ヴォルフ:太陽が輝くのが真実であるように(Wolf: So wahr die Sonne scheinet)

So wahr die Sonne scheinet
 太陽が輝くのが真実であるように

So wahr die Sonne scheinet,
So wahr die Wolke weinet,
So wahr [das Feuer]1 sprüht,
So wahr der Frühling blüht;
So wahr hab' ich empfunden,
Wie ich dich halt' umwunden:
Du liebst mich, wie ich dich,
Dich lieb' ich, wie du mich.
 太陽が輝くのが真実であるように
 雲が泣くのが真実であるように
 火が飛び散るのが真実であるように
 春が花盛りなのが真実であるように
 僕が巻き付けられて君を離さないように感じたのも
 真実なのだ。
 僕が君を愛するように、君も僕を愛する。
 君が僕を愛するように、君のことを僕も愛する。

Die Sonne mag verscheinen,
Die Wolke nicht mehr weinen,
[Das Feuer]1 mag versprüh'n,
Der Frühling [mag verblüh'n;]2
Wir wollen uns umwinden
Und immer so empfinden:
Du liebst mich, wie ich dich,
Dich lieb' ich, wie du mich.
 太陽は輝かないかもしれず
 雲はもう泣かないかもしれず
 火は飛び散らないかもしれず
 春は花が散ってしまうかもしれない。
 僕らは巻き付いて
 いつもこう感じていたい。
 僕が君を愛するように、君も僕を愛する。
 君が僕を愛するように、君のことを僕も愛する。

1 Rückert: die Flamme
2 Rückert: nicht mehr blühn!

詩:Friedrich Rückert (1788-1866), no title, appears in Lyrische Gedichte, in 3. Liebesfrühling, in 1. Erster Strauß. Erwacht, no. 13
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "So wahr die Sonne scheinet", 1878

作曲:1878年2月8日(金), Wien

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ヴォルフは1878年2月8日にリュッケルトのテキストにはじめて作曲します。その詩「太陽が輝くのが真実であるように(So wahr die Sonne scheinet)」には、シューマンがすでに二重唱曲、四重唱曲として2回作曲していました。2年前にはヴォルフはハイネの詩によるシューマンの歌曲と同じテキストに作曲しており、シューマンの歌曲に挑戦しようという野心があったのかもしれません。ヴォルフはリュッケルトの詩による歌曲を同じ1878年に2曲作曲します(うち1曲は断片)が、その後、リュッケルトの詩に作曲することはありませんでした。また、シューベルトの5つのリュッケルト歌曲とテキストの選択が全く重ならないのは興味深いところです。

このヴォルフの歌曲は、2節の有節形式で作曲されています。十六分音符のピアノにのって軽快に進み、あっという間に終わってしまいます。歌声部は最初のうち下行するフレーズと上行するフレーズが交互にあらわれ、途中から上下する旋律になり、歌い終わりは主音にならないまま、ピアノ後奏が引き継いで主和音で締めくくります。アンコールピースにうってつけの魅力的な作品だと思いますが、今のところ正規のスタジオ録音は1種類(ドゥ・ラン&カイノホによるStone Records盤)しかないようです。

2/4拍子
変イ長調(As-dur)
Etwas lebhaft (いくぶん生き生きと)

●[Wolf: So wahr die Sonne scheinet] ("So wahr die Sonne scheinet"は55:55まで進めてからご覧ください)
WolfZWölf vol 10「初期歌曲集」
林田明子(S), 松川儒(P)
Akiko Hayashida(S), Manabu Matsukawa(P)

Channel名:tan t.(オリジナルのリンク先はこちら)
ヴォルフ歌曲全曲演奏会「シリーズⅩ」2006年9月26日 浜離宮朝日ホール

●[Hugo Wolf:]So wahr die Sonne scheinet
クイレイン・ドゥ・ラン(BR), ショルト・カイノホ(P)
Quirijn de Lang(BR), Sholto Kynoch(P)

Channel名:Release - Topic(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:11 October 2011, Holywell Music Room, Oxford, U.K.

●【参考】ローベルト・シューマン:太陽が輝くのが真実であるように Op. 37/12(『愛の春からの詩』より)(二重唱曲)
[Robert Schumann:] Duette: So wahr die Sonne scheinet op. 37/12
ユリア・ヴァラディ(S), ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), コルト・ガーベン(P)
Julia Varady(S), Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Cord Garben(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
録音:8 December 1977, Haus des Rundfunks, Berlin

●【参考】ローベルト・シューマン:太陽が輝くのが真実であるように Op. 101/8(『ミンネシュピール(愛の戯れ)』より)(四重唱曲)
[Robert Schumann:] Minnespiel, Op. 101: No. 8, Quartett. "So wahr die Sonne scheinet"
エッダ・モーザー(S), ハンナ・シュヴァルツ(CA), ニコライ・ゲッダ(T), ヴァルター・ベリー(BS), エリク・ヴェルバ(P)
Edda Moser(S), Hanna Schwarz(CA), Nicolai Gedda(T), Walter Berry(BS), Erik Werba(P)

Channel名:ヴァルター・ベリー - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

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(参考)

The LiederNet Archive

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder III (1875-1878)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

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ヴォルフ:悲しい道 (Wolf: Traurige Wege)

Traurige Wege
 悲しい道

1.
Bin mit dir im Wald gegangen;
Ach! wie war der Wald so froh!
Alles grün, die Vögel sangen,
Und das scheue Wild entfloh.
 きみと森に行った。
 ああ!森はなんと朗らかだったことか!
 すべてが緑に染まり、鳥たちは歌い、
 臆病な動物は逃げて行った。

2.
Wo die Liebe frei und offen
Rings von allen Zweigen schallt,
Ging die Liebe ohne Hoffen
Traurig durch den grünen Wald.
 自由であからさまな愛が
 あたりのあらゆる枝々から鳴り響くところで
 望みのない愛は
 悲しげに緑の森を歩いて行った。

3.
Bin mit dir am Fluß gefahren;
Ach! wie war die Nacht so mild!
Auf der Flut, der sanften, klaren,
Wiegte sich des Mondes Bild.
 きみと川を渡った。
 ああ!夜はなんと穏やかなことか!
 やさしく澄んだ水面に
 月影が揺れていた。

4.
Lustig scherzten die Gesellen;
Unsre Liebe schwieg und sann,
Wie mit jedem Schlag der Wellen
Zeit und Glück vorüberrann.
 若者たちは楽しそうに戯れあっていた。
 一方ぼくらの愛は押し黙り思いにふけっていた。
 波が打ち寄せるにつれ
 なんと時と幸福は通り過ぎて行くことか。

5.
Graue Wolken niederhingen,
Durch die Kreuze strich der West,
Als wir einst am Kirchhof gingen;
Ach! wie schliefen sie so fest!
 灰色の雲が垂れ込め
 十字架の間を西風がかすめ渡ったものだった、
 かつてぼくらが墓地に出かけたときには。
 ああ!みななんとぐっすり眠っていたことか!

6.
An den Kreuzen, an den Steinen
Fand die Liebe keinen Halt;
Sahen uns die Toten weinen,
Als wir dort vorbeigewallt?
 十字架にも墓石にも
 愛は休息を見出せなかった。
 死者たちはぼくらが泣くのを見ていただろうか、
 ぼくらがあそこを通り過ぎたときに?

