クリストフ・プレガルディエン&ミヒャエル・ゲース/シューベルト「白鳥の歌」他(2022年10月1日(土)トッパンホール)

トッパンホール22周年 バースデーコンサート
〈歌曲(リート)の森〉~詩と音楽 Gedichte und Musik~ 第25篇
〈シューベルト三大歌曲 1〉
クリストフ・プレガルディエン&ミヒャエル・ゲース

2022年10月1日(土)18:00 トッパンホール

クリストフ・プレガルディエン(テノール)
ミヒャエル・ゲース(ピアノ)

ベートーヴェン:連作歌曲《遥かなる恋人に寄す》Op.98
 第1曲 僕は丘の上に腰を下ろして
 第2曲 青い山なみが
 第3曲 空高く軽やかに飛ぶ雨ツバメよ
 第4曲 高みにある雲の群れも
 第5曲 五月はめぐり
 第6曲 受け取ってください、これらの歌を

シューベルト:白鳥の歌 D957より
 第1曲 愛の言づて
 第2曲 兵士の予感
 第3曲 春のあこがれ
 第4曲 セレナーデ
 第5曲 居場所
 第6曲 遠い地で
 第7曲 別れ

~休憩~

ブラームス:〈君の青い瞳〉Op.59-8~《リートと歌》より
ブラームス:〈永遠の愛〉Op.43-1~《4つの歌》より
ブラームス:〈野の中の孤独〉Op.86-2~《低音のための6つのリート》より
ブラームス:〈飛び起きて夜の中に〉Op.32-1~《プラーテンとダウマーによるリートと歌》より
ブラームス:〈教会の墓地で〉Op.105-4~《低音のための5つのリート》より

シューベルト:白鳥の歌 D957より
 第10曲 魚とりの娘
 第12曲 海辺で
 第11曲 町
 第13曲 もう一人の俺
 第9曲 あの娘の絵姿
 第8曲 アトラス

[アンコール]

シューベルト:鳩の使い D965A
シューベルト:我が心に D860
シューベルト:夜と夢 D827

(※上記の演奏者や曲目の日本語表記はプログラム冊子に従いました。アンコールもトッパンホールの公式Twitterの日本語表記に従いました。)

Toppan Hall The 22th Birthday Concert
[Song Series 25 -Gedichte und Musik-]
Christoph Prégardien(Ten) & Michael Gees(pf)

Saturday, 1 October 2022 18:00, Toppan Hall

Christoph Prégardien, Tenor
Michael Gees, piano

Beethoven: Liederzyklus "An die ferne Geliebte" Op.98
 No. 1. Auf dem Hügel sitz ich spähend
 No. 2. Wo die Berge so blau
 No. 3. Leichte Segler in den Höhen
 No. 4. Diese Wolken in den Höhen
 No. 5. Es kehret der Maien, es blühet die Au
 No. 6. Nimm sie hin denn, diese Lieder

Schubert: 7 Lieder nach Gedichten von L. Rellstab aus "Schwanengesang" D957
 No. 1. Liebesbotschaft
 No. 2. Kriegers Ahnung
 No. 3. Frühlingssehnsucht
 No. 4. Ständchen
 No. 5. Aufenthalt
 No. 6. In der Ferne
 No. 7. Abschied

-Intermission-

Brahms: 'Dein blaues Auge' Op.59-8 aus "Lieder und Gesänge"
Brahms: 'Von ewiger Liebe' Op.43-1 aus "4 Gesänge"
Brahms: 'Feldeinsamkeit' Op.86-2 aus "6 Lieder für eine tiefere Stimme"
Brahms: 'Wie rafft' ich mich auf in der Nacht' Op.32-1 aus "Lieder und Gesänge von A. v. Platen und G. F. Daumer"
Brahms: 'Auf dem Kirchhofe' Op.105-4 aus "5 Lieder für eine tiefere Stimme"

Schubert: 6 Lieder nach Gedichten von Heinrich Heine aus "Schwanengesang" D957
 No. 10. Das Fischermädchen
 No. 12. Am Meer
 No. 11. Die Stadt
 No. 13. Der Doppelgänger
 No. 9. Ihr Bild
 No. 8. Der Atlas

[Zugaben]

Schubert: Die Taubenpost D965A
Schubert: An mein Herz D860
Schubert: Nacht und Träume D827

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久しぶりに生のコンサートに出かけてきました。テノールのクリストフ・プレガルディエン(プレガルディアン)がシューベルトの三大歌曲集をトッパンホールで披露するというので、その初回(10月1日)の『白鳥の歌』他のリサイタルを聴きました。
最近はあまりコンサートの広告などを熱心に見ることもなく、たまたまフリーペーパーの「ぶらあぼ」をぱらぱらめくっていてこのコンサートに気付いたので、数日前に電話してチケットをとり、飯田橋に降り立ちました。

個人的なことですが、飯田橋は社会人になって最初に勤めた会社があった場所で(大昔の話です)、久しぶりにそのビルに行ってみましたが、とうの昔に居酒屋のビルに変わっているばかりか、周辺の書店やよく通った飲食店などかなり変わってしまっていて妙にノスタルジックな気分に襲われました。

そんな感傷を引きずりながら15分ほどの坂道をのぼっていくと、以前はなかったスーパーいなげやが途中にありました。コンサートに向かう道は期待に胸ふくらませていて独特の高揚感があるんですよね。

ホールに着き、チケットをもぎってもらうと同時に受け取るプログラム冊子は以前と全く同じ表紙・デザインのものでした。変わるものがあれば変わらないものもあり、いろいろな思いが交錯する日となりました。

トッパンホールに来たのは一体何年ぶりだろうというぐらい久しぶりだったのですが、席についてしまえば過去に過ごした多くの素敵な時間がよみがえってきます。

今回は後方左側の席だったのですが、段になっているので、舞台がよく見渡せるいい席でした。

プログラムは前半がベートーヴェンの歌曲集《遥かなる恋人に寄す》と、シューベルトの『白鳥の歌』からレルシュタープの詩による7曲、休憩をはさみ後半はブラームスの歌曲5曲と、『白鳥の歌』からハイネの詩による6曲でした。
『白鳥の歌』の順序を出版順から入れ替えるのが最近の流行りで、プレガルディエンのちらしではレルシュタープ、ハイネそれぞれ曲順を入れ替えた形で発表されていましたが、結局レルシュタープ歌曲集はお馴染みの出版順で演奏され、ハイネ歌曲集のみがプレガルディエン独自の曲順に入れ替えられていました。

