コルネーリウス/東方の三王 (Cornelius: Die Könige, Op. 8/3)

Die Könige, Op. 8/3
 東方の三王

Drei Kön'ge wandern aus Morgenland;
Ein Sternlein führt sie zum Jordanstrand.
In Juda fragen und forschen die drei,
Wo der neugeborene König sei?
Sie wollen Weihrauch, Myrrhen und Gold
Dem Kinde spenden zum Opfersold.
 三王が東方から歩いてくる。
 ある小さな星が彼らをヨルダン川の川辺へと導く。
 ユダ王国で三王は尋ねて探す、
 産まれたての王は何処かと。
 彼らは乳香、没薬と黄金を
 供物としてこの子に与えたいと思っている。

Und hell erglänzet des Sternes Schein:
Zum Stalle gehen die Kön'ge ein;
Das Knäblein schauen sie wonniglich,
Anbetend neigen die Kön'ge sich;
Sie bringen Weihrauch, Myrrhen und Gold
Zum Opfer dar dem Knäblein hold.
 そしてその星が明るく輝くと
 厩舎へ三王は入っていく。
 彼らは喜んで幼な児を見つめ
 賛美して身をかがめる。
 彼らは供物としていとしい幼な児に
 乳香、没薬と黄金を捧げる。

O Menschenkind! halte treulich Schritt!
Die Kön'ge wandern, o wandre mit!
Der Stern der Liebe, der Gnade Stern
Erhelle dein Ziel, so du suchst den Herrn,
Und fehlen Weihrauch, Myrrhen und Gold,
Schenke dein Herz dem Knäblein hold!
 おお、人の子よ!誠実に歩み続けよ!
 三王は歩く、おお、一緒に行こう!
 愛の星、慈悲の星よ、
 あなたの目的地を明るく照らせ、あなたは主を探し、
 乳香、没薬と黄金がなくなったら
 あなたの心をいとしい幼な児に贈りたまえ。

詩:Peter Cornelius (1824-1874), "Die Könige", appears in Gedichte, in 2. Zu eignen Weisen, in Weihnachtslieder
曲:Peter Cornelius (1824-1874), "Die Könige", op. 8 no. 3 (1856), published 1871 [voice and piano], from Weihnachtslieder, no. 3, Leipzig, Fritzsch

●ペーター・シュライアー(Boy alto), カール=ディートフリート・アーダム(P)
Peter Schreier(Boy alto), Karl-Dietfried Adam(P)

●ペーター・シュライアー(T), ノーマン・シェトラー(P)
Peter Schreier(T), Norman Shetler(P)

●ヘルマン・プライ(BR), レナード・ホカンソン(P)
Hermann Prey(BR), Leonard Hokanson(P)

●ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ジェラルド・ムーア(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Gerald Moore(P)

●東方の三王(第1作)
Die Könige (1st Version)
クリスティーナ・ランツハマー(S), マティアス・ファイト(P)
Christina Landshamer(S), Matthias Veit(P)

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(参考)

The LiederNet Archive

IMSLP (楽譜)

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コルネーリウス/羊飼いOp. 8-2 (Die Hirten aus "Weihnachtslieder")(歌曲集『クリスマスの歌』Op. 8より)

Die Hirten, Op. 8-2b
 羊飼い

Hirten wachen im Feld,
Nacht ist rings auf der Welt,
Wach sind die Hirten alleine
Im Haine.
 羊飼いたちは野原で目を覚ましている、
 夜に世界中で
 目を覚ましているのは、
 林にいる羊飼いだけだ。

Und ein Engel so licht
Grüßet die Hirten und spricht:
„Christ, das Heil aller Frommen,
Ist kommen!”
 すると一人の天使が光を放って
 羊飼いたちに挨拶し、言った、
 「すべての敬虔なる者たちの救世主、キリストが
 到来した!」

Engel singen umher:
„Gott im Himmel sei Ehr'
Und den Menschen hienieden
Sei Frieden!”
 天使たちはまわりで歌う、
 「天の神に栄光あれ、
 地上の人間に
 平安あれ!」

