ハンス・ホッター&ハンス・ドコウピルの1969年歌曲リサイタル初CD化!

名バスバリトン歌手のハンス・ホッター(Hans Hotter: 1909-2003)は今年が没後10年にあたります。
それを記念して、1969年の来日公演の演奏が2枚組でCD化されました。
1枚目は「冬の旅」で、これはもう何度も繰り返しCD復活しているお馴染みの盤ですが、注目すべきは2枚目。
LPで発売されて以来一度もCD化されなかったドイツ歌曲リサイタルがとうとう復活したのです!
形態はSACDですが、ハイブリッド盤なので、私のように普通のCDプレーヤーしか持っていなくても再生可能です。

さらにうれしいのは付属解説書が充実していることです。
歌詞対訳はもちろんのこと、LP初出時の様々な寄稿文章がそのまま掲載されており、さらにホッターとドコウピルの演奏写真やホッターのサインなどもあります。
ジャケットも初出のものを使っているようで、至れり尽くせりのファン垂涎のセットになっています(決して回し者ではありませんが)。

以前に書いた関連記事は以下をご覧ください。
 こちら

曲目詳細は以下のとおりです。

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シューベルト作曲
人間の限界 D.716
春の小川のほとりで D.361
泉 D.530
ひめごと D.719
ヘリオポリス II D.754
ドナウ川の上で D.553

シューマン作曲
新緑 作品35の4
だれがあなたを悩ませたのか? 作品35の11
古いリュート 作品35の12

ブラームス作曲
喜びに満ちたぼくの女王よ 作品32の9
メロディのように 作品105の1
セレナード 作品106の1
愛の歌 作品71の5
早くおいで 作品97の5

R.シュトラウス作曲
夜 作品10の3
みつけもの 作品56の1
胸の想い 作品21の1
夜の散歩 作品29の3
憩え、わが魂 作品27の1

レーヴェ作曲
魔王 作品1の3
追いかける鐘 作品20の3
婚礼の歌 作品20の1

[アンコール]
R.シュトラウス作曲
汝(なれ)こそわが心の冠 作品21の2
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早速シューベルト、シューマン、ブラームス、R.シュトラウス、レーヴェの歌曲集を聴いてみました。
東京文化会館の小ホールで演奏されたというだけあって、声を張り上げる必要もなく、自然な表情のホッターの声が聴けました。
ちょうど60歳のホッターによる歌唱ですが、「冬の旅」の批評でよく言われる声の衰えはそれほど感じませんでした。
むしろ温かみと親密感が増して、あたかも上野の小ホールの中で聴いているかのような臨場感があり、何度聴いても飽きることがありません。
ホッターの歌は特有の人間味があるんですね。
その包み込むような温かい声でシューベルトの「春の小川のほとりで」やシューマンの「新緑」、ブラームスの「メロディのように」などが聴けるのですから、素晴らしいです。
R.シュトラウスの「胸の想い」ではホッターのユーモアあふれる語りかけに思わず微笑んでしまいます。
レーヴェの「魔王」ではその緊迫感に手に汗にぎりますし、「婚礼の歌」での早口言葉も見事です。

ピアノのドコウピルは「冬の旅」の批評では概してあまり評判がよくないですが、この歌曲リサイタルを聴いた限りではなかなか良いです。
なによりもホッターの音楽とピッタリ性格が一致しているのがいいです。
ちょっとタッチが荒くなったりするところはありますが、それ以外はよく作品を読み込んだピアノだと私には思えました。
この来日公演の2年後にドコウピルは亡くなってしまうのですから分からないものですね。

このCD解説書の最後に鷹島真琴さんが来日公演などについて触れているのですが、その中で私のブログに触れておられるのが驚きであると共に責任の重さも感じました。

Amazonのサイトで試聴も出来ますので、興味のある方はぜひ。

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ホッター日本公演曲目1986年(第8回)

第8回来日:1986年10月

ハンス・ホッター(Hans Hotter)(BSBR)
小林道夫(P)
小林一夫(通訳)

10月24日(金)19:00 音楽の友ホール

●特別講演会 共演:小林道夫(P);小林一夫(通訳)

第Ⅰ部:ドイツリートから

シューベルト(Schubert)/春の小川にて;ミューズの寵児

ブラームス(Brahms)/日曜日;セレナーデ

ヴォルフ(Wolf)/考えてもみよ,おお心よ;庭師;あなたにセレナーデを捧げるために僕はやって来た

R.シュトラウス(Strauss)/わが胸の思い;みつけた花;あゝ悲し不幸なるわれ

第Ⅱ部:講演「ドイツリートの歌い方」

(上記の曲目の日本語表記は雑誌「音楽の友」の広告表記に従いました)

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ハンス・ホッター(Hans Hotter: 1909.1.19, Offenbach am Main – 2003.12.6, Grünwald)が最後の来日公演ツアーを行ってから12年後、77歳のホッターは再び来日した。
(財)ソニー音楽芸術振興会の招聘により、5回のマスター・クラスを開いたが、そのほかに1度だけ小リサイタルと講演を組み合わせた形でステージに立った。
共演ピアニストは、数知れない外来演奏家との共演歴をもつ小林道夫。
前半はシューベルト、ブラームス、ヴォルフ、R.シュトラウスのいずれもホッターお得意のレパートリーが披露されたようだ。
上述の曲目は雑誌の広告に予告されていたものなので、実際には別の曲も歌われたかもしれない(プログラム冊子は見ることが出来なかった)。
すでに歌手としての活動はほとんど行っていなかった時期のようで、当夜の聴衆は老境の巨匠の貴重な瞬間に立ち会えたことだろう。

