ジョン・ウストマン逝去
アメリカの著名な歌曲ピアニスト、ジョン・ウストマン(John Wustman: 25 December 1930, Byron Center, MI - 16 April 2026)が95歳で亡くなったそうです。
Renner-Wikoff Chapel & Crematory
Countermelody: Episode 456. John Wustman in Memoriam
ルチアーノ・パヴァロッティのリサイタルでは欠かせない存在だったウストマンですが、他にもレジーヌ・クレスパンとフランス歌曲やドイツ歌曲のアンソロジーを録音しコンサートでも共演していました。ビルギット・ニルソンとも多くのコンサートで共演していたようです。
また、演奏活動と並行して後進の指導にも力を入れていました。
往年のオペラ歌手たちが彼の共演者リストに綺羅星のごとく並んでいますが、彼の弟子であったスーザン・ダン(Susan Dunn)とトマス・ポッター(Thomas Potter)とは2010年頃にヴォルフの「メーリケ歌曲集」全曲のCDをリリースしています。
ウストマンが共演したことが分かっている演奏家たちのうちごく一部を列挙します(声部別の姓のアルファベット順)。
マリア・カラス Maria Callas(S)
レジーヌ・クレスパン Régine Crespin(S)
ミレッラ・フレーニ Mirella Freni(S)
グィネス・ジョーンズ Dame Gwyneth Jones(S)
ビルギット・ニルソン Birgit Nilsson(S)
エリーザベト・シュヴァルツコプフ Elisabeth Schwarzkopf(S)
レナータ・スコット Renata Scotto(S)
イリーナ・アルヒーポヴァ Irina Arkhipova(MS)
ブリギッテ・ファスベンダー Brigitte Fassbaender(MS)
クリスタ・ルートヴィヒ Christa Ludwig(MS)
エレナ・オブラスツォワ Elena Obraztsova(MS)
カルロ・ベルゴンツィ Carlo Bergonzi(T)
ニコライ・イェッダ(ゲッダ) Nicolai Gedda(T)
ルチアーノ・パヴァロッティ Luciano Pavarotti(T)
かつてNew York Times(1983年7月10日付)でLeslie Kandell氏によって書かれた記事「ピアニストと呼ばれることを好んだ欠かせない存在(Those 'Indispensable Presences' Who Prefer to Be Called Pianists)」の中で、いわゆる「伴奏者」と呼ばれる方々の本音を取材していて、昔レコ芸でその訳文を読んだ記憶があります。
その訳文が手元にないので、原文のリンクを貼っておきます(ウストマンの他に、マーティン・カッツ、ドルトン・ボールドウィン、サミュエル・サンダーズ、マーゴ・ギャレット、ジェイムズ・レヴァインが登場します)。
ここでウストマンがパヴァロッティとのリサイタルに出演した時のエピソードが語られています。
~以下、日本語訳~
世界ツアーでは、パヴァロッティに魅了されたファンが、親しみやすい大男のサインをもらおうとウストマン氏の横を駆け抜け、ほとんど踏みつけられそうになる。
「私の自尊心を救ってくれる唯一のものは、彼が私をとても高く評価してくれていることを知っていることです」とピアニストは付け加えた。「彼はプログラムの各グループの演奏が終わるたびに必ず感謝の言葉を述べ、私がどれほど素晴らしかったかを言ってくれるのです。私は、ここにいられることが本当に幸運だと感じています。彼と一緒にステージに立っているのは私一人だけなのですから。もし演奏が終わった後、4000人の観客が私を無視したとしても、全く気になりません。」
~日本語訳終わり~
観客がたとえ伴奏者には目もくれなくても、パヴァロッティはウストマンに賞賛の言葉をかけ続けていたというのは、歌手とピアニストの関係として本当に素晴らしいなぁと思います。
私がウストマンというピアニストを意識したのは、学生時代に渋谷のタワーレコードでCDを漁っていた頃です。オペラアリアや歌曲のピアノパートのみを録音したいわゆる「マイナス・ワン」もののCDが大量に棚に置いてあり、すべてウストマンが演奏していたのです。それらは通常のCDの2倍ぐらいのサイズで書籍のようでした。その時購入しておけば良かったのですが、予算の都合もあって購入を見送ってしまいました。しかし、歌手の練習としてだけでなく、歌曲のピアノパートだけを聞くことも出来る当時としては貴重な録音だったに違いありません。
ウストマンの実演を聞くことはかないませんでしたが、1977年12月にパヴァロッティと来日して東京文化会館でコンサートを行ったようです。
今日は彼のさまざまな録音を聞いて偲ぼうと思います。ウストマンさん、どうか安らかにお休みください。
●ルチアーノ・パヴァロッティ&ジョン・ウストマン
Luciano Pavarotti - rare recital with John Wustman
Channel名:Henrik Engelbrecht - opera og klassisk musik i øjenhøjde (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)
Caldara: Alma del core
Durante: Danza, danza fanciulla
Verdi: Ingemisco (from Requiem)
Bizet: Agnus Dei
12:12- Schubert: Ave Maria
Cilea: Lamento di Federico (from “L’arlesiana”)
Tosti: Serenata
Tosti: Non t’amo più
Tosti: Luna d’estate
Tosti: L’ultima canzone
Massenet: Pourqoui me réveiller (from “Werther”)
Tosti: Ideale
Tosti: A vuchella
Tosti: L’alba separa dalla luce l’ombra
Donizetti: Una furtiva lagrima (from “L’elisir d’amore”)
Puccini: Recondita armonia (from “Tosca”)
Puccini: Nessun dorma (from “Turandot”)

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