Eilen die Hirten fort,
Eilen zum heilgen Ort,
Beten an in den Windlein
Das Kindlein.
 羊飼いたちは急いで去り、
 聖なる地へと急ぎ、
 産着にくるまった
 幼子を賛美する。

詩:Peter Cornelius (1824-1874), "Die Hirten", appears in Gedichte, in 2. Zu eignen Weisen, in Weihnachtslieder
曲:Peter Cornelius (1824-1874), "Die Hirten", op. 8 no. 2b (1870), published 1871 [ voice and piano ], from Weihnachtslieder, no. 2b, Leipzig, Fritzsch

●ペーター・コルネーリウス:羊飼いOp. 8-2b
Peter Cornelius (1824-1874), "Die Hirten", Op. 8, No. 2b
ヘルマン・プライ(BR), レナード・ホカンソン(P)
Hermann Prey(BR), Leonard Hokanson(P)

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Die Hirten, Op. 8-2a (First version: 1856)
 羊飼い (第1作)

Die Hirten wachen nachts im Feld;
so still und dunkel liegt die Welt,
die Menschen alle schlafen:
Aber die Hirten, die armen Hirten
halten Wacht bei den Schafen.
 羊飼いは夜中に野原で目を覚ましている、
 世界はこんなに静かで暗い、
 人々はみな眠りについている、
 だが羊飼いたち、哀れな羊飼いたちは
 羊を見張っている。

Und sieh! ein Engel licht und schön
hernieder schwebt von Himmelshöhn,
Ein Bote auserkoren:
"Freuet euch, Hirten, Ihr guten Hirten,
der Heiland der Welt ist geboren."
 するとご覧!一人の天使が美しく輝いて
 天の高みから降りてくる、
 天命を授かった使者として、
 「喜べ、羊飼いたち、善良な羊飼いたちよ、
 この世の救世主が降誕されたのだ。」

Und Engel singen ringsumher:
"Sei Gott im Himmel Ruhm und Ehr,
den Menschen Frieden werde!"
Aber die Hirten, die frommen Hirten
knieten nieder zur Erde.
 すると天使たちはまわりで歌う、
 「天の神に名声と栄光あれ、
 人に平安が訪れるように!」
 だが羊飼いたち、敬虔な羊飼いたちは
 大地に跪いた。

Dann eilten sie zum heil'gen Ort,
Maria und Joseph sahn sie dort,
den Sohn gehüllt in Windlein.
Selige Hirten, die guten Hirten
beteten an das Kindlein.
 その後彼らは聖なる地に急ぎ、
 そこでマリアとヨセフ、
 産着にくるまった御子に会った。
 幸いな羊飼いたち、善良な羊飼いたちは
 幼子を賛美した。

詩:Peter Cornelius (1824-1874)
曲:Peter Cornelius (1824-1874), "Die Hirten", op. 8 no. 2a (1856), published 1871 [voice and piano], from Weihnachtslieder, no. 2a, Leipzig, Fritzsch

●ペーター・コルネーリウス:羊飼いOp. 8-2a (第1作)
Peter Cornelius (1824-1874), "Die Hirten", Op. 8, No. 2a (first version)
クリスティーナ・ランツハーマー(S), マティアス・ファイト(P)
Christina Landshamer(S), Matthias Veit(P)

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(参考)

The LiederNet Archive (Op. 8 No. 2b)

The LiederNet Archive (Op. 8 No. 2a: First version: 1856)

ペーター・コルネリウス(Wikipedia: 日本語)

Peter Cornelius (Komponist) (Wikipedia: ドイツ語)

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クリスマスに寄せて:ヴォルフ「眠れる幼児イエス(Schlafendes Jesuskind)」他

Schlafendes Jesuskind
 眠れる幼児イエス

Sohn der Jungfrau, Himmelskind! am Boden
Auf dem Holz der Schmerzen eingeschlafen,
Das der fromme Meister, sinnvoll spielend,
Deinen leichten Träumen unterlegte;
Blume du, noch in der Knospe dämmernd
Eingehüllt die Herrlichkeit des Vaters!
O wer sehen könnte, welche Bilder
Hinter dieser Stirne, diesen schwarzen
Wimpern sich in sanftem Wechsel malen!
 処女マリアの息子、天の寵児よ!地上の
 苦悩の木の上で眠り込んでいる、
 その木は敬虔な画伯が、意味をこめて
 御身の軽やかな夢に描き加えたものだ。
 花である御身よ、まだ夢うつつの蕾の中に
 父なる栄光を包み隠しておられる!
 ああ誰が知ることが出来よう、どのような姿が
 この額、この黒き
 まつげの裏に、穏やかに移り行きながら写し出されようとは!

