エリー・アーメリング(Elly Ameling)の最新インタビュー(de Volkskrant);エリーの要点「深く感動すること」(Elly's Essentials; “Deeply touched")

オランダの新聞社de VolkskrantのWebサイトに、2025年2月8日に92歳を迎えたエリー・アーメリングのインタビュー記事が掲載されていました。

当然オランダ語なのですが、Google翻訳を使用すれば大体どんなことを言っているのか知ることが出来ますので、興味のある方はぜひご覧ください。

尊敬する歌手、若い世代の有望なリート歌手、歌手の心構え、亡きご主人のこと、愛について、死についてなど、多岐に渡る彼女の考えを知ることが出来ます。

YouTubeの彼女のチャンネルを見ると、アーメリングが思ったことを歯に衣着せぬ言い方で伝え、時々その大胆さに驚かされることがあります。誰かに忖度することなく、長年の経験から得た知見を堂々と語り、そこから何らかの議論のきっかけになることを望んでおられるのではないかと思います。

「私のピアニストたちがもうすぐ空の守護者になって、私の周りを漂いながら飛んでくる姿を想像するのが好きです。」(エリー・アーメリング)

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●Elly's Essentials; “Deeply touched"

Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です。音声が出ます。)

シューベルト:音楽に寄せて D 547
エリー・アーメリング(S), イエルク・デームス(P)

Schubert: An die Musik
Elly Ameling, Jörg Demus
(Recorded: 10-13 January 1970, Electrola Studio Zehlendorf, Berlin)→※今回流れた演奏がデームスとのEMIへのスタジオ録音で正しければこのデータになります。

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An die Musik, D 547
 音楽に寄せて

Du holde Kunst, in wieviel grauen Stunden,
Wo mich des Lebens wilder Kreis umstrickt,
Hast du mein Herz zu warmer Lieb entzunden,
Hast mich in eine beßre Welt entrückt!
 いとおしい芸術よ、どれほどの灰色にくすんだ時間に、
 私が荒れ果てた人生の環にくるみ込まれた時、
 あなたは私の心に温かい愛の火をともして、
 私をより良き世界に連れ去ってくれたことか!

Oft hat ein Seufzer, deiner Harf' entflossen,
Ein süßer, heiliger Akkord von dir
Den Himmel beßrer Zeiten mir erschlossen,
Du holde Kunst, ich danke dir dafür!
 しばしば、あなたの竪琴から発せられるため息、
 あなたの甘く厳粛な和音が
 より良き時の天国を私に開いてくれた、
 いとおしい芸術よ、あなたに感謝する!

詩:Franz Adolf Friedrich von Schober (1796-1882), "An die Musik" 
曲:Franz Peter Schubert (1797-1828), "An die Musik", op. 88 (Vier Lieder) no. 4, D 547 (1817), published 1827

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(参考)

The LiederNet Archive

de Volkskrant: "Elly Ameling, de beroemdste Nederlandse sopraan: ‘Tenoren? Die waren altijd al ijdel’"

Elly's Essentials; “Deeply touched" (YouTube)

詩と音楽:「音楽に寄せて」

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エリー・アーメリング92歳を祝して:ヴォルフ・ディスコグラフィー(Happy birthday, Elly Ameling! - Hugo Wolf discography)

エリー・アーメリング(Elly Ameling)が今日(2025.2.8)で92歳になられました。おめでとうございます!最近の動画などを拝見しているとお元気そうで本当にうれしい限りです!今年の4月6日にはなんとLeeds Liederのマスタークラスに再登場する予定とのことです。

彼女はフーゴー・ヴォルフ(Hugo Wolf)の歌曲をキャリアの初期から引退前まで歌い続け、録音も残しています。2015年にはシュトゥットガルトのフーゴー・ヴォルフ・メダル(Hugo-Wolf-Medaille)が授与されています(こちらのリンク先に独語のレポートがあります)。

彼女のヴォルフ録音は、LPやCD1枚すべてをヴォルフ歌曲でまとめた場合と、あるテーマで様々な作曲家の作品を集めた録音の中に1,2曲含まれている場合の両方があります。そこで、今回は彼女のヴォルフ・ディスコグラフィーをまとめてみました(一部のマイナーレーベルのものは除きます)。
日本語訳は主にレコードジャケット、CD解説書の表記に従いましたが、『イタリア歌曲集』の各タイトルは西野茂雄氏の訳の冒頭を使用しました。

1964年12月17日に(おそらくオランダのラジオで)放送されたヴォルフの宗教的歌曲3曲(ああ、おさな児の瞳は/み空をただようものらよ/眠れる幼な子イエス)については、こちらの過去の記事に記載していますので、よろしければご覧ください。ピアノはFelix de Nobelです。

アーメリングはリサイタルでも録音でも『イタリア歌曲集』を多く歌っていて、全曲盤はスタジオ録音で2回(1969年のBaldwin共演盤と1980年のGage共演盤)、放送録音でも私の知る限り1回(de Nobelのピアノ)歌っていて、この放送録音は現在動画サイトで聞くことが出来ます(過去の記事にまとめてあります)。残念なのは彼女の来日公演のプログラムに『イタリア歌曲集』の中の曲が含まれなかったことですが(おそらく唯一の例外が、さよならコンサートのアンコールで歌われた第1曲です)、その代わり、ミニョン歌曲群やスペイン歌曲集抜粋などは日本の聴衆の前で披露されました。

ジェラール・スゼーとドルトン・ボールドウィンがPhilipsのために1967年にヴォルフの『イタリア歌曲集』を録音した際、彼らは女声用歌曲を歌う歌手を探していました。そうした中でアーメリングに白羽の矢が立ち、録音することになったようです。アーメリングはスゼーの録音した2年後の1969年に26曲を録音して、イタリア歌曲集の女声用歌曲抜粋集としてまず1枚のLPで発売されました。『イタリア歌曲集』の中には男女どちらが歌っても問題ない曲がいくつかあり、スゼーと重複してアーメリングが録音した曲が3曲ありました("8. Nun laß uns Frieden schließen", "26. Ich ließ mir sagen und mir ward erzählt", "31. Wie soll ich fröhlich sein und lachen gar")。これらは後に全曲盤として曲順も入れ替えて発売される際にはすべてスゼーの録音が採用されました。従って、スゼーと重複した3曲のアーメリングの録音は実は未だにCD化されていないことになります(昨年Eloquence様からアーメリングのPhilipsリサイタル盤集大成のボックスがまとめてリリースされた際も『イタリア歌曲集』は全曲盤のみの復活だった為、この3曲はお預けとなってしまいました)。

PHILIPS: [LP] SFX-7926 / [LP] 802 919 LY

ヴォルフ:「イタリア歌曲集」より/「メーリケ歌曲集」より

録音:1969年6月8日~14日, Musica-Théâtre, La Chaux-de-Fonds, Switzerland(「イタリア歌曲集」)/1970年8月2日~8日, La Chaux de Fonds, Switzerland(「メーリケ歌曲集」)

エリー・アメリンク(ソプラノ)
ダルトン・ボルドウィン(ピアノ)

ヴォルフ:「イタリア歌曲集」より

A面-1
1.ちいさなものでも私たちを魅惑することができる
16.あんたがた、戦場にお出かけのおにいさんたち
2.うわさによると遠く旅に出られるそうですね
20.あたしの恋人が家の前で、月あかりの中で歌っている

A面-2
6.誰があんたを呼んだの?
21.みんながいってるわ、お母さんが反対なんですってね
32.なにを怒っているの、あんたは、かっかとのぼせて?
8.もう平和を締結しようよ(※全曲盤ではSouzayが採用された)

A面-3
39.祝福あれ、緑と、緑を身にまとう人に!
40.あなたのお家が硝子みたいに透明だったら
41.今夜、私が夜中に起き上ってみると
36.もしもあなたが天国へのぼったら、いとしいひとよ

B面-1
46.ペンナにあたしの恋人がいる
10.あんたはかぼそい一本の糸であたしを縛り
12.いえ、若いお方、世間ではけっしてそんな風には致しません
43.ちょっと黙ったらどう、いけすかないおしゃべりさん!

