アーメリング、F=ディースカウ、ムーアらの写真!

たまたま画像検索していて見つけたのですが、エリー・アーメリング、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、ジェラルド・ムーアの3人が1枚に収まっているという超レアな写真がありました!
この3人だけでなく、ピアニストのスティーヴン・コヴァセヴィッチと、指揮者のベルナルト・ハイティンクも一緒です。
1970年の1枚ということですが、何か像を持っているので、授賞式か何かなのかもしれませんね。

 こちらの上方の写真です。クリックすると拡大します。

ちなみにこの写真の5人、すべて視線が別の方向を向いています。
意図的なのか偶然なのかは分かりませんが、ちょっと面白いです。
F=ディースカウがアーメリングを見つめる眼差しが優しげに感じられるのは気のせいでしょうか。
ちなみにアーメリング、F=ディースカウ、ムーアの3人は、この2年後にシューベルトの重唱曲の録音で共演を果たすことになります(Deutsche Grammophon)。

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ジェラルド・ムーア独奏による「音楽に寄せて」&「ヘラー作曲練習曲」

今年(2017年)が没後30年にあたる名伴奏者ジェラルド・ムーア(Gerald Moore: 1899-1987)のソロ演奏が某サイトにアップされていました。
このSP録音、存在は知っていたのですが、入手できず、「音楽に寄せて」のみは以前に故羽田健太郎さんのラジオで流されたのを聞いたことがあったのですが、ヘラーの練習曲は聞けないままでした。
アップして下さった方にただただ感謝あるのみです。
「音楽に寄せて」はムーアの1967年フェアウェル・コンサート(シュヴァルツコプフ、ロサンヘレス、ディースカウとの共演)のアンコールで弾かれたものが商品化されていますが、そちらは1節のみの短縮バージョンでした。
この1949年版は2節の形で変奏されていますが、あくまでも原曲を生かした編曲なのがムーアらしいです。

ちなみにこの録音、1949年11月ということですので、1899年7月生まれのムーアの満50才の録音ということになります。
他にはバルトークの小品しかソロ録音のないムーアが50才でこの録音をしたのはどういう心境だったのか、ちょっと気になります。

とにかくお聞きになってみてください!
ピアノで歌うということの最高の境地がここにあります。
あまりにも美しいです!

ピアノ独奏(Piano solo):ジェラルド・ムーア(Gerald Moore)
録音(Recording):1949年11月9日(9 November 1949)

シューベルト作曲(Schubert);ムーア編曲(arr. G.Moore):音楽に寄せて(An die Musik, D547)
Gerald Moore plays Schubert-Moore 'An die Musik'

ヘラー作曲(Heller):練習曲ホ長調(Étude in E Major, Op.45 No.9)
Gerald Moore plays Heller Étude in E Major Op.45 No.9

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ジェラルド・ムーア没後30年

往年の歌曲伴奏の第一人者として途方もない業績を残したジェラルド・ムーア(Gerald Moore: 1899.7.30-1987.3.13)が、今日(2017年3月13日)で没後30年を迎えました。
新聞で彼の訃報を読んだ時の衝撃は今でもはっきり思い出すことが出来るのですが、あれからもう30年も経ってしまったとは月日の経つのは早いものです。

ムーアについては膨大な音源があり、彼の業績を称えるには聴く人それぞれに思い入れのある録音があることと思います。

私も彼の録音を聴いて、歌曲好きを続けてきたようなものです。

30年前の今日を偲んで、彼のフェアウェル・コンサートでアンコールに弾いたムーア自身の編曲によるシューベルトの「音楽に寄せて」を聴いてみたいと思います(1967年2月録音)。

ここでの歌そのものと言いたいほど豊かなピアノの響きを耳にすると、彼が何故これほどまでに多くの共演者から愛されたのかがよく分かります。
ピアノで歌うということの最もよい実例がここにあると思います。
何度聞いても胸を打つ演奏です!
ぜひ聴いてみて下さい。

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ヘルマン・プライ&ジェラルド・ムーア/「白鳥の歌」他(ザルツブルク・ライヴ1964)リリース

プライとムーアによる1964年ザルツブルク音楽祭の歌曲の夕べがCD化されたようです。
シューベルトの「白鳥の歌」全曲とその他の歌曲です。
この両者はフィリップスレーベルにも「白鳥の歌」のスタジオ録音を残していますが、1964年のライヴはその曲順の解体で語り草になっていた演奏でした。
私は現在まだ入手できていないのですが、こうして正規盤として聴ける日が来るとは思っていなかっただけに、とても嬉しく歓迎すべきリリースだと思います。