詩:Nikolaus Lenau (1802-1850), "Traurige Wege", appears in Gedichte, in 4. Viertes Buch, in Liebesklänge 
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Traurige Wege", 1878 [ voice and piano ] 

作曲:1878年1月22-25日, Wien
(終わりに追記:1878年2月3日)

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ヴォルフは、1877年5月にレーナウの詩による「~に寄せて(An*)」を作曲して以来半年ぶりに同じ詩人のテキストによる「願い(Wunsch)」を作曲します。
1877年11月26日~12月17日までヴィーンで作曲を進めましたが、52小節まで書いて、未完のまま放置されました。恋人と一緒に遠くの海へ旅したいというレーナウにしてはかなり前向きでロマンティックな内容なのが珍しく、それゆえにヴォルフも作曲の筆が止まってしまったのでしょうか。未完ということもあり、Stone Recordsのヴォルフ歌曲全集の録音にも「願い」は収録されていません(いつか未完成作品ばかり集めた録音がどこかのレーベルからリリースされるといいのですが)。なお、楽譜はMusikwissenschaftlilcher Verlagの全集VII/4巻に掲載されています。

曲名:願い(Wunsch)
詩:ニコラウス・レーナウ(Nikolaus Lenau)
歌いだし:Fort möcht ich reisen weit, weit in die See,(※テキスト全文はこちらのリンク先にあります)
作曲:1877年11月26日~12月17日, Wien
未完成(52小節まで:テキストは"Sie würde frohlockend dich halten im Sturm."まで)
Leidenschaftlich bewegt(情熱的に動いて)
拍子:C (4/4)
ハ長調 (C-dur)

「願い」の翌月には同じレーナウの詩による「悲しい道(Traurige Wege)」に作曲し、こちらは完成されました。
レーナウのテキストは、主人公が恋人と共に森へ行き、川を渡り、墓地を通り過ぎる際の周囲の明るさと自分たちの悲しみとの対比が描かれています。
ヴォルフは、テキストの内容を応じて歌声部やピアノパートを変化させて通作形式の趣で進めながらも、基本的には共通の素材を使ってA-Bの繰り返しで構成しています。

●使用楽譜:Lieder aus der Jugendzeit: herausgegeben von F. Foll: Ed. Bote & G. Bock, Berlin

前奏
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第1連
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第2連
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第3連
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第4連
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第5連
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第6連
06 

2連と4連は歌詞の後半のフレーズをピアノ間奏の右手最高音が繰り返す手法をとり、最終連(6連)では歌声部にこのフレーズがあらわれないにもかかわらず、ピアノ後奏に再びこのフレーズを取り入れて全体を有機的に構築しています。

2連後半2行と間奏
22_20260607081401 

4連後半2行と間奏(2連後半と同様)
422 

6連最後の3行と後奏(後奏にのみ同じフレーズがあらわれる)
63_20260607081401 

全体を通じてピアノパートは心理描写と情景描写をうまく組み合わせていて、例えば3連最終行で歌われる揺れる水面を模してピアノ間奏が引き継ぎます。
3_20260607081501 

他にも5連の暗い雲が立ち込める箇所では、歌声に同音反復が見られ、ピアノ右手はシンコペーションで胸の動悸を暗示し、ピアノ左手は2度下降進行で不気味さを醸し出すなど、テキストへのヴォルフの共感が強く感じられます。
フィッシャー=ディースカウは全集でこの作品を録音しませんでしたが、若い世代は続々と録音し、この曲の再評価を待っているかのようです。
5_20260607082101 

6/8拍子
変ホ短調(es-moll)
Sehr getragen (非常に荘重に;十分に音を保って)

●[Hugo Wolf:] Traurige wege
ニコ・ファン・デル・メール(T), ディド・クーニン(P)
Nico van der Meel(T), Dido Keuning(P)

Channel名:Dido Keuning - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
録音:January 1996, Utrecht

●Wolf: Traurige Wege
シュテファン・ゲンツ(BR), ロジャー・ヴィニョールズ(P)
Stephan Genz(BR), Roger Vignoles(P)

Channel名:ロジェ・ヴィニョールズ - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
録音:18-22 February 2002, Tonstudio Teije van Geest, Sandhausen, Germany

●[Wolf: Traurige Wege] ("Traurige Wege"は32:21まで進めてからご覧ください)
WolfZWölf Vol 7 「ハイネ・レーナウ作品集」
天羽明恵(S), 松川儒(P)
Akie Amou(S), Manabu Matsukawa(P)

Channel名:tan t.(オリジナルのリンク先はこちら)
2005年10月7日 ヴォルフ歌曲全曲演奏会「シリーズⅦ」

●[Hugo Wolf:] Traurige Wege
ベルンハルト・ベルヒトルト(T), アンヌ・ル・ボゼック(P)
Bernhard Berchtold(T), Anne Le Bozec(P)

Channel名:ベルンハルト・ベルヒトルト - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●[Hugo Wolf:] Traurige Wege (Bin mit dir im Wald gegangen)
アンナ・ハントリー(MS), ショルト・カイノホ(P)
Anna Huntley(MS), Sholto Kynoch(P)

Channel名:アンナ・ハントリー - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:13 & 15 October 2012, Holywell Music Room, Oxford, U.K.

●[Hugo Wolf:] Traurige Wege (Bin mit dir im Wald gegangen)
エネアス・フム(BR), ユディット・ポルガル(P)
Äneas Humm(BR), Judit Polgár(P)

Channel名:Äneas Humm - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●【参考】同じテキストによるファニー・ヘンゼル=メンデルスゾーン作曲「悲しい道」
[Fanny Hensel-Mendelssohn:] Traurige Wege
マールテン・コニンスベルハー(BR), ケルヴィン・グラウト(P)
Maarten Koningsberger(BR), Kelvin Grout(P)

Channel名:Maarten Koningsberger - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

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(参考)

The LiederNet Archive

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder I (1877/78)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

IMSLP

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ヴォルフ:慎ましい恋(Bescheidene Liebe)

Bescheidene Liebe
 慎ましい恋

Ich bin wie and're Mädchen nicht,
die, wenn sie lieben, schweigen
und ihr Geheimnis hütend stumm,
das kranke Köpfchen neigen.
Ja, meine Liebe ist nicht stumm,
mein Plaudern geb' ich nicht darum;
ich liebe doch ganz eigen.
 私は他の女の子とは違うの、
 みんな恋をすると口を閉ざして
 秘密を守ろうと押し黙り
 恋煩いのあまりうなだれてしまうでしょう。
 そう、私は恋すると黙ったりしない、
 だからといってぺちゃくちゃ秘密を漏らしたりしないけど、
 これが私の恋のやりかたなのよ。

Ich bin wie and're Mädchen nicht,
die, wenn sie lieben, hoffen;
ich trage meine Lieb' zur Schau
vor aller Welt ganz offen.
Oft hat mich schon lieb Mütterlein
mit dem Herzallerliebsten mein
beim Kosen angetroffen.
 私は他の女の子とは違うの、
 みんな恋をすると成就してほしいと望みをかけるでしょう。
 私はみんなの前で
 堂々と恋人を見せつけちゃう。
 もうお母さんもしょっちゅう
 私が最愛の恋人と
 いちゃついているところに出くわしているわ。

Ich bin wie and're Mädchen nicht,
doch glücklich, wie ich glaube,
denn meine Liebe richtet sich
auf Trauring nicht und Haube.
Er bleibt mein trauter Bräutigam,
er girrt so süß, er ist so zahm
mein Lieb ist meine Taube.
 私は他の女の子とは違うの、
 でも幸せだと思うわ、
 だって私の恋は
 指輪だの結婚だのと意識しなくていいから。
 彼が私のいとしい花婿さん、
 とっても可愛らしく鳴いて人懐っこいの、
 私の恋人は鳩なのよ。

詩:Anonymous / Unidentified Author / Dichter unbekannt
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Bescheidene Liebe", 1877 

作曲:(1877年-1878年の年の変わり目)

