ジェスィー・ノーマン&マーク・マーカム(Jessye Norman & Mark Markham)/ドイツ・リサイタル

2019年に亡くなった名ソプラノのジェスィー・ノーマンと、ピアニスト、マーク・マーカムによるドイツでのリサイタル録音(録音年は記載なし)がアップされていました。ASPS NY (Art Song Preservation Society of New York)という組織の動画チャンネルなのでおそらく正規のルートを経てアップロードされたものと思われます。
ブラームス、シューベルト、プーランク、シュトラウスから黒人霊歌までノーマンの十八番が堪能できます。
このコンビは来日公演でも聴いたことがあり、とても懐かしいです。
ノーマンのリサイタルはホールが彼女の強烈なオーラで満たされていたのが思い出されます。

●ジェスィー・ノーマン&マーク・マーカム・ドイツ・リサイタル(part 1)
Jessye Norman (soprano) and Mark Markham (pianist) in recital in Germany - part 1 LIVE

Brahms(ブラームス作曲):
0:27-
Heimkehr(帰郷), Op. 7 No. 6
1:19-
Dein blaues Auge(あなたの青い瞳), Op. 59 No. 8
3:53-
Immer leiser wird mein Schlummer(わがまどろみはますます浅くなり), Op. 105 No. 2
8:04-
Auf dem Kirchhofe(教会墓地にて), Op. 105 No. 4
11:01-
Meine Liebe ist grün(わが愛は緑), Op. 63 No. 5

Schubert(シューベルト作曲):
12:39-
Rastlose Liebe(たゆみなき愛), D 138
13:58-
An die Natur(自然に寄せて), D 372
16:24-
Ellens dritter Gesang: Ave Maria(エレンの歌Ⅲ「アヴェ・マリア」), D 839
22:49-
Der Tod und das Mädchen(死と乙女), D 531
26:03-
Erlkönig(魔王), D 328

●ジェスィー・ノーマン&マーク・マーカム・ドイツ・リサイタル(part 2)
Jessye Norman, Mark Markham Recital in Germany - part 2

Poulenc(プランク作曲):
0:14-
Voyage à Paris(パリへの旅)
1:11-
Montparnasse(モンパルナス)
4:51-
La Grenouillère(グルヌイエール島)
7:09-
Avant le cinéma(映画の前に)

Brahms(ブラームス作曲): "Zigeunerlieder, Op. 103"(歌曲集『ジプシーの歌』)
8:21- no. 1 He, Zigeuner, greife in die Saiten ein
9:19- no. 2 Hochgetürmte Rimaflut
11:25- no. 3 Wißt ihr, wann mein Kindchen
12:57- no. 4 Lieber Gott, du weißt
14:45- no. 5 Brauner Bursche führt zu Tanze
16:43- no. 6 Röslein dreie in der Reihe
18:42- no. 7 Kommt dir manchmal in den Sinn
22:04- no. 8 Rote Abendwolken ziehn

24:01-
R. Strauss(R.シュトラウス作曲): Cäcilie(ツェツィーリエ), Op. 27 No. 2
26:11-
R. Strauss: Zueignung(献呈), Op.10 No. 1
27:55-
Brahms(ブラームス作曲): Vergebliches Ständchen(甲斐なきセレナード), Op. 84 No.4
29:56-
Spiritual(黒人霊歌): Ride on, King Jesus(馬を進めよ王イエス)
32:29-
Spiritual: Sometimes I feel like a motherless child(時には母のない子のように)
36:03-
Spiritual: He’s got the whole world in his hands(ものみな主の御手に)

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エディタ・グルベロヴァ&ヘルタ・マジャロヴァ/1968年リサイタル映像

スロヴァキアのブラティスラヴァ出身の名ソプラノ歌手エディタ・グルベロヴァ(Edita Gruberová: 1946年12月23日 - 2021年10月18日)がチューリヒで亡くなりました。74歳とのことです。まだ亡くなるような年ではなく全く想像すらしていなかったので驚きました。ご冥福をお祈りいたします。ソース:Gramophone

彼女の生演奏は聴こうと思えば何度も聴けるチャンスはあったのですが、結局逸してしまい、今にして思えばとても残念です。彼女は歌曲もたくさん歌っていますが、本領はオペラにあると思っていたので、実演を聴くならばアリア集がいいのではと思いながら結局行かずじまいでした。

いろいろ動画や音源を検索していたところ、彼女の22歳頃の貴重な映像がありましたのでこちらに転載させていただきます。歌曲(もとはアリアのものも含みますが)ばかり7曲歌っています。
放送局のスタジオでしょうか、カメラ目線をばっちり決めて、コロラトゥーラを封印したリリカルな歌いぶりを聞かせてくれています。何よりも声が若くて美しく、立ち居振る舞いも魅力的です。

Edita Gruberova TV recital Bratislava 1968

チャンネル名:edita gruberova♪

エディタ・グルベロヴァ(S)
ヘルタ・マジャロヴァ(P)

0:11 - A.スカルラッティ: すみれ(歌劇『ピッロとデメートリオ』より)
2:53 - ハッセ: あなたはすぐに戻るでしょう
7:14 - モーツァルト: すみれK. 476
9:42 - シューベルト: ますD 550
11:42 - ベートーヴェン: 遠くからの歌WoO. 137
15:32 - R.シュトラウス: セレナードOp. 17-2
17:59 - スロヴァキアの歌

Edita Gruberová(S)
Herta Maďarová(P)

