ロベルト・ホル(Robert Holl)&デイヴィッド・ルッツ(David Lutz)のシューベルト映像

ピアニストのデイヴィッド・ルッツ(David Lutz)のWebサイトに、バスバリトン歌手のロベルト・ホル(Robert Holl)とのシューベルトの夕べの映像が多数ありますので、ご紹介します。

 こちら

すべて、オーストリアのシュヴァルツェンベルクでのシューベルティアーデのライヴ映像です。
それぞれのプログラムにテーマが設定されているのも、ホルらしいですね。
なお、赤字で"Vervielfältigung, Verwertung und gewerbliche Nützung ist nicht gestattet!"(複製、再利用、商業利用は許可しません)との文言がありますので、Webサイト上で動画を再生するだけにしておいて下さい。

●Schubertiade Schwarzenberg 11. Juni 2005 - Teil 1(2005年6月11日、第1部)

Lieder nach Gedichten von Friedrich von Schiller(フリードリヒ・フォン・シラーの詩による歌曲)

Sehnsucht, D 636(憧れ)
Der Pilgrim, D 794(巡礼者)
Der Alpenjäger, D 588(アルプスの狩人)
Ritter Toggenburg, D 397(騎士トッゲンブルク)
Die Bürgschaft, D 246(人質)

●Schubertiade Schwarzenberg 11. Juni 2005 - Teil 2(2005年6月11日、第2部)

Lieder nach Gedichten von Friedrich von Schiller(フリードリヒ・フォン・シラーの詩による歌曲)

Der Flüchtling, D 402(逃亡者)
Die Erwartung, D 159(期待)
Strophe aus "Die Götter Griechenlands", D 677(「ギリシャの神々」からの断片)
Dithyrambe, D 801(酒神讃歌)
Hoffnung, D 637(希望)

Zugaben(アンコール:詩はすべてマイアホーファー):
Am Strome (Mayrhofer), D 539(流れのそばで)
Die Sternennächte (Mayrhofer), D 670(星の夜)
Nachtviolen (Mayrhofer) D 637(はなだいこん)

●Schubertiade Schwarzenberg 1. September 2005 - Teil 1(2005年9月1日、第1部)

Schubert im Freundeskreis(友人との集いにおけるシューベルト)

Pilgerweise (Schober), D 789(巡礼の歌)
Am Bach im Frühlinge (Schober), D 361(春の小川のほとりで)
Todesmusik (Schober), D 758(死の音楽)
Selige Welt (Senn), D 743(幸福の世界)
Am See (Bruchmann), D 746(湖畔で)
Schwanengesang (Senn), D 744(白鳥の歌)
Auf der Donau (Mayrhofer), D 553(ドーナウ川の上で)
Gondelfahrer (Mayrhofer), D 808(ゴンドラの船頭)

●Schubertiade Schwarzenberg 1. September 2005 - Teil 2(2005年9月1日、第2部)

Schubert im Freundeskreis(友人との集いにおけるシューベルト)

Sehnsucht (Mayrhofer), D 516(憧れ)
Erlaufsee (Mayrhofer), D 586(エルラフ湖)
Einführung zu "Einsamkeit"(歌曲「孤独」の解説)
Einsamkeit (Mayrhofer), D 620(孤独)

Zugaben(アンコール):
Der Schiffer (Mayrhofer), D 536(舟人)
Am Strome (Mayrhofer), D 539(流れのほとりで)

●Schubertiade Schwarzenberg 2. Juli 2011 - Teil 1(2011年7月2日、第1部)

Musik, Poesie der Luft (Jean Paul)(「音楽、大気の詩」(ジャン・パウル))

Der Wanderer an den Mond (Seidl), D 870(さすらい人が月に寄せて)
Das Heimweh (Pyrker), D 851(郷愁)
Der Kreuzzug (Leitner), D 932(十字軍)
Am Strome (Mayrhofer), D 536(湖畔で)
Auf der Donau (Mayrhofer), D 553(ドーナウ川の上で)
Gondelfahrer (Mayrhofer), D 808(ゴンドラの船頭)
Nachthymne (Novalis), D 687(夜の讃歌)
Abendbilder (Silbert), D 650(夕べの情景)