詳細はHMVのサイトをどうぞ。
 こちら

当時は「白鳥の歌」を出版された通りの順序で演奏するのが通例だったと思われるので、どういう経緯でプライが曲順を変えたのか興味深いところです。
往年の記録の復活を喜びたいのと同時に、まだまだプライのザルツブルク・ライヴは沢山お宝が眠っているはずなので、そろそろまとめて歌曲だけでもリリースしてほしいところです。

ちなみに「歌びと」「夕映えの中で」「シルヴィアに」はプライは別のピアニストとスタジオ録音しているので、ムーアとの組み合わせで聴けるのも有難いことです。

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(2015.11.6追記)

CD、入手しました!
プライはもちろんライヴならではの熱唱を聴かせているのですが、ヴァルター・クリーンとの熱いスタジオ録音とは違って、全体にコントロールが感じられるのが興味深かったです。
クリーンとのスタジオ録音が勢いに任せた若い時期ならではの情熱だったのに比べて、こちらは熱さと冷静さのバランスがよく、激しい「アトラス」でさえ、どこか冷静な目が感じられるほどでした。
だからといって決して冷たい演奏ということではなく、プライの歌唱にさらに彫りの深さが加わったということなのでしょう。声を前面に出したものではなく、声を歌唱の手段として使っているのが感じられて素晴らしい演奏でした。
ムーアはピアノでとても美しく歌い、プライの音楽性を完全に把握しているのはいつもながらさすがです!

「白鳥の歌」が目玉であることは間違いないのですが、ぜひとも「竪琴弾きの歌」や「ミューズの子」なども聴いてみて下さい。会場で聴いているような臨場感がなんとも言えず素晴らしいです。

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ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ&ジェラルド・ムーアの1974年UNESCOコンサート映像(シューベルト4曲)

ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau)とジェラルド・ムーア(Gerald Moore)の映像といえば、BBCでテレビ用に収録したものが有名ですが、なぜかこれまでコンサートでの共演映像を見る機会に恵まれませんでした。

動画サイトに1974年のUNESCOコンサートでシューベルトの歌曲4曲を演奏した2人の動画がアップされていました。
画質はあまり良くないですが、それでも貴重な記録で、私は狂喜しました!
1974年といえば、ムーアがステージから引退してすでに7年経っています。
どうやってディースカウがムーアを口説き落としたのかは分かりませんが、特別な機会ということでムーアも承諾したのでしょうか。
ディースカウの声はまだまだ美声を保っており、歌う表情がアップでとらえられています。
ムーアの演奏姿はそれほど多くは映っていませんが、「ひめごと」のダイナミクスの繊細な変化など依然として素晴らしいです。
なによりもこの二人がそろってステージに出演しているのが見られただけでもファンとしては嬉しいです。

ライヴ録画:1974年1月9日, Paris, France

ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau)(baritone)
ジェラルド・ムーア(Gerald Moore)(piano)

シューベルト作曲
1.漁師の娘(Das Fischermädchen)
2.夕映えの中で(Im Abendrot)
3.孤独な男(Der Einsame)
4.ひめごと(Geheimes)

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ヘルマン・プライ&ジェラルド・ムーア/ヴォルフ&プフィッツナー、シュトラウス歌曲集 初CD化(DECCA)

DECCAレーベルの"MOST WANTED RECITALS"でプライ&クリーンの「白鳥の歌」ほか数々の名盤がCD化されたことは既述のとおりですが、このシリーズ中、日本でなぜか今のところ流通していない複数のCDの中にヘルマン・プライ&ジェラルド・ムーアの「ヴォルフ&プフィッツナー歌曲集」があります。
しかもボーナストラックとして同じコンビによるR.シュトラウス歌曲集も含まれているというお得な盤です。
amazonなどでいずれ扱うのかどうか不明ですが、メキシコのDECCAの企画とのことで、どうしてもすぐに欲しい方はPresto Classicalというイギリスのサイトからお求めになるのがいいかと思います。

私はこのプライ&ムーアの「ヴォルフ&プフィッツナー歌曲集」と「ホッター&パーソンズ/リサイタルVol.2」を注文しましたが、1週間も経たないうちに届きました。
さらに「スゼー&ボールドウィン/フランス歌曲集(これも初CD化)」も追加で注文しているので届くのが楽しみです。