0:11 - Alessandro Scarlatti (1660-1725): Le violette (from "Il Pirro e Demetrio")
2:53 - Johann Adolf Hasse (1699-1783): Ritornerai fra poco
7:14 - Mozart: Das Veilchen, K. 476
9:42 - Schubert: Die Forelle, D 550
11:42 - Beethoven: Lied aus der Ferne, WoO. 137
15:32 - Richard Strauss: Ständchen, Op. 17-2
17:59 - Slovack Lied

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江崎皓介ピアノリサイタル(2021年10月23日 カワイ川口リリアサロン)

江崎皓介ピアノリサイタル/ショパンエチュード全曲

2021年10月23日(土)
開場 14:30/開演 15:00
カワイ川口リリアサロン

江崎皓介(P)

ショパン:エチュード Op. 10-1~12

(休憩:約15分)

ショパン:エチュード Op. 25-1~12

(アンコール)

1. ショパン:夜想曲第2番 変ホ長調 Op. 9-2

2. ショパン:ワルツ第7番 嬰ハ短調 Op. 64-2

3. ショパン:ワルツ第6番 変ニ長調 Op. 64-1「小犬のワルツ」

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昨日、川口リリアのカワイのサロンに行き、一年ぶりに江崎皓介氏の演奏を聴いてきました。
生演奏は今年はじめてです。
某騒動で凄かった去年でさえ3回もコンサートに行ったのに...。
リモートワークが続きプライベートもだんだん出不精になってしまいました。

江崎さんは今回ショパンのエチュードのみでプログラミングし、前半はOp.10の12曲、そして後半はOp.25の全12曲を披露しました。
久しく感じていなかった音のシャワーを浴びる感覚がよみがえってきました。
エチュードといえど、ハノンやバイエルではなく、やはりショパンの芸術作品なのだと実感しました。
有名な曲があちこちに散りばめられていますが、ニックネームが付いていない曲でも馴染みのある曲が多く、それらが全曲まとめて演奏されると、単独で弾かれる時とは違った色合いを放つのが興味深かったです。
やはり江崎さんの演奏は昨年同様響きが美しかったです。
今回特に感じたのは他の演奏ではあまり強調されないような声部を際立たせることで、新鮮な魅力を感じることが出来たことです。内声もそうですが、バス音を強調するだけで随分雰囲気が変わり、聴いていて惹きこまれる箇所が多数ありました(例えばOp.25-2等)。
私の右側ブロックの一番真ん中よりの席からは手はほとんど見れなかったのですが、その代わりペダリングがよく見えて、細やかなペダルの踏みかえが印象に残っています。
ショパンは繊細な印象が強いですが、ドラマティックに畳みかけるところも魅力的ですね。
特に休憩後のOp.25では江崎さんの演奏が鬼気迫るような、何かが乗り移ったかのようなものが感じられて、12曲からなる物語のページを次々にめくっていくようなわくわくする感覚がありました。
曲が終わって次の曲に進むタイミングも音楽の一部なのだなぁとあらためて感じられた演奏でした。

アンコールは3曲でしたが、ツアーが下関、大阪と続くようですので、曲名はそれが終わった頃に追記しようと思います。
1曲目の超有名なあの曲では右手に多くの装飾を施していて興味深かったです。
何かそういう装飾の代替フレーズが記載された楽譜があるのか、それとも江崎さんが創作した装飾なのか気になり、帰り際にお見送りいただいた時に伺おうかとも思ったのですが、お疲れのところ申し訳ないと思い、一言感想をお伝えしてその場を離れてしまいました。

歌曲ファンの立場から今回ショパンのエチュードを聴いていて感じたことなのですが、ヴォルフは意外とショパンの影響を受けているのではないかと思いました。ヴォルフの歌曲のピアノパートに出てくるような音楽が、ショパンの音楽の中にいくつか感じられました。ヴォルフは若い頃音楽評論家でもあったので、その評論をひもとけば何か出てくるかもしれませんね。

余談ですが、昨今ショパンコンクールの日本人お二人の入賞がメディアでも話題になり、本当におめでたいと思いますが、普段クラシックの報道をほとんどしない一般メディアもこういう時はにわかクラシックファンになるのだなぁとひねくれた見方をしてしまいます。
でも、途中で先に進めなかったピアニストの方も素晴らしい演奏をした方がおられましたし、動画でそれぞれの演奏が聴けるので、お気に入りのピアニストをじっくり探すというのも楽しいですね。

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マーラー:私はこの世からいなくなった (Mahler - Ich bin der Welt abhanden)

ピアニストのTrung Samさんが私がこちらの記事で掲載したマーラー「私はこの世からいなくなった(Ich bin der Welt abhanden)」の日本語訳詞を動画で使いたいとのご連絡をいただき、こうして出来上がった動画をシェアしていただきました。

ソプラノのSabine Ritterbuschさんの自然で凛とした歌声、そして一音一音に気持ちのこもった美しいTrung Samさんの演奏をぜひお聞き下さい。

Trung Samさん、Yukoさん、有難うございました!

Thank you for sharing this wonderful movie, Mr. Trung Sam and Yuko-san!

