藤村実穂子&ヴォルフラム・リーガー/メゾソプラノ特別リサイタル(2014年11月3日 東京オペラシティ コンサートホール)

日本ロレックス提供 AAR創立35周年記念チャリティコンサート#3
藤村実穂子 メゾソプラノ特別リサイタル

2014年11月3日(月・祝)14:00 東京オペラシティ コンサートホール

藤村実穂子(Mihoko Fujimura)(メゾソプラノ)
ヴォルフラム・リーガー(Wolfram Rieger)(ピアノ)

グスタフ・マーラー(Mahler)/「少年の魔法の角笛」より
 ラインの小伝説
 無駄な努力
 この世の生活
 原初の光
 魚に説教するパドゥアの聖アントニウス
 この歌を思い付いたのは誰?
 不幸の中の慰め
 高い知性への賞賛

~休憩~

ヨハネス・ブラームス(Brahms)/「ジプシーの歌」Op.103より
 さあ、ジプシーよ!
 高く波立つリマの流れ
 あの子が一番きれいな時
 神様、あなたは知っている
 日焼けした青年が
 三つのバラが
 時々思い出す
 赤い夕焼け雲が

グスタフ・マーラー/「リュッケルトの詩による歌曲」
 美しさゆえに愛するなら
 私の歌を見ないで
 私は優しい香りを吸い込んだ
 真夜中に
 私はこの世から姿を消した

~アンコール~
五木の子守歌(ア・カペラ)
山田耕筰/赤とんぼ
さくらさくら

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先日紫綬褒章受章というおめでたいニュースのあった藤村実穂子のリサイタルを聴いた。
共演は名手ヴォルフラム・リーガーで、なんでもこの公演のためだけに前日に来日してコンサート後の深夜には帰国するとのこと。
藤村さんのためならというところだろうか。

マーラーを中心に、途中でブラームスの「ジプシーの歌」をはさんだプログラム。
今回は難民を助ける会の主催ということで、コンサート開始前に会の方2人が登場して挨拶され、その後に演奏が始まった。

前半はマーラー「少年の魔法の角笛」より8曲が続けて歌われた。
藤村さんの声は相変わらず美しく光沢がある。
ヴィブラートもきわめて精巧にコントロールされていて、明晰な発音で歌われるので、ヴァーグナーのボリュームたっぷりの歌を歌っている人と同じとは一見思えないほどだ。
どこをとっても理想的なリート歌手の資質をもって歌われる。
今回聴いて感じたのは、以前に比べて声の表現の幅が広がったのではということだった。
例えば最後に歌われた「高い知性への賞賛」は耳が大きいという理由だけでナイチンゲールとカッコウの歌合戦の審査員をつとめることになったロバの話が皮肉まじりに歌われるのだが、最後の(本当は歌のことを分かっていない)ロバのいななきは藤村さんの芸の幅の広がりが感じられてうれしくなった。
もちろん「原初の光」などでの静かで深みのある表現はいつもながら素晴らしいし、「無駄な努力」や「不幸の中の慰め」での男女の駆け引きの歌い分けのうまさなども印象的だった。
だが、一方、その声の美しさゆえに「この世の生活」では飢えに苦しむ子供の悲痛さがさらに感じられたらより良かったようにも感じられた。

後半の最初はブラームスの「ジプシーの歌」で、私の大好きな歌曲集である。
原曲は合唱曲でそこから8曲を抜粋してブラームスが独唱用に編み直したものである。
ジプシー(という言い方は今は控える傾向にあるようだが)の野性味あふれる表情や民俗色豊かな響きがなんとも魅力的で、リーガーの血肉となった非常に練られたピアノと共に藤村さんの表現も見事なものだった。
6曲目の「三つのバラが」は2節あるはずだが、私の記憶が間違っていなければ、1節終わったところでリーガーが最後の和音を弾いて終わってしまった。
リーガーが勘違いしただけだろうが、生ならではのハプニングだった(正直第2節も聴きたかったが)。
2曲目の「高く波立つリマの流れ」では繰り返す箇所を、例えばクリスタ・ルートヴィヒが歌ったように最初を低い旋律で、2回目を高い旋律で歌っていて効果的だった。
それにしても7曲目の「時々思い出す」は簡素ながらいつ聴いても実に感動的な作品だ。
藤村さんは声の質から言えば必ずしも曲の野性味とは合致しているわけではないが、彼女なりの精密で澄んだ声を生かした表現で聴き手を引き込んだ。