プレガルディエンはすでに66歳になっていたということにまず驚きました。F=ディースカウが歌手活動から引退したのが67歳の時で、その頃にはすでに声がかなり重くなっていたことを考えると、プレガルディエンの声のコンディションの見事さはちょっと信じがたいほどでした。高音域が若干きつそうな場面がある以外は殆ど年齢による衰えを感じることがなく、細やかな表現から劇的な表現まで変幻自在でした。ホール後方の席にいた私にも細やかな表現の綾がしっかり伝わってきます。基礎がしっかりしている人は長く歌い続けられるということなのでしょうか。

プレガルディエンは楽譜立てに紙を置いて、歌っていましたが、それが楽譜なのか歌詞なのか席からは確認できませんでした。ただ、ほとんどそれを見ることなく、正面の客席に顔を向けて歌っていたので、あくまで万が一の為の備忘録のような感じに思えます。

プレガルディエンはプログラム最初の《遥かなる恋人に寄す》の冒頭の曲からすでに声が朗々と前に出ていて年齢的な心配は杞憂に過ぎませんでした。
彼はバッハ歌いでもあり、彼の歌の基本は聴き手に伝えるという姿勢だと思います。
言葉が明瞭に聞こえてきます。
プレガルディエンは実演でも録音でも、歌の旋律に装飾を加えたり、多少変更を加えたりします。
当時の作品が演奏される際にすでにそうしたことは行われていて、シューベルト歌曲の紹介者フォーグルがどのように変更したかは楽譜の形で残っています。シューベルトはフォーグルの歌の伴奏をしたわけですから、そうした変更はシューベルトの公認と言ってもいいのでしょう。
プレガルディエンはすべての曲に装飾を加えるわけではなく、特定の曲に絞って装飾・変更を加えていきます。
私の記憶では《遥かなる恋人に寄す》では装飾は付けていませんでした。
この日最初に装飾を加えたのは『白鳥の歌』第3曲「春のあこがれ」でした。
特定の曲で装飾を加える時は、数か所変更を加えます。そして、歌手に呼応してゲースも思いっきりピアノパートに変更を加えます。
どこまで事前に準備していて、どこから即興的なやりとりなのかは知るよしもないですが、耳馴染みの音楽にちょっと装飾を加えて歌とピアノの新しい響きが生まれる瞬間に居合わせられるのはスリリングです。

プレガルディエンは万能歌手で、若者の心の痛みでも、抒情的な風景でも、疎外された者の心情でも、愛の告白でも、見事に説得力をもった表現で聴かせてくれるので、聴き手は身を委ねて、それぞれの小世界に浸ることが出来ます。
例えば《遥かなる恋人に寄す》第1曲では"Bote(使い)"の前に少しだけ間をとって「愛の使者はいないのか」という気持ちを強調していました。
年齢を重ねて低音は充実していて、特にテノール歌手には必ずしも歌いやすくはないであろう「遠い地で」の低音がしっかりと響いていたのは聴きごたえありました。

ピアノのミヒャエル・ゲースは、これまで数多くのピアニストたちと共演してきたプレガルディエンのパートナーの中でも極めて異彩を放っていることは間違いないです。
ゲースはリズムや拍を楽譜通りに明瞭に伝えようとはしません。
むしろ音楽的な響きの中でそれを(おそらく)あえてぼやかします。
ペダルの海の中で響きは時に濁り、普段聞こえる音が響きに埋没するかと思うと、普段埋もれがちな内声が浮き立ってきたりもします。
それは手垢にまみれたリート演奏に独自の視点をもたらそうとしているのかもしれませんし、もともとのゲースの資質なのかもしれません。
プレガルディエンが同じ作品を現代作曲家の様々な演奏形態による編曲版で歌ったりするのが新しい視点の可能性を試みているということならば、ゲースというピアニストと共演するということもその一環としてとらえてもいいのかもしれません。
ゲースは基本的に右手を中心に響かせ、左手はここぞという時だけ強調します。過去の様々な演奏に馴染んだ耳には、なぜ左手のバス音をこんなに弱く演奏するのだろうかという疑問をつきつけられます。それこそが先入観に疑問を持つようにというゲースから聴き手へのメッセージのようにも思えます。
それからリートを弾くピアニストたちがここぞという時にやる右手と左手のタイミングをわずかにずらすことによる味付けをゲースはこれでもかというぐらいに多用します。これはゲースの好みなのかもしれませんね。
また、ジャズも演奏するというゲースはプレガルディエンの装飾に呼応してかなり大胆な変更を施します。このあたりもプレガルディエンが志す方向と共通しているのだと思います。ただ、ブラームスの「永遠の愛」の後奏はゲースの創作作品になってしまっていて、これはさすがにやり過ぎかなと個人的には思いました。

大体『白鳥の歌』のプログラムだと、45分ぐらいで終わってしまうので、他に何が追加されるのかが愛好家にとっては気になるのですが、今回はよく一緒に演奏される『遥かなる恋人に寄す』の他にブラームスの歌曲5曲という珍しいカップリングが興味深かったです。私はブラームス歌曲が大好きなので、この日のコンサートは大好きな作品のオンパレードでとても楽しめました。プログラムビルディングも大事ですよね。

『白鳥の歌』出版時に含まれた「鳩の便り」は一つだけザイドルのテキストということもあって、今回のように正規のプログラムからは外されることが多くなってきましたが、アンコールで歌ってくれたのでこの曲が好きな私としては良かったです!そしてアンコール2曲目は珍しいシュルツェの詩による「我が心に」が演奏され、最後の「夜と夢」は魔術的な美しさでした。プレガルディエンのレガート健在でした!

やはりホールの美しい響きの中で聴く一流の演奏は格別でした。行って良かったです!あと2夜行ける方はぜひ楽しんできてください!