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この歌曲「慎ましい恋(Bescheidene Liebe)」は謎が多く、作曲年月日も場所も記載されておらず、詩の作者も分かっていません。ヴォルフ全集第7/I巻では「自筆譜の筆跡から(※校訂報告による)」1876年末あるいは1877年初めにヴィーンで(Wien, Ende 1876 oder anfangs 1877)作曲されたのだろうと推測されていましたが、その後未完成作品を集めたヴォルフ全集第7/IV巻に掲載された初期歌曲の一覧では1877年-1878年の年の変わり目(Jahreswende 1877-1878)に変更されていましたので、最新の研究ではこちらの説が有力なのだと思います。

他の女の子は恋をすると口をつぐみ、恋煩いに苦しんだり、恋が成就するように願ったりするけど、私は違うの、黙りこんだりしないし、恋人を見せつけちゃうぐらい、でもその恋人というのは「鳩」なんだけどね、というおちで締めくくります。

ヴォルフは、3節からなる有節歌曲として作曲しました。すなおな曲調が好まれるのか、動画サイトには現役演奏家や学生の演奏が沢山投稿されていました。ただ商業録音となると、それほど多くはなく、私がこの曲をはじめて聞いたのはバーバラ・ボニー&ジェフリー・パーソンズのDGレーベルへのヴォルフ&シュトラウス歌曲集のCD(1989年6月録音)でした(動画サイトにはアップされていませんでした)。この録音は現在サブスクにもあがっていないようで入手しにくいかもしれませんが、機会がありましたらボニーのコケティッシュな歌を聴いてみていただけたらと思います。

Lieder aus der Jugendzeit: Herausgegeben von F. Foll: Berlin: Bote & Bock, 1900
Bescheidene-liebe 

2/4拍子
ト長調(G-dur)
Launisch (気まぐれに)

●Rita Streich: "Bescheidene Liebe" von Hugo Wolf
リタ・シュトライヒ(S), ピアニスト不明
Rita Streich(S), unidentified pianist

Channel名:Klaus-St. 1(オリジナルのリンク先はこちら)

●[Wolf: Bescheidene Liebe] ("Bescheidene Liebe"は8:17まで進めてからご覧ください)
WolfZWölf vol 10「初期歌曲集」
林田明子(S), 松川儒(P)
Akiko Hayashida(S), Manabu Matsukawa(P)

Channel名:tan t.(オリジナルのリンク先はこちら)
ヴォルフ歌曲全曲演奏会「シリーズⅩ」2006年9月26日 浜離宮朝日ホール

●[Hugo Wolf:] Bescheidene Liebe
メアリー・ベヴァン(S), ショルト・カイノホ(P)
Mary Bevan(S), Sholto Kynoch(P)

Channel名:メアリー・ビーヴァン - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:11 October 2011, Holywell Music Room, Oxford, U.K.

●Hugo Wolf: Bescheidene Liebe – Juliane Banse (Sopran) & Marcelo Amaral (Klavier), 25.05.2019
ユリアーネ・バンゼ(S), マルセル・アマラウ(P)
Juliane Banse(S), Marcelo Amaral(P)

Channel名:Internationale Hugo-Wolf-Akademie(オリジナルのリンク先はこちら)

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(参考)

The LiederNet Archive

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder I (1877/78)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

IMSLP

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ヴォルフ:つばめの帰郷(Der Schwalben Heimkehr)

Der Schwalben Heimkehr
 つばめの帰郷

Wenn die Schwalben heimwärts ziehn,
Wenn die Rosen nicht mehr blühn,
Wenn der Nachtigall Gesang
Mit der Nachtigall verklang,
Fragt das Herz in bangem Schmerz,
Ob ich euch wiederseh?
Scheiden, ach scheiden,
Scheiden tut weh.
 つばめが故郷に向かう時
 薔薇がもう咲かなくなる時
 サヨナキドリの歌が
 サヨナキドリとともに次第に消えた時
 心は不安に苦しみ尋ねる、
 君たちとまた会えるのだろうかと。
 別れるなんて、ああ、別れるなんて、
 別れの辛いことよ。

詩:(Borromäus Sebastian Georg) Karl Reginald Herloß (1804-1849), as Karl Herloßsohn
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Der Schwalben Heimkehr", 1877, stanza 1 

作曲:(1877年8月, Windischgraz)-1877年12月29日, Wien

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ヴォルフは、F.ブレンターノの詩による「旅の歌(Wanderlied)」を書いた4日後(1877年6月19日)、作者不詳の「古い歌の本」から「見捨てられた女(Die Verlassene)」に着手しますが、完成しませんでした。その2か月後にヘルロスゾーンの詩による「つばめの帰郷(Der Schwalben Heimkehr)」に着手し、4か月後の12月29日に完成しました。

ヴォルフの付けたタイトルは「つばめの帰郷(Der Schwalben Heimkehr)」ですが、詩の中でつばめに言及しているのは最初の1行だけで、2行目以降は他の動植物との別れが描かれ、主人公が別れの辛さを訴えるという内容になっています。この詩にはもともと2~3連もあるのですが、ヴォルフは1連のみに作曲しました。

ヴォルフは前奏なしの長めの音価の長調の歌声部と、下降する細かい分散和音のピアノパートで曲を始めます。一見表情はなんでもないふうを装いながら、内面は別れの寂しさで気分が沈んでいるさまをあらわしているように感じられます。
サヨナキドリ(ナイチンゲール)が言及される箇所ではピアノの右手にその鳴き声が聞こえますが、「心は不安に苦しみ尋ねる」と歌われる箇所で気分が高揚するようにクレッシェンドしながら上行し、「君たちとまた会えるのだろうか」でレチタティーヴォ風な扱いを見せます。
続くピアノ間奏は"Sehr ausdrucksvoll(非常に表情豊かに)"と指示されて思いの強さを表現し、その後、「別れるなんて、ああ、別れるなんて(Scheiden, ach scheiden)」で歌声の最高音(G)にたどり着き、最後の一行で落ち着きます。そのままピアノ後奏が分散和音にのって美しいメロディーを奏でますが、そこには悲愴感はあまりなく、主人公が「別れ」を受け入れて思い出に浸っているかのように感じました。

Nachgelassene Werke, Erste Folge (Lieder mit Klavierbegleitung): Heft 1 (Helmut Schultz)
Leipzig: Musikwissenschaftlicher Verlag, 1936

Der-schwalben-heimkehr_1 
Der-schwalben-heimkehr_2 

6/8拍子
変イ長調(As-dur)
Ruhig, doch nicht schleppend (落ち着いて、ただし引きずらないで)

●Wolf: Der Schwalben Heimkehr
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●[Hugo Wolf:] Der Schwalben Heimkehr
メアリー・ベヴァン(S), ショルト・カイノホ(P)
Mary Bevan(S), Sholto Kynoch(P)

Channel名:メアリー・ビーヴァン - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:11 October 2011, Holywell Music Room, Oxford, U.K.

●[Hugo Wolf:] Der Schwalben Heimkehr
ジェニファー・フランス(S), エロン・ゴルディン(P)
Jennifer France(S), Aron Goldin(P)

Channel名:Release - Topic(オリジナルのリンク先はこちら)

●Das Deutsche Lied: [Hugo Wolf:] Der Schwalben Heimkehr
ペーター・アンダース(T), ミヒャエル・ラウハイゼン(P)
Peter Anders(T), Michael Raucheisen(P)

Channel名:ペーター・アンダース - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

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(参考)

The LiederNet Archive

Carl Herloßsohn (Wikipedia: 独語)

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder II (1876-1890)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

IMSLP

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ヴォルフ:旅の歌(Wanderlied)

Wanderlied
 旅の歌

Es segeln die Wolken,
Weiß niemand wohin?
Die Lüfte, sie rauschen,
[Wohin wohl, wohin?]1
 雲は流れるが、
 どこへ向かうか誰も知らないのか?
 風はざわめく、
 どこへ、どこへと?

