エリーの要点「25年前から乗っているトヨタ車」(Elly's Essentials; “25 year old Toyota”)

●Elly's Essentials; “25 year old Toyota”

Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です。音声が出ます。)

(エリー・アーメリングの言葉の大意)

91歳の現在、私は25年前のトヨタ車に壊れることなく乗っています。
時々、駐車場でとなりの車に甘く軽いキスのように触れることがあります。先週かすってしまった時は損傷が全くなかったことが分かり幸運でした。私の災難は小さなものでしたが、世界中でもっと大きな災難が襲っています。それらは先の世界大戦の終焉以降、未来を予見しなかった政治への罰なのでしょうか。私が6歳の時、父が「先見の明は政府の本質だ」とよく言っていました。現在、世界中のプロパガンダと選挙制度は、民主主義が消えそうなほど腐敗しているように思えます。1990年代に賢明な私の友人が「民主主義よりも優れた制度を知っていますか」と言っていましたが、それは次の問いにつながります。「混沌(chaos)は未来の私たちの運命でしょうか」。
ところで「chaos(混沌)」という言葉は古代ギリシャ語から借用したもので、「深淵(abyss)」を意味します。
ギリシャ文明が発展したらしい空っぽの深淵は、我々の言うところの混沌、つまり廃墟となりました。古代ギリシャ人はそれを見ていました。私たちは彼らから何かを学んだのでしょうか。

(3:55- Schubert: Die Götter Griechenlands, D677)
Elly Ameling, Rudolf Jansen
Concertgebouw Amsterdam
03-02-1990

Die Götter Griechenlands, D 677
 ギリシャの神々

Schöne Welt, wo bist du? Kehre wieder
Holdes Blüthenalter der Natur!
Ach, nur in dem Feenland der Lieder
Lebt noch deine fabelhafte Spur.
Ausgestorben trauert das Gefilde,
Keine Gottheit zeigt sich meinem Blick,
Ach, von jenem lebenwarmen Bilde
Blieb der Schatten nur zurück.
 美しい世界よ、どこにいるのか?戻ってきておくれ
 自然が優しく花開いた時代よ!
 ああ、歌の中のおとぎの国にのみ
 あなたの寓話の足跡が生きている。
 死に絶えた広野は悲しみ、
 神は私の目の前に姿を現さず、
 ああ、あの生きて温かい姿の
 幻影だけが残ったのだ。

詩:Friedrich von Schiller (1759-1805), title 1: "Die Götter Griechenlandes", title 2: "Die Götter Griechenlands", written 1788, first published 1788
曲:Franz Peter Schubert (1797-1828), "Strophe aus 'Die Götter Griechenlands'", D 677 (1819), published 1848, stanza 12 [ voice, piano ], A. Diabelli & Co., VN 8819, Wien (Nachlaß-Lieferung 42)

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(参考)

Elly's Essentials; “25 year old Toyota” (YouTube)

The LiederNet Archive

etymonline (chaos の語源)

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ルドルフ・ヤンセン「デュオピアニスト」(Rudolf Jansen ‘Duo pianist’)(オランダネットラジオ局concertzender)

オランダネットラジオ局concertzenderでは、歌曲の特集など1時間様々な音楽を流してくれます。以前にはアーメリングの特集なども放送されて、今でも聞くことが出来るようになっています。歌曲ファンにとっては貴重で良質なラジオ局だと思います。

そんな中、5月26日に放送されて、こちらのリンク先で聞けるようになっているのが、今年2月に84歳で亡くなったルドルフ・ヤンセン(Rudolf Jansen)の特集です。あまたの歌曲ピアニストの中でも、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカなどのピアニストは注目を浴びることも多くニュースにもなりやすいのでしょうが、オランダが生んだヤンセンについてはオランダ国外ではほとんど報道されず(日本の音楽メディアだけでなく、アメリカのメディアでさえ!)、寂しい思いをしていましたが、さすがお国のラジオ局は静かに特集を組んでくれて遠い国のファンの渇望を癒してくれました。
このラジオ局は期間限定ではなく、いつでも聞けるので、よろしければお時間のある時に聞いてみてください。アナウンスはオランダ語ですが、様々な歌手と共演したヤンセンの驚異的に幅広い対応力をもった演奏を楽しめると思います。ちなみに46分頃にはヤンセンのピアノ独奏も聞けます(バスバリトンのロベルト・ホルの作曲した間奏曲Ⅰ)。

1.ドビュッシー/それは物憂い恍惚(歌曲集『忘れられた小歌』より)(ルドルフ・ヤンセン(P), マルフレート・ホーニフ(S))

2.ディーペンブロック/旅への誘い(ルドルフ・ヤンセン(P), クリスタ・プファイラー(MS))

3.ブラームス/使いOp.47/1(ルドルフ・ヤンセン(P), エリー・アーメリング(S))

4.コズマ/枯葉;ブラームス/メロディーのようにOp.105/1;憩え、かわしい恋人よOp.33/9(歌曲集『美しいマゲローネからのロマンス』より);甲斐なきセレナーデOp.84/4;私たちは歩き回ったOp.96/2(ルドルフ・ヤンセン(P), エリー・アーメリング(S))

5.シューベルト/巡礼の歌D789(ルドルフ・ヤンセン(P), ロベルト・ホル(BSBR))

6.ロベルト・ホル/間奏曲Ⅰ(歌曲集『春の旅』より)(ピアノ独奏)(ルドルフ・ヤンセン(P))

7.プフィッツナー/別れOp.9/5(ルドルフ・ヤンセン(P), アンドレアス・シュミット(BR))

8.シューベルト/水の上で歌うD774(ルドルフ・ヤンセン(P), ハンス・ペーター・ブロホヴィツ(T))

9.グリーグ/海を見ればEG 121(ルドルフ・ヤンセン(P), クリスタ・プファイラー(MS))

10.シューマン/今あなたは私にはじめて苦痛を与えました(後奏のみ)(歌曲集『女の愛と生涯』より)(ルドルフ・ヤンセン(P)と思われる(サイトに記載なし))

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ルドルフ・ヤンセン(Rudolf Jansen)の動画・録音

