東京春祭 歌曲シリーズ vol.44:アドリアナ・ゴンサレス(ソプラノ)&イニャキ・エンシーナ・オヨン(ピアノ)(2025年4月8日 東京文化会館 小ホール(ネット席))
東京春祭 歌曲シリーズ vol.44
アドリアナ・ゴンサレス(ソプラノ)&イニャキ・エンシーナ・オヨン(ピアノ)
2025年4月8日 [火] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール(ネット席)
ソプラノ:アドリアナ・ゴンサレス
ピアノ:イニャキ・エンシーナ・オヨン
R.デュソー:
心が目覚めるとき op.10-2
機会 op.10-1
神託 op.2-2
H.コヴァッティ:
《ダフネ》より サアディの薔薇
酔いしれたい
うんと言ったよ
I.アルベニス:
《2つの散文》
夕暮れ
悲しみ
それは愛である
R.デュソー:
さようなら op.2-1
君の涙に捧ぐ op.5-1
エレジー
~休憩(18分)~
I.アルベニス:《ベッケルの詩》より
そよ風の口づけ
広間の片隅に
この胸に君が頭を傾けるとき
E.グラナドス:《昔風の粋なスペイン歌曲集》より
悲しみにくれるマハ I(おお!残酷な死)
悲しみにくれるマハ II(ああ、私の命の恋人よ!)
悲しみにくれるマハ III(あの素敵な恋人の)
F.オブラドルス:《スペイン古典歌曲集》より
第一弦のないギター
三人のムーア娘
松の森の中で
I.アルベニス:《4つの歌》より
病と健康
楽園を取り戻す
後退
E.グラナドス:《愛の歌曲集》より
泣いていたのは かの乙女
泣かないで、可愛い瞳
僕の恵みよ
[アンコール]
M.サンドバル:グアテマラシティの哀歌
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Tokyo-HARUSAI Lieder Series vol.44
Adriana González(Soprano)& Iñaki Encina Oyón(Piano)
April 8 [Tue.], 2025 at 19:00(Door Open at 18:30)
Tokyo Bunka Kaikan, Recital Hall
Soprano:Adriana González
Piano:Iñaki Encina Oyón
Robert Dussaut:
Quand le cœur s’éveille op.10-2
Chance op.10-1
L’Oracle op.2-2
Hélène Covatti:
Les Roses de Saadi(“Daphné”)
Je voudrais m’enivrer
Je t’ai dit oui
Isaac Albéniz:
“Deux Morceaux de prose”
Crépuscule
Tristesse
Il en est de l’amour
Robert Dussaut:
Adieu op.2-1
Je dédie à tes pleurs op.5-1
Élégie
-Intermission-
Isaac Albéniz:“Rimas de Becquer”(Excerpts)
Besa el aura que gime blandamente
Del salón en el ángulo oscuro
Cuando sobre el pecho inclinas
Enrique Granados:“Tonadillas en estilo antiguo”
La maja dolorosa I(Oh! Muerte cruel)
La maja dolorosa II(¡Ay, majo de mi vida!)
La maja dolorosa III(De aquel majo amante)
Fernando Obradors:“Canciones Clásicas Españolas”(Excerpts)
La guitarra sin prima
Tres morillas
En el pinar
Isaac Albéniz:“Quatre Mélodies”(Excerpts)
In sickness and health
Paradise regained
The retreat
Enrique Granados:“Canciones amatorias”(Excerpts)
Lloraba la niña
No lloréis, ojuelos
Gracia mía
[Encore]
Miguel Sandoval:Lamento guatemalteco
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今年の東京春祭 歌曲シリーズで、ゲルハーヘル&フーバーの他にもう一つネット配信で聞いたコンサートが「アドリアナ・ゴンサレス(ソプラノ)&イニャキ・エンシーナ・オヨン(ピアノ)」のリサイタルでした。
今回のプログラムで披露されたロベール・デュソー(Robert Dussaut: 1896-1969)&エレーヌ・コヴァッティ(Hélène Covatti: 1910-2005)夫妻による歌曲集(Apple Musicのリンク先)と、アルベニス歌曲全集(Apple Musicのリンク先)の録音をこのコンビはすでにリリースしていて、これらの珍しい作品を実際に聞くことの出来るよい機会でした。
そして東京春祭 歌曲シリーズの素晴らしいところは配信の場合、演奏と並行して日本語字幕が出ることで、これらの馴染みの薄い歌曲を知るための大きな助けとなりました。
前半はフランス語による歌曲、後半がスペイン語による歌曲(+アルベニスの英語歌曲)で構成されていて、アルベニスは前半・後半両方で披露されました(アルベニスにはフランス語による歌曲もあるようです)。
こちらのホームページから簡単な曲目解説のPDFがダウンロードできますが、それによると、ロベール・デュソー&エレーヌ・コヴァッティ夫妻の一人娘のテレーズはピアノ教師をしていて、彼女に師事していた今回のピアニスト、オヨンがテレーズの両親の作品の整理を手伝ったという経緯があり、それが録音やステージでの披露につながったようです。
ソプラノ歌手、アドリアナ・ゴンサレスはフランス系グアテマラ人とのことで、ルーツにかかわる作品を今回選曲したということなのでしょう。デュソーの「機会」での押し出しの強い豊麗な声、コヴァッティの「酔いしれたい」での弱声から強声へのむらのない響きの充実感など、彼女の声の陰影と強靭さ、それに抑えた時の繊細な響きが強く印象に残りました。
コヴァッティの「うんと言ったよ」は長い前奏が印象的で、オヨンが一貫して美しい響きを聞かせていました。
デュソー&コヴァッティ夫妻の歌曲はしっとりとした趣のある魅力的な作品だと思いますが、あまり聞きこんでいないので、このコンビの録音でじっくり聞いてみたいと思います。
前半最後のデュソーの「エレジー」は技巧的なヴォカリーズでした。
休憩後はアルベニス、グラナドス、オブラドルスといった王道のスペイン作曲家たちの作品ですが、グラナドスの「悲しみにくれるマハⅠ~Ⅲ」はやはり強いインパクトを受けます。
アルベニスの歌曲は短くて繊細な印象を受けました。
今回も家でくつろいで聞いていたのですが、あまりにも心地よすぎて、いつもの悪い癖が出てしまい、後半は眠りに落ちてしまいました。目が覚めた時はとっくに配信は終わっていて、スペイン歌曲のオブラドルスあたりからアンコールまで聞きそびれてしまいました。なんとも申し訳ないことをしました。
演奏家のお二人の見事な演奏と素敵な選曲に拍手をおくりたいと思います。
ちなみにアンコールで演奏されたらしいM.サンドバル作曲の「グアテマラシティの哀歌」の映像が動画サイトにアップされていたので、こちらに引用いたします。前半最後に続き、アンコールもヴォカリーズで締めくくったということですね。
●'Lamento guatemalteco' - Adriana González & Iñaki Encina (2022)
Channel名:LIFE Victoria Barcelona(オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)
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