最後はマーラーの「リュッケルトの詩による歌曲」で、ここでの藤村さんの歌唱も秀逸だった。
特に「真夜中に」や「私はこの世から姿を消した」での音数の厳選されたメロディーでの心に沁みる歌の素晴らしさはなかなか聴けないほどのものだった。

そしてアンコールは意外なことに日本歌曲ばかり3曲で、いずれもよく知られたものだった。
藤村さんの日本の歌はどこまでも自然体なもの。
それゆえに作品の良さがそのまま伝わってくる。
特に「赤とんぼ」では私の中で熱いものがこみ上げてきそうになるほどだった。

ピアノのヴォルフラム・リーガーは今やドイツだけでなく、世界を代表する名歌曲ピアニストと言えるだろう。
自己顕示欲が一切なく、必要なだけ音を響かせ、また必要なだけ音を抑え、それでいて絶妙な間合いとルバートをもって作品に捧げている。
歌と完全に一心同体となり、安定したテクニックで作品の機微を描き尽くした。
歌とのアンサンブルとして最も理想的なピアノの響きを聴かせてくれた。
藤村さんがあえてこの為だけにでもリーガーに共演を依頼したというのも納得のいく素晴らしさだった。

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藤村実穂子&ヴォルフラム・リーガー/リーダーアーベントⅣ(2014年3月19日 紀尾井ホール)

藤村実穂子 リーダーアーベントⅣ
2014年3月19日(水)19:00 紀尾井ホール

藤村実穂子(Mihoko Fujimura)(MS)
ヴォルフラム・リーガー(Wolfram Rieger)(P)

R. シュトラウス(Strauss)/
薔薇のリボン(Das Rosenband) Op.36-1
白いジャスミン(Weißer Jasmin) Op.31-3
高鳴る胸(Schlagende Herzen) Op.29-2
愛を抱きて(Ich trage meine Minne) Op.32-1
愛する人よ、別れねばならない(Ach Lieb, ich muss nun scheiden) Op.21-3
憧れ(Sehnsucht) Op.32-2

静かな歌(Leise Lieder) Op.41-5
解放(Befreit) Op. 39-4
岸で(Am Ufer) Op.41-3
帰郷(Heimkehr) Op. 15-5
小さな子守唄(Wiegenliedchen) Op.49-3
子守唄(Wiegenlied) Op. 41-1

~休憩~

マーラー(Mahler)/歌曲集「子供の魔法の角笛」より(aus "Des Knaben Wunderhorn")
ラインの小伝説(Rheinlegendchen)
この世の生活(Das irdische Leben)
原初の光(Urlicht)
魚に説教するパドゥアの聖アントニウス(Des Antonius von Padua Fischpredigt)
この歌を思い付いたのは誰?(Wer hat dies Liedlein erdacht?)
不幸の中の慰め(Trost im Unglück)
無駄な努力(Verlorene Müh)
高い知性への賞賛(Lob des hohen Verstandes)

~アンコール~

マーラー/歌曲集「若き日の歌」より~ハンスとグレーテ(Hans und Grethe)
マーラー/歌曲集「若き日の歌」より~たくましい想像力(Starke Einbildungskraft)
マーラー/歌曲集「若き日の歌」より~別離と忌避(Scheiden und Meiden)

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藤村実穂子のリーダーアーベントを聴くのも今回で4回目となった。
毎回充実した歌唱を聴かせてくれる藤村だが、今回は特に血肉となった見事な歌の連続に深い感銘を受けた。
共演のピアニストは、第2回からずっと共演しているヴォルフラム・リーガー。
この人も国際的に活躍しているリートピアニストだが、今回が最も藤村さんとのアンサンブルが密に感じられた。

