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エリーの要点「逆説」(Elly's Essentials; “Paradox")-ヨハネス・ブラームス:野の孤独(Johannes Brahms: Feldeinsamkeit, Op. 86, No. 2)

●Elly's Essentials; “Paradox"

Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です。音声が出ます。)

1:16-5:22 Johannes Brahms: Feldeinsamkeit, Op. 86, No. 2
Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano
Recorded: 14-18 August 1990, Rosslyn Hill Unitarian Chapel, Hampstead, London
Hyperion

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Feldeinsamkeit, Op. 86, No. 2
 野の孤独

Ich ruhe still im hohen grünen Gras
Und sende lange meinen Blick nach oben,
Von Grillen rings umschwirrt ohn Unterlaß,
Von Himmelsbläue wundersam umwoben.
 私は、高く茂った緑の葉の中で、静かに休息し、
 長いこと視線を上へ送る。
 まわりのコオロギは絶えず羽音を立て
 驚くほどの空の青さがあたりを包みこむ。

[Die schönen weißen]1 Wolken ziehn dahin
Durchs tiefe Blau, wie schöne stille Träume; --
Mir ist, als ob ich längst gestorben bin,
Und ziehe selig mit durch ew'ge Räume.
 美しく白い雲が流れていく、
 深い青の中を渡って、美しく静かな夢のように-
 あたかも私はとうに死んでいるかのよう、
 幸せに永遠の空間を共に流れていくのだ。

1 Allmers: "Und schöne weiße"

詩:Hermann Allmers (1821-1902), "Feldeinsamkeit", Bremen, first published 1860
曲:Johannes Brahms (1833-1897), "Feldeinsamkeit", op. 86 (Sechs Lieder) no. 2 (1879?) [ voice and piano ]

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(参考)

Elly's Essentials; “Paradox" (YouTube)

The LiederNet Archive

Hermann Allmers (Wikipedia: 独語)

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エリー・アーメリングの「マタイ受難曲」ソプラノアリア"Blute nur, du liebes Herz"(1970年3月, Amsterdam)

●"Blute nur, du liebes Herz" Elly Ameling BACH - MATTHÄUSPASSION BWV 244. LIVE: AMSTERDAM 23.03.1970

Channel名:Orphée Dormant(オリジナルのリンク先はこちら)

エリー・アーメリングが1970年3月にAmsterdamで歌ったライヴ音源がアップされていましたので共有します。
タイトルには3月23日と書かれていますが、こちらのリンク先(SoloistにAmelingと入力してSearch→Concert detailsをクリックすると表示されます)によると、ヨッフム指揮コンセルトヘバウ管弦楽団と3月19,20,22日に演奏していると記載されていて、Sandmanさんのアーメリング・ディスコグラフィーにも3月22日の音源が記載されていましたので、おそらく22日が正しいと推測されます。
声がみずみずしい時期のアーメリングの歌唱が聞けて素晴らしいです。

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ヴォルフ:追憶(Andenken)

Andenken
 追憶

1:
Ich denke dein,
[Wenn]1 durch den Hain
Der Nachtigallen
Akkorde schallen!
[Wann]2 denkst du mein?
 ぼくは君のことを考える、
 林中を
 さよなきどりの
 和音が響きわたるときに!
 君はいつぼくのことを考えるのだろう?

2:
Ich denke dein
Im Dämmerschein
Der Abendhelle
Am Schattenquelle!
Wo denkst du mein?
 ぼくは君のことを考える、
 夕映えの光で
 薄暗くなった
 日陰の泉のほとりで!
 君はどこでぼくのことを考えるのだろう?

3:
Ich denke dein
Mit süßer Pein,
Mit bangem Sehnen
Und heißen Tränen!
Wie denkst du mein?
 ぼくは君のことを考える、
 甘い痛みを伴って、
 不安なまま憧れを抱いて、
 熱い涙を流しつつ!
 君はどんなふうにぼくのことを考えるのだろう?

4:
[O denke mein,]3
Bis zum Verein
Auf besserm Sterne
In jeder Ferne
Denk ich nur dein!
 おお、ぼくのことを考えておくれ、
 もっと素敵な星で
 一緒になるときまで!
 遠くのどこにいても
 ぼくはただ君のことだけを考えるよ!

