追悼ジェシー・ノーマン(Jessye Norman)

ソプラノのジェシー・ノーマン(Jessye Norman: 1945.9.15-2019.9.30)が亡くなりました。
ノーマンも歌曲の演奏史にとって欠かせない人物でした。

ノーマンが1980年代半ばに初来日した時、音楽ジャーナリズムはほとんど事件のように騒ぎたてていました。
私は初来日公演は行かず、テレビで見ただけでしたが、その数年後に実演に接し、あたかもジェシー・ノーマン教の祭祀の只中に放り込まれたかのような雰囲気を感じたものでした。
ノーマンが教祖様で、客席は信徒でした。
客席は酩酊したかのように拍手喝采を送り続け、すべての人がスタンディングオベーションで彼女を称えました。
私はノーマンのよく響く深みのある声や表現力の豊かさに感銘を受けながらも、周りの観客と自分との温度差を感じざるを得ませんでした。
もちろん私もひいきの歌手や演奏家に対して熱烈な拍手を送り、その一挙手一投足に目を凝らした経験はあるので、その気持ちはよく分かるのですが、会場の全員といってもいい人たちが例外なく熱狂しているのを見て、私が彼らほどの熱狂に達していないのは何故だろうと妙に冷静に考えていたものでした。

クラシック音楽の楽しみ方として、このような会場が熱狂的に盛り上がり、一体となる楽しみ方もあると思います。
ただ、私はノーマンのパフォーマンスだけでなく、歌曲を純粋に楽しみたかったという気持ちもあったのです。
生であの曲やこの曲が聞けると喜んで出かけた私にとって、ノーマンのコンサートは若干異質な感を拭えませんでした。
ヘンデルを歌ってもシューベルトを歌っても観客は大熱狂の嵐でした。
この頃ノーマンの来日公演で頻繁に共演していたピアニストのフィリップ・モルを気に掛ける人は誰もいないのではないかとさえ思えました。
それから数回聞きに行き、伴奏者がパーソンズやマーカムに変わっても、コンサートの雰囲気は同様でした。

ノーマンのコンサートを楽しんだ方にとって水を差すような文章で申し訳ないのですが、私にとってはノーマンの歌唱は録音で楽しむ方が合っていたということなのでしょう。

ただ実演だからこそ分かることはあると思います。
彼女は間違いなくカリスマでした。
人々がノーマンの声の虜になって熱狂していく様をまざまざと体験することが出来ました。
これは彼女の天賦のものだと思います。

ノーマンはドイツ歌曲もフランス歌曲も丁寧に歌ってきた歌手でした。
シューベルトの「自然に寄せて」といったほとんど知られていない小品を慈しむように歌っているのもノーマンの一つの側面です。
また「全能」の力感に溢れた朗々たる響き、あるいは「死と乙女」の最後の音を低いレで歌う彼女の音域の広さも忘れられません。

ドイツ・グラモフォン社がブラームスの全歌曲を録音する時にF=ディースカウと共にキャスティングしたのはノーマンでした。
これは彼女が紛れもなく歌曲歌手として一流であることを示しているでしょう。
ブラームスの民謡調の有節歌曲を表情豊かに歌うのに、あるいは「ジプシーの歌」の奔放な響きを再現するのにノーマンは適任でした。

彼女は伴奏ピアニストも固定せず、様々な人たちと組んできました。
ゲイジ、ボールドウィン、パーソンズ、モル、レヴァイン、バレンボイム、ダルベルトなど。
誰と組んでも違和感なく彼女の世界を作り上げていきます。

ノーマンはアンコールで必ずといっていいほど黒人霊歌を歌いました。
彼女のルーツですから当然でしょう。
その中で忘れられないのが"He's Got the Whole World in His Hands"という曲です。
私はノーマンの歌唱でこの曲をはじめて知ったのですが、敬虔さもありながら、聴衆を楽しませることも忘れず、素晴らしい歌唱でした。

Jessye Norman sings He's Got the Whole World in His Hands

Geoffrey Parsons(P)

最後に、彼女のエクサンプロヴァンスでのリサイタルのライヴ録音がありましたので、こちらでシェアさせていただきます。

Jessye Norman - Recital Aix-en-Provence 1984

Jessye Norman(S)
Phillip Moll(P)
Alain Marion(FL)
Renaud Fontanarosa(VLC)

Aix-en-Provence 31-07-1984

J. Brahms :
00:00 Botschaft opus 47 n°1,
02:27 Feldeinsamkeit opus 86 n°2,
06:28 Auf dem Kirchhofe opus 105 n°4,
09:54 Saphische Ode opus 94 n°2,
12:31 Meine Liebe ist grün opus 63 n°5.

R. Strauss:
17:31 Ständchen opus 17 n°3,
20:02 Ich trage meine Minne opus 32 n°1,
23:05 Allerseelen opus 10 n°8,
26:44 Morgen opus 27 n°4,
30:55 Kling opus 48 n°4.