詩:Eduard Mörike (1804-1875)
曲:Hugo Wolf (1860-1903)

Frohe Weihnachten!
ということでクリスマスに因んでヴォルフの歌曲集『メーリケの詩』から「眠れる幼児イエス」の音楽を共有します。原曲はもちろん歌とピアノという編成なのですが、クリスマスバージョンということで、マックス・レーガー編曲のオルガンバージョンを動画サイトからひっぱってきました。オルガンは音が減衰しない強みがありますね。このメーリケの詩の副題は「gemalt von Franc. Albani(フランチェスコ・アルバーニによって描かれた)」とあります。メーリケが言及したアルバーニの絵の可能性の一つとしてこちらのリンク先の絵をご覧ください。幼児イエスは「苦悩の木」つまり後の十字架の上ですやすや眠っているのです。

Hugo Wolf (arr. Max Reger): Gedichte von Eduard Mörike: No. 25. Schlafendes Jesuskind
Susanne Bernhard(S), Harald Feller(organ)

今年はもう1曲、J.S.バッハ作曲『クリスマス・オラトリオ』BWV 248からソプラノとバスの二重唱「主よ、御身の憐み、御身の同情が」を掲載しますので、お楽しみください。

29. Arie (Duett)

Herr, dein Mitleid, dein Erbarmen
Tröstet uns und macht uns frei.
Deine holde Gunst und Liebe,
Deine wundersamen Triebe
Machen deine Vatertreu
Wieder neu.
 主よ、御身の憐み、御身の同情が
 私たちを慰め、私たちを自由にします。
 御身のいとしき好意と愛、
 御身の驚異的な衝動が
 御身の父への忠誠を
 再びあらたにするのです。

J.S.Bach: Weihnachtsoratorium, BWV 248: III, 6: "Herr, dein Mitleid, dein Erbarmen"
Elly Ameling(S), Hermann Prey(BR), Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks, Eugen Jochum(C)

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Frohe Weihnachten!! (コルネーリウス/幼児キリスト)

Christkind, Op. 8 no. 6
 幼児(おさなご)キリスト

Das einst ein Kind auf Erden war,
Christkindlein kommt noch jedes Jahr.
 かつて地上で子供だった
 幼児キリストは今もまだ毎年やってきます

Kommet vom hohen Sternenzelt,
Freut und beglücket alle Welt!
 高い星空から来て
 世界中を喜ばせ幸せにします!

Mit Kindern feiert's froh den Tag,
Wo Christkind in der Krippe lag;
 子供たちと楽しくその日を祝います
 幼児キリストが飼い葉桶で横になっていた日を

Den Christbaum zündet's überall,
Weckt Orgelklang und Glockenschall.
 至る所クリスマスツリーの明かりを灯し
 オルガンの響きと鐘の音を鳴らします

Christkindlein kommt zu arm und reich,
Die Guten sind ihm alle gleich.
 幼児キリストは貧しい子の所にも豊かな子の所にもやってきます
 いい子ならば彼にはみな同じなのです

Danket ihm denn und grüßt es fein,
Auch euch beglückte Christkindlein!
 彼に感謝してしっかり挨拶するようにね
 そうすれば幼児キリストは君たちも喜ばせてくれるでしょう!