トッパンホールのHPでの公演詳細

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ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ (ピアノ:デームス、ヘル、ブレンデル)/シューベルト&R.シュトラウス・ライヴ(1980年,1982年,1984年アムステルダム)

オランダの放送局NPO Radio4が、本日(5月28日)誕生日のディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau)のアムステルダム・コンセルトヘバウでのライヴを3種類、期間限定でアップしています。
おそらく数週間で消されてしまうと思いますので、もし興味のある方は早めに聴いてみて下さい。1曲ずつでも再生できるようになっているので、聞きたい曲だけ聞くことも出来ます。
シューベルトの方は1980年のライヴで、2014年にアップされた時にブログの記事にしていますので、その後アップされていなかったとしたら8年ぶりということになります。ピアノはイェルク・デームスです。

●Schubert-recital door Dietrich Fischer-Dieskau

ライヴ録音:1980年12月9日, Concertgebouw Grote Zaal Amsterdam(アムステルダム・コンセルトヘバウ大ホール)

Dietrich Fischer-Dieskau(ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ) (bariton)
Jörg Demus(イェルク・デームス) (piano)

Schubert(シューベルト)作曲

1.Prometheus(プロメテウス) D.674
2.Meeresstille(海の静けさ) D.216
3.An die Leier(竪琴に寄せて) D.737
4.Memnon(メムノン) D.541
5.Freiwilliges Versinken(自ら沈み行く) D.700
6.Der Tod und das Mädchen(死と乙女) D.531
7.Gruppe aus dem Tartarus(タルタロスの群れ) D.583
8.Nachtstück(夜曲) D.672
9.Totengräbers Heimweh(墓掘人の郷愁) D.842

10.Der Wanderer an den Mond(さすらい人が月に寄せて) D.870
11.Abendstern(夕星) D.806
12.Selige Welt(幸福の世界) D.743
13.Auf der Donau(ドナウ川の上で) D.553
14.Über Wildemann(ヴィルデマンの丘を越えて) D.884
15.Wanderers Nachtlied(さすらい人の夜の歌Ⅱ) D.768
16.Des Fischers Liebesglück(漁師の恋の幸福) D.933
17.An die Laute(リュートに寄せて) D.905
18.Der Musensohn(ムーサの息子) D.764

19.Nachtviolen(はなだいこん) D.752
20.Geheimes(秘めごと) D.719
21.An Sylvia(シルヴィアに) D.891
22.Abschied(別れ) D.957 nr.7

次にR.シュトラウスのリサイタルで、こちらも2014年にアップされた時に記事にしていました。ピアノはハルトムート・ヘルです。

●Richard Strauss recital door Dietrich Fischer-Dieskau

ライヴ録音:1982年2月18日, Concertgebouw, Amsterdam(アムステルダム・コンセルトヘバウ)

Dietrich Fischer-Dieskau(ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ) (bariton)
Hartmut Höll(ハルトムート・ヘル) (piano)

Richard Strauss(リヒャルト・シュトラウス)作曲

1 Schlechtes Wetter(悪天候), op.69 nr.5
2 Im Spätboot(夜更けの小舟で), op.56 nr.3
3 Stiller Gang(静かな散歩), op.31 nr.4
4 O wärst du mein(おお君が僕のものならば), op.26 nr.2
5 Ruhe, meine Seele(憩え、わが魂よ), op.27 nr.1 (04:00)
6 Herr Lenz(春さん), op.37 nr.5
7 Wozu noch, Mädchen(少女よ、それが何の役に立つのか), op.19 nr.1
8 Frühlingsgedränge(春の雑踏), op.26 nr.1
9 Heimkehr(帰郷), op.15 nr.5
10 Ach, weh mir unglückhaftem Mann(ああ辛い、不幸な俺), op.21 nr.4

11 Winternacht(冬の夜), op.15 nr.2
12 Gefunden(見つけた), op.56 nr.1
13 Einerlei(同じもの), op.69 nr.3
14 Waldesfahrt(森の走行), op.69 nr.4
15 Himmelsboten(天の使者), op.32 nr.5
16 Junggesellenschwur(若者の誓い), op.49 nr.6
17 "Krämerspiegel(「商人の鑑」)": O lieber Künstler(おお親愛なる芸術家よ), op.66 nr.6
18 "Krämerspiegel": Die Händler und die Macher(商人どもと職人どもは), op.66 nr.11
19 "Krämerspiegel": Hast du ein Tongedicht vollbracht(あなたが交響詩を書き上げたら), op.66 nr.5
20 "Krämerspiegel": Einst kam der Bock als Bote(かつて牝山羊が使者にやって来た), op.66 nr.2

21 Traum durch die Dämmerung(黄昏を通る夢), op.29 nr.1
22 Ständchen(セレナーデ), op.17 nr.2
23 Morgen(明日), op.27 nr.4
24 Zugemessene Rhythmen(整いすぎたリズム), WoO.122

1984年のアルフレート・ブレンデルとの『冬の旅』のライヴは、スタジオ録音やDVDの映像と比較してみるのも興味深いかと思います。

●Legendarisch archief: Winterreise door Dietrich Fischer-Dieskau

ライヴ録音:1984年6月29日, Concertgebouw, Amsterdam(アムステルダム・コンセルトヘバウ)

Dietrich Fischer-Dieskau(ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ) (bariton)
Alfred Brendel(アルフレート・ブレンデル) (piano)

Schubert(シューベルト)作曲

Winterreise(『冬の旅』) D.911 - compleet

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エリー・アーメリング公式チャンネル動画2本更新:ショッソン『7つの歌曲』、コンサートアンコール(トゥリーナ、エリントン)

嬉しいことにエリー・アーメリング公式チャンネルに新しい動画が2本アップされていました。

●コンサートのアンコール2曲:トゥリーナ、エリントン
Elly Ameling; Two encores, Turina and Ellington

アンコール2曲、1985年10月6日フレーデンビュルフ録音
00:05 ホアキン・トゥリーナ:カンタレス(歌)
2:09 デューク・エリントン:ソフィスティケイテッド・レイディー

エリー・アーメリング(S)
ルドルフ・ヤンセン(P)

Two encores, recorded Vredenburg, October 6 1985
00:05 Joaquín Turina - Cantares
2:09 Duke Ellington - Sophisticated Lady

Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano

コンサートのアンコールとして演奏された2曲とのことです。私の知る限り初出音源ではないでしょうか。スペイン歌曲とジャズのスタンダードナンバーをヤンセンがピアノでつないで続けて演奏しているのが興味深いです。全く異なる様式の作品をこうしてまとめて披露してしまえるアーメリングはやはり凄い人ですね。

●ショッソン(一般的な表記はショーソン)『7つの歌曲』Op. 2
Elly Ameling; Sept Mélodies op. 2 - Chausson

ショッソン『7つの歌曲』Op. 2
00:05 1.ナニー
02:43 2.魅惑
04:46 3.蝶々
06:08 4.最後の一葉
08:27 5.イタリア風のセレナード
10:22 6.ヘーベ
13:06 7.ハチドリ

Sept Mélodies op. 2 - Ernest Chausson (1855-1899)
00:05 Nanny (Charles Leconte de Lisle)
02:43 Le charme (Paul Armand Sylvestre)
04:46 Les Papillons (Théophile Gautier)
06:08 La dernière feuille (Théophile Gautier)
08:27 Sérénade Italienne (Paul Bourget)
10:22 Hébé (Louise Ackermann)
13:06 Le Colibri (Charles Leconte de Lisle)

Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano
AVRO RK3, 1-12-1982

ショッソンの『7つの歌曲』Op. 2全曲がここで演奏されていますが、このうち1曲目の「ナニー」のみ彼女の放送録音集"80 jaar"に同一音源が収録されています。実はオランダのネットラジオ局Radio 4で以前にこの全曲が放送されたことがありますが、こうして動画サイトで繰り返し聴けるようにしてもらえるのはファンにとって嬉しいだけでなく歌を勉強している方にとっても有難いことではないかと思います。ショッソンの歌曲は和声の機微がなんとも言えない味を醸し出していて、聞くたびに惹かれます。この7曲のうち「ハチドリ」はコンサートで彼女がよく歌っていて私もアンコールで実際に聴きました。歌曲集としてまとめて聴くと、ショッソンの作風の様々な側面が感じられてとても魅力的でした。そしてアーメリングの歌唱とヤンセンのピアノはいつもながらそれぞれの異なる世界観を細やかに提示してくれています。

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(2021/11/7追記)

2021/10/30の10:15-12:45、14:00-16:30にエリー・アーメリングのマスタークラスが実施されたようです。オランダのゼイストで2021/10/22-31まで催された国際リート・フェスティヴァル(Internationaal Lied Festival Zeist)の一環のようです。
Twitterに参加された方からのリポートがありましたのでリンクを貼っておきます。日本のピアニスト木口さんも参加されたそうです。

木口雄人
https://twitter.com/kiguchi_yuto/status/1453402816266096642

Margriet Schipper
https://twitter.com/MargrietSchipp1/status/1454108546119917570

それからアーメリングといくつかの録音やコンサートで名演を残した指揮者ベルナルト・ハイティンクさん(Bernard Haitink: 4 March 1929 – 21 October 2021)のご冥福をお祈りいたします。

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江崎皓介ピアノリサイタル(2021年10月23日 カワイ川口リリアサロン)

江崎皓介ピアノリサイタル/ショパンエチュード全曲

2021年10月23日(土)
開場 14:30/開演 15:00
カワイ川口リリアサロン

江崎皓介(P)

ショパン:エチュード Op. 10-1~12

(休憩:約15分)

ショパン:エチュード Op. 25-1~12

(アンコール)

1. ショパン:夜想曲第2番 変ホ長調 Op. 9-2

2. ショパン:ワルツ第7番 嬰ハ短調 Op. 64-2

3. ショパン:ワルツ第6番 変ニ長調 Op. 64-1「小犬のワルツ」

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昨日、川口リリアのカワイのサロンに行き、一年ぶりに江崎皓介氏の演奏を聴いてきました。
生演奏は今年はじめてです。
某騒動で凄かった去年でさえ3回もコンサートに行ったのに...。
リモートワークが続きプライベートもだんだん出不精になってしまいました。

江崎さんは今回ショパンのエチュードのみでプログラミングし、前半はOp.10の12曲、そして後半はOp.25の全12曲を披露しました。
久しく感じていなかった音のシャワーを浴びる感覚がよみがえってきました。
エチュードといえど、ハノンやバイエルではなく、やはりショパンの芸術作品なのだと実感しました。
有名な曲があちこちに散りばめられていますが、ニックネームが付いていない曲でも馴染みのある曲が多く、それらが全曲まとめて演奏されると、単独で弾かれる時とは違った色合いを放つのが興味深かったです。
やはり江崎さんの演奏は昨年同様響きが美しかったです。
今回特に感じたのは他の演奏ではあまり強調されないような声部を際立たせることで、新鮮な魅力を感じることが出来たことです。内声もそうですが、バス音を強調するだけで随分雰囲気が変わり、聴いていて惹きこまれる箇所が多数ありました(例えばOp.25-2等)。
私の右側ブロックの一番真ん中よりの席からは手はほとんど見れなかったのですが、その代わりペダリングがよく見えて、細やかなペダルの踏みかえが印象に残っています。
ショパンは繊細な印象が強いですが、ドラマティックに畳みかけるところも魅力的ですね。
特に休憩後のOp.25では江崎さんの演奏が鬼気迫るような、何かが乗り移ったかのようなものが感じられて、12曲からなる物語のページを次々にめくっていくようなわくわくする感覚がありました。
曲が終わって次の曲に進むタイミングも音楽の一部なのだなぁとあらためて感じられた演奏でした。

アンコールは3曲でしたが、ツアーが下関、大阪と続くようですので、曲名はそれが終わった頃に追記しようと思います。
1曲目の超有名なあの曲では右手に多くの装飾を施していて興味深かったです。
何かそういう装飾の代替フレーズが記載された楽譜があるのか、それとも江崎さんが創作した装飾なのか気になり、帰り際にお見送りいただいた時に伺おうかとも思ったのですが、お疲れのところ申し訳ないと思い、一言感想をお伝えしてその場を離れてしまいました。

歌曲ファンの立場から今回ショパンのエチュードを聴いていて感じたことなのですが、ヴォルフは意外とショパンの影響を受けているのではないかと思いました。ヴォルフの歌曲のピアノパートに出てくるような音楽が、ショパンの音楽の中にいくつか感じられました。ヴォルフは若い頃音楽評論家でもあったので、その評論をひもとけば何か出てくるかもしれませんね。