前半が12曲のリヒャルト・シュトラウス歌曲、後半がマーラーの「子供の魔法の角笛」からの8曲ですっきりまとめられていた。

青みがかった紫っぽい初お披露目と思われるドレスを着て舞台に登場した藤村さんはいつも通りの威厳が感じられた。
リーガーは髪に白いものが増えたような気がした。

最初の「薔薇のリボン」からすでに鍛えられて美しく充実した藤村さんの声が、あたかもなんともないかのような自然なディクションで響く。
ドイツ人でもないのに、この美しいディクションを聴くと、ドイツ語がとても美しい言語であるように感じられる。
そして曲が進むにつれて彼女の声がふくよかさを増し、つやつやと輝き、充分なボリュームで聴き手の耳を幸福に満たす。
「高鳴る胸」で"Kling-klang(クリン、クラン)"と胸のときめきを表現する時の藤村さんの愛らしいこと!
彼女の笑顔が聴く者の緊張をほぐしていく。
続いて甘美な「愛を抱きて」を情感こめて歌い、「愛する人よ、別れねばならない」の簡潔な悲しみの表現を見事に歌った。
そして不安げな雰囲気のピアノパートが印象的な「憧れ」で藤村さんは言葉の意味を歌唱で伝えきった。
例えば「君が冷たい眼を向けても」という時の"kalt(冷たい)"という言葉を彼女の声の質で表現し、何度も繰り返される"ich liebe dich(君を愛す)"をそのたびごとに表情を変えて表現した。
この曲が終わると、二人は拍手を受けていったん袖に戻ってからシュトラウスの次のグループに入った。
中でも名曲の評判高い「解放」をドラマティックに息の長いフレーズも含め見事に歌ったが、彼女はこの曲をリートの枠組みの中で歌いきった。
そこが他のオペラ歌手がシュトラウス歌曲をオペラアリアのように歌いたがるところと異なる美質だろう。
シュトラウスのグループ最後は2曲の「子守唄」が並んだ。
そして前半最後を締めくくる「子守唄」では完璧な彼らにしては珍しいミスがあった。
最初にリーガーが異なる音をぽんと鳴らすと、すぐに藤村さんも調子を崩したのである。
ほんのちょっとしたミスが伝染するというのは、藤村さんがピアノパートを実によく聴きながら歌っていることの証ではなかろうか。
もちろん二人はすぐに持ち直したが、緊密な関係であるからこそのミスの連鎖だったように私には思えた。

休憩後はオール・マーラーだが、こちらは本当に肩のこらない楽しい曲が中心だった。
だが、中には「この世の生活」のような曲もあったが、飢えた子どもと母親の会話による悲痛というよりは皮肉な表現を、彼女は声色を変えはしたがストレートに表現する。
そうすることによって、聴き手の想像力を掻き立てる節度のある歌唱だったと言えるのではないか。
「原初の光」はぴんと背筋が伸びるような真摯な表現が胸に迫った。
「ラインの小伝説」では王様の声色を変え、「不幸の中の慰め」や「無駄な努力」は恋人同士の一人二役をこなし、オペラ歌手の本領を発揮した。
「魚に説教するパドゥアの聖アントニウス」や「高い知性への賞賛」では彼女にしては珍しいコミカルな歌唱で、マーラーの皮肉を巧まずに表現した。
どの歌も藤村さんの自我が前面に出てくることは一切なく、曲そのものの姿をありのままに美しく提示してくれる。
そこに藤村さんの歌唱の素晴らしさがあるのではないだろうか。

なお、ピアノのヴォルフラム・リーガーの細やかで柔軟な表現力はさすが世界を股に活躍しているだけのことはある。
「憧れ」の後奏のように慈しむようにゆったりと弾きおさめる面があるかと思うと、「無駄な努力」のように雄弁な演奏で積極的に歌をつくりあげたりもする。
その対応の幅広さが彼を理想的なリート伴奏者としているのだろう。
音色は常に練られていて、耳に心地よい。
こういうピアニストを選んだ藤村さんの耳も素晴らしい。