B面-2
11.どんなに長い間、あたしは願っていたことでしょう
15.あたしの恋人はとてもおチビさん
24.もはや私は乾いたパンを口にすることはないでしょう
25.あたしの恋人があたしを食事に招いた
26.ぼくは人にたずねて、こう聞かされた(※全曲盤ではSouzayが採用された)

B面-3
28.あんたはいうのね、あたしが女王様じゃないって
29.なみなみならぬご身分はよく存じあげていますわ
31.どうしてあたしは楽しそうにしたり、笑ったりしていられるだろう(※全曲盤ではSouzayが採用された)
45.あたしの恋人の小屋を深淵がのみこみ
19.私たち二人は長い間黙りこくっていました

ヴォルフ:「メーリケ歌曲集」より

B面-4
ねずみ取りのおまじない(『女声のための6つの歌曲』より第6曲)
飽くことを知らぬ恋(『メーリケ歌曲集』より第9曲)

PHILIPS: [LP] SFX-7926 / [LP] 802 919 LY

Hugo Wolf: Aus dem Italienischen Liederbuch / Zwei Mörike-Lieder

Recording: 8-14 June 1969, Musica-Théâtre, La Chaux-de-Fonds, Switzerland (Italienisches Liederbuch);2-8 August 1970, La Chaux de Fonds, Switzerland (Mörike-Lieder)

Elly Ameling, soprano
Dalton Baldwin, piano

Aus dem Italienischen Liederbuch

A-1
1. Auch kleine Dinge können uns entzücken
16. Ihr jungen Leute, die ihr zieht ins Feld
2. Mir ward gesagt, du reisest in die Ferne
20. Mein Liebster singt am Haus im Mondenscheine

A-2
6. Wer rief dich denn?
21. Man sagt mir, deine Mutter woll es nicht
32. Was soll der Zorn, mein Schatz, der dich erhitzt
8. Nun laß uns Frieden schließen, liebstes Leben (※全曲盤ではSouzayの録音が採用された)

A-3
39. Gesegnet sei das Grün und wer es trägt
40. O wär dein Haus durchsichtig wie ein Glas
41. Heut Nacht erhob ich mich um Mitternacht
36. Wenn du, mein Liebster, steigst zum Himmel auf

B-1
46. Ich hab in Penna einen Liebsten wohnen
10. Du denkst mit einem Fädchen mich zu fangen
12. Nein, junger Herr, so treibt man's nicht, fürwahr
43. Schweig einmal still, du garst'ger Schwätzer dort

B-2
11. Wie lange schon war immer mein Verlangen
15. Mein Liebster ist so klein, daß ohne Bücken
24. Ich esse nun mein Brot nicht trocken mehr
25. Mein Liebster hat zu Tische mich geladen
26. Ich ließ mir sagen und mir ward erzählt (※全曲盤ではSouzayの録音が採用された)

B-3
28. Du sagst mir, daß ich keine Fürstin sei
29. Wohl kenn' ich Euren Stand, der nicht gering
31. Wie soll ich fröhlich sein und lachen gar (※全曲盤ではSouzayの録音が採用された)
45. Verschling der Abgrund meines Liebsten Hütte
19. Wir haben beide lange Zeit geschwiegen

Zwei Mörike-Lieder

B-4:
Mausfallen-Sprüchlein (from "6 Lieder für eine Frauenstimme")
Nimmersatte Liebe (from "Mörike-Lieder")

PHILIPS: [LP] 6700 041 (国内盤未発売)

ヴォルフ:『イタリア歌曲集』

録音:1967年9月, Eindhoven (Souzay) / 1969年6月8-14日, Musica-Théâtre, La Chaux-de-Fonds, Switzerland (Ameling)

エリー・アーメリング(ソプラノ)
ジェラール・スゼー(バリトン) *
ダルトン・ボールドウィン(ピアノ)

A面:
22.皆さま方にセレナーデをお贈りすべくやって来ました*
20.あたしの恋人が家の前で、月あかりの中で歌っている
18.ブロンドの頭をお上げ、居眠りなんかしないで*
41.今夜、私が夜中に起き上ってみると
34.朝早く、ベッドから起き出すと*
1.ちいさなものでも私たちを魅惑することができる
7.月はいたましい歎きをかかげて*
2.うわさによると遠く旅に出られるそうですね
38.お前がちらりとぼくを見て、ほほえみ*
40.あなたのお家が硝子みたいに透明だったら
35.しあわせな母に祝福あれ*

B面:
39.祝福あれ、緑と、緑を身にまとう人に!
9.お前の魅力がそっくり絵に描かれたとしたら*
21.みんながいってるわ、お母さんが反対なんですってね
17.お前の恋人をこがれ死なせる気なら*
3.あなたはこの世の中でいちばん美しい*
16.あんたがた、戦場にお出かけのおにいさんたち
23.どんな歌をお前に歌ってあげたらいいだろう*
36.もしもあなたが天国へのぼったら、いとしいひとよ
4.祝福あれ、この世をお創りになった方に*
6.誰があんたを呼んだの?
5.幸いなるかな、まことめしいたる者は*

C面:
46.ペンナにあたしの恋人がいる
10.あんたはかぼそい一本の糸であたしを縛り
37.お前を愛したばっかりに、とんと時間を無駄にしてしまった!*
25.あたしの恋人があたしを食事に招いた
42.ぼくはもう歌えない*
43.ちょっと黙ったらどう、いけすかないおしゃべりさん!
44.おお知るがいい、お前のおかげで*
15.あたしの恋人はとてもおチビさん
13.いやにお高くとまってるんだな、きれいな娘さん*
32.なにを怒っているの、あんたは、かっかとのぼせて?
31.どうしてぼくは楽しそうにしたり、笑ったりしていられるだろう*
11.どんなに長い間、あたしは願っていたことでしょう
12.いえ、若いお方、世間ではけっしてそんな風には致しません

D面:
30.勝手にさせとくさ、あんなに偉そうに振舞う女は*
45.あたしの恋人の小屋を深淵がのみこみ
26.ぼくは人にたずねて、こう聞かされた*
24.もはや私は乾いたパンを口にすることはないでしょう
14.なあ兄弟、ひとつ坊主に化けようじゃないか*
28.あんたはいうのね、あたしが女王様じゃないって
27.ぼくはもう床の中で疲れた手足を伸ばしていた*
29.なみなみならぬご身分はよく存じあげていますわ
33.ぼくが死んだら、体を花で覆ってくれ*
19.私たち二人は長い間黙りこくっていました
8.もう平和を締結しようよ*

PHILIPS: [LP] 6700 041

Wolf: Italienisches Liederbuch

Recording: September 1967, Eindhoven (Souzay) / 8-14 June 1969, Musica-Théâtre, La Chaux-de-Fonds, Switzerland (Ameling)

Elly Ameling, soprano
Gérard Souzay, baritone *
Dalton Baldwin, piano

A面:
22. Ein Ständchen Euch zu bringen kam ich her *
20. Mein Liebster singt am Haus im Mondenscheine
18. Heb' auf dein blondes Haupt und schlafe nicht *
41. Heut Nacht erhob ich mich um Mitternacht
34. Und steht Ihr früh am Morgen auf vom Bette *
1. Auch kleine Dinge können uns entzücken
7. Der Mond hat eine schwere Klag' erhoben *
2. Mir ward gesagt, du reisest in die Ferne
38. Wenn du mich mit den Augen streifst und lachst *
40. O wär dein Haus durchsichtig wie ein Glas
35. Benedeit die sel'ger Mutter *

B面:
39. Gesegnet sei das Grün und wer es trägt
9. Daß doch gemalt all deine Reize wären *
21. Man sagt mir, deine Mutter woll es nicht
17. Und willst du deinen Liebsten sterben sehen *
3. Ihr seid die Allerschönste weit und breit *
16. Ihr jungen Leute, die ihr zieht ins Feld
23. Was für ein Lied soll dir gesungen werden *
36. Wenn du, mein Liebster, steigst zum Himmel auf
4. Gesegnet sei, durch den die Welt entstund *
6. Wer rief dich denn?
5. Selig ihr Blinden *

