エリーの要点「美」(Elly's Essentials; “Beauty”)
●Elly's Essentials; “Beauty”
Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です。音声が出ます。)
(エリー・アーメリングの言葉の大意)
「Beauty(美)」という言葉は今では多くのものに使われすぎてありふれた言葉になってしまいました。
「美」に感動していますか。
ハーモニーの使者として「美」を経験していますか。
人生に必要なものとしてハーモニーを経験していますか。
時間があればハーモニーや美に洗浄してもらうのですが、携帯電話やAIなど責務が肩にのしかかってきます。
6時になったら電化製品から離れて、シューベルトを聞きませんか?
6:29- シューベルト「夕映えの中で(Im Abendrot)」の演奏(エリー・アーメリング&ドルトン・ボールドウィン)
Im Abendrot, D 799
夕映えの中で
O wie schön ist deine Welt
Vater, wenn sie golden strahlet!
Wenn dein Glanz herniederfällt,
Und den Staub mit Schimmer malet,
Wenn das Rot, das in der Wolke blinkt,
In mein stilles Fenster sinkt!
おお、なんと美しいのだ、御身の世界は、
父よ、世界が金の光を放つ時!
また、御身の輝きが降り注ぎ、
ほこりを微光で色づける時、
雲の中でちらついている紅が
私の静かな窓辺に沈み込んでくる時!
Könnt ich klagen, könnt ich zagen?
Irre sein an dir und mir?
Nein, ich will im Busen tragen
Deinen Himmel schon allhier.
Und dies Herz, eh es zusammenbricht,
Trinkt noch Glut und schürft noch Licht.
私は嘆き、ためらっているのだろうか?
御身も自分も信じられないのだろうか?
いや、私は胸にしかと抱こう、
もうここにある御身の天空を。
そして、この心は、もろく崩れ落ちる前に
さらに赤熱を飲み込み、光をすすり入れるのだ
詩:Karl Gottlieb Lappe (1773-1843), "Im Abendroth", first published 1818
曲:Franz Peter Schubert (1797-1828), "Im Abendrot", D 799 (1824?5)
-----
(参考)
Elly's Essentials; Elly's Essentials; “Beauty” (YouTube)
The LiederNet Archive (O wie schön ist deine Welt)
詩と音楽 梅丘歌曲会館(夕映えの中で)(※私がかつて投稿した対訳)
| 固定リンク | 0
「音楽」カテゴリの記事
- レーヴェ「エフタの娘」(Loewe: Jeptha's Tochter, Op. 5, No. 2)を聴く(2024.10.05)
- エリーの要点「インフルエンサー」(Elly's Essentials; “Influencer”)(2024.09.28)
- エリー・アーメリング(Elly Ameling)の「Musings on Music」シリーズ:フォレ&ドビュッシー「それはもの憂い恍惚(C'est l'extase langoureuse)」(2024.09.27)
- 日本カール・レーヴェ協会コンサート・2024 (Nr. 35) (2024年9月23日 王子ホール)(2024.09.28)
「エリー・アーメリング Elly Ameling」カテゴリの記事
- エリーの要点「インフルエンサー」(Elly's Essentials; “Influencer”)(2024.09.28)
- エリー・アーメリング(Elly Ameling)の「Musings on Music」シリーズ:フォレ&ドビュッシー「それはもの憂い恍惚(C'est l'extase langoureuse)」(2024.09.27)
- エリーの要点「美」(Elly's Essentials; “Beauty”)(2024.09.07)
- エリーの要点「25年前から乗っているトヨタ車」(Elly's Essentials; “25 year old Toyota”)(2024.08.24)
- エリー・アーメリング(Elly Ameling)の「Musings on Music」シリーズ:ラヴェル-歌曲集『シェエラザード(Shéhérazade)』~3.「つれない人(L'Indifférent)」(2024.08.18)
コメント
フランツさん、こんばんは。
アメリングさんのメッセージ素敵ですね。
ハーモニーや美に浄化される。
6時になったら電化製品から離れて、シューベルトを聞きませんか?
素晴らしいリートはたくさんありますが、シューベルトの音楽は心を浄化してくれるように思います。
録画していた名曲アルバムの、「糸を紡ぐグレートヒェン」を、今朝聞きました。
歌っていたのは天羽明恵さんというソプラノでした。この方を存じ上げていなかったのですが、素晴らしい声、演奏でした。
かなしい恋の歌ではありますが、正に心が浄化されるなあと思って聞いていたところでした。
シューベルトの「愛を歌うと苦悩になり、苦悩を歌うと愛になる」という言葉。
『泣きながら笑っている』(プライさんの言葉)シュ
ーベルトのメロディ。
そういうところに私たちは惹かれ、癒されるんですね。
シューベルトの音楽、はいつも、黙ってそばにいて
くれる。そんな存在です。
あげてくださっている「夕映えの中で」、大好きな曲です。1995年、阪神大震災があった年ですが、プライさんはキャンセルすることなく日本に来て、この曲も歌ってくれました。
彼が、遠くを見つめるように歌い出すと、ホールが夕映えに包まれて行きました。優れた演奏は、空間まで色で染めるのだと実感しました。
忘れられない思い出です。
ここでのアメリングの演奏も、本当に素晴らしいですね。何度聞いても心が洗われます。
投稿: 真子 | 2024年9月 9日 (月曜日) 22時34分
真子さん、こんにちは。
コメント有難うございます!