Sie wandern zusammen,
Sie kommen und flieh'n,
Mag keiner mir künden,
Wohin wohl, wohin?
 雲と風は一緒に旅し、
 やって来ては逃げて行く。
 私に知らせるものはいないのか、
 どこへ、どこへ行くのかを?

So zieh' ich ins Leben
Mit fröhlichem Sinn,
Doch frage mich niemand,
Wohin wohl, wohin?
 こうして私は人生を
 楽しく旅している。
 だが私に尋ねるものは誰もいないのか、
 どこへ、どこへ行くのかと。

Noch duften die Blüten,
Noch [locket]2 das Grün,
Glück auf zu dem Wandern,
Weiß selbst nicht wohin!
 まだ花は香りを放ち、
 まだ緑は誘ってくる、
 道中無事でありますように、
 自分でもどこへ行くのか分からない! 

1 Brentano: Wer sagt mir wohin?
2 Brentano: lacht mir

詩:Fritz Brentano (1840-1914), no title
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Wanderlied (Aus einem alten Liederbuche)", 1877

作曲:1877年6月14-15日, Windischgraz

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ヴォルフは、レーナウの詩による歌曲「~に寄せて(An ***)」作曲の約1か月後、父親が書き写した古い歌の本に掲載されていた作者不詳の詩による「朝露(Morgentau)」に作曲しました(1877年6月6日~19日)。そして、この「朝露」はヴォルフが最初に出版した歌曲集『女声のための6つの歌(Sechs Lieder für eine Frauenstimme」』の第1曲に置かれることになります。

この「朝露」を作曲しているさなかの6月14~15日にかけて、同じく父親の古い歌の本から作曲したのが「旅の歌(Wanderlied)」です。「旅の歌」については、現在ではフリッツ・ブレンターノ(Fritz Brentano)の詩であることが判明しています。

風や雲は流れていくが、どこへ行くのか誰も教えてくれない。私も人生を旅しているが、どこへ行くのか聞いてくれる者はいないのか?花や緑はかぐわしく誘ってくるが、旅を続けよう。自分でもどこへ向かっているのか分からないという内容です。

ヴォルフの音楽は連続した詩の内容にかかわらず、A-B-A'-B'の形をとり軽快に進みます。ピアノ前奏・間奏が両手でユニゾンを奏でてAとA'を導き、歌は基本的に♩.♩♪のリズムで穏やかに歌われます。疑問形の語尾は忠実に音程を高くして、ピアノの余韻に引き継ぎます。
BとB'は低音で悶々として高音にあがるやいなやまた低音に降りてきます。ピアノの右手と左手のリズムのずれもあり、旅することの一瞬の迷いをあらわしているかのようです。Bの後半は再び高音主体で、詩の最後の2行を繰り返し、主音で気持ちよく締めくくります。短い作品ですが、もっと演奏される価値のある曲ではないかと思います。

Lieder aus der Jugendzeit (herausgegeben von F. Foll: Bote & Bock, Berlin, 1900)
Wanderlied 

6/8拍子
ト長調(G-dur)
Frisch (生き生きと)

●[Wolf: Wanderlied] ("Wanderlied"は20:51まで進めてからご覧ください。この動画の他の初期歌曲も貴重な映像ですので、余裕がありましたらぜひご覧ください!)
WolfZWölf vol 10「初期歌曲集」
太田直樹(BR), 松川儒(P)
Naoki Ota(BR), Manabu Matsukawa(P)

Channel名:tan t.(オリジナルのリンク先はこちら)
ヴォルフ歌曲全曲演奏会「シリーズⅩ」2006年9月26日 浜離宮朝日ホール

●[Wolf:] Wanderlied
クイレイン・ドゥ・ラン(BR), ショルト・カイノホ(P)
Quirijn de Lang(BR), Sholto Kynoch(P)

Channel名:Release - Topic(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:11 October 2011, Holywell Music Room, Oxford, U.K.

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(参考)

The LiederNet Archive

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder I (1877/78)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

IMSLP

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ヴォルフ:~に寄せて(An ***)

An ***
 ***に寄せて

O wag' es nicht, mit mir zu scherzen,
Zum Scherze schloß ich keinen Bund;
O spiele nicht mit meinem Herzen;
Weißt du noch nicht, wie sehr es wund?
 おお、私をからかわないでくれ、
 ひやかしで契りを結んだのではない。
 おお、私の心をもてあそばないでおくれ、
 どれほど傷ついたことか君にはまだ分からないのか?

Weil ich so tief für dich entbrannte,
Weil ich mich dir gezeigt so weich,
Dein Herz die süße Heimat nannte,
Und deinen Blick mein Himmelreich:
 私はこれほど深く君に燃え上がったので、
 君にこれほど自分の弱さを見せたので、
 君の心を「かわいい故郷」と呼び、
 君のまなざしを「私の天国」と呼んだのだ。

O rüttle nicht den Stolz vom Schlummer,
Der süßer Heimat sich entreißt,
Dem Himmel, mit verschwiegnem Kummer,
Auf immerdar den Rücken weist.
 おお、眠っている誇りを揺り起こさないでくれ、
 それは「かわいい故郷」から身を振りほどき
 苦しみを秘めたまま
 永遠に「天国」に背を向けているのだ。

詩:Nikolaus Lenau (1802-1850), "An *", appears in Gedichte, in 4. Viertes Buch, in Liebesklänge
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "An ...", 1877 [ voice and piano ]

作曲:1877年4月27日-5月8日, Windischgraz

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マティソンの詩による歌曲「追憶(Andenken)」の作曲から2週間ほど後、ヴォルフは再びレーナウの詩に戻り、「***に寄せて(An ***)」という歌曲を作曲します。

タイトルに伏字(*)が使われていることが気になりますが、レーナウが誰を想定していたのか何か分かったら追記したいと思います(AIに聞くとレーナウの当時の恋人の名前を答えてくれるのですが、エビデンスが見つからないのでここに書くのは今は控えますね)。

このテキストの男女、愛情の温度差が相当大きいように思えます。男女を特定する言葉は詩の中にありませんが、おそらく男性がこのテキストの主人公でしょう。
主人公は女性が彼の心を「もてあそぶ(spiele)」といって非難します。
どのようにもてあそんだのか具体的な記述はありませんが、「どれほど傷ついたことか(wie sehr es wund)」と言っていることから、主人公のプライドはずたずたにされたのでしょう。

第2連で主人公の彼女に対する愛情の深さを示すエピソードが歌われます。君にこれほど燃え上がり、自分の弱いところもさらけだしたからこそ、君の心を「かわいい故郷(die süße Heimat)」と呼んだし、君のまなざしを「私の天国(mein Himmelreich)」と呼んだんだ。それなのに...という恨み節なのでしょう。愛する二人だけの世界に入り込んでしまっていますね。

第3連で再び現実に戻って、心の奥底に眠らせておいた「誇り=プライド」を起こさないでほしいと彼女に頼みます。
プライドが目を覚ますと、「かわいい故郷=君の心」から「身を振りほどき」、「天国=君のまなざし」から「永遠に背を向ける」ことになるからです。

第1連と第3連が恋人のした仕打ちに対する主人公からの非難、まんなかの第2連は愛したからこそプライドを捨てて君のことを「故郷」だの「天国」だのとのろけたのだよと訴えます。