なお、今回の来日ツアーの別公演のインタビューが興味深いのでぜひご覧ください。
 こちら

いかに彼女が使命感をもって日常のすべてを歌に捧げているかが伝わってくる。
このような生活を続けていて、彼女曰く「体が高速道路をファーストギアで走り続け、焼け焦げた車のモーターみたいになってしまいました」とのことで、残念ながら歌曲リサイタルは一時休止するとのこと。
一日も早く歌曲リサイタルを再開する日が来ることを祈りたい。

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藤村実穂子&ヴォルフラム・リーガー/リーダー・アーベントⅢ(2012年11月22日 紀尾井ホール)

紀尾井の声楽 2012
藤村実穂子 リーダー・アーベントⅢ

2012年11月22日(木)19:00 紀尾井ホール(1階2列5番)

藤村実穂子(Mihoko Fujimura)(mezzo soprano)
ヴォルフラム・リーガー(Wolfram Rieger)(piano)

シューベルト(Schubert)作曲
湖で(Am See) D746
水面で歌う(Auf dem Wasser zu singen) D774
ゴンドラの船頭(Gondelfahrer) D808
湖上にて(Auf dem See) D543b
流れ(Der Fluss) D693

マーラー(Mahler)作曲
「亡き子をしのぶ歌(Kindertotenlieder)」
 1.今太陽が眩く昇ろうとしている(Nun will die Sonn' so hell aufgeh'n)
 2.なぜそんなに暗い炎を(Nun seh' ich wohl, warum so dunkle Flammen)
 3.母さんが扉から(Wenn dein Mütterlein)
 4.よく思う、子供達は出掛けただけと(Oft denk' ich, sie sind nur ausgegangen)
 5.こんな天気に(In diesem Wetter)

~休憩~

ヴォルフ(Wolf)作曲
ミニョンの歌Ⅰ(Mignon I)「語れと命じないで(Heiß mich nicht reden)」
ミニョンの歌Ⅱ(Mignon II)「ただ憧れを知る人だけが(Nur wer die Sehnsucht kennt)」
ミニョンの歌Ⅲ(Mignon III)「このままでいさせて(So laßt mich scheinen)」
ミニョン(Mignon)「知ってる、レモンの花が咲くあの国を(Kennst du das Land)」

R.シュトラウス(Strauss)作曲
献呈(Zueignung) Op.10-1
何も(Nichts) Op.10-2
夜(Die Nacht) Op.10-3
もの言わぬものたち(Die Verschwiegenen) Op.10-6
イヌサフラン(Die Zeitlose) Op.10-7
万霊節(Allerseelen) Op.10-8

~アンコール~
R.シュトラウス/あなたの黒髪を私の頭に広げてください(2.Breit' über mein Haupt dein schwarzes Haar) Op.19-2
R.シュトラウス/ツェツィーリエ(Cäcilie) Op.27-2
R.シュトラウス/幸せがいっぱい(Glückes genug) Op.37-1

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メゾソプラノ歌手、藤村実穂子の紀尾井ホールでのリサイタルも今年で3回目となる。
そして、今宵、彼女がリート歌手としてもますます深化していることを目の当たりにすることが出来たのである。
共演のピアニストは前回と同じヴォルフラム・リーガー。
ハンプソンやファスベンダーなどの信頼あつい共演者として知られ、最近ではアネッテ・ダッシュとも来日した名手である。

今回彼女はいつものワインレッドのドレスではなく、ブルーの美しいドレスに身を包んで登場した。
そして、シューベルトの水に因んだ作品で始め、マーラーの「亡き子をしのぶ歌」へと進み、最後にシュトラウスの「万霊節」で締めくくるというプログラミングは、もしかすると彼女の震災への思いが反映されていると想像できないだろうか。
だが、アンコールの最後はシュトラウスの「幸せがいっぱい」であり、未来への希望を託した選曲といってもいいのではないだろうか。

