲のアンソロジーを録音しました。
ドイツ歌曲に比べると、歌われたり聞かれたりすることの少ないフランス歌曲の復興にスゼーが遺した業績は膨大だと思います。
彼のビロードの美声は、往年のソプラノ歌手、ロッテ・レーマンを虜にし、「スゼーを聞くためならば世界のどこへでも行きたい」と言わしめたほどです。
EMIレーベルの体系的なフランス歌曲全集にも参加し、フォレ、ドビュッシー、ラヴェル、プランクの歌曲を歌ったほか、より若い時期にはPHILIPSレーベルに続々と作曲家ごとの録音を残しました。

彼はフランス歌曲だけでなく、ドイツ歌曲も得意とし、おそらくフィフティ・フィフティの割合だったのではないかと想像します。
以前自動車のCMのBGMとして、彼の「美しい水車屋の娘」の一節が流れたことがありますが、彼の爽やかな美声が疾走感を与えていたのを覚えています。

私がはじめてスゼーのLPレコードを買ったのが、シューベルトの「冬の旅」とシューベルト歌曲集で、PHILIPSレーベルの派生レーベルから安価で販売されていたものでした。
つまり、スゼーの最初の体験はドイツ歌曲だったわけですが、それだけ彼のドイツ歌曲は市場に浸透していたということなのでしょう。
彼の実演はただ一度、今は公には使われなくなってしまった津田ホールでの80年代のリサイタルを聴けました。
ピアノ共演はもちろんドルトン・ボールドウィンで、独仏の歌曲がプログラミングされていました。
当時の彼はすでに全盛期の声ではありませんでしたが、とても味わいのあるいいリサイタルでした。
別の年だったと思いますが、来日公演がFM東京で放送され、雑音がザーザー入りながらもエアチェックしたものでした。
当時学校の音楽の授業でブラームスの「日曜日」を全員歌わされたことがあるのですが、なぜか私が伴奏者の一人となり、このエアチェックのボールドウィンの演奏を聞きながら練習したのもよい思い出です。

そんな思い出深いスゼーの生誕100年を記念して、せっかくなのでフランス歌曲だけで12の録音を選んでみました(最初は10選の予定だったのですが、収まりませんでした)。
とりわけ彼の弱声は絶品だと思います。
この機会にぜひスゼーのフランス歌曲を堪能してみてはいかがでしょうか。
ちなみに下の録音はすべてボールドウィンがピアノを弾いています。

●グノー(1818-1893)「いない人」
Charles Gounod: L'absent

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1963

●ビゼー(1838-1875)「四月の歌」
Georges Bizet: Chanson d'avril

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1963

●シャブリエ(1841-1894):蝉
Emmanuel Chabrier: Les cigales

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1963

●フォレ(フォーレ)(1845-1924)「月の光」
Gabriel Fauré: Claire de lune, Op. 46-2

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P)

●フォレ「ゆりかご」
Gabriel Fauré: Les berceaux, Op. 23-1

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1960

●デュパルク(1848-1933)「旅への誘い」(映像)
Henri Duparc: Invitation au voyage

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1960's

●デュパルク「溜息」
Henri Duparc: Soupir

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1962

●ドビュッシー(1862-1918)「艶なる宴 第1集」(ひそやかに/操り人形/月の光)
Claude Debussy: Fêtes galantes: Premier recueil L. 80 (En sourdine / Fantoches / Clair de lune)

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P)

●ルッセル(ルーセル)(1869-1937)「サラマンカの学生」
Albert Roussel: Le bachelier de Salamanque

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1962

●レナルド・アンヌ(アーン)(1874-1947):恍惚の時
Reynaldo Hahn: L'heure exquise

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1963

●ラヴェル(1875-1937)「5つのギリシャ民謡」(花嫁の目覚め/向こうの教会へ/私と較べられる伊達者は誰?/乳香樹を摘む女たちの歌/何と楽しい)
Maurice Ravel: Cinq mélodies populaires grecques (Chanson de la mariée / Là-bas, vers l'église / Quel galant m'est comparable / Chanson des cueilleuses de lentisques / Tout gai!)

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1968

●プランク(プーランク)(1899-1963)「祭りに出かける若者たち」(『村人たちの歌』より)
Francis Poulenc: Les gars qui vont à la fête ("Chansons villageoises")

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), Edinborough Festival, September 3, 1967

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ジェラール・スゼー&ドルトン・ボールドウィンによるシューベルト「幻の太陽」「ライアー弾き」映像(1977年)

先日シュライアーとリヒテルによるシューベルト「冬の旅」全曲の映像が見つかり喜んでいたところに、もう一つ貴重な映像がアップされた。
フランスのバリトン歌手で仏独両歌曲を得意としたジェラール・スゼー(Gérard Souzay: 1918-2004)と名パートナー、ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin: 1931-)による「冬の旅」最後の2曲の映像である。
この二人の演奏映像は(他の曲だが)かつてモノクロではDVDで出ていて、動画サイトにも一部アップされているが、カラー映像は私ははじめて見た。
カナダでの聴衆を前にした1977年のライヴらしい。

幻の太陽(幻日)(Die Nebensonnen)

ライアー弾き(辻音楽師)(Der Leiermann)

スゼーの声は盛期を過ぎていて、ちょっとのっぺりした歌い方が気になる方もいるだろう。
だが誠実で真摯な表現は、声が衰えていても聴き手に伝わるものなのである。
アップで映し出される顔の表情は、スゼーが歌の世界に入り込んでいることを示している。

「幻の太陽」の前半、3つの太陽が見えると歌われる間、スゼーは上方の一点を見つめて視線を離さない。
その後「おまえは私の太陽ではない」と歌うところでようやく視線を落とす。
そして「暗闇の中のほうがここちよい」と目を閉じて歌いおさめるのである。

「ライアー弾き」ではスゼーは各フレーズの最後の音を普通よりも伸ばして歌う。
それと対照的にボールドウィンはきっちりとリズムを守り、ドローンの低音をかすかに響かせる。
スゼーはアンニュイな疲れたような声で中ぐらいのボリュームで歌い、時々ささやくようにボリュームをおとす。
しかし、「私の歌にあなたのライアーを合わせてくれまいか」と締めくくる時には強めにしっかりと歌い、決してボリュームをおとさない。
希望とも絶望ともつかない歌声は、聴き手の想像力を刺激する。
スゼーの歌う「ライアー弾き」は、若者とライアーを弾く老人が一体になってしまったような印象すら受ける。
年を重ねたかつての若者が過去の苦い思い出を回顧しているのか?
一方ボールドウィンのピアノはきりっと弾き締まったリズムと響きで主人公の若さを反映しているかのようだ。

それにしても海外の聴衆は「冬の旅」の後でも全員がスタンディング・オベーションで熱狂的に演奏者をねぎらっていたのが印象的だった。

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