C面:
46. Ich hab in Penna einen Liebsten wohnen
10. Du denkst mit einem Fädchen mich zu fangen
37. Wie viele Zeit verlor ich, dich zu lieben *
25. Mein Liebster hat zu Tische mich geladen
42. Nicht länger kann ich singen, denn der Wind *
43. Schweig einmal still, du garst'ger Schwätzer dort
44. O wüßtest du, wie viel ich deinetwegen *
15. Mein Liebster ist so klein, daß ohne Bücken
13. Hoffärtig seid Ihr, schönes Kind, und geht *
32. Was soll der Zorn, mein Schatz, der dich erhitzt
31. Wie soll ich fröhlich sein und lachen gar *
11. Wie lange schon war immer mein Verlangen
12. Nein, junger Herr, so treibt man's nicht, fürwahr

D面:
30. Laß sie nur gehn, die so die Stolze spielt *
45. Verschling der Abgrund meines Liebsten Hütte
26. Ich ließ mir sagen und mir ward erzählt *
24. Ich esse nun mein Brot nicht trocken mehr
14. Geselle, woll'n wir uns in Kutten hüllen *
28. Du sagst mir, daß ich keine Fürstin sei
27. Schon streckt' ich aus im Bett die müden Glieder *
29. Wohl kenn' ich Euren Stand, der nicht gering
33. Sterb' ich, so hüllt in Blumen meine Glieder *
19. Wir haben beide lange Zeit geschwiegen
8. Nun laß uns Frieden schließen, liebstes Leben *

PHILIPS: [LP] SFX-7927 / [LP] 6500 128

ヴォルフ:「メーリケ歌曲集」より

録音:1970年8月2日~8日, La Chaux de Fonds, Switzerland

エリー・アメリンク(ソプラノ)
ダルトン・ボルドウィン(ピアノ)

A面:
妖精の歌
湖畔の精霊
水の妖精
春だ
クリスマスの花によせてⅠ
クリスマスの花によせてⅡ
出会い
見捨てられた娘
さようなら
風の歌

B面:
眠れる幼な子イエス
子供と蜜蜂
夜明け前のひととき
明け方に
祈り
打ち明け話
ある結婚式で
エオリアン・ハープによせて
老婆の忠告
飽くことを知らぬ恋

PHILIPS: [LP] SFX-7927 / [LP] 6500 128

Hugo Wolf: Mörike-Lieder

Recording: 2-8 August 1970, La Chaux de Fonds, Switzerland

Elly Ameling, soprano
Dalton Baldwin, piano

A:
Elfenlied
Die Geister am Mummelsee
Nixe Binsefuß
Er ist's
Auf eine Christblume I
Auf eine Christblume II
Begegnung
Das verlassene Mägdlein
Lebe wohl
Lied vom Winde

B:
Schlafendes Jesuskind
Der Knabe und das Immlein
Ein Stündlein wohl vor Tag
In der Frühe
Gebet
Selbstgeständnis
Bei einer Trauung
An eine Äolsharfe
Rat einer Alten
Nimmersatte Liebe

PHILIPS: [LP] X7806 / [LP] 9500 350

ドイツ・ロマン派歌曲集(全18曲中ヴォルフは2曲)

録音:1976年9月10日~14日, Kleine zaal, Concertgebouw, Amsterdam

エリー・アーメリング(ソプラノ)
ダルトン・ボールドウィン(ピアノ)

ヴォルフ:夏の子守歌
ヴォルフ:庭師

PHILIPS: [LP] X7806 / [LP] 9500 350

German Romantic Songs

Recording: 10-14 September 1976, Kleine zaal, Concertgebouw, Amsterdam

Elly Ameling, soprano
Dalton Baldwin, piano

Wolf: Wiegenlied im Sommer
Wolf: Der Gärtner

CBS SONY:[LP] 25AC 1172 / CBS Masterworks: [LP] 76977

クリスマスを歌う(全8曲中ヴォルフは1曲)

録音:記載なし(P1980)(1980年12月1日 国内盤発売)

エリー・アメリング(ソプラノ)
ダルトン・ボールドウィン(ピアノ)

ヴォルフ:主顕節

CBS SONY:[LP] 25AC 1172 / CBS Masterworks: [LP] 76977

Christmas With Elly Ameling

Elly Ameling, soprano
Dalton Baldwin, piano

Wolf: Epiphanias

Nonesuch: [LP] NB-78014-A / CBS Masterworks: [LP] CBS 79258 / GLOBE: [CD] GLO 2-5008; GLO 6029 (国内盤未発売)

ヴォルフ:『イタリア歌曲集』

録音:1980年5月/9月, Haarlem

エリー・アーメリング(ソプラノ)
トム・クラウセ(バリトン) *
アーウィン・ゲイジ(ピアノ)

1面
1.ちいさなものでも私たちを魅惑することができる
2.うわさによると遠く旅に出られるそうですね
3.あなたはこの世の中でいちばん美しい*
4.祝福あれ、この世をお創りになった方に*
5.幸いなるかな、まことめしいたる者は*
6.誰があんたを呼んだの?
7.月はいたましい歎きをかかげて*
8.もう平和を締結しようよ*
9.お前の魅力がそっくり絵に描かれたとしたら*
10.あんたはかぼそい一本の糸であたしを縛り
11.どんなに長い間、あたしは願っていたことでしょう
12.いえ、若いお方、世間ではけっしてそんな風には致しません

2面
13.いやにお高くとまってるんだな、きれいな娘さん*
14.なあ兄弟、ひとつ坊主に化けようじゃないか*
15.あたしの恋人はとてもおチビさん
16.あんたがた、戦場にお出かけのおにいさんたち
17.お前の恋人をこがれ死なせる気なら*
18.ブロンドの頭をお上げ、居眠りなんかしないで*
19.私たち二人は長い間黙りこくっていました
20.あたしの恋人が家の前で、月あかりの中で歌っている
21.みんながいってるわ、お母さんが反対なんですってね
22.皆さま方にセレナーデをお贈りすべくやって来ました*
23.どんな歌をお前に歌ってあげたらいいだろう*

3面
24.もはや私は乾いたパンを口にすることはないでしょう
25.あたしの恋人があたしを食事に招いた
26.私は人にたずねて、こう聞かされた
27.ぼくはもう床の中で疲れた手足を伸ばしていた*
28.あんたはいうのね、あたしが女王様じゃないって
29.なみなみならぬご身分はよく存じあげていますわ
30.勝手にさせとくさ、あんなに偉そうに振舞う女は*
31.どうしてあたしは楽しそうにしたり、笑ったりしていられるだろう
32.なにを怒っているの、あんたは、かっかとのぼせて?
33.ぼくが死んだら、体を花で覆ってくれ*
34.朝早く、ベッドから起き出すと*

4面
35.しあわせな母に祝福あれ*
36.もしもあなたが天国へのぼったら、いとしいひとよ
37.お前を愛したばっかりに、とんと時間を無駄にしてしまった!*
38.お前がちらりとぼくを見て、ほほえみ*
39.祝福あれ、緑と、緑を身にまとう人に!
40.あなたのお家が硝子みたいに透明だったら
41.今夜、私が夜中に起き上ってみると
42.ぼくはもう歌えない*
43.ちょっと黙ったらどう、いけすかないおしゃべりさん!
44.おお知るがいい、お前のおかげで*
45.あたしの恋人の小屋を深淵がのみこみ
46.ペンナにあたしの恋人がいる

Nonesuch: [LP] NB-78014-A / CBS Masterworks: [LP] CBS 79258 / GLOBE: [CD] GLO 2-5008; GLO 6029

Hugo Wolf: Italienisches Liederbuch

Recording:May/September 1980, Haarlem

Elly Ameling, Soprano
Tom Krause, Baritone *
Irwin Gage, Piano

SIDE ONE
1. Auch kleine Dinge können uns entzücken
2. Mir ward gesagt, du reisest in die Ferne
3. Ihr seid die Allerschönste weit und breit *
4. Gesegnet sei, durch den die Welt entstund *
5. Selig ihr Blinden *
6. Wer rief dich denn?
7. Der Mond hat eine schwere Klag' erhoben *
8. Nun laß uns Frieden schließen, liebstes Leben *
9. Daß doch gemalt all deine Reize wären *
10. Du denkst mit einem Fädchen mich zu fangen
11. Wie lange schon war immer mein Verlangen
12. Nein, junger Herr, so treibt man's nicht, fürwahr

