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エリーの要点「なぜ?」(Elly's Essentials; “Why?")-ブラームス:五月の夜(Johannes Brahms: Die Mainacht, Op. 43, No. 2)

●Elly's Essentials; “Why?"

Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です。音声が出ます。)

(エリー・アーメリングの言葉の大意)

なぜこんなことをするのですか?とよく聞かれます。
すなわち、私のMusingsシリーズやEssentialsシリーズの動画公開についてです。
理由1:歌えなくなっても、そのことについて話すことは永遠にできるからです。
理由2:おそらくより重要なのは、声楽曲の美しさの一面に少しでも光を当てることで、明るいひとときを提供しようとしているからです。こうすることで、世界中の無数の問題や災害から、私たちの心を少しの間離すことができるかもしれません。

1:21-4:40 Johannes Brahms: Die Mainacht, Op. 43, No. 2
Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano
Recording: 14-18 August 1990, Rosslyn Hill Unitarian Chapel, Hampstead, London
Hyperion Records

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Die Mainacht, Op. 43, No. 2
 五月の夜

[Wann]1 der silberne Mond durch die Gesträuche [blinkt]2,
Und sein schlummerndes Licht über den Rasen [streut]3,
Und die Nachtigall flötet,
Wandl' ich traurig von Busch zu Busch.
 銀の月が潅木に光注ぎ、
 そのまどろむ光の残照が芝に散りわたり、
 ナイティンゲールが笛のような歌を響かせる時、
 私は藪から藪へと悲しくふらつき回る。

[Überhüllet]4 von Laub, girret ein Taubenpaar
Sein Entzücken mir vor; aber ich wende mich,
Suche [dunklere Schatten]5,
Und die einsame Thräne rinnt.
 葉に覆われて、鳩のつがいが私に
 陶酔の歌を鳴いて聞かせる。だが私は踵を返して
 より暗い影を探し求め、
 そして孤独な涙にくれるのだ。

Wann, o lächelndes Bild, welches wie Morgenroth
Durch die Seele mir stralt, find' ich auf Erden dich?
Und die einsame Thräne
Bebt mir heisser die Wang' herab.
 いつになったら、おお微笑む姿よ、朝焼けのように
 私の魂に輝きわたる姿よ、この世であなたを見出せるのだろうか。
 すると孤独な涙が
 私の頬を伝ってさらに熱く震え落ちた。

1 Hölty, first edition: "Wenn"
2 Hölty, first edition: "blickt"
3 Hölty, first edition: "geußt"
4 Hölty's manuscript: "Überschattet"
5 Hölty's manuscript: "dunkle Gesträuche"

詩:Ludwig Heinrich Christoph Hölty (1748-1776), "Die Mainacht", written 1774, first published 1775
曲:Johannes Brahms (1833-1897), "Die Mainacht", op. 43 (Vier Gesänge) no. 2, published 1869, stanzas 1,3-4 [ voice and piano ], Leipzig, Rieter-Biedermann

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(参考)

Elly's Essentials; “Why?" (YouTube)

The LiederNet Archive

『詩と音楽』-五月の夜 (2002.04.23 フランツ・ペーター)

Johannes Brahms: Songs (Hyperion Records)

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ヴォルフ:はじめての喪失(Wolf: Erster Verlust, Op. 9, No. 3)

Erster Verlust, Op. 9, No. 3
 はじめての喪失

Ach wer bringt die schönen Tage,
Jene Tage der ersten Liebe,
Ach wer bringt nur eine Stunde
Jener holden Zeit zurück!
 ああ、誰が美しかった日々を戻してくれるのか、
 初恋のあの日々を。
 ああ、誰が
 あのいとしい時のほんの一時間だけでも返してくれるというのか!