私はこのころにはクラシックのコンサートにも通いはじめていたのだが、このリサイタルを聴かなかったのは今思うと残念でならない。
結局一度もホッターの実演に接する機会をもつことが出来なかった。
この小リサイタルを聴いたという人の話では声量はいささかも衰えていなかったとのこと。
音楽の友ホールのような小さなサロン風スペースで、親密な演奏が聴かれたのではないだろうか。

後半は「ドイツリートの歌い方」と題する講演が開かれた。
この内容については雑誌「音楽の友」1986年12月号の84~85ページにレポートが掲載されている。
「美しい水車屋の娘」を歌いたかったが諦めざるをえなかった事情など興味深い話を読むことが出来る。
興味のある方はぜひ図書館などでご覧ください。

ホッターの来日公演はおそらくこの1986年が最後だったのではないかと思う。
ホッターは引退コンサートのようなツアーを行うこともなく、自然に歌手活動から指導者へとシフトし、たまにオファーがあれば負担にならない歌を歌うというスタンスだったようだ。
いずれにせよ、日本の聴衆はホッターの最盛期から晩年まで接する機会をもてたわけで、たびたび来日してくれたことに感謝しなければならないだろう。

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ホッター日本公演曲目1974年(第7回)

第7回来日:1974年3~4月

ハンス・ホッター(Hans Hotter)(BSBR)
ジョフリー・パーソンズ(Geoffrey Parsons)(P)

3月26日(火)19:00 東京文化会館(プログラム1)
3月29日(金)19:00 大阪・フェスティバルホール(プログラム1)
4月1日(月)18:30 札幌・北海道厚生年金会館(プログラム1)
4月4日(木)19:00 岡山市民会館(プログラム1)
4月10日(水)19:00 虎ノ門ホール(プログラム2)

●プログラム1 共演:ジョフリー・パーソンズ(P)

シューベルト(Schubert)/歌曲集「冬の旅」作品89[D.911](Winterreise)
(おやすみ;風見の旗;凍った涙;凝結;菩提樹;溢れる涙;川の上で;かえりみ;鬼火;休息;春の夢;孤独;郵便馬車;霜おく髪;からす;最後の希望;村にて;嵐の朝;まぼろし;道しるべ;宿;勇気;幻の太陽;辻音楽師)

●プログラム2 共演:ジョフリー・パーソンズ(P)

シューマン(Schumann)作曲
歌曲集「詩人の恋」作品48(Dichterliebe)
(美しい五月に;わたしの涙から;ばらを、ゆりを、はとを、太陽を;おまえの瞳を見つめるとき;私の心をひたそう、百合のうてなに;神聖なラインの流れの川波に;私は恨むまい;花が知っていたら;鳴るのはフルートとヴァイオリン;あの歌がひびくのを聞くと;ひとりの若者がある娘を愛した;光りかがやく夏の朝に;夢の中で私は泣いた;夜ごとの夢に;昔話の中から;あのいまわしい昔の歌も)

ブラームス(Brahms)作曲
教会墓地にて(Auf dem Kirchhofe)
いこえ、やさしい恋びとよ(Ruhe, Süssliebchen)
サッフォー風の頌歌(Sapphische Ode)
ことづて(Botschaft)

シューベルト(Schubert)作曲
「白鳥の歌」[D.957]より(From "Schwanengesang")
~愛のたより(Liebesbotschaft);春のあこがれ(Frühlingssehnsucht);別離(Abschied);鳩の使い(Die Taubenpost);彼女のおもかげ(Ihr Bild);漁師の娘(Das Fischermädchen);まち(Die Stadt);影法師(Der Doppelgänger)

(上記の演奏者名と曲目の日本語表記はプログラム冊子に従いました)

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ハンス・ホッター(Hans Hotter: 1909.1.19, Offenbach am Main – 2003.12.6, Grünwald)の第7回目の来日は前回の2年後の1974年だった(ホッター65歳)。
共演ピアニストはシュヴァルツコプフの共演者として1968年以降何度も来日しているジェフリー・パーソンズ(Geoffrey Parsons: 1929.6.15, Sydney - 1995.1.26, London)で、この同じ年の暮れにはシュヴァルツコプフの最後の来日公演のために再び来日することになるのである。

今回のツアーも、4月10日に虎ノ門ホールでシューマン、ブラームス、シューベルトによる歌曲の夕べが催されたほかはすべて「冬の旅」であり、このプログラミングがホッターの来日公演ではすっかり定着した感がある。
ほとんどの聴衆はホッターの「冬の旅」が聴きたいということなのだろう。

プログラム2では過去の来日公演で披露したもののほかに、ブラームス「教会墓地にて」「いこえ、やさしい恋びとよ」、シューベルト「別離」「鳩の使い」「漁師の娘」といった初披露の作品も含まれている。
ブラームスの選曲など、同時期にDECCAレーベルにこのコンビで録音(外国でCD化されている)したレパートリーを思い出させる。

ジェフリー・パーソンズがジェラルド・ムーア以降の最高の歌曲ピアニストの一人であることは言うまでもないだろう。
オーストラリアのシドニー生まれの彼は、ブゾーニ門下のWinifred Burstonのもとで学び、1947年のABC演奏歌唱コンクールではブラームスのピアノ協奏曲第2番を弾いて優勝。
1950年にはピーター・ドーソンとイギリス演奏旅行を行い、ヒュッシュとの「冬の旅」の共演などを経て、1961年以降シュヴァルツコプフのピアニストとなった。
日本へは1968年のシュヴァルツコプフのリサイタルに同行したのが初めてで、彼女以外の演奏家と来日したのはホッターの1974年公演が最初だった。
その後しばらく来日していなかったが、オーラフ・ベーアやジェシー・ノーマンの共演者として再来日を果たし、さらにロス・アンヘレスとも来日する予定だったがキャンセルとなり、その翌年、65歳の若さで亡くなった。
ホッターとの来日公演のころは私はまだ幼かったのでもちろん聴いていないのだが、ベーアやノーマンとの来日公演を聴くことが出来たのはかけがえのない貴重な体験となった。
実際にパーソンズの演奏を聴いて、やはりずば抜けて非凡な存在だったと感じたものだった。
その音の美しさはなかなか聴けないほど魅力的だった。
楽屋のサイン会の列に並んだ際、ベーアと楽しそうに談笑していたパーソンズの表情が思い出される。
早すぎる死が悔やまれるピアニストだった。