●Schubertiade Schwarzenberg 2. Juli 2011 - Teil 2(2011年7月2日、第2部)

Musik, Poesie der Luft (Jean Paul)(「音楽、大気の詩」(ジャン・パウル))

Der Jüngling auf dem Hügel (Hüttenbrenner), D 702(丘の上の若者)
Augenlied (Mayrhofer), D 297(瞳の歌)
Der Unglückliche (Pichler), D 713(不幸な男)
Sehnsucht (Mayrhofer), D 516(憧れ)
Memnon (Mayrhofer), D 541(メムノン)
An die Freunde (Mayrhofer), D 654(友人たちに寄せて)
Der Winterabend (Leitner), D 938(冬の夕べ)

Zugaben(アンコール):
Nachtviolen (Mayrhofer), D 752(はなだいこん)
An die Musik (Schober), D 547(音楽に寄せて)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

アーメリングの2017年IVCマスタークラス映像(追加情報)(2017.9.13, オランダ, セルトーヘンボス)

2017年12月6日付の記事で触れたエリー・アーメリング(Elly Ameling)とピアニストのハンス・エイサッカース(Hans Eijsackers)のマスタークラスの動画がYouTubeにもアップされましたので、こちらに引用しておきます。
たまにアーメリングが一緒に歌う場面もあって、ファンにとってはお宝映像です(例えば彼女がステージで「4つの厳粛な歌」を歌うことなどおそらく一度もなかったでしょうから、13分54秒からの歌声は聞きものです!)。
彼女はオランダ語と英語を織り交ぜて情熱的に指導していきます。
お時間のある時にぜひご覧ください!

51st International Vocal Competition 's-Hertogenbosch (IVC)
13th September 2017
Theater aan de Parade 's-Hertogenbosch

0:00-
Brahms: Denn es gehet dem Menschen wie dem Vieh (aus "Vier ernste Gesänge")
ブラームス: 人の子らに臨むところは獣にも臨むからである (「4つの厳粛な歌 Op. 121」より第1曲)
Berend Eijkhout, baritone
Daan Boertien, pianist

36:00頃-
R.Strauss: Die Georgine
R.シュトラウス: ダリア Op. 10 No. 4
Helena Koonings, soprano
Heleen Vegter, pianist

| | コメント (0) | トラックバック (0)

グンドゥラ・ヤノヴィツ・ラスト・コンサート・ライヴ(チャールズ・スペンサー:ピアノ)(1999年9月16日)

グンドゥラ・ヤノヴィツ(1937年8月2日生まれ)の70歳の誕生日を記念して、昨年、彼女のラスト・ライブのCDがリリースされました。
ギリシャで催されたこのコンサート、なんでもマリア・カラスの記念も兼ねているのだとか。
実は私はまだ入手していないのですが、先日何の気なしにYouTubeを見ていたら、このCDの発売元からプロモーションビデオがアップされていました。
おそらく音源だけのダイジェストだろうと思っていたら、なんと映像付きで、ヤノヴィツが歌っている姿が映っているのです。
どうやらプロモーション用に簡単に撮影されたようで、全部で12分ほど撮影したものを編集して使ったとのことです。
これほど素晴らしい出来ならば全部撮影してほしかったところですが、部分的でも、彼女の最後のリートリサイタルの映像が見れるだけでも有難いと思うべきなのでしょう。

この映像で見る限り、引退間際の歌手とはとても思えないほどの充実した美声です。
まだおそらく殆ど衰えを見せていないまま舞台を去ったのだと思います。
舞台人としての厳しい自覚が、一見早過ぎる引退を決意させたのではないでしょうか。

今回のレパートリーは、決して多いとは言えない彼女のリートのスタジオ録音でも聞けるものが多く含まれている一方で、おそらく一度もスタジオ録音を残さなかったシューマンが5曲も含まれているのが、ファンには嬉しいところです。
『冬の旅』を録音しなかった彼女の「ぼだいじゅ」がここで聞けるのも嬉しいです。

