二期会/ヴェルディ作曲 歌劇「リゴレット」(2015年2月21日 東京文化会館 大ホール)
《パルマ王立歌劇場との提携公演》
東京二期会オペラ劇場
リゴレット
オペラ全3幕
日本語字幕付き原語(イタリア語)上演
台本:フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ
作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ
2015年2月21日(土)14:00 東京文化会館 大ホール
マントヴァ公爵:古橋郷平
リゴレット(公爵に仕えるせむしの道化):上江隼人
ジルダ(リゴレットの娘・16歳):佐藤優子
スパラフチーレ(ブルゴーニュ生まれの殺し屋):ジョン ハオ
マッダレーナ(スパラフチーレの妹):谷口睦美
ジョヴァンナ:与田朝子
チェプラーノ伯爵:原田勇雅
チェプラーノ伯爵夫人:杣友惠子
モンテローネ伯爵(チェプラーノ伯爵夫人の実父):長谷川 寛
マルッロ(公爵の廷臣):加藤史幸
マッテオ・ボルサ(公爵の廷臣):今尾 滋
マントヴァ公爵夫人の小姓:小倉牧子
合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:アンドレア・バッティストーニ
演出:ピエール・ルイジ・サマリターニ/エリザベッタ・ブルーサ
美術:ピエール・ルイジ・サマリターニ
照明:アンドレア・ボレッリ
合唱指揮:佐藤 宏
演出助手:菊池裕美子
舞台監督:佐藤公紀
公演監督:直野 資
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二期会公演のヴェルディ作曲「リゴレット」を見てきた。
演出家は2人の名前がクレジットされているが、サマリターニ氏は随分昔にお亡くなりになっており、ブルーサ氏がサマリターニ氏の演出を引き継いだものということだろうか。
「リゴレット」はヴィクトル・ユゴーの原作を元にイタリア語版のリブレットに作曲された名作。
筋書きはドロドロしていて、登場人物の誰にも感情移入できないという印象を受けるが、オペラとしては優れた音楽に仕上がっていて、見る者を惹きつける要素は盛り沢山であるように思われる。
好きなオペラとして名前を第一に挙げるわけではないが、上演されれば足を運びたくなる作品という感じだ。
実際、感情移入出来ないはずの登場人物たちの怒りや喜びや悲しみの感情が歌手たちの優れた表現力で歌われた時の説得力の強さといったら、人物設定の特異さを超えて、胸を打つシーンも多かったほどである。
演出は読み替え一切なしのストレートなもの。
宴のシーンの廷臣、婦人たちの衣装から舞台装置まで、過去の名画を見ているかのようだった。
第2幕の奥行のあるセットも、第3幕の殺し屋の住居とその周辺の扱いなども、ぴったりはまっていたように思う。
歌手たちは若手から中堅、ベテランまで幅広いが、やはりリゴレット役の上江隼人の道化としての表現と、娘を思う親としての側面、そして娘を汚された相手である公爵への強い怒りの表現など、どのシーンも圧倒的な表現力で圧巻だった。
素晴らしい歌手である。
そして、その娘ジルダを演じた佐藤優子がまた良く伸びる芯のある美声(時折エディト・マティスを思い起こさせた)で、親への思いと、公爵への様々な感情の機微を丁寧に表現していて素晴らしかった。
マントヴァ公爵の古橋郷平は長身で舞台映えする容姿に恵まれ、しかも声の質もみずみずしく素晴らしく、第2幕で若干不安定になったのが惜しまれるが、いい歌を聴かせてくれたといえるのではないか。
殺し屋スパラフチーレを演じたジョン ハオの怪しい雰囲気に満ちた役作りや、その妹のマッダレーナを演じた谷口睦美の堂々たる歌唱なども聴きものだった。
アンドレア・バッティストーニ指揮の東京フィルハーモニー交響楽団が実に素晴らしく、劇的で起伏に富んだ雄弁な表現力で、ヴェルディのドラマを推進力をもって聴かせてくれた。
今回最も聴衆の拍手が大きかったのはバッティストーニに対してだった。
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