余談ですが、昨今ショパンコンクールの日本人お二人の入賞がメディアでも話題になり、本当におめでたいと思いますが、普段クラシックの報道をほとんどしない一般メディアもこういう時はにわかクラシックファンになるのだなぁとひねくれた見方をしてしまいます。
でも、途中で先に進めなかったピアニストの方も素晴らしい演奏をした方がおられましたし、動画でそれぞれの演奏が聴けるので、お気に入りのピアニストをじっくり探すというのも楽しいですね。

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エリー・アーメリング&ルドルフ・ヤンセン他(Elly Ameling, Rudolf Jansen, & others)フランス放送録音(1985年1月28日)

エリー・アーメリング((Elly Ameling)の1985年の初出音源がアップされていました!!
未知だった音源がどんどん発掘されていくのはファンにとってはたまらなく嬉しいです。
1985年のフランスでの放送音源とのことで、プログラムは、フォレ、ラヴェルのアンサンブル版歌曲集とシューベルトの「岩の上の羊飼い」を含む7曲です。

フォレの歌曲集『優れた歌(La bonne chanson)』は抜粋の7曲ですが、おそらくライヴでは全9曲披露されて、ラジオ番組の時間制約上第1曲、第8曲がカットされたのだろうと推測されます。

演奏形態は、フォレが歌+弦楽四重奏+ピアノ、ラヴェルが歌+フルート2+クラリネット2+弦楽四重奏+ピアノ、シューベルトは「岩の上の羊飼い」のみ歌+クラリネット+ピアノで他は歌+ピアノです。

アーメリングは1985年1月&9月にERATOレーベルにラヴェル歌曲集を録音しているのですが、その時の共演メンバーが今回の音源と同じなので、おそらくスタジオ録音と放送用録音を平行して行ったのではないかと推測されます。

そしてアーメリングの歌声、とても素晴らしかったです!相変わらずきめの細かい感触が彼女の歌から感じられます。言葉一つ一つを大切にしながら、フレーズの大きな流れも意識した至芸!
ピアノ、弦楽四重奏、管楽器とのアンサンブルも美しかったです。

それにしてもアーメリングは「岩の上の羊飼い」が好きだったようで、いろんな音源が発掘されていますね(日本では一度も披露されなかったのが意外です)。

An Elly Ameling Recital (France, 1985)

チャンネル名:kadoguy

フランス放送音源
1985年1月28日

エリー・アーメリング(S)
ルドルフ・ヤンセン(P)
ヴィオッティ四重奏団
フィリップ・ゴティエ(FL)
ジャン=ルイ・ボマディエ(FL)
ロラン・スィモンスィニ(CL)
ジャン=マルク・ヴォルタ(CL)

I. ガブリエル・フォレ:『優れた歌』Op. 61 (抜粋)
2. 曙の色がひろがり 0:00
3. 白い月 2:00
4. ぼくは不実な道を歩いていた 4:26
5. ほんとに、ぼくはこわいくらいだ 6:14
6. おまえがいなくなる前に 8:33
7. さて、それは或る明るい夏の日のことだ 10:56
9. 冬は終わった 13:24

II. モリス・ラヴェル:『3つのステファヌ・マラルメの詩』M. 64
溜息 16:27
叶わぬ望み 20:16
臀部より出でて,ひと跳びで 24:08

III. フランツ・シューベルト:
夕映えの中で, D. 799 26:58
月に寄せて, D. 193 31:12
ひそやかな恋, D. 922 34:30
乙女の嘆き, D. 191 38:30
ここにいたこと, D. 775 42:06
若い尼僧, D. 828 46:04

IV. フランツ・シューベルト: 岩の上の羊飼い, D. 965 50:49

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French radio broadcast
28 January 1985

Elly Ameling(S)
Rudolf Jansen(P)
Quatuor Viotti
(Philippe Goulut, violin; Mark Duprez, violin; Pierre Franck, viola; and Hugh Mackenzie, cello)
Philippe Gautier(FL)
Jean-Louis Beaumadier(FL)
Roland Simoncini(CL)
Jean-Marc Volta(CL)

I. Gabriel Fauré: "La bonne chanson", op. 61 (excerpts)
2. "Puisque l'aube grandit" 0:00
3. "La lune blanche luit dans les bois" 2:00
4. "J'allais par des chemins perfides" 4:26
5. "J'ai presque peur, en vérité" 6:14
6. "Avant que tu ne t'en ailles" 8:33
7. "Donc, ce sera par un clair jour d'été" 10:56
9. "L'hiver a cessé" 13:24

II. Maurice Ravel: "Trois Poèmes de Stéphane Mallarmé", M. 64
"Soupir" 16:27
"Placet futile" 20:16
"Surgi de la croupe et du bond" 24:08

III. Franz Schubert: Six Songs
"Im Abendrot", D. 799 26:58
"An den Mond", D. 193 31:12
"Heimliches Lieben", D. 922 34:30
"Des Mädchens Klage", D. 191 38:30
"Daß sie hier gewesen", D. 775 42:06
"Die junge Nonne", D. 828 46:04

IV. Franz Schubert: "Der Hirt auf dem Felsen", D. 965 50:49

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エリー・アーメリング他(Ameling, Watkinson, Meens, Holl, Jansen, Brautigam)/ブラームス:四重唱曲、二重唱曲他 初出音源(1983年1月14日, アムステルダム・コンセルトヘバウ(live)他)

●ブラームス/四重唱曲、二重唱曲
Elly Ameling; Brahms Quartets and Duets

00:00 Der Gang zum Liebchen (op 31/3)
02:59 Sehnsucht (op 112/1)
06:08 Abendlied (op 92/3)
09:39 Warum (op 92/4)
12:20 Der Abend (op 64/2)
16:56 Es rauschet das Wasser (op 28/3)(Watkinson, Holl, Jansen)
20:43 Vor der Tür (op 28/2)(Watkinson, Holl, Jansen)
22:48 Vergebliches Ständchen (op 84/4)(Ameling, Meens, Jansen)
24:37 Die Schwestern (op 61/1)(Ameling, Watkinson, Jansen)
27:12 Zigeunerlieder 5 "Brauner Bursche führt zum Tanze" (op 103/5)
30:29 Zigeunerlieder 7 "Kommt dir manchmal in den Sinn" (op 103/7)
31:09 Zigeunerlieder 6 "Röslein dreie in der Reihe blühn so rot" (op 103/6)
32:01 Wenn so lind dein Augen * (Liebesliederwalzer, op 52/8)
34:06 Ein kleiner. Hübscher Vogel * (Liebesliederwalzer, op 52/6)