1 Matthisson (editions until 1803): "Wann"
2 Matthisson (editions after 1803): "Wenn"
3 Matthisson (Flora 1802): "Ich denke dein"

詩:Friedrich von Matthisson (1761-1831), "Andenken", written 1792-93, first published 1802
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Andenken", 1876

作曲:1877年4月23/25日, Windischgraz

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テオドア・ケルナー(Theodor Körner)の詩による「セレナード(Ständchen)」の後、17歳のヴォルフはフリードリヒ・フォン・マティソン(Friedrich von Matthisson)の詩「追憶(Andenken)」に作曲します。

この詩にはベートーヴェン(Andenken, WoO. 136)やシューベルト(Andenken, D 99)、ヴェーバー(Ich denke dein!, Op. 66-3)も作曲しています。以前同じテキストによるベートーヴェンの歌曲の記事を書いていますので、興味のある方はこちらのリンク先からご覧ください(リンク先でベートーヴェン、シューベルトなどの音源も共有しています)。

ヴォルフによる歌曲は、変形有節形式と考えられます。ピアノの右手は基本的に8分音符の和音を刻み、左手はバス音の中に単音の旋律を歌わせるところもあり、右手と共に歌声部とポリフォニックな関係で進んでいく箇所が印象的です。1連と2連の歌声部は同じメロディで始まりますが、2連は少しずつ変化させていき、"Wo denkst du mein?"の前に休符を入れて、主人公のとまどいを暗示します。2連の締めくくりの"Wo denkst du mein?"のメロディーを第3連の歌声部の冒頭にほぼそのまま持ってきて気持ちの連続性を保持したうえで、徐々に高揚し、"hei-ßen(熱い)"の音価を引き延ばして盛り上がります。最終連の歌声部("O denke mein(おお、ぼくのことを考えておくれ)")は長い音価と動きの少ないメロディーで始まり、主人公が真剣に恋人に心情を吐露しようとしているかのようです。徐々に高揚し、最終行の"nur dein(ただ君のことだけを)"を繰り返して高揚したままピアノ後奏に引き継ぎます。後奏は「情熱的に動いて(leidenschaftlich bewegt)」、「非常に表情豊かに(sehr ausdrucksvoll)」と指示があり、ひとしきり盛り上がった後、最終連最初の歌声部のメロディーを左手に歌わせて(「表情をもって(mit Ausdruck)」)徐々に静まって終わります。

個人的にとても良く出来た作品だと思います。初期の作品にもかかわらず、20世紀初頭から現在にいたるまでいくつかの録音が残されているのもその出来栄えの良さと魅力ゆえではないかと思います。

Helmut Schultz: Nachgelassene Werke, Erste Folge (Lieder mit Klavierbegleitung): Heft 1: Leipzig: Musikwissenschaftlicher Verlag, 1936

1連
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2連
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22_20260111194201 

3連
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4連
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9/8拍子
ホ長調(E-dur)
Etwas bewegt (いくぶん活発に)

●Wolf: Andenken
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●[Hugo Wolf:] Andenken
ソールヴェイ・ファリンゲル(S), トマス・シュバック(P)
Solveig Faringer(S), Thomas Schuback(P)

Channel名:Solveig Faringer - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●[Hugo Wolf:] Andenken
メアリー・ベヴァン(S), ショルト・カイノホ(P)
Mary Bevan(S), Sholto Kynoch(P)

Channel名:メアリー・ビーヴァン - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:11 October 2011, Holywell Music Room, Oxford, U.K.

●[Hugo Wolf:] Andenken
ベンヤミン・アップル(BR), ジェイムズ・ベイリュー(P)
Benjamin Appl(BR), James Baillieu(P)

Channel名:Benjamin Appl - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●[Hugo Wolf:] Andenken
カール・エルプ(T), ブルーノ・ザイドラー=ヴィンクラー(P)
Karl Erb(T), Bruno Seidler-Winkler(P)

Channel名:ブルー・ザイトラー・ヴィンクラー - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

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(参考)

The LiederNet Archive

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder II (1876-1890)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

IMSLP

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2025年に旅立った歌曲演奏家たち(歌曲が活動の中心ではない演奏家も含む)