オランダの名ピアニスト、ルドルフ・ヤンセンを偲んで、彼の演奏をいくつかまとめておきます。特に最初の動画は2012年にロベルト・ホルと共演したライヴ映像でシューベルト8曲とシューマン6曲をたっぷり聞くことが出来ます。一番最後のクリスタ・プファイラーはヤンセンの奥様です。

●ロベルト・ホル(BSBR)&ルドルフ・ヤンセン(P):シューベルト&シューマン・コンサート・ライヴ映像(2012年8月3日, Museum Het Prinsenhof in Delft)
Robert Holl(BSBR), Rudolf Jansen(P)
Openingsconcert Delfts Chamber Music Festival 2012 (deel 1)
Schubert Liederen
Schumann Liederen

17:24- Eintritt(入場)
18:14- Schubert: Der Wanderer an den Mond, D 870(さすらい人が月に寄せて)
21:11- Schubert: Das Heimweh, D 851(郷愁)
29:34- Schubert: Der Kreuzzug, D 932(十字軍)
33:22- Schubert: Der Wanderer, D 493(さすらい人)
39:01- Schubert: Am Strome, D 539(川辺で)
41:50- Schubert: Auf der Donau, D 553(ドナウ川の上で)
45:47- Schubert: Gondelfahrer, D 808(ゴンドラ漕ぎ)
48:46- Schubert: Nachthymne, D 687(夜の讃歌)

57:45- Eintritt(入場)
59:21- Schumann: Mein Wagen rollet langsam(私の馬車はゆっくりと進む)
1:02:43- Schumann: Freisinn, Op. 25/2(自由な心)
1:04:18- Schumann: Lied eines Schmiedes, Op. 90/1(鍛冶屋の歌)
1:06:05- Schumann: Die beiden Grenadiere, Op. 49/1(二人の擲弾兵)
1:10:37- Schumann: Wanderlied, Op. 35/3(旅の歌)
1:14:22- Schumann: Nachtlied, Op. 96/1(夜の歌)

●Elly Ameling(S), Rudolf Jansen(P)
Elly Ameling 1987 Gretchen am Spinnrade

●Robert Holl(BSBR), Rudolf Jansen(P)
Schubert - Der Wanderer an den Mond (Robert Holl and Rudolf Jansen)

●Robert Holl(BSBR), Rudolf Jansen(P)
Robert Holl sings Schubert Beim Winde (live 1995)

●Marc Pantus(BSBR), Rudolf Jansen(P)
Franz Schubert "Im Dorfe" - Marc Pantus / Rudolf Jansen - november 2015

●Hansung Yoo(BR), Rudolf Jansen(P)
Hansung Yoo & Rudolf Jansen - R. Schumann/ From: Dichterliebe: Im wunderschönen Monat Mai

●Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Netherlands Chamber Choir, Rudolf Jansen(P)
[Liszt:] Es War Einmal Ein König, S.73

●Andreas Schmidt(BR), Rudolf Jansen(P)
Die schöne Müllerin, Op. 25, D. 795: Mein!

●Yuko Kamahora(S), Rudolf Jansen(P)
[Wolf:] Ich hab' in Penna einen Liebsten wohnen

●Christa Pfeiler(MS), Rudolf Jansen(P)
Erich Wolfgang Korngold: Unvergänglichkeit (Christa Pfeiler, mezzo-soprano & Rudolf Jansen, piano)

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エリー・アーメリング&ルドルフ・ヤンセン/シューマン&ブラームス・リサイタル(1983年 ニューヨーク)

動画サイトでエリー・アーメリング&ルドルフ・ヤンセンによる1983年のリサイタル音源がアップされていました。いつもながらkadoguy様に感謝です。

An Elly Ameling Recital (New York, 1983)

Channel名:kadoguy(オリジナルのサイトはこちら。音が出るので注意!)

前半がシューマンの歌曲集『女の愛と生涯』と3曲の歌曲、後半がブラームスの歌曲とドイツ民謡編曲(WoO. 33)という王道のドイツ歌曲プログラムです。彼女のブラームス歌曲のライヴ音源はあまりないと思うので貴重です!
先日逝去されたルドルフ・ヤンセンがピアノを弾いています。ヤンセンの細やかな表現とアンサンブルの妙味を堪能するのにうってつけの音源だと思います。

シューマンの独立した3曲と歌曲集『女の愛と生涯』で前半のプログラムを組むのはアーメリングがよくやる選曲で、私も初めてこの二人を実演で聞いた1987年の来日公演でも下記曲目の「ことづて」が「くるみの木」になっている以外は同じでした(3曲が『女の愛と生涯』より先に演奏されましたが。この年のサントリーホールの公演でも前半は同じシューマンプログラムでNHKで映像収録されましたのでご覧になった方もいらっしゃると思います)。そして彼女の歌手として最後の来日となった1997年5月の横浜フィリアホールでも「献呈」「悲しみOp. 39-9」「くるみの木」と『女の愛と生涯』が前半のプログラムを占めたのでした。

今回の演奏もアーメリング、ヤンセンともに素晴らしかったです。ヤンセンが歌と一緒のところでいかに歌手の歌の流れに寄り添い、また歌のない箇所でいかに美しくピアノで歌っているかをぜひ聞いていただけたらと思います。

最後の「おお、お母さん、欲しいものがあるの」では聴衆も聞きながら盛り上がっていて、アーメリングもヤンセンもそれを受けて珍しくオリジナルにちょっと手を加えて最後を締めくくっていました。演奏家と聴衆が一つになった感じがいいですね。

エリー・アーメリング・リサイタル

録音:1983年5月19日, Kaufmann Concert Hall, the 92nd Street Y in New York City

エリー・アーメリング(ソプラノ)
ルドルフ・ヤンセン(ピアノ)

シューマン/歌曲集『女の愛と生涯』op. 42(全8曲) 0:00

シューマン/献呈 op. 25, no. 1 24:53
シューマン/はすの花 op. 25, no. 7 27:20
シューマン/ことづて op. 77, no. 5 29:37

ブラームス/セレナーデ op. 106, no.1 31:59
ブラームス/あなたの青い瞳 op. 59, no. 8 33:43
ブラームス/メロディーのように op. 105, no. 1 36:13
ブラームス/あなたがほんの時折でも微笑めば op. 57, no. 2 38:29
ブラームス/私たちは歩き回った op. 96, no. 2 40:05
ブラームス/永遠の愛について op. 43, no. 1 43:41