M. Ravel:
34:49 Chansons madécasses - Nahandove
40:34 Chansons madécasses - Aoua!
44:46 Chansons madécasses - Il est doux

E. Satie:
52:53 Chanson,
54:07 Elégie,
56:53 les fleurs,
58:35 tendrement.

Encores :
01:06:21 R.Strauss, Wir beide wollen springen
01:09:44 C.Saint-Saens, Mon coeur s'ouvre à ta voix
01:20:02 Spiritual - He's Got the Whole World in His Hands
01:27:32 Spiritual - Great Day

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ダムラウ&カウフマン&ドイチュ/ヴォルフ「イタリア歌曲集」CDリリース予定

Damrau_kaufmann_deutsch_wolf


世界中のオペラハウスで大活躍している二人の歌手ディアナ・ダムラウ(Diana Damrau)(S)とヨナス・カウフマン(Jonas Kaufmann)(T)が、ヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch)のピアノでヴォルフ「イタリア歌曲集(Italienisches Liederbuch)」のCDを録音したそうです。
ヨーロッパ各地でのコンサートツアー中のライヴ収録らしいです(2018年2月18日録音)。
HMVの情報ですと、来年(2019年)1月半ば頃には入手できるようです。

 こちら

彼らは日本でも人気者ですから、いずれ国内盤も出るかもしれませんが、ヴォルフの歌曲というのはあまりCD会社としては売れるものではないので輸入盤で入手しておいた方が確実かもしれません。

この豪華な二人のスターたちは共に歌曲にも力を入れており、特にオペラのような男女の駆け引きが重要な要素となるヴォルフの「イタリア歌曲集」では、彼らの声の演技力もまた大いに期待されます。
そして、今やムーアやパーソンズの後継者として脂の乗り切ったヘルムート・ドイチュのピアノもまたとても楽しみです(ドイチュはかつてEMIにアップショー&ベーアと全曲盤を録音しています)。

ヴォルフの歌曲集の中でもメーリケ歌曲集と並んで録音に恵まれている「イタリア歌曲集」ですが、これはヴォルフファンにとっては垂涎ものですね。

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エルナ・ベルガー&ヘルマン・プライ&ヴァイセンボルン(Berger, Prey & Weissenborn): ヴォルフ「イタリア歌曲集」(Wolf: Italienisches Liederbuch)全曲CD復活!

ヘルマン・プライの没後20年の今年(2018年)に記念盤が出ないのではと半ば諦めていたところに朗報です!
ソプラノのエルナ・ベルガーとピアニストのギュンター・ヴァイセンボルンと組んで1959年に録音されたヴォルフ「イタリア歌曲集」がCDでとうとう復活します。
ドイツのamazonではすでに購入できるようですが、日本のamazonのサイトには2018年8月24日現在まだ掲載されておらず、もうしばらく待たされそうです。
すぐに欲しい方は下記のドイツのamazonから購入可能ですし(ドイツからの送料はかかりますが)、待てるという方は日本のamazonのサイトに掲載されるのを待ってみてはいかがでしょうか。
 こちら

CDは2枚組で、CD1はヴォルフ「イタリア歌曲集」全46曲、CD2はシューマン「女の愛と生涯」、メンデルスゾーン2曲、レーヴェ2曲、ヴォルフ2曲、シューベルト3曲、グリーグ2曲、ブラームス「4つの厳粛な歌」が収録されているそうです。
CD2はシューマンとメンデルスゾーンがベルガーの歌唱で、他はプライの歌唱です(共演ピアニストはラウハイゼン、メルツァー等、曲により様々です)。
もちろん目玉はCD1のヴォルフ「イタリア歌曲集」全46曲です。
とびきりの名演にもかかわらず、今まで復活しなかったのは不思議です。
ソプラノのエルナ・ベルガーはもちろんチャーミングな歌唱を聞かせてくれますが、プライと組むと若干年齢差を感じさせる感はあります(プライより29歳年上です)。
ここでは若かりしヘルマン・プライの歌唱が本当に素晴らしいです。
かつて「詩と音楽 梅丘歌曲会館」さんのサイトにヴォルフ「イタリア歌曲集」全曲の記事を投稿した際に、様々な演奏家の録音を聞き比べたのですが、プライは他のどの男声歌手にも増して、この歌曲集のキャラクターにぴったりマッチしていました。
しかし、CD化されていなかった為、中古屋さんで購入したLPを毎回再生する手間がかかったのですが、その手間が報われるようなプライの溌剌とした名唱でした。
今回ようやくCD化されてこの名演がより広く知られることになればとても嬉しいことです。

上記のドイツのサイトで少しずつ試聴できるようになっているので、よろしければぜひサンプルを聴いてみてください。

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(2018.12.2追記)