Einsam nähr' ich meine Wunde
Und mit stets erneuter Klage
Traur' ich um's verlorne Glück.
 一人さびしく私は傷をはぐくみ
 絶えずわき起こる嘆きとともに
 失った幸せを悲しむまでだ。

Ach, wer bringt die schönen Tage,
[Jene holde Zeit zurück!]1
 ああ、誰が美しかった日々を
 あのいとしい時を返してくれるというのか!

1 Schubert: "Wer jene holde Zeit zurück!"; Medtner, Zelter: "Wer bringt die holde, süße, liebe Zeit zurück?"

詩:Johann Wolfgang von Goethe (1749-1832), "Erster Verlust", first published 1789
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Erster Verlust", op. 9 no. 3 (1876)

作曲:1876年1月30日(日)午前9時半着手、午前11時半完成

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ヴォルフが付与した作品番号9の第1,2曲はレーナウの詩による歌曲でしたが、第3曲はゲーテの詩による「はじめての喪失(Erster Verlust, Op. 9, No. 3)」です。前曲「愛の春」の1日後に作曲されています。

はじめて失恋をした主人公の心の痛手を歌ったゲーテの詩に多くの作曲家が曲を付けていますが、中でもシューベルトの作品(D 226)は簡素ながら非常に優れていると思います。
この若きヴォルフによる作品は、「つらい!苦しい!」と訴えるのではなく、全編を穏やかな長調の響きで貫き、自ら心の傷を癒そうとしているかのように感じられます。

初期のヴォルフの歌曲で顕著なのが、歌声部にメリスマを使うことで、この歌曲でも使われています。興味深いのが、歌声部に合わせてピアノパートもメリスマと同じリズムを奏でることで、しかも右手と左手両方がそれぞれ異なるフレーズを奏で、あたかも歌と三重唱を奏でているかのようです。あまり一般的なやり方ではないように思いますが、若かりしヴォルフは、オペラアリアの手法を歌曲に取り入れようとしていたのかもしれません。

第2連の最初"Einsam"のところにヴォルフは"Recitativ(レチタティーヴォ)"、"innig(内面的に)"と記しており、少しの間無伴奏になります。とはいえ、いわゆる語りというよりはメロディーの続きのようにも聞こえるので、ヴォルフはこの部分を語るように歌ってほしいと考えたのかもしれません。

若さゆえの未熟さはありますが、あれこれ工夫しようという意欲も伺えて、美しさも感じられる作品だと思います。

3/4拍子
変ホ長調(Es-dur)
Mäßig (中庸のテンポで)

●[Hugo Wolf:] Erster Verlust, Op. 9, No. 3
トマス・ホッブス(T), ショルト・カイノホ(P)
Thomas Hobbs(T), Sholto Kynoch(P)

Channel名:トーマス・ホッブス - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:29 June 2013, St John the Evangelist, Oxford, U.K.

●Hugo Wolf: Erster Verlust - Andre Morsch (Bariton) & Marcelo Amaral (Klavier), 23.03.2017
アンドレ・モルシュ(BR), マルセル・アマラウ(P)→※余談ですが、このバリトン歌手モルシュ、少しプライと声質が似ているように感じました
André Morsch(BR), Marcelo Amaral(P)

Channel名:Internationale Hugo-Wolf-Akademie(オリジナルのリンク先はこちら)

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●【参考】ツェルター:はじめての喪失 D 226
[Carl Friedrich Zelter:] Sämtliche Lieder, Balladen und Romanzen, Z. 124, Book 4: Erster Verlust
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), アリベルト・ライマン(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Aribert Reimann(P)

Channel名:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●【参考】シューベルト:はじめての喪失 D 226
Schubert: Erster Verlust, D. 226
ヘルマン・プライ(BR), カール・エンゲル(P)
Hermann Prey(BR), Karl Engel(P)

Channel名:ヘルマン・プライ - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●【参考】ファニー・ヘンゼル=メンデルスゾーン:はじめての喪失(I)
[Fanny Hensel (1805-1847):] Erster Verlust (I)
トビアス・ベルント(BR), アレクサンダー・フライシャー(P)
Tobias Berndt(BR), Alexander Fleischer(P)