このCDの購入については下の記事の追記をご覧ください。
 こちら

ではこのCDの中身をご紹介します。

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DECCA: 480 8172
MOST WANTED RECITALS 35

ヘルマン・プライ(Hermann Prey)(Baritone)
ジェラルド・ムーア(Gerald Moore)(Piano)

録音:1965年4月2-5日, Decca Studios, West Hampstead, London (1-19)
1963年6月4-7日, Decca Studios, West Hampstead, London (20-33)

ヴォルフ(Wolf)作曲/「メーリケ歌曲集」より
1.庭師
2.依頼
3.飽くことのない愛
4.出会い
5.狩人の歌
6.春だ!
7.散歩
8.旅路で
9.郷愁
10.祈り
11.隠棲
12.ヴァイラの歌
13.告白
14.鼓手

プフィッツナー(Pfitzner)作曲/「5つの歌曲」Op.9
15.庭師
16.孤独な娘
17.秋に
18.勇敢な男
19.別れ

R.シュトラウス(R.Strauss)作曲
20.献呈Op.10-1
21.何もOp.10-2
22.夜Op.10-3
23.ぼくの頭上に広げておくれOp.19-2
24.ぼくたち、隠しておいていいものだろうかOp.19-4
25.わが思いのすべてOp.21-1
26.あなた、わが心の冠よOp.21-2
27.ああ、恋人よ、もう別れなければならないOp.21-3
28.ああ辛い、俺はなんて不幸な男なんだOp.21-4
29.憩え、わが魂Op.27-1
30.明日Op.27-4
31.夜の散歩Op.29-3
32.親しげな幻影Op.48-1
33.あなたの青い瞳でOp.56-4

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すべて初CD化です。
録音年月日も今回明記されているのが有難いです。
1965年録音の「ヴォルフ&プフィッツナー歌曲集」全曲と、1963年録音の「R.シュトラウス歌曲集」(「白鳥の歌」のCDに含まれる3曲以外全曲)で構成されていますが、どちらも30代のプライの声の美しさ、張り、表現力、語り口は絶好調です!

ヴォルフの「メーリケ歌曲集」は全53曲からなるのですが、その中からプライの声やキャラクターに合った作品が慎重に選ばれているのが感じられます。
「庭師」では通りかかった王女様へのひそやかな愛の告白を実直なまでにストレートに歌い上げ、聴き手の気持ちを心地よく明るくしてくれます。
「依頼」では友人に好きな人の返事を代わりに聞いてもらう切迫した感じが"Warum schreibt Er aber nicht?(なぜ手紙をくれないのですか)"の歌いぶりによく表れていて、オペラの一場面のように楽しいです。
「飽くことのない愛」では"Je weher, desto besser!(痛ければ痛いほど気持ちがいいの)"の"besser"におけるプライのなんともいえないニュアンスが聴きどころです。
「春だ(あの季節だ)!」では春の到来の喜びを前半は抑制を利かせ、後半に爆発するその配分が素敵です。
「祈り」の厳かな歌唱や有名な「隠棲」での真摯で力強い歌いぶりも素晴らしいのですが、最後の「告白」「鼓手」のユーモアはまさにプライの独壇場でしょう。
「告白」では兄弟がいない為に母親から一心に期待を寄せられて重いよぉと嘆くさまが実にユーモラスに語られ、声のちょっとしたニュアンス付けなど芸達者なプライを満喫できます。
一方「鼓手」では、お母さんが魔法が使えたら酒保で働いてご馳走が食べられるのにと、「告白」とは逆の母親好きな少年を描いていて、そのプログラミングも絶妙と言えましょう。

プフィッツナーは作品番号9のアイヒェンドルフの詩による全5曲が演奏されていますが、第1曲のタイトルが「庭師」で、メーリケ歌曲集のプログラミングに合わせたとも考えられますね。
最後は「別れ」というタイトルですし、プライならではの凝った選曲&曲順ということがいえそうです。
哀愁漂う歌曲集で、プライの甘美な声が一層切なさを際立たせているように感じられます。

シュトラウスの歌曲集は作品番号順に並べられているのはプライの考えなのでしょうか。
有名で親しみやすい作品が選ばれていて魅力的な選曲です。
「献呈」での全霊を傾けた歌唱はプライの良さ全開です。
「憩え、わが魂」のような重めの作品でもプライが歌うとほのかな光が射すのがまた魅力です。
「あなたの青い瞳で」での素朴でストレートで甘美な歌はまさにプライの良さが集約されていますね。
こぼれおちそうなほど熟れたプライの美声が存分に味わえる素敵な歌曲集でした。