日本のamazonに上記のCDが掲載されていました。
 こちら


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グンドゥラ・ヤノヴィツ・ラスト・コンサート・ライヴ(チャールズ・スペンサー:ピアノ)(1999年9月16日)

グンドゥラ・ヤノヴィツ(1937年8月2日生まれ)の70歳の誕生日を記念して、昨年、彼女のラスト・ライブのCDがリリースされました。
ギリシャで催されたこのコンサート、なんでもマリア・カラスの記念も兼ねているのだとか。
実は私はまだ入手していないのですが、先日何の気なしにYouTubeを見ていたら、このCDの発売元からプロモーションビデオがアップされていました。
おそらく音源だけのダイジェストだろうと思っていたら、なんと映像付きで、ヤノヴィツが歌っている姿が映っているのです。
どうやらプロモーション用に簡単に撮影されたようで、全部で12分ほど撮影したものを編集して使ったとのことです。
これほど素晴らしい出来ならば全部撮影してほしかったところですが、部分的でも、彼女の最後のリートリサイタルの映像が見れるだけでも有難いと思うべきなのでしょう。

この映像で見る限り、引退間際の歌手とはとても思えないほどの充実した美声です。
まだおそらく殆ど衰えを見せていないまま舞台を去ったのだと思います。
舞台人としての厳しい自覚が、一見早過ぎる引退を決意させたのではないでしょうか。

今回のレパートリーは、決して多いとは言えない彼女のリートのスタジオ録音でも聞けるものが多く含まれている一方で、おそらく一度もスタジオ録音を残さなかったシューマンが5曲も含まれているのが、ファンには嬉しいところです。
『冬の旅』を録音しなかった彼女の「ぼだいじゅ」がここで聞けるのも嬉しいです。

私が唯一彼女のライブを聞いたのは、神奈川県立音楽堂で催された歌曲の夕べで、小林道夫さんのピアノで、前半はブラームス、後半はヴォルフが歌われました。
全曲が彼女のレコーディングしていないレパートリーでした。
第一声を聞いて、あまりの声の美しさに驚嘆したことが昨日のことのように思い出されます。
もちろんレコードを通じて、その気品のある歌唱を知ってはいたものの、ここまで芯のあるぶれない美声だとは想像していなかったのです。

今回の動画を見ていても、落ち着いた気品に満ちた彼女の美声は堪能できます。
まだまだ現役として通用するほどの素晴らしい歌唱がここで披露されています。

共演のピアニストはイギリスのベテラン、チャールズ・スペンサー。
ヤノヴィツ晩年のシューベルト歌曲集の録音でも共演した名コンビです。

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録音:1999年9月16日, Herodes Atticus Odeon, Athens, Greece

グンドゥラ・ヤノヴィツ(Gundula Janowitz) (S)
チャールズ・スペンサー(Charles Spencer) (P)

シューベルト:ギリシャの神々 D 677
シューベルト:イーピゲネイア D 573
シューベルト:竪琴に寄せて D 737
シューベルト:エレンの歌Ⅰ D 837
シューベルト:漁師の歌 D 881
シューベルト:流れ D 693
シューベルト:夕映えの中で D 799
シューベルト:ぼだいじゅ D 911-5
シューベルト:緑野の歌 D 917

シューマン:ズライカの歌 Op. 25-9
シューマン:松雪草 Op. 79-26
シューマン:はすの花 Op. 25-7
シューマン:私のばら Op. 90-2
シューマン:くるみの木 Op. 25-3

リヒャルト・シュトラウス:薔薇のリボン Op. 36-1
リヒャルト・シュトラウス:万霊節 Op. 10-8
リヒャルト・シュトラウス:明日! Op. 27-4
リヒャルト・シュトラウス:夜の散歩 Op. 29-3
リヒャルト・シュトラウス:解き放たれて Op. 39-4

シューベルト:ます D 550

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ドーナト夫妻、ローレンツ&ガルベン/ヴォルフ「イタリア歌曲集」映像(1988年シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭)

フーゴ・ヴォルフ(Hugo Wolf)/「イタリア歌曲集(Italienisches Liederbuch)」全46曲(79分25秒)

録画:1988年、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭(Schleswig Holstein Musikfestival)

ヘレン・ドーナト(Helen Donath)(S)
ジークフリート・ローレンツ(Siegfried Lorenz)(Br)
クラウス・ドーナト(Klaus Donath)(P)
コルト・ガルベン(Cord Garben)(P)