リサイタル・ツアーとしてのハンス・ホッターの来日は今回が最後だが、実はもう1度長い不在の期間を経て来日し、講演と小リサイタルを組み合わせた形で舞台に登場している。
その内容についてはまた次回。

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ホッター日本公演曲目1972年(第6回)

第6回来日:1972年4月

ハンス・ホッター(Hans Hotter)(BSBR)
トム・ボレン(Thom Bollen)(P)

4月5日(水)19:00 東京・厚生年金会館(プログラム1)
4月8日(土)18:30 新潟県民会館(プログラム1)
4月10日(月)19:00 大阪・フェスティバルホール(プログラム1)
4月13日(木)18:30 札幌市民会館(プログラム1)
4月15日(土)18:30 函館市民会館(プログラム1)
4月18日(火)19:00 東京文化会館(プログラム2)
4月21日(金)18:30 千葉県文化会館(プログラム1)
4月24日(月)18:30 仙台・宮城県民会館(プログラム1)
4月27日(木)18:30 福岡市民会館(プログラム1)

●プログラム1 共演:トム・ボレン(P)

シューベルト(Schubert)/歌曲集「冬の旅」作品89(Winterreise)
(おやすみ;風見の旗;凍った涙;凝結;菩提樹;溢れる涙;川の上で;かえりみ;鬼火;休息;春の夢;孤独;郵便馬車;霜おく髪;からす;最後の希望;村にて;嵐の朝;まぼろし;道しるべ;宿;勇気;幻の太陽;辻音楽師)

●プログラム2 共演:トム・ボレン(P)

シューベルト(Schubert)作曲
1.春にD882(Im Frühling)
2.アリンデD904(Alinde)
3.遠く離れたひとにD765(An die Entfernte)
4.死と少女D531(Der Tod und das Mädchen)
5.影法師D957/13(Der Doppelgänger)
6.ミューズの子D764(Der Musensohn)

ブラームス(Brahms)作曲
7.四十歳ともなれば 作品94の1(Mit vierzig Jahren)
8.おお,ぼくが知っていたら 作品63の8(O wüsst ich doch)
9.日曜日 作品47の3(Sonntag)
10.さびしい森の中で 作品85の6(In Waldeseinsamkeit)
11.恋歌 作品71の5(Minnelied)

ヴォルフ(Wolf)作曲
12.アナクレオンの墓(Anakreons Grab)
13.散歩(Fussreise)
14.飽くことを知らぬ恋(Nimmersatte Liebe)
15.月はいたましい歎きをかかげて(Der Mond hat eine schwere Klag')
16.ブロンドの頭をお上げ(Heb' auf dein blondes Haupt)
17.ぼくはもう床の中で・・・(Schon streckt ich aus)
18.皆さま方にセレナードを・・・(Ein Ständchen Euch zu bringen)

R.シュトラウス(R.Strauss)作曲
19.あこがれ 作品32の2(Sehnsucht)
20.天の使者 作品32の5(Himmelsboten)
21.お前,ぼくの心のかわいい冠よ 作品21の2(Du meines Herzens Krönelein)
22.ああ悲し,不幸なるわれ 作品21の4(Ach, weh mir unglückhaftem Mann)
23.たそがれの夢 作品29の1(Traum durch die Dämmerung)
24.献呈 作品10の1(Zueignung)

(上記の曲目の日本語表記はプログラム冊子に従いました)

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ハンス・ホッター(Hans Hotter: 1909.1.19, Offenbach am Main – 2003.12.6, Grünwald)の第6回目の来日は前回の3年後の1972年で、すでに63歳だったことになる。
共演ピアニストは日本での初共演となったオランダ出身のトム・ボレン(Thom Bollen: 1933.4.17, Tilburg, Holland - 2004.3.6, Amsterdam)だった。

今回のツアーも、4月18日に東京文化会館で4人の作曲家による歌曲の夕べが催されたほかはすべて「冬の旅」であり、たまには他のプログラムが聴きたいと思う人もいたのではないだろうか。
まあそれだけ「冬の旅」だとお客さんの受けがいいということなのだろうが。

プログラム2では過去の来日公演で披露したもののほかに、シューベルト「遠く離れたひとに」「死と少女」、ブラームス「さびしい森の中で」、ヴォルフ「ぼくはもう床の中で」、シュトラウス「献呈」といった初披露の作品も加えて、意欲を見せている。

トム・ボレンは、ムーアやヴェルバ等に師事したピアニストで、クム・ラウデ音楽院を卒業後、ヨーロッパ各地でソロコンサートを開き、アムステルダム音楽院賞を受賞。
オランダ国立歌劇場のコレペティートルを経て、数多くの歌手の共演者として活動した。
ホッターのほかにも、マックス・ファン・エフモント、ロバート・ホル、モーリーン・フォレスター、エルナ・スポーレンベルフなどと共演してきたという。
ホッターが、毎回ほとんど異なるピアニストを日本に連れてきたのも、実演を聴いた方の楽しみの一つだったに違いない。

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ホッター日本公演曲目1969年(第5回)

第5回来日:1969年3~4月

ハンス・ホッター(Hans Hotter)(BSBR)
ハンス・ドコウピル(Hans Dokoupil)(P)