そんな思いの詰まった彼女の歌唱、最初のシューベルトですでに私の胸を打つ。
いかに作品ひとつひとつに丁寧に取り組み、深く掘り下げられているのかが、発声の美しさだけでなく、言葉の語りの響きや表情からも感じられる。
マーラーでも一語一語から厳しい苦悩が滲み出る。
ヴォルフのミニョン歌曲集では、作曲家の書いた音を丁寧に紡ぎ、若き乙女の苦悩をあぶり出してみせる。第3曲の最後の締めは見事なまでに制御されたデクレッシェンドで強く訴えかけてきた。
最後のシュトラウス歌曲からは若き日のOp.10からの抜粋で、直截的で演奏効果の高い作品たちが藤村さんの丁寧で誠実な歌からほのかに匂い立つ響きがなんとも心地よい。

ピアノのヴォルフラム・リーガーは完全に歌手の歌を把握して、細やか、かつ積極的な音の綾を響かせる。
伴奏者という専門職に徹した者のみが達成できるであろう高みに達した名演だったと感銘を受けた。

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藤村実穂子&リーガー/リーダー・アーベントII(2010年11月11日 紀尾井ホール)

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紀尾井の室内楽vol.28
藤村実穂子 リーダー・アーベントII
~生誕200年 シューマンをうたう~
2010年11月11日(木)19:00 紀尾井ホール(1階2列5番)

藤村実穂子(Mihoko Fujimura)(メゾ・ソプラノ)
ウォルフラム・リーガー(Wolfram Rieger)(ピアノ)

シューマン(Schumann)/リーダークライス(Liederkreis)Op.39
 1.異郷にて
 2.間奏曲
 3.森の対話
 4.静寂
 5.月夜
 6.美しき異郷
 7.城砦にて
 8.異郷にて
 9.哀しみ
 10.たそがれ
 11.森で
 12.春の夜

~休憩~

マーラー(Mahler)作曲
春の朝(Frühlingsmorgen)
夏の交代(Ablösung im Sommer)
美しき喇叭の鳴るところ(Wo die schönen Trompeten blasen)
つらなる想い(Erinnerung)

ブラームス(Brahms)/ジプシーの歌(Zigeunerlieder)Op.103-1~7,11
 1.さあ、ジプシーよ!
 2.高く波立つリマの流れ
 3.彼女が一番美しいのは
 4.神よ、あなたは知っている
 5.日焼けした青年が
 6.三つのバラが
 7.時々思い出す
 11.赤い夕焼け雲が

~アンコール~

ブラームス/甲斐なきセレナードOp.84-4
ブラームス/セレナードOp.106-1
ブラームス/日曜日Op.47-3

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昨年に引き続き、バイロイトなどでも引っ張りだこのメゾソプラノ藤村実穂子が紀尾井ホールで歌曲の夕べを開いた。
共演ピアニストは去年のロジャー・ヴィニョールズ同様、歌曲ピアノの名手ヴォルフラム・リーガー。

プログラムは前半に生誕200年を記念してシューマンのアイヒェンドルフの詩による「リーダークライス」全12曲。
そして後半はこちらも生誕150年のマーラーの歌曲4曲と、ブラームスの「ジプシーの歌」独唱版である。

シューマンの「リーダークライス」第1曲「異郷にて」の第一声が響いた時、一年ぶりに聴いたその声のなんと神々しかったことか。
一瞬にしてその声の魔力に捕らえられてしまった。
よく声を極上のワインとかシルクとかに例える形容を目にすることがあるが、そんなふうに例えてもまだ足りないような熟成されたまろやかな声であった。
以前にも感じたが、この人の声はメゾソプラノといっても質自体はそれほど重くなく、ソプラノのような清澄さに深みと強さが加わったような感じである。
それがリートを歌う際に様々なタイプの作品に対応できる要因となっているのかもしれない。
凛としたたたずまいがどのような曲にも特有の気品を与え、短い個々の曲それぞれの特徴を的確に描き出していく。
ローレライを扱った「森の対話」では妖艶なローレライと正体を知ってしまった男との対話が実にくっきりと劇的に歌い分けられていた。
「たそがれ」の最後の警告を発する藤村の言葉はこれまでに聴いたことのないほどの切迫感にあふれていた。
「春の夜」の最後「彼女はきみのもの!(Sie ist dein!)」という締めくくりをインテンポでさらりと歌ったのも新鮮な解釈だった。