エディト・マティス (Edith Mathis: 1938.2.11 - 2025.2.9)
スイスのソプラノ歌手。行年86歳。オペラ、宗教曲、歌曲とオールマイティに活動しました。1963年のベルリンドイツオペラ来日時のケルビーノ役は多くのファンを作ったようです。最初の夫だった指揮者ベルンハルト・クレーとの離婚後、美術品収集家のHeinz Sluneckoと結婚生活を営んでいたそうです。歌曲では、ヘルマン・プライと分担したモーツァルト歌曲全集(クレーのピアノ)、シューマンの女声用歌曲集(クリストフ・エッシェンバッハのピアノ)、カール・エンゲルとのモーツァルト&シューベルト、ジェラール・ヴィスとのシューマン、ブラームス、ヴォルフ、シュトラウス、それにDGレーベル・ブラームス重唱曲全集への参加(カール・エンゲルのピアノ他)、ハイペリオン・シューベルト・エディションへの参加(グレアム・ジョンソンのピアノ)、レーヴェ歌曲全集への参加(コルト・ガルベンのピアノ)などがあります。ヴォルフ「イタリア歌曲集」はレコードアカデミー賞の声楽曲部門を受賞したにもかかわらず、未だに抜粋でしか復活していないのは残念です。いつか全曲復活されることを願っています。清楚で芯の強さもあり、ディクションは完璧なうえ、会場で聞くと声量もあって、まさに理想的な歌曲歌手だっただけに逝去の報はショックでした。
amazon (Deutsche Grammophonに録音したエディト・マティスの歌唱が聞けます。シューマン歌曲はおそらくオリジナルのLP3枚分の全曲が収録されています。モーツァルト歌曲、ヴォルフ「イタリア歌曲集」は抜粋なのが残念)

ペーター・ザイフェルト (Peter Seiffert: 1954.1.4 - 2025.4.14)
ドイツのテノール歌手。行年71歳。ルチア・ポップの元夫。オペラが活動の中心で、歌曲を歌うイメージはほとんどありませんが、二度目の奥さんのペトラ=マリア・シュニッツァー(Petra-Maria Schnitzer)とOrfeoにシューマン夫妻の歌曲&二重唱曲集の録音を残しています。ピアノはチャールズ・スペンサー(Charles Spencer)。2001年11月20-21,27-28日&2002年4月30日ミュンヒェン録音。素敵な録音です。
amazon (ペトラ=マリア・シュニッツァー(S)、チャールズ・スペンサー(P)とのシューマン夫妻の歌曲&二重唱曲集)

アルフレート・ブレンデル (Alfred Brendel: 1931.1.5 - 2025.6.17)
チェコ出身のオーストリアのピアニスト。行年94歳。モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、リストなど幅広いレパートリーを誇るピアニスト。研究・執筆活動にも長けていました。歌曲の演奏はブレンデルの広範な活動のごく一部に過ぎませんが、プライ、ヴェヒター、F=ディースカウ、ゲルネらと共演しています。個人的には、1980年代前半のF=ディースカウとの「白鳥の歌」「シューベルト歌曲集」の録音が懐かしく思い出されます。その少し後ぐらいからPhilipsにシューベルトのピアノソナタを続々と録音していて、発売されたものを聞くのが楽しみだった記憶があります。シューベルトのソナタ21番1楽章のリピートを繰り返さないことで議論を呼んでいましたが、リピートすればさらに長大になるし、リピートを省くと1番括弧のパッセージが演奏されないままになってしまうので、難しい問題ですね。でも学究肌のブレンデルがパッセージを省略する形での演奏を常に行っていたというのがなかなか興味深いと思いました。
amazon (ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウとのシューベルト「白鳥の歌」全曲)

ジークムント・ニムスゲルン (Siegmund Nimsgern: 1940.1.14 - 2025.9.14)
ドイツのバスバリトン歌手。行年85歳。私はアーメリング&コレギウム・アウレウムとのバッハ「コーヒー・カンタータ」「農民カンタータ」の録音でニムスゲルンの名前を知りました。朴訥とした味わいのある歌手という印象でした。ヴァーグナーなどオペラを中心に活躍。現代作曲家の作品紹介にも積極的で、ハンス・ゲオルク・プフリューガー(Hans Georg Pflüger)の作品の録音も残しています。
amazon (シューベルト「冬の旅」。ピアノはハンス・ゲオルク・プフリューガー)

ベルンハルト・クレー (Bernhard Klee: 1936.4.19 - 2025.10.10)
ドイツの指揮者、ピアニスト。行年89歳。ソプラノ歌手エディト・マティスの最初の夫。ピアニストとしては、マティス、ヘルマン・プライと共にDeutsche Grammophonに最初のモーツァルト歌曲全集を録音しました。1974年11月のマティスの来日公演ではピアニストとしてモーツァルト、メンデルスゾーン、ヴェーベルン、ブラームスの歌曲を演奏しました。
amazon (120-124トラックの5曲のみマティスとのモーツァルト歌曲での共演が聴けます)