ブラームス/すぐにおいで op. 97, no. 5 48:25
ブラームス/娘は語る op. 107, no. 3 50:56
ブラームス/あの下の谷底に WoO. 33 no. 6 52:17
ブラームス/私の娘はばら色の口をしている WoO. 33 no. 25 55:09
ブラームス/お姉ちゃん WoO. 33, no. 15 57:02
ブラームス/おお、お母さん、欲しいものがあるの WoO. 33 no. 33 1:00:27

An Elly Ameling Recital (New York, 1983)

Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano

Rec. 19 May 1983, Kaufmann Concert Hall, the 92nd Street Y in New York City

I. Robert Schumann: Frauenliebe und -Leben, op. 42
- Seit ich ihn gesehen 0:00
- Er, der Herrlichste von allen 3:01
- Ich kann's nicht fassen 6:25
- Du Ring an meinem Finger 8:32
- Helft mir, ihr Schwestern 11:26
- Süsser Freund, du blickest 13:30
- An meinem Herzen 18:52
- Nun hast du mir der ersten Schmerz getan 20:19

II. Schumann: Three songs
- Widmung, op. 25, no. 1 24:53
- Die Lotosblume, op. 25, no. 7 27:20
- Aufträge, op. 77, no. 5 29:37

III. Johannes Brahms: Six songs
- Ständchen, op. 106, no.1 31:59
- Dein blaues Auge, op. 59, no. 8 33:43
- Wie Melodien zieht es, op. 105, no. 1 36:13
- Wenn du nur zuweilen lächelst, op. 57, no. 2 38:29
- Wir wandelten, op. 96, no. 2 40:05
- Von ewiger Liebe, op. 43, no. 1 43:41

IV. Brahms: Six songs
- Komm bald, op. 97, no. 5 48:25
- Das Mädchen spricht, op. 107, no. 3 50:56
- Da unten im Tale, WoO. 33 no. 6 52:17
- Mein Mädel hat einen Rosenmund, WoO. 33 no. 25 55:09
- Schwesterlein, WoO. 33, no. 15 57:02
- Och Mod'r, ich well en Ding han, WoO. 33 no. 33 1:00:27

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ルドルフ・ヤンセン(Rudolf Jansen)を偲んで

オランダのピアニスト、ルドルフ・ヤンセン(Rudolf Jansen: 1940年1月19日, Arnhem -2024年2月12日, Laren (Noord-Holland))が2月12日ラーレンで亡くなりました。84歳でした。若々しい風貌だったこともあり、その時のイメージのままでいたので、彼の突然の訃報に驚きを禁じえませんが、すでに84歳だったという事実にもあらためて衝撃を受けました。
Wikipediaによると、亡くなる10日前にオランダ、ラーレンのローサ・スピーア・ハウスという高齢の芸術家が余生を過ごす施設に引っ越したそうで、これから新しい場所でゆっくり過ごそうとした矢先だったのでしょうか。
ヤンセンはもともとソロもコンチェルトも演奏するピアニストでしたが、力を入れていたのは歌曲や室内楽の演奏でした。
彼は父親スィモン(Simon C. Jansen)がオルガニストだった為、オルガンを学び、グスタフ・レオンハルトからはチェンバロを学んでいます。さらにオランダ伴奏界の巨匠フェーリクス・ドゥ・ノーベルから伴奏を学びました。
コンサートと指導を並行して行っていましたが、2017年4月2日アムステルダム、コンセルトヘバウのリサイタルホールでのコンサートをもってステージから引退しました。
メゾソプラノ歌手のクリスタ・プファイラーと結婚していて、共演した録音もあります。
キャリアの初期はナップ・ドゥ・クレインというヴァイオリニストとデュオを組んで長く演奏していたようです。その後、オーボエ奏者のハン・ドゥ・フリースと共演し、1979年にはエリー・アーメリングと初めてのスタジオ録音をします(CBSのメンデルスゾーン歌曲集)。アーメリングとは1985年11月にはじめて来日公演に同行し、各地で歌曲コンサートを開いています。私がヤンセンをはじめて生で聞いたのは1987年11月25日の神奈川県民ホール小ホールでのアーメリングのリサイタルにおいてでした。アーメリングを生で聞くのもこの時が初めてでしたので、とてもわくわくして聞きに行ったと記憶しています。その後、アーメリングの来日のたびにヤンセンの立体的かつ繊細なピアノの響きを堪能してきたのもよい思い出となっています。アーメリングはインタビューの際に共演したピアニストとしてデームス、ゲイジ、ボールドウィンと共にヤンセンの名前を挙げていて、彼は素晴らしいピアニストでしたと述懐しています。一方、アンドレアス・シュミットとのシューベルト&シューマン・リサイタルを1993年サントリーホール小ホールで聴いた時、ホールの音響に慣れていなかったのか、ヤンセンの響きが時に大き過ぎるように感じ、彼ほどのピアニストでもこういうことがあるのかと思った記憶があります(アーメリングとの共演ではそういうことは皆無だったので余計に記憶に残っています)。

FMでエアチェックをしていた時期にヤンセンの弾くドビュッシーの『映像 第2集』の第2,3曲が流れたことがあります。解説の方もアーメリングの録音で名前は知っていたが、ソロを聞くのは初めてだと言っていました。伴奏で知られるピアニストのソロ演奏ということで興味深く、テープに録音して何度も聞いたものでした(今は残念ながらどこかにいってしまいましたが)。

ヤンセンとのコンビで最も有名なのはアーメリングだと思いますが、その他にも膨大な共演者がいて、特に結びつきが強かったのはロベルト・ホル、アンドレアス・シュミットあたりでしょうか。

グリーグ、R.シュトラウス、アルフォンス・ディーペンブロックの歌曲全集の録音では全曲一人でピアノを担当するという凄さです!