珍しい動画を見つけたのでご紹介します。
ヴォルフの全46曲からなる「イタリア歌曲集」のライヴ映像です。
歌手はソプラノのヘレン・ドーナトとバリトンのジークフリート・ローレンツ。
ピアノはそれぞれクラウス・ドーナト(ヘレンの夫)、コルト・ガルベンです。
この4人いずれも歌曲を演奏している動画は珍しいのではないかと思います。
特にジークフリート・ローレンツはF=ディースカウ、プライ後のドイツを担うリート歌手として取り上げられていた時期もあり、歌曲演奏の実績もしっかりある名歌手なので、こうして歌唱姿を見ることが出来るのはとても貴重です。
ドーナト夫妻は数多くの歌曲の録音を残していて、歌曲演奏者としての実力は広く知られていますので、彼らの演奏動画もまた嬉しいです。
そしてDGのプロデューサーとして、ディースカウやミケランジェリと組みながら、歌曲ピアニストとしても第一線で活躍していたガルベンの演奏もまた、注目されます。
ガルベンは若かりしボニーやオッター、シュミットらを世に出すきっかけとなった録音を企画したり、レーヴェの全歌曲を録音したりと、歌曲演奏史において決して忘れることの出来ない存在です。

ここで演奏されているヴォルフの「イタリア歌曲集」はイタリア起源の詩にドイツ人のパウル・ハイゼが独訳した歌詞によるもので、男女の恋愛の駆け引きが絶妙な音楽で描かれています。
ここでの演奏のように男女の歌手がそれぞれ異なるピアニストと演奏することで、よりドラマティックな効果が期待できそうです。

ヘレン・ドーナトのオペラで培った表現力は映像で見るとより楽しみを増します。
持ち前の美声による巧みな語りかけは、これらのささやかな歌曲を歌ううえでとても魅力的です。
ご主人のピアノは、例えば普段大音量で盛り上げるような曲の最後の和音をあえて軽めに弾くことによって、これらが庶民のささやかなドラマであることを思い出させてくれます。

ローレンツは見た目もいかにも真面目なドイツ人という感じですが、その歌声の柔らかさと伸縮自在な表現の幅で、歌曲歌手としての非凡さをあらためて認識させてくれます。
そして、同じくドイツ人的なガルベンの堅実なピアノもテキストの機微を見事に描いています。

ぜひお楽しみ下さい!

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モイツァ・エルトマン&マルコム・マルティノー/モイツァ・エルトマン ソプラノ・リサイタル(2016年4月20日 東京文化会館 大ホール)

都民劇場音楽サークル第636回定期公演
モイツァ・エルトマン ソプラノ・リサイタル

2016年4月20日(水)19:00 東京文化会館 大ホール

モイツァ・エルトマン(Mojca Erdmann)(ソプラノ)
マルコム・マルティノー(Malcolm Martineau)(ピアノ)

R.シュトラウス(Strauss)/もの言わぬ花(Die Verschwiegenen) Op.10-6
モーツァルト(Mozart)/すみれ(Das Veilchen) K.476
R.シュトラウス/花束を編みたかった(Ich wollt ein Sträusslein binden) Op.68-2
シューベルト(Schubert)/野ばら(Heidenröslein) D257
R.シュトラウス/イヌサフラン(Die Zeitlose) Op.10-7
シューマン(Schumann)/重苦しい夕べ(Der schwere Abend) Op.90-6

R.シュトラウス/オフィーリアの3つの歌(Drei Lieder der Ophelia) Op.67-1~3
 1.どうしたら私は本当の恋人を(Wie erkenn ich mein Treulieb)
 2.おはよう、今日は聖バレンタインの日(Guten Morgen, s'ist St. Valentinstag)
 3.むき出しのまま、棺台にのせられ(Sie trugen ihn auf der Bahre bloss)
リーム(Rihm: 1952-)/オフィーリアは歌う(Ophelia sings)
 [1. How should I your true love know]
 [2. Tomorrow is Saint Valentine's day]
 [3. They bore him bare-faced on the bier]

~休憩~

ライマン(Reimann: 1936-)/「オレア(Ollea)」より 2.ヘレナ(Helena)(無伴奏)
R.シュトラウス/夜(Die Nacht) Op.10-3
シューマン/レクイエム(Requiem) Op.90-7
R.シュトラウス/万霊節(Allerseelen) Op10-8
シューベルト/万霊節の連祷(Litanei) D343(全9節中、おそらくよく歌われる3つの節が歌われた)

R.シュトラウス/私は漂う(Ich schwebe) Op.48-2
メンデルスゾーン(Mendelssohn)/歌の翼に(Auf Flügeln des Gesanges) Op.34-2
R.シュトラウス/星(Der Stern) Op.69-1
ライマン/「オレア」より 4.賢い星(Kluge Sterne)(無伴奏)

~アンコール~

モーツァルト/夕べの想い(Abendempfindung) K.523
R.シュトラウス/明日(Morgen!) Op.27-4

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ドイツの売れっ子ソプラノ、モイツァ・エルトマンと、イギリス伴奏界のベテラン、マルコム・マルティノーによる歌曲の夕べを聴きに行った。
今年に入って歌曲のコンサートはこれが最初!
本当は1月にトーマス・バウアーを聴こうと思っていたのだが、気づいた時には終わっていた!
最近コンサート通いをあまりしなくなっていたのだが、久しぶりのリーダーアーベントはやはり良いなぁと思った。