Channel名:Alexander Fleischer - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●【参考】ファニー・ヘンゼル=メンデルスゾーン:はじめての喪失(II)
[Fanny Hensel (1805-1847):] Erster Verlust (II)
トビアス・ベルント(BR), アレクサンダー・フライシャー(P)
Tobias Berndt(BR), Alexander Fleischer(P)

Channel名:Alexander Fleischer - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●【参考】フェーリクス・メンデルスゾーン:はじめての喪失 Op. 99, No. 1
[Felix Mendelssohn:] 6 Songs Op.99 : I Erster Verlust
バーバラ・ボニー(S), ジェフリー・パーソンズ(P)
Barbara Bonney(S), Geoffrey Parsons(P)

Channel名:バーバラ・ボニー - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●【参考】ニコライ・メトネル:はじめての喪失
[Nikolai Medtner (1880-1951):] 9 Lieder von W. Goethe, Op. 6: VIII. Erster Verlust - First Love
エカテリナ・レヴェンタル(MS), フランク・ペータース(P)
Ekaterina Levental(MS), Frank Peters(P)

Channel名:Ekaterina Levental - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

●【参考】アルバン・ベルク:はじめての喪失
[Alban Berg (1885-1935):] Erster Verlust
白井光子(MS), ハルトムート・ヘル(P)
Mitsuko Shirai(MS), Hartmut Höll(P)

Channel名:白井光子 - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

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(参考)

The LiederNet Archive

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder III (1875-1878)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

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ヴォルフ:愛の春(Wolf: Liebesfrühling, Op. 9, No. 2)

Liebesfrühling, Op. 9, No. 2
 愛の春

Ich sah den Lenz einmal
Erwacht im schönsten Tal;
Ich sah der Liebe Licht
Im schönsten Angesicht.
 私はかつて
 きわめて美しい谷間で春が目覚めたのを見た。
 私は愛の光を
 きわめて美しい顔の中に見た。

Und wandl' ich nun allein
Im Frühling durch den Hain,
Erscheint aus jedem Strauch
Ihr Angesicht mir auch.
 そして私が今ひとりきりで
 春の林をぶらついていると
 各々の茂みから
 彼女の顔があらわれるのだ。

Und seh ich sie am Ort
Wo längst der Frühling fort,
So sprießt ein Lenz und schallt
Um ihre süße Gestalt.
 そして彼女を
 春がとうに過ぎ去った場所で見ると
 春が芽生え、響きわたるのだ、
 彼女の愛らしい姿のまわりで。

詩:Nikolaus Lenau (1802-1850), "Liebesfrühling", appears in Gedichte, in 4. Viertes Buch, in Liebesklänge 
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Liebesfrühling", op. 9 no. 2 (1876)

作曲:1876年1月29日(木)に着手・完成

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ヴォルフが付与した作品番号9の第2曲も、第1曲同様ニコラウス・レーナウの詩によるもので、タイトルは「愛の春」です。

ドイツ語で「春」はFrühlingですが、雅語としてLenzも使われます。このレーナウの詩ではFrühlingとLenzが両方使われていて、意図的に使い分けているのかと思ったのですが、全ての行が弱強のリズムで統一している為、2音節の時にFrüh-ling(強-弱)、1音節の時にLenzを使っているようです。

第1連では主人公の過去の体験が語られ、ある谷間で春が目覚めた(レーナウの原詩では「花開いた」)のを見て、美しい顔の中に愛の光を見たと言います。
第2連以降は現在形で、春の林を散策しているとあらゆる茂みから彼女の顔(ihr Angesicht)があらわわれます。この「彼女」というのが、主人公の恋人なのか、もっと一般的な対象なのかはっきりしませんが、おそらく主人公が愛する対象なのでしょう(春をあらわすFrühling、Lenzはどちらも男性名詞なので、春の擬人化ではなさそうです)。
春がとっくに過ぎ去った場所で「彼女」を見ると、彼女の姿のまわりで「春が芽生え、響き渡る」のです。この「春の芽生え」は「愛の芽生え」なのかもしれません。季節の春は過ぎたものの、人生の春である「愛」が芽生えたということでしょうか。主人公にとっては明るい未来が予感されそうですね。