SIDE TWO
13. Hoffärtig seid Ihr, schönes Kind, und geht *
14. Geselle, woll'n wir uns in Kutten hüllen *
15. Mein Liebster ist so klein, daß ohne Bücken
16. Ihr jungen Leute, die ihr zieht ins Feld
17. Und willst du deinen Liebsten sterben sehen *
18. Heb' auf dein blondes Haupt und schlafe nicht *
19. Wir haben beide lange Zeit geschwiegen
20. Mein Liebster singt am Haus im Mondenscheine
21. Man sagt mir, deine Mutter woll es nicht
22. Ein Ständchen Euch zu bringen kam ich her *
23. Was für ein Lied soll dir gesungen werden *

SIDE THREE
24. Ich esse nun mein Brot nicht trocken mehr
25. Mein Liebster hat zu Tische mich geladen
26. Ich ließ mir sagen und mir ward erzählt
27. Schon streckt' ich aus im Bett die müden Glieder *
28. Du sagst mir, daß ich keine Fürstin sei
29. Wohl kenn' ich Euren Stand, der nicht gering
30. Laß sie nur gehn, die so die Stolze spielt *
31. Wie soll ich fröhlich sein und lachen gar
32. Was soll der Zorn, mein Schatz, der dich erhitzt
33. Sterb' ich, so hüllt in Blumen meine Glieder *
34. Und steht Ihr früh am Morgen auf vom Bette *

SIDE FOUR
35. Benedeit die sel'ger Mutter *
36. Wenn du, mein Liebster, steigst zum Himmel auf
37. Wie viele Zeit verlor ich, dich zu lieben *
38. Wenn du mich mit den Augen streifst und lachst *
39. Gesegnet sei das Grün und wer es trägt
40. O wär dein Haus durchsichtig wie ein Glas
41. Heut Nacht erhob ich mich um Mitternacht
42. Nicht länger kann ich singen, denn der Wind *
43. Schweig einmal still, du garst'ger Schwätzer dort
44. O wüßtest du, wie viel ich deinetwegen *
45. Verschling der Abgrund meines Liebsten Hütte
46. Ich hab in Penna einen Liebsten wohnen

ETCETERA: [LP] ETC 1003; [CD] KTC 1003 / GLOBE: [CD] GLO 6029 (国内盤未発売)

ヴォルフ:ゲーテ歌曲集/ケラー歌曲集

録音:1981年6月/8月, Haarlem

エリー・アーメリング(ソプラノ)
ルドルフ・ヤンセン(ピアノ)

アナクレオンの墓

ゲーテの「ヴィルヘルム・マイスター」より
 ミニョンⅠ
 ミニョンⅡ
 ミニョンⅢ
 フィリーネ
 ミニョン

「昔の歌:ケラーの6つの詩」
 お入り、気高い戦士よ
 恋人がひわのように歌うなら
 ねえ、青臭いお坊ちゃん
 朝露の中を踏み分けて
 炭焼きの女房が酔っぱらって
 明るいお月様が

「ズライカの書」より
 御身の愛によって
 ユーフラテスを舟で渡った時
 もはや御身を失うことは

ETCETERA: [LP] ETC 1003; [CD] KTC 1003 / GLOBE: [CD] GLO 6029

Wolf: Goethe Lieder / Keller Lieder

Recording: June/August 1981, Haarlem

Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano

Anakreons Grab

Aus "Wilhelm Meister" von Goethe
 Mignon I ("Heiss mich nicht reden")
 Mignon II ("Nur wer die Sehnsucht kennt")
 Mignon III ("So lasst mich scheinen")
 Philine ("Singet nicht in Trauertönen")
 Mignon ("Kennst du das Land")

Alte Weisen: Sechs Gedichte von Keller
 Tretet ein, hoher Krieger
 Singt mein Schatz wie ein Fink
 Du milchjunger Knabe
 Wandl' ich in dem Morgentau
 Das Köhlerweib ist trunken
 Wie glänzt der helle Mond

Aus dem "Buch Suleika"
 Hoch beglückt in deiner Liebe
 Als ich auf dem Euphrat schiffte
 Nimmer will ich dich verlieren

PHILIPS: [LP] 28PC5087 [CD] 35CD179

フェイヴァリト・ソング(全8曲中ヴォルフは1曲)

録音:1983年10月31日~11月4日, Haarlem, Holland

エリー・アーメリング(ソプラノ)
ルドルフ・ヤンセン(ピアノ)

ヴォルフ:世をのがれて(隠棲)

PHILIPS: [LP] 412 216-1 [CD] 412 216-2

"Serenata"

Recording: 31 October - 4 November 1983, Haarlem, Holland

Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano

Wolf: Verborgenheit

Hyperion: [CD] CDA66788 (国内盤未発売)

フーゴー・ヴォルフ歌曲集

録音:1991年9月12-16日

エリー・アーメリング(ソプラノ)
ルドルフ・ヤンセン(ピアノ)

『スペイン歌曲集』より(※聖:聖歌曲/世:世俗歌曲)
 聖4. み空をただようものらよ
 世24. 来ておくれ、おお、死よ
 世13. 意地悪な舌は口をそろえて
 世12. ねえ、あなたでしょう、立派なお方
 世23. わが胸の奥深く
 世2. わたしの巻髪のかげに
 世30. かわいい足を痛くしたのは誰?
 聖6. ああ、おさな児の瞳は
 世25. たとえ、つれない視線が
 世21. ものみなは憩いに入った、私の心よ
 世26. 私を花で覆ってください
 聖7. 重荷を負い、辛苦を重ねて
 世28. 進軍のラッパが鳴っているわ
 世34. ねえ、あなた、もう帰って頂戴

『メーリケ歌曲集』より
 23. 古画に寄せて
 13. 春に
 16. 妖精の歌
 12. 隠棲
 7. 見捨てられた娘
 38. 風の歌
 9. 飽くことを知らぬ恋

Hyperion: [CD] CDA66788

Songs by Hugo Wolf

Recording: 12-16 September 1991

Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano

Spanisches Liederbuch, nach Heyse und Geibel
 Die ihr schwebet
 Komm, o Tod, von Nacht umgeben
 Mögen alle bösen Zungen
 Sagt, seid ihr es, feiner Herr
 Tief im Herzen trag ich Pein
 In dem Schatten meiner Locken
 Wer tat deinem Füsslein weh?
 Ach, des Knaben Augen
 Ob auch finstre Blicke glitten
 Alle gingen, Herz, zur Ruh
 Bedeckt mich mit Blumen
 Mühvoll komm ich und beladen
 Sie blasen zum Abmarsch
 Geh, Geliebter, geh jetzt

Gedichte von Eduard Mörike
 Auf ein altes Bild
 Im Frühling
 Elfenlied
 Verborgenheit
 Das verlassene Mägdlein
 Lied vom Winde
 Nimmersatte Liebe

Omnium Audiovisueel: [CD] GW 13001 (5CDs)(国内盤未発売)

エリー・アーメリング80歳
オランダ放送協会コンサート・ライヴ録音集1967-1990

録音: 1975年~1989年 (Wolf Lieder)

エリー・アーメリング(ソプラノ)
ルドルフ・ヤンセン(ピアノ)
ドルトン・ボールドウィン(ピアノ)*

[CD4]

ヴォルフ:
5つのミニョン&フィリーネの歌:
1. ミニョンⅠ(語れとおっしゃらないで)
2. ミニョンⅡ(ただ憧れを知る者だけが)
3. ミニョンⅢ(このままでいさせてください)
4. フィリーネ
5. ミニョン(その国をご存知ですか)
ルドルフ・ヤンセン, piano
NOS 18-10-1983, Concertgebouw Amsterdam

