ドビュッシー没後100年に寄せて

ドビュッシー(Claude Achille Debussy, 1862年8月22日 - 1918年3月25日)の没後100年である2018年があと二日で終わってしまうので、ぎりぎりで投稿します。
彼の歌曲はフランス・メロディーの歴史で忘れることの出来ない高峰です。
どれか気になる曲を聴いてみてください。
ここでは私の好きな曲を中心に選びましたが、この他にも優れた歌曲は沢山あります。
ドビュッシーの歌曲対訳本も出版されていますので、興味のある方は併せてチェックしてみてはいかがでしょうか。

マンドリン
Mandoline, L. 29

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P)

美しい夕暮れ
Beau Soir, L.6

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P)

美しい夕暮れ
Beau Soir, L.6

Barbra Streisand(Vocal), Columbia Symphony Orchestra, Claus Ogerman

「艶なる宴 第1集」(ひそやかに、操り人形、月の光)
Fêtes galantes 1
1. En sourdine
2. Fantoches
3. Clair de lune

Maggie Teyte(S), Alfred Cortot(P)

「忘れられた歌」(それは物憂い恍惚、わが心に涙降る、木々の影、木馬、グリーン、スプリーン)
Ariettes oubliées
1. C'est l'extase langoureuse
2. Il pleure dans mon cœur
3. L'ombre des arbres
4. Chevaux de bois
5. Green
6. Spleen

Suzanne Danco(S), Guido Agosti(P) 1951

「3つのビリティスの歌」(パンの笛、髪、ナイヤードの墓)
Trois Chansons de Bilitis
1. La Flûte de Pan
2. La Chevelure
3. Le Tombeau des Naïades

Régine Crespin(S), John Wustman(P) 1967

パリ女のバラード
Ballade des femmes de Paris

François Le Roux(BR), Noël Lee(P)

【おまけ】ピアノ曲「月の光(Clair de lune)」(「ベルガマスク組曲(Suite bergamasque, L. 75)」より第3曲)

レナード・ホカンソン(Leonard Hokanson)(P)
一般のソロピアニストのような涼し気で光沢きらきらというよりも、より温かみのある音色がホカンソンらしく感じられます。

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ドビュッシー「もう家のない子供たちのクリスマス(Noël des enfants qui n'ont plus de maison)」

ドビュッシーの没後100年に当たる今年(2018年)、優れた歌曲を多く書いた彼の作品をいくつか記事にしようかと思ったのですが、せっかく12月の暮れですので、彼の自作のテキストによるクリスマスに因んだ歌曲を取り上げたいと思います。

神聖なクリスマスそのものを美しい音楽とともに堪能するのは素晴らしいことです。
そういう時期にこの曲を紹介するのは若干気が引けたのですが、クリスマスをこのテキストのように過ごす子供たちがいなくなることを願いながらここで取り上げたいと思います。

このドビュッシーのクリスマス歌曲は、戦争ですべてを失った子供の言葉が歌われます。
第一次大戦でドイツ軍によって多くの犠牲者を出したフランスの悲しみ、怒り、といった感情をドビュッシーが弱者である子供の視点で歌わせることで、より一層戦争の理不尽さを浮き立たせているように思います。

「もう家のない子供たちのクリスマス(Noël des enfants qui n'ont plus de maison)」という曲です。
私はフランス語は出来ないので、下記のリンクから「詩と音楽」の藤井さんの訳を御覧ください。

  「詩と音楽」の藤井宏行さんの訳

藤井さんが解説で書かれていることで印象的なのが、「この詩に歌われているような憎しみの心が子供の心にも深く刻み込まれ、そして争いの歴史が永遠に繰り返される」という部分です。
思わずはっとしました。
ただ悲惨で辛いというだけでなく、心の傷を負った子供たちが憎しみという感情をもったまま次の悲劇を繰り返すかもしれないのです。
ドビュッシーのテキストの最後は「フランスの子供たちに勝利を与えてください」という言葉で締めくくられます。
敵国が負けることを望むということは、次の悲劇を生み出す感情がすでに芽生えているということでもあり、純粋な子供が歌うことで肌寒い気持ちにさせられます。

そういう悲惨な歴史の繰り返しが少しでも世の中から消えてほしいという思いを胸にこの歌曲に接してみたいと思います。

エリー・アーメリング(S) & ドルトン・ボールドウィン(P)
Elly Ameling(S) & Dalton Baldwin(P)

アーメリングの澄んだ声質が生かされた歌唱です。過剰になりすぎない程度に子供になりきって歌っているように思えます。楽譜も表示されているのがありがたいです。

Petits Chanteurs de Paris

1985年の少年たちの合唱です。歌曲とほぼ同じですが、少年が歌うことで、よりリアルに胸に迫ってきます。

ヴォーカロイド(さとうささら)

最近のヴォーカロイドは本当に優れていると思います。本来感情のないはずのヴォーカロイドが言葉にしっかり息吹を吹き込んでいるのは驚きです。日本語対訳も付いていてアップされた方のお仕事ぶりに感謝したいです。

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