3月18日(火)18:30 名古屋・愛知文化講堂(プログラムA)
3月20日(木)19:00 東京文化会館 大ホール(プログラムA)
3月22日(土)18:30 仙台・東北大学川内記念講堂(プログラムA)
3月25日(火)19:00 東京文化会館 小ホール(プログラムB)
3月26日(水)18:30 福岡市民会館(プログラムA)
3月28日(金)18:30 札幌市民会館(プログラムA)
3月29日(土)19:00 大阪・フェスティバルホール(プログラムA)
3月31日(月)18:30 横浜・神奈川県立音楽堂(プログラムA)
4月2日(水)19:00 東京文化会館 大ホール(プログラムA)

●プログラムA 共演:ハンス・ドコウピル(P)

シューベルト(Schubert)/歌曲集「冬の旅」作品89(Winterreise)
(おやすみ;風見の旗;凍った涙;凝結;ぼだい樹;あふれる涙;川の上で;かえりみ;鬼火;休息;春の夢;孤独;郵便馬車;霜おく髪;からす;最後の希望;村にて;あらしの朝;幻;道しるべ;宿;勇気;幻の太陽;辻音楽師)

●プログラムB 共演:ハンス・ドコウピル(P)

シューベルト(Schubert)作曲
1.人間の力の限り(Grenzen der Menschheit)
2.春の小川に(Am Bach im Frühling)
3.泉に(An eine Quelle)
4.ドナウにて(Auf der Donau)
5.ひめごと(Geheimes)
6.ヘリオポリス(第2曲)(Heliopolis II)

シューマン(Schumann)作曲
7.新緑(Erstes Grün)
8.だれがおまえを悩ますのか(Wer machte dich so krank?)
9.古いリュート(Alte Laute)

ブラームス(Brahms)作曲
10.喜びに満ちたぼくの女王よ(Wie bist du, meine Königin)
11.早くおいで(Komm bald)
12.メロディーのように(Wie Melodien zieht es mir)
13.セレナーデ(Ständchen)
14.愛の歌(Minnelied)

R.シュトラウス(R.Strauss)作曲
15.夜(Die Nacht)
16.みつけもの(Gefunden)
17.胸の思い(All mein Gedanken)
18.夜の散歩(Nachtgang)
19.憩え,わが魂(Ruhe, meine Seele)
20.陽の光の中に(Im Sonnenschein)

レーヴェ(Loewe)作曲
21.魔王(Erlkönig)
22.追いかける鐘(Die wandelnde Glocke)
23.婚礼の歌(Hochzeitlied)

(上記の曲目の日本語表記はプログラム冊子に従いました)

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ハンス・ホッター(Hans Hotter: 1909.1.19, Offenbach am Main – 2003.12.6, Grünwald)の第5回目の来日は前回の2年後の1969年だった。
共演ピアニストは日本では初共演となったハンス・ドコウピル(1921, Olomouc (Olmütz) - 1971)がつとめ、全9公演中8公演で「冬の旅」を歌い、東京で1度だけ様々な作曲家による歌曲の夕べが開かれた。
今回もほとんど「冬の旅」ツアーと言ってもいいくらいだが、4月2日の公演はCBS SONYがライヴ収録して、ホッター4度目の「冬の旅」録音としてCD化もされて高い評価を得ている。
しかし、「冬の旅」の影に隠れているが、3月25日のプログラムBの公演も録音されており、LPで発売されたのは案外知られていないのではないか。
こちらは未だにCD化されておらず、復活を望んでおきたい。

プログラムBは東京文化会館の小ホールの限られた聴衆しか聴けなかった貴重なプログラムと言えるだろう。
ホッターの十八番が並んでいる選曲は魅力的だが、中でもシューベルトの選曲はこれまでの来日公演では披露されていないレパートリーばかりで、ホッターの意欲が伝わってくる。

故ハンス・ドコウピルはエーバーハルト・ヴェヒター、ハインツ・ホレチェク、リタ・シュトライヒなどとの共演でも知られるピアニスト。
随分前に老舗中古レコード店(もう閉店してしまった)でドコウピルをフィーチャーした輸入盤LPを見かけたが、高価だったため購入しなかった。
いつかまた見つかるといいのだが。

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(2009年6月27日追記)

3月25日のリサイタルのライヴ録音について、シューベルトの6曲は「冬の旅」の2枚組LP(SONC-16007~8)の第4面にカップリングとして6曲とも収録されて発売されたようだ。
それ以外の作品については、以下のLPに収録されていることを確認した(今日、資料室で実物を聴いてきた)。
プログラム冊子でのブラームスの曲順と入れ替わっている(2番目に置かれていた「早くおいで」が最後になっている)のは、拍手の感じからすると、LP用の編集というよりも実際に入れ替えて歌われたような気がする。
R.シュトラウスの最後に予定されていた「陽の光の中に」が省略されているのは時間の都合だろうが、それ以外は完全に収録されている。
ホッターもドコウピルもライヴゆえのミスはあるものの、当日の雰囲気が伝わってくる貴重な記録である。
すでに盛期を過ぎたと言われたものの、まだまだ充分見事な張りのある歌を聴かせてくれる。
SONYさん、ぜひCD化を!