ロバータ・アレクザンダー (Roberta Alexander: 1949.3.3 – 2025.10.14)
アメリカ出身のソプラノ歌手。行年76歳。Etceteraレーベルなどに歌曲の録音を多く残しています。ドイツリートなどだけでなく、故郷アメリカの作品もとりあげています(アイヴズやコープランドの「エミリー・ディキンソン歌曲集」など)。指揮者として著名なバーンスタインが歌曲を作曲していることを知ったのはアレクザンダーのCDを通じてでした。
amazon (レナード・バーンスタイン作曲の歌曲集。ピアノはタン・クローネ(Tan Crone))

ベニタ・ヴァレンテ (Benita Valente: 1934.10.19 – 2025.10.24)
アメリカ出身のソプラノ歌手。行年91歳。確かクラシック演奏家の絵を描く仕事をされていた砂川しげひさ氏の文章でルドルフ・ゼルキンとの「岩の上の羊飼い」の録音に触れられていたのが彼女の名前を知った最初のきっかけだったと思います。他のアメリカ人ソプラノ歌手同様、彼女もまた澄み切った美声で伸びやかに歌うという印象を受けました。
amazon (ブラームス「愛の歌、ワルツ」;シューベルト「岩の上の羊飼い」。ピアノはルドルフ・ゼルキン、レオン・フライシャー(ブラームス))

バリトン歌手のトーマス・ヨハネス・マイヤー(Thomas Johannes Mayer)が新国立劇場の「ヴォツェック」の11月公演のうち最初の2公演ほど出演した後健康上の理由で降板し、カバー歌手の駒田敏章氏が残りの公演を引き継いだことがニュースになっていましたが、そのマイヤー氏が12月15日に56歳でお亡くなりになったそうです。2009年11月のアンドレアス・クリーゲンブルク演出での「ヴォツェック」は私も会場でマイヤーのタイトルロールを聞いていたので、驚きました。きっとご本人はさぞかし無念だったことと思います。
かなり前にリサイタルを聞いた藤井一興氏の逝去も驚きました。懐かしい名前ではコントラバスのゲーリー・カーも亡くなられたそうです。

歌曲演奏家以外にも多くの演奏家、作曲家がお亡くなりになりました。旅立たれた皆様、安らかにお休みくださいますよう祈っております。

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ヴォルフ:セレナード(Wolf: Ständchen "Alles wiegt die stille Nacht") (詩:Theodor Körner)

Ständchen
 セレナード

Alles wiegt die stille Nacht
Tief in süßen Schlummer;
Nur der Liebe Sehnsucht wacht
Und der Liebe Kummer.
Mich umschleichen bandenfrei
Nächtliche Gespenster;
Doch ich harre still und treu
Unter deinem Fenster.
 あらゆるものを静かな夜は揺り動かす、
 深く、甘美な眠りへと。
 目覚めているのはただ愛の憧れと
 愛の苦しみだけ。
 束縛を解かれて私の周りを取り囲むのは
 夜の幽霊たち。
 だが僕は静かに忠実に
 きみの窓の下で待ちわびている。

Holdes Mädchen, hörst du mich?
Willst du länger säumen?
Oder wiegt der Schlummer dich
Schon in süßen Träumen?
Nein, du bist gewiß noch wach;
Hinter Fensters Gittern
Seh ich ja im Schlafgemach
Noch das Lämpchen zittern.
 いとしい娘よ、聞こえるかい?
 もっと長いことぐずぐずしていたいのかい?
 あるいは眠りが
 甘い夢の中へともうきみを揺すっているのかい?
 いや、きみはきっとまだ起きている。
 窓格子の後ろの
 寝室で
 まだランプがちらちらしているのが見える。

Ach, so blicke, süßes Kind,
Aus dem Fenster nieder,
Leise wie der Abendwind
Flüstern meine Lieder;
Doch verständlich sollen sie
Meine Sehnsucht klagen
Und mit sanfter Harmonie
Dir: »Ich liebe« sagen.
 ああ、かわいい子、
 窓から下を見ておくれ。
 夕暮れの風のようにかすかな声で
 僕の歌がささやいているんだ。
 でも、聞き取れるように、歌に
 僕の憧れを嘆かせ
 そして穏やかなハーモニーで
 きみに「愛しているよ」と言わせるんだ。

Was die treue Liebe spricht,
Wird die Liebe hören.
Aber länger darf ich nicht
Deine Ruhe stören.
Schlummre, bis der Tag erwacht,
In dem warmen Stübchen;
Drum, feins Liebchen, gute Nacht,
Gute Nacht, feins Liebchen!
 忠実な愛が語ることを
 恋人は聞くだろう。
 だが、これ以上
 きみの憩いを邪魔するわけにはいかない。
 夜が明けるまでおやすみ、
 暖かい部屋で。
 では素敵な恋人よ、おやすみ、
 おやすみ、素敵な恋人!