私が唯一彼女のライブを聞いたのは、神奈川県立音楽堂で催された歌曲の夕べで、小林道夫さんのピアノで、前半はブラームス、後半はヴォルフが歌われました。
全曲が彼女のレコーディングしていないレパートリーでした。
第一声を聞いて、あまりの声の美しさに驚嘆したことが昨日のことのように思い出されます。
もちろんレコードを通じて、その気品のある歌唱を知ってはいたものの、ここまで芯のあるぶれない美声だとは想像していなかったのです。

今回の動画を見ていても、落ち着いた気品に満ちた彼女の美声は堪能できます。
まだまだ現役として通用するほどの素晴らしい歌唱がここで披露されています。

共演のピアニストはイギリスのベテラン、チャールズ・スペンサー。
ヤノヴィツ晩年のシューベルト歌曲集の録音でも共演した名コンビです。

-----------

録音:1999年9月16日, Herodes Atticus Odeon, Athens, Greece

グンドゥラ・ヤノヴィツ(Gundula Janowitz) (S)
チャールズ・スペンサー(Charles Spencer) (P)

シューベルト:ギリシャの神々 D 677
シューベルト:イーピゲネイア D 573
シューベルト:竪琴に寄せて D 737
シューベルト:エレンの歌Ⅰ D 837
シューベルト:漁師の歌 D 881
シューベルト:流れ D 693
シューベルト:夕映えの中で D 799
シューベルト:ぼだいじゅ D 911-5
シューベルト:緑野の歌 D 917

シューマン:ズライカの歌 Op. 25-9
シューマン:松雪草 Op. 79-26
シューマン:はすの花 Op. 25-7
シューマン:私のばら Op. 90-2
シューマン:くるみの木 Op. 25-3

リヒャルト・シュトラウス:薔薇のリボン Op. 36-1
リヒャルト・シュトラウス:万霊節 Op. 10-8
リヒャルト・シュトラウス:明日! Op. 27-4
リヒャルト・シュトラウス:夜の散歩 Op. 29-3
リヒャルト・シュトラウス:解き放たれて Op. 39-4

シューベルト:ます D 550

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年フーゴー・ヴォルフ・メダルをハンプソン&リーガーが受賞

今年のシュトゥットガルト、フーゴー・ヴォルフ・メダル(Hugo-Wolf-Medaille)は、バリトンのトマス・ハンプソン(Thomas Hampson)とピアニストのヴォルフラム・リーガー(Wolfram Rieger)が受賞するとのことです。
この二人は長年一緒に演奏してきていますが、Liedduo(リートドゥオ)としての受賞のようです。

そして、過去の受賞シーンをまとめた動画がアップされていました。
F=ディースカウは静止画ですが、クリスタ・ルートヴィヒ、ペーター・シュライアー、ブリギッテ・ファスベンダー、グレアム・ジョンソン、エリー・アーメリングの受賞シーンが数秒ずつですが見られます。
みな嬉しそうな表情です。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

F=ディースカウ&サヴァリッシュ/1992年東京公演ライヴCD化!!!

バリトンのディートリヒ・フィッシャー=ディースカウが引退を表明したのは1993年の年明けごろだったと思います。
1992年の大晦日のコンサートが私の歌手活動最後のステージだったという発表を聞いて驚いたことを思い出します。
つまり、引退の1カ月ちょっと前に来日して2晩にわたるシューベルトの夕べを催してくれたのは、彼の長いコンサート・キャリアの殆どピリオドを打とうとしていた時期だったのです。
私は11月16日の個々の歌曲アンソロジーのコンサートを聴いたのですが、池袋の東京芸術劇場ということもあって、遠くてあまりよく見えなかったという印象があります。
しかし、F=ディースカウお得意の歌がずらりと並んだ演奏はやはり私にとっていい思い出になっています。
「水車屋の娘」の日(11月24日)は、アーメリングの府中公演と重なっていた為、迷った挙句、アーメリングの方に行ってしまいました。
そういうわけで、今回、この2夜のシューベルト・リサイタルがCD化されるというのは大歓迎なわけです(CD化されるとは全く想像もしていませんでした)。
この時期は、ディースカウ、アーメリング、ポップ、テオ・アダム、ミュンヒェン歌劇場のガラコンサートなど、毎日異なる公演を連続して聴いたのを懐かしく思い出します。