ハンス・ホッター ドイツ・リートの夕べ-東京公演実況録音盤 1969.3.25
HANS HOTTER IN TOKYO Vol.2: DEUTSCHE LIEDER ABEND

CBS SONY: SONC-16013-J (LP)
ライヴ録音:1969年3月25日、東京文化会館小ホール

ハンス・ホッター(Hans Hotter)(バス・バリトン)
ハンス・ドコウピル(Hans Dokoupil)(ピアノ)

●A面
シューマン(Schumann)作曲
1.新緑 作品35の4(Erstes Grün)
2.だれがあなたを悩ませたのか 作品35の11(Wer machte dich so krank?)
3.古いリュート 作品35の12(Alte Laute)

ブラームス(Brahms)作曲
4.喜びに満ちたぼくの女王よ 作品32の9(Wie bist du, meine Königin)
5.メロディーのように 作品105の1(Wie Melodien zieht es mir)
6.セレナード 作品106の1(Ständchen)
7.愛の歌 作品71の5(Minnelied)
8.早くおいで 作品97の5(Komm bald)

●B面
R.シュトラウス(R.Strauss)作曲
9.夜 作品10の3(Die Nacht)
10.みつけもの 作品56の1(Gefunden)
11.胸の想い 作品21の1(All mein Gedanken)
12.夜の散歩 作品29の3(Nachtgang)
13.憩え,わが魂 作品27の1(Ruhe, meine Seele)

レーヴェ(Loewe)作曲
14.魔王(Erlkönig)
15.追いかける鐘(Die wandelnde Glocke)
16.婚礼の歌(Hochzeitlied)

アンコール
R.シュトラウス(R.Strauss)作曲
17.汝(なれ)こそわが心の冠 作品21の2(Du meines Herzens Krönelein)

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ホッター日本公演曲目1967年(第3回&第4回)

第3回来日:1967年1~2月

ハンス・ホッター(Hans Hotter)(BSBR)
クルト・ラップ(Kurt Rapf)(P)

1月25日(水)19:00 東京文化会館
1月27日(金)18:30 神戸国際会館
1月28日(土)19:00 京都会館
1月30日(月)18:30 大阪・フェスティバルホール
1月31日(火)18:30 大阪・フェスティバルホール
2月2日(木)18:30 東京文化会館(都民劇場:主催)
2月3日(金)18:30 東京文化会館(都民劇場:主催)
2月6日(月)19:00 東京文化会館
2月7日(火)18:30 大阪・毎日ホール
2月8日(水)18:30 札幌市民会館
2月11日(土)18:30 愛知県文化会館

●プログラム 共演:クルト・ラップ(P)

シューベルト(Schubert)/歌曲集「冬の旅」作品89(Winterreise)
(おやすみ;風見の旗;凍った涙;かじかみ;ぼだい樹;あふれる涙;川の上で;かえりみ;鬼火;いこい;春の夢;孤独;郵便馬車;霜おく髪;からす;最後の希望;村にて;あらしの朝;幻;道しるべ;宿;勇気;幻の太陽;辻音楽師)

(上記の曲目の日本語表記はプログラム冊子に従いました)

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ハンス・ホッター(Hans Hotter: 1909.1.19, Offenbach am Main – 2003.12.6, Grünwald)の第3回目の来日は前回の3年後の1967年だった。
共演ピアニストは前回同様クルト・ラップがつとめ、11公演すべてで「冬の旅」を歌った。
初来日の1962年から3回連続で「冬の旅」を披露したことになるが、「冬の旅」しか歌わなかったのは今回がはじめてのことである。

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第4回来日:1967年4月

ハンス・ホッター(Hans Hotter)(BSBR)他

4月3日(月)大阪・フェスティバルホール
4月6日(木)大阪・フェスティバルホール
4月7日(金)大阪・フェスティバルホール
4月9日(日)大阪・フェスティバルホール

●大阪国際フェスティバル
バイロイト・ワーグナー・フェスティバル

ワーグナー/楽劇<トリスタンとイゾルデ>

トリスタン:ウォルフガング・ウィットガッセン
イゾルデ:ビルギット・ニルソン
国王マルケ:ハンス・ホッター&ヨーゼフ・グラインドル
クルベナール:フランス・アンダーソン 他
大阪国際フェスティバル合唱団
NHK交響楽団
ピエール・ブーレーズ(C)

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「冬の旅」ツアーのわずか2ヶ月後、大阪でのバイロイト・ワーグナー・フェスティバルの一環として楽劇<トリスタンとイゾルデ>がとりあげられ、ホッターも参加してマルケ王を歌った(ヨーゼフ・グラインドルとのダブルキャスト)。
これまでの来日ではオーケストラとのコンサート形式でオペラアリアのさわりを歌うことはあっても、全曲に登場することはなかったので、当時のホッター・ファンを狂喜させたことだろう。
なお、「バイロイト・ワーグナー・フェスティバル」のプログラム冊子を今のところ見つけることが出来ないので、上記は音楽年鑑の情報である。

この大阪公演でのマルケ王の動画がありました。
http://www.youtube.com/watch?v=vJVbdeoiRSg

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ホッター日本公演曲目1964年(第2回)

第2回来日:1964年3月

ハンス・ホッター(Hans Hotter)(BSBR)
クルト・ラップ(Kurt Rapf)(P:プログラムA~C)
NHK交響楽団(NHK Symphony Orchestra)(プログラムD)
岩城宏之(Hiroyuki Iwaki)(C:プログラムD)

3月3日(火)19:00 東京文化会館:プログラムA
3月6日(金)18:30 神奈川県立音楽堂:プログラムB
3月7日(土)19:00 東京文化会館:プログラムB
3月9日(月)18:30 神戸国際会館:プログラムB
3月10日(火)19:00 京都会館:プログラムB
3月11日(水)18:30 大阪・毎日ホール:プログラムA
3月13日(金)18:30 東京・産経ホール:プログラムD
3月16日(月)19:00 東京文化会館(都民劇場主催):プログラムC
3月17日(火)19:00 東京文化会館(都民劇場主催):プログラムC
3月19日(木)19:00 東京文化会館(都民劇場主催):プログラムC

●プログラムA 共演:クルト・ラップ(P)