[covid art film] | 私はこの世からいなくなった - G. Mahler - Ich bin der Welt abhanden | Ritterbusch Sam

„I am lost to the world - Ich bin der Welt abhanden gekommen“
Gustav Mahler | lyrics by Friedrich Rückert

Sabine Ritterbusch soprano - http://sabine-ritterbusch.de​
Trung Sam piano - https://www.trungsam.com​

recorded in 2019, august 6th and 7th in Richard Jacoby Saal of Hannover University of Music, Drama and Media

a JULIUS MEYERHOFF film

sound: Oliver Rogalla zu Heyden
camera: Julius Meyerhoff, Eric Lassahn
editing: Julius Meyerhoff
styling: Gina Hanning
light design: Wilfried Heitmüller

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2020年に聴いたコンサート(江崎皓介ピアノリサイタル、高橋健介 Kotoba to Oto Vol. 1)

2020年は某騒動のせいで軒並みイベントは中止や延期に追い込まれてしまいましたが、そんな中実施まで漕ぎつけたコンサートもありました。
アーティストやスタッフの方々は想像できないほどのご苦労があったことと思います。

歌劇『ヴォルフ イタリア歌曲集』の公演についてはすでに投稿しました。

他に2つ素晴らしいコンサートを10月に聴いてきました。

実は最近ツイッターのアカウントを作り、そちらには感想を投稿していたのですが、やはりブログの方が私には向いていることが分かり、今後はツイッターのアカウントは情報収集用に残し、発信はこちらのブログで続けていこうと思います。

●江崎皓介(えざきこうすけ)ピアノリサイタル

http://www.piano.or.jp/concert/20084290

2020.10.10(土)15:00-16:30 カワイ川口リリアサロン

江崎皓介(えざきこうすけ)(ピアノ)

シューマン:ダヴィット同盟舞曲集Op. 6

(休憩15分)

ショパン:幻想曲Op. 49

ベートーヴェン:ピアノソナタ第21番「ワルトシュタイン」Op. 53

アンコール:
ドビュッシー:アラベスク第1番

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江崎皓介ピアノリサイタルを聴いてきました。いやぁ良かったです!
今年初の生音。動画も素晴らしいけれど、目の前で奏でられる音を全身に浴びる感覚!
やはりピアニストって凄いと改めて思いました!
シューマン、ショパン、ベートーヴェンと大作ばかりで聴き応えありました。

川口リリアに行く時はいつも音楽ホールの公演ばかりで、カワイのお店の奥にこんなサロン風のスペースがあるとは知りませんでした。

江崎さんの4人の作曲家(アンコールも含めて)の弾き分けが素晴らしく、タッチの変幻自在さに聞き入りました!

「ワルトシュタイン」はグリッサンドよりもオクターブの連続下行の方が指への負担は別にして難しそうな気がしますが、江崎さんのテクニックの素晴らしさもあって安心して身を委ねて聴けました。

それにしても年々シューマンが好きになっていく私です。
「ダヴィット同盟」最高ですね!

●高橋健介/Kotoba to Oto Vol. 1

https://kensuketakahashi-blog.com/kotoba-to-oto-vol-1-3/commentary/

2020.10.11(日)13:30-15:20 紀尾井町サロンホール

高橋健介(ピアノ)
水野沙六花(ピアノ)
澤原行正(テノール)
榎本郁(ヴァイオリン)

シューマン:《詩人の恋》 作品48 (澤原、高橋)

(休憩)

バーンスタイン :《キャンディード》 序曲 (水野、高橋)

サラサーテ:序奏とタランテラ  作品43 (榎本、高橋)

ドヴォルザーク:《スラヴ舞曲集》より  作品72-2 、作品46-5 (水野、高橋)

クライスラー:ドヴォルザークの主題によるスラヴ幻想曲 (榎本、高橋)

ブラームス(ハイフェッツ編):メロディのように  作品105-1 (榎本、高橋)

バッハ(高橋編):《神の時こそいと良き時》BWV106より第1曲〈ソナティナータ〉 (水野、高橋)
バッハ(高橋編):《楽しき狩こそわが悦び》BWV208より第9曲 アリア〈羊は安らかに草を食み〉 (水野、高橋)

クライスラー:愛の悲しみ (榎本、高橋)

モンティ:チャールダーシュ (榎本、高橋)

アンコール:

ラフマニノフ:ここは素晴らしい場所Op. 21/7 (高橋独奏)

グノー(バッハ原曲):アヴェ・マリア (4人全員)

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高橋健介さんが企画されたコンサートを聴いてきました。
「演奏(歌手やヴァイオリニストとの共演、ピアニストとの連弾、ソロ)、編曲、トーク、企画、プログラムの記述」等を一人でこなされたマルチな才能をまざまざと感じた時間でした。

共演者は皆高橋さんと関わりの深い方ばかりで、特に後半はトークも加わりなごやかな空気でした。もちろん演奏は真剣そのものでした。

水野沙六花さん(ピアノ):高橋さん同様歌ものの演奏が多いとのこと。明瞭なタッチで、見ていて楽しくなるような演奏でした!高橋さんとの息もさすがにぴったり!今回の連弾ではすべて水野さんがプリモ(高音パート)でした。

澤原行正さん(テノール):高橋さんと大学の同級生とのこと。美声でした!絵に書いたような貴公子然としたオーラを放っていて『詩人の恋』の主人公の苦悩を第三者ではなくまさに一人称の歌として表現していました。”mein Sehnen und Verlangen(ぼくの憧れと望み)”に満ちた歌だったと感じました。

榎本郁さん(ヴァイオリン):高橋さんの高校の同級生で、当時から音楽の話をしていたそう。学生時代の仲間とプロとして同じステージに立つというのは感慨深いことだろうなぁと想像します。テクニックが凄かったです!でも歌の編曲等での美しいフレーズにこそ榎本さんの良さがあると感じました。

高橋健介さん(ピアノ):かつてジェラルド・ムーアは文筆活動や講演、録音等を通して伴奏者の仕事や心構え等を幅広くシェアしましたが、高橋さんは現代のツール(SNSや名をなした人の著書等)を活用して、演奏家、聴衆の両者に惜しみなくノウハウをシェアしています。
その多方面の才能が今回のコンサートに結実したと言えるのではないでしょうか。
今回のKotoba to Oto というタイトルに込められた由来等も話されましたが、様々なツールを一つのコンサートに集約するというアイディアは新しいと思います!
そして高橋さんの演奏ですが、とても丁寧で細やかでした!