以前にエルトマンを聴いた時はゲロルト・フーバーのピアノで、彼がかなり立体的な演奏で自己主張が強かった為、今回はマーティノーに変わり、歌とピアノが寄り添って溶け合っていたように感じた。

それにしてもエルトマンはまだリートの録音は少ないものの、今回のリサイタルのプログラミングはかなり凝ったもので、歌曲マニアをもうならせるに足る内容だった。
R.シュトラウスの歌曲の間に他の作曲家の歌曲を挟むというもので、シュトラウスと他の作曲家の感性の違いがお互いの魅力を光らせることになった。
最初に花にちなんだ作品が並んだが、それらがどれもぴりっとした苦味をもったものが選ばれていて、恋の雲行きが危うくなる前触れとなっていた。
そしてシェイクスピアの「ハムレット」の詩の独訳によるシュトラウスの「オフィーリアの3つの歌」が歌われた後、現役の作曲家ヴォルフガング・リームによる同じ詩の英語原詩による3曲が歌われた。
リームの3曲中、最初の2曲は突然マーティノーがセリフを語り、エルトマンと掛け合いの芝居のような感じとなったが、これは原作のGertrude(ガートルード)やClaudius(クローディアス)の台詞の箇所をマーティノーが語っていたのだろう。
ちなみにマーティノーの語り、なかなか良い声で違和感なく演奏に溶け込んでいた。

シュトラウスのどこまでも感覚的な愉悦を目指しているかのような爛熟したフレージングは、女声歌手にとっては魅力的に違いないし、エルトマンのクールな美声にはうってつけだった。
彼女はリリカルな作品もコロラトゥーラの必要な作品も実に見事に自分のものにしてしまう。
リートのレパートリーというのは歌手の適性に応じた作品が選ばれるわけだが、エルトマンの場合、歌おうと思えば、どんな作品も歌えてしまえるのではないかと思えるほどだ。
もちろん歌えるからといってそれがふさわしくない作品もあるだろうが、彼女の技術、音楽的な感性、そしてステージ映えする容姿など、天性のものも相まって、彼女には無限の可能性があるように感じられた。

言葉さばきは完璧、現代音楽の難解な作品の音程もおそらく完璧、高音から低音までよく訓練された響きは、東京文化会館の3階左の席にいた私にも明瞭に聞こえてきた。
涼やかな美声というと一見冷たく感じられやすいかもしれないが、そうならないのが彼女の凄さで、クールな響きが心地よい風のように聴き手に爽快感を感じさせてくれた。

前半後半それぞれ途中で一回ずつ拍手に答えて舞台に引っ込み、あらたなブロックを始めるという感じだが、有名な「野ばら」「万霊節」「歌の翼に」は終わるとすぐに拍手が来たりして、聴衆の反応もストレートである。

後半は最初と最後に現役作曲家で最近オペラ2作が日生劇場で上演されたことで注目を浴びたアリベルト・ライマンの4曲からなる歌曲集「オレア」(柴田克彦氏の解説によるとギリシャ語で「美」を意味する)からの2曲が置かれた。
これらは無伴奏なので、この時だけエルトマンが舞台右側へ移り、楽譜立ての前で一人スポットライトを浴びて歌うという形になった。
ライマンのオペラでもすでに慣れていたが、これらの歌曲も超人的な高音が多い印象だ。
それを難なくこなしてしまうエルトマンはただただ凄い。
後半最初の「Helena」で超絶的な技巧を聴かせた後に続けて歌われたシュトラウスの「夜」の何と美しかったことか。
後半は死をテーマにした曲で始まり、最後は天空に飛翔して星に到達する。
シューベルトの「連祷」などは録音ではよく聴くが実際に生で聴くことはこれまで少なかったと思う。
こんなに簡素なのに心のこもった響きはさすがシューベルトの天才を感じずにはいられない。

アンコールも本プログラムの続きでシュトラウスと交互の選曲が続き、しかも、夕暮れから翌日の日の出までの時の流れがテーマになっていて、最後までエルトマンの知性に貫かれた演奏会だった。
「夕べの想い」と「明日」、作られた時代も違う2曲がどちらも鎮魂歌のように聴き手の心に染み渡った。

そして、久しぶりに聴いたマルコム・マーティノーの演奏はもはや名人芸と言ってよいだろう。
今では珍しくピアノの蓋を短いスティックで軽く開けただけだったが、緩急、強弱、自由自在という感じで、強音でも決して汚い音にならずにコントロールされていたのが心地よかった。
彼のピアノは例えば往年のジェフリー・パーソンズのようなピアノパートだけでソロのような完結した美音を貫くというタイプではなく、曲に応じ、多彩なパレットを使い分け、時には奥に引っ込み、時には前面に出て、あくまで歌との一体感に重きを置く演奏をしていた。
いまや円熟期を迎えた伴奏者の名人芸にも感銘を受けたこの日のコンサートだった。

