エリー・アーメリング(Elly Ameling)の「Musings on Music」シリーズ:シューベルト「ただ憧れを知る者だけが(Schubert: Nur wer die Sehnsucht kennt, D 877/1)」(二重唱曲)
●Musings on Music by Elly Ameling - Schubert - Nur wer die Sehnsucht kennt, Duet version D.877
Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です)
エリー・アーメリングによる説明(大意)
視聴者の皆様、前回の「Musings on Music」では、シューベルトが女性1人の声とピアノ用に作曲した「憧れを知る者だけが(Nur wer die Sehnsucht kennt, D 877/4)」を聴きました。
今回はソプラノ、テノール、ピアノという編成の二重唱曲です。
この詩は、小説「ヴィルヘルム・マイスターの修行時代(Wilhelm Meisters Lehrjahre)」の中で、ミニョンが朗読した一連の詩のうちの1つです。
このドイツ文学の古典作品は、ヨーハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)によって書かれ、1796年に発表されました。
シューベルトは、このバージョンと、前に聞いたバージョン、そしてミニョンの他の2つのテキスト(※訳注:Heiß mich nicht reden; So laßt mich scheinen)を1826年に書きました。
(1:34-6:11 Nur wer die Sehnsucht kennt, D 877/1(二重唱曲)の全曲演奏)
この二重唱曲は、前回聞いたシューベルトの独唱曲よりもさらに感動的であることに、皆さんも同意されることでしょう。
(6:31-7:45 詩の朗読と英訳)
シューベルトはゲーテの小説「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」を正確に読みました。
ミニョンと竪琴弾きが二重唱として歌っていた歌は、最も心のこもった表現でした。
この竪琴弾きは白ひげの老人で、茶色の修道服を着ており、小説の冒頭で一団に加わりました。ここでミニョンと竪琴弾きは、ロマン派、そしてシューベルトの音楽のほとんどに特徴的な憧れ(longing)、切望(yearning)を表現しています。
ピアノの前奏は、3小節目ですでに驚異的な和声、つまりアクセント付きのハ長調の和音に変わり、その後ロ短調に戻ります。
(9:19- 前奏の演奏)
続いて、ソプラノとテナーがお互いに絡み合います。
(9:48-11:02 冒頭から"Weiß, was ich leide"までの演奏)
曲の中間部「ひとり引き離されて(Allein und abgetrennt)」はピアニシシモ(ppp)で始まり、天空(Firmament)をあらわすかのようにフォルテ(f)に強まり、「あちら側(jener Seite)」つまり永遠(Ewigkeit)に達します。
(11:33-12:24 "Allein und abgetrennt"から"nach jener Seite."までの演奏)
そして、「ああ、私を愛し、知る方は遠く離れています(Ach, der mich liebt und kennt, ist in der Weite)」は不在の雰囲気を表すppで始まり、悲しみの叫びはテノールの高音、そして何よりもピアノの最高音にあらわれています。
わずか2小節でフォルテッシモ(ff)からピアニッシモ(pp)へと移るのです。
(13:04-13:52 "Ach, der mich liebt und kennt, ist in der Weite."の演奏)
そして「私は眩暈がして、内臓がちくちく痛みます(Es schwindelt mir, es brennt mein Eingeweide.)」の
左手のトレモロが取り乱した様子を表現しています。
この部分の後、最初のゆっくりのセクション
「Nur wer die Sehnsucht kennt」が繰り返されますが、最初と異なるのはピアノパートにトレモロが加わっていることです。
(14:41-16:33 "Es schwindelt mir"から最後までの演奏)
16歳から19歳頃までに、シューベルトは既にこの詩の独唱用と男声五重唱用の曲を書いていました。
そして1826年には、前に述べたように、ここで議論した2つのバージョンがさらに作曲されました。
フィッシャー=ディースカウは、この二重唱曲について「シューベルトが独唱曲としてこのテキストに作曲したすべてのバージョンを凌駕している」と評しています。
それでは、二重唱曲全体をもう一度聴いてみましょう。
(17:27- 全曲の演奏)
エリー・アーメリング(S)
ピーター・ピアーズ(T)
ドルトン・ボールドウィン(P)
1977年ベンソン&ヘッジズ音楽祭
スネイプ・モールティングスでのライヴ録音
Elly Ameling, soprano
Peter Pears, tenor
Dalton Baldwin, piano
Benson & Hedges Music Festival 1977
Recorded live at Snape Maltings
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Nur wer die Sehnsucht kennt
ただ憧れを知る人だけが
Nur wer die Sehnsucht kennt
Weiß, was ich leide!