曲目などの詳細は以下のページをご覧ください。
 こちら

ここのところ、ニコライ・ゲッダやクルト・モルの逝去など、歌曲ファンにとって悲しいニュースが続いたので、久しぶりに嬉しいニュースとなりました。

購入してじっくり聴いてみようと思います。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

ロベルト・ホル&みどり・オルトナー/ロベルト・ホル バス・バリトンリサイタル(2016年11月27日 川口リリア・音楽ホール)

ロベルト・ホル バス・バリトンリサイタル
シューベルト! ~自然を描く幻想画家

2016年11月27日(日)14:00 川口リリア・音楽ホール

ロベルト・ホル(Robert Holl)(バス・バリトン)
みどり・オルトナー(Midori Ortner)(ピアノ)

シューベルト(Schubert)作曲

戸外にて D880
花の便り D622
春に D882

愛らしい星 D861
星々 D939
夜のすみれ D752
しおれた花 D795-18(「美しき水車小屋の娘」より)

野ばら D257
羊飼いの嘆きの歌 D121
月に寄せて D296
魔王 D328

~休憩~

丘の上の少年 D702
秋 D945
夕べの画像 D650

菩提樹 D911-5(「冬の旅」より)

夕映え D690
月に寄せて D193
夜と夢 D827

冬の夕べ D938

~アンコール~

音楽に寄せて D547

-----------

1年ぶりにロベルト・ホルとみどり・オルトナーが川口リリアに帰ってきてくれた。
彼らの川口でのリーダーアーベントを昨年聴いた時はオルトナーさんの解説が非常に分かりやすく、気さくなお人柄も感じられて、もちろん演奏も素晴らしく、このコンビのコンサートが再び聴けることを心待ちにしていたのである。

今回も客席はかなりの盛況で、熱心な歌曲ファンが集まった。
この日はオール・シューベルト・プログラムで、どうやら選曲はオルトナーさんがしたようだ。
四季の移り変わりや、夜、月、星、夢、花など、歌曲の重要なテーマを盛り込んだ選曲のようだ。

「羊飼いの嘆きの歌」はオルトナーさん自身の解説にもあったように、珍しい前奏付きの版で演奏された。

ホルは今回はトークに加わらず、オルトナーさんの解説の間は横の椅子に腰掛けていた。
オルトナーさんはご自分のことを「とても真面目なディスクジョッキー」というような言い方をしていたが、その解説は各曲に対する造詣の深さと愛着が強く感じられて、それぞれの曲を聴くうえでの大きな道しるべとなった。
いっそオルトナーさんによるシューベルト歌曲全曲の解説本を出してほしいほどだ。

ホルの声は相変わらず、地の底から響き渡るような朗々とした低音が素晴らしく、声の艶は見事に保たれていた。
各曲に対する表情の細やかさも素晴らしく、どの曲も血肉となった表現で聴かせてくれた。
歌曲に対する真摯な姿勢がどの作品からも感じられ、とても充実した音楽を聴いたという気持ちにさせてくれた。
右手を動かす癖も健在だったが、それが鑑賞を妨げるほどではない。
彼の「魔王」を聴いたのはおそらくはじめてだったが、4つの役を違和感なく聴かせる術はさすがベテランの貫禄であった。
ちなみに「魔王」についてオルトナーさんは「ピアニストにとって地獄の曲」と語って笑いを誘っていた。
オルトナーさんの「魔王」の演奏は左手を効果的に使って右手の連打を助けていたが、それが実に自然で、全く見事な「魔王」だった。

オルトナーさんのピアノは、蓋を全開にしていて、バランスはもちろん見事にコントロールされていたが、あたかもシューベルトの即興曲を聴いているかのようなコードの美しさ、内声の浮き上げ方、明瞭なタッチによる立体感、ホルを導くリズム感の見事さ、そしてよく歌うメロディなど、その美質を挙げだしたらきりがない。
オルトナーさんはホルのことを「巨匠」と呼んでいたが、オルトナーさんもすでに「巨匠」のような素晴らしい演奏を聞かせてくれた。
ホルが日本に他のピアニストを連れてこないのも納得である。