Elly Ameling - Soprano
Carolyn Watkinson - Mezzo soprano
Hein Meens - Tenor
Robert Holl - Bass
Rudolf Jansen - Piano
Rudolf Jansen & Ronald Brautigam - Piano *

Live recording Concertgebouw, 14-01-1983

エリー・アーメリング(Elly Ameling)のブラームス重唱曲の録音といえば、80歳を記念した放送録音集"80 jaar"に1曲だけ「夕暮れ(Der Abend, Op. 64/2)」が収録されていました。
今回アーメリングの公式チャンネルで、なんと同じ日のライヴ音源が初めて公開されました!!!
これはもうアーメリングからのサプライズプレゼントですね!
『ジプシーの歌』抜粋や『愛の歌』抜粋をアーメリングの歌で聴けるとは思ってもいなかったので狂喜乱舞しました(本当は全曲が良かったのですが贅沢は言わないことにします)。
共演者はメゾソプラノのキャロリン・ワトキンソン、テノールのヘイン・メーンス、バスのロベルト・ホル、ピアノはルドルフ・ヤンセン、『愛の歌』のピアノ連弾のみロナルト・ブラウティハムが参加しています。
ブラームスの重唱曲は『ジプシーの歌』『愛の歌』『新しい愛の歌』以外の単独の作品はこれまであまり馴染みがなかったのですが、こうして聞いてみるとどれもとても魅力的ですね。独唱曲として歌われることの多い「甲斐なきセレナーデ」をソプラノとテノールの掛け合いで聴くとより臨場感があって面白かったです。「憧れ(Sehnsucht)」という曲も趣があってとても魅力的な作品でした。
アーメリングはいつもながらの美声がなんとも心地よかったですが、コミカルな曲(「姉妹(Die Schwestern)」等)で会場をざわつかせるところは流石です!どんな表情で歌っていたのか想像しながら聴いてみるのも楽しいと思います。それからメゾのワトキンソンの歌声はとても温かみがあり惹きつけられました。

●ドビュッシー/『ステファヌ・マラルメの3つの詩』(ため息;ささやかな願い;扇)
Debussy Mallarme

Trois Poémes de Stéphane Mallarmé - Claude Debussy (1862-1918)

00:05 Soupir
03:02 Placet futile
05:06 Éventail

Elly Ameling - Soprano
Dalton Baldwin - Piano

もう1つアーメリング公式チャンネルからアップされていたのは、ドビュッシーの『ステファヌ・マラルメの3つの詩』です。これはおそらくEMIのドビュッシー歌曲全集からの音源と思われます。楽譜が表示されるので、歌を勉強されている方にもお勧めです。最初の2曲はラヴェルも作曲しているので、比較するのも興味深いと思います(こちらのリンク先でアーメリング&ヤンセン他によるラヴェルの演奏が聴けます)。

●サリエリ、モーツァルト・アリア集&R.シュトラウス:『4つの最後の歌』
ELLY AMELING: Mozart Concert Arias and Strauss Four Last Songs

Live broadcasts of Dutch soprano ELLY AMELING.

0:00- SALIERI: La fiera di Venezia: "Non temer che d'altri"
4:05- MOZART: "Voi avete un cor fedele" K.217

Elly Ameling(S)
Mostly Mozart Festival Orchestra
Gerard Schwarz(C)
(1985)

------

12:18- STRAUSS: Four Last Songs
1. Frühling
2. September
3. Beim Schlafengehen
4. Im Abendrot

Rotterdam Philharmonic
Edo de Waart(C)
(1986)

上の2種類のライヴのうち、最初のサリエリとモーツァルトは以前別の方がアップした音源をご紹介したこちらの記事と同一音源ではないかと推測されます。

しかし!後半(12:18~)のエド・ドゥ・ヴァールト指揮ロッテルダム・フィルハーモニックとの『4つの最後の歌』は、ネット上で聴けるのは唯一の音源と思われます。
実はかなり昔にオランダのインターネットラジオ局Radio 4でアーメリングの特集が数回に分けて放送された際に、この音源の放送が予告されていたのですが、実際に放送されたのはサヴァリッシュ指揮コンセルトヘバウ管弦楽団との音源でした。
アップしていただいたこの音源、惜しむらくはおそらくテープの回転数が速くて、実際の音より高めなのが残念ですが、そこは想像力で補いながらこの貴重な音源を満喫したいと思います。

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クリスタ・ルートヴィヒ&ジェフリー・パーソンズ(Christa Ludwig and Geoffrey Parsons)/パリ・リサイタル(1977年11月9日, Salle Pleyel, Paris)

フランスのインターネットラジオ局francemusiqueに、クリスタ・ルートヴィヒ&ジェフリー・パーソンズの1977年11月9日、パリのサル・プレイエルでのライヴ音源がアップされていました!

https://www.francemusique.fr/emissions/les-tresors-de-france-musique/recital-de-christa-ludwig-a-la-salle-pleyel-une-archive-de-1977-95251

Christa Ludwig, mezzo-soprano
Geoffrey Parsons, piano
Enregistré le 9 novembre 1977, Salle Pleyel (Paris)

クリスタ・ルートヴィヒ(Christa Ludwig)(MS)
ジェフリー・パーソンズ(Geoffrey Parsons)(P)

シューベルト:
笑ったり泣いたり(Lachen und Weinen, D777)
悲しみ(Wehmut, D772)
ます(Die Forelle, D550)
死と乙女(Der Tod und das Mädchen, D531)
糸を紡ぐグレートヒェン(Gretchen am Spinnrade, D118)

