フェリシティ・ロットさんへの感謝
イギリスのソプラノ歌手フェリシティ・ロット(Dame Felicity Lott)が2026年5月15日に亡くなりました。
癌におかされて闘病していることを数日前に公表したばかりで、心配しておりました(月刊音楽祭:ロンドン発 〓 イギリスのソプラノ歌手フェリシティ・ロットが末期がんを公表(2026/05/12))。
ロットを実演で聞けたのは3回-そのうち1回は2009年10月のプレヴィン指揮NHK交響楽団とのシュトラウス「カプリッチョ」からの最後の場面、そして2回は2011年の震災の翌月に王子ホールと東京文化会館大ホールで行われたリサイタルでした。
その時の感想などはこちらのリンク先からご覧いただけます(2009年、2011年)。
久しぶりに当時書いた文章を読んで、震災後のあの先が見えない絶望的な状況の中ではるばる英国から来てくれたフェリシティ・ロットとピアノのグレアム・ジョンソンに当時どれほど勇気づけられたか、昨日のことのように思い出されます。ロットは本当に貴婦人という言葉がぴったりの気品あふれる女性で、ステージでも人の良さがにじみ出ていました。当時計画停電なども行われていて、ロビーの照明もかなり控え目だったように記憶しています。たとえキャンセルだったとしても誰もアーティストを責めることはなかっただろうに、無理をおして来てくださり、本当に救われた時間でした。特に王子ホールの聴衆は不思議な連帯感でアーティストたちに割れんばかりの拍手を送りました。天災の前で音楽は決して無力ではなく、大きな力になるということを身をもって体験できた時間でした。
ロットの録音したCDもいくつか愛聴していましたが、最初に名前を知ったのはEMIのラヴェル歌曲全集だったと思います。その他に英独仏のとてつもなく広いレパートリーを録音で残していて、素敵な味わいで聞かせてくれました。
数日前に彼女が闘病していることを知ったばかりで、回復を祈っていたのですが、あまりにも早い旅立ちに驚いています。
どうか安らかにお休みください。ロットさん、有難うございました。
Askonas Holt: Dame Felicity Lott, 1947–2026
BBC: Soprano Dame Felicity Lott dies aged 79
Wigmore Hall: A Tribute to Dame Felicity Lott
OperaWire: Obituary: Dame Felicity Lott Dies at 79
Gramophon: Dame Felicity Lott has died
●Felicity Lott in Tokyo 2011 (01/10) • Introduction
Channel名:operacarioca - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
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