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ヴォルフ:憧れ(Wolf: Sehnsucht, Op. 3, No. 2)

Sehnsucht, Op. 3, No. 2
 憧れ

1.
Was zieht mir das Herz so?
Was zieht mich hinaus?
Und windet und schraubt mich
Aus Zimmer und Haus?
Wie dort sich die Wolken
Um Felsen verziehn!
Da möcht' ich hinüber,
Da möcht' ich wohl hin!
 これほど私の心を惹きつけるのは何?
 何が私を外に連れ出すのか?
 私にぐるぐる絡み付き、
 部屋から家から連れ去ろうとするのは?
 雲が、あそこの
 岩山のあたりで消えていく!
 あそこに行ってみたい、
 行きたくてたまらないのだ!

2.
Nun wiegt sich der Raben
Geselliger Flug;
Ich mische mich drunter
Und folge dem Zug.
Und Berg und Gemäuer
Umfittigen wir,
Sie weilet da drunten,
Ich spähe nach ihr.
 今、鴉の群れが
 ゆらゆらと飛んでいる。
 私はその群れに加わり、
 列の後を追って行く。
 山超え、壁越え、
 飛んで行く。
 すると、下に彼女が居り、
 私はそちらをそっと窺う。

3.
Da kommt sie und wandelt;
Ich eile sobald,
Ein singender Vogel,
Zum buschichten Wald.
Sie weilet und horchet
Und lächelt mit sich:
“Er singt es so lieblich
Und singt es an mich.”
 彼女はやって来て、あたりをぶらつく。
 途端に私は大急ぎで
 歌う鳥となって、
 生い茂る森へと向かう。
 彼女はそこで耳を澄ませ、
 独り微笑む。
 「あの鳥はあんなに素敵に歌っている。
 私に向かって歌っているのね。」

4.
Die scheidende Sonne
Verguldet die Höhn;
Die sinnende Schöne
Sie läßt es geschehn.
Sie wandelt am Bache,
Die Wiesen entlang,
Und finstrer und finstrer
Umschlingt sich der Gang.
 沈み行く太陽が
 丘を金に染める。
 思いに沈む、麗しき彼女は
 その場に身を委ねる。
 彼女は小川のほとりをぶらつき、
 草地に沿って歩く。
 そのうち、徐々に暗さが増し、
 足元をおぼつかなくさせる。

5.
Auf einmal erschein' ich
Ein blinkender Stern.
“Was glänzet da droben,
So nah und so fern?”
Und hast du mit Staunen
Das Leuchten erblickt;
Ich lieg' dir zu Füßen,
Da bin ich beglückt!
 その時、突然私は
 きらめく星となる。
 「あの上空で
 あんなに近く、遠く、輝いているのは何かしら?」
 そして、君が驚いて
 その光を認めると、
 私は君の足元にひれ伏す。
 それで私は幸せなのだ!

詩:Johann Wolfgang von Goethe (1749-1832), "Sehnsucht", written 1802, first published 1804
曲:Hugo Wolf (1860-1903), "Sehnsucht", op. 3 no. 2 (1875)

作曲:1875年8月以前, MarburgあるいはWindischgrazにて

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フーゴー・ヴォルフ(Hugo Wolf: 1860-1903)最初期の歌曲Op. 3の第2曲はゲーテの詩による「憧れ(Sehnsucht)」です。この詩には、ベートーヴェン(Op. 83/2)やシューベルト(D 123)も作曲しており、ヴォルフもそれらの歌曲を知っていたのかもしれません。5節からなる有節歌曲で、Op. 3の中で個人的には最も魅力的な作品だと思います。

私が2005年に歌曲投稿サイトの「詩と音楽」にこの曲について投稿した内容が、こちらのリンク先からご覧いただけますのでよろしければご覧ください。

6/8拍子
ホ長調(E-dur)
Allegretto

●Sehnsucht, Op. 3, No. 2
ウィリアム・バーガー(BR), ショルト・カイノホ(P)
William Berger(BR), Sholto Kynoch(P)

Channel名:ウィリアム・バーガー - トピック(オリジナルのリンク先はこちら)
ライヴ録音:29 June 2013, St John the Evangelist, Oxford, U.K.

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(参考)

The LiederNet Archive

「詩と音楽」-憧れ

Hugo Wolf: Hugo Wolf Kritische Gesamtausgabe - Nachgelassene Lieder III (1875-1878)
stretta music
Musikwissenschaftlicher Verlag

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コメント

フランツさん、こんにちは。

バーガーの温もりある朗々としたバリトン、心地良いフレージングはプライさんを彷彿とさせますね。
憧れではありますが、シューベルトのように涙が隠されていたり、シューマンのようにこの上もなく甘いわけでもなく、R.シュトラウスのように高揚するわけでもないけれど、最後までじっと聴きたくなる曲でした。
素直な温かさと言うと変なのですが、若くてまだ技巧に走っていない故の良さなのでしょうか。

投稿: 真子   | 2025年9月11日 (木曜日) 16時09分

真子さん、こんにちは。
この曲にもコメントをいただき、有難うございます!

> 素直な温かさと言うと変なのですが、若くてまだ技巧に走っていない故の良さなのでしょうか。

この曲いいですよね!おっしゃるように素朴な魅力を私も感じました。ピアノのみの箇所もとても魅力的で癒されます(後年の彼の歌曲にはない類の魅力かもしれません)。

バーガーのむらのない美しい響き、確かにプライに通じるものがあり、いいですね。

> シューベルトのように涙が隠されていたり、シューマンのようにこの上もなく甘いわけでもなく、R.シュトラウスのように高揚するわけでもないけれど、最後までじっと聴きたくなる曲でした。

さすが真子さん、それぞれの作曲家の特質を的確に表現されていますね。おっしゃるとおりだと思います。

投稿: フランツ | 2025年9月12日 (金曜日) 07時45分

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