私の唯一のオーストリア旅行で、シューベルティアーデを聞いた際、バンゼ、ツィーザク、ファスベンダー、プレガルディアン、マルクス・シェーファー、ベーア、トレーケルといった錚々たるメンバーによるシューベルト重唱曲の夕べでヴォルフラム・リーガーと分け合ってピアノを弾いたのがヤンセンでした。この音源、CDか配信で復活しないかなぁと思っています。

ヤンセンの音は結構かっちりとした楷書風な印象があり、それがドイツリートの演奏にぴったりマッチしているように思うのですが、フランス歌曲ではアンニュイな雰囲気も表現していて、変幻自在なピアニストだと思います。テクニック的な不安がなく、安心して身を委ねて聞けます。

最後に私のブログお決まりの共演者リスト(分かる範囲内です)をまとめておきます。オランダ人が多いのは当然として、結構幅広い国籍の演奏家たちと共演しているのが分かります。日本人では釜洞祐子さんと録音を残しています。どれほどアーティストたちから信頼があつかったかが伺えます。

ご冥福をお祈りいたします。

Roberta Alexander (Soprano)
Elly Ameling (Soprano)
Juliane Banse (Soprano)
Barbara Bonney (Soprano)
Dorothy Dorow (Soprano)
Thea Ekker-van der Pas (Soprano)
Agnes Giebel (Soprano)
Marianne Hirsti (Soprano)
Margreet Honig (Soprano)
Hanneke Kaasschieter (Soprano)
Yuko Kamahora (Soprano)
Evelyn Lear (Soprano)
Irene Maessen (Soprano)
Charlotte Margiono (Soprano)
Christiane Oelze (Soprano)
Ulrike Sonntag (Soprano)
Ellen van Lier (Soprano)
Edith Wiens (Soprano)
Ruth Ziesak (Soprano)

Irina Arkhipova (Mezzo-soprano)
Cora Burggraaf (Mezzo-soprano)
Elisabeth Cooymans (Contralto)
Brigitte Fassbaender (Mezzo-soprano)
Birgit Finnilä (Mezzo-soprano)
Monica Groop (Mezzo-soprano)
Myra Kroese (Alto)
Christa Pfeiler (Mezzo-soprano)
Sylvia Schlüter (Contralto)
Christianne Stotijn (Mezzo-soprano)
Jard van Nes (Mezzo-soprano)
Margriet van Reisen (Mezzo-soprano)
Carolyn Watkinson (Mezzo-soprano)

Kurt Azesberger (Tenor)
Hans Peter Blochwitz (Tenor)
Christian Elsner (Tenor)
Ernst Haefliger (Tenor)
Uwe Heilmann (Tenor)
David Johnston (Tenor)
Hein Meens (Tenor)
Lothar Odinius (Tenor)
Christoph Prégardien (Tenor)
Roberto Saccà (Tenor)
Kjell Magnus Sandve (Tenor)
Markus Schäfer (Tenor)
Peter Schreier (Tenor)
Marius van Altena (Tenor)

Olaf Bär (Baritone)
Dietrich Fischer-Dieskau (Baritone)
Robert Holl (Bass-baritone, Bass)
Maarten Koningberger (Baritone)
Meinard Kraak (Baritone)
Tom Krause (Baritone)
Marc Pantus (Baritone)
William Parker (Baritone)
Udo Reinemann (Baritone)
Andreas Schmidt (Baritone)
Knut Skram (Baritone)
Geert Smits (Baritone)
Roman Trekel (Baritone)
Ruud van der Meer (Baritone)
Stephen Varcoe (Baritone)
Lieuwe Visser (Baritone)
Oliver Widmer (Baritone)
Hansung Yoo (Baritone)

Nederlands Kamerkoor

Jean-Louis Beaumadier (Flute)
Rien de Reede (Flute)
Philippe Gautier (Flute)
Eleonore Pameijer (Flute)
Jean-Pierre Rampal (Flute)
Paul Verhey (Flute)

Han de Vries (Oboe)

Karl Leister (Clarinet)
Paul Meyer (Clarinet)
Sabine Meyer (Clarinet)
George Pieterson (Clarinet)
Roland Simoncini (Clarinet)
Willem van der Vuurst (Clarinet)
Jean-Marc Volta (Clarinet)

Ronald Brautigam (Piano)
Han Reiziger (Piano)
Wolfram Rieger (Piano)

Leo van Doeselaar (Harmonium)

Nap de Klijn (Violin)
Abbie de Quant (Violin)

Zoltan Benyacs (Viola)

Michel Dispa (Violoncello)
Daniel Esser (Violoncello)
Henk Lambooij (Violoncello)

Manja Smits (Harp)

Quatuor Viotti
Sweelinck Kwartet

Uwe Gronostay (Conductor)

Rudolf Jansen - Een portret / A portrait

インタビュー(英語の字幕が付けられます)の他にグリーグのピアノ小品と、奥様クリスタとのショッソン「蝶々」が演奏されます。

Han Reiziger & Rudolf Jansen - Schubert/ Fantasie in f

シューベルトの切なく美しい連弾曲「幻想曲ヘ短調」の冒頭部分が聞けます。ヤンセンはプリモ(高音パート)を演奏しています。全曲演奏してほしかった!

IVC 2010 - Elly Ameling Lied course

アーメリングとマスタークラスの指導をしているヤンセンです。ドビュッシーの「操り人形(Fantoche)」とデュパルクの「フィディレ(Phidylé)」を受講生と演奏しています。

●ルドルフ・ヤンセンの訃報記事、特集

NPO Radio4 - Podium

PLACE DE L'OPERA

Conservatorium van Amsterdam

diapason

The International Song Festival Zeist

The Violin Channel

Podium - Rudolf Jansen: duopianist op topniveau

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エリー・アーメリング&ルドルフ・ヤンセン/メンデルスゾーン歌曲集

かつてCBSからLPで発売されていたエリー・アーメリング&ルドルフ・ヤンセンのメンデルスゾーン歌曲集が、アーメリングのYouTube公式チャンネルからアップされました。CD化を諦めていたので、ファンには望外の贈り物となりました!公式チャンネルさん有難うございます!!ちなみにこちらのリンク先に以前オリジナルのLPについて書いた記事があります。

Elly Ameling; Mendelssohn Lieder

録音:1979年12月4日, 30th Street Studio, New York

Elly Ameling(S)
Rudolf Jansen(P)

