新国立劇場バレエ団/パゴダの王子(2014年6月14日 新国立劇場 オペラパレス)

パゴダの王子

2014年6月14日(土)14:00 新国立劇場 オペラパレス
(第1幕40分-休憩25分-第2幕45分-休憩25分-第3幕40分)

さくら姫:奥田 花純
王子:奥村 康祐
皇后エピーヌ:長田 佳世
皇帝:山本 隆之
北の王:江本 拓
東の王:古川 和則
西の王:マイレン・トレウバエフ
南の王:貝川 鐵夫
道化:福田 圭吾

新国立劇場バレエ団

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:ポール・マーフィー

音楽:ベンジャミン・ブリテン
振付:デヴィッド・ビントレー
装置・衣装:レイ・スミス
照明:沢田祐二

芸術監督:デヴィッド・ビントレー

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新国立劇場の芸術監督、デヴィッド・ビントレーにとって任期最後の上演となった「パゴダの王子」を見た。
音楽はベンジャミン・ブリテン。
前回は2011年秋の上演だったので3年ぶりだが、各幕がコンパクトで分かりやすい筋は相変わらず面白い。
ビントレーは舞台を日本に移し、衣装も日本を意識したものとなっていた為、舞台装置やコールドバレエの所作など美しい。

今回初主役コンビの奥田花純と奥村康祐のフレッシュで明るい演技も素晴らしい。
東西南北の王がその個性的なコスチュームも含めてなかなか活躍してくれて面白い。
第3幕は早々と勧善懲悪の方が付き、後は主役たちのバレエ大会となるので、ここからは純粋に踊りの華やかさを楽しんだ。

久しぶりの山本隆之が演じた皇帝の悲哀のこもった演技が素晴らしかった。

ビントレーが監督を離れても、新国立劇場のレパートリーとして数年置きに繰り返し上演してもいいのではないだろうか。
初心者でも十分楽しめる(タツノオトシゴやタコなどのキャラクターが登場するので子供にも楽しめそう)ストーリーは貴重なレパートリーではないか。

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新国立劇場バレエ団/ファスター[日本初演]、カルミナ・ブラーナ(2014年4月19&26日 新国立劇場 オペラパレス)

ファスター[日本初演]/カルミナ・ブラーナ

2014年4月19日(土)18:00 新国立劇場 オペラパレス
2014年4月26日(土)14:00 新国立劇場 オペラパレス
(40分-休憩25分-65分)

「ファスター」

4月19日(土)
闘う:小野絢子、福岡雄大
投げる:福田圭吾、米沢唯、寺田亜沙子
跳ぶ:本島美和、菅野英男、奥村康祐
チームA:五月女遥、石山沙央理、盆子原美奈、広瀬碧
チームB:髙橋一輝、小野寺雄、宇賀大将、野崎哲也
シンクロ:今村美由起、若生愛、川口藍、原田舞子
マラソン:五月女遥 ほか全員

4月26日(土)
闘う:奥田花純、タイロン・シングルトン(バーミンガム・ロイヤル・バレエ)
投げる:八幡顕光、堀口純、丸尾孝子
跳ぶ:長田佳世、小口邦明、輪島拓也
チームA:竹田仁美、石山沙央理、盆子原美奈、広瀬碧
チームB:髙橋一輝、小野寺雄、宇賀大将、野崎哲也
シンクロ:今村美由起、若生愛、川口藍、原田舞子
マラソン:竹田仁美 ほか全員

「カルミナ・ブラーナ」

4月19日(土)
運命の女神フォルトゥナ:湯川麻美子
神学生1:菅野英男
神学生2:八幡顕光
神学生3:タイロン・シングルトン(バーミンガム・ロイヤル・バレエ)
恋する女:さいとう美帆
ローストスワン:長田佳世

4月26日(土)
運命の女神フォルトゥナ:米沢唯
神学生1:奥村康祐
神学生2:福田圭吾
神学生3:福岡雄大
恋する女:小野絢子
ローストスワン:本島美和

芸術監督・振付:デヴィッド・ビントレー
Artistic Director / Choreographer : David Bintley

「ファスター」
音楽:マシュー・ハインドソン
Music : Matthew Hindson
衣裳:ベックス・アンドリュース
Costumes : Becs Andrews
照明:ピーター・マンフォード
Lighting : Peter Mumford