なお、事前にピアニストが立ち上がるまでは拍手をしないようにアナウンスがあったが、曲のつながりが重要な歌曲のコンサートでは、拍手のタイミングをあらかじめ指示してくれるのは有難い。

アンコールの「音楽に寄せて」は胸にしみた。

なお、このコンサートの後に、昨年同様公開レッスンが催されたが、私は都合により、そちらは聞けなかった。
きっと受講生にとっても聴衆にとってもためになるレッスンが繰り広げられたのではないだろうか。

| | コメント (10) | トラックバック (0)

バーバラ・ボニー&デイヴィッド・シフリン&アンドレ・ワッツ/シューベルト「岩の上の羊飼い」動画(米・アリス・タリー・ホール)

シューベルト(Schubert)/岩の上の羊飼い(Der Hirt auf dem Felsen) D965

録画:Alice Tully Hall

バーバラ・ボニー(Barbara Bonney)(S)
デイヴィッド・シフリン(David Shifrin)(CL)
アンドレ・ワッツ(André Watts)(P)

-----------

ソプラノのバーバラ・ボニーがシューベルトの「岩の上の羊飼い」を歌っている動画を見つけました。
アメリカのリンカーン・センター内アリス・タリー・ホールでのライヴ映像のようです。
インターネットに記載されている1998年10月14日に演奏された時の録画である可能性があります(断定は出来ませんが)。
ボニーの伸びやかで透き通った声は歌う姿の可憐さと共に楽しませてくれます。
クラリネットはアメリカ人のデイヴィッド・シフリンで、ボニーと絶妙なデュエットを奏でます。
そして、一見地味なピアノパートを担当するのが、日本でもお馴染みのアンドレ・ワッツです。
歌うべきところでは歌い、支えるべきところでは支える、いいピアノ演奏だと思います。

ぜひお楽しみ下さい!

| | コメント (4) | トラックバック (0)

中村紘子さん逝去

ピアニストの中村紘子さんが2016年7月26日に亡くなった。
かねてから大腸がんの闘病をしながら復帰公演もしていたようだが、残念な結果となった。

私は中村さんの実演は学生時代に一度だけ聞いたことがある。
その時は学校に無料コンサートの形で来てくれて弾いてくれたのだと記憶している。
確かブラームスの「2つのラプソディー」などを弾いてくれたのではなかったか。

もちろん中村さんは私がまだクラシックに興味を持つか持たないかのうちに、すでにテレビなどでお馴染みの存在だった。
クラシックの演奏家がテレビCMに出演したはしりの一人ではないだろうか。
カレーのCMで大きなアクション付きで演奏していたりしたが、その後のインタビューで、あれはCM用にあえて派手な身振りをしたのだとか。
実際の彼女はあまり余計な動きをせずに、必要最低限の身振りで演奏に集中していたように思う。
彼女の打鍵は鋭く強いがために、演奏が荒いという評価もあったが、彼女の手の小ささをカバーする弾き方なのではないだろうか。
好き嫌いがあるのはそれだけ個性のはっきりした演奏だったということも言えるのではないだろうか。

教育テレビでピアノのレッスンの番組なども持っていたが、私がシューマンの「謝肉祭」などを知ったのも、その番組を通してだった。

ある番組ではスクリャービンの美しいピアノ曲を弾いていたが、あれも私の記憶の中では中村さんと結びついている。

彼女は一時N響アワーの司会をしていた時期もあった。
ヘルマン・プライがN響とシューベルトのオーケストラ編曲歌曲を歌ったのを放送する際に、本来ならばオーケストラ編曲もこんなに素晴らしいのですよと言うのが望まれたであろうところ、中村さんは「シューベルトのリートはピアノ伴奏が一番いいんですが」と正直なことをおっしゃって番組的に大丈夫なのだろうかと驚いたことがある。
それだけ音楽に対して嘘の付けない方だったのだろう。