ヴォルフはこの詩にト長調の軽快な響きで作曲しており、「Allegro scherzando(速く、戯れるように)」という指示を与えています。
ピアノの右手と左手が下行音型をずらして演奏し、主人公と愛する姿がじゃれあっているさまを暗示しているかのようです。
第2連で「そして私が今ひとりきりで/春の林をぶらついていると」の箇所で"langsam(ゆっくりと)"に変わりますが、その後すぐに彼女があらわれる箇所で「lebhaft(生き生きと)」となり、陽気な音楽が戻ってきます。第3連も「そして彼女を/春がとうに過ぎ去った場所で見ると」で「langsamer(よりゆっくりと)」という指示に変わり、続く「春が芽生え、鳴り響くのだ」で「sehr lebhaft(非常に生き生きと)」になります。テキストに細かく対応するところは、後年のヴォルフの兆しが感じられるように思います。これまでの作品同様、この曲でもメリスマのパッセージはいくつかあります。当時のヴォルフはオペラ的な技巧を歌曲に盛り込もうとしていたのかもしれません。あっというまに終わる短い作品ですが、なかなか魅力的だと感じました。

2/4拍子
ト長調(G-dur)
Allegro scherzando

●[Hugo Wolf:] Liebesfrühling (Ich sah den lenz einmal) , Op. 9, No. 2
ベンジャミン・ヒューレット(T), ショルト・カイノホ(P)
Benjamin Hulett(T), Sholto Kynoch(P)

Channel名:ベンジャミン・ヒューレット - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:13 & 15 October 2012, Holywell Music Room, Oxford, U.K.

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(参考)

The LiederNet Archive

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder III (1875-1878)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

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エリー・アーメリング(Elly Ameling)の「Musings on Music」シリーズ:メンデルスゾーン「ズライカ(Mendelssohn: Suleika, Op. 34, No. 4)」

●Suleika 2 - Mendelssohn - Schubert - Musings on Music by Elly Ameling

Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)

3:41-6:33, 15:14-18:04
Felix Mendelssohn: Suleika, Op. 34, No. 4
Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano
Recording: 4 December 1979, 30th Street Studio, New York
CBS Masterworks

19:07-23:50
Schubert: Suleika II, D 717 (Op. 31)
Elly Ameling, soprano
Jörg Demus, piano
Recording: 10-13 January 1970, Electrola Studio Zehlendorf, Germany
EMI

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Suleika, Op. 34, No. 4
 ズライカ Op. 34, No. 4

Ach, um deine feuchten Schwingen,
West, wie sehr ich dich beneide:
Denn du kannst ihm Kunde bringen
Was ich [in der]1 Trennung leide!
 ああ、おまえの湿った翼のまわりにいて、
 西風よ、私はおまえがなんとも羨ましい、
 なぜならおまえはあの方に知らせることが出来るのだから、
 私があの方と別れてどれほど苦しんでいるかを!

Die Bewegung deiner Flügel
Weckt im Busen stilles Sehnen;
Blumen, [Auen]2, Wald und Hügel
Stehn bei deinem Hauch in Thränen.
 おまえの翼の羽ばたきは
 胸に静かな憧れを目覚めさせます。
 花、草原、森、丘は
 おまえの息吹の傍らで涙に濡れて立っています。

Doch dein mildes sanftes Wehen
Kühlt die wunden Augenlider;
Ach, für Leid müßt' ich vergehen,
Hofft' ich nicht [zu sehn ihn]3 wieder.
 でもおまえの穏やかで優しいそよぎは
 傷ついたまぶたを冷やしてくれます。
 ああ、私は苦しみのあまり消え去らねばならないでしょう、
 あの方に再び会うことが望めないのなら。