「スペイン歌曲集」より:
6. たとえ、つれない視線が *
ドルトン・ボールドウィン, piano
AVRO 11-08-1975

7. わたしの巻髪のかげに
8. わが胸の奥深く
9. ものみなは憩いに入った、私の心よ
ルドルフ・ヤンセン, piano
KRO 06-10-1985, Muziekcentrum Vredenburg, Utrecht

11. 私を花で覆ってください
ルドルフ・ヤンセン, piano
TROS 12-05 1982

12. ねえ、あなたでしょう、立派なお方
13. ねえ、あなた、もう帰って頂戴
14. 意地悪な舌は口をそろえて
ルドルフ・ヤンセン, piano
KRO 06-10-1985, Muziekcentrum Vredenburg, Utrecht

15. 夏の子守歌
ルドルフ・ヤンセン, piano
Datum: 12-05-1982, Concertgebouw Amsterdam

16. ねずみ取りのおまじない
「メーリケ歌曲集」より:
17. 隠棲(世を逃れて)
ルドルフ・ヤンセン, piano
TROS 21-02-1989, Concertgebouw Amsterdam

18. 眠りに寄せて
19. 明け方に
20. 春だ
21. 春に
22. 風の歌
23. エオリアン・ハープに寄せて
24. 出会い
25. 飽くことを知らぬ恋
26. 妖精の歌
27. こうのとりの使い
ルドルフ・ヤンセン, piano
TROS 14-01-1986, Concertgebouw Amsterdam

Omnium Audiovisueel: [CD] GW 13001 (5CDs)

ELLY AMELING 80 jaar
Live Concertopnamen Nederlandse Omroep 1967-1990

[CD4]

Recording: 1975~1989 (Wolf Lieder)

Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano
Dalton Baldwin, piano *

Wolf:

5 Mignon [& Philine] Lieder

・rec. 18 Oct. 1983, Concertgebouw, Amsterdam
Mignon I "Heiß mich nicht reden"
Mignon II "Nur wer die Sehnsucht kennt"
Mignon III "So lasst mich scheinen"
Philine
Mignon "Kennst du das Land"

Uit Spanisches Liederbuch

・rec. 11 Aug. 1975
Ob auch finstre Blicke glitten *

・rec. 6 Oct. 1985, Muziekcentrum Vredenburg, Utrecht
In dem Schatten meiner Locken
Tief im Herzen trag' ich Pein
Alle gingen, Herz, zur Ruh'

・rec. 12 May 1982, Concertgebouw, Amsterdam
Bedeckt mich mit Blumen

・rec. 6 Oct. 1985, Muziekcentrum Vredenburg, Utrecht
Sagt, seid Ihr es, feiner Herr
Geh', Geliebter, geh' Jetzt
Mögen alle bösen Zungen

・rec. 12 May 1982, Concertgebouw, Amsterdam
Wiegenlied im Sommer

・rec. 21 Feb. 1989, Concertgebouw, Amsterdam
Mausfallen-Sprüchlein
Verborgenheit (Uit Mörike Lieder)

Uit Mörike Lieder

・rec. 14 Jan. 1986, Concertgebouw, Amsterdam
An den Schlaf
In der Frühe
Er ist's
Im Frühling
Lied vom Winde
An eine Aeolsharfe
Begegnung
Nimmersatte Liebe
Elfenlied
Storchenbotschaft

●Wolf: Italienisches Liederbuch - No. 46, Ich hab in Penna einen Liebsten wohnen
Elly Ameling · Dalton Baldwin
Recording: 8-14 June 1969, Musica-Théâtre, La Chaux-de-Fonds, Switzerland

●Wolf: Mörike-Lieder - No. 47, Die Geister am Mummelsee
Elly Ameling · Dalton Baldwin
Recording: 2-8 August 1970, La Chaux de Fonds, Switzerland

●Wolf: 6 Lieder für eine Frauenstimme, IHW 17 - No. 4, Wiegenlied (im Sommer)
Elly Ameling · Dalton Baldwin
Recording: 10-14 September 1976, Kleine zaal, Concertgebouw, Amsterdam

●Italienisches Liederbuch: XXXVI. Wenn du, mein liebster
Elly Ameling · Irwin Gage
Recording: May/September 1980, Haarlem

●Goethe-Lieder: Aus wilhelm meister, mignon III. ()
Elly Ameling · Rudolf Jansen
Recording: June/August 1981, Haarlem

●Wolf: Mörike-Lieder: No. 12, Verborgenheit
Elly Ameling · Rudolf Jansen
Recording: 31 October - 4 November 1983, Haarlem, Holland

●Wolf: Spanisches Liederbuch, Pt. 2: No. 30, Wer tat deinem Füsslein weh
Elly Ameling · Rudolf Jansen
Recording: 12-16 September 1991

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エリー・アーメリング(Elly Ameling)の「Musings on Music」シリーズ:ヴォルフ「ただ憧れを知る者だけが(Wolf: Nur wer die Sehnsucht kennt)」

●Musings on Music by Elly Ameling - Wolf - Nur wer die Sehnsucht kennt

Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

エリー・アーメリングによる説明(大意)

親愛なる、ゲーテの詩とフーゴ・ヴォルフの歌曲のファンの皆さん、私たちは再び、大人の感情を持つ少女ミニョンを聴くことにします。ゲーテの小説「ヴィルヘルム・マイスターの修行時代」の中で、彼女の言葉はほとんど言葉で表すことの難しい「憧れ」を意味する「Sehnsucht」にあふれています。
「憧れを知る者だけが、私の苦しみを理解することができます。」
最初の小節から、このゲーテの詩のフーゴ・ヴォルフによる歌曲は、以前に「Musings on Music」シリーズで聞いたシューベルトの同じテキストの解釈とは全く異なることが明白です。ヴォルフのバージョンには、シューベルトの独唱版やソプラノとテノールの二重唱版のような胸を打つ叙情性はありません。ヴォルフの場合、前奏の最初の小節から歌の最後までドラマティックです。

(1:36-3:56 ヴォルフ:ミニョンII「ただ憧れを知る者だけが」全曲の演奏)

(3:57-5:06 アーメリングによる詩の朗読と英訳)

メロディーラインの半音階と、ほとんど無調といえる絶えず変化する和声によって生じるドラマと興奮が聞かれます。さらに、テンポは常に前後に揺れます。これらすべてが、ヴォルフの記譜で綿密に示されています。
楽譜編纂者がヴォルフの書いたあらゆる記譜と音符に正確に従っているかどうかを常に注意深くチェックしていたことはよく知られています。

(5:53-6:52 冒頭から"nach jener Seite"まで)

私たちは「jener Seite(あちら側)」という言葉を聞きました。そしてピアノは、この断片を毎回デクレッシェンドしながらどんどんゆっくりと繰り返し、聴く人にまさに「永遠」の感覚を与えています。

(7:19-7:39 "Seh ich an's Firmament nach jener Seite.")

ここでミニョンは「ああ、私を愛し、知る方は遠方にいる」と言います。
そしてヴォルフは、この歌詞の上に再びデクレッシェンドとリタルダンドを書き、その後2小節のピアノソロで「遠方にいる」を表現します。確かに遠く離れています。しかし、直前の「nach jener Seite」という歌詞で「永遠」を表現したときほど遠くはありません。永遠は愛する人の不在よりも遠いのです。

(8:30-9:11 "Seh ich ans Firmament"から"in der Weite."まで)

「私は眩暈がして、体が燃え上がります」
少女は自分の感情に溺れ、それはたった4小節、たった7語で表現されます。その後、ピアノソロがその2倍以上の時間でこの制御不能な状態を表現し、後に彼女が落ち着いて我に返り、悲しく孤独な憧れに戻ります。
「Nur wer die Sehnsucht kennt」の箇所に「innig」という指示があります。これは「親密に」または「内側から」という意味で、演奏者にとって非常に重要です。
最後のフレーズでは、冒頭の同じ単語がここでは違った響きになります。

(10:17-11:24 "Es schwindelt mir, es brennt mein Eingeweide."から最後まで)

フーゴ・ヴォルフは、わずか2分半の歌で、この詩の感情の完全なスケールを表現しました。
シューベルトと異なり、ヴォルフは詩のどの部分も繰り返しませんでした。
ただ、ゲーテ自身と同様に、ヴォルフは詩の最初の行だけを最後に繰り返しました。
この歌曲は 1888 年に作られました。シューベルトがこの詩に最後に2つのバージョンで作曲してから62年後のことです。
時代は変わり、スタイルも異なります。