ヴォルフがA-B-A'の三部形式で作曲したのは、テキストの内容に寄り添っていることが分かります。第1連と第3連での各フレーズの歌い始めが休符で始まるのは主人公のためらいを表しているかのようです。
一方第2連は強起(拍のはじめ)から歌い始めていて、こんなに愛していたんだという思いを強くぶつけて、それが情熱的な第2連後のピアノ間奏にも受け継がれます。ただ、この第2連もピアノはシンコペーションを貫き、心臓がバクバク打っているような印象を受けます。
ヴォルフがこのレーナウのテキストに深く感情移入して作曲したことがうかがえると思います。
フィッシャー=ディースカウは2度にわたるヴォルフ全集だけでなく、演奏活動晩年にヴォルフの初期作品をまとめて録音した時にもこの曲を一度も歌いませんでした。曲としてはよく出来ていると思うのですが、センチメンタルに過ぎると思ったのでしょうか。

Lieder aus der Jugendzeit: Herausgegeben von F. Foll: Berlin: Bote & Bock, 1900

第1連(A)
An-1 

第2連(B)
An-2 

第2連の後の情熱的なピアノ間奏
An-2_20260125155801 

第3連(A')
An-3 

2/4拍子
ニ短調(d-moll)
Langsam und ausdrucksvoll (ゆっくりと表情豊かに)

●[Hugo Wolf:] An* * *
ニコ・ファン・デル・メール(T), ディド・クーニン(P)
Nico van der Meel(T), Dido Keuning(P)

Channel名:ダーモン…ニコ・ヴァン・デア・メール(テノール) - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
録音:January 1996, Utrecht

●Wolf: Lieder aus der Jugendzeit: No. 1, An ***
シュテファン・ゲンツ(BR), ロジャー・ヴィニョールズ(P)
Stephan Genz(BR), Roger Vignoles(P)

Channel名:ロジェ・ヴィニョールズ - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
録音:18-22 February 2002, Tonstudio Teije van Geest, Sandhausen, Germany

●[Hugo Wolf:] An* (O wag es nicht)
ベンジャミン・ヒューレット(T), ショルト・カイノホ(P)
Benjamin Hulett(T), Sholto Kynoch(P)

Channel名:ベンジャミン・ヒューレット - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:13 & 15 October 2012, Holywell Music Room, Oxford, U.K.

●[Hugo Wolf:] An (O wag' es nicht)
エネアス・フム(BR), ユディト・ポルガル(P)
Äneas Humm(BR), Judit Polgar(P)

Channel名:Äneas Humm - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●【参考:アルベルト・ネポムセーノ(Alberto Nepomuceno: 1864-1920)作曲】O wag' es nicht
Erika Machado(MS), Regina Barros(P)

Channel名:Alberto Nepomuceno além da língua portuguesa(オリジナルのリンク先はこちら)

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(参考)

The LiederNet Archive

Gedichte / von Nicolaus Lenau / Stuttgart / Verlag der J. G. Cotta'schen Buchhandlung / 1879
("An *"はP.189)

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder I (1877/78)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

IMSLP

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ヴォルフ:追憶(Andenken)

Andenken
 追憶

1:
Ich denke dein,
[Wenn]1 durch den Hain
Der Nachtigallen
Akkorde schallen!
[Wann]2 denkst du mein?
 ぼくは君のことを考える、
 林中を
 さよなきどりの
 和音が響きわたるときに!
 君はいつぼくのことを考えるのだろう?

2:
Ich denke dein
Im Dämmerschein
Der Abendhelle
Am Schattenquelle!
Wo denkst du mein?
 ぼくは君のことを考える、
 夕映えの光で
 薄暗くなった
 日陰の泉のほとりで!
 君はどこでぼくのことを考えるのだろう?

3:
Ich denke dein
Mit süßer Pein,
Mit bangem Sehnen
Und heißen Tränen!
Wie denkst du mein?
 ぼくは君のことを考える、
 甘い痛みを伴って、
 不安なまま憧れを抱いて、
 熱い涙を流しつつ!
 君はどんなふうにぼくのことを考えるのだろう?

4:
[O denke mein,]3
Bis zum Verein
Auf besserm Sterne
In jeder Ferne
Denk ich nur dein!
 おお、ぼくのことを考えておくれ、
 もっと素敵な星で
 一緒になるときまで!
 遠くのどこにいても
 ぼくはただ君のことだけを考えるよ!

1 Matthisson (editions until 1803): "Wann"
2 Matthisson (editions after 1803): "Wenn"
3 Matthisson (Flora 1802): "Ich denke dein"

詩:Friedrich von Matthisson (1761-1831), "Andenken", written 1792-93, first published 1802
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Andenken", 1876

作曲:1877年4月23/25日, Windischgraz

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テオドア・ケルナー(Theodor Körner)の詩による「セレナード(Ständchen)」の後、17歳のヴォルフはフリードリヒ・フォン・マティソン(Friedrich von Matthisson)の詩「追憶(Andenken)」に作曲します。

この詩にはベートーヴェン(Andenken, WoO. 136)やシューベルト(Andenken, D 99)、ヴェーバー(Ich denke dein!, Op. 66-3)も作曲しています。以前同じテキストによるベートーヴェンの歌曲の記事を書いていますので、興味のある方はこちらのリンク先からご覧ください(リンク先でベートーヴェン、シューベルトなどの音源も共有しています)。

ヴォルフによる歌曲は、変形有節形式と考えられます。ピアノの右手は基本的に8分音符の和音を刻み、左手はバス音の中に単音の旋律を歌わせるところもあり、右手と共に歌声部とポリフォニックな関係で進んでいく箇所が印象的です。1連と2連の歌声部は同じメロディで始まりますが、2連は少しずつ変化させていき、"Wo denkst du mein?"の前に休符を入れて、主人公のとまどいを暗示します。2連の締めくくりの"Wo denkst du mein?"のメロディーを第3連の歌声部の冒頭にほぼそのまま持ってきて気持ちの連続性を保持したうえで、徐々に高揚し、"hei-ßen(熱い)"の音価を引き延ばして盛り上がります。最終連の歌声部("O denke mein(おお、ぼくのことを考えておくれ)")は長い音価と動きの少ないメロディーで始まり、主人公が真剣に恋人に心情を吐露しようとしているかのようです。徐々に高揚し、最終行の"nur dein(ただ君のことだけを)"を繰り返して高揚したままピアノ後奏に引き継ぎます。後奏は「情熱的に動いて(leidenschaftlich bewegt)」、「非常に表情豊かに(sehr ausdrucksvoll)」と指示があり、ひとしきり盛り上がった後、最終連最初の歌声部のメロディーを左手に歌わせて(「表情をもって(mit Ausdruck)」)徐々に静まって終わります。

個人的にとても良く出来た作品だと思います。初期の作品にもかかわらず、20世紀初頭から現在にいたるまでいくつかの録音が残されているのもその出来栄えの良さと魅力ゆえではないかと思います。

Helmut Schultz: Nachgelassene Werke, Erste Folge (Lieder mit Klavierbegleitung): Heft 1: Leipzig: Musikwissenschaftlicher Verlag, 1936

1連
1_20260111194101 

2連
21_20260111194101 
22_20260111194201 

3連
31_20260111194201 

4連
41_20260111194201 
42_20260111194201 

9/8拍子
ホ長調(E-dur)
Etwas bewegt (いくぶん活発に)

●Wolf: Andenken
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●[Hugo Wolf:] Andenken
ソールヴェイ・ファリンゲル(S), トマス・シュバック(P)
Solveig Faringer(S), Thomas Schuback(P)

Channel名:Solveig Faringer - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●[Hugo Wolf:] Andenken
メアリー・ベヴァン(S), ショルト・カイノホ(P)
Mary Bevan(S), Sholto Kynoch(P)

Channel名:メアリー・ビーヴァン - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:11 October 2011, Holywell Music Room, Oxford, U.K.