シューベルト(Schubert)作曲
1.老人の歌D778(Greisengesang)
2.春にD882(Im Frühling)
3.アリンデD904(Alinde)
4.ミューズの子D764(Der Musensohn)
5.旅人の夜の歌D768(Wanderers Nachtlied "Über allen Gipfeln")
6.タルタルスの群れD583(Gruppe aus dem Tartarus)

ブラームス(Brahms)作曲「四つの厳粛な歌」(Vier ernste Gesänge)
7.人の子らに臨むところは(Denn es gehet dem Menschen wie dem Vieh)
8.わたしはまた(Ich wandte mich und sahe an alle, die Unrecht leiden)
9.おお、死よ(O Tod, wie bitter bist du)
10.たといわたしが(Wenn ich mit Menschen- und mit Engelszungen redete)

ヴォルフ(Wolf)作曲
11.さようなら(Lebe wohl)
12.郷愁(Heimweh "Anders wird die Welt ...")
13.愛する人に(An die Geliebte)
14.狩人の歌(Jägerlied)
15.月はいたましい歎きをかかげて(Der Mond hat eine schwere Klag')
16.ブロンドの頭をおこせ(Heb auf dein blondes Haupt)
17.あなた方にセレナードを(Ein Ständchen Euch zu bringen)

R.シュトラウス(R.Strauss)作曲
18.あこがれOp.32-2(Sehnsucht)
19.夜のそぞろ歩きOp.29-3(Nachtgang)
20.なんと不幸な男Op.21-4(Ach weh mir unglückhaftem Mann)
21.みつけものOp.56-1(Gefunden)
22.なにもOp.10-2(Nichts)

●プログラムB 共演:クルト・ラップ(P)

シューベルト(Schubert)/《冬の旅》(Winterreise)
(おやすみ;風見の旗;凍った涙;かじかみ;菩提樹;あふれる涙;川の上で;回顧;鬼火;休息;春の夢;孤独;郵便;霜おく髪;鴉;最後の希望;村で;嵐の朝;幻影;道しるべ;宿;勇気;幻の太陽;辻音楽師)

●プログラムC 共演:クルト・ラップ(P)

シューベルト(Schubert)/「白鳥の歌」から(From "Schwanengesang")
~愛の便り(Liebesbotschaft);春の憧れ(Frühlingssehnsucht);彼女の絵姿(Ihr Bild);都会(Die Stadt);海辺で(Am Meer);影法師(Der Doppelgänger)

ヴォルフ(Wolf)/「ミケランジェロによる三つの歌」(Michelangelo-Lieder)
(生あるものはすべて滅びる;わが魂は深く感ずる;しばしば私は考える)

シューマン(Schumann)/「詩人の恋」(Dichterliebe)
(美しい五月に;私の涙から;薔薇に、百合に、鳩に;あなたの瞳を見つめる時;私の心を百合の萼に;神聖なラインの流れに;私は嘆くまい;花が知ったなら;鳴るのはフルートとヴァイオリン;恋人の歌を聞く時;若者は乙女を愛し;明るい夏の朝;夢の中で私は泣いた;夜ごとの夢に;昔話の中から;忌しい思い出の歌)

●プログラムD 共演:NHK交響楽団;岩城宏之(C)

ワグナー(Wagner)作曲
歌劇「さまよえるオランダ人」:又、期限が来た(Aria from "Fliegender": Die Frist ist um)
歌劇「ニュールンベルグのマイスタージンガー」:にわとこの花のかぐわしさ(Sachs' monologue from "Die Meistersinger von Nürnberg": Was duftet doch der Flieder so mild)
歌劇「ラインの黄金」:夕空に太陽の眼は輝き(Abendlich strahlt der Sonne Auge (Wotan) from "Das Rheingold")

(上記の日本語表記は原則としてプログラム冊子に従いました。)

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ハンス・ホッター(Hans Hotter: 1909.1.19, Offenbach am Main – 2003.12.6, Grünwald)の第2回目の来日は前回の2年後の1964年だった。
今回の共演ピアニストはもともとヴァルター・マーティン(Walter Martin)が予定されていたが、病気の為クルト・ラップに変更され、ホッターの来日時の記者会見中にマーティンの逝去が伝えられたという。
なお、ホッターとマーティンの共演は、1961年2月Hannoverでのライヴ録音がOrfeoレーベルから出ている。

今回抜擢されたクルト・ラップ(Kurt Rapf: 1922.2.15, Wien - 2007.3.9, Wien)はヴィーン出身の指揮者、ピアニストで、この時が初来日。
シュヴァルツコプフやグリュンマー、プライなどともピアニストとしての共演経験があったとのこと。
ホッターとのスタジオ録音は残念ながら残されていないようだ。

今回も東京公演が多いものの、全国各地で4種類のプログラムを披露している。
やはり「冬の旅」の公演回数が最も多いのはその人気の高さゆえだろう。
プログラムCの「白鳥の歌」抜粋、「ミケランジェロによる三つの歌」、「詩人の恋」という選曲は、初来日時の一番最初の公演(東京・産経ホール)と全く同じであり、ホッターの十八番といえるだろう。
一方、東京と大阪の2回だけ披露されたプログラムAは、シューベルト、ブラームス、ヴォルフ、R.シュトラウスといったリートの流れを追った意欲的な内容だが、興味深いのは、前回歌われたヴォルフとR.シュトラウスの歌曲が全くだぶっていないことである。
はからずもホッターのレパートリーの広さが日本の聴衆にアピールされたに違いない。
プログラムDのヴァーグナーは前回も共演したNHK交響楽団との再共演である。

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ホッター日本公演曲目1962年(初来日)

第1回来日:1962年2月

ハンス・ホッター(Hans Hotter)(BSBR)
ワルター・クリーン(Walter Klien)(P:プログラムA~C)
NHK交響楽団(NHK Symphonie Orchester)(プログラムD)
ウイルヘルム・シュヒター(Wilhelm Schüchter)(C:プログラムD)

