ヴォルフ:太陽が輝くのが真実であるように(Wolf: So wahr die Sonne scheinet)

So wahr die Sonne scheinet
 太陽が輝くのが真実であるように

So wahr die Sonne scheinet,
So wahr die Wolke weinet,
So wahr [das Feuer]1 sprüht,
So wahr der Frühling blüht;
So wahr hab' ich empfunden,
Wie ich dich halt' umwunden:
Du liebst mich, wie ich dich,
Dich lieb' ich, wie du mich.
 太陽が輝くのが真実であるように
 雲が泣くのが真実であるように
 火が飛び散るのが真実であるように
 春が花盛りなのが真実であるように
 僕が巻き付けられて君を離さないように感じたのも
 真実なのだ。
 僕が君を愛するように、君も僕を愛する。
 君が僕を愛するように、君のことを僕も愛する。

Die Sonne mag verscheinen,
Die Wolke nicht mehr weinen,
[Das Feuer]1 mag versprüh'n,
Der Frühling [mag verblüh'n;]2
Wir wollen uns umwinden
Und immer so empfinden:
Du liebst mich, wie ich dich,
Dich lieb' ich, wie du mich.
 太陽は輝かないかもしれず
 雲はもう泣かないかもしれず
 火は飛び散らないかもしれず
 春は花が散ってしまうかもしれない。
 僕らは巻き付いて
 いつもこう感じていたい。
 僕が君を愛するように、君も僕を愛する。
 君が僕を愛するように、君のことを僕も愛する。

1 Rückert: die Flamme
2 Rückert: nicht mehr blühn!

詩:Friedrich Rückert (1788-1866), no title, appears in Lyrische Gedichte, in 3. Liebesfrühling, in 1. Erster Strauß. Erwacht, no. 13
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "So wahr die Sonne scheinet", 1878

作曲:1878年2月8日(金), Wien

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ヴォルフは1878年2月8日にリュッケルトのテキストにはじめて作曲します。その詩「太陽が輝くのが真実であるように(So wahr die Sonne scheinet)」には、シューマンがすでに二重唱曲、四重唱曲として2回作曲していました。2年前にはヴォルフはハイネの詩によるシューマンの歌曲と同じテキストに作曲しており、シューマンの歌曲に挑戦しようという野心があったのかもしれません。ヴォルフはリュッケルトの詩による歌曲を同じ1878年に2曲作曲します(うち1曲は断片)が、その後、リュッケルトの詩に作曲することはありませんでした。また、シューベルトの5つのリュッケルト歌曲とテキストの選択が全く重ならないのは興味深いところです。

このヴォルフの歌曲は、2節の有節形式で作曲されています。十六分音符のピアノにのって軽快に進み、あっという間に終わってしまいます。歌声部は最初のうち下行するフレーズと上行するフレーズが交互にあらわれ、途中から上下する旋律になり、歌い終わりは主音にならないまま、ピアノ後奏が引き継いで主和音で締めくくります。アンコールピースにうってつけの魅力的な作品だと思いますが、今のところ正規のスタジオ録音は1種類(ドゥ・ラン&カイノホによるStone Records盤)しかないようです。

2/4拍子
変イ長調(As-dur)
Etwas lebhaft (いくぶん生き生きと)

●[Wolf: So wahr die Sonne scheinet] ("So wahr die Sonne scheinet"は55:55まで進めてからご覧ください)
WolfZWölf vol 10「初期歌曲集」
林田明子(S), 松川儒(P)
Akiko Hayashida(S), Manabu Matsukawa(P)

Channel名:tan t.(オリジナルのリンク先はこちら)
ヴォルフ歌曲全曲演奏会「シリーズⅩ」2006年9月26日 浜離宮朝日ホール

●[Hugo Wolf:]So wahr die Sonne scheinet
クイレイン・ドゥ・ラン(BR), ショルト・カイノホ(P)
Quirijn de Lang(BR), Sholto Kynoch(P)

Channel名:Release - Topic(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:11 October 2011, Holywell Music Room, Oxford, U.K.

●【参考】ローベルト・シューマン:太陽が輝くのが真実であるように Op. 37/12(『愛の春からの詩』より)(二重唱曲)
[Robert Schumann:] Duette: So wahr die Sonne scheinet op. 37/12
ユリア・ヴァラディ(S), ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), コルト・ガーベン(P)
Julia Varady(S), Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Cord Garben(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
録音:8 December 1977, Haus des Rundfunks, Berlin

●【参考】ローベルト・シューマン:太陽が輝くのが真実であるように Op. 101/8(『ミンネシュピール(愛の戯れ)』より)(四重唱曲)
[Robert Schumann:] Minnespiel, Op. 101: No. 8, Quartett. "So wahr die Sonne scheinet"
エッダ・モーザー(S), ハンナ・シュヴァルツ(CA), ニコライ・ゲッダ(T), ヴァルター・ベリー(BS), エリク・ヴェルバ(P)
Edda Moser(S), Hanna Schwarz(CA), Nicolai Gedda(T), Walter Berry(BS), Erik Werba(P)

Channel名:ヴァルター・ベリー - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

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(参考)

The LiederNet Archive

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder III (1875-1878)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

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エリー・アーメリング(Elly Ameling)の「Musings on Music」シリーズ:シューマン「献呈」(Robert Schumann: Widmung, Op. 25, No. 1)

●Widmung - Robert Schumann - Musings on Music by Elly Ameling

Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

0:47-3:03
Robert Schumann: Widmung, Op. 25, No. 1
Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano
Recorded: 3 February 1983, Muziekcentrum Vredenburg, Utrecht
AVRO Radio

18:43-21:04
Robert Schumann: Widmung, Op. 25, No. 1
Elly Ameling, soprano
Jörg Demus, Hammerflügel (Conrad Graf Wien 1839)
Recorded: 1967, Cedernsaal des Fuggerschlosses, Kirchheim
Deutsche Harmonia Mundi

Widmung, Op. 25, No. 1 (from "Myrten")
 献呈 (歌曲集『ミルテ』より第1曲)

Du meine Seele, du mein Herz,
Du meine Wonn', o du mein Schmerz,
Du meine Welt, in der ich lebe,
Mein Himmel du, darein ich schwebe,
O du mein Grab, in das hinab
Ich ewig meinen Kummer gab!
Du bist die Ruh, du bist der Frieden,
Du bist [vom Himmel]1 mir beschieden.
Daß du mich liebst, macht mich mir werth,
Dein Blick hat mich vor mir verklärt,
Du hebst mich liebend über mich,
Mein guter Geist, mein beßres Ich!
 あなた 我が魂よ、我が心よ、
 我が喜びよ、おお 我が苦しみよ、
 私が生きている我が世界よ、
 私がとどまっている我が天空よ、
 おお 我が墓よ、その中に
 私は永遠に我が苦悩を閉じ込めました!
 あなたは安らぎ、あなたは平安、
 あなたは天空から私に授けられた方。
 あなたが私を愛してくださると私が価値ある存在になります、
 あなたの眼差しが私を輝かせてくれました、
 あなたは愛情をもって私を上へ高めてくれます、
 我が良き精神よ、我がより良き自分よ!

1 Rückert: "der Himmel,"

詩:Friedrich Rückert (1788-1866), no title, appears in Lyrische Gedichte, in 3. Liebesfrühling, in 1. Erster Strauß. Erwacht, no. 3
曲:Robert Schumann (1810-1856), "Widmung", op. 25 no. 1 (1840), published 1840 [ voice and piano ], from Myrten, no. 1, Leipzig, Kistner

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(参考)

Widmung - Robert Schumann - Musings on Music by Elly Ameling (YouTube)

The LiederNet Archive

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レーヴェ「牧師の娘(Carl Loewe: Das Pfarrjüngferchen, Op. 62, Heft 2, No. 4)」を聴く

Das Pfarrjüngferchen, Op. 62, Heft 2, No. 4
 牧師の娘

1.
Herr Pfarrer hat zwei Fräulchen,
Die gar zu niedlich sind,
Sie haben kleine Mäulchen
Und Schühlein wie ein Kind
Und kleine flinke Händchen,
Zu knöppeln (klöppeln?) Spitz' und Käntchen,
Zu wickeln runde Knäulchen,
Zu drehen Rädchen wie der Wind.
 牧師様には2人の娘がいて、
 2人はとてもかわいらしく
 お口は小さく
 靴は子供のようで
 お手々は小さく器用で
 縁(ふち)をレース編みしたり
 糸をまるめて玉にしたり
 風のように糸車を回したりする。

2.
Im selbstgemachten Schöpfchen,
Im Lätzchen selbstgestickt,
Im selbstgeflochtnen Zöpfchen,
Im Strümpfchen selbstgestrickt,
Im selbstgebleichten Schürzchen,
Sie heben rußge Stürzchen,
Und rühren um im Töpfchen
Den Kohl, vom Gärtchen selbstbeschickt.
 自分で髪を整え
 自分で前掛けに刺繍をし
 自分でお下げ髪に編み
 自分で靴下に刺繍をし
 自分で前掛けを漂白して、
 二人は煤けた蓋を取り
 鍋の中の、
 自分でお庭から取ってきたキャベツをかき混ぜる。

3.
Am Sonntag, wenn zu lange
Der Vater läßt den Sand
Der Predigt rinnen, bange
Wird ihrer fleißgen Hand,
Verborgen unterm Stühlchen,
Sie halten da ein Spülchen,
Ein Künkelchen im Gange,
Man sieht es nicht im Gitterstand.
 日曜日に、あまりにも長いこと
 父が砂のように説教を
 垂れると
 不安になった二人の勤勉な手は
 椅子の下でこっそり
 糸巻をつかみ
 糸巻ざおを動かす。
 格子の囲いで見られることはない。

4.(1行目はレーヴェの付加。他の行は第1連の繰り返し)
Das sind des Pfarrers Fräulchen,
Die gar zu niedlich sind,
Sie haben kleine Mäulchen
Und Schühlein wie ein Kind
Und kleine flinke Händchen,
Zu knöppeln Spitz' und Käntchen,
Zu wickeln runde Knäulchen,
Zu drehen Rädchen wie der Wind.
 それが牧師の娘さんたち、
 2人はとてもかわいらしく
 お口は小さく
 靴は子供のようで
 お手々は小さく器用で
 縁(ふち)をレース編みしたり
 糸をまるめて玉にしたり
 風のように糸車を回したりする。

詩:Friedrich Rückert (1788-1866), "Die Pfarrjüngferchen", appears in Haus- und Jahrslieder, in 3. Des Dorfamtmannsohnes Kinderjahre [formerly, "Erinnerungen aus den Kinderjahren eines Dorfamtmannsohns"] 
曲:Carl Loewe (1796-1869), "Die Pfarrjüngferchen", op. 62, Heft 2 no. 4 (1837), stanzas 1-3 [ voice and piano ]

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フリードリヒ・リュッケルトの詩による「牧師の娘(Das Pfarrjüngferchen, Op. 62, Heft 2, No. 4)」はカール・レーヴェによって愛らしいリートとして1837年10月に作曲されました。私がこの曲をはじめて知ったのはファスベンダーとガルベンによるDeutsche Grammophonのレーヴェ歌曲集のCDでした。一回聞いただけで気に入り、一体何度聞いただろうというぐらい繰り返し聞いたものでした。

リュッケルトの原詩にはもともとレーヴェが作曲しなかった第4連があり、娘たちが何年も料理をしているうちにしわくちゃになってしまったので男たちの意欲が失せて独身のままだったという、今ならアウトな内容になっています。レーヴェがこの第4連を省略して、第1連を繰り返す形(1行目だけレーヴェによる改変がありますが)にしたのは妥当な判断だったように思います。

レーヴェは、第3連のみ若干の変化を加えた有節形式で作曲しました(A-A-A'-A)。第3連は説教する父親の目を盗んで編み物をするところで、途中からこれまでのニ長調の同主調にあたるニ短調に変わります。

レーヴェの歌曲の特徴の一つは歌声部にメリスマが多用されることだと思います。この曲でもそれほど多くはありませんが、メリスマがあります。弾き語りをするレーヴェにとって、装飾的な歌の技術に自信があったのでしょうか。

また、ピアノの間奏や後奏が糸車をくるくる回している様を思わせ、とても魅力的です。楽譜には特に指示はありませんが、コルト・ガルベンのようにアッチェレランドして速めていくとお茶目な感じが出て魅力的でした。

1_20240727183101 

2_20240727183101

C (4/4拍子)
ニ長調(D-dur)
Allegro grazioso

●ブリギッテ・ファスベンダー(MS), コルト・ガルベン(P)
Brigitte Fassbaender(MS), Cord Garben(P)

ファスベンダーとガルベンがDGに録音したレーヴェ歌曲集のCD(1987年10月ベルリン録音)によって、バラーデだけではないレーヴェのリートの魅力に開眼しました。このCDで解説を担当されている喜多尾道冬氏は日頃から歌曲を歌うファスベンダーを非常に高く評価していて、「F=ディースカウとならぶ大リート歌手」と言い切っておられるのが清々しいです。ピアノのガルベンは間奏や後奏をアッチェレランド気味に速めていく箇所など表現力が素晴らしいです。

●ガブリエレ・ロスマニト(S), コルト・ガルベン(P)
Gabriele Rossmanith(S), Cord Garben(P)

コルト・ガルベンによるcpoレーベルへのレーヴェ歌曲全集第4巻に収録されています。ロスマニトの清楚な美声で聞くと、テキストで歌われている娘さんたちのイメージが浮かびます。

●ルドルフ・ボッケルマン(BR), ミヒャエル・ラウハイゼン(P)
Rudolf Bockelmann(BR), Michael Raucheisen(P)

1943年2月5日録音。ピアニストのラウハイゼンがドイツリートの集大成を録音するというプロジェクトを進める中、戦争で中断を余儀なくされますが、レーヴェの作品についてはかなり多くの録音が残されました。この録音はその中の一つと思われますが、ボッケルマンのとぼけたユーモラスな歌唱が楽しいです。後奏の最後にボッケルマンがテクスト最後の"wie der Wind(風のように)"を追加して歌っています。

●エンゲルベルト・クッチェラ(BS), グレアム・ジョンソン(P)
Engelbert Kutschera(BS), Graham Johnson(P)

この曲は女声歌手しか歌わないというイメージをこれまで勝手に持っていたのですが、男声の低声歌手が歌うことでユーモラスな雰囲気が強まってなかなかいいですね。

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(参考)

The LiederNet Archive

IMSLP ("Das Pfarrjüngferchen"はp.84)

フリードリヒ・リュッケルト(Wikipedia:日本語)

Friedrich Rückert (Wikipedia:独語)

F. Rückert's gesammelte poetische Werke. [Edited by H. Rückert.], 第 1 巻(P.219)

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