00:06 Auf Flügeln des Gesanges (歌の翼に), Op. 34-2
03:27 Gruss (挨拶), Op. 19-5
05:07 Neue Liebe (新しい愛), Op. 19-4
07:19 Romanze (ロマンス), Op. 8-10
09:56 Bei der Wiege (ゆりかごのそばで), Op. 47-6
13:48 Tröstung (慰さめ), Op. 71-1
16:14 Im Herbst (秋に), Op. 9-5
18:56 Frühlingslied (春の歌), Op. 47-3
21:45 Der Mond (月), Op. 86-5
23:54 Die Liebende schreibt (恋する女の手紙), Op. 86-3
27:16 Suleika (Ach, um deine feuchten Schwingen) (ズライカ "ああ、湿り気をおびてそよいでくるおまえ"), Op. 34-4
30:10 Suleika (Was bedeutet die Bewegung) (ズライカ "心をかきたてるこのそよぎは何なのでしょう"), Op. 57-3
33:44 Lieblingsplätzchen (お気に入りの場所), Op. 99-3
37:03 Das erste Veilchen (最初のすみれ), Op. 19-2
39:51 Des Mädchens Klage (乙女のなげき)
42:16 Nachtlied (夜の歌), Op. 71-6
45:33 Hexenlied (魔女の歌), Op. 8-8

※曲名の日本語は国内盤LPの表記によりました。

お勧めは全曲です(笑)
このころのアーメリングの弱声で絞りこんだ時のニュアンスの豊かさは心を鷲掴みにされます!
メンデルスゾーンの歌曲は「歌の翼に」「挨拶」「新しい愛」あたりが有名でよく演奏されます。
子守歌の「ゆりかごのそばで」は彼女の良さ全開ですし、「春の歌」と「秋に」の雰囲気の違いはメンデルスゾーンの歌曲創作の振り幅の大きさをあらためて実感でき、同時にアーメリングの多才さが感じられます。
「ズライカ」の2曲はシューベルトと雰囲気が真逆でとても興味深いです。
「乙女のなげき」もシューベルトとの違いを楽しめると思います。
「夜の歌」は真に感動的で、隠れた名曲と言えると思います。
そして「魔女の歌」をはじめてこの録音で知った時の衝撃を思い出しました。歌もピアノパートもとてもドラマティックで楽しめると思います。

個人的に大昔の思い出があって、まだ学生だった頃にラジオでドイツ語講座を聞いていた時期があったのですが、メンデルスゾーンの「お気に入りの場所」の歌詞を解説するという回があり、その時にこのアーメリングの音源が流れたのを思い出しました。よき思い出です。

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エリー・アーメリング公式チャンネル動画2本更新:ショッソン『7つの歌曲』、コンサートアンコール(トゥリーナ、エリントン)

嬉しいことにエリー・アーメリング公式チャンネルに新しい動画が2本アップされていました。

●コンサートのアンコール2曲:トゥリーナ、エリントン
Elly Ameling; Two encores, Turina and Ellington

アンコール2曲、1985年10月6日フレーデンビュルフ録音
00:05 ホアキン・トゥリーナ:カンタレス(歌)
2:09 デューク・エリントン:ソフィスティケイテッド・レイディー

エリー・アーメリング(S)
ルドルフ・ヤンセン(P)

Two encores, recorded Vredenburg, October 6 1985
00:05 Joaquín Turina - Cantares
2:09 Duke Ellington - Sophisticated Lady

Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano

コンサートのアンコールとして演奏された2曲とのことです。私の知る限り初出音源ではないでしょうか。スペイン歌曲とジャズのスタンダードナンバーをヤンセンがピアノでつないで続けて演奏しているのが興味深いです。全く異なる様式の作品をこうしてまとめて披露してしまえるアーメリングはやはり凄い人ですね。

●ショッソン(一般的な表記はショーソン)『7つの歌曲』Op. 2
Elly Ameling; Sept Mélodies op. 2 - Chausson

ショッソン『7つの歌曲』Op. 2
00:05 1.ナニー
02:43 2.魅惑
04:46 3.蝶々
06:08 4.最後の一葉
08:27 5.イタリア風のセレナード
10:22 6.ヘーベ
13:06 7.ハチドリ

Sept Mélodies op. 2 - Ernest Chausson (1855-1899)
00:05 Nanny (Charles Leconte de Lisle)
02:43 Le charme (Paul Armand Sylvestre)
04:46 Les Papillons (Théophile Gautier)
06:08 La dernière feuille (Théophile Gautier)
08:27 Sérénade Italienne (Paul Bourget)
10:22 Hébé (Louise Ackermann)
13:06 Le Colibri (Charles Leconte de Lisle)

Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano
AVRO RK3, 1-12-1982

ショッソンの『7つの歌曲』Op. 2全曲がここで演奏されていますが、このうち1曲目の「ナニー」のみ彼女の放送録音集"80 jaar"に同一音源が収録されています。実はオランダのネットラジオ局Radio 4で以前にこの全曲が放送されたことがありますが、こうして動画サイトで繰り返し聴けるようにしてもらえるのはファンにとって嬉しいだけでなく歌を勉強している方にとっても有難いことではないかと思います。ショッソンの歌曲は和声の機微がなんとも言えない味を醸し出していて、聞くたびに惹かれます。この7曲のうち「ハチドリ」はコンサートで彼女がよく歌っていて私もアンコールで実際に聴きました。歌曲集としてまとめて聴くと、ショッソンの作風の様々な側面が感じられてとても魅力的でした。そしてアーメリングの歌唱とヤンセンのピアノはいつもながらそれぞれの異なる世界観を細やかに提示してくれています。

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(2021/11/7追記)

2021/10/30の10:15-12:45、14:00-16:30にエリー・アーメリングのマスタークラスが実施されたようです。オランダのゼイストで2021/10/22-31まで催された国際リート・フェスティヴァル(Internationaal Lied Festival Zeist)の一環のようです。
Twitterに参加された方からのリポートがありましたのでリンクを貼っておきます。日本のピアニスト木口さんも参加されたそうです。

木口雄人
https://twitter.com/kiguchi_yuto/status/1453402816266096642

Margriet Schipper
https://twitter.com/MargrietSchipp1/status/1454108546119917570

それからアーメリングといくつかの録音やコンサートで名演を残した指揮者ベルナルト・ハイティンクさん(Bernard Haitink: 4 March 1929 – 21 October 2021)のご冥福をお祈りいたします。

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エリー・アーメリングのブラームス歌曲集(Elly Ameling: Brahms Lieder)

エリー・アーメリング(Elly Ameling)のYouTube公式チャンネルで、今度はブラームス歌曲集がアップされました!アーメリングの歌うブラームスも最高なんです!!!