詩:(Karl) Theodor Körner (1791-1813)
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Ständchen", 1877

作曲:1877年3月5日(4月12日), Windischgraz

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レーナウの3つの詩による「夕べの情景(Abendbilder)」の作曲後、一週間余り経ち、ヴォルフは次にテオドア・ケルナーの詩による「セレナード(Ständchen)」を作曲します。ケルナーは21年の短い生涯の間に多くの作品を残し、同時代を生きたシューベルトやヴェーバーは多数の歌曲・合唱曲を作りましたが、ヴォルフによるケルナー歌曲はこの1曲のみです。

周りが寝静まった頃、恋人の窓の下にやってきた主人公は、恋人がまだ起きているのかどうかを探ります。寝室にまだランプがちらちらと灯っているのを見て、「まだ起きている」と確信します。
そこで主人公は「窓から下を見て」もらえるように、恋人に「僕の憧れ」を「嘆」くセレナードを歌います。「恋人は聞」いているだろうと思う主人公ですが、「これ以上きみの憩いを邪魔するわけにはいかない」ので、「夜が明けるまでおやすみ」と伝えます。

周りが寝静まっている中、主人公の「愛の憧れ」と「愛の苦しみ」だけが目覚めています。やむにやまれぬ思いで恋人の家の窓の下で待っている主人公の期待と不安のないまぜになった心境を17歳のヴォルフが生き生きとした描写で表現しています。

2小節の穏やかな前奏に導かれて歌が始まりますが、"Tief in süßen Schlummer"の"Schlum-"まで半音階進行で歌われ、後のヴォルフのトレードマークともいえる半音階進行がこのころに作られたいくつかの作品で徐々に使用されるようになったのが分かります。
Wolf_standchen_1 

夜の幽霊たちに回りを取り囲まれると歌われた後に、急き立てるようなシンコペーションの間奏が続き(Schnell:速く)、すぐに我に返ったかのように元のテンポに戻ります(1tes Zeitmaß:最初のテンポで)。
Wolf_standchen_2 

「僕は静かに忠実に/きみの窓の下で待ちわびている」と歌われた後は子守歌のような優しいピアノ間奏が続きます(Mit Gefühl vorzutragen, ruhig bewegt:感情をこめて演奏する、落ち着いた動きをもって)。
Wolf_standchen_3 

その穏やかな間奏の音楽のまま、第2連「いとしい娘よ、聞こえるかい?」が歌われます。
「眠りが/甘い夢の中へともうきみを揺すっているのかい?」と歌われた後、ピアノの間奏の右手が高いフレーズと低いフレーズを交互に響かせ、あたかも2人の恋人同士の会話を主人公が妄想しているような印象を受けます。
Wolf_standchen_4 

その後、「いや、きみはきっとまだ起きている」と歌われる「いや(Nein)」の直前にフォルテの和音となり、歌声部はレチタティーヴォ風に語られます。
Wolf_standchen_5 

「寝室で/まだランプがちらちらしているのが見える」と歌われた後、情熱的なピアノ間奏が続き(immer leidenschaftlicher:ますます情熱的に)、恋人が起きていることを確信して高揚している主人公の気持ちが描かれます。
Wolf_standchen_6 

「ああ、かわいい子、/窓から下を見ておくれ」と恋人に語りかけた主人公は「夕暮れの風のようにかすかな声で/僕の歌がささやいているんだ」と歌い、高音域の十六分音符の分散和音の連続で「夕暮れの風」を模しているように思われます。
さらに「そして穏やかなハーモニーで」の箇所で再び十六分音符の分散和音があらわれ、美しい「ハーモニー」が聞かれます。
Wolf_standchen_7 

ヴォルフは「きみに「愛しているよ」と言わせるんだ」の「愛している(lie-be)」の音価を伸ばして強調し、その後のピアノ間奏もアクセントの連続で高揚感を出しています。
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最終節のはじめ「忠実な愛が語ることを/恋人は聞くだろう」まで力強い響きが続きますが、その後恋人の眠りを妨げないようにおやすみと言う箇所は優しく甘美な響きに戻り、おやすみ(Gute Nacht)を何度か繰り返して名残惜しそうに曲は終わります。
Wolf_standchen_9 

