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ヴォルフ:釣り人(Wolf: Der Fischer, Op. 3, No. 3)

Der Fischer, Op. 3, No. 3
 釣り人

1.
Das Wasser rauscht',das Wasser schwoll,
Ein Fischer saß daran,
Sah nach der Angel ruhevoll,
Kühl bis an's Herz hinein.
Und wie er sitzt und wie er lauscht,
Teilt sich die Flut empor;
Aus dem bewegten Wasser rauscht
Ein feuchtes Weib hervor.
 水がざわめき、膨らんだ。
 一人の釣り人が座りこみ、
 平然と竿を見つめていた、
 心の底まで冷えきって。
 彼が座って、耳を澄ましていると、
 水は盛り上がって、二つに割れた。
 波立つ水から音立てて、
 濡れた女が現れた。

2.
Sie sang zu ihm,sie sprach zu ihm:
Was lockst du meine Brut
Mit Menschenwitz und Menschenlist
Hinauf in Todesglut?
Ach wüßtest du,wie's Fischlein ist
So wohlig auf dem Grund,
Du stiegst herunter wie du bist,
Und würdest erst gesund.
 女は彼に歌いかけ、語りかけた。
 どうしてあなたは、私の仲間達を
 人間共の機知や策略で誘き寄せて、
 死に至る灼熱の地上に引き上げようとするのですか。
 ああ、魚達が
 水底でどれほど快適か御存知ならば、
 あなたも下りて行って、
 ようやく健やかになるでしょうに。

3.
Labt sich die liebe Sonne nicht,
Der Mond sich nicht im Meer?
Kehrt wellenatmend ihr Gesicht
Nicht doppelt schöner her?
Lockt dich der tiefe Himmel nicht,
Das feuchtverklärte Blau?
Lockt dich dein eigen Angesicht
Nicht her in ew'gen Tau?
 お日様も、月も、
 海の中で元気を取り戻すではないですか。
 波を吸って、お日様の顔が
 倍も美しくなって、帰って来るではないですか。
 底深い蒼穹があなたを呼んでいませんか、
 水気を帯びた、抜けるような青さが?
 水鏡の御自身のお顔が
 永遠の露の中へと誘っていませんか?

4.
Das Wasser rauscht',das Wasser schwoll,
Netzt' ihm den nackten Fuß;
Sein Herz wuchs ihm so sehnsuchtsvoll,
Wie bei der Liebsten Gruß.
Sie sprach zu ihm,sie sang zu ihm;
Da war's um ihn geschehn:
Halb zog sie ihn,halb sank er hin,
Und ward nicht mehr gesehn.
 水がざわめき、膨らんで、
 彼の裸足を濡らした。
 彼の心は憧れに膨らんでいた、
 恋人に挨拶される時のように。
 女は彼に語りかけ、歌いかけた、
 あなたはもうおしまいよと。
 半ばは女に引かれ、半ばは自ら沈み行き、
 もはや彼の姿は見られなかった。

詩:Johann Wolfgang von Goethe (1749-1832), "Der Fischer", written 1778?, first published 1779
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Der Fischer", op. 3 no. 3 (1875)

作曲:1875年8月以前, MarburgあるいはWindischgrazにて

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フーゴー・ヴォルフ(Hugo Wolf: 1860-1903)最初期の歌曲Op. 3の第3曲はゲーテの詩による「釣り人(Der Fischer)」です。この詩には、シューベルト(D 225)やレーヴェ(Op. 43, No. 1)など多くの作曲家が作曲しており、ヴォルフも先輩の書法から学ぼうとしたのかもしれません。詩は4節からなり、ヴォルフの自筆譜では1節分の歌詞のみを記載して、最後にリピート記号を付けている為、有節歌曲を想定しているのかもしれませんが、第1節だけで音楽が完結していて、長い前奏と後奏も付いているので、全節繰り返して演奏すると冗長になりかねないと思います。「濡れた女(Ein feuchtes Weib)」が現れたところで音楽を終えるのも余韻があっていいかもしれません。

私が2005年に歌曲投稿サイトの「詩と音楽」にこの曲について投稿した内容が、こちらのリンク先からご覧いただけますのでよろしければご覧ください。

C (4/4拍子)
ハ短調(c-moll)
冒頭の速度表示なし

●[Hugo Wolf:] Der Fischer, Op. 3, No. 3
ウィリアム・バーガー(BR), ショルト・カイノホ(P)
William Berger(BR), Sholto Kynoch(P)

Channel名:ウィリアム・バーガー - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:29 June 2013, St John the Evangelist, Oxford, U.K.

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●【参考】シューベルト:釣り人 D 225
[Schubert:] Der Fischer, Op. 5, No. 3, D. 225
白井光子(MS), ハルトムート・ヘル(P)
Mitsuko Shirai(MS), Hartmut Höll(P)

Channel名:白井光子 - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
※バラードの内容を完全な有節形式で表現するシューベルトはやはり天才です。

●【参考】レーヴェ:釣り人 Op. 43, No. 1
C. Loewe: 3 Balladen, Op. 43 - No. 1, Der Fischer
エリー・アーメリング(S), ドルトン・ボールドウィン(P)
Elly Ameling(S), Dalton Baldwin(P)

Channel名:エリー・アーメリング - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
※水がふくらむさま、男を魅了する女の誘いなど、レーヴェの細やかな工夫が感じられます。

●【参考】ファニー・ヘンゼル・メンデルスゾーン:釣り人
[Fanny Hensel:] Der Fischer
トビアス・ベルント(BR), アレクサンダー・フライシャー(P)
Tobias Berndt(BR), Alexander Fleischer(P)

Channel名:Alexander Fleischer - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
※有節形式ですが、緊迫感を高めていくファニー・ヘンゼルの才能に脱帽しました。この曲はもっと知られていいと思います。

●【参考】シューマン:釣り人 RSW Anh. M2.6
Schumann: Der Fischer, RSW Anh. M2.6
マーク・パドモア(T), クリストファー・モルトマン(BR), グレアム・ジョンソン(P)
Mark Padmore(T), Christopher Maltman(BR), Graham Johnson(P)

Channel名:Christopher Maltman - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
※語り手をモルトマン、海から現れる女をパドモアが歌っています。

●【参考】R. シュトラウス:釣り人 TrV 48
[Richard Strauss:] Jugendlieder: Der Fischer
アンドレアス・シュミット(BR), ルドルフ・ヤンセン(P)
Andreas Schmidt(BR), Rudolf Jansen(P)

Channel名:アンドレアス・シュミット - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
※後半にシューベルトの「海に潜る男(潜水者) D 111」のピアノ間奏が引用されているのが興味深いです。

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(参考)

The LiederNet Archive

「詩と音楽」-釣り人

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder III (1875-1878)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

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