今回の録音はおそらく4種類のスタジオ録音(うち3種類はブラームス歌曲集として発売されたスタジオ録音)と1種類のライヴ音源と思われます。編集のThom Janssenは、歌詞のアルファベット順に配置したようです。おそらくアーメリング自身の書き込みの入った楽譜が表示されますので、ブラームス歌曲を勉強している方向けなのだと思いますが、私のような単なる音楽ファンにとっても嬉しいです。

全部が聴き所だと思いますが、個人的に好きなのは「湖上で」「黄昏は上方から降り来て」「リンデの木に霜がおり」「野の孤独」「別れはなければならないのか」「夢遊病者」「五月の夜」「使い」あたりでしょうか。もちろん他の録音も素晴らしいです。ヴィオラ助奏の「宗教的な子守歌」が彼女の歌で聴けるのは嬉しいですね。彼女のブラームスは、この作曲家の渋いイメージを払拭してくれるのではないでしょうか。いつも通りの細やかなアプローチが素晴らしいですが、ブラームスらしいメロディーラインもしっかり響かせています。そしてルドルフ・ヤンセン、ドルトン・ボールドウィン、ノーマン・シェトラーといった名手たちのピアノも素晴らしいです。ぜひお好きな曲だけでも楽しんでみて下さい。

1977年録音のボールドウィンとのLP録音は未だにB面の収録曲がほとんどCD化されていないので、今回期待したのですが、残念ながら収録されていませんでした。レコード会社に望むのは難しそうなので、こちらのチャンネルに期待したいです。

●1977年録音のDalton Baldwin共演盤の未CD化作品
Botschaft
Komm bald
Des Liebsten Schwur
Dein blaues Auge
Das Mädchen spricht
Von ewiger Liebe
Sandmännchen

特に「恋人の誓い(Des Liebsten Schwur)」はライヴなどの他音源も今のところありませんので、この曲だけでも復活希望です!(他の曲は別の時期の録音で聴くことが出来ます)


Elly Ameling; Brahms Lieder

00:00:05 Ach, wende diesen Blick (op 57/4) ¹ (ああ、この視線をそらして)
00:01:55 Am Sonntag Morgen, zierlich angetan (op 49/1) ⁵ (日曜日の朝に)
00:03:17 Auf die Nacht in der Spinnstub’n (op 107/5 Mädchenlied) ⁵ (娘の歌 "夜に糸紡ぎの部屋で")
00:05:09 Blauer Himmel (op 59/2 Auf dem See) ³ (湖上で)
00:08:09 Da unten in Tale läuft Wasser so trüb (WoO 33/6) ⁴ (あの谷底で)
00:10:57 Dämmrung senkte sich von oben (op 59/1) ³ (黄昏は上方から降り来て)
00:15:00 Dein blaues Auge (op 59/8) ¹ (あなたの青い目)
00:17:28 Der Mond steht über dem Berge (op 106/1 Ständchen) ⁵ (セレナード)
00:19:06 Die Blümelein sie schlafen (WoO 31/4 Sandmännchen) ² (眠りの精)
00:22:56 Die ihr schwebet um diese Palmen (op 91/2 Geistliches Wiegenlied) ⁴* (宗教的な子守歌)
00:29:11 Du milchjunger Knabe (op 86/1 Therese) ³ (テレーゼ)
00:31:01 Dunkel, wie dunkel (op 43/1 Von ewiger Liebe) (永遠の愛について)
00:35:36 Es hing der Reif im Lindenbaum (op 106/3) ¹ (リンデの木に霜がおり)
00:39:00 Es lockt und säusselt (op 6/2 Der Frühling) ⁴ (春)
00:41:40 Es steht ein Lind in jenem Tal (WoO 33/41) ⁵ (リンデが立っている)
00:44:26 Es träumte mir, ich sei dir teuer (op 57/3) ¹ (私は夢を見た)
00:47:58 Feinsliebchen, du sollst mir nicht barfuß gehn (WoO 33/12) ⁵ (美しい恋人よ、裸足で来ては駄目だよ)
00:51:10 Geuss’ nicht so laut (op 46/4 An Die Nachtigall) ³ (サヨナキドリに寄せて)
00:54:02 Guten Abend, gut’ Nacht (op 49/4 Wiegenlied) ⁴ (子守歌)
00:56:11 Guten Abend, mein Schatz (op 84/4 Vergebliches Ständchen) ¹ (甲斐なきセレナード)
00:57:59 Ich ruhe still, im hohen grünen Gras (op 86/2 Feldeinsamkeit) ³ (野の孤独)
01:02:13 Immer leiser wird mein Schlummer (op 105/2) ¹ (わが眠りはますます浅くなり)
01:06:24 In dem Schatten meiner Locken (op 6/1 Spanisches Lied) ⁴ (スペインの歌)
01:08:44 In stiller Nacht, zur ersten Wacht (WoO 33/42) ⁵ (静かな夜に)
01:11:39 Mei Mueter mag mi net (op 7/5 Die Trauerende) ⁴ (悲しむ娘)
01:13:28 Mein Lieb ist ein Jäger (op 95/4 Der Jäger) ⁴ (狩人)
01:14:38 Mein wundes Herz verlangt nach milder ruh (op 59/7) ³ (私の傷ついた心)
01:16:20 Meine Liebe ist grün (op 63/5) ³ (わが恋は緑)
01:17:53 Muss es eine Trennung geben (op 33/12) ³ (別れはなければならないのか)
01:21:30 O Frühlingsabenddämmerung (op 71/3 Geheimnis) ³ (秘密)
01:23:28 O kühler Wald, wo rauschest du (op 72/3) ³ (おお涼しい森よ)
01:25:42 O Nachtigall, dein süsser Schall (op 97/1 Nachtigall) ³ (サヨナキドリ)
01:28:16 O versenk’ dein Leid (op 3/1 Liebestreu) ³ (愛の誠)
01:31:08 O wüsst ich doch den Weg zurück (op 63/8) ¹ (おお帰り道を知っていたならば)
01:35:07 Och Modr, ich well en Ding han (WoO 33/33) ⁵ (おお お母さん、ほしいものがあるの)
01:36:49 Rosenzeit, wie schnell vorbei (op 59/5 Agnes) ⁴ (アグネス)
01:40:00 Ruhe, Süssliebchen (op 33/9 Ruhe, Süssliebchen) ³ (憩え、かわいい恋人よ)
01:46:27 Schwalbe, sag’ mir an (op 107/3 Das Mädchen spricht) ⁵ (娘は語る)
01:47:48 Schwesterlein, wann gehn wir nach Haus (WoO 33/15) ⁵ (お姉ちゃん)
01:50:42 Singe Mädchen, hell und klar (op 84/3 In Den Beeren) ⁴ (いちご畑で)
01:52:16 Störe nicht den leisen Schlummer (op 86/3 Nachtwandler) ³ (夢遊病者)
01:56:28 Unbewegte laue Luft (op 57/8) ¹ (そよがぬ生ぬるい風)
02:00:21 Voller, dichter tropft ums Dach da (op 58/2 Während des Regens) ⁵ (雨の間)
02:01:37 Von waldbekränzter Höhe (op 57/1) ⁴ (森に覆われた丘から)
02:04:01 Wann der silberne Mond (op 43/2 Die Mainacht) ³ (五月の夜)
02:07:23 Warum den warten von Tag zu Tag (op 97/3 Komm bald) ¹ (早くおいで)
02:10:03 Wehe, Lüftchen, lind und lieblich (op 47/1 Botschaft) ¹ (使い)
02:12:10 Wenn du nur zuweilen lächelst (op 57/2) ¹ (あなたがほんの時折でも微笑んでくれたら)
02:13:53 Wie Melodien zieht es mir (op 105/1) ¹ (メロディのように)
02:16:08 Wir wandelten, wir zwei zusammen (op 96/2) ¹ (私たちは歩き回った)