[Eile denn]4 zu meinem Lieben,
Spreche sanft zu seinem Herzen;
Doch vermeid' ihn zu betrüben
Und [verbirg]5 ihm meine Schmerzen.
 それでは私の愛する方のもとに急いで行き
 彼の心に優しく語りかけてください。
 でもあの方を悲しませないで
 私が苦しんでいることは秘密にしておくように。

Sag [ihm, aber]6 sag's bescheiden:
Seine Liebe sei mein Leben,
Freudiges Gefühl von beiden
Wird mir seine Nähe geben.
 あの方にこう言ってください、でも慎ましくね、
 あなたの愛は私の生命なのです、
 愛と生命の喜ばしい感情は
 あなたのそばにいることで与えられるでしょう、と。

1 Willemer's original poem: "durch die"
2 Goethe, Willemer's original poem: "Augen"
3 Willemer's original poem: "wir sehn uns"
4 Willemer's original poem: "Geh denn hin"
5 Willemer's original poem: "verschweig"
6 Willemer's original poem: "ihm nur, doch"

詩:Marianne von Willemer (1784-1860), title 1: "Suleika", title 2: "Westwind", written 1815, first published 1819
曲:Felix Mendelssohn (1809-1847), "Suleika", op. 34 (Sechs Gesänge) no. 4 (1837)

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(参考)

Suleika 2 - Mendelssohn - Schubert - Musings on Music by Elly Ameling (YouTube)

The LiederNet Archive

West-östlicher Divan (Wikipedia:ドイツ語)

西東詩集 (Wikipedia:日本語)

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ヴォルフ:春の挨拶(Wolf: Frühlingsgrüße)

Frühlingsgrüße
 春の挨拶

Nach langem Frost, wie weht die Luft so lind!
Da bringt Frühveilchen mir ein bettelnd Kind.
 長かった極寒が過ぎて、風は何と穏やかに吹くことか!
 すると早咲きのすみれを物乞いの子が私に持ってくる。

Es ist betrübt, daß so den ersten Gruß
Des Frühlings mir das Elend bringen muß.
 春の最初の挨拶を
 惨めな状態で私にしなければならないのは悲しいことだ。

Und doch der schönen Tage Liebespfand
Ist mir noch werter aus des Unglücks Hand.
 だが素晴らしい日々の愛のあかしは
 不幸な手から与えてもらう方が私には価値がある。

So bringt dem Nachgeschlechte unser Leid,
Die Frühlingsstimmen einer bessern Zeit.
 だから私たちの苦悩は後世に
 より良き時代の春の声をもたらすのだ。

詩:Nikolaus Lenau (1802-1850), "Frühlingsgrüße", appears in Gedichte, in 4. Viertes Buch, in Vermischte Gedichte
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Frühlingsgrüße", 1876

作曲:1876年(※ヴォルフは誤って1875年と記載している)1月3日夕方6時着手

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1875年8月以前に書かれたOp. 3の5つの歌曲は、ヴォルフ15歳の若書きではありましたが、うち4曲をゲーテの詩でまとめているのは後年に作曲した詩人ごとのアンソロジーの小さな萌芽と見ることもあるいは可能かもしれません。
その後、ヴォルフはレーナウの詩による歌曲をいくつか作曲しますが、「春の挨拶」はその最初の試みの一つとなります。