休憩後にまず歌われたマーラーの作品は一転して穏やかな「春の朝」で始まり、コミカルな「夏の交代」へと続く。
これらの曲に対する藤村のはまり方はまさにオペラ歌手の面目躍如であった。
次の「美しき喇叭の鳴るところ」ではリーガーの素晴らしいピアノも相俟って、静謐な美を感じさせられた。
最後に歌われた「つらなる想い」がこれほどドラマティックな作品だったとは彼女の今回の演奏を聴くまで気付かなかった。
彼女はオペラの一場面のように感情を激しく表面に出して、この小品から深い感情を引き出した。
これらの4曲があたかも交響曲の4つの楽章のように並べられ、様々なタイプのマーラーの作品を堪能できたのは、藤村の選曲センスの素晴らしさを物語っていた。

ブラームスの「ジプシーの歌」はもともと合唱曲として11曲が作曲され、後にその中の8曲が独唱曲として出版された。
その8曲はいずれも野性味あふれるとても魅力的な歌ぞろいで、私はこの歌曲集を何度録音で聴いたか分からないほど気に入っている。
それほど愛着があるにもかかわらず実演で聴けたのは今回がはじめてかもしれない。
案外演奏者にとっては難しい作品なのではないか。
藤村の歌唱はそれぞれの短い曲の魅力を実に細やかな表情で伝えてくる。
言葉さばきもいいし、テンポの揺らし方もいい意味で節度があった。
第2曲の「高く波立つリマの流れ」は後半を繰り返すのだが、歌声部に高低2種類のバリエーションがあり、どちらも同じ旋律を選んで2回繰り返す歌手が多い中、彼女はかつてC.ルートヴィヒが歌っていたように、最初を低い方、2回目を高い方で締めくくった。
このやり方だと変化も出て盛り上がるので私も気に入っている。
個人的に特に気に入っている第7曲「時々思い出す(Kommt dir manchmal in den Sinn)」を彼女は非常に美しく歌ってくれて感動的だった。

ピアノのヴォルフラム・リーガーをかつて実演で聴いたのはもう20年ほど前、フェルトキルヒのシューベルティアーデにおいてであった。
その頃はまだういういしい印象だった彼もすでに髪に白いものが混じる年齢になっていた。
あくまでも歌手をたてる彼のピアノはしかし実際にはかなり細やかな表情をたたえていた。
ピアノパートの聴かせどころをあえて抑えてまでも歌手の声を徹底して際立たせようとする姿勢は、これはこれで一つのよき歌曲演奏のあり方ではないかと感じた。
ただ「ジプシーの歌」では、声を消さないようにという配慮が痛いほど伝わってきたが、もっと前面に出ても彼女の声は聴こえたのではないかという気もする。

アンコールは3曲。
いずれもブラームスの名作が歌われた。
「甲斐なきセレナード」では男女の駆け引きがコミカルに歌われ、藤村の役者っぷりを充分に感じる歌唱だった。
リーガーが後奏を軽めにフェードアウトしていったのも洒落た演出で素敵だった。
最後の「日曜日」は演奏会で聴く機会はそれほど多くないものの、ブラームスの歌曲の中ではよく知られた小品である。
私にとっても高校時代の音楽の時間に歌のテストでピアノ伴奏を弾かされた懐かしい思い出が甦る。
こうした有節歌曲でも藤村は強弱のコントラストを付けてなんとも洒落っ気のある素敵な歌唱を披露していた。

なお、配布されたパンフレットの歌詞対訳も藤村さん自身の手によるものだったが、1行ごとに歌詞に対訳をつけていく形は演奏会で字を追っていくのには特に有効な方法と感じられた。
ただ、これらを演奏中にチラッと確認するためには客席をもう少し明るくした方がいいかもしれない。