●[Hugo Wolf:] Andenken
ベンヤミン・アップル(BR), ジェイムズ・ベイリュー(P)
Benjamin Appl(BR), James Baillieu(P)

Channel名:Benjamin Appl - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●[Hugo Wolf:] Andenken
カール・エルプ(T), ブルーノ・ザイドラー=ヴィンクラー(P)
Karl Erb(T), Bruno Seidler-Winkler(P)

Channel名:ブルー・ザイトラー・ヴィンクラー - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

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(参考)

The LiederNet Archive

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder II (1876-1890)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

IMSLP

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ヴォルフ:セレナード(Wolf: Ständchen "Alles wiegt die stille Nacht") (詩:Theodor Körner)

Ständchen
 セレナード

Alles wiegt die stille Nacht
Tief in süßen Schlummer;
Nur der Liebe Sehnsucht wacht
Und der Liebe Kummer.
Mich umschleichen bandenfrei
Nächtliche Gespenster;
Doch ich harre still und treu
Unter deinem Fenster.
 あらゆるものを静かな夜は揺り動かす、
 深く、甘美な眠りへと。
 目覚めているのはただ愛の憧れと
 愛の苦しみだけ。
 束縛を解かれて私の周りを取り囲むのは
 夜の幽霊たち。
 だが僕は静かに忠実に
 きみの窓の下で待ちわびている。

Holdes Mädchen, hörst du mich?
Willst du länger säumen?
Oder wiegt der Schlummer dich
Schon in süßen Träumen?
Nein, du bist gewiß noch wach;
Hinter Fensters Gittern
Seh ich ja im Schlafgemach
Noch das Lämpchen zittern.
 いとしい娘よ、聞こえるかい?
 もっと長いことぐずぐずしていたいのかい?
 あるいは眠りが
 甘い夢の中へともうきみを揺すっているのかい?
 いや、きみはきっとまだ起きている。
 窓格子の後ろの
 寝室で
 まだランプがちらちらしているのが見える。

Ach, so blicke, süßes Kind,
Aus dem Fenster nieder,
Leise wie der Abendwind
Flüstern meine Lieder;
Doch verständlich sollen sie
Meine Sehnsucht klagen
Und mit sanfter Harmonie
Dir: »Ich liebe« sagen.
 ああ、かわいい子、
 窓から下を見ておくれ。
 夕暮れの風のようにかすかな声で
 僕の歌がささやいているんだ。
 でも、聞き取れるように、歌に
 僕の憧れを嘆かせ
 そして穏やかなハーモニーで
 きみに「愛しているよ」と言わせるんだ。

Was die treue Liebe spricht,
Wird die Liebe hören.
Aber länger darf ich nicht
Deine Ruhe stören.
Schlummre, bis der Tag erwacht,
In dem warmen Stübchen;
Drum, feins Liebchen, gute Nacht,
Gute Nacht, feins Liebchen!
 忠実な愛が語ることを
 恋人は聞くだろう。
 だが、これ以上
 きみの憩いを邪魔するわけにはいかない。
 夜が明けるまでおやすみ、
 暖かい部屋で。
 では素敵な恋人よ、おやすみ、
 おやすみ、素敵な恋人!

詩:(Karl) Theodor Körner (1791-1813)
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Ständchen", 1877

作曲:1877年3月5日(4月12日), Windischgraz

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レーナウの3つの詩による「夕べの情景(Abendbilder)」の作曲後、一週間余り経ち、ヴォルフは次にテオドア・ケルナーの詩による「セレナード(Ständchen)」を作曲します。ケルナーは21年の短い生涯の間に多くの作品を残し、同時代を生きたシューベルトやヴェーバーは多数の歌曲・合唱曲を作りましたが、ヴォルフによるケルナー歌曲はこの1曲のみです。

周りが寝静まった頃、恋人の窓の下にやってきた主人公は、恋人がまだ起きているのかどうかを探ります。寝室にまだランプがちらちらと灯っているのを見て、「まだ起きている」と確信します。
そこで主人公は「窓から下を見て」もらえるように、恋人に「僕の憧れ」を「嘆」くセレナードを歌います。「恋人は聞」いているだろうと思う主人公ですが、「これ以上きみの憩いを邪魔するわけにはいかない」ので、「夜が明けるまでおやすみ」と伝えます。

周りが寝静まっている中、主人公の「愛の憧れ」と「愛の苦しみ」だけが目覚めています。やむにやまれぬ思いで恋人の家の窓の下で待っている主人公の期待と不安のないまぜになった心境を17歳のヴォルフが生き生きとした描写で表現しています。

2小節の穏やかな前奏に導かれて歌が始まりますが、"Tief in süßen Schlummer"の"Schlum-"まで半音階進行で歌われ、後のヴォルフのトレードマークともいえる半音階進行がこのころに作られたいくつかの作品で徐々に使用されるようになったのが分かります。
Wolf_standchen_1 

夜の幽霊たちに回りを取り囲まれると歌われた後に、急き立てるようなシンコペーションの間奏が続き(Schnell:速く)、すぐに我に返ったかのように元のテンポに戻ります(1tes Zeitmaß:最初のテンポで)。
Wolf_standchen_2 

「僕は静かに忠実に/きみの窓の下で待ちわびている」と歌われた後は子守歌のような優しいピアノ間奏が続きます(Mit Gefühl vorzutragen, ruhig bewegt:感情をこめて演奏する、落ち着いた動きをもって)。
Wolf_standchen_3 

その穏やかな間奏の音楽のまま、第2連「いとしい娘よ、聞こえるかい?」が歌われます。
「眠りが/甘い夢の中へともうきみを揺すっているのかい?」と歌われた後、ピアノの間奏の右手が高いフレーズと低いフレーズを交互に響かせ、あたかも2人の恋人同士の会話を主人公が妄想しているような印象を受けます。
Wolf_standchen_4 

その後、「いや、きみはきっとまだ起きている」と歌われる「いや(Nein)」の直前にフォルテの和音となり、歌声部はレチタティーヴォ風に語られます。
Wolf_standchen_5 

「寝室で/まだランプがちらちらしているのが見える」と歌われた後、情熱的なピアノ間奏が続き(immer leidenschaftlicher:ますます情熱的に)、恋人が起きていることを確信して高揚している主人公の気持ちが描かれます。
Wolf_standchen_6 

「ああ、かわいい子、/窓から下を見ておくれ」と恋人に語りかけた主人公は「夕暮れの風のようにかすかな声で/僕の歌がささやいているんだ」と歌い、高音域の十六分音符の分散和音の連続で「夕暮れの風」を模しているように思われます。
さらに「そして穏やかなハーモニーで」の箇所で再び十六分音符の分散和音があらわれ、美しい「ハーモニー」が聞かれます。
Wolf_standchen_7 

ヴォルフは「きみに「愛しているよ」と言わせるんだ」の「愛している(lie-be)」の音価を伸ばして強調し、その後のピアノ間奏もアクセントの連続で高揚感を出しています。
Wolf_standchen_8 

最終節のはじめ「忠実な愛が語ることを/恋人は聞くだろう」まで力強い響きが続きますが、その後恋人の眠りを妨げないようにおやすみと言う箇所は優しく甘美な響きに戻り、おやすみ(Gute Nacht)を何度か繰り返して名残惜しそうに曲は終わります。
Wolf_standchen_9 

3/4拍子
ヘ長調(F-dur)
Sehr gehalten (非常に音を保って)

●Wolf: Ständchen "Alles wiegt die stille Nacht"
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●[Hugo Wolf:] Standchen
クイレイン・ドゥ・ラン(BR), ショルト・カイノホ(P)
Quirijn de Lang(BR), Sholto Kynoch(P)

Channel名:Release - Topic(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:11 October 2011, Holywell Music Room, Oxford, U.K.