詩&曲:Peter Cornelius (1824-1874) 

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●Hermann Prey(BR) & Leonard Hokanson(P)

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ゾッフェル&プライによるクリスマスソング(Joseph, lieber Joseph mein & Tochter Zion, freue dich) (1990)

今日はクリスマス・イブですね。
昨日の記事のお口直しではないですが、ゾッフェルとプライ、それにテルツ少年合唱団による素敵な映像を見つけました。

1. Joseph, lieber Joseph mein(ヨセフ、わがいとしきヨセフ)

2. Händel: Tochter Zion, freue dich(シオンの娘よ、喜べ)(よろこべや、たたえよや)

Doris Soffel(MS)(1)
Hermann Prey(BR)(1,2)
Tölzer Knabenchor(2)
Staatskapelle Dresden
Ferdinand Leitner(C)

1曲目を聞いて歌曲好きな私はあっと思いました。
ブラームス(Brahms)の「聖なる子守歌(Geistliches Wiegenlied, Op. 91-2)」の前奏、間奏、後奏にあらわれるあのメロディーと一緒なのです。
そういえば、ブラームスのこの曲の楽譜の冒頭に"Joseph, lieber Joseph mein"と書いてあったような気がします。

興味のある方は、オッターの歌でお聞きください(スパルフのヴィオラ、フォシュベリのピアノ)。
Anne Sofie von Otter(MS), Erik Sparf(Viola), Bengt Forsberg(P)

そして、2曲目は世界中いたる所で(主に表彰式で)耳にするあの曲です。
ヘンデルの「マカベウスのユダ」の有名な一節に新たな歌詞を付けて讃美歌として親しまれているそうです。

Handel: Judas Maccabaeus, HWV 63 - See, the conqu'ring hero comes!

Fröhliche Weihnachten!

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ドビュッシー「もう家のない子供たちのクリスマス(Noël des enfants qui n'ont plus de maison)」

ドビュッシーの没後100年に当たる今年(2018年)、優れた歌曲を多く書いた彼の作品をいくつか記事にしようかと思ったのですが、せっかく12月の暮れですので、彼の自作のテキストによるクリスマスに因んだ歌曲を取り上げたいと思います。

神聖なクリスマスそのものを美しい音楽とともに堪能するのは素晴らしいことです。
そういう時期にこの曲を紹介するのは若干気が引けたのですが、クリスマスをこのテキストのように過ごす子供たちがいなくなることを願いながらここで取り上げたいと思います。

このドビュッシーのクリスマス歌曲は、戦争ですべてを失った子供の言葉が歌われます。
第一次大戦でドイツ軍によって多くの犠牲者を出したフランスの悲しみ、怒り、といった感情をドビュッシーが弱者である子供の視点で歌わせることで、より一層戦争の理不尽さを浮き立たせているように思います。

「もう家のない子供たちのクリスマス(Noël des enfants qui n'ont plus de maison)」という曲です。
私はフランス語は出来ないので、下記のリンクから「詩と音楽」の藤井さんの訳を御覧ください。

  「詩と音楽」の藤井宏行さんの訳

藤井さんが解説で書かれていることで印象的なのが、「この詩に歌われているような憎しみの心が子供の心にも深く刻み込まれ、そして争いの歴史が永遠に繰り返される」という部分です。
思わずはっとしました。
ただ悲惨で辛いというだけでなく、心の傷を負った子供たちが憎しみという感情をもったまま次の悲劇を繰り返すかもしれないのです。
ドビュッシーのテキストの最後は「フランスの子供たちに勝利を与えてください」という言葉で締めくくられます。
敵国が負けることを望むということは、次の悲劇を生み出す感情がすでに芽生えているということでもあり、純粋な子供が歌うことで肌寒い気持ちにさせられます。

そういう悲惨な歴史の繰り返しが少しでも世の中から消えてほしいという思いを胸にこの歌曲に接してみたいと思います。

エリー・アーメリング(S) & ドルトン・ボールドウィン(P)
Elly Ameling(S) & Dalton Baldwin(P)

アーメリングの澄んだ声質が生かされた歌唱です。過剰になりすぎない程度に子供になりきって歌っているように思えます。楽譜も表示されているのがありがたいです。

Petits Chanteurs de Paris

1985年の少年たちの合唱です。歌曲とほぼ同じですが、少年が歌うことで、よりリアルに胸に迫ってきます。

ヴォーカロイド(さとうささら)

最近のヴォーカロイドは本当に優れていると思います。本来感情のないはずのヴォーカロイドが言葉にしっかり息吹を吹き込んでいるのは驚きです。日本語対訳も付いていてアップされた方のお仕事ぶりに感謝したいです。

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コルネーリウス/クリスマスツリー

Christbaum, Op. 8 Nr. 1 (aus "Weihnachtslieder")
 クリスマスツリー(歌曲集「クリスマスの歌」Op. 8より第1曲)

Wie schön geschmückt der festliche Raum!
Die Lichter funkeln am Weihnachtsbaum!
O fröhliche Zeit! o seliger Traum!
 パーティの部屋はなんてきれいに飾りつけてあるのでしょう!
 クリスマスツリーの灯りがきらきらしているよ!
 ああ楽しい時間!ああ幸せな夢!