それではフーゴ・ヴォルフのミニョンをもう一度聞きましょう。

(12:27-14:48 全曲の演奏)
エリー・アーメリング
ルドルフ・ヤンセン(ピアノ)
1983年10月18日, アムステルダム・コンセルトヘバウ

Elly Ameling
Rudolf Jansen, piano
18-10-1983, Concertgebouw Amsterdam

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Nur wer die Sehnsucht kennt
 ただ憧れを知る人だけが

Nur wer die Sehnsucht kennt
Weiß, was ich leide!
Allein und abgetrennt
Von aller Freude
Seh ich an's Firmament
Nach jener Seite.
Ach, der mich liebt und kennt,
Ist in der Weite.
Es schwindelt mir, es brennt
Mein Eingeweide.
Nur wer die Sehnsucht kennt
Weiß, was ich leide!
 ただ憧れを知る人だけが
 私が何に苦しんでいるのか分かるのです!
 ひとり
 あらゆる喜びから引き離されて
 私は天空の
 あちら側に目をやります。
 ああ、私を愛し、知る方は
 遠方にいるのです。
 私は眩暈がして、
 内臓がちくちく痛みます。
 ただ憧れを知る人だけが
 私が何に苦しんでいるのか分かるのです!

詩:Johann Wolfgang von Goethe (1749-1832), "Mignon", written 1785, appears in Wilhelm Meisters Lehrjahre, first published 1795
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Mignon II", published 1891 [ voice and piano ], from Goethe-Lieder, no. 6, Mainz, Schott

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(参考)

ヴィルヘルム・マイスターの修業時代 (Wikipedia)

Wilhelm Meisters Lehrjahre (Wikipedia: 独語)

The LiederNet Archive

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エリーの要点「小学校」(Elly's Essentials; “Elementary School”)

●Elly's Essentials; “Elementary School”

Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

(エリー・アーメリングの言葉の大意)

1940年代、私が小学生だった頃、教師は文学、数学、音楽、知識、芸術全般の価値を教え込みました。中高生時代にはさらに進んだ豊かな教育を私たちに与えてくれました。
今日では教材のレベルは若い生徒が理解できるレベルまで引き下げられてしまったように思えます。生徒がより簡単に早く卒業証書を取得できなければならなくなっています。学校はもはや知識を習得する場所ではなく、仕事につくための準備の場所となってしまいました。学校にとって大事なのは銀行口座が豊かになることです。
ヨハネス・ブラームス「おお子供の国に帰るいとしい道が分かればいいのに!(O wüßt ich doch den Weg zurück, den lieben Weg zum Kinderland!)」

(2:13- Johannes Brahms: Heimweh II "O wüßt ich doch den Weg zurück", Op. 63/8)
エリー・アーメリング(S)
ルドルフ・ヤンセン(P)
アムステルダム・コンセルトヘバウ
1983年1月14日

Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano
Concertgebouw Amsterdam
14 January 1983

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Heimweh II "O wüßt ich doch den Weg zurück", Op. 63/8
 郷愁II "おお 帰り道が分かればいいのに!"

O wüßt ich doch den Weg zurück,
Den lieben Weg zum Kinderland!
O warum sucht' ich nach dem Glück
Und ließ der Mutter Hand?
 おお 帰り道が分かればいいのに、
 子供の国に帰るいとしい道が!
 おお なぜ私は幸せを探して
 母の手を離れてしまったのだろう?

O wie mich sehnet auszuruhn,
Von keinem Streben aufgeweckt,
Die müden Augen zuzutun,
Von Liebe sanft bedeckt!
 おお 私はどれほど休息を望んでいることか、
 追い求めるために目が覚めることもなく、
 疲れた瞳を閉じて
 愛に安らかに覆われて!

Und nichts zu forschen, nichts zu spähn,
Und nur zu träumen leicht und lind;
Der Zeiten Wandel nicht zu sehn,
Zum zweiten Mal ein Kind!
 捜しものもなく、見守るものもなく
 ただ軽やかに穏やかに夢見るだけでいい、
 時の移り変わりを見ることもなく
 二度目の子供時代を過ごしたい!

O zeig mir doch den Weg zurück,
Den lieben Weg zum Kinderland!
Vergebens such ich nach dem Glück,
Ringsum ist öder Strand!
O zeig mir doch den Weg zurück,
Den lieben Weg zum Kinderland!
Vergebens such ich nach dem Glück,
Ringsum ist öder Strand!
 おお 私に帰り道を示しておくれ、
 子供の国に帰るいとしい道を!
 私は無為に幸せを探したが
 あたりは荒涼とした海岸ばかり!

詩:Klaus Groth (1819-1899), "Heimweh II", appears in Hundert Blätter, Paralipomena zum Quickborn, Hamburg, first published 1854
曲:Johannes Brahms (1833-1897), "Heimweh II", op. 63 (Neun Lieder und Gesänge) no. 8 (1874), published 1875 [ voice and piano ], Leipzig, Peters

6/4拍子
ホ長調(E-dur)
Etwas langsam

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(参考)

Elly's Essentials; “Elementary School”(YouTube)

The LiederNet Archive

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[おまけ]
●Opera and Art Song are more similar than you think ;)

Channel名:International Vocal Competition 's-Hertogenbosch (オリジナルの動画はこちらのリンク先です)
音楽:Richard Strauss: Die Georgine, Op.10/4 (リヒャルト・シュトラウス: ダリア)
講師:Elly Ameling(S), Hans Eijsackers(P)
生徒:Helena Koonings(S), Heleen Vegter(P)

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エリーの要点「至福」(Elly's Essentials; “Bliss”)

●Elly's Essentials; “Bliss”

Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です。音声が出ます。

(エリー・アーメリングの言葉の大意)

ジャズと他のタイプの音楽、例えばポップス、ロック、メタルなどとの間には大きな違いがあるように私には思えます。
後半に述べたジャンルの音楽について勉強していないことは認めますが、ジャズにおける自由な表現が出来る幸せ、とりわけリズムの自由さがあることにより、他ジャンルよりも好まれていることは明らかです。ポップスのフェスティヴァルを訪れる多くの人たちは3つのD、すなわちお酒(drinks)、薬物(drugs)、それにDJを使って楽しむと思うのですが、合っていますか?私はここでもう一つ全く異なるDを付け加えたいと思います。DukeのD-つまりデューク・エリントン(Duke Ellington)を聞く幸せです。

(1:34- Duke Ellington: In a sentimental mood)
Elly Ameling
John Clayton, bass
Louis van Dijk, piano

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(参考)

Elly's Essentials; “Bliss”(YouTube)

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エリーの要点「ミニマル・ミュージック」(Elly's Essentials; “Minimal music”)

Elly's Essentials; “Minimal music”

Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です。音声が出ます。)

(エリー・アーメリングの言葉の大意)

クラシック音楽のラジオ番組では、私たちを落ち着かせリラックスさせるはずの音楽が流されることがあります。この効果のために、いわゆるミニマルミュージックが選ばれます。
私にとっては、メロディーラインと呼べない同じ音列の絶え間ない繰り返しは心地よくありません。 このミニマルミュージックには、私をリラックスさせたり落ち着かせたりするものはないのです。 さらに最も重要なことは、ある聞き手をリラックスさせる音楽が、必ずしも他の人に同じ効果をもたらすとは限らないことです。
人々は無数の異なる方法で音楽を聴き、私たちの好みは大きく異なります。私たちの心を落ち着かせるものを自分で見つけてみましょう。あなたはリヒャルト・シュトラウスの歌曲「眠りにつくとき」を聴くのが好きかもしれませんし、そうでないかもしれません。

(2:12- Richard Strauss: Beim Schlafengehen)
Elly Ameling
Concertgebouw orchestra
Wolfgang Sawallisch