ブラームス:
サッポー風頌歌(Sapphische Ode, Op. 94/4)
墓地で(Auf dem Kirchhofe, Op. 105/4)
セレナード(Ständchen, Op. 106/1)
娘の歌(Mädchenlied, Op. 106/5)
永遠の愛について(Von ewiger Liebe, Op. 43/1)

シューマン:
はすの花(Die Lotosblume, Op. 25/7)
私のばら(Meine Rose, Op. 90/2)
あなたは花のよう(Du bist wie eine Blume, Op. 25/24)
孤独な涙は何を望むのか(Was will die einsame Träne, Op. 25/21)
静かな涙(Stille Tränen, Op. 35/10)

ブラームス:歌曲集『ジプシーの歌(Zigeunerlieder, Op. 103)』

--------------

このライヴ音源は私にとっては初めて聴くもので、とても惹き込まれました。シューベルト、シューマン、ブラームスといった王道リートプログラムですが、彼女が歌うと人生の喜びのようなものが感じられます。

ルートヴィヒの素晴らしいレガート、豊麗な深い響き、直接的な感情表現などをたっぷり味わえるライヴでした。
彼女はどの曲も比較的たっぷりとしたテンポ設定で歌い進めていくのですが、以前ムーアが著書内で言っていたように「少しおそめのテンポは、彼女の豊かな声に、まさにぴったり」でした。

そしてジェフリー・パーソンズのピアノの素晴らしさ!パーソンズはテクニシャンだと思います。テクニック面での不安が全くない為、歌をしっかり支えつつピアノパートの音色や表現の魅力を存分に響かせます。

よろしければぜひ聞いてみてください!

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ヘルマン・プライ(Hermann Prey)来日公演リンク集:生誕92周年に寄せて

ヘルマン・プライ(Hermann Prey)が1929年7月11日に誕生して今日で92年が経ちました。
プライほど歌曲、オペラ、オペレッタ、ポピュラーソングを分け隔てなく愛情をこめて歌った歌手は稀ではないかと思います。
クラシックのファンだけでなくドイツのテレビ番組にも出演して大衆的な人気も獲得していたようです。
こういうタイプのアーティストは後にも先にも彼だけなのかもしれません。
日本には14回来てくれて、歌曲やアリア、時にはオペラを披露しました。
私は1984年の五反田簡易保険ホールでのシューベルトのコンサートではじめて生のプライを体験しました。
それ以来、来日するたびに聴きに行き、今となってはとても懐かしいです。

過去にプライの来日公演プログラムを記事にしましたので、目次として下記にリンクを貼っておきます。
皆さんの思い出をよみがえらせる助けになれば幸いです。

プライ日本公演曲目1961年(初来日)

プライ日本公演曲目1971年(第2回来日)

プライ日本公演曲目1973年(第3回来日)

プライ日本公演曲目1978年(第4回来日)

プライ日本公演曲目1980年(第5回来日)

プライ日本公演曲目1984年(第6回&第7回来日)

プライ日本公演曲目1988年(第8回来日)

プライ日本公演曲目1990年(第9回来日)

プライ日本公演曲目1993年(第10回来日)

プライ日本公演曲目1994年(第11回来日)

プライ日本公演曲目1995年(第12回来日)

プライ日本公演曲目1997年(第13回&第14回来日)

おまけとして、プライの3種類の"Ich liebe dich"を貼っておきます。異なる3人の作曲家の愛の表現をプライがどう表現しているかお楽しみください。

ベートーヴェン:優しい愛(きみを愛す)
Beethoven: Zärtliche Liebe (Ich liebe dich)

グリーグ:きみを愛す:ヘルベルト・ハイネマン(P)
Grieg: Ich liebe dich: Herbert Heinemann(P)

R.シュトラウス:きみを愛す:ヴォルフガング・サヴァリシュ(P)
Richard Strauss: Ich liebe dich, Op.37-2: Wolfgang Sawallisch(P)

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ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ1963年~1992年来日公演記録(Dietrich Fischer-Dieskau in Japan)

不世出の大バリトン、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau)の誕生日(5月28日)に記事が書けなかったので、遅ればせながら彼の96回目の生誕記念日(2021年現在)を祝して、過去に書いたF=ディースカウの来日公演記録の目次(リンク集)を今日アップします。
1992年大晦日をもって歌手としての活動を終えた彼ですが、その後指揮者として来日予定だったところまでは記憶しているのですが、実際に来日したかどうか未確認です。
従って、下記の目次は歌手としてのF=ディースカウの来日公演全記録ということになります。
今思えば、彼ほどの歌手が数年おきに来日してくれたとは日本の招聘元に感謝しないといけませんね。もちろんF=ディースカウ本人にも感謝です。

1.フィッシャー=ディースカウ日本公演曲目1963年(初来日)

2.フィッシャー=ディースカウ日本公演曲目1966年(第2回来日)

3.フィッシャー=ディースカウ日本公演曲目1970年(第3回来日)

4.フィッシャー=ディースカウ日本公演曲目1974年(第4回来日)

5.フィッシャー=ディースカウ日本公演曲目1977年(第5回来日)

6.フィッシャー=ディースカウ日本公演曲目1979年(第6回来日)

7.フィッシャー=ディースカウ日本公演曲目1981年(第7回来日)

8.フィッシャー=ディースカウ日本公演曲目1983年(第8回来日)

9.フィッシャー=ディースカウ日本公演曲目1987年(第9回来日)

10.フィッシャー=ディースカウ日本公演曲目1989年(第10回来日)

11.フィッシャー=ディースカウ日本公演曲目1992年(第11回来日)

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2020年に聴いたコンサート(江崎皓介ピアノリサイタル、高橋健介 Kotoba to Oto Vol. 1)

2020年は某騒動のせいで軒並みイベントは中止や延期に追い込まれてしまいましたが、そんな中実施まで漕ぎつけたコンサートもありました。
アーティストやスタッフの方々は想像できないほどのご苦労があったことと思います。

歌劇『ヴォルフ イタリア歌曲集』の公演についてはすでに投稿しました。

他に2つ素晴らしいコンサートを10月に聴いてきました。

実は最近ツイッターのアカウントを作り、そちらには感想を投稿していたのですが、やはりブログの方が私には向いていることが分かり、今後はツイッターのアカウントは情報収集用に残し、発信はこちらのブログで続けていこうと思います。