Die Mutter sitzt in der Kinder Kreis;
Nun schweiget alles auf ihr Geheiß:
Sie singet des Christkinds Lob und Preis.
 お母さんが子供たちの輪の中に座ります。
 今お母さんに言われてみんなは黙ります。
 お母さんは幼児キリストを褒め称えて歌います。

Und rings, vom Weihnachtsbaum erhellt,
Ist schön in Bildern aufgestellt
Des heiligen Buches Palmenwelt.
 まわりはクリスマスツリーに照らされて
 絵が美しく飾られています、
 聖書のヤシの世界を描いた絵が。

Die Kinder schauen der Bilder Pracht,
Und haben wohl des Singen acht,
Das tönt so süß in der Weihenacht!
 子供たちは壮麗な絵を見つめ
 歌に耳を傾けます、
 それはクリスマスにとても甘美に響きます!

O glücklicher Kreis im festlichen Raum!
O goldne Lichter am Weihnachtsbaum!
O fröhliche Zeit! o seliger Traum!
 ああパーティの部屋での幸せな輪!
 ああクリスマスツリーの金色の光!
 ああ楽しい時間!ああ幸せな夢!

詩&曲:ペーター・コルネーリウス(Peter Cornelius: 1824-1874)

演奏の映像(音が出ますのでお気をつけください。)

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クリスマスイブにとびこんできた飯島愛さんのあまりにも突然の訃報に驚いています。ブログのテンプレートには"matt""müde"(疲れた)とか"krank"(病んでいる)といったドイツ語がデザインされ、そういうテンプレートを選んだ彼女の繊細さを感じていました。これから何か新しいことを始めるのではと期待していただけに残念です。ご冥福をお祈りいたします。

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エリー・アーメリングのクリスマス・ソング集

「エリー・アーメリングとのクリスマス:英独仏西蘭のクリスマス・ソング」(Kerst met Elly Ameling: kerstliederen uit Engeland, Duitsland, Frankrijk, Spanje en Nederland)
Kerst_met_ameling_2Brilliant Classics: 99623
録音:[1976年頃?]
エリー・アーメリング(Elly Ameling)(S)
ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)(P)(1,6,7,10,13-19)
佐藤豊彦(Toyohiko Satoh)(Lute)(2-5,9,11,12)
ゲオルゲ・シェンデ(George Szende)(VLA)(7)
アルベール・ドゥ・クレルク(Albert de Klerk)(ORG)(8)
弦楽五重奏及び2本のホルン(Strijkkwintet en twee hoorns)(8)

 

イギリス編
1.イギリス民謡~フェリックス・ド・ノーベル編曲/明るい土手にすわっていたら(As I sat on a sunny bank)
2.イギリス民謡~アルネ・デルムスゴー編曲/その歌はやさしかったよ(Sweet was the song)

 

ドイツ&オーストリア編
3.ヘンリクス・ベギニケルによる写本1622より/イン・ドゥルチ・ユービロ(私の心は、甘き歓喜に酔いしれます)(In dulci jubilo)
4.ヘンリクス・ベギニケルによる写本1622より/また新たな喜びが(Ecce nova Gaudia)
5.ヘンリクス・ベギニケルによる写本1622より/さあ、坊やをあやしましょう(Nun wiegen wir das Kindlein)
6.シレジア民謡~フェリックス・ド・ノーベル編曲/山の上を(Uff'm Berge)
7.ブラームス/宗教的な子守唄(Geistliches Wiegenlied)Op. 91-2
8.ハイドン/はした女(め)(Cantilene pro adventu "Ein' Magd, ein' Dienerin")XXIIId, Nr.1