今回サポートチケットを購入した人には特典映像のURLが送られてくるのですが、『詩人の恋』の某曲を澤原さんとリハーサルしているシーンで、二人が試行錯誤している場面がありました。完成途上の段階の演奏をシェアするというのは勇気のいることだと思いますが、今回の本番で見事に完成していました。

今日『詩人の恋』を聴いていて感じたのですが、高橋さんの演奏は常にコントロールが行き届いていながら、血が通った表現でした。そしてそれはかつて実演で聴いた小林道夫さん(高橋さんの師)から感じたものを思い出させるものでした。

最後にもう1点。
今回高橋さんは譜めくりを自分でしたのですが、めくり方やタイミングが素晴らしかったです!
外来の有名なピアニストでも静かな余韻の中派手な音を立てて譜めくりする場面をこれまで何度も見てきましたが、高橋さんは必要なら次の曲で歌い始めてからめくったりもしていました。

Bravi!!!

Ezaki-kousuke-20201010 ←江崎皓介ピアノリサイタルちらし

Kawai-kawaguchi-lilia-salon ←カワイ川口リリアサロン

Kioicho-salon-hall-1 ←紀尾井町サロンホール

Kioicho-salon-hall-2 ←紀尾井町サロンホール

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ヘレン&クラウス・ドーナト&プライ&ホカンソン/1978年シューベルトの夕べ(ホーエネムス・ライヴ音源)

1978年6月26日にホーエネムスのリッターザール(騎士の間)でシューベルティアーデのコンサートが催されました。
その時のライヴ音源がアップされていたので、シェアしたいと思います。

女声歌曲をヘレン・ドーナト(S)&クラウス・ドーナト(P)夫妻、
男声歌曲をヘルマン・プライ(BR)&レナード・ホカンソン(P)が演奏しています。
二重唱のミニョンと竪琴弾き「ただ憧れを知る者だけが」D 877/1はどちらのピアニストが演奏したのかは分かりません。
さらに「岩の上の羊飼い」ではクラリネットのウルフ・ローデンホイザーが共演しました。

最後に置かれた「岩の上の羊飼い」以外はすべてゲーテの詩による歌曲がプログラミングされ、
前半は『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代(Wilhelm Meisters Lehrjahre)』からの詩が集められています。
男女の歌手が揃ったステージならではの選曲が興味深いです。

26 Juni 1978, 20:00 Uhr, Rittersaal im Palast Hohenems

ヘレン・ドーナト(Helen Donath)(S)
クラウス・ドーナト(Klaus Donath)(P)

ヘルマン・プライ(Hermann Prey)(BR)
レナード・ホカンソン(Leonard Hokanson)(P)

ウルフ・ローデンホイザー(Ulf Rodenhäuser)(CL)

シューベルト(Schubert)作曲:

0:00 歌手(Der Sänger) D 149 (BR)

7:35 竪琴弾きIII「涙と共にパンを食べたことのない者」(Harfenspieler) D 480 (BR)

12:52 竪琴弾きI「孤独に浸り込む者」(Harfenspieler) D 478 (BR)

17:24 ミニョンの歌「あの国をご存知ですか」(Mignon) D 321 (S)

22:21 ミニョンと竪琴弾き「ただ憧れを知る者だけが」(Mignon und der Harfner) D 877/1 (S, BR)

26:25 竪琴弾きII「戸口に忍び寄り」(Harfenspieler) D 479 (BR)

29:27 ミニョンの歌「話せと言わないで下さい」(Mignon) D 877/2 (S)

33:02 ミニョンの歌「私をこのままにしておいて下さい」(Mignon) D 877/3 (S)

〜休憩(Pause)〜

35:52 悲しみの喜び(Wonne der Wehmut) D 260 (S)

36:56 愛「喜びに満ち、悲しみに満ち」(Die Liebe) D 210 (S)

38:33 恋する娘が手紙を書く(Die Liebende schreibt) D 673 (S)

41:36 ミニョンの歌「ただ憧れを知る者だけが」(Mignon) D 877/4 (S)

44:58 ミニョンに(An Mignon) D 161 (BR)

48:24 遥かな女性に(An die Entfernte) D 765 (BR)

52:10 川辺にて(Am Flusse) D 766 (途中雑音あり) (BR)

54:44 歓迎と別れ(Willkommen und Abschied) D 767 (BR)

58:41 岩の上の羊飼い(Der Hirt auf dem Felsen) D 965 (S, CL)

Schubertiadeのアーカイヴページはこちら

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ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau)と共演したピアニストたち