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昨年のリサイタルツアーのライヴ録音がCD化され、会場で先行発売されていたものを購入して、終演後にサイン会の長蛇の列に並んだが、ステージでの堂々たる貫禄とは全く異なる腰の低さで感謝の気持ちをファン一人一人に向ける魅力的な女性がそこにはいた。

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藤村実穂子&ヴィニョールズ/リーダー・アーベント~ドイツ・ロマン派の心をうたう~(2009年3月3日 紀尾井ホール)

紀尾井の室内楽vol.14
Fujimura_vignoles_090303藤村実穂子 リーダー・アーベント~ドイツ・ロマン派の心をうたう~
2009年3月3日(火)19時 紀尾井ホール(1階2列7番)

藤村実穂子(Mihoko Fujimura)(MS)
ロジャー・ヴィニョールズ(Roger Vignoles)(P)

シューベルト作曲
1.泉に寄せてD530
2.春にD882
3.ギリシャの神々D677b
4.泉のほとりの若者D300
5.春の想いD686b
 
ワーグナー作曲
《ヴェーゼンドンク歌曲集》
6.天使
7.止まれ!
8.温室で
9.痛み
10.夢

~休憩~
 
R.シュトラウス作曲
11.私の想いのすべてOp.21-1
12.君は心の冠Op.21-2
13.ダリアOp.10-4
14.私の心は黙り、冷たいOp.19-6
15.二人の秘密をなぜ隠すのOp.19-4
 
マーラー作曲
《リュッケルトの5つの歌》
16.あなたが美しさゆえに愛するなら
17.私の歌を見ないで
18.私は優しい香りを吸い込んだ
19.真夜中に
20.私はこの世から姿を消した

~アンコール~
1.シューベルト/夕映えの中でD799
2.R.シュトラウス/明日Op.27-4

(上記の日本語表記はアンコール曲を除き、プログラム冊子に従いました)

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なんと心地よい声なのだろう。
藤村実穂子の歌うリートの数々をはじめて聴いて、その癖のないすっきりした発声、ヴァーグナー歌手らしからぬ内面的な慎ましさ、そしてどの音域にいたるまでまろやかに練り上げられた美声にすっかり魅せられてしまった。
アルトではなくメゾソプラノなので重くなく、ソプラノに深みが加わったような声で、聴いていて本当に気持ちよい声である。
高声では響きが渋い光沢に輝く。
徒に声を張り上げたりせず、豊かな響きを徹底して追求しているように感じた。
初リサイタル・ツアーというのが信じがたいほど、どの作品も自分のものにしていて、危なげがない。
多忙なオペラ、コンサート出演の続く中、一体いつリートを勉強しているのだろうか。

登場した藤村は予想に反して小柄な女性であった。
しかし、その音楽は威厳に満ち、気品にあふれ、堂々たるオーラを発散していた。

正直なところ、ヴァーグナーを得意とする歌手たちの歌うリートは、強靭で大柄な声のパワーでメロディーを朗々と響かせる作品で魅力を発揮する一方、レパートリーは限定されているような印象を抱いていた。

しかし、今回の藤村が最初に歌ったシューベルトの5曲は、いずれも声の威力で圧倒する作品は含まれていない。
むしろ恋人へのひそやかな思いを繊細に歌った作品がほとんどである(当初予定されていた「ガニュメート」「ズライカ」が曲目変更されたのも彼女なりの選曲のこだわりゆえだろう)。
それらをなんの違和感もなく、各曲のサイズに合った表情で歌うのは、一般のリート歌手でもそうたやすいことではないだろう。
藤村はミニアチュールの鑑のような「泉のほとりの若者」において"Pappeln"(ポプラ)という言葉をなんとも愛らしく響かせた。
また「ギリシャの神々」では遠き時代への憧憬を繊細な光沢をもって表現した。
ヴァーグナー歌手にとって一番意外性のある選曲を最初にもってきて、見事なまでに歌いこなしてしまうこの歌手の並外れた能力と志の高さにすっかり驚嘆してしまった。

