ルドルフ・ヤンセン(Rudolf Jansen)没後1年
亡くなってあっという間に1年が経ってしまった歌曲ピアニストのルドルフ・ヤンセン(Rudolf Jansen: 19 January 1940 – 12 February 2024)が奥様のメゾソプラノ、クリスタ・プファイラー(Christa Pfeiler)と組んだリサイタルの音源がアップされていましたので、こちらを聞いてヤンセンを偲びたいと思います。あまり知られていませんが、非常に優れた歌曲ピアニストだったと思います。ブラームスの「娘(Mädchen)」の曲をまとめた選曲は、ルチア・ポップのCDを思い出します。
●Christa Pfeiler sings German lieder (1990)
Christa Pfeiler(MS), Rudolf Jansen(P)
Channel名:kadoguy(オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)
Robert Schumann(ローベルト・シューマン):
Der Nußbaum(くるみの木), op. 25, no. 3 0:00
Lied der Braut I(花嫁の歌Ⅰ), op. 25, no. 11 2:54
Lied der Braut II(花嫁の歌Ⅱ), op. 25, no. 12 5:06
Weit, weit(はるか遠くに), op. 25, no. 20 6:21
Im Westen(西方に), op. 25, no. 23 8:48
Lied der Suleika(ズライカの歌), op. 25, no. 9 9:49
Johannes Brahms(ヨハネス・ブラームス):
Mädchenlied(娘の歌), op. 107, no. 5 12:32
Mädchenlied(娘の歌), op. 95, no. 6 14:02
Mädchenlied(娘の歌), op. 85, no. 3 15:29
Das Mädchen spricht(乙女は語る), op. 107, no. 3 17:09
Das Mädchen(乙女), op. 95, no. 1 18:25
Liebestreu(愛のまこと), op. 3, no. 1 20:35
Der Kranz(花のかんむり), op. 84, no. 2 22:53
In den Beeren(いちご畑で), op. 84, no. 3 24:23
Mädchenfluch(乙女の呪い), op. 69, no. 9 25:54
Gustav Mahler(グスタフ・マーラー):
Ich ging mit Lust durch einen grünen Wald(緑の野を楽しく歩いた) 29:01
Wo die schönen Trompeten blasen(美しいトランペットの鳴り渡るところ) 33:56
Starke Einbildungskraft(たくましい想像力) 40:36
Um schlimme Kinder artig zu machen(いたずらっ子をしつけるために) 41:52
●A Christa Pfeiler Recital (1997)
Christa Pfeiler(MS), Rudolf Jansen(P)
Ysbreeker Café in Amsterdam on February 21, 1997
Channel名:kadoguy(オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)
Henri Duparc(アンリ・デュパルク): Four mélodies(4つの歌)
Au pays où se fait la guerre(戦いのある国へ) (1869/70) 0:22
Soupir(ため息), op. 2, no. 1 5:22
Élégie(エレジー) (1874) 8:23
Chanson triste(悲しき歌) (1868/69) 11:32
Alexander Zemlinsky(アレクサンダー・ツェムリンスキー): Sechs Lieder auf Gedichte von Maurice Maeterlinck(モーリス・メーテルランクの詩による6つの歌), op. 13
Die drei Schwestern(3人の姉妹) 14:54
Die Mädchen mit den verbundenen Augen(目かくしされた乙女たち) 17:54
Lied der Jungfrau(乙女の歌) 20:12
Als ihr Geliebter schied(あなたたち恋人同士が別れたとき) 22:13
Und kehrt er einst heim(あのひとがいつか戻ってくれば) 24:17
Sie kam zum Schloß gegangen(彼女は城へやってきた) 26:59
Erich Korngold(エーリヒ・コルンゴルト): Unvergänglichkeit(不滅), op. 27
