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エリー・アーメリングの参加したヘンデルのオラトリオ『テオドーラ(Theodora)』(抜粋)ライヴ音源(1974年9月19日, デンマーク)

●Theodora 0001

Channel名:Frank Samuelsen (オリジナルのサイトはこちらのリンク先です。音が出ます!)

もう4年前にアップされていて、今頃気が付いたのですが、エリー・アーメリングがスタジオ録音を残していないヘンデルのオラトリオ『テオドーラ』抜粋に参加した時のライヴ録音がありました。
アップして下さった方に感謝です!
コペンハーゲン少年合唱団創立50周年記念として1974年にデンマークで催されたコンサートとのことですが、そういう事情もあってか合唱団の歌う曲は全曲演奏されていて、一方で独唱者が担当する曲のうち殆