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(参考)

The LiederNet Archive

Theodor Körner (Schriftsteller) (Wikipedia: 独語)

Theodor Körners sämmtliche Werke / Erster Band / Siebente Auflage / Berlin / G. Grote'sche Verlagsbuchhandlung / 1872 ("Ständchen"はP. 111)

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder II (1876-1890)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

IMSLP

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【生誕100年記念】ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウの歌う個人的フェイヴァリット・ヴォルフ・リート20選

ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウの歌曲演奏の中でシューベルトと並んで大きく聳え立っているのがフーゴー・ヴォルフの作品です。今回は個人的に大好きなヴォルフ歌曲の録音から20曲選びました。

●船乗りの別れ(歌曲集『アイヒェンドルフの詩』より)
Eichendorff-Lieder: No. 17, Seemanns Abschied
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ヴォルフガング・サヴァリッシュ(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Wolfgang Sawallisch(P)

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●エオリアンハープに寄せて(歌曲集『メーリケの詩』より)
Mörike-Lieder: No. 11, An eine Äolsharfe
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

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●恋する男の歌(歌曲集『メーリケの詩』より)
Mörike-Lieder: No. 43, Lied eines Verliebten
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

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●火の騎士(歌曲集『メーリケの詩』より)
Mörike-Lieder: No. 44, Der Feuerreiter
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

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●こうのとりの使い(歌曲集『メーリケの詩』より)
Mörike-Lieder: No. 48, Storchenbotschaft
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), スヴャトスラフ・リヒテル(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Sviatoslav Richter(P)

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●依頼(歌曲集『メーリケの詩』より)
Mörike-Lieder: No. 50, Auftrag
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

●お別れ(歌曲集『メーリケの詩』より)
Mörike-Lieder: No. 53, Abschied
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ジェラルド・ムーア(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Gerald Moore(P)

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●竪琴弾きⅢ(歌曲集『ゲーテの詩』より)
Goethe-Lieder: No. 3, Harfenspieler III "Wer nie sein Brot mit Tränen aß"
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ジェラルド・ムーア(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Gerald Moore(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

●コフタの歌Ⅱ(歌曲集『ゲーテの詩』より)
Goethe-Lieder: No. 15, Cophtisches Lied II
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

●大胆に陽気にⅠ(歌曲集『ゲーテの詩』より)
Goethe-Lieder: No. 16, Frech und froh I
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

●大胆に陽気にⅡ(歌曲集『ゲーテの詩』より)
Goethe-Lieder: No. 17, Frech und froh II
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

●天才的行為(歌曲集『ゲーテの詩』より)
Goethe-Lieder: No. 21, Genialisch Treiben
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ジェラルド・ムーア(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Gerald Moore(P)

Channel名:incontrario motu (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

●俺たちゃ皆酔っぱらわねばならぬ(歌曲集『ゲーテの詩』より)
Goethe-Lieder: No. 35, Trunken müssen wir alle sein?
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

●夜明けの酒場はなんという騒ぎだ(歌曲集『ゲーテの詩』より)
Goethe-Lieder: No. 38, Was in der Schenke waren heute
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

●姿を変えられたツェッテルの歌(原詩:シェイクスピア『夏の夜の夢』より)
4 Gedichte nach Heine, Shakespeare und Byron: No. 2, Lied des transferierten Zettel
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

●心よ、落胆するのはまだはやい(歌曲集『スペインの歌の本』より)
Spanisches Liederbuch, Pt. 2: No. 11, Herz, verzage nicht geschwind
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ジェラルド・ムーア(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Gerald Moore(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

●苦悩と情熱だけが(歌曲集『スペインの歌の本』より)
Spanisches Liederbuch, Pt. 2: No. 32, Da nur Leid und Leidenschaft
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ジェラルド・ムーア(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Gerald Moore(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

●お高くとまっておいでだな、麗しき娘よ(歌曲集『イタリアの歌の本』より)
Italienisches Liederbuch: No. 13, Hoffärtig seid Ihr, schönes Kind
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), イェルク・デームス(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Jörg Demus(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

●おまえは知っているか、どれほど僕がおまえのために(歌曲集『イタリアの歌の本』より)
Italienisches Liederbuch: No. 44, O wüsstest du, wie viel ich deinetwegen
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), エリック・ヴェルバ(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Erik Werba(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

●私はしばしば考える(歌曲集『ミケランジェロの詩』より)
Michelangelo-Lieder: No. 1, Wohl denk ich oft
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ジェラルド・ムーア(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Gerald Moore(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

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ヴォルフ:夕暮れの情景-N.レーナウによる3つの頌詩(Wolf: Abendbilder - 3 Oden von N. Lenau)

Abendbilder - 3 Oden von N. Lenau
 夕暮れの情景-N.レーナウによる3つの頌詩

1. Friedlicher Abend senkt sich aufs Gefilde
 平穏な夕暮れが広野に垂れ込め

Friedlicher Abend senkt sich aufs Gefilde;
Sanft entschlummert Natur, um ihre Züge
Schwebt der Dämmrung zarte Verhüllung, und sie
      Lächelt, die holde;
 平穏な夕暮れが広野に垂れ込め
 穏やかに自然は眠り込む。自然の連なりのまわりで
 たそがれの柔らかいベールが漂い流れ
 愛らしい女(ひと)は微笑みかける。

Lächelt, ein schlummernd Kind in Vaters Armen,
Der voll Liebe zu ihr sich neigt; sein göttlich
Auge weilt auf ihr, und es weht sein Odem
      Über ihr Antlitz.
 父親の腕の中でまどろむ子供のように微笑みかけ、
 父は、彼女への愛にあふれて身をかがめ、その神々しい
 瞳は彼女を見つめたまま、
 その顔に息を吹きかける。

詩:Nikolaus Lenau (1802-1850), no title, appears in Gedichte, in 1. Erstes Buch, in Oden, in Abendbilder, no. 1
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Friedlicher Abend", from Abendbilder, no. 1

2. Schon zerfließt das ferne Gebirg
 雲のかかった遠くの山脈はもう

Schon zerfließt das ferne Gebirg mit Wolken
In ein Meer; den Wogen entsteigt der Mond, er
Grüßt die Flur, entgegen ihm grüßt das schönste
      Lied Philomelens
 雲のかかった遠くの山脈はもう
 海へと溶けていく。波間から月がのぼり、月は
 野原に挨拶する。その月に向かって、美しい
 さよなきどりの歌が挨拶を送る、

Aus dem Blütenstrauche, der um das Plätzchen
Zarter Liebe heimlichend sich verschlinget:
Mirzi horcht am Busen des Jünglings ihrem
      Zaubergeflöte.
 優しい愛を営む場所のまわりで
 ひそかに絡み合う花咲く茂みから。
 ミルツィは、若者の胸に抱かれながらさよなきどりの
 魔法の笛に聞き耳を立てる。

Dort am Hügel weiden die Schafe beider
Traulichen Gemenges in einer Herde,
Ihre Glöcklein stimmen so lieblich ein zu
      Frohen Akkorden.
 あちらの丘では
 ねんごろに一体となった二人が連れてきた羊たちが、一つの群れをなして草を食む。
 羊たちの首のベルは
 朗らかな和音となり、心地よく調和する。

詩:Nikolaus Lenau (1802-1850), "Abendbild", appears in Gedichte, in 6. Sechstes Buch, in Erste Gedichte
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Schon zerfließt das ferne Gebirg", from Abendbilder, no. 2