文筆活動やコンクールの審査員などの仕事もこなし、マニア向けのクラシックを大衆に啓蒙したという意味で、彼女の果たした役割はとても大きかったのではないかと思われる。

ところで、とても珍しい貴重な動画をアップしてくださっている方がいた。
ショパンを弾いているのだが、出演しているのが、往年の歌謡曲の某名番組である。
お馴染みの司会のお二人の他に高田みづえやマッチの姿も見える。
アウェイ感たっぷりなこのような雰囲気でもマイペースに対応する中村さんの度胸も大したものである。
これを見て、中村紘子さんを追悼したいと思う。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

ドーナト夫妻、ローレンツ&ガルベン/ヴォルフ「イタリア歌曲集」映像(1988年シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭)

フーゴ・ヴォルフ(Hugo Wolf)/「イタリア歌曲集(Italienisches Liederbuch)」全46曲(79分25秒)

録画:1988年、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭(Schleswig Holstein Musikfestival)

ヘレン・ドーナト(Helen Donath)(S)
ジークフリート・ローレンツ(Siegfried Lorenz)(Br)
クラウス・ドーナト(Klaus Donath)(P)
コルト・ガルベン(Cord Garben)(P)

珍しい動画を見つけたのでご紹介します。
ヴォルフの全46曲からなる「イタリア歌曲集」のライヴ映像です。
歌手はソプラノのヘレン・ドーナトとバリトンのジークフリート・ローレンツ。
ピアノはそれぞれクラウス・ドーナト(ヘレンの夫)、コルト・ガルベンです。
この4人いずれも歌曲を演奏している動画は珍しいのではないかと思います。
特にジークフリート・ローレンツはF=ディースカウ、プライ後のドイツを担うリート歌手として取り上げられていた時期もあり、歌曲演奏の実績もしっかりある名歌手なので、こうして歌唱姿を見ることが出来るのはとても貴重です。
ドーナト夫妻は数多くの歌曲の録音を残していて、歌曲演奏者としての実力は広く知られていますので、彼らの演奏動画もまた嬉しいです。
そしてDGのプロデューサーとして、ディースカウやミケランジェリと組みながら、歌曲ピアニストとしても第一線で活躍していたガルベンの演奏もまた、注目されます。
ガルベンは若かりしボニーやオッター、シュミットらを世に出すきっかけとなった録音を企画したり、レーヴェの全歌曲を録音したりと、歌曲演奏史において決して忘れることの出来ない存在です。

ここで演奏されているヴォルフの「イタリア歌曲集」はイタリア起源の詩にドイツ人のパウル・ハイゼが独訳した歌詞によるもので、男女の恋愛の駆け引きが絶妙な音楽で描かれています。
ここでの演奏のように男女の歌手がそれぞれ異なるピアニストと演奏することで、よりドラマティックな効果が期待できそうです。

ヘレン・ドーナトのオペラで培った表現力は映像で見るとより楽しみを増します。
持ち前の美声による巧みな語りかけは、これらのささやかな歌曲を歌ううえでとても魅力的です。
ご主人のピアノは、例えば普段大音量で盛り上げるような曲の最後の和音をあえて軽めに弾くことによって、これらが庶民のささやかなドラマであることを思い出させてくれます。

ローレンツは見た目もいかにも真面目なドイツ人という感じですが、その歌声の柔らかさと伸縮自在な表現の幅で、歌曲歌手としての非凡さをあらためて認識させてくれます。
そして、同じくドイツ人的なガルベンの堅実なピアノもテキストの機微を見事に描いています。

ぜひお楽しみ下さい!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ヘルマン・プライ&フェーリクス・ドゥ・ノーブル/1961年オランダ・ライヴからシューベルト2曲

ドイツの名バリトン、ヘルマン・プライ(Hermann Prey)と、オランダの名伴奏者フェーリクス・ドゥ・ノーブル(Felix de Nobel)が組んだシューベルトのライヴ録音から2曲がアップされていたのでご紹介します。
オランダフェスティヴァルの一環として演奏されたものらしく、コンセルトヘボウでのライヴ録音です。