 

オランダ&フランダース編
9.オランダ民謡~フェリックス・ド・ノーベル編曲/おお、イスラエルの聖(きよ)らかな処女よ(O suver maecht van Ysraël)
10.フランダース民謡~フェリックス・ド・ノーベル編曲/小さな、小さなイエス(Klein, klein Jezuken)

 

スペイン編
11.カタルーニャ民謡~フランセスコ・アリオ編曲/クリスマスの歌(Cancó de nadal)
12.カタルーニャ民謡~ヘルムート・アルトマン編曲/ビリャンシーコ~クリスマスの踊り唄(Villancico - Baile de nadal)
13.アンダルシア民謡~ホアキン・ニン編曲/コルドバのビリャンシーコ(Villancico de Córdoba)
14.アンダルシア民謡~ホアキン・ニン編曲/アンダルシアのビリャンシーコ(Villancico Andaluz)

 

フランス編
15.フランス民謡~ヴィレム・ペイパー編曲/牡牛と灰色ロバにはさまれて(Entre le boeuf et l'âne gris)
16.フランス民謡~ヴィレム・ペイパー編曲/羊飼いの呼び声(L'appel des bergers)
17.フランス民謡~ヴィレム・ペイパー編曲/マリアのために(Noël pour l'amour de Marie)
18.ドビュッシー/家のない子どもたちのためのクリスマス(Noël des enfants qui n'ont plus de maisons)
19.ラヴェル/おもちゃのクリスマス(Noël des jouets)

 

(上記の日本語表記は主に国内盤LPレコード(EMI: EAC-80485)のライナーノーツを参考にしました)

 

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この時期になるとクリスマスに因んだアルバムが多くリリースされる。
最近もヘルマン・プライがホカンソンとDGに録音したコルネーリウス&ヴォルフのクリスマス歌曲集が初CD化されたばかりだが、1970年代にEMIから国内盤LPとして発売されて以来、日の目を見ることのなかったアーメリングの"Ameling sings Christmas"(国内盤LPのタイトルは「ヨーロッパのクリスマスを歌う」)がHMVのサイトの発売予定に掲載された時、久しく味わうことのなかったほどの待ち切れない思いでいっぱいになった。
どうやらオランダ国内では随分前から出回っていたようだが、日本で入手できるようになったのが今秋だったということなのだろう。
オランダのBrilliant Classicsがオリジナル音源のEMIから販売のライセンスをとったようだが、このレーベルはメジャーレーベルの録音を廉価で再発売することで知られており、今回のこのCDもHMVTower Recordで1000円を切る価格で入手することが出来る。
注文から随分待たされてようやく土曜日に届いたCDを何度もリピートして聴いている。

 

廉価盤だけあって、CDには解説や歌詞などは全く付けられていないが、国内盤LPのライナーノーツと歌詞対訳を参照しながら聴き進めている。
録音データは明記されていないが、丸P年表示が1977年となっているので、おそらく1976年前後の録音なのだろう。
ということはアーメリング40代前半の時の歌唱ということになる。
実際聴いてみても、その伸び伸びとした声の張りと美しさはまだいささかも衰えを見せておらず、全盛期だった頃の貴重な記録である。
そして彼女特有の温かい雰囲気を醸し出す声の表情は、クリスマスソングとの最高の相性の良さを感じずにはいられない。
アーメリングの素晴らしい点の一つはそのディクションの明晰さにあると思う。
どんな言語を歌ってもどんな子音にいたるまではっきり言葉が発音され、母音の響きも彼女なりにその言語の特徴に近づけようと尽力し、多くの場合は成功しているように思う。
この録音で彼女は英語、ドイツ語、ラテン語、オランダ語、カタルーニャ語、スペイン語、フランス語を披露している。
私にとってはいずれも外国語なので、ネイティヴ同然と断言する自信はないが、少なくとも違和感なくどの言語の作品も生き生きと自分のものにして聞かせているということははっきりと感じる。
国内盤LPの解説を書いておられる濱田滋郎氏の「諸国語それぞれの歌には、それぞれ固有の“いのち”がある。そしてアメリンクはじつによくその“いのち”に迫りえている」という言葉に全く共感するのである。