2月8日(木)18:30 東京・産経ホール:プログラムB
2月10日(土)18:30 東京・産経ホール:プログラムC
2月12日(月)18:30 札幌市民会館:プログラムA
2月16日(金)19:00 大阪・毎日ホール:プログラムA
2月20日(火)18:30 名古屋市公会堂:プログラムA
2月21日(水)19:00 京都会館:京響と共演
2月24日(土)19:00 東京文化会館大ホール:プログラムA
2月27日(火)18:30 神奈川県立音楽堂:プログラムD
2月28日(水)19:00 東京文化会館大ホール:プログラムD

●プログラムA 共演:ワルター・クリーン(P)

シューベルト(Schubert)/《冬の旅》(Winterreise)
(おやすみ;風見の旗;凍った涙;かじかみ;菩提樹;あふれる涙;川の上で;回顧;鬼火;休息;春の夢;孤獨;郵便;霜おく髪;鴉;最後の希望;村で;嵐の朝;幻影;道しるべ;宿;勇気;幻の太陽;辻音楽師)

●プログラムB 共演:ワルター・クリーン(P)

シューベルト(Schubert)/《白鳥の歌》より(Aus dem "Schwanengesang")
~愛の使い(Liebesbotschaft);春の憧れ(Frühlingssehnsucht);君が像(Ihr Bild);都会(Die Stadt);海辺にて(Am Meer);影法師(Der Doppelgänger)

ヴォルフ(Wolf)/《ミケランジェロによる三つの歌》(Drei Gedichte von Michelangelo)

シューマン(Schumann)/《詩人の恋》(Dichterliebe)

●プログラムC 共演:ワルター・クリーン(P)

シューマン(Schumann)作曲
1.新緑(Erstes Grün)
2.誰がお前を悩ますのだ(Wer machte dich so krank)
3.[古いリュート](Alte Laute)
4.ひそかな恋(Stille Liebe)
5.旅心(Wanderlust)
6.二人の擲弾兵(Die beiden Grenadiere)

ブラームス(Brahms)作曲
7.四十路に(Mit vierzig Jahren)
8.知ることが出来たら(O wüsst ich doch)
9.日曜日(Sonntag)
10.サッフォー頌歌(Sapphische Ode)
11.とく来りませ(Komm bald)
12.使い(Botschaft)

ウォーロック(Warlock)作曲
13.通りすぎる(Passing by)
14.正義と真実(Fair and true)

アイルランド(Ireland)作曲
15.祈り(Adoration)

ヴォーン-ウィリアムズ(V-Williams)作曲
16.放浪児(The Vagabond)

ヴォルフ(Wolf)作曲
17.散歩(Fussreise)
18.満されざる恋(Nimmersatte Liebe)
19.鼓手(Der Tambour)
20.音楽師(Der Musikant)
21.望みなき恋(Die verzweifelte Liebhaber)
22.兵士Ⅰ(Der Soldat I)
23.船乗の別離(Seemanns Abschied)

R.シュトラウス(R.Strauss)作曲
24.わが心のきみ(Du meines Herzens Krönelein)
25.天の使い(Himmelsboten)
26.たそがれの夢(Traum durch die Dämmerung)
27.わが恋をいだいて(Ich trage meine Minne)
28.少年の誓い(Junggesellenschwur)

●プログラムD 共演:NHK交響楽団;ウイルヘルム・シュヒター(C)

ヴェルディ(Verdi)作曲
《運命の力》(L Forza del Destino)序曲(Overture)
《ドン・カルロ》(Don Carlo)第3幕 フィリポ二世のアリア(Philip's Aria)
《椿姫》(La Traviata)第1幕 前奏曲(Prelude)
《オテルロ》(Otello)第2幕 イヤーゴの信条(Jago's credo)

ワーグナー(Wagner)作曲
《タンホイザー》(Tannhäuser)序曲(Overture)
《ニュルンベルクの名歌手》(Die Meistersinger von Nürnberg)第2幕 ザックスの独白(Sachs' monologue)
《ニュルンベルクの名歌手》第3幕 徒弟達の踊りと職人達の入場(Tanz der Lehrbuben und Auftritt der Zünfte)
《ワルキューレ》(Walküre)第3幕 ウォータンの告別と魔の火の音楽(Wotan's farewell and fire spell)

(上記の日本語表記は原則としてプログラム冊子に従いました。)

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ドイツの名バスバリトン歌手である故ハンス・ホッター(Hans Hotter: 1909.1.19, Offenbach am Main – 2003.12.6, Grünwald)が今年で生誕100周年にあたるのを記念して、彼の過去の来日公演を調べていきたいと思う。

ヘルマン・プライの初来日が1961年、F=ディースカウの初来日が1963年であり、その間の1962年にホッターははじめて日本を訪れた。
モーツァルトの名手として名高かったヴァルター・クリーン(1928.11.27, Graz - 1991.2.10, Wien)を共演者に迎えてリートのプログラムを3種類、さらにシュヒター指揮N響とは十八番のヴェルディとヴァーグナーのアリアの夕べも歌った。

ホッターの声が日本ではじめて鳴り響いたのは東京・産経ホールでのシューベルト「愛の使い」だったことになる。
《冬の旅》はもちろん、《白鳥の歌》抜粋も、ヴォルフ《ミケランジェロによる三つの歌》も、《詩人の恋》もみなホッター十八番のレパートリーであるが、最も目をひくのが、プログラムCの途中に含まれるイギリス歌曲の数々である。
ウォーロック、アイアランド、ヴォーン=ウィリアムズの歌曲をホッターはオリジナルの英語で歌ったのだろうか。
そもそもイギリス歌曲をホッターの録音で聴いたことがなかったので、この選曲には驚かされた。
ホッターの英語の発音もそういえば聞いたことがない。
当時の人たちはどのような思いでこれらの歌曲を聴いたのか興味深いところである。