ちなみに招聘元のジャパンアーツのツイッターに当日のお二人の写真がありました!
 こちら

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アンネリーゼ・ローテンベルガー&ギュンター・ヴァイセンボルン/リサイタル映像

往年の名ソプラノ、アンネリーゼ・ローテンベルガーのリサイタル映像がアップされていたので、ご紹介します。

ローテンベルガーはオペラ、歌曲、それに本国のテレビ出演などで人気の高かった歌手で、録音も多く、来日公演もあったらしいですが、私はこれだけまとまった歌曲リサイタルの映像を見るのははじめてです。
しかも、ピアノのパートナーは小林道夫らを育てた歌曲ピアノの名手で、F=ディースカウやプライとの共演も多かったギュンター・ヴァイセンボルンです。
彼の映像も珍しいと思います。

今回の映像、シューベルトなどのお馴染みの曲と並んで、マイアベーアやシュポーアのクラリネット助奏付き歌曲など比較的演奏される機会の稀な作品も取り上げられていて、リートファン必見です!

実際、ローテンベルガーの伸びやかで可憐な美声がたっぷり堪能出来ます。
ヴァイセンボルンのピアノも優れたテクニックによる含蓄に富んだ演奏です。
アップしてくれた方に感謝です。
なお、「笑ったり泣いたり」以降は乱れがあり、映像と音が合っていませんが、想像力で補っていただきながら、楽しんで下さい。
ぜひご覧下さい!

アンネリーゼ・ローテンベルガー(Anneliese Rothenberger)(S)
ギュンター・ヴァイセンボルン(Günther Weissenborn)(piano)
ゲルト・シュタルケ(Gerd Starke)(clarinet)(マイアベーア, シュポーア)

00:23 マイアベーア(Meyerbeer)/羊飼いの歌(Hirtenlied)
06:16 シュポーア(Spohr)/二重唱(Zwiegesang), 子守歌(Wiegenlied)
12:21 シューマン(Schumann)/耐え忍ぶ花(Die Blume der Ergebung)
15:21 シューベルト(Schubert)/笑ったり泣いたり(Lachen und Weinen), 夜と夢(Nacht und Träume), 野ばら(Heidenröslein)
22:22 グリーグ(Grieg)/君を愛す(Ich liebe Dich), 白鳥(Ein Schwan), 小舟で(Im Kahne)(グリーグはドイツ語訳による歌唱)
29:14 ヴォルフ(Wolf)/春だ(Er ist's)

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アンネ・ソフィー・フォン・オッター&カミラ・ティリング&ジュリアス・ドレイク/リサイタル(2015年9月25日 東京オペラシティ コンサートホール)

アンネ・ソフィー・フォン・オッター and カミラ・ティリング in リサイタル

2015年9月25日(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール

アンネ・ソフィー・フォン・オッター(Anne Sofie von Otter)(メゾソプラノ)
カミラ・ティリング(Camilla Tilling)(ソプラノ)
ジュリアス・ドレイク(Julius Drake)(ピアノ)

メンデルスゾーン(Mendelssohn)
挨拶Op. 63-3 (デュエット)

リンドブラード(Lindblad: 1801-1878)
夏の日(ティリング)
警告(フォン・オッター)
少女の朝の瞑想(デュエット)

グリーク(Grieg)
「6つの歌」Op.48 (ティリング)
 挨拶
 いつの日か、わが想いよ
 世のならい
 秘密を守るナイチンゲール
 薔薇の季節に
 夢

シューベルト(Schubert)
ますD550(フォン・オッター)
夕映えの中でD799(フォン・オッター)
シルヴィアにD891(フォン・オッター)
若き修道女D828(フォン・オッター)

メンデルスゾーン
渡り鳥の別れの歌Op.63-2 (デュエット)
すずらんと花々Op.63-6 (デュエット) 

~休憩~

マイアベーア(Meyerbeer)
シシリエンヌ(ティリング)
来たれ、愛する人よ(フォン・オッター)
美しい漁師の娘(フォン・オッター)

マスネ(Massenet)
喜び!(デュエット)

フォーレ(Fauré)
黄金の涙Op.72(デュエット)

シュトラウス(Richard Strauss)
憩え、わが魂よOp.27-1(フォン・ オッター)
たそがれの夢Op.29-1(ティリング)
どうして秘密にしておけようかOp.19-4(フォン・オッター)
ひそやかな誘いOp.27-3(ティリング)
明日!Op.27-4(フォン・オッター)
ツェツィーリエOp.27-2(ティリング)