リートの巨匠ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau: 1925年5月28日, Berlin - 2012年5月18日, Berg)がインタビューなどで共演したピアニストの数を尋ねられた時、大体100人から150人と答えていたように記憶しています。
彼はスタジオ録音に限ってもかなりの数のピアニストたちと共演しています。
例えば、ヘルタ・クルスト、ギュンター・ヴァイセンボルン、ジェラルド・ムーア、イェルク・デームス、カール・エンゲル、アリベルト・ライマン、ハルトムート・ヘルなどが挙げられるでしょう。
一方、音楽ジャーナリストたちはF=ディースカウが独奏者として名高いピアニスト、あるいはピアノがうまい指揮者と共演したことをとりわけ重視しているように感じられます。
ダニエル・バレンボイム、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、スヴャトスラフ・リヒテル、クリストフ・エッシェンバッハ、アルフレート・ブレンデル、レナード・バーンスタインら一流の音楽家たちがF=ディースカウと組んだ録音は音楽評論家たちから激賞されています。
もう一つ気づくのは、これほど多くのピアニストたちと共演しているにもかかわらず、同時代に歌曲演奏で活躍したピアニスト、例えばジェフリー・パーソンズ、ドルトン・ボールドウィン、コンラート・リヒター、ルドルフ・ドゥンケルらとの共演記録が見当たらないことです。
いろいろな事情があるのだとは思いますが、ヘルマン・プライとしばしば共演していたヘルムート・ドイチュによると、ドイチュがF=ディースカウのカセットテープを持っていることを知ったプライファンの人にそのことを責められたとのことです。
ドイチュは、プライ自身F=ディースカウの録音を聴いていることをそのファンの人は知らないのだろうと述懐しています。
意識するしないにかかわらずある種の縄張りのようなものがあって、他の歌手と結びつきの強いピアニストとの共演は遠慮するということはあるのではないかと想像します。
パーソンズがシュヴァルツコプフ、F=ディースカウと3人で談笑している写真が残っていますが、それでもシュヴァルツコプフのほぼ専属的な立場にいたパーソンズと共演することはあえて避けたのではないかと推測します。

Monika Wolfという人がF=ディースカウ&ヴァラディ夫妻のサイトを立ち上げていて、その中にF=ディースカウのコンサート記録も含まれています。
http://mwolf.de/kalendarium/index.htm
1947年から亡くなる2012年まで記録がつけられています。
F=ディースカウ自身が出演記録をつけていたということも大きいと思いますが、その記録にプログラムなども紐づけられていて、とても貴重な記録となっています。
そこに共演者の名前も記載されていましたので、ピアニストと判断できる人をピックアップして、エクセルにまとめました。
そのエクセルファイルをPDF化したものをこちらで公開したいと思います。

ダウンロード - dietrich20fischerdieskaus20pianists.pdf

コンサート記録に掲載されていたピアニストとチェンバリストの名前とコンサートの日付と場所をまとめてあります。
さらにコンサート記録には出てこなくて録音(スタジオ録音、放送録音、共演したがお蔵入りの録音)でのみ共演した(と思われる)ピアニストはコンサート共演リストの下に録音データをまとめてあります(コンサートで共演しているピアニストについては録音データを記載していません)。
1992年12月31日をもって歌手活動から引退したF=ディースカウですが、その後も歌手以外の活動に精力的に取り組んでいます。
メロドラマ(朗読とピアノの組み合わせ)の朗読、作曲家や作家の手紙などの朗読、ピアニストとしての演奏(主に連弾)、あるいは指揮者として、マスタークラスの指導者としても活動しています。
歌手活動をしている時にあまり時間をさけなかった活動に夢中で取り組んでいるようで、本当に音楽家として生涯を全うしたことに敬意を感じます。
メロドラマでは特にR.シュトラウスの「イノック・アーデン」とウルマンの「旗手クリストフ・リルケの愛と死の歌」がお気に入りだったようで、歌手時代には共演しなかった若いピアニストたちともしばしば共演しています。
そのような朗読者として共演したピアニストもリストに含まれていますが、その場合は「D.F-D is narrator.」と記してありますので、分かると思います。

朗読者時代のピアニストを含めてもF=ディースカウが述べた100人という人数には及びませんでした。
Monika Wolfのコンサート記録にはピアニストの名前が書かれていない場合もあるので、おそらく他にも共演したピアニストはいるのだろうと思います。

ピアニストの国籍を見ていくとF=ディースカウはお気に入りのピアニストを演奏旅行に連れていく場合と、現地のピアニストと共演する場合の両方がありました。
アメリカ旅行ではポール・ウラノウスキー、イタリア旅行ではジョルジョ・ファヴァレット、そして我が日本でも小林道夫との共演記録があります(小林さんとのシューマン歌曲集はCD化されています)。

コンサートの回数でいくと、意外かもしれませんが、ギュンター・ヴァイセンボルンとの共演がデームスやムーア、ヘルを大きく引き離して最も多かったです。
ドイツ国内の各地を演奏旅行する時はヴァイセンボルンと共演することが多いようです。

いろいろ想像がふくらむ共演者リストになっておりますので、よろしければご覧ください。

ちなみに名前だけは下に列記しておきます(詳細はPDFをご覧ください)。

※参考文献:Dietrich Fischer-Dieskau: Verzeichnis der Tonaufnahmen

Gerhard Albersheim
ゲアハルト・アルバースハイム

Hans Altmann
ハンス・アルトマン (放送録音のみ)

Vladimir Ashkenazy
ヴラディーミル・アシュケナージ

Daniel Barenboim
ダニエル・バレンボイム

Leonard Bernstein
レナード・バーンスタイン

Klaus Billing
クラウス・ビリング

Otto Braun
オットー・ブラウン

Alfred Brendel
アルフレート・ブレンデル

Benjamin Britten
ベンジャミン・ブリテン

Gerhard Burgert
ゲアハルト・ブルゲルト

John Buttrick
ジョン・バトリック

Jörg Demus
イェルク・デームス

Karl Engel
カール・エンゲル

Christoph Eschenbach
クリストフ・エッシェンバハ

Giorgio Favaretto
ジョルジョ・ファヴァレット

Irwin Gage
アーウィン・ゲイジ

Cord Garben
コルト・ガルベン (放送録音のみ:CD化されている)