 

選ばれた作品は世界各地の民謡が多く、それらをオランダの共演ピアニスト・指揮者のフェリックス・ド・ノーベル(Felix de Nobel)や、ノルウェーの作曲家・編曲家のアルネ・デルムスゴー(Arne Dørumsgaard)たちがピアノ共演、あるいはリュート共演の形に編曲している。
一方で、ブラームスやハイドン、ドビュッシー、ラヴェルなどのオリジナル曲もあり、クリスマスというテーマから様々な側面を引き出している。
クリスマスといえば、キリスト教徒でもない限りは楽しい(あるいは淋しい?)イベントというところにとどまってしまいがちだが、ここに選曲された作品で、キリストの誕生を喜んだり、人々の救済者となるための悲劇的な運命を悲しんだりしながら、キリスト教の根付いている国々の人々の信仰心を一時的にでも体験することが出来ると思う。
異色なのがドビュッシーの「家のない子どもたちのためのクリスマス」で、戦争で家も両親も学校も失った幼い子供が「フランスの子供に勝利をください」とキリストに祈るという内容である。
第1次大戦中にドビュッシー自身によって書かれたテキストに作曲されたこの作品は明らかに反戦歌であり、戦火の中でクリスマスを迎えなければならない人が今もなくならない現状を思い起こさせる選曲である。
特に面白かったのが「ビリャンシーコ~クリスマスの踊り唄」というカタルーニャ地方の民謡で、12月25日、聖母マリアの御子が生まれたと歌われるが、随所に出てくる"fum, fum, fum"という掛け声に呼応するスペイン情緒たっぷりの手拍子が入る。
アーメリング本人が手を叩いているのかどうかは分からないが、リズミカルで浮き立つような曲にぴったりで、オリジナルでも同じように楽器や手をたたいて囃したそうだ。
このCDの曲の中で唯一実演で聴いたことがあるのがホアキン・ニンの編曲した「アンダルシアのビリャンシーコ」で、はじめてアーメリングの実演を聴いた1987年のアンコールで、「クリスマスが近いのでニンのクリスマスソングを歌います」と前置きしてこの曲が歌われたのが懐かしく思い出される。
情熱的な前奏に導かれて明るい旋律が歌われる。
なお、安藤博氏の解説によれば、ビリャンシーコとは元来は15-16世紀のスペインの3~4声部の歌曲を指していたそうだが、18世紀以後はクリスマス賛歌のことを指すようになったそうである。
「さあ、坊やをあやしましょう」という曲はブラームスの「砂男(眠りの精)」にそっくりで、解説者も触れているようになんらかの関連があるのかもしれない。
このアルバムでブラームスの「宗教的な子守唄」が聴けるのがうれしい。
民謡「ヨーゼフ、私のいとしいヨーゼフ」(Josef, lieber Josef mein)をヴィオラパートに置き、苦しみで疲れている幼児を起こさないでくださいというガイベルのテキストが厳粛な中にも優しく穏やかな響きで歌われ、素晴らしい聞き物になっている。
アーメリングの優しい歌声は幼児への最高の子守唄となっていた。
有名な「イン・ドゥルチ・ユービロ」や哀愁を漂わせる「牡牛と灰色ロバにはさまれて」、あるいは歌とオルガン、弦楽五重奏、2本のホルンという編成のハイドンの「はした女」なども素晴らしいが、中世オランダ語とラテン語が混ざった「おお、イスラエルの聖(きよ)らかな処女よ」は古風な旋律を真摯に歌い上げるアーメリングと絶妙にからむリュートが印象深かった。
「羊飼いの呼び声」のユーモラスな表現はアーメリングの独壇場だ。
こういう曲を歌わせたら彼女は最高である。
アルバムの最後を飾るのはラヴェルの自作の詩による「おもちゃのクリスマス」。
機械仕掛けの動物やモミの木につらされた飾りがラヴェルのクールな肌触りの曲の中で繊細に描かれ、最後は「クリスマスだ!(Noël!)」と高らかに歌われて締めくくる。

 