ヴァーグナーの「ヴェーゼンドンク歌曲集」やR.シュトラウスなどは、多くのヴァーグナー歌手たちがしばしばレパートリーにしているので、藤村にとっても本領発揮といったところだろうか。
しかし「ヴェーゼンドンク歌曲集」が今回ほど「リート」として響いたのは私にとってはじめての経験である。
「トリスタン」との関連からか巨大すぎる歌にまみれた過去の演奏からリートとしての繊細さを取り戻した藤村の歌唱だった。

休憩後のR.シュトラウスの第一声が歌われると、前半よりもずっと声が豊かに響くのを感じる。
声が充分に温まってきたのだろう。
ここでもヴァーグナー歌手が好みがちな「ツェツィーリエ」や「ひそやかな誘い」などは選曲されず、むしろ軽快で穏やかな表情をもった小品が選ばれていたのが興味深い。
「私の想いのすべて」などはユーモラスな表情さえ見せる。
その持ち駒の幅広さを存分に楽しめた選曲と歌唱であった。

最後の「リュッケルト歌曲集」は音数の少ない凝縮された世界がユニークだが、それゆえにただ旋律をなぞるだけでは表現し尽せない難曲である。
この曲集を選曲した時点で並々ならぬ意欲が伝わってくるが、藤村の歌唱はこれらの曲の趣を巧まずに表現するという境地に達していた。
最後に置かれた「私はこの世から姿を消した」は、世の喧騒から離れて諦念の境地に達した者の心境を歌うという難しい内容だが、表情をもった声で感動的に表現していた。

熱烈な拍手の嵐にこたえて歌われたアンコールも素敵だった。
やや早めながら自然への賛歌をスタイリッシュに歌った「夕映えの中で」、そして動きの少ない旋律で静謐感を見事に表現した「明日」、いずれも彼女の知的なコントロールと感情表現とのバランスの良さが光っていた。

彼女は前半をちらしの写真のような紫のドレス、後半をシックな赤いドレスに着替えて歌っていた。
舞台からはける時も常に顔を客席に向けて拍手にこたえていたのが印象的だった。
ヴィニョールズと手をとって拍手にこたえた後も手をつないだまま袖に引っ込み、また、拍手喝采にこたえて再登場する時も手をつないで登場したりするのは、歌劇場でのカーテンコールの流儀だろうか。
全曲彼女が日本語訳したものがプログラム冊子と共に配布されたのも、彼女の解釈を知るうえで興味深かった。

ロジャー・ヴィニョールズは録音などではすでにお馴染みのイギリスを代表する歌曲ピアニストだが、実演ではもう10年以上前だろうか、シュテファン・ゲンツとシューベルトを歌ったコンサートで聴いて以来、本当に久しぶりだった。
彼のピアノはテクニックや雄弁さで聴かせるタイプというよりは、曲の雰囲気づくりの上手さにその美質があるように思う。
どんな曲も彼が前奏を弾き始めると、すぐにその作品の世界が広がり、その空気の中で歌手が自由に表現することが出来るのである。
この日のヴィニョールズも各曲の異なる世界を見事に弾き分け、歌手を心地よく歌わせていた。
徒にルバートをかけることもなく快適なテンポを維持しながらがっしりした指で豊かな音を紡いでいた。
テクニックを聴かせようという気負いがない分、素直に作品に溶け込んでいるのではないだろうか。
蓋は全開だったが、歌を覆うことの全くない見事なまでのコントロールであった。
シュトラウス「明日」の美しいメロディーなどはヴィニョールズの歌心が滲み出た名演であった。

初リサイタルにしてこれほど完成度の高い歌唱を聞かせた藤村のさらなる表現の深化を今から楽しみにしたい。
ヴィニョールズのようにイギリス人から優れた歌曲ピアニストが多く輩出されるという事実も非常に興味深いことである。

このコンサートはNHKのTVカメラが入っていて、4月に放送されるようである。

終演後、会場から四谷駅へ向かう帰り道、ライトに照らされた雪の美しかったこと。

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