William Glock
ウィリアム・グロック

Florian Henschel
フローリアン・ヘンシェル

Hellmut Hideghéti
ヘルムート・ヒデゲティ

Ludwig Hoffmann
ルートヴィヒ・ホフマン

Franz Holetschek
フランツ・ホレチェク

Hartmut Höll
ハルトムート・ヘル

Vladimir Horowitz
ヴラディーミル・ホロヴィッツ

Raimund Hose
ライムント・ホーゼ

Theodor Jakobi
テオドア・ヤコビ

Rudolf Jansen
ルドルフ・ヤンセン (CD録音のみ)

Lotte Jekèli
ロッテ・イェケリ

Franz Jung
フランツ・ユング

Burkhard Kehring
ブルクハルト・ケーリング

Wilhelm Kempff
ヴィルヘルム・ケンプフ (LP録音のみ:CD化されている)

Hertha Klust
ヘルタ・クルスト

Michio Kobayashi (piano, harpsichord)
小林道夫

Ernst Křenek
エルンスト・クシェネク

Arni Kristiansson
アルニ・クリスティアンソン

Fritz Lehmann
フリッツ・レーマン

Daniel Levy
ダニエル・レヴィ (CD録音のみ)

Ernest Lush
アーネスト・ラッシュ (放送録音のみ)

George Malcolm (harpsichord)
ジョージ・マルコム

Martin Mälzer
マルティン・メルツァー

Siegfried Mauser
ジークフリート・マウザー

Erwin Milzkott
エアヴィン・ミルツコット

Gerald Moore
ジェラルド・ムーア

Fritz Neumeyer
フリッツ・ノイマイアー

Hans-Peter Olshausen
ハンス=ペーター・オルスハウゼン

Kjell Olsson
シェル・オルソン

Gerhard Oppitz
ゲアハルト・オピッツ

Murray Perahia
マリー・ペライア

Edith Picht-Axenfeld (harpsichord, piano)
エディト・ピヒト=アクセンフェルト

Maurizio Pollini
マウリツィオ・ポッリーニ

Michael Ponti
マイクル・ポンティ (LP録音のみ:CD化されている)

Michael Raucheisen
ミヒャエル・ラウハイゼン (放送録音のみ:CD化されている)

Ernst Reichert
エルンスト・ライヒェルト

Aribert Reimann
アリベルト・ライマン

Hermann Reutter
ヘルマン・ロイター

Sviatoslav Richter
スヴィャトスラフ・リフテル

Hans-Erich Riebensahm
ハンス=エーリヒ・リーベンザーム

Wolfram Rieger
ヴォルフラム・リーガー

Per Rundberg
ペール・ルンドバーリ

Wolfgang Sawallisch
ヴォルフガング・サヴァリシュ

Anneliese Schier-Tiessen
アネリーゼ・シーア=ティーセン

András Schiff
アンドラーシュ・シフ

Reinhard Schwarz-Schilling
ラインハルト・シュヴァルツ=シリング (放送録音のみ)

Joachim Seyer-Stephan
ヨアヒム・ザイアー=シュテファン

Norman Shetler
ノーマン・シェトラー

John Steele Ritter (harpsichord)
ジョン・スティール・リッター

Leo Stein
レオ・シュタイン (スタジオ録音のみ:一度も発売されていない)

Leo Taubman
レオ・タウプマン

Karola Theill
カローラ・タイル

Paul Ulanowsky
ポール・ウラノウスキー

Tamás Vásáry
タマーシュ・ヴァーシャーリ

Robert Veyron-Lacroix (harpsichord)
ロベール・ヴェイロン=ラクロワ

Otto Volkmann
オットー・フォルクマン

Charles Wadsworth
チャールズ・ワズワース

Margrit Weber
マルグリト・ヴェーバー

Roland Weber
ローラント・ヴェーバー

Günther Weißenborn
ギュンター・ヴァイセンボルン

Walter Welsch
ヴァルター・ヴェルシュ

Erik Werba
エリク・ヴェルバ

Rudolf Wille
ルドルフ・ヴィレ

Hans Zippel
ハンス・ツィッペル

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プライ&エンドレス(Prey & Endres)映像;オージェ&ボールドウィン(Augér & Baldwin)1984年NYリサイタル音源

長い新型コロナウイルス対策、皆様大変お疲れ様です。
音楽がお好きな方々は、最近アップしてくださった素敵な映像や音源で一息ついて下さいね。

●ヘルマン・プライ(BR)&ミヒャエル・エンドレス(P)
シューベルト「美しい水車屋の娘」より~1.さすらい

Hermann Prey, baritone
Michael Endres, piano

Die schöne Müllerin, D 795: 1. Das Wandern


●アーリーン・オージェ(S)&ドルトン・ボールドウィン(P)1984年ニューヨーク・リサイタル

Recital
録音:25 January 1984, Alice Tully Hall, New York City (live)