1.「美しい水車屋の娘」から「仕事を終えて」D795-5 (1961.7.5, Concertgebouw)
2.「冬の旅」から「おやすみ」D911-1 (1961.7.9, Concertgebouw)

プライが初来日したのと同じ1961年の録音とのことで、初来日当時の声を想像しながら聴くのもいいのではないでしょうか。
みずみずしい美声を丁寧にコントロールしながらも若々しい意気の良さが感じられました。
「仕事を終えて」の情熱的な歌いぶりと、「おやすみ」での抑制した表情の違いが感じられて、興味深い歌唱でした。

| | コメント (9) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

CD | DVD | J-Pop | LP | おすすめサイト | アイヒェンドルフ | アンゲーリカ・キルヒシュラーガー | アンティ・シーララ | アーウィン・ゲイジ | アーリーン・オジェー | イアン・ボストリッジ | イェルク・デームス | イタリア歌曲 | イモジェン・クーパー | イングリート・ヘブラー | ウェブログ・ココログ関連 | エディト・マティス | エリック・ヴェルバ | エリーザベト・シュヴァルツコプフ | エリー・アーメリング | エルンスト・ヘフリガー | オペラ | オルガン | オーラフ・ベーア | カウンターテナー | カール・エンゲル | ギュンター・ヴァイセンボルン | クリスタ・ルートヴィヒ | クリスティアン・ゲアハーアー | クリスティーネ・シェーファー | クリスマス | グリンカ | グリーグ | グレアム・ジョンソン | ゲアハルト・オピッツ | ゲアハルト・ヒュッシュ | ゲロルト・フーバー | ゲーテ | コンサート | コントラルト歌手 | シェック | シベリウス | シュテファン・ゲンツ | シューベルト | シューマン | ショスタコーヴィチ | ショパン | ジェフリー・パーソンズ | ジェラルド・ムーア | ジェラール・スゼー | ジュリアス・ドレイク | ジョン・ワストマン | ソプラノ歌手 | テノール歌手 | ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ | ディートリヒ・ヘンシェル | トマス・ハンプソン | トーマス・E.バウアー | ドルトン・ボールドウィン | ナタリー・シュトゥッツマン | ノーマン・シェトラー | ハイドン | ハイネ | ハルトムート・ヘル | ハンス・ホッター | バス歌手 | バッハ | バリトン歌手 | バレエ・ダンス | バーバラ・ヘンドリックス | バーバラ・ボニー | パーセル | ピアニスト | ピーター・ピアーズ | フェリシティ・ロット | フランス歌曲 | フリッツ・ヴンダーリヒ | ブラームス | ブリテン | プフィッツナー | ヘルマン・プライ | ヘルムート・ドイチュ | ベルク | ベートーヴェン | ペーター・シュライアー | ペーター・レーゼル | ボドレール | マティアス・ゲルネ | マルコム・マーティノー | マーク・パドモア | マーティン・カッツ | マーラー | メシアン | メゾソプラノ歌手 | メンデルスゾーン | メーリケ | モーツァルト | ヤナーチェク | ヨーハン・ゼン | ルチア・ポップ | ルドルフ・ヤンセン | ルードルフ・ドゥンケル | レナード・ホカンソン | レルシュタープ | レーナウ | レーヴェ | ロシア歌曲 | ロジャー・ヴィニョールズ | ロッテ・レーマン | ロバート・ホル | ローベルト・フランツ | ヴァルター・オルベルツ | ヴァーグナー | ヴェルディ | ヴォルフ | ヴォルフガング・ホルツマイア | 作曲家 | 作詞家 | 内藤明美 | 北欧歌曲 | 合唱曲 | 小林道夫 | 岡原慎也 | 岡田博美 | 平島誠也 | 指揮者 | 日記・コラム・つぶやき | 映画・テレビ | 書籍・雑誌 | 歌曲投稿サイト「詩と音楽」 | 演奏家 | 白井光子 | 研究者・評論家 | 藤村実穂子 | | 音楽 | R.シュトラウス