Allein und abgetrennt
Von aller Freude
Seh ich an's Firmament
Nach jener Seite.
Ach, der mich liebt und kennt,
Ist in der Weite.
Es schwindelt mir, es brennt
Mein Eingeweide.
Nur wer die Sehnsucht kennt
Weiß, was ich leide!
ただ憧れを知る人だけが
私が何に苦しんでいるのか分かるのです!
ひとり
あらゆる喜びから引き離されて
私は天空の
あちら側に目をやります。
ああ、私を愛し、知る方は
遠方にいるのです。
私は眩暈がして、
内臓がちくちく痛みます。
ただ憧れを知る人だけが
私が何に苦しんでいるのか分かるのです!
詩:Johann Wolfgang von Goethe (1749-1832), "Mignon", written 1785, appears in Wilhelm Meisters Lehrjahre, first published 1795
曲:Franz Peter Schubert (1797-1828)
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(参考)
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コメント
フランツさん、こんばんは。
大変心痛な気持ちになるメロディですね。
シューベルトの今日の中でも、ここまで沈み込んだメロディはないのではないでしょうか。
テノールのピアーズの張りつめた高音が一層痛い思いを伝えてくれました。
アメリングの澄んだ美しい声がまた痛々しかったです。
投稿: 真子 | 2024年12月18日 (水曜日) 20時03分
真子さん、こんにちは。
お体大変な中コメント有難うございます。
この曲の悲痛な雰囲気は強烈ですよね。
> シューベルトの今日の中でも、ここまで沈み込んだメロディはないのではないでしょうか。
シューベルトの悲しい曲は、悲しみの中に一抹の楽しかった思い出が挟み込まれたりするのですが、この曲はそれがないですよね。ひたすら沈んでいき、聴き手もその世界に引きずられていきます。
ピアーズのパートナーのブリテンが亡くなった翌年のライヴということもあってか、ピアーズの声も悲痛ですよね。
アーメリングも彼女特有の澄んだ美声がより気持ちをえぐるようです。
投稿: フランツ | 2024年12月19日 (木曜日) 12時48分
フランツさん、こんばんは。
今日は気晴らしに、夫の運転で大阪のドイツクリスマスマーケットに行ってきました。
コロナ前は毎年楽しみに行っていたイベントでした。会場に入ると、ドイツのクリスマスマーケット風にはなっているのですが、雰囲気が全く違っていました。
単に、屋台がドイツ人から日本人になったというだけでなく、、。今まではドイツ大使館がやっていたので致し方ないですが。
そう言いながら、ヴァイスブルストやプレッツェルなど、ドイツの食べ物を楽しみました。
一軒だけドイツ人のかたのお店があり、そこでドイツのクリスマスカードを買いました。ダンケシェーンと挨拶すると、ダンケシェーンと返して下さいました。もっとドイツ語が話せたらなあと思いました。(プライさんご存命中は結構熱心に勉強したのですが)
投稿: 真子 | 2024年12月20日 (金曜日) 00時24分
真子さん、こんばんは。
ご主人とドライブ素敵ですね!
以前と変わってしまったとのこと、ドイツ人の屋台がほとんどなくなってしまったのですか!それは残念でしたね。ドイツ大使館が撤退してしまったのですか。でもソーセージやプレッツェルなど楽しまれたようで何よりです(^^)
一軒だけドイツ人のお店があったとのこと、交流が出来て良かったですね。相手の母国語で話して、相手が答えてくれると嬉しいですよね。
真子さんをドイツ語の勉強に駆り立てたプライの存在はやはり大きかったのですね。きっかけは大事ですね。
もう少し続くアドベントの時期が真子さんにとって良い日々でありますように!
投稿: フランツ | 2024年12月20日 (金曜日) 18時06分
フランツさん、こんばんは。
あのドイツぽいマルクトが大好きでした。
会場につくと、夢のような別世界で、こどものようにわあ~( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆と思う空間でした。
電車だとどうしても肩に負担かかるので、車を出してもらいました。プライさんのクリスマスの歌を聴きながら行きました♪
ドイツ語は、プライさんにファンレターを書きたくて、独学ですが必死で勉強しました(*^^*)
投稿: 真子 | 2024年12月20日 (金曜日) 20時03分
真子さん、こんにちは。
大阪でドイツを体験できるのは良いですね!ドイツ人の店舗がまた増えてくれるといいですね。
電車だと肩がお辛いのですね。くれぐれもご無理のないようにして下さいね。道中の車の中ではプライのクリスマスソングの録音を楽しまれたのですね。
よいアドベント&クリスマスをお過ごしくださいね。
投稿: フランツ | 2024年12月21日 (土曜日) 13時22分