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Beim Schlafengehen
 眠りにつくとき

Nun der Tag mich müd' gemacht,
Soll mein sehnliches Verlangen
Freundlich die gestirnte Nacht
Wie ein müdes Kind empfangen.
 いまや昼は私を疲れさせ、
 わが切なる焦がれる思いを
 親しげに星の夜が
 疲れた子供のように迎えいれてほしい。

Hände, laßt von allem Tun,
Stirn, vergiß du alles Denken,
Alle meine Sinne nun
Wollen sich in Schlummer senken.
 両手よ、あらゆる行いをやめよ。
 額よ、あらゆる思考を忘れよ。
 あらゆるわが感覚がいま
 眠りに沈みたがっている。

Und die Seele unbewacht,
Will in freien Flügen schweben,
Um im Zauberkreis der Nacht
Tief und tausendfach zu leben.
 そして人目につかずに魂は
 自由な翼で飛び立とうとしている、
 夜の魔術的な世界の中で
 深く、千倍も生きるために。

詩:Hermann Hesse (1877-1962), "Beim Schlafengehen", written 1911, first published 1911?
曲:Richard Georg Strauss (1864-1949), "Beim Schlafengehen", WoO. 150 no. 3 (1948), published 1950 [ soprano and orchestra ], from Vier letzte Lieder, no. 3

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(参考)

Elly's Essentials; “Minimal music” (YouTube)

The LiederNet Archive

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エリー・アーメリング(Elly Ameling)の「Musings on Music」シリーズ:シューベルト「ただ憧れを知る者だけが(Schubert: Nur wer die Sehnsucht kennt, D 877/1)」(二重唱曲)

●Musings on Music by Elly Ameling - Schubert - Nur wer die Sehnsucht kennt, Duet version D.877

Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

エリー・アーメリングによる説明(大意)

視聴者の皆様、前回の「Musings on Music」では、シューベルトが女性1人の声とピアノ用に作曲した「憧れを知る者だけが(Nur wer die Sehnsucht kennt, D 877/4)」を聴きました。
今回はソプラノ、テノール、ピアノという編成の二重唱曲です。
この詩は、小説「ヴィルヘルム・マイスターの修行時代(Wilhelm Meisters Lehrjahre)」の中で、ミニョンが朗読した一連の詩のうちの1つです。
このドイツ文学の古典作品は、ヨーハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)によって書かれ、1796年に発表されました。
シューベルトは、このバージョンと、前に聞いたバージョン、そしてミニョンの他の2つのテキスト(※訳注:Heiß mich nicht reden; So laßt mich scheinen)を1826年に書きました。

(1:34-6:11 Nur wer die Sehnsucht kennt, D 877/1(二重唱曲)の全曲演奏)

この二重唱曲は、前回聞いたシューベルトの独唱曲よりもさらに感動的であることに、皆さんも同意されることでしょう。

(6:31-7:45 詩の朗読と英訳)

シューベルトはゲーテの小説「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」を正確に読みました。
ミニョンと竪琴弾きが二重唱として歌っていた歌は、最も心のこもった表現でした。

この竪琴弾きは白ひげの老人で、茶色の修道服を着ており、小説の冒頭で一団に加わりました。ここでミニョンと竪琴弾きは、ロマン派、そしてシューベルトの音楽のほとんどに特徴的な憧れ(longing)、切望(yearning)を表現しています。

ピアノの前奏は、3小節目ですでに驚異的な和声、つまりアクセント付きのハ長調の和音に変わり、その後ロ短調に戻ります。

(9:19- 前奏の演奏)

続いて、ソプラノとテナーがお互いに絡み合います。

(9:48-11:02 冒頭から"Weiß, was ich leide"までの演奏)

曲の中間部「ひとり引き離されて(Allein und abgetrennt)」はピアニシシモ(ppp)で始まり、天空(Firmament)をあらわすかのようにフォルテ(f)に強まり、「あちら側(jener Seite)」つまり永遠(Ewigkeit)に達します。

(11:33-12:24 "Allein und abgetrennt"から"nach jener Seite."までの演奏)

そして、「ああ、私を愛し、知る方は遠く離れています(Ach, der mich liebt und kennt, ist in der Weite)」は不在の雰囲気を表すppで始まり、悲しみの叫びはテノールの高音、そして何よりもピアノの最高音にあらわれています。
わずか2小節でフォルテッシモ(ff)からピアニッシモ(pp)へと移るのです。

(13:04-13:52 "Ach, der mich liebt und kennt, ist in der Weite."の演奏)

そして「私は眩暈がして、内臓がちくちく痛みます(Es schwindelt mir, es brennt mein Eingeweide.)」の
左手のトレモロが取り乱した様子を表現しています。
この部分の後、最初のゆっくりのセクション
「Nur wer die Sehnsucht kennt」が繰り返されますが、最初と異なるのはピアノパートにトレモロが加わっていることです。

(14:41-16:33 "Es schwindelt mir"から最後までの演奏)

16歳から19歳頃までに、シューベルトは既にこの詩の独唱用と男声五重唱用の曲を書いていました。
そして1826年には、前に述べたように、ここで議論した2つのバージョンがさらに作曲されました。
フィッシャー=ディースカウは、この二重唱曲について「シューベルトが独唱曲としてこのテキストに作曲したすべてのバージョンを凌駕している」と評しています。

それでは、二重唱曲全体をもう一度聴いてみましょう。

(17:27- 全曲の演奏)

エリー・アーメリング(S)
ピーター・ピアーズ(T)
ドルトン・ボールドウィン(P)
1977年ベンソン&ヘッジズ音楽祭
スネイプ・モールティングスでのライヴ録音

Elly Ameling, soprano
Peter Pears, tenor
Dalton Baldwin, piano
Benson & Hedges Music Festival 1977
Recorded live at Snape Maltings

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Nur wer die Sehnsucht kennt
 ただ憧れを知る人だけが

Nur wer die Sehnsucht kennt
Weiß, was ich leide!
Allein und abgetrennt
Von aller Freude
Seh ich an's Firmament
Nach jener Seite.
Ach, der mich liebt und kennt,
Ist in der Weite.
Es schwindelt mir, es brennt
Mein Eingeweide.
Nur wer die Sehnsucht kennt
Weiß, was ich leide!
 ただ憧れを知る人だけが
 私が何に苦しんでいるのか分かるのです!
 ひとり
 あらゆる喜びから引き離されて
 私は天空の
 あちら側に目をやります。
 ああ、私を愛し、知る方は
 遠方にいるのです。
 私は眩暈がして、
 内臓がちくちく痛みます。
 ただ憧れを知る人だけが
 私が何に苦しんでいるのか分かるのです!

詩:Johann Wolfgang von Goethe (1749-1832), "Mignon", written 1785, appears in Wilhelm Meisters Lehrjahre, first published 1795
曲:Franz Peter Schubert (1797-1828)

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(参考)

ヴィルヘルム・マイスターの修業時代 (Wikipedia)

Wilhelm Meisters Lehrjahre (Wikipedia: 独語)

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エリーの要点「宣伝」(Elly's Essentials; “Publicity”)

●Elly's Essentials; “Publicity”

Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です。音声が出ます。)

(エリー・アーメリングの言葉の大意)

私は1953年から1996年までの音楽家としてのキャリアにおいて、ラジオ番組のための録音で報酬を得ていました。
ラジオ会社は番組を他社に売ることを許可していませんでした。
今日ではあらゆるコンサートが録音され交換されています。音楽家は録音し、演奏しますが、それに対する唯一の報酬は宣伝になることだけです。
私が現役の時にはLPやCDに70分の音楽を録音して報酬を得ていました。
今日では多くの演奏家はクラウドファンディングをしなければなりません。プロデューサーを見つけて、彼に報酬を支払います。つまり演奏家は自分の仕事に対して支払われるのではなく、支払う側なのです。まるでモーツァルトの時代のようではありませんか。
宣伝は新しい仮想通貨なのでしょうか。

2:06- フーゴー・ヴォルフ:「早朝に」(Hugo Wolf: In der Frühe (from Mörike Lieder))
エリー・アーメリング(Elly Ameling)(S), ルドルフ・ヤンセン(Rudolf Jansen)(P)
1986年1月14日, アムステルダム・コンセルトヘバウでのライヴ音源(14 January 1986, Concertgebouw Amsterdam)