Elly Ameling
Rudolf Jansen (1983) ¹→おそらく5枚組CDボックス"80 jaar"に収録された1983年1月14日Concertgebouwでのライヴ録音と思われる。ただし「わが眠りはますます浅くなり」と「便り」は"80 jaar"では1978年10月3日Concertgebouw録音と記載されている。
Rudolf Jansen (1988) ²→おそらくPhilipsレーベルに録音した「歌の翼に」と題されたオムニバス歌曲集と同一音源
Rudolf Jansen (1990) ³→おそらくHyperionレーベルに録音した「ブラームス歌曲集」と同一音源
Dalton Baldwin (1977) ⁴→おそらくPhilipsレーベルに録音した「ブラームス歌曲集」と同一音源
Norman Shetler (1967) ⁵→おそらくHarmonia Mundiレーベルに録音した「ブラームス歌曲集」と同一音源
George Szende - viola *

Editing: Thom Janssen

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エリー・アーメリングのヴォルフ歌曲集!!!

エリー・アーメリング(Elly Ameling)のYouTube公式チャンネルで、なんとヴォルフのメーリケ歌曲集、スペイン歌曲集等が大量にアップされました!!!
もう大判振る舞いです。
大好きなアーメリングの歌う大好きなヴォルフの歌曲を素晴らしいピアニストのヤンセン、ボールドウィンとの共演で聴ける幸せ!!!
しかも、いくつかは初出ライヴ音源と思われます!!!(→2021/5/29追記:もしかしたら録音年月の表記間違いで、すでに発売されたライヴ音源と同じかもしれません。)
この週末はリピート決定です!

いつもこのチャンネルの動画を編集しておられるThom Janssen氏にも感謝です。

●Elly Ameling; Mörike Lieder - Wolf
ヴォルフ/『メーリケ歌曲集』より

00:00:06 Nimmersatte Liebe(飽くことのない愛) *
00:02:38 Er ist's(春だ) *
00:04:01 An den Schlaf(眠りに寄せて) *
00:06:17 Verborgenheit(隠遁) **
00:09:26 Begegnung(出逢い) *
00:10:59 In der Frühe(明け方に) *
00:13:40 Elfenlied(妖精の歌) **
00:15:50 An eine Aeolsharfe(エオリアンハープに寄せて) *
00:22:08 Lied vom Winde(風の歌) *
00:24:46 Im Frühling(春に) **
00:29:34 Storchenbotschaft(こうのとりの使い) *
00:33:35 Die Geister am Mummelsee(ムメル湖の亡霊) ***
00:37:13 Nixe Binsefuss(水の精ビンゼフース) ***
00:39:24 Auf eine Christblume I(クリスマスローズに寄せてⅠ) ***
00:44:38 Auf eine Christblume II(クリスマスローズに寄せてⅡ) ***
00:46:35 Das verlassene Mägdlein(捨てられた娘) ***
00:49:39 Lebe wohl(さようなら) ***
00:51:53 Schlafendes Jesuskind(眠る嬰児イエス) ***
00:55:19 Der Knabe und das Immlein(子供と蜜蜂) ***
00:58:00 Ein Stündlein wohl vor Tag(夜明け前のひととき) ***
01:00:12 Gebet(祈り) ***
01:02:43 Selbstgeständnis(告白) ***
01:03:58 Bei einer Trauung(ある結婚式で) ***
01:06:04 Rat einer Alten(老女の忠告) ***
01:08:12 Mausfallen-Sprüchlein(ねずみ捕りのおまじない) *

Elly Ameling
Piano
Rudolf Jansen * (recording Feb. 1989)
Rudolf Jansen ** (recording Sept. 1991)
Dalton Baldwin *** (recording Aug. 1970)

1991年のヤンセン共演録音と、1970年のボールドウィン共演録音はすでに発売されたCDやLPと同一音源ではないかと想像されます。
ところが1989年2月に録音されたライヴらしきヴォルフの音源は私は知らないので、おそらくアーメリングの初出個人所蔵音源なのではないかと思います。(→2021/5/29追記:実はすでに発売されたライヴ音源"80 jaar"に1989年2月21日録音の2曲(ねずみ捕りのおまじない、隠遁)が含まれていましたので、初めてではありませんでした。失礼しました。"80 jaar"に収録されている他のメーリケ歌曲集は1986年1月14日録音なのですが、もしかしたら今回のこの初出音源(*印の曲)も1986年が正しい可能性があります。そうすると初出音源はないことになります。)
個人的には大好きな「こうのとりの使い」の新しい音源(→2021/5/29追記:上述の通り、新しい音源ではないかもしれません。1986年のライヴ録音と歌詞を間違える箇所が同じなので、同一音源の可能性があります)が聞けたのが嬉しかったです!いやこれら全部嬉しいです!!