様々な作曲家によるオムニバス・プログラムのBとCは東京で各1回ずつで、他はすべて《冬の旅》であるところは、この歌曲集のわが国での愛好者の多さを考えれば納得できる選曲といえるだろう。
定評あるヴァーグナーを含むオペラアリアのプログラムも横浜と東京で1回ずつ歌われた。

なお、ヴァルター・クリーンは当時からソリストとしてもすでに著名だったとみえる。
2月26日(月)に東京文化会館で奥田道昭指揮日本フィルハーモニー交響楽団とモーツァルトの協奏曲ニ長調「戴冠式」K.537を演奏し、ホッターも客席で聴いていたようである。
さらにNHK弦楽四重奏団(海野良夫/坂本玉明/奥邦夫/堀江泰氏)とは3月8日(木)に同じ会場でブラームスのピアノ五重奏曲ヘ短調Op.34を披露している。

ホッターとクリーンが共演した録音といえばR.シュトラウス歌曲集が残されているぐらいだろうか。
初期の頃クリーンは積極的にリートを演奏していたようで、プライとの「白鳥の歌」やイルムガルト・ゼーフリートとのリサイタルなどの録音も作られている。

この初来日時の「二人の擲弾兵」を演奏した貴重な映像が以下にアップされていました。
http://www.youtube.com/watch?v=UB7uXIWfxGU

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ハンス・ホッター生誕100年に寄せて

1月19日は、往年の名バスバリトン、ハンス・ホッター(Hans Hotter: 1909.1.19, Offenbach am Main - 2003.12.6, Grünwald)の生誕100年の記念日にあたる。
彼の歌う「冬の旅」やレーヴェのバラード、シューマンのケルナー歌曲、ブラームスの歌曲、ヴォルフ「ミケランジェロ歌曲集」などはゆるぎない定評を得ており、愛聴している方も多いだろう。

私がはじめて彼のレコードを買ったのはジェラルド・ムーアとの「冬の旅」か「白鳥の歌」だったと思うが、同じムーアとの共演でもF=ディースカウとのあまりの違いに驚いた記憶がある。
とにかく「低い」というのが彼を聴いた第一印象だった。
「バスバリトン」というからにはバスとバリトンの中間なのだろうが、それにしては低すぎないかと感じていた。
当時中高生だった私には彼の声は渋すぎたのだ。
その頃音楽の友ホールで小林道夫とのミニコンサートとレクチャーを行う広告を見たと思うが、今思うと70代で来日して歌っていたというのは驚異的であり、聴かなかったことが悔やまれる。
結局彼の実演に接することはなかったが、レコードを通じて徐々に彼の声の低さにも慣れてくると、その唯一無二とも言える特有の温かい声の感触に惹かれていった。
低音の響きから滲み出る味のある心地よさとでも言ったらいいだろうか。
EMIのブラームス歌曲集(ムーア共演)など、「メロディーのように」ではじまり「裏切り」で終わるレコードを一体何度繰り返し聴いたことだろう。

1980年代だったと思うがFMでホッターのライヴが放送された時、余白の時間にホッターの歌う「辻音楽師」の異なる演奏を何種類も流して比較していたことがあった。
ホッターは4回「冬の旅」を録音しているが、その時はそれ以外の演奏(ライヴ?)もあったはずなのでエアチェックしなかったのが残念である。
いつかCDのボーナストラックかなにかで復活しないものだろうか。

ホッターのリート録音というとやはり「冬の旅」が真っ先に思い出されるが、正規の録音として発表されている4種類は以下の通りである(CD-Rでは1982年6月24日のコンラート・リヒターとのライヴ録音も出ている)。

Hotter_werba_winterreise1.ミヒャエル・ラウハイゼン(Michael Raucheisen)(P):DG:1942年11月&1943年, Berlin
2.ジェラルド・ムーア(Gerald Moore)(P):EMI:1954年5月24-29日, EMI Studio, London
3.エリック・ヴェルバ(Erik Werba)(P):DG:1961年12月15-18日, Brahmssaal, Musikverein, Vienna
4.ハンス・ドコウピル(Hans Dokoupil)(P):SONY:1969年4月2日, 東京文化会館大ホール(live)

4番目のドコウピルとの共演は東京でのライヴ録音なので別格として、最初の3つのスタジオ録音を見るとまさに歌曲ピアニストの代表格と次々に共演していることに気付く。
ホッターはヘルムート・ドイチュの著書「伴奏の芸術―ドイツ・リートの魅力」(1998年 ムジカノーヴァ)への寄せ書きの中で「特別な位置を占めている」パートナーとしてラウハイゼンとムーアの名を挙げている。
1970年代の歌曲録音ではジェフリー・パーソンズとも録音しており、ホッターが共演者に一流のピアニストを欲したことは注目に値する点だろう。

ハンス・ホッターがオペラの分野で果たした功績についてはきっと多くの方々が述べておられることだろう。
しかし、歌曲の分野においてもホッターがシュヴァルツコプフやヒュッシュ、F=ディースカウと並んでユニークな存在であったことは疑う余地もない。
朴訥で、去るものは追わず、来るものは拒まずと評されることのある彼の歌唱だが、実は人間味あふれる愛情に満ちたものであるように思わずにはいられない。
こういうタイプの歌手は今後あらわれないのではないだろうか。
そう思うと残された録音の数々が一層かけがえのないものに感じられるのである。

ホッターがシューマン「二人の擲弾兵」を歌った映像(ピアノはムーアだが映っていない)
http://jp.youtube.com/watch?v=7AAR-C5z3lg

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