ムーアは60代半ばの脂の乗り切った円熟味がそのまろやかなタッチから感じられ、これまた耳を惹きつけて離しません。
「明日」など絶品です。
そしてディースカウと共演した時とは違ったプライ仕様の演奏になっているのが興味深いです。
例えばヴォルフの「出会い」をディースカウとは猛スピードで駆け抜ける風のように演奏していましたが、プライとは最初のうちややテンポをゆるやかにとり、恋人との逢瀬を歌う直前の間奏で恋の嵐を吹き荒れさせます。
そして、そのどちらにもムーアの個性が刻印されているのが素晴らしいところです。
ヴォルフの「春だ!」はF=ディースカウとのメーリケ歌曲(男声用)全集録音時に省かれてしまった為、ムーアファンにとっては、プライが録音してくれて感謝です!
ムーアの軽やかで味のあるタッチが魅力的です。

Prey_moore_wolf_lieder

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(2014年8月9日追記)

HMVでとうとう扱うようです。9月10日発売とのことです。
 こちら

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F=ディースカウとムーアのちょっとした符合

昨年ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウが亡くなったことは、私も含め多くのリートファンを驚かせ、悲しませたことだろうと思う。
だが、彼の演奏の一期間において欠かせない共演者であったジェラルド・ムーアの生涯を照らし合わせた時、ちょっとした符合があることに気付いた。

ムーア(1899.7.30-1987.3.13)が公式引退したのは1967年2月でムーア67歳、
そして亡くなったのは1987年3月で87歳。
ちょうど引退から20年後に亡くなったことになる。

一方のF=ディースカウ(1925.5.28-2012.5.18)は公式引退が1992年12月31日で67歳、
そして亡くなったのは2012年5月で86歳。
あと10日後にディースカウ87歳の誕生日を控えていた時の彼の死であった。

引退と死の年齢がほぼ共通しているといっても、「だから?」という程度の話題ではある。
だが、ムーアもディースカウもその演奏によってどれほど私の心を潤してくれたことかと考えると、こんなちょっとした偶然にも意味を感じてしまうのである。
それがファン心理というものなのだろうか。

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ジェラルド・ムーア没後25周年

今日3月13日は、歌曲愛好家にとって馴染みの深いピアニスト、ジェラルド・ムーアが1987年に亡くなってちょうど25年となる。
歌曲の伴奏ピアニストとしての彼についてはあまりにもよく知られているので、今回は珍しい楽器奏者の共演者としての録音をご紹介したいと思う。

その昔"Solo Instruments of the Orchestra(オーケストラのソロ楽器)"というEPレコードのシリーズが、各巻ごとに楽器を変えてHMVからリリースされていたらしい。
例えば第1巻はヴァイオリンのイェフディ・メニューヒン(Yehudi Menuhin)、第2巻はヴィオラのハーバート・ダウンズ(Herbert Downes)、第3巻はチェロのジャクリーン・デュ・プレ(Jacqueline du Pre)が担当しているらしい(これらは私は所有していない)。

そして、その第4巻ではコントラバスのステュアート・ナッセンとトランペットのフィリップ・ジョーンズが登場する。
このEPをあるサイトで入手することが出来た。

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Knussen_jones_moore_ep_3Solo Instruments of the Orchestra No. 4
-The Double Bass & The Trumpet

STUART KNUSSEN, PHILIP JONES with GERALD MOORE
Music by Bozza and Koussevitzky

Koussevitzky / Concerto for double-bass, Op. 3~Mvt. 1
Stuart Knussen(double bass)
Gerald Moore(piano)

Bozza / Caprice
Philip Jones(trumpet)
Gerald Moore(piano)

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クーセヴィツキーのコントラバス協奏曲は、この楽器のレパートリーとして貴重なもののようだが、ここでは第1楽章のみがピアノ伴奏版で演奏されている。
独奏者のステュアート・ナッセンはロンドン交響楽団の首席コントラバス奏者で、指揮者、作曲家として知られるオリヴァー・ナッセンの父親でもある。
ここでのムーアの演奏は、オケの代わりというよりもデュオの相手という感じで、オケの色彩感よりはオリジナルのピアノパートを弾いているような印象を受ける。
地味かもしれないが、やることはしっかりやっているという印象で、テキストの付いていない作品を演奏する時もどことなくリートを弾く時のような柔らかさ、繊細さが感じられるのが面白い。
そこが物足りないという人もいるだろうが。