ボールドウィンのどんなタイプの曲にもぴったり対応する演奏は相変わらず素晴らしいし、佐藤豊彦のリュートの素敵な響きがどれほどアットホームな雰囲気を加味していることか。

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シューマン「クリスマスの歌」(詩:アンデルセン)

Weihnachtslied, Op. 79-16
 クリスマスの歌

Als das Christkind war zur Welt gebracht,
Das uns von der Hölle gerettet,
Da lag's auf der Krippe bei finstrer Nacht,
Auf Stroh und Heu gebettet;
Doch über der Hütte glänzte der Stern,
Und der Ochse küßte den Fuß des Herrn.
Halleluja, Kind Jesus!
 幼児キリストが
 地獄の世から私たちを救うべくお生まれになったとき
 闇夜のかいばおけに横になり
 わらと干草の上で眠っておられた。
 だが小屋の上では星が輝き
 雄牛が主の足にくちづけした。
 ハレルヤ 幼児イエス!

Ermanne dich, Seele, die krank und matt,
Vergiß die nagenden Schmerzen.
Ein Kind ward geboren in Davids Stadt
Zum Trost für alle Herzen.
O laßt uns wallen zum Kindlein hin,
Und Kinder werden in Geist und Sinn.
Halleluja, Kind Jesus!
 奮いたて 病んで疲れきった魂よ
 さいなむ苦しみを忘れよ。
 幼児がダビデの町でお生まれになったのだ
 みなの心をなぐさめるために。
 おお 幼児のもとに参じて
 心や意識のなかでキリストの子となろう。
 ハレルヤ 幼児イエス!

原詩:アンデルセン(Hans Christian Andersen: 1805.4.2, Odense, Denmark - 1875.8.4, Rolighed, Denmark)
曲:シューマン(Robert Alexander Schumann: 1810.6.8, Zwickau - 1856.7.29, Endenich)

サンプル楽譜とMIDI
http://www.freehandmusic.com/ProductDetail.aspx?ProdID=318140

Salomon Jadassohnのピアノ編曲版

コンピュータを使った音源

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R.シュトラウスのクリスマス・ソング

R.シュトラウスが初期に作曲した2曲のクリスマス・ソングの詩をご紹介します。
2曲ともR.シュトラウス色は皆無で、後年の爛熟した作風の原点がこんなに素朴だったことにほっとさせられます。特に「クリスマスの感情」は厳かな雰囲気がなかなか魅力的でした。

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Weihnachtslied, WoO 2
 クリスマスの歌

Schlaf wohl, du Himmelsknabe du,
Schlaf wohl du süßes Kind!
Dich fächeln Engelein in Ruh
Mit sanftem Himmelswind.
Wir arme Hirten singen dir
Ein herzlich Wiegenliedlein für.
Schlafe! Himmelskindlein, schlafe!
 おやすみ、天の御子よ、
 おやすみ、かわいい子!
 あなたに天使たちが安らかに、
 やさしい天の風を送ってくれるよ。
 われら貧しい牧人はあなたのために歌います、
 心をこめた子守歌を。
 お眠り!天の御子よ、お眠り!

曲:Richard Strauss(1864.6.11-1949.9.8)(1870年12月作曲)
詩:Christian Friedrich Daniel Schubart(1739.3.24-1791.10.10)

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Weihnachtsgefühl, WoO 94
 クリスマスの感情

Naht die jubelvolle Zeit
Kommt auch mir ein Sehnen,
Längst entfloh'ner Seligkeit
Denk' ich nach mit Tränen.
 喜びあふれる時が近づき、
 ぼくの心にも懐かしさがよみがえる。
 とうに去っていた幸せを
 涙を流して思い返すのだ。

Und ich schaue wie im Traum
Ihren fernen Schimmer
Weben um den Weihnachtsbaum,
Kehrt sie selbst auch nimmer.
 そしてぼくは夢の中のように見つめる、
 幸せの遥かな微光が
 クリスマスツリーのまわりにちらちらしているのを、
 その幸せさえももう戻ってこないのだ。

曲:Richard Strauss(1864.6.11-1949.9.8)(1879年?/1899年12月8日作曲)
詩:Martin Greif (Friedrich Hermann Frey)(1839.6.18-1911.4.1)

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