In der Frühe
 早朝に

Kein Schlaf noch kühlt das Auge mir,
Dort gehet schon der Tag herfür
An meinem Kammerfenster.
Es wühlet mein verstörter Sinn
Noch zwischen Zweifeln her und hin
Und schaffet Nachtgespenster.
-- Ängste, quäle
Dich nicht länger, meine Seele!
Freu' dich! Schon sind da und dorten
Morgenglocken wach geworden.
 眠りがまだ私の目を冷やしてくれないうちに、
 あそこではもう夜が明けたのが分かる、
 部屋の窓辺から察するに。
 取り乱した私の心は
 まだあれこれ疑念を巡らせては
 夜の幽霊を生み出すのだ。
 -恐れ、苦しむのは
 もうやめよ、わが魂よ!
 喜ぶのだ!もうあちらこちらで
 朝の鐘が目を覚ましている。

詩:Eduard Mörike (1804-1875), "In der Frühe"
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "In der Frühe", from Mörike-Lieder, no. 24

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(参考)

Elly's Essentials; “Publicity”(YouTube)

The LiederNet Archive

IMSLP (Volume 1, P.88)

Gedichte von Eduard Mörike (Stuttgart, Göschen'sche Verlagshandlung, 1867) (P.38: In der Frühe)

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【没後100年記念】フォレ「レクイエム」(アーメリング、クライセン、ジュリーニ:1963年)

●Gabriel Fauré: "Requiem", op. 48 (Amsterdam, 1963)

Channel名:kadoguy(オリジナルのサイトはこちらのリンク先です。音に注意してください)

以前にもNPO Radio4のサイトにアップされたことを記事にした音源と同一ですが、別の動画サイトにもアップされていましたので、フォレ没後100年を記念して引用させていただきます。

Recording: 30 november 1963, Concertgebouw, Amsterdam
ライヴ録音:1963年11月30日、コンセルトヘバウ、アムステルダム

Elly Ameling, sopraan
Bernard Kruysen, bariton
Bernard Bartelink, orgel
Groot Omroepkoor
Radio Filharmonisch Orkest
Carlo Maria Giulini, dirigent

エリー・アーメリング(ソプラノ)
ベルナルト・クライセン(バリトン)
ベルナルト・バルテリンク(オルガン)
オランダ放送大合唱団
オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団
カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)

Gabriel Fauré - Requiem
フォレ:レクイエム(19:11頃からアーメリングの「ピエ・イエズ」)

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エリー・アーメリング(Elly Ameling)の「Musings on Music」シリーズ:シューベルト「ただ憧れを知る者だけがSchubert: (Nur wer die Sehnsucht kennt, D 877/4)」

●Musings on Music by Elly Ameling - Schubert - Nur wer die Sehnsucht kennt

Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

エリー・アーメリングによる説明(大意)

親愛なる視聴者様、シューベルト歌曲の愛好家の皆様、
今回はシューベルトがゲーテの有名な詩「ただ憧れを知る者だけがSchubert: (Nur wer die Sehnsucht kennt)」に作曲した歌をとりあげます。

(0:43-4:11 全曲演奏:楽譜付き)

(4:16-5:26 アーメリングによる詩の朗読と英訳(行ごとに交互に))

主人公の名前を英訳すると「William Master(ウィリアム・マスター)」となり、ちょっと人名に聞こえないですね。
この小説は1796年に初版が発行されました。それはゲーテのイタリア旅行の8年後のことでした。
シューベルトは、この曲を他のミニョンの3曲と一緒に1826年に作曲しました。
この小説はゲーテ自身の人間の生活についてのアイデアと結びついています。
読者は、詩(韻文)や散文で語る多くの登場人物との出会いによってそれを体験するのです。
登場人物の一人がミニョンで、イタリアから誘拐された14歳の少女です。
彼女はヴィルヘルム・マイスターに救われます。
ヴィルヘルムは旅回りの劇団とドイツ中を旅していました。
ゲーテはミニョンに、北国の人が南国、特にイタリアに強く憧れる典型的な性格を付与しました。

ミニョンは最初の行で「ただ憧れを知る人だけが私が何に苦しんでいるのか分かるのです!(Nur wer die Sehnsucht kennt weiß, was ich leide!)」と歌います。シューベルトはこの詩句を繰り返しますが、その際フレーズの音を最初より高くして強調しています。

(7:52-8:56 曲の冒頭から"Nur wer die Sehnsucht kennt, weiß, was ich leide!"を繰り返しの終わりまで)

ミニョンは「永遠の世界(来世)」に憬れます。
つまり彼女が「私は天空のあちら側に目をやります(Seh ich an's Firmament nach jener Seite.)」と語る詩句がそれを示しています。
シューベルトは"je-ner(あちらの)"の"je"の音節にこのフレーズの最高音を置いています。和声は、服を着ていないあの世の印象を与えています。

(9:41-10:08 "Allein und abgetrennt von aller Freude"から"Seh ich an's Firmament nach jener Seite."までの演奏)

そしてミニョンの純粋で控えめな思慕は、父親像を重ねたヴィルヘルム・マイスターへの思いでもあります。

「ああ、私を愛し、知る方は遠方にいるのです。(Ach, der mich liebt und kennt, ist in der Weite.)」

(10:30-10:53 "Ach, der mich liebt und kennt, ist in der Weite."の音楽)

「私は眩暈がして、(Es schwindelt mir,)」
「内臓がちくちく痛みます。(es brennt mein Eingeweide.)」

彼女は自身の感情に圧倒されていて、シューベルトはリズムを突然細かく増やすことでそれを捉えています。繰り返した後にリズムは落ち着き、再び歌の冒頭に戻ります。

「ただ憧れを知る人だけが私が何に苦しんでいるのか分かるのです!(Nur wer die Sehnsucht kennt weiß, was ich leide!)」

シューベルトは冒頭の音楽同様にこのフレーズを繰り返しますが、"kennt"(知る)という言葉に"sf(スフォルツァンド)"を付けています(※訳注:アーメリングはsfを"striking fermata"と言っているように聞こえます)。

(11:52-13:25 "Es schwindelt mir, es brennt mein Eingeweide."から曲の最後まで)

ピアノの後奏は前奏と全く同じです。シューベルトはシンプルさによってロマンティックな来世の少女の感情の深さを作り出しているのです。

もう一度中断なしで全曲聞いてみましょう。

(13:55-17:24 全曲の演奏)

今回流した演奏はドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)のピアノ、私(Elly Ameling)の歌でした。

(※注:この後、アーメリングがサプライズで(surprisingly)次回に取り上げる曲を1曲まるまる流してくれます。今回の曲に関連した曲ですが、「サプライズで」とおっしゃっているので、ここには詳細を記載しないことにします。皆さんも直接アーメリングからのサプライズを楽しんでみてください。)

(18:05-22:36 次回に扱う曲の演奏)

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Nur wer die Sehnsucht kennt
 ただ憧れを知る人だけが

Nur wer die Sehnsucht kennt
Weiß, was ich leide!
Allein und abgetrennt
Von aller Freude
Seh ich an's Firmament
Nach jener Seite.
Ach, der mich liebt und kennt,
Ist in der Weite.
Es schwindelt mir, es brennt
Mein Eingeweide.
Nur wer die Sehnsucht kennt
Weiß, was ich leide!
 ただ憧れを知る人だけが
 私が何に苦しんでいるのか分かるのです!
 ひとり
 あらゆる喜びから引き離されて
 私は天空の
 あちら側に目をやります。
 ああ、私を愛し、知る方は
 遠方にいるのです。
 私は眩暈がして、
 内臓がちくちく痛みます。
 ただ憧れを知る人だけが
 私が何に苦しんでいるのか分かるのです!

詩:Johann Wolfgang von Goethe (1749-1832), "Mignon", written 1785, appears in Wilhelm Meisters Lehrjahre, first published 1795
曲:Franz Peter Schubert (1797-1828)

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(参考)

ヴィルヘルム・マイスターの修業時代 (Wikipedia)

Wilhelm Meisters Lehrjahre (Wikipedia: 独語)

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