Unvergänglichkeit(不滅) 31:27
Das eilende Bächlein(小さな急流) 33:43
Das schlafende Kind(眠りにつく子ども) 35:41
Stärker als der Tod(死より強きもの) 37:51
Unvergänglichkeit(不滅) 39:44
Ignace Lilien(イグナス・リリエン): Quatre chansons des mendiants(4つの物ごいの歌) (1923)
La femme à l'accordéon(アコーディオン弾きの女) 42:22
L’aveugle(盲人) 44:21
La paralytique(麻痺した女) 48:04
Le lépreux(ハンセン病の男) 51:28
Encore(アンコール):
Korngold(コルンゴルト): Schneeglöckchen(まつゆき草), op. 9, no. 1 55:58
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コメント
フランツさん、こんにちは。
ヤンセンさん亡くなって早や一年たつのですね。
月日の流れの速さを年々感じるこの頃です。
今年も早くも2か月が過ぎようとしています。
さて、私は歌曲を聴くときついつい、声にだけ耳がいってしまいがちなんですが、こちらのブログにお邪魔するようになってから、ピアノにも耳を傾けるようになりました。
専門的なことは分かりませんが、歌曲の聴き比べをしていますと、ピアニストによって音の出し方が違うなど発見もありました。
声とピアノだけで作る世界は、オペラと比べて小宇宙と言われますが、それは水彩画や時には墨絵の世界にも通じるように思います。
上げてくださっている動画、少しずつ聞いていきたいと思います。
ちょっと脱線しますが、「いでそよ人を」という日本の歌を見つけました。
これは、紫式部の娘の大弐三位の
「有馬山猪名の笹原風吹けば
いでそよ人を忘れやはする」の
下の句はそのままに、上の句から着想を得た現代詩が付けられています。
この曲はクラシックには珍しく、先に曲が作られ、詩は後からつくられたそうです。
しかし、見事に曲想に合った詩が当てられ、現代的な表現の中に古風な響きを感じる作品です。
悲しいというよりは寂しい曲ですが、とても美しい歌曲です。
私は和歌も好きなので、和歌を題材にした歌曲はないものかと探していてみつけました。
元は合唱曲ですが、鮫島有美子さんの独唱も動画に上がっています。でも、合唱のほうが音の広がりがあるため、笹原に風が吹いている情景が感じられて、この曲に関しては合唱のほうが私は好きです。
もそ、よかったら聞いてみてください。
脱線が長くなってすみません(;^_^A
投稿: 真子 | 2025年2月22日 (土曜日) 14時54分
真子さん、こんにちは。
コメント有難うございます。
ヤンセンは日本ではあまり話題になることも多くなかったかもしれませんが、数多くの歌手たちから信頼され、フィッシャー=ディースカウと録音したリストの歌曲・合唱曲のCDはドイツの賞を受賞しているそうです。マスタークラスの映像などを見ても決して声を荒げることもなく、常に穏やかに指導しておられて、人柄も素晴らしい方だったように思います。
真子さんに、ピアノの重要性を感じていただけるのはとても嬉しいです。歌曲は詩があって、音楽があり、単声のメロディーを彩るのはピアノの役割ですから、そこに作曲家の思いがぎゅっと詰まっているように思います。
「いでそよ人を」という曲を聴いてみました。切なくも美しい曲ですね。おおもとの和歌についてどういう経緯で書かれたのかをまとめておられるサイトを拝見すると、紫式部の娘に対して彼氏が「ぼくのことを忘れてしまったのではないですか」などと言うけれど、めったに来ないくせによくそんなこと言えるわねという嫌味が込められているそうで、面白いなぁと思いながら読みました。平安時代から男女のやりとりは変わっていないのかもしれません(今朝ウィグモアホールから生中継されていたヴォルフの「イタリア歌曲集」の映像を見ていたので、恋人同士の機微のやりとりって本当に難しいし、仲直りに普遍的な方法などないのかもしれないと思いました)。
https://ogurasansou.jp.net/columns/hyakunin/2017/10/17/1309/
作曲家の新見さんの歌は純粋に美しくはかない恋心が描かれているように感じられて、テキストを知らなくてもすぐに惹きつけられました。曲が先で詩が後というのはクラシックでは珍しいですよね。結局詩人の方が亡くなられて50数曲まで曲集が出来上がったそうですが、こういうプロジェクトが現代でも行われているのは素晴らしいと思うと同時に、日本歌曲のことをもっと勉強しないととあらためて思いました。
鮫島さんの独唱版も彼女のふくよかな声質が素晴らしく、途中にトライアングルのような打楽器が入るのも良かったです。合唱版もいろいろアップされていて、こちらはおっしゃるように作品に広がりが出来て立体感が出ますね。素敵な作品でした。ご紹介有難うございます!