3/4拍子
ヘ長調(F-dur)
Sehr gehalten (非常に音を保って)

●Wolf: Ständchen "Alles wiegt die stille Nacht"
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Daniel Barenboim(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●[Hugo Wolf:] Standchen
クイレイン・ドゥ・ラン(BR), ショルト・カイノホ(P)
Quirijn de Lang(BR), Sholto Kynoch(P)

Channel名:Release - Topic(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:11 October 2011, Holywell Music Room, Oxford, U.K.

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(参考)

The LiederNet Archive

Theodor Körner (Schriftsteller) (Wikipedia: 独語)

Theodor Körners sämmtliche Werke / Erster Band / Siebente Auflage / Berlin / G. Grote'sche Verlagsbuchhandlung / 1872 ("Ständchen"はP. 111)

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder II (1876-1890)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

IMSLP

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エリー・アーメリング(Elly Ameling)の「Musings on Music」シリーズ:ラヴェル「おもちゃのクリスマス」(Maurice Ravel: Noël des jouets)

●Noël des jouets - Maurice Ravel - Musings on Music by Elly Ameling

Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

11:09-14:31
Maurice Ravel: Noël des jouets
Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano
Recorded: 9 January 1985, 104 studio, Radio France
Erato

Noël des jouets
 おもちゃのクリスマス

Le troupeau verni des moutons
Roule en tumulte vers la crêche
Les lapins tambours, brefs et rêches,
Couvrent leurs aigres mirlitons.
Vierge Marie, en crinoline.
Ses yeux d'émail sans cesse ouverts,
En attendant Bonhomme hiver
Veille Jésus qui se dodine
Car, près de là, sous un sapin,
Furtif, emmitoufflé dans l'ombre
Du bois, Belzébuth, le chien sombre,
Guette l'Enfant de sucre peint.
Mais les beaux anges incassables
Suspendus par des fils d'archal
Du haut de l'arbuste hiémal
Assurent la paix des étables.
Et leur vol de clinquant vermeil
Qui cliquette en bruits symétriques
S'accorde au bétail mécanique
Dont la voix grêle bêle:
"Noêl! Noêl! Noêl!"

Webサイト「詩と音楽」の対訳・解説(藤井宏行氏)

詩:Maurice Ravel (1875-1937)
曲:Maurice Ravel (1875-1937), "Noël des jouets", M. 47 (1905), published 1914 [ voice and piano ]

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(参考)

Noël des jouets - Maurice Ravel - Musings on Music by Elly Ameling (YouTube)

The LiederNet Archive

「詩と音楽」:おもちゃのクリスマス(対訳・解説:2006.12.22 藤井宏行氏)

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2026年 今年もよろしくお願いいたします

2026年になりました。
旧年中もブログをご訪問いただき、有難うございます。
コメントも励みになっております。

弊ブログは2005年11月3日にスタートしたので、昨年でちょうど20年経ったことになります。

ブログを始めた当初はいつまで続けるのか特に決めておらず、気が付いたらこんなに経っていたという感じです。備忘録と歌曲関連のデータベース的なものを書くというスタンスは変わっていませんが、過去に頻繁に出かけていたコンサートはすっかりご無沙汰してしまい、昨年は6月22日(日)14:00から経堂のKarura Hallで開催されたピアニストの江崎皓介さんのラヴェルリサイタル(ソナチネ、夜のガスパール、水の戯れ、クープランの墓、プレリュード(アンコール)、亡き王女のためのパヴァーヌ(アンコール))に行ったのみでした。こちらのコンサート、素晴らしかったです。江崎さんは真の実力者だと思っていますので、興味のある方はこちらのXからコンサートの情報などをチェックしてみてください。
最近は諸事情でコンサートはごくまれにしか行かなくなりましたが(昨年12月のアンネ・ソフィー・フォン・オッターのフェアウェルコンサートに行けなくて残念でした。他にも行きたかったコンサートはいくつもありました)、その分サブスクで沢山音楽に触れることが出来るので、今年も沢山音楽を楽しみたいと思います。

昨年からなんとなく始めたヴォルフ歌曲シリーズは今年ものんびりと続けていこうと思っています。

今年も皆さんにとって素晴らしい年になりますようお祈りいたします。

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