●江崎皓介(えざきこうすけ)ピアノリサイタル

http://www.piano.or.jp/concert/20084290

2020.10.10(土)15:00-16:30 カワイ川口リリアサロン

江崎皓介(えざきこうすけ)(ピアノ)

シューマン:ダヴィット同盟舞曲集Op. 6

(休憩15分)

ショパン:幻想曲Op. 49

ベートーヴェン:ピアノソナタ第21番「ワルトシュタイン」Op. 53

アンコール:
ドビュッシー:アラベスク第1番

-----

江崎皓介ピアノリサイタルを聴いてきました。いやぁ良かったです!
今年初の生音。動画も素晴らしいけれど、目の前で奏でられる音を全身に浴びる感覚!
やはりピアニストって凄いと改めて思いました!
シューマン、ショパン、ベートーヴェンと大作ばかりで聴き応えありました。

川口リリアに行く時はいつも音楽ホールの公演ばかりで、カワイのお店の奥にこんなサロン風のスペースがあるとは知りませんでした。

江崎さんの4人の作曲家(アンコールも含めて)の弾き分けが素晴らしく、タッチの変幻自在さに聞き入りました!

「ワルトシュタイン」はグリッサンドよりもオクターブの連続下行の方が指への負担は別にして難しそうな気がしますが、江崎さんのテクニックの素晴らしさもあって安心して身を委ねて聴けました。

それにしても年々シューマンが好きになっていく私です。
「ダヴィット同盟」最高ですね!

●高橋健介/Kotoba to Oto Vol. 1

https://kensuketakahashi-blog.com/kotoba-to-oto-vol-1-3/commentary/

2020.10.11(日)13:30-15:20 紀尾井町サロンホール

高橋健介(ピアノ)
水野沙六花(ピアノ)
澤原行正(テノール)
榎本郁(ヴァイオリン)

シューマン:《詩人の恋》 作品48 (澤原、高橋)

(休憩)

バーンスタイン :《キャンディード》 序曲 (水野、高橋)

サラサーテ:序奏とタランテラ  作品43 (榎本、高橋)

ドヴォルザーク:《スラヴ舞曲集》より  作品72-2 、作品46-5 (水野、高橋)

クライスラー:ドヴォルザークの主題によるスラヴ幻想曲 (榎本、高橋)

ブラームス(ハイフェッツ編):メロディのように  作品105-1 (榎本、高橋)

バッハ(高橋編):《神の時こそいと良き時》BWV106より第1曲〈ソナティナータ〉 (水野、高橋)
バッハ(高橋編):《楽しき狩こそわが悦び》BWV208より第9曲 アリア〈羊は安らかに草を食み〉 (水野、高橋)

クライスラー:愛の悲しみ (榎本、高橋)

モンティ:チャールダーシュ (榎本、高橋)

アンコール:

ラフマニノフ:ここは素晴らしい場所Op. 21/7 (高橋独奏)

グノー(バッハ原曲):アヴェ・マリア (4人全員)

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高橋健介さんが企画されたコンサートを聴いてきました。
「演奏(歌手やヴァイオリニストとの共演、ピアニストとの連弾、ソロ)、編曲、トーク、企画、プログラムの記述」等を一人でこなされたマルチな才能をまざまざと感じた時間でした。

共演者は皆高橋さんと関わりの深い方ばかりで、特に後半はトークも加わりなごやかな空気でした。もちろん演奏は真剣そのものでした。

水野沙六花さん(ピアノ):高橋さん同様歌ものの演奏が多いとのこと。明瞭なタッチで、見ていて楽しくなるような演奏でした!高橋さんとの息もさすがにぴったり!今回の連弾ではすべて水野さんがプリモ(高音パート)でした。

澤原行正さん(テノール):高橋さんと大学の同級生とのこと。美声でした!絵に書いたような貴公子然としたオーラを放っていて『詩人の恋』の主人公の苦悩を第三者ではなくまさに一人称の歌として表現していました。”mein Sehnen und Verlangen(ぼくの憧れと望み)”に満ちた歌だったと感じました。

榎本郁さん(ヴァイオリン):高橋さんの高校の同級生で、当時から音楽の話をしていたそう。学生時代の仲間とプロとして同じステージに立つというのは感慨深いことだろうなぁと想像します。テクニックが凄かったです!でも歌の編曲等での美しいフレーズにこそ榎本さんの良さがあると感じました。

高橋健介さん(ピアノ):かつてジェラルド・ムーアは文筆活動や講演、録音等を通して伴奏者の仕事や心構え等を幅広くシェアしましたが、高橋さんは現代のツール(SNSや名をなした人の著書等)を活用して、演奏家、聴衆の両者に惜しみなくノウハウをシェアしています。
その多方面の才能が今回のコンサートに結実したと言えるのではないでしょうか。
今回のKotoba to Oto というタイトルに込められた由来等も話されましたが、様々なツールを一つのコンサートに集約するというアイディアは新しいと思います!
そして高橋さんの演奏ですが、とても丁寧で細やかでした!

今回サポートチケットを購入した人には特典映像のURLが送られてくるのですが、『詩人の恋』の某曲を澤原さんとリハーサルしているシーンで、二人が試行錯誤している場面がありました。完成途上の段階の演奏をシェアするというのは勇気のいることだと思いますが、今回の本番で見事に完成していました。

今日『詩人の恋』を聴いていて感じたのですが、高橋さんの演奏は常にコントロールが行き届いていながら、血が通った表現でした。そしてそれはかつて実演で聴いた小林道夫さん(高橋さんの師)から感じたものを思い出させるものでした。

最後にもう1点。
今回高橋さんは譜めくりを自分でしたのですが、めくり方やタイミングが素晴らしかったです!
外来の有名なピアニストでも静かな余韻の中派手な音を立てて譜めくりする場面をこれまで何度も見てきましたが、高橋さんは必要なら次の曲で歌い始めてからめくったりもしていました。

Bravi!!!

Ezaki-kousuke-20201010 ←江崎皓介ピアノリサイタルちらし

Kawai-kawaguchi-lilia-salon ←カワイ川口リリアサロン

Kioicho-salon-hall-1 ←紀尾井町サロンホール

Kioicho-salon-hall-2 ←紀尾井町サロンホール

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