ヴォルフは1876年1月(ヴォルフは1875年と書いていますが、誤りとみなされています)にレーナウの詩による「春の挨拶(Frühlingsgrüße)」の2つの稿を作曲しました。第1稿は未完成で36小節まで書かれたト長調(G-dur)の断片で、第2稿は40小節からなる完成作品で、ホ長調(E-dur)です(1998年出版のMusikwissenschaftlicher Verlag社のヴォルフ全集第7/4巻(Nachgelassene Lieder IV)に掲載されています)。ちなみにこの2つの稿のうち、第2稿には27小節(Prestoの箇所)から6小節にわたるヴァリアンテが作曲されています。1976年出版のヴォルフ全集第7/3巻に掲載されている楽譜は編纂者のハンス・ヤンツィク(Prof. Dr. Hans Jancik)が第2稿をもとに演奏可能な形にアレンジしたもののようで、この6小節のヴァリアンテが採用されています(第2稿は完成されているとはいえ、歌いにくい箇所がある為、1オクターブ下げたり、テキストの割り振りを多少変更しています)。いつかヴォルフのオリジナルの第2稿を演奏してくれる方がいたら嬉しいですが、大変そうです。

この曲へのヴォルフ自身による作品番号は、最初にOp. 6, No. 2が付与され、続いてOp. 9, No. 1に変更されましたが、最終的には作品番号なしとなったそうです。この作品番号は出版とは無関係で、単なるヴォルフ自身による整理番号ということになります(ヴォルフは最初期のみ自作に作品番号を付与していました)。

レーナウの詩は、春の到来を最初に伝えてくれたのが物乞いの子供だったが、苦しい境遇から得られた春の到来の方が価値があるのだと歌われます。

ヴォルフの作品は同じフレーズを繰り返す際のピアノパートの変奏の仕方や、テキストに応じた明暗の使い分けなど注目に値する箇所はあります。
一方で、歌声部は装飾的なパッセージが目立ちます(例えば、第2連の「Elend bringen muß」や最終連の「Frühlingsstimmen einer bessern」)。
また、高音への大きな跳躍もあります(最終連の「einer bessern Zeit」の「ei-ner」の10度)。このあたりはイタリアオペラの要素を取り入れたかのようです。後年の洗練された技法には聞かれない試行錯誤の様子を感じることが出来て、微笑ましい作品だと思います。

ちなみにシューマンも断片ながら同じテキストによる美しい歌曲を作っていますので、聞き比べてみるのも興味深いと思います。

【第1稿】未完成
C (4/4拍子)
ト長調(G-dur)
(冒頭の標示記号なし)

【第2稿】完成
C (4/4拍子)
ホ長調(E-dur)
(冒頭の標示記号なし。最後の方でPrestoになり、再びTempo Iで元に戻る)

●[Hugo Wolf:] Frühlingsgrusse (Nach langem frost) , Op. 6
ベンジャミン・ヒューレット(T), ショルト・カイノホ(P)
Benjamin Hulett(T), Sholto Kynoch(P)

Channel名:ベンジャミン・ヒューレット - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:13 & 15 October 2012, Holywell Music Room, Oxford, U.K.
ここでは、ヴォルフ全集第7/3巻のHans Jancik編曲版で演奏されています。

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●【参考】シューマン:春の挨拶(断片)
Schumann: Frühlingsgrüsse (Fragment)
リュディア・トイシャー(S), グレアム・ジョンソン(P)
Lydia Teuscher(S), Graham Johnson(P)

Channel名:Lydia Teuscher - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)

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(参考)

The LiederNet Archive

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder III (1875-1878)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

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ヴォルフ:海の静寂(Wolf: Meeresstille, Op. 9, No. 1)

Meeresstille, Op. 9, No. 1
 海の静寂

Sturm mit seinen Donnerschlägen
Kann mir nicht wie du
So das tiefste Herz bewegen,
Tiefe Meeresruh!
 雷鳴轟く嵐も
 お前以上に
 私の心を動かせはしない、
 海の深き安らぎよ!

Du allein nur konntest lehren
Uns den schönen Wahn
Seliger Musik der Sphären,
Stiller Ozean!
 お前だけが
 私たちに
 天球の至福の音楽という美しい空想を教えることができるのだろう、
 静かな大洋よ!