Arleen Augér(アーリーン・オージェ), soprano
Dalton Baldwin(ドルトン・ボールドウィン), piano

Mozart(モーツァルト):
- Das Veilchen(すみれ) 0:00
- Die Verschweigung() 2:43
- Als Luise die Briefe …ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼いた時) 5:55
- Sehnsucht nach dem Frühling(春への憧れ) 7:37
- Abendempfindung(夕暮れの感情) 9:35
Schumann(シューマン):
- Widmung(献身) 15:11
- Röselein, Röselein!(ばらよ、ばらよ!) 17:40
- Er ist’s!(あの季節だ!) 20:27
- Geisternähe(魂の近さ) 21:55
- Mondnacht(月夜) 24:18
- Aufträge(ことずて) 28:40
- Des Sennen Abschied(羊飼いの別れ) 31:04
- Kennst du das Land?(あの国をご存知でしょうか) 32:58
- Singet nicht in Trauertönen(悲しい音色で歌わないで) 37:09
Debussy(ドビュッシー):
- Romance(ロマンス) 39:12
- Mandoline(マンドリン) 41:31
- Clair de lune(月の光) 42:54
- Apparition(現れ) 45:36
Strauss(シュトラウス):
- Waldseligkeit(森の至福) 48:52
- Glückes genug(十分幸せ) 51:55
- Schlechtes Wetter(悪天候) 54:32
- Ach Lieb, ich muß nun scheiden(ああ恋人よ、ぼくはもう別れなければならない) 56:54
- Gefunden(見つけた) 59:15
- Hat gesagt - bleibt’s nicht dabei(言いました-それだけでは済みません) 1:02:01
Wolf(ヴォルフ): (encore)
- Auch kleine Dinge(小さなものでも私たちをうっとりさせることが出来るの) 1:03:58
Mozart(モーツァルト): (encore)
- Alleluia(アレルヤ) 1:06:51

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ペーター・シュライアー(Peter Schreier)と共演したピアニストたち

2019年12月25日に亡くなった名テノール歌手ペーター・シュライアー(Peter Schreier)は、オペラ、オラトリオ、コンサート、オーケストラコンサートの指揮など、様々な分野にわたって活躍しました。
私も「マタイ受難曲」の公演で、彼が指揮をしながらエヴァンゲリストを歌うという超人的なコンサートに居合わせたことがあります。
これは本当に素晴らしかったです。
長時間歌いっぱなしでさらに指揮もした彼は超人以外の何者でもありませんでした(途中で休憩が入ったかどうかは覚えていませんが)。

しかし、このブログをご訪問くださっている方の多くは、リート歌手としてのシュライアーの思い出をお持ちの方も多いのではないかと思います。

彼はピアニストの選択が実に多岐に渡っていました。
録音では、オルベルツ、シェトラー、エンゲル、シフ等が多いですが、実際のコンサートではかなり様々なピアニストと組んでいることが分かります。

シュライアーの伝記には共演したピアニスト、チェンバリスト、オルガニスト、ギタリストがまとめてリスト化されていますが、下記はインターネット上で確認できたもののみを記載しました。

要するに下記は不完全な共演者リストです。
それでも、彼が特定のピアニストだけでなく、様々なピアニストと組んだ事実ははっきりするのではないでしょうか。

(以下、姓のアルファベット順)
Hansjörg Albrecht(ハンスイェルク・アルブレヒト)
Rudolf Buchbinder(ルドルフ・ブフビンダー)
Jozef de Beenhouwer(ジョゼフ・ドゥ・ベーナウアー)
Jörg Demus(イェルク・デームス)
Helmut Deutsch(ヘルムート・ドイチュ)
Rudolf Dunckel(ルドルフ・ドゥンケル)
Karl Engel(カール・エンゲル)
Christoph Eschenbach(クリストフ・エッシェンバハ)
Irwin Gage(アーウィン・ゲイジ)
Grant Gershon(グラント・ガーション)
Markus Groh(マルクス・グロー)
Armen Guzelimian(アーメン・グゼリミアン)
Thomas Hans(トーマス・ハンス)
Markus Hinterhäuser(マルクス・ヒンターホイザー)
Leonard Hokanson(レナード・ホカンソン)
Hartmut Höll(ハルトムート・ヘル)
Rudolf Jansen(ルドルフ・ヤンセン)
Graham Johnson(グレアム・ジョンソン)
Marián Lapsanský(マリアーン・ラプシャンスキー)
Jean Lemaire(ジャン・ルメール)
Alexei Lubimov(アレクセイ・リュビモフ)
David Lutz(デイヴィッド・ラッツ)
Heinz Medjimorec(ハインツ・メジモレツ)
Frieder Meschwitz(フリーダー・メシュヴィツ)
Gerald Moore(ジェラルド・ムーア)
Walter Olbertz(ヴァルター・オルベルツ)
Geoffrey Parsons(ジェフリー・パーソンズ)
Camillo Radicke(カミロ・ラディケ)
Dezső Ránki (デジュー・ラーンキ)
Sviatoslav Richter(スヴャトスラフ・リフテル)
Wolfram Rieger(ヴォルフラム・リーガー)
Peter Rösel(ペーター・レーゼル)
Wolfgang Sawallisch(ヴォルフガング・サヴァリシュ)
András Schiff(アンドラーシュ・シフ)
Paul von Schilhawsky(パウル・フォン・シルハウスキー)
Alexander Schmalcz(アレクサンダー・シュマルツ)
Norman Shetler(ノーマン・シェトラー)
Charles Spencer(チャールズ・スペンサー)
Anthony Spiri(アントニー・スピリ)
Günther Weissenborn(ギュンター・ヴァイセンボルン)
Erik Werba(エリク・ヴェルバ)
Breda Zakotnik(ブレダ・ザコトニク)

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ハンプソン&アルゲリッチ(Hampson & Argerich)の「詩人の恋(Dichterliebe)」(1840年初稿版)

デビュー以来常にクラシックファンを惹きつけ続けてきたマルタ・アルゲリッチ(Martha Argerich)の2018年のハンブルク・ライヴの録音がリリースされました。