3. Stille wird's im Walde
 森の中は静まりかえる

Stille wird's im Walde; die lieben kleinen
Sänger prüfen schaukelnd den Ast, der durch die
Nacht dem neuen Fluge sie trägt, den neuen
      Liedern entgegen.
 森の中は静まりかえる。かわいい小さな
 歌い手たちが枝を揺すって吟味している、
 この枝が夜の間、新たに飛び立ったり
 歌ったりするのに耐えられるかどうかを。

Bald versinkt die Sonne; des Waldes Riesen
Heben höher sich in die Lüfte, um noch
Mit des Abends flüchtigen Rosen sich ihr
      Haupt zu bekränzen.
 まもなく日が沈む。森の巨人たちは
 空へさらに高く聳え立つ、
 わずかな間の夕焼けの薔薇色で、
 まだ頭に冠を飾ろうとして。

Schon verstummt die Matte; den satten Rindern
Selten nur enthallt das Geglock am Halse,
Und es pflückt der wählende Zahn nur lässig
      Dunklere Gräser.
 すでに草地は沈黙し、満腹な牛たちは
 めったに首のベルを鳴らさない。
 そしてえり好みする歯は無造作に
 暗くなった草を摘む。

Und dort blickt der schuldlose Hirt der Sonne
Sinnend nach; dem Sinnenden jetzt entfallen
Flöt und Stab, es falten die Hände sich zum
      Stillen Gebete.
 そして無垢な羊飼いは
 物思いに耽りながら、太陽が沈むのを目で追う。物思う者の手から今
 笛と杖がすべり落ち、両手を組み合わせる、
 静かに祈りを捧げるために。

詩:Nikolaus Lenau (1802-1850), no title, appears in Gedichte, in 1. Erstes Buch, in Oden, in Abendbilder, no. 2
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Stille wird's im Walde", from Abendbilder, no. 3

作曲:1877年1月4日(木)夜10時着手、
   1877年2月24日午前10時完了

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ベートーヴェンはかつて歌曲集『遥かな恋人に寄せて(An die ferne Geliebte, Op. 98)』を作曲した際、ヤイテレスの6編の詩を1編ずつ独立した曲にせず、それぞれの曲をピアノ間奏でつないで途切れることのない1つの作品としました。その後、シューベルト『美しい水車屋の娘』『冬の旅』、シューマン『リーダークライス』『詩人の恋』などの多くの歌曲集が誕生しましたが、それらは『遥かな恋人に寄せて』とは異なり、1曲ずつが独立した作品としての歌曲集でした。
フーゴー・ヴォルフも、後に『アイヒェンドルフ詩集』『メーリケ詩集』『ゲーテ詩集』『ケラー詩集』『ミケランジェロ詩集』などの詩人ごとにまとめた歌曲集(連作歌曲集ではありませんが)を作曲し、出版しましたが、どれも1曲ずつ独立した曲の集合体でした。
しかし、ヴォルフが17歳の時(1877年)に作曲した『夕暮れの情景(Abendbilder)』は、ニコラウス・レーナウが「夕暮れの情景」のタイトルのもとに3つ(I, II, III)に分けた詩をピアノ間奏でつないで1つの作品にしたもので、ベートーヴェンの『遥かな恋人に寄せて』と同じ手法をとった珍しい試みといえると思います。『N.レーナウによる3つの頌詩(3 Oden von N. Lenau)』という副題も付けられていて、いわば3曲からなる歌曲集ととらえることも可能だと思います。

ピアノ前奏の「ソーミーファーラソードー」が曲全体を統一するモティーフとしてあちこちに現れ、最終的にピアノ後奏でも繰り返されます。3つの詩がこのモティーフによって1つの作品として結びつきます。ただ、歌声部にはこのモティーフはそのままの形では使われず、もっぱらピアノパートにのみ現れます。

Abendbilder-motiv-1 

Abendbilder-motiv-2 

Abendbilder-motiv-3new 

Abendbilder-motiv-4 

Abendbilder-motiv-5 

Abendbilder-motiv-6 

歌声部は概してピアノパートの対旋律のようなフレーズで、美しい旋律というよりは語りの要素が強まっているように感じられます。

歌、ピアノ共にテキストの展開に沿って通作的に進んでいきます。
第2曲の最後に羊たちが草を食みながらカウベルの音が朗らかに調和すると歌った後、第3曲との間のつなぎのピアノ間奏は細かい音価でかなりドラマティックに進行します。カウベルの響きというよりは第3曲の静かな情景との対比を際立たせる為にあえて派手な間奏にしたのではないかと想像します。

私はこの小さな歌曲集で描かれている夕暮れ時の敬虔な祈りの光景を聞くと、ミレーの「晩鐘」を思い出します(レーナウやヴォルフが意識していたかどうかは別として)。最終節の羊飼いは、日が沈もうとする時間帯に、一日の活動を無事終えることの出来た感謝の気持ちを祈っているのでしょうか。

【第1曲冒頭】
Abendbilder-1 

【第2曲冒頭】
Abendbilder-2 

【第3曲冒頭】
Abendbilder-3 

【第1曲:Friedlicher Abend senkt sich aufs Gefilde】
3/4拍子
変ニ長調(Des-dur)
Sehr langsam (非常にゆっくりと)

【第2曲:Schon zerfließt das ferne Gebirg】
3/4拍子
イ短調(a-moll)
langsam, mit freiem Vortrag (ゆっくりと、自由に演奏して)

【第3曲:Stille wird's im Walde】
3/4拍子 - C (4/4拍子) - 2/4拍子 - 3/4拍子
変ホ長調(Es-dur)→変ニ長調(Des-dur)
Langsam (ゆっくりと)

●Wolf: Abendbilder
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
0:00- 第1曲
2:32- 第2曲
5:11- 第3曲

●Wolf: Abendbilder
シュテファン・ゲンツ(BR), ロジャー・ヴィニョールズ(P)
Stephan Genz(BR), Roger Vignoles(P)

Channel名:ロジェ・ヴィニョールズ - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●[Hugo Wolf:] Abendbilder (Friedlicher abend)
マーカス・ファーンズワース(BR), ショルト・カイノホ(P)
Marcus Farnsworth(BR), Sholto Kynoch(P)

Channel名:マルクス・ファーンズワース - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:13 & 15 October 2012, Holywell Music Room, Oxford, U.K.

●Hugo Wolf: Abendbilder. Drei Oden - Matthias Winckhler (Bariton) & Ammiel Bushakevitz (Klavier)
マティアス・ヴィンクラー(BR), アミエル・ブッシャケヴィツ(P)
Matthias Winckhler(BR), Ammiel Bushakevitz(P)

Channel名:Internationale Hugo-Wolf-Akademie(オリジナルのリンク先はこちら)

●ピアノパートのみの演奏
Hugo Wolf: Abendbilder, Piano Accompaniment

Channel名:Mario L. S. Barbosa(オリジナルのリンク先はこちら)

●【参考:夕暮れの情景1のテキストによる】ファニー・ヘンゼル=メンデルスゾーン作曲:夕暮れの情景 Op. 10, No. 3
[Fanny Hensel-Mendelssohn:] 5 Lieder, Op. 10: No. 3. Abendbild
ドロテア・クラクストン(S), バベッテ・ドルン(P)
Dorothea Craxton(S), Babette Dorn(P)

Channel名:Dorothea Craxton - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

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(参考)

The LiederNet Archive

Gedichte / von / Nicolaus Lenau. / Stuttgart und Tübingen, / Verlag der J. G. Cotta'schen Buchhandlung. / 1832.
Abendbilder: 1
Abendbilder: 2
Abendbilder: 3

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder II (1876-1890)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

IMSLP

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