彼女が今も動画を通じて、ご自身の考えを伝えてくれるのは音楽ファンにとって大きな贈り物ですね。
今後どんどん失われていくかもしれない、人工的ではない自然な美しさに触れることの大切さを彼女はおっしゃっているのだと思いました。
ちなみに「電化製品」と訳した箇所は、ご本人はelectricity (電気)とおっしゃっているのですが、ちょっと意訳しました。文明の利器
からいったん離れて人の声に触れる時間を作りましょうと言いたいのだと解釈しました。
天羽明恵さんがグレートヒェンを歌っていたのですね。彼女は新国立劇場の常連と言っていいぐらい出演されていて、何度もオペラを聞きました。
「夕映えの中で」は真子さんにとっては阪神大震災の後に来日したプライの歌唱と結びついているのですね。
>彼が、遠くを見つめるように歌い出すと、ホールが夕映えに包まれて行きました。優れた演奏は、空間まで色で染めるのだと実感しました。
忘れられない思い出です。
これは素敵な体験をされましたね。こういう思い出が音楽を聞くと思い出されるのは良いですよね。
素敵なお話を有難うございます!
「黙ってそばにいてくれる」シューベルトの音楽をこれからも聞き続けていきたいと思いました。
投稿: フランツ | 2024年9月10日 (火曜日) 07時55分
フランツさん、こんばんは。
ファンにとって、こうして好きなアーティストの考えを聞けるのは本当に幸せな事ですね。
>文明の利器からいったん離れて人の声に触れる時間を作りましょうと言いたいのだと解釈しました。
今のような時代になると、必要な時間ですよね。
音楽から離れた話になりますが、私は万年筆が大好きで、「萬年筆くらぶ」というのに入っています。
今や直筆で書く事も減りましたが、万年筆は特に肉筆感がでます。インクのノリや濃淡、筆圧を書けると二条線と呼ばれるペン先が割れてできる特有の線が生まれます。
レコードと共に若い人にも人気が高まっています。
レコード、万年筆もあたたかみがあります。
私も便利な物をありがたく使っていますが、こういうレトロなものに触れるとほっとします。
天羽明恵さんの実演を何度も聞かれたのですね。
恥ずかしながら私は存じ上げなかったのですが、素敵なソプラノですね。
どのような演目で、何の役を歌われていましたか?
覚えていらっしゃったら、感想をお聞きしたいです。
投稿: 真子 | 2024年9月10日 (火曜日) 20時42分
真子さん、こんばんは。
真子さんは万年筆がお好きなのですね。「ペン先が割れてできる特有の線」というのがあるのですか。興味深いですね!
そう言えば最近字を書くことがめっきり減ったなぁと思います。でも自筆でいただく手紙はやはり嬉しいものですよね。
書道の筆のように万年筆も書く人の個性が表れる奥深い世界なのですね。
便利なものと、手間はかかっても報われるような昔ながらのものをバランスよく使っていけたらいいですよね。
レコードが廃れないのも手間がかかるにもかかわらずレコードならではの長所が沢山あるからなのでしょう。
数回だけですが、渋谷のライオンという名曲喫茶で外の喧騒と隔絶された雰囲気を味わいながらクラシックを聴いた大昔の思い出が蘇ってきました。レコードの針音がすでにノスタルジックです。
天羽明恵さんが新国立劇場に多く出演していることは確かなのですが、過去の私のブログを検索すると歌曲のコンサートで聞いた天羽さんばかりが出てきたので、オペラを聞いた気になっただけかもしれません。出鱈目言ってしまいすみません。
後期ロマン派のコンサートの感想で「無理のない自然な発声が魅力」と書いていました。自分の記事は書いた後はあまり見返すことがないので、こういう機会に備忘録になります。
ちなみに新国立劇場では安井陽子さん、山下牧子さんたちは複数回聞く機会があったようです(ブログの管理画面で検索したのでこれは確かです)。
投稿: フランツ | 2024年9月11日 (水曜日) 18時44分
フランツさん、こんばんは。
天羽明恵さんのお話、ありがとうございます。
>「無理のない自然な発声が魅力」と書いていました。
先日聞いた、「糸を紡ぐグレートヒェン」でも、声がこんこんと湧いてくるように感じました。
響きが、はまる所にはまって、効率よく響いていると言いましょうか。声の芯がよく鳴るかんじです。
そして、ドイツ語の響きが美しかったです。
日本歌曲やドイツリートがおさめられたCDを注文しました。聞きましたら、また感想をお伝えしますね。
オペラも歌われているようなので、記事には歌曲のみを取り上げられたのかも知れませんね。
コロラトゥーラのレパートリーをお持ちのようです。
投稿: 真子 | 2024年9月11日 (水曜日) 22時18分
真子さん、こんばんは。
天羽明恵さんの歌についてご教示有難うございます。
いろんな人のコンサートを沢山聴いていた時期に天羽さんの実演を聞いたので、若干記憶がおぼろげになってしまい、申し訳ありません。
> 声がこんこんと湧いてくるように感じました。
響きが、はまる所にはまって、効率よく響いていると言いましょうか。声の芯がよく鳴るかんじです。
さすが実際に歌っておられた真子さんならではのご感想ですね。リリックかと思いきやコロラトゥーラのレパートリーもあるとは凄いですね。ポップやオージェ、グルベロヴァも若い頃に夜の女王を歌って名声を博し、徐々に落ち着いたリートも素敵に聞かせてくれましたよね。
CDのご感想楽しみにしていますね!
投稿: フランツ | 2024年9月12日 (木曜日) 19時44分