 こちら

その収録曲の中にバリトンのトマス・ハンプソン(Thomas Hampson)とのシューマン「詩人の恋」が含まれていたのが驚きでした。
彼女はキャリアの後半、アンサンブルやコンチェルトに専念して、ほとんどソロ演奏をしてこなかったのですが、楽器奏者との共演は頻繁だったのに対して、歌手との共演は聞いたことがなかったので、おそらく歌曲の演奏にはあまり乗り気ではなかったのではないかと思っていたのです。
だから、この情報を知って、すぐに配信で聞いてみました。
私はAmazon musicの配信で聞いたので、パッケージの現物は見ていないのですが、写真満載のブックレットが付いているようなので、彼女のファンの方は配信だけでなくCDもチェックした方がいいかもしれません。
私は彼女の実演を2度聞いたことがあり、最初は大昔藤沢で開かれたラビノヴィッチとの2台ピアノのコンサート、そして2回目は5年前のラ・フォル・ジュルネで、大勢の仲間たちと共に「動物の謝肉祭」や2台ピアノ版「春の祭典」が演奏されました。
とにかく指がよく回り、奔放で鋭いタッチだけれど詩情豊かで繊細さも持っていて、聞く者を惹きつけずにおかないものを確かに持っていました。
大分ではアルゲリッチの名前を冠した音楽祭が定期的に催されているのですが、確か彼女の弟子の伊藤京子さんが立ち上げた音楽祭で、伊藤さんはヘルマン・プライの伴奏などで知られたレナード・ホカンソンの弟子でもあるのです。
アルゲリッチはホカンソン門下の伊藤さんと身近に接しているのですから、よく考えれば歌曲と無縁でいるはずはなかったと思います。

この7枚組CDの5枚目にハンプソンとの「詩人の恋」が収録されているのですが、注目すべきなのは、一般に歌われる版ではなく、シューマンが最初に構想した20曲版での演奏だということです。
出版される際に省かれた4曲のハイネ歌曲が最初に計画された曲順で聴けるだけでなく、省かれなかった16曲も歌、ピアノ共に最終版とかなり違いがある点は興味深いです。
ハンプソンはこの版で以前にサヴァリシュ(Wolfgang Sawallisch)とEMIに録音しているのですが、1994年の録音なので、アルゲリッチとの共演の24年前ということになります。
当時全盛期の美声と知性的な歌唱で魅了したハンプソンも2018年の録音時は63歳ということになり、さすがに以前のような声の艶は若干後退していますが、全身で情熱的に歌う姿勢と血肉となった熟した表現は今だからこその素晴らしさです。

そして、アルゲリッチのピアノですが、結論から言うと素晴らしかったです。
いわゆるピアノの大家たちが伴奏する時のような我が道を行くタイプではなく、歌手としっかり一体となりながら、ピアノが前面に出るべき所では彼女ならではの鋭い切れ味を聞かせています。
例えば第10曲(通常版では第8曲)「Und wüßten's die Blumen, die kleinen」の後奏における急速なテンポでの燃え上がる炎のような演奏は、アルゲリッチの面目躍如と言えるでしょう。
しかし、情熱的な個所以上に注目すべきなのは、「詩人の恋」の多くの曲で聞けるロマンの香り豊かな情緒的個所でしょう。
第1曲「Im wunderschönen Monat Mai」から、彼女の繊細なルバートの揺らし、音色の美しさなど、なんともいえないシューマネスクな情緒が豊かに香ってきます。
第2曲「Aus meinen Tränen sprießen」ではハンプソンの歌と見事なハーモニーを奏でます。
そして、曲集中際立って美しい第7曲(通常版では第5曲)「Ich will meine Seele tauchen」ではしっとりとした落ち着いたテンポでハンプソンを支え、後奏ではバスと高音を明瞭に響かせ、美しくピアノで歌っています。
最終曲「Die alten, bösen Lieder」は重みのある激しいタッチの前奏で始まり、リズムを雄弁に刻み、後奏の回想ではすっきりしたテンポながら絶妙に歌い、静かに締めくくっています。

レーベル:AVANTI
録音:2018年6月25日-7月1日、ライスハレ
トマス・ハンプソン(Thomas Hampson)(BR)
マルタ・アルゲリッチ(Martha Argerich)(P)

シューマン(Schumann):『詩人の恋(Dichterliebe)』Op.48 (1840年初稿20曲版)
1 Im wunderschönen Monat Mai (素晴らしく美しい月、五月に)
2. Aus meinen Tränen sprießen (ぼくの涙から)
3. Der Rose, die Lilie, die Taube, die Sonne (薔薇、百合、鳩、太陽)
4. Wenn ich in deine Augen seh' (ぼくがきみの瞳を見つめると)
5. Dein Angesicht (きみの顔)
6. Lehn' deine Wang' an meine Wang' (きみの頬をぼくの頬に寄せておくれ)
7. Ich will meine Seele tauchen (ぼくの魂を潜らせたい)
8. Im Rhein, im heiligen Strome (ライン川、聖なる川の)
9. Ich grolle nicht (ぼくは恨まない)
10. Und wüßten's die Blumen, die kleinen (そして花々が、小さな花々が)
11. Das ist ein Flöten und Geigen (これはフルートにヴァイオリン)
12. Hör' ich das Liedchen klingen (ぼくはその歌の響きを)
13. Ein Jüngling liebt ein Mädchen (ある若者が娘に恋をしたが)
14. Am leuchtenden Sommermorgen (輝く夏の朝に)
15. Es leuchtet meine Liebe (ぼくの恋は輝いている)
16. Mein Wagen rollet langsam (ぼくの馬車はゆっくりと進む)
17. Ich hab' im Traum geweinet (ぼくは夢の中で泣いた)
18. Allnächtlich im Traume (毎晩夢の中できみに会い)
19. Aus alten Märchen winkt es (昔のおはなしから)
20. Die alten, bösen Lieder (昔の嫌な歌)

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