投稿: フランツ | 2025年2月22日 (土曜日) 17時35分
フランツさん、こんにちは。
まず、訂正です。
「いでそよ人を」は、まず歌曲として作られたということです。その後、作曲家自身の手で合唱版がいくつか作られたそうです。
不確かな書き込み失礼しました。
そして、さっそく聞いてくださったとのこと、嬉しく思います。先のコメントに、歌曲の世界は、墨絵にも似ていると書きましたが、この曲もそうですね。
ドイツ歌曲も「冬の旅」は墨絵の世界、「美しい水車小屋の娘」は、油絵と水彩画の間くらいのイメージです。水彩画と言いきるには、力強い面もありますので。
>恋人同士の機微のやりとりって本当に難しいし、仲直りに普遍的な方法などないのかもしれないと思いました)。
そうかもしれませんね。
ドイツリートを聞いても、和歌(古くは万葉集)を読んでも、人間はままならない思いに翻弄され、叶わぬ恋を嘆くのは変わらないですね。
日本歌曲は、詩も味わえるのがやはり魅力ですよね。
「いでそよ人を」の「ひるがえる白」「風すきとおる」「露にとけた 墨の文字」などの抒情的な表現にとても心惹かれます。
それだから、ドイツリートも、細かいニュアンスを感じとれたり、感覚で理解できたらどれ程いいだろうと、数々の名曲を聞くたび思います。
ピアノの音からも、様々な感情を感じ取れるようになったのは、フランツさんのおかげです(*^^*)
投稿: 真子 | 2025年2月22日 (土曜日) 18時04分
真子さん、こんばんは。
「いでそよ人を」は、歌曲が最初で、その後に合唱曲に編曲されたのですね。ご教示有難うございます。この曲の和歌の部分はネットに掲載されているのですが、詩人の方が追加した部分は著作権の関係もあるのかネットで確認することは出来ませんでした。CDを買ってブックレットを見れば掲載されているのでしょうね。
「冬の旅」は墨絵の世界というのはよく分かります。日本人が「冬の旅」に惹かれるのはそのモノクロームの中で描かれた感情表現に親近感を感じるのかもしれないですね。
>「美しい水車小屋の娘」は、油絵と水彩画の間くらい
確かに「私のもの!」のようなまばゆいばかりの情熱的な作品もありますからね。
真子さんのコメントを拝読して、まさに言いたかったことをずばり書いておられました。「翻弄」ですね。手玉にとったりとられたりの駆け引きに古今東西の人は悩み、それが芸術作品に昇華されたものを我々は楽しんでいるのですね。
>ピアノの音からも、様々な感情を感じ取れるようになったのは、フランツさんのおかげです(*^^*)
いえいえ、真子さんがもともとお持ちだった感覚だったと思いますよ。無意識にピアノとのアンサンブルを感じながら歌っておられたのではないかと想像します。ドイツリートでもピアノ曲でも、ちょっとした和音、和声、メロディーにずきっとしたり、気持ちを持っていかれたりするのが楽しくてクラシック好きをやめられないんですよね。エディト・マティスのザルツブルクライヴでも歌っているブラームスの「ひばりの歌」など、息をひそめて聞き入ってしまいます。この曲、本当に天才的だと思います。
投稿: フランツ | 2025年2月22日 (土曜日) 18時56分