ボザ作曲のカプリースは、華やかなトランペットに負けず、ピアノパートもなかなかの活躍ぶりである。
楽器同士の火花が散るような燃焼型の演奏ではもちろんなく、トランペットとピアノで1つの音楽に溶け合わせようとしているのがいかにもムーアらしい。
レガートの美しさはさすがである。

歌曲での定評に比べて、器楽曲でのムーアはあまり評価されないきらいがある。
確かにムーア自身の資質の問題もあるのかもしれないが、私は歌曲演奏者としての美質を器楽曲にも適用している(無意識かもしれないが)点に彼の存在意義を感じる。
バリバリ弾くピアニストは沢山いても、真にカンタービレを感じさせるピアニストは圧倒的に少ない。
耳をそばだてて聴く時にはじめて、声高に主張する演奏者からは得ることの出来ない良さを感じることが出来る-それが器楽曲を演奏するジェラルド・ムーアの味わいである。

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ジェラルド・ムーア/「伴奏者の発言」

久しぶりにムーアの著書「伴奏者の発言」(原題:The Unashamed Accompanist)を開いてぱらぱらと目を通していたら、これが今でも色あせておらずとても面白かった。

この本は声楽や器楽のピアノ伴奏者の様々なノウハウが彼独特のユーモアにくるまれながら説かれ、ピアニスト必読の書であることは言うまでもないが、歌曲愛好家にとってもピアニストがどういう心構えで演奏しているのかを知ることが出来て興味深いと思う。

例えばムーアは演奏会前の控え室での心構えをこう説く。

「伴奏者は音楽会の直前、控室で神経過敏らしい様子を少しでも見せてはならない。実際、もし彼が疑いや不安をもっているならばそれを隠すべきである。彼の態度と何気ない様子は、経験の浅い慄えている歌手を落ちつかせるのに役だつ。」

以前、フィリップ・モルがムーアのこの箇所を挙げて、私も実践していると言っていた。
声楽家は演奏会前には非常に過敏になるので、ピアニストはどんなに不安をかかえていてもそれを声楽家に悟られないようにしなければならないというのである。

また、「控室にとびこんで、相手を質問攻めにしてはならない。」と言い、
「この歌のテンポをはっきりさせておきたいので、教えて下さいませんか」
「昨日風邪をひきそうだといっておられましたね。…それでもあなたは最高音をメツォ、ヴォーチェにすることがおできになるかしら」
などとは言ってはならないと説き、さらにこれらは「私自身のにがい経験から生まれたもの」と告白している。
ムーアの伴奏者としての実践から得られた言葉は重みをもっている。

ムーアが多くの歌手たちから信頼を寄せられていたのもこういう細やかな配慮があってこそだったのかもしれない。

「演奏家の控室」という章の最後はユーモアもこめてこう締めくくる。
「そして最後にもう一言、あなたがステージに上る時、ソプラノ歌手の裾をふみつけないように。」

(音楽之友社、1959年発行、大島正泰訳)

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アーメリングのシューベルト歌曲集(ムーアほか共演:1972年)

「シューベルト三重唱曲&四重唱曲集」

Ameling_moore_schubert_dgCD:ポリドール:Deutsche Grammophon:POCG-9022/9029
録音:1972年4月 Ufa Studio, Berlin, Germany

エリー・アーメリング(Elly Ameling)(S)
ジャネット・ベイカー(Janet Baker)(A:四重唱曲のみ)
ペーター・シュライアー(Peter Schreier)(T)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau)(BR)
ジェラルド・ムーア(Gerald Moore)(P)

シューベルト(Schubert)作曲

三重唱曲
1)結婚式の焼肉(Der Hochzeitbraten)D930(ショーバー詩)(10'35)
2)歌手ヨーハン・ミヒャエル・フォーグルの誕生日のためのカンタータ(Kantate zum Geburtstag des Sängers Johann Michael Vogl)D666(シュタードラー詩)(10'30)

四重唱曲
1)ダンス(Der Tanz)D826(メーラウ詩)(0'52)
2)誕生日讃歌(Geburtstagshymne)D763(詩人不明)(4'55)
3)無限なる者に寄せる讃歌(Hymne an den Unendlichen)D232(シラー詩)(3'19)
4)太陽に寄せて(An die Sonne)D439(ウーツ詩)(6'26)
5)埋葬の歌(Begräbnislied)D168(クロップシュトク詩)(3'16)
6)雷の中なる神(Gott im Ungewitter)D985(ウーツ詩)(5'19)
7)世界の創造者たる神(Gott der Weltschöpfer)D986(ウーツ詩)(2'22)
8)生きる喜び(Lebenslust)D609(詩人不明)(1'18)
9)祈り(Gebet)D815(フケー詩)(10'33)