「カルミナ・ブラーナ」
音楽:カール・オルフ
Music : Carl Orff
装置・衣裳:フィリップ・プロウズ
Designs : Philip Prowse
照明:ピーター・マンフォード
Lighting : Peter Mumford

ソリスト歌手:
SoloSingers
安井陽子(ソプラノ)
Yasui Yoko
高橋淳(テノール)
Takahashi Jun
萩原潤(バリトン)
Hagiwara Jun
(『カルミナ・ブラーナ』)

合唱:新国立劇場合唱団(『カルミナ・ブラーナ』)
Chorus : New National Theatre Chorus

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
Orchestra : Tokyo Philharmonic Orchestra
指揮:ポール・マーフィー
Conductor : Paul Murphy

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新国立劇場バレエ団の「カルミナ・ブラーナ」ほかを2回にわたり見てきた。
カール・オルフの作品「カルミナ・ブラーナ」によるバレエは今期でバレエ団の芸術監督を離れるデヴィッド・ビントレーの振付作品で、再演である。
一緒に上演されるのが2012年のロンドンオリンピックを祝して振付られた「ファスター」で、今回が日本初演となる。

まずは40分ほどの作品「ファスター」である。
様々なアスリートが登場して、それぞれの競技をスピーディーに演じていく。
照明も競技ごとに工夫されている。
そして、大詰めは全員がマラソンランナーとなり(着替えが忙しかっただろう)、マスゲームのように大勢で動いたり、ばらばらに動いたり変化を付けて見るものを楽しませる。
時に準備運動のような所作も見られ、競歩の人がにこやかに横切っていくなど、ビントレーのユーモアが感じられる。
中ほどで「闘う」2人がゆるやかに舞う場面があるほかはほぼリズミカルで急速な場面の連続で、一糸みだれず音楽にのった演技はバレエ団の高い技術と訓練の賜物だろう。
それにしてもダンサーたちはステージ全体をぐるぐる走りまくる。
見ている方は楽しいが、きっと演じている人たちは大変だろう。
だが、ビントレーが去った後も再演を重ねてほしいものである。

そして休憩後は目当ての「カルミナ・ブラーナ」である。
前回「カルミナ・ブラーナ」を鑑賞したのが2010年5月、そして、新国立劇場バレエ団をはじめて鑑賞したのもその時だったので、懐かしさを感じた。

「カルミナ・ブラーナ」の内容については前回の感想文をご覧ください。
 こちら

歌手、合唱団、オーケストラ、バレエ団、それぞれが持てる力を出し切って、壮大だがしゃれたバレエをつくりあげていたことにまず感銘を受ける。
振付師としてのデヴィッド・ビントレーの代表作の一つと言ってもいいだろうし、運命の女神役の湯川麻美子(4年前も演じていた)にとっても代表的な役と言えるのではないか。
ビントレー自身が語っているところでは、最初日本でこの作品を上演することになった際、イギリスの文化が盛り込まれた振付に対して理解されるか不安があったという。
だが、実際そのネタもとを知らなくても充分にそのメッセージとストーリーが伝わってくる普遍性があると感じた。
バレエでは3人の神学生が3つのパートそれぞれで若さを謳歌し、酒、喧嘩、女といった甘酸っぱい思いを体験する。
最後に神学生が運命の女神フォルトゥナに足蹴にされてすごすごと引っ込んでいくところは、運命に逆らえない人生を感じさせる。

神学生いずれのキャストも見事だったが、やはり主役は運命の女神だろう。
今回初役だった米沢唯は演技自体は見事だと思ったが、やはりこの非情な女神を演じるには可愛らし過ぎる気がする。
湯川さんのキレとオーラは誰にも真似できない境地に達していた。