Nächtlich Meer, nun ist dein Schweigen
So tief ungestört,
Daß die Seele wohl ihr eigen
Träumen klingen hört;
 夜の海よ、今やお前の沈黙は
 妨げられることなく深いので
 魂が自身の
 夢の響きを聞けるほどだ。

Daß im Schutz geschloss'nen Mundes,
Doch mein Herz erschrickt,
Das Geheimnis heil'gen Bundes
Fester an sich drückt.
 口を閉じたことに助けられて、
 私の心は驚愕しているのだが、
 神聖な結束の秘密を
 より固く抱きしめる。

詩:Nikolaus Lenau (1802-1850), "Meeresstille", appears in Gedichte, in 4. Viertes Buch, in Reiseblätter (Viertes Buch)
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Meeresstille", op. 9 no. 1 (1876)

作曲:1875年8月以前, MarburgあるいはWindischgrazにて
(※1976年に出版されたヴォルフ全集第7/3巻(Hans Jancik編)では「1876年1月初旬あるいは中旬, Wienにて」と記載されていましたが、1998年に出版されたヴォルフ全集第7/4巻(Leopold Spitzer編)において、アレクサンダー・ペッヒ(Alexander Pöch)宛てのヴォルフの手紙でこの曲が言及されていることから、すでに8月半ばまでには作曲されていて、後にOp. 9に組み込む際にもしかしたら改訂したかもしれないと書かれています)

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Op. 3の5曲と同じ1875年8月以前に、ヴォルフはニコラウス・レーナウの詩による「海の静寂(Meeresstille, Op. 9, No. 1)」を作曲しました。
ヴォルフによってOp. 9と付けられた作品は「海の静寂(レーナウの詩)」「愛の春(Liebesfrühling)(レーナウの詩)」「はじめての喪失(Erster Verlust)(ゲーテの詩)」「夕暮れの鐘(Abendglöcklein)(ヴィンツェンツ・ツスナーの詩)」「五月(Mai)(ゲーテの詩)」「黄金色の朝(Der goldene Morgen)(ルートヴィヒ・アウアーバハの詩)」です。

歌声部はヘ音譜表で書かれ、海を歌うのにヴォルフは低声歌手がふさわしいと考えたのでしょう。ただ後半に高いト音(G)が出てくるのは低音歌手には若干酷かもしれません。

10小節からなる前奏に導かれて歌がはじまりますが、ピアノの右手パートはしばらく前奏と同じ音楽を奏で、途中で歌と右手が美しいデュエットを奏でます("So das tiefste Herz bewegen"の箇所)。第3節が終わると再び前奏とほぼ同じ音楽が奏でられ、第4節が終わったところで再び後奏としてほぼ同じ音楽が奏でられるのは変化が欲しいところですが、この音楽をヴォルフが気に入っていたのかもしれません。前奏ではピアニッシモ(pp)の指示だったのに対して、後奏はフォルテ(f)で力強くはじまり、徐々に音量を下げて、最後はピアニッシモ(pp)で終わります。

例えばゲーテの詩によるシューベルトの「海の静寂 (Meeres Stille, D215A, D216)」などは、まさに波一つ立っていない不気味なほどの静けさが音楽で見事に表現されていましたが、レーナウの詩によるこのヴォルフの「海の静寂」は必ずしも"静寂"に焦点を当てておらず、むしろ静けさの中における心の"動き"が描かれているように思えます。後半のピアノパートの両手にわたる急速なアルペッジョのパッセージも当時の彼なりの試みなのでしょう。若かりしヴォルフの意欲が感じられる作品だと思いました。

C (4/4拍子)
ホ短調(e-moll)
Ruhig bewegt

●[Hugo Wolf:] Meeresstille (Sturm mit seinen donnerschlägen) , Op. 9, No. 1
マーカス・ファーンズワース(BR), ショルト・カイノホ(P)
Marcus Farnsworth(BR), Sholto Kynoch(P)

Channel名:マルクス・ファーンズワース - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:13 & 15 October 2012, Holywell Music Room, Oxford, U.K.

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(参考)

The LiederNet Archive

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder III (1875-1878)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

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