(曲名の日本語表記はCD解説書の表記に従いました。)

アーメリングのおそらく唯一のドイチェ・グラモフォンへの録音は、F=ディースカウ&ムーアのシューベルト歌曲全集を補完するための重唱曲集である。ここでアーメリングが共演している3人の歌手たちのうち、ベイカーとはベートーヴェンのミサ曲やバッハのカンタータで、シュライアーとはメンデルスゾーンの「エリア」ですでに共演済みで、F=ディースカウとは初共演だったが、この録音の数年後バッハの「クリスマス・オラトリオ」で再度共演することになる。しかし、ムーアとの共演はおそらくこの録音が唯一だろう。三重唱曲についてはアーメリングが参加している上述の2曲以外にも、彼女の代わりにホルスト・R.ラウベンタール(T)が加わった5曲(D37, 277, 407, 88, 148)が同時に収録されている。

三重唱曲の2曲はいずれも10分を越す長大な作品だが、「結婚式の焼肉」はオペラの一場面を見ているようにコミカルなやりとりが繰り広げられて、楽しい。翌日に結婚式をひかえた若いカップルが式の料理のために禁猟区でひそかに兎狩りをしているが、それを見つけた猟師カスパルが牢獄へ送り込むと脅す。そこを宥めすかして、最終的にはカスパルを式に招待し、焼肉も彼が用意してくれることになるという内容である。アーメリングとシュライアーが若いカップルを生き生きした声で表現して魅力的だが、特にアーメリング演ずるテレーゼが兎を追う時に発する言葉"Gsch! gsch! prr, prr."が楽しい。
「歌手ヨーハン…」は、シューベルトの友人で、彼の歌曲を世に広めるのに尽力したテノール歌手フォーグルの誕生日を讃えた内容で、同じ節が何度も繰り返し歌われるため、10分以上もかかる。第2節はアーメリングのソロとなり、同じテキストが何度も繰り返されるので、数分間彼女とムーアのみのアンサンブルを聴くことが出来る。また、第4節は繰り返しはないが、再びアーメリングのソロとなる。この曲はほとんどソプラノとテノールのソロパートで占められ、バリトンの出番はほんのわずかに限られるが、F=ディースカウの存在感はさすがである。アーメリング、シュライアーともに真摯な表現でフォーグル讃歌を表現していた。

四重唱曲はアルトのジャネット・ベイカーが加わり、シューベルトを得意とする5人の演奏家たちの緊密で素晴らしいアンサンブルを楽しむことが出来る。軽快な「ダンス」はとても短いが、シューベルトの最も魅力的な重唱曲の一つに数えられるだろう。若者はダンスを楽しむが、首や胸が痛くなると楽しさが消えると歌われる。作詞者不詳の「誕生日讃歌」や、太陽に語りかける「太陽に寄せて」などを除くと全能なる神への呼びかけや讃歌が多く、テキストの内容も難解で若干重く厳粛な感があるが、この種の詩を重唱曲として作曲することにより、家族や友人たちの集いの場で神への信仰心に気軽に親しむことが出来たのかもしれない。

アーメリングは著名な同僚たちの前で若干声の硬さを感じる箇所があるものの、総じて動じずに堂々とした歌唱を披露している。彼女の声の若さと軽快さは、「結婚式の焼肉」や「ダンス」「生きる喜び」のような曲に特に適しているように感じられるが、一方、バッハなどで鍛えられたであろうスタイリッシュで真摯な表現は「無限なる者に寄せる讃歌」「祈り」などで生かされていた。

ジャネット・ベイカーは丁寧で温かい声でアンサンブルを支え、シュライアーはメロディーラインを格調高く歌い、F=ディースカウはアンサンブルの土台を特有の存在感で響かせていた。

ジェラルド・ムーアはレコーディング・キャリアのほとんど最後のものに数えられるこの録音で、複数の歌手たちを相手にしても全くズレのない一体感で音楽を作り上げるその技量を披露し、ただ脱帽するのみだ。強弱、フレージングから音の長短まで、あたかも歌手自身が弾いているかのように驚くほど一心同体の演奏を実現していた。

Ameling_moore_schubert_terzette_3 Ameling_moore_schubert_quartette_5 ←オリジナルLPジャケット

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