~アンコール~
オッフェンバック/「ホフマン物語」より「舟歌」
ブラームス/姉妹
フンパーディンク/「ヘンゼルとグレーテル」より「夜には、私は眠りに行きたい」
ベニー・アンダーソン&ビョルン・ウルヴァース/ミュージカル「クリスティーナ」より「The Wonders」

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アンネ・ソフィー・フォン・オッターを初台で聴いた。
オッターは9年ぶりの来日とのこと。
私は今回はじめて彼女の実演に接して、リート歌手としての言葉さばきの細やかさが強く印象に残った。
そしてメゾとはいえ、重い声というわけではなく、ソプラノのような軽やかさが持ち味の彼女の美声はまだまだ魅力的に感じられた。

私の席はステージ真横の2階、ピアニストの背中が真正面に来る位置なので、二人の女声歌手は右後方から見る形となる。
ドレイクの鍵盤の指さばきははっきり見られて面白かったし、二人の歌手の横顔の表情の変化なども楽しめたが、やはり音のバランス的には最良とはいかない席だった。
しかし、これだけ視覚的に楽しませてもらえれば贅沢だろう。
従って、彼女たちの声量については確かなことは言えないのだが、60歳を迎えたオッターのヴォリュームはおそらく圧倒するほどではなかったのではないか。
彼女の声質はもともと北欧的な要素の薄い、すっきりしたものなので、かえって国際的な活動にはそれが効を奏したという面もあるだろう。
今回のプログラミングも北欧の曲を取り入れつつも、ドイツ語、フランス語の歌曲が中心に選ばれていた。

ティリングはまだ40代半ばの若いソプラノ。
ちょっとボニーを思わせるリリカルな声の持ち主で、ショートカットなところも似ている。
だが、彼女には北欧歌手らしい細かいヴィブラートと押し出しの強さがあり、北欧の伝統の中から生まれた歌手という印象である。
オッターと比較するのは酷だが、まだ色合いの持ち駒は豊富とは言えないようで、これからさらに進化していくのだろう。
ただ、声の美しさと言葉さばきの巧みさなど、なかなか良いものをもった歌手という印象は感じられ、今後活躍していくのではないだろうか。

オッターはもう貫禄の歌唱。
決して声で圧するタイプではないようだが、伸ばすところではホールに美声が響き渡る。
すっきりした声で知的に描かれるそれぞれの歌は、オッターの顔の表情やちょっとしたお茶目な仕草なども加わって、一つの情景が浮かぶようだった。

また、デュエットの数々では、オッターが頻繁にティリングに顔を向けて、アイコンタクトをとろうとしていたのに対して、ティリングは真正面を向き、オッターに比べると若干硬い感もなきにしもあらずだった。
しかし、二人の声は、声種の違いがほとんど感じられず、絶妙に溶け合って、美しいハーモニーが会場を包み込んだ。
この2人のデュエットはちょっと類のないぐらいの緊密な響きで、ソロも良かったけれど、それ以上にデュエットが楽しかったというのが正直なところだ。

ドレイクのピアノはまさに歌に寄り添ったものだった。
恵まれた大きな手はしかし、必要以上に派手に動かすことはなく、鍵盤上をすっきりと這い回っていた。
手首をやや上げ気味にして、レガートの箇所はまさに歌っているかのように指を這わせていて、主に高音部を強調し、バス音は重要な場面のみ響かせ、後は歌手に配慮した音量だった。
「夕映えの中で」など、広い音域をアルペッジョにせずに弾けるのは恵まれた手をしている証だろう。
「明日!」でののめりこむことなく旋律を美しく歌わせるところなど、さすが一流の伴奏ピアニストだと思わされた。

ドレイクのような超一流のピアニストとの共演を聴けたのはもちろん嬉しいことだが、せっかくオッターの来日公演なのだから、彼女のいつものパートナーのベンクト・フォシュベリも聴いてみたかった気がする。
都合が合わなかったのだろうか。

なお、ステージにカメラが設置されていたので、おそらくそのうちBSで放映されるのではないか。
そちらも楽しみに待ちたい。

Otter_tilling_drake_20150925

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ディアナ・ダムラウ&ヘルムート・ドイチュ/シュヴァルツェンベルク・シューベルト・ライヴRadio4配信中(期間限定)

毎年オーストリアの閑静な場所で開かれているシューベルティアーデから、ソプラノのディアナ・ダムラウと、ピアニストのヘルムート・ドイチュによる今年行われたばかりのライヴがオランダのRadio4で期間限定配信されています。

 こちら

上記のサイトの「Luister concert」をクリックすると全曲続けて流れます。
ブロックごとに聞きたい時は、その下の4つの再生ボタンのうち、お好きなボタンをクリックしてお聞き下さい。

曲目などデータは以下のとおりです。

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ライヴ録音:2015年6月21日, Angelika Kauffmann Hall, Schwarzenberg

ディアナ・ダムラウ(Diana Damrau) (sopraan)
ヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch) (piano)
ポール・メイエ(Paul Meyer) (klarinet)(D.965)

フランツ・シューベルト(Franz Schubert):

大都会から遠く(Ferne von der großen Stadt) D.483
春の歌(Frühlingslied) D.398
春の信仰(Frühlingsglaube) D.686
春の歌(Frühlingslied) D.919
大地(Die Erde) D.579B
緑野の歌(Das Lied im Grünen) D.917

岩の上の羊飼い(Der Hirt auf dem Felsen) D.965

愛はいたる道に漂う(Liebe schwärmt auf allen Wegen) D.239/6
愛(Die Liebe) D.522
あちらこちらに矢が飛び交う(Hin und wieder fliegen Pfeile) D.239/3
アノット・ライルの歌(Lied der Anne Lyle) D.830

エレンの歌Ⅰ(憩え、兵士よ)、Ⅱ(狩人よ、狩をやめよ)、Ⅲ(アヴェ・マリア)(Ellens Gesänge aus Walter Scotts "The Lady of the Lake") D.837-839
マリア像(Das Marienbild) D.623
ひめやかな恋(Heimliches Lieben) D.922
デルフィーネ(Delphine) D.857/1

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ダムラウの伸縮自在で細やかな表現はリートそのものの魅力を伝えてくれますし、ベテラン、ドイチュのピアノは余裕すら感じられる変幻自在のタッチで堅実に演奏しています。

期間限定配信ですので、興味のある方はくれぐれもお早めに!

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サンドリーヌ・ピオー&スーザン・マノフ/~Evocation 美しい想い出への喚起~(2015年5月21日 王子ホール)

サンドリーヌ・ピオー ~Evocation 美しい想い出への喚起~

2015年5月21日(木)19:00 王子ホール

サンドリーヌ・ピオー(Sandrine Piau)(ソプラノ)
スーザン・マノフ(Susan Manoff)(ピアノ)

ケクラン(Koechlin)/グラディスのための7つの歌(Les sept chansons pour Gladys) Op.151
 1.愛の神は告げた(M'a dit Amour)
 2.縛るつもりが(Tu croyais le tenir)
 3.罠に落ちながら(Prise au piège)
 4.ナイアス(La Naïade)
 5.嵐(Le Cyclone)
 6.鳩(La Colombe)
 7.運命(Fatum)

ツェムリンスキー(Zemlinsky)/
愛と春(Liebe und Frühling)
夜の森を歩くとき(Wandl' ich im Wald des Abends)
ばらのリボン(Das Rosenband)
春の歌(Frühlingslied)

ドビュッシー(Debussy)/
西風(Zéphyr)
「ロマンス」より そぞろな悩める心(Romance "L'âme évaporée...")
麦の花(Fleur des blés)
星月夜(Nuit d'étoiles)

~休憩~

シェーンベルク(Schönberg)/4つの歌(Vier Lieder) Op.2
 1.期待(Erwartung)
 2.ほしいのは黄金の櫛(Schenk mir deinen goldenen Kamm)
 3.昂ぶる心(Erhebung)
 4.森の陽光(Waldsonne)

ショーソン(Chausson)/
魅惑(Le charme) Op.2-2
セレナード(Sérénade) Op.13
蜂雀(Le Colibri) Oop.2-7
リラの花咲く頃(Le temps des lilas) Op.19

R.シュトラウス(R.Strauss)/おとめの花(Mädchenblumen) Op.22(全4曲)
 1.矢車菊(Kornblumen)
 2.けしの花(Mohnblumen)
 3.きづた(Epheu)
 4.睡蓮(Wasserrose)

~アンコール~
フォーレ(Fauré)/シルヴィ
フォーレ/ひめごと
ドビュッシー(Debussy)/あやつり人形
ドビュッシー/美しき夕べ

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サンドリーヌ・ピオーとスーザン・マノフによる王子ホールのリサイタルは今回も実に充実した時間でした。
実は聴いてから記事を書かずに放置してしまって記憶の定かでない点もありますので、申し訳ありませんが詳細は書かないことにします。

絶頂期といってもいいピオーはばらばらな6人の作曲家の作品それぞれの核心に迫った充実した歌唱を聴かせてくれていましたし、なにしろ独仏のディクションが素晴らしいです!
ピアノのマノフは前回聴いた時に感じた感情的な部分は影をひそめ、知的に繊細にコントロールされ尽くした至芸を聴かせてくれました。
とにかく、知っている曲も未知の曲も二人の卓越した演奏家によって素晴らしく満ち足りた演奏となっていました。

アンコールで耳馴染みな曲が演奏されたのもほっと一息つけて良かったです。
歌曲の演奏家として、この二人に注目していきたいと思いました。

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