●Elly Ameling; Wiegenlied im Sommer - Wolf
ヴォルフ/夏の子守歌

Elly Ameling
Piano - Rudolf Jansen

こちらは箸休め的なとろけるような子守歌ですね。
ライニクの詩による美しい作品です。
録音データの記載はありませんでした。(→2021/5/29追記:"80 jaar"収録のものと同じ音源が使われているとしたら1982年5月12日録音となります。)

●Elly Ameling; Spanisches Liederbuch - Wolf
ヴォルフ/『スペイン歌曲集』より

00:06 WL No 2: In dem Schatten meiner Locken(私の巻き毛の陰で)
02:25 WL No 25: Ob auch finstre Blicke glitten(不機嫌な視線に苦しめられても)
04:38 WL No 26: Bedeckt mich mit Blumen(私を花で覆ってください)
08:07 WL No 12: Sagt, seid ihr es, feiner Herr(ねえ、あなたでしたの、素敵な殿方)
10:10 WL No 23: Tief im Herzen trag ich Pein(心の奥深く苦悩を抱え)
12:02 WL No 21: Alle gingen, Herz, zur Ruh(ものみな憩いについた、心よ)
14:01 WL No 24: Komm, o Tod, von Nacht umgeben(来たれ、おお死よ、夜に包まれて)
17:14 WL No 28: Sie blasen zum Abmarsch(出発の合図が鳴っている)
19:48 WL No 13: Mögen alle bösen Zungen(口の悪い人たちはみな)
21:43 WL No 34: Geh, Geliebter, geh jetzt(行って、恋人よ、もう行って)
25:42 WL No 30: Wer tat deinem Füsslein weh?(誰があなたのあんよを傷つけたの)
28:08 GL No 6: Ach, des Knaben Augen(ああ、嬰児の瞳は)
30:03 GL No 4: Die ihr schwebet(この棕櫚のまわりに漂う者たち)
33:04 GL No 7: Mühvoll komm ich und beladen(苦労を重ね重荷を背負って私は来ました)

WL = Weltliche Lied(世俗的歌曲)
GL = Geistliche Lied(宗教的歌曲)

Elly Ameling
Piano - Rudolf Jansen

録音データが記載されていませんが、これは彼女のキャリア最後のステレオ録音(Hyperion)と同一音源のように聞こえます。(→2021/5/29追記:Hyperionのヴォルフ歌曲集は1991年9月12-16日に録音されました。)
最後の「苦労を重ね重荷を背負って私は来ました」の苦悩の表現は、円熟期ならではの素晴らしさです。

本当は今日はフィッシャー=ディースカウの誕生日なので、彼の記事を書こうとしていたところ、この宝物のような音源を見つけてしまって急遽予定変更です。
F=ディースカウ・ファンの方ごめんなさい。
F=ディースカウについてはまたいずれ何か記事を書きます。

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アーメリング&ヤンセン(Ameling & Jansen)/タングルウッド・シューベルト・ライヴがレーベルのYouTube公式チャンネルで全曲聞けます!

かつてOMEGAレーベルから「Elly Ameling sings Schubert at Tanglewood」というタイトルでCDリリースされた後、しばらくしてオランダの廉価盤レーベルBrilliant Classicsから再発売されたアーメリングとヤンセンのタングルウッド音楽祭でのシューベルト・ライヴがYouTubeのレーベル公式チャンネルに全曲アップされていました。
太っ腹なレーベルです!感謝!

Elly Ameling sings Schubert

録音:1987年7月2日, Tanglewood's Theatre-Concert Hall (live)

Elly Ameling(エリー・アーメリング)(S)
Rudolf Jansen(ルドルフ・ヤンセン)(P)

00:00:00 Franz Schubert: Im Frühling(春に) D. 882, Op. 101: No. 1
00:04:34 Franz Schubert: Frühlingsglaube(春の想い) D. 686, Op. 20: No. 2
00:08:04 Franz Schubert: Erlafsee(エルラフ湖) D. 586, Op. 8: No. 3
00:12:07 Franz Schubert: Der Schmetterling(蝶々) D. 633, Op. 57: No. 1
00:13:47 Dedication to Maurice Abravanel(モーリス・アブラヴァネル夫妻への献辞)
00:14:46 Franz Schubert: An den Mond(月に寄せて) D. 296
00:20:00 Franz Schubert: An den Mond(月に寄せて) D. 193, Op. 57: No. 3
00:23:02 Franz Schubert: Der Einsame(孤独な男) D. 800, Op. 41
00:27:11 Franz Schubert: An die Entfernte(遥かな人に寄せて) D. 765
00:30:32 Franz Schubert: An Sylvia(シルヴィアに) D. 891, Op. 106: No. 4
00:33:30 Franz Schubert: Auf dem Wasser zu singen(水の上で歌う) D. 774, Op. 72
00:37:27 Franz Schubert: Heimliches Lieben(ひそやかな恋) D. 922, Op. 106: No. 1
00:41:40 Franz Schubert: Suleika I(ズライカⅠ) D. 720, Op. 14: No. 1
00:47:39 Franz Schubert: Die junge Nonne(若い尼僧) D. 828, Op. 43: No. 1
00:52:41 Franz Schubert: Iphigenia(イーピゲネイア) D. 573, Op. 98: No. 3
00:56:13 Franz Schubert: Ganymed(ガニュメデス) D. 544, Op. 19: No. 3
01:00:57 Franz Schubert: Die Götter Griechenlands(ギリシャの神々) D. 677
01:05:45 Franz Schubert: Der Musensohn(ムーサの息子) D. 764, Op. 92: No. 1
01:08:08 Franz Schubert: Die Blumensprache(花の言葉) D. 519

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