オケも合唱も大健闘。
そして独唱者3人も素晴らしく、特にソプラノの安井陽子はリリックで美しい声がよく伸びて、最後に歌う曲のハイトーンも見事に決めて素晴らしかった。
テノールの高橋淳はこの曲のようなキャラクターピースが合っている。
もう少しでやり過ぎになるぎりぎりぐらいの思い切った表情を聴かせてくれた。
私は今回2回見たが、1階席前方の時よりも3階後方右端の安価な席の方が音が迫力をもって伝わってきた。
「ファスター」も1階席の方がダンサーの細かい表情や息遣いなどは分かって楽しいのだが、全体としてのフォーメーションの美しさは3階席の方が圧倒的に素晴らしかった(作品にもよるのだろうが)。
近い席と遠い席で1回ずつ見ると、それぞれの良さがあることを発見できた。

両演目とも数年後にまた再演されることを祈りたい。

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新国立劇場バレエ団/シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ(2014年3月18日 新国立劇場 中劇場)

新国立劇場バレエ団公演

暗やみから解き放たれて
大フーガ
シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ

2014年3月18日(火)19:00 新国立劇場 中劇場

『暗やみから解き放たれて(Escaping the Weight of Darkness)<世界初演>』
音楽:オーラヴル・アルナルズ、ニルス・フラーム、ジョッシュ・クレイマー、ジョン・メトカーフ
振付:ジェシカ・ラング(Jessica Lang)
出演:小野絢子、長田佳世、福岡雄大、八幡顕光、米沢 唯、貝川鐵夫、奥村康祐、井倉真未、清水裕三郎、竹田仁美、奥田花純、小野寺雄、小柴富久修、若生 愛 ほか

『大フーガ(Grosse Fuge)<新制作>』
音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン「大フーガ」Op.133、弦楽四重奏曲第13番Op.130~第5楽章「カヴァティーナ」
振付:ハンス・ファン・マーネン(Hans van Manen)
出演:長田佳世、本島美和、湯川麻美子、米沢 唯、菅野英男、福田圭吾、古川和則、輪島拓也

『シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ(Symphony in Three Movements)<新制作>』
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
振付:ジョージ・バランシン(George Balanchine)
出演:長田佳世、小野絢子、米沢 唯、八幡顕光、福岡雄大、菅野英男 ほか
第二楽章パ・ド・ドゥ:小野絢子、福岡雄大

出演:新国立劇場バレエ団
管弦楽:新国立劇場プレイハウス・シアター・オーケストラ
指揮:アレクセイ・バクラン(Alexei Baklan)

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3つの異なる演目の組み合わせによる新国立劇場バレエ団の公演を見た。

「暗やみから解き放たれて」はポスト・クラシカルというジャンルの音楽によるバレエとのことで、世界初演。
グレーの衣装(だったと思う)による5部からなる作品。暗めの照明の中、心地よい音楽にのって様々な人数で踊られる。

「大フーガ」はベートーヴェンの同名曲による作品で、ベージュのレオタードの女性4人と上半身裸で黒い袴(スカート?)を履いた男性4人が官能的な踊りを繰り広げる。
特に男性のベルトにつかまって女性が引きずられる箇所など印象的。

「シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ」は3組のプリンシパル・カップル、5組のソリスト・カップル、そして16人の女性アンサンブルによる(パンフレットによる)。
大勢でかつての金融系のCMダンスみたいなのをやるところが面白い(俗な言い方ですみませんが、それが思い付いたもので...)。
ストラヴィンスキーのおもちゃ箱をひっくり返したような楽しい音楽に乗ったダンスは時に腕の形など変わった動きをして面白い。

難しいことは分からないので、ひたすら音楽を聴きながら優れたダンサーのダンスを見て、楽しんだ。
後の2作品は生のオケの演奏にのせての上演。

記憶の曖昧なところもあるので、上記の内容、混同しているところもあるかもしれません。ご了承ください。

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新国立劇場バレエ団/バレエ「くるみ割り人形」(2013年12月17日 新国立劇場 オペラパレス)

2013/2014シーズン
バレエ「くるみ割り人形(THE NUTCRACKER)」

2013年12月17日(火)19:00 新国立劇場 オペラパレス
第1幕:55分-休憩25分-第2幕:50分

金平糖の精(Sugar Plum Fairy):小野 絢子(Ono Ayako)
王子(Prince):菅野 英男(Sugano Hideo)
クララ(Clara):五月女 遥(Soutome Haruka)
ドロッセルマイヤー(Drosselmeyer):冨川祐樹(Tomikawa Yuki)
雪の女王(Snow Queen):米沢 唯(Yonezawa Yui)

第1幕
シュタルバウム:貝川鐵夫
シュタルバウム夫人:湯川麻美子
フリッツ:髙橋一輝
ハレーキン:奥村康祐
コロンビーヌ:竹田仁美
トロル:八幡顕光
ねずみの王様:小柴富久修
くるみ割り人形:福田圭吾

第2幕
スペイン:湯川麻美子、古川和則
アラビア:本島美和、貝川鐵夫
中国:竹田仁美、江本拓
トレパック:八幡顕光、福田圭吾、髙橋一輝
葦の精:長田佳世、寺田亜沙子、井倉真未
花のワルツ:丸尾孝子、川ロ藍、小村美沙、中田実里、輪島拓也、田中俊太朗、林田翔平、原健太

新国立劇場バレエ団

合唱(Chorus):東京少年少女合唱隊(The Little Singers of Tokyo)
管弦楽(Orchestra):東京フィルハーモニー交響楽団(Tokyo Philharmonic Orchestra)
指揮(Conductor):井田勝大(Ida Katsuhiro)

芸術監督(Artistic Director):デヴィッド・ビントレー(David Bintley)
音楽(Music):ピョートル・チャイコフスキー(Pyotr Tchaikovsky)
原案・台本(Libretto):マリウス・プティパ(Marius Petipa)
振付(Choreography):レフ・イワーノフ(Lev Ivanov)
演出・改訂振付(Production):牧 阿佐美(Maki Asami)
装置・衣裳(Designs):オラフ・ツォンベック(Olaf Zombeck)
照明(Lighting):立田雄士(Tatsuta Yuji)

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バレエ「くるみ割り人形」をはじめて見た。
新国立劇場バレエ団ではお馴染みの演目のようだ(クリスマス・イヴの設定だから、12月に上演されることが多いのだろうか)。
2時間、私も童心に帰って、ファンタジーの世界に酔いしれた。
新国立劇場バレエ団のバレエは、主役級も脇を固めるダンサーもみな優れているので、安心して楽しめる。
各場面で見せ場もありつつ、ストーリーが解りやすく展開していく。
クララの五月女 遥はモダンダンスなどで特に活躍していたが、今回は可憐で役柄にぴったり。
金平糖の精の小野 絢子はもはや貫禄の安定感ある素晴らしさ。
王子役の菅野 英男は実はこれまであまり見る機会がなかったのだが、どこをとってもぴしっと決まっていて素晴らしかった。
第2幕の各国の踊りはもう楽しい場面の連続である。
特にトレパックの3人のアクロバティックなダンスは素晴らしく大いに沸いた。
雪の女王の米沢 唯はさすがの美しさである。

チャイコフスキーの音楽は全体にわたって、どこかで耳にしたことのある曲のオンパレードで、これほど多くの曲が知られているバレエ曲も珍しいのではないか。

私が見た初日は平日の夜だったせいか、思ったほど子供のお客さんが少なかった印象だが、土日はきっと子供たちであふれかえることだろう。
こんな夢の世界を見せられたらバレエダンサーになりたがる女の子が増えることだろう。

主役3人のサイン
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東京バレエ団/「ザ・カブキ」(2013年12月14日 東京文化会館 大ホール)

東京バレエ団創立50周年記念シリーズⅠ
モーリス・ベジャール振付
「ザ・カブキ」(全2幕)

2013年12月14日(土)15:00 東京文化会館 大ホール

[第1幕] 15:00-16:15
[休憩] 20分
[第2幕] 16:35-17:20

プロローグ:現代の東京
第一場:兜改め
第二場:おかる、勘平
第三場:殿中松の間
第四場:判官切腹
第五場:城明け渡し
第六場:山崎街道

第七場:一力茶屋
第八場:雪の別れ
第九場:討ち入り

由良之助:柄本弾
直義:森川茉央
塩冶判官:梅澤紘貴
顔世御前:奈良春夏
力弥:吉田蓮
高師直:木村和夫
伴内:氷室友
勘平:入戸野伊織
おかる:沖香菜子
現代の勘平:松野乃知
現代のおかる:三雲友里加
石堂:杉山優一
薬師寺:永田雄大
定九郎:岡崎隼也
遊女:吉川留衣
与市兵衛:山田眞央
おかや:伝田陽美
お才:高木綾
ヴァリエーション1:岡崎隼也
ヴァリエーション2:梅澤紘貴

東京バレエ団

演出・振付:モーリス・ベジャール
音楽:黛敏郎
美術:ヌーノ・コルテ=レアル

※音楽は特別録音によるテープを使用

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東京バレエ団の「ザ・カブキ」をはじめて見た。
故モーリス・ベジャールが歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」をもとに東京バレエ団のためにバレエ化した作品で、音楽は黛敏郎(「題名のない音楽会」の司会が懐かしい)である。
内容は誰もが知る「忠臣蔵」の話で、四十七士が仇討ちをして、最後に自決するまでを描いているが、本筋とは(おそらく)異なる脇のストーリーもあるので(歌舞伎を再現したためか?)、事前にあらすじをプログラムで読んでおかないと、何をあらわしているのか分かりにくい箇所もあった。

舞台は現代の東京から始まる。
若者たちが踊りに興じているうちに、リーダー(柄本弾)が刀を見つけ、それに触れることによって、過去にタイムスリップするという始まり方である。
第1幕では、有名な松の廊下での刃傷事件のほか、勘平とおかるの逢瀬の場から盗賊などに巻き込まれて勘平は切腹し、おかるは遊女に身をやつす話などが盛り込まれている。
塩冶判官の切腹の際にその場に居合わせた若者が、その瞬間から由良之助となり、四十七士のリーダーとして生きていくことになる。
第2幕は敵にさとられぬように酒色にふける由良之助が顔世御前の説得を受け、いよいよ仇討ちを決行し、本懐を遂げて集団で自決する場面で終わる。

西洋の文化であるバレエによって日本の古い話をどう表現するのかというのは興味深いところだが、結局のところ、無理に日本の様式で統一することはなく、バレエらしい箇所も残しつつ、日本の伝統芸能を取り入れた折衷的な作品になっていたような印象を受けた。
だが、それを欠点だとは思わない。
むしろ、両者を併置することで生まれるものもあるということをこの作品は示しているのではないだろうか。
西洋のバレエの表現と日本式の作法、身振りが作品を生かすためにうまく共存して、独自の魅力を得ることになったと思う。

遊女たちの艶やかな場面もあるが、主役はやはり四十七士、特にそのリーダーたる由良之助である。

由良之助を演じた柄本弾は、そのオーラたるや主役にふさわしく素晴らしかった。
テクニカルなことは分からないのだが、全く危なげなく自信に満ちて踊り、作品を引っ張っていった若武者といった感じである。

それからおかるを演じた沖香菜子が可憐であり、また妖艶でもあり、魅力にあふれていた。

ある場面では、由良之助とおかるが黒子を使って人形浄瑠璃のような動きをする箇所があり、ベジャールの勤勉さに感心した。

敵役、高師直を演じた木村和夫は、さすがにぴったり役になりきって、はまっていたと思う。

群舞もフォーメーションなどが美しく、力強さもあり、ベジャールの振付の魔力を感じた。

素晴らしい作品であり、東京バレエ団の財産として、今後も演じ続けていくのだろう。

それから黛敏郎の音楽も素晴らしい。
今回は東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団などの演奏をテープに録音した音源が使われていたが、一人、舞台上手にたびたびあらわれては、拍子木(?なんというのか分からずすみません)を叩く和装の方がいて、それがテープ音楽に新鮮なアクセントを与えていた。
最後の討ち入りから集団自決に至るまでの音楽は「涅槃交響曲」からの引用もあるそうだが、非常に効果的で胸が熱くなるのを感じた。

かつてオペラ「蝶々夫人」を見た時にも感じたのだが、日本をテーマにした作品を見ると、制作したのが外国の人であっても、何故か胸が熱くなり、時にはこみあげてくることさえあるのである(今回は大丈夫だったが)。
自分のDNAは紛れもなく日本人なのだなと、こういう作品を鑑賞するたびに感じるのである。

余談だが、現在歌舞伎座で「仮名手本忠臣蔵」が上演されているそうだ。どうやら今からチケットを入手するのは困難なようなので、また次の機会にはぜひ鑑賞してみたい。

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新国立劇場バレエ団/DANCE to the Future ~ Second Steps ~ NBJ Choreographic Group(2013年12月7日 新国立劇場 小劇場)

2013/2014シーズン
DANCE to the Future ~ Second Steps ~ NBJ Choreographic Group

2013年12月7日(土)14:00 新国立劇場 小劇場
第1部:35分-休憩20分-第2部:40分

【第1部】

「フォリア」Folia
振付:貝川鐵夫
音楽:コレッリ「ラ・フォリア」
出演:小野絢子;福岡雄大;堀口純;輪島拓也;田中俊太朗;川口藍

「SWAN」
振付:マイレン・トレウバエフ
音楽:ヴィターリ「シャコンヌ ト短調」
出演:小野寺雄

「春」Spring
振付:広瀬碧
音楽:ヤン・ティルセン「Déjà Loin」
出演:宇賀大将;奥田花純;林田翔平;広瀬碧

「Calma」
振付:今井奈穂
音楽:吉田靖「Octave of Leaves」,チャイコフスキー「無言歌Op2 No.3」
出演:今井奈穂

「Chemical Reaction」
振付:小笠原一真
音楽:U2「約束の地」
出演:湯川麻美子;丸尾孝子;輪島拓也;中田実里;原健太

~休憩~

【第2部】

「ONE」
振付:宝満直也
音楽:高木正勝「One by one by one」,マックス・リヒター「A Lovers Complaint」
出演:宝満直也

「The Celebrities, Part VI: The Post, Break-Up Depression of the Baroque Peacocks」バロック孔雀の乖離後の憂鬱
振付:アンダーシュ・ハンマル
音楽:ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第11番 へ短調」
出演:奥村康祐;丸尾孝子;大和雅美

「球とピンとボクら...。」Ball, pin, and Us...
振付:宝満直也
音楽:レーサーX「テクニカル・ディフィカルティーズ」
出演:小柴富久修;宝満直也

「Side Effect」
振付:福田圭吾
音楽:ロバート・フッド「Side Effect」
出演:八幡顕光;福田圭吾;五月女遥;高橋一輝

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新国立劇場でバレエやダンス公演を見るようになって随分たつが、相変わらず専門的なことは全然分からない。
だが、素人の強みで感覚だけで楽しもうと決めている。
音楽も同時に楽しめるし。
大分顔ぶれも覚えてきたし、バレエやダンスから放出されるエネルギーも私にとって大事な財産になるにちがいない。

今シーズンはデヴィッド・ビントレー監督の最終年度にあたるが、恒例の「ダンス・トゥ・ザ・フューチャー」を見てきた。
しかし、いつもは外部の振付師の作品を新国立劇場バレエ団が披露するのだが、今回はそうではなく、バレエ団のメンバーが振付した作品をメンバーが踊るというものである。
振付師本人が出演している作品もあれば、振付師と出演者が異なる作品もある。
彼らの中から振付のセンスのある人を発掘して、その才能を伸ばそうというビントレーの思いなのだろう。
どの作品もそれぞれみなタイプが違っていて、素人の私でも単純に面白かった。

一番長大でどっしりとした手ごたえが感じられたのは最初の貝川作品「フォリア」。
登場人物も多く、コレッリの曲にのって静と動の対比が追及されていたように感じた。
トレウバエフ作品の「SWAN」は小野寺雄の白鳥のダンスがういういしかった。
広瀬作品の「春」は自身も出演して、男女で春の喜びを素直に表現していて、心地よい。
今井作品の「Calma」は、砂利道を踏みしめるような音楽で始まり、演者は苦悶の表情でもがく。その後、チャイコフスキーの音楽になったところで苦悩が解消したかのような晴れやかな表現になる。
その対比が印象に残った。
小笠原作品の「Chemical Reaction」は、迷彩っぽい衣装に顔までメイクをして、無機質な感じが面白かった。

後半は2つの作品で宝満直也が振り付けと出演をしていたが、「ONE」が椅子を用いて、孤独と闘い、恋人の幻影を見ているような苦悩の表現だったのに対して、「球とピンとボクら...。」は小柴富久修と二人きりのスピーディーな掛け合いで、ボーリング場でのコミカルなやり取りを鮮やかなタイミングで魅せる。
拍手にこたえる時まで計算されていたのはお見事!
私が今回個人的に一番面白かったのが、この「球とピンとボクら...。」だった。
宝満直也というダンサーは現代もののダンスにかなりの適性があるのかもしれない。

ハンマル作品は3人の演者が孔雀を模して様々な表現をする。
そのシリアスでもあり、コミカルでもある感じが印象に残った。

最後の福田作品「Side Effect」は、昨年見たミニマル音楽によるダンスを思い起こさせる。
スピーディーで新鮮で高揚する感じが最後にふさわしく感じた。

演目が終わったところで、8人の振付師が登場してほぼ満席の会場からの大きな拍手を受けていた。
本格的な作品とは違って、肩のこらない素朴さと、試行錯誤の跡も見えたりして、興味深く充実した公演だった。

この公演の趣旨については公式サイトに掲載されています。
 こちら

余談だが、今井奈穂さん作品で使われていたチャイコフスキーの「無言歌Op2 No.3」という短いピアノ曲を動画サイトで聴いていたら、最後の終わり方がシューベルトの歌曲「わが挨拶を送ろうD741(Sei mir gegrüßt)」の後奏と似ていることに気付いた。試しに聴いてみてください。

チャイコフスキー「無言歌Op.2 No.3」(2:17-)

シューベルト「わが挨拶を送ろう」(3:14-)

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新国立劇場バレエ団/バレエ・リュス ストラヴィンスキー・イブニング(2013年11月13日 新国立劇場オペラパレス)

バレエ・リュス
ストラヴィンスキー・イブニング
火の鳥/アポロ/結婚
2013/2014シーズン
Ballets Russes Stravinsky Evening
The Firebird / Apollo / Les Noces

2013年11月13日(水)19:00 新国立劇場オペラパレス

『火の鳥』The Firebird
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
振付:ミハイル・フォーキン
火の鳥:小野絢子
イワン王子:山本隆之
王女ツァレヴナ:寺田亜沙子
カスチェイ:マイレン・トレウバエフ

『アポロ』Apollo [新制作]
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
振付:ジョージ・バランシン
アポロ:福岡雄大
テレプシコール:小野絢子
カリオペ:寺田亜沙子
ポリヒムニア:長田佳世
レト:湯川麻美子

『結婚』Les Noces [新制作]
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
振付:ブロニスラヴァ・ニジンスカ
花嫁:本島美和                   
花婿:小口邦明
両親:千歳美香子;堀口純;マイレン・トレウバエフ;輪島拓也

新国立劇場バレエ団

ソプラノ:前川依子(『結婚』)
アルト:佐々木昌子(『結婚』)
テノール:二階谷洋介(『結婚』)
バス:塩入功司(『結婚』)
新国立劇場合唱団(『結婚』)
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:クーン・カッセル(Koen Kessels)

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新国立劇場バレエ団の2013/2014シーズン開幕公演を鑑賞した。
すべてストラヴィンスキーの音楽によるバレエ・リュスの演目である。
新国立劇場のサイトによると、バレエ・リュスとは「1909年突如ヨーロッパに出現した、天才プロデューサー・ディアギレフ率いるロシア・バレエ団」のことである。
多くの賛同した芸術家たちがジャンルを超えて総合芸術をつくりあげた古き良き時代を、今回初台に再現しようというものであり、このような古典を知ることは、私のようなバレエ素人にとっても得るところは大きかったと思う。

ストラヴィンスキーの音楽としても代表作のひとつといえる『火の鳥』のストーリー性の面白さ、『アポロ』の古典的な様式美と、どことなくコミカルに感じられる(私見では)振りの興味深さ、そしてロシアの民俗色豊かな『結婚』の土臭いわくわく感と、どれも私には新鮮で楽しめるものだった。
中でもニジンスキーの妹のニジンスカが振りつけたという『結婚』は私には最も面白く感じられた。
群舞が多く、主役がほとんど踊らない不思議なバレエだが、ダンサーたちが首をかしげて、まとまって寄りかかる振りが印象的だった。
何かバレエ特有の意味があるのだろうか。
独唱者、それに男声合唱も加えた民俗色の強い歌も印象的で、見ていて本当に楽しめるものだった。

バレエについてはどしろうとなので、テクニック面では何も言えないのだが、小野さんの火の鳥は可憐で、山本さんの王子はノーブル。
福岡さんのアポロは貫録に満ち、『結婚』の群舞(コール・ド・バレエというんでしたっけ)は振りがかえって新鮮で飽きることが一切ない。

それにしても『結婚』の時のオーケストラピットは面白かった。
左半分を新国立劇場合唱団がぎっしり詰まって座っており、真ん中をピアノ4台が扇状に設置され、その後ろに独唱者4人が座り、その他の楽器は右側に位置していた。
きっと合唱曲としてもレパートリーに入っている作品なのだろうが、ロシア語のハンデをよく克服して、皆さん演奏されたと思う。

きっと記念碑的な意味のある上演だったと思うが、単純にバレエ作品として鑑賞して素晴らしかったと思う。
再演希望です!

Ballets_russes_20131113

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ビントレー演出新国立劇場バレエ団/ブリテン作曲「パゴダの王子」(2011年10月30日 新国立劇場 オペラパレス)

パゴダの王子(The Prince of the Pagodas)
2011/2012シーズン
[New Production]
上演時間:2時間40分

2011年10月30日(日)14:00 新国立劇場 オペラパレス(1階4列4番)

さくら姫:小野絢子(Ono Ayako)
王子:福岡雄大(Fukuoka Yudai)
女王エピーヌ:湯川麻美子(Yukawa Mamiko)
皇帝:堀 登(Hori Noboru)
北の王:八幡顕光(Yahata Akimitsu)
東の王:古川和則(Furukawa Kazunori)
西の王:マイレン・トレウバエフ(Maylen Tleubaev)
南の王:菅野英男(Sugano Hideo)

【振付】デヴィッド・ビントレー(David Bintley)
【音楽】ベンジャミン・ブリテン(Benjamin Britten)
【美術】レイ・スミス(Rae Smith)
【照明】沢田祐二(Sawada Yuji)
【指揮】ポール・マーフィー(Paul Murphy)
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団(Tokyo Philharmonic Orchestra)

珍しいブリテン作曲によるバレエ作品を鑑賞した。
物語的な展開が分かりやすく、私のようなバレエど素人にも充分楽しめる内容だった。
3つの幕それぞれが40分前後というのもコンパクトで集中して鑑賞しやすかった。
最後に物語がハッピーエンドを迎えた後にそれぞれの登場人物が踊る箇所は、バレエ愛好家をも満足させたのではないだろうか(このへんの決まりごとは門外漢の私には分からないが)。
原作は中国が舞台だが、今回日本に舞台を移し変え、より身近な舞台となった。
バレエダンサーたちはみな素晴らしかったが、特にエピーヌ役の湯川麻美子は、徹底的に悪役に徹していて強く印象に残った。
途中、さくら姫の試練の場面であらわれた様々な障壁たち、特にたつのおとしごたちのダンスなど、子供が見ても充分楽しめたのではないか。
ブリテンの音楽は物語を分かりやすく表現していて、特に第2幕ではオーケストラでガムランを模した音楽が奏でられ、オケの可能性の大きさとブリテンの創作意欲を感じさせられた。
美術担当のレイ・スミスは、国芳の浮世絵などをヒントにしたようで、モンスターたちも日本の妖怪の怖さの中の愛嬌のようなものが表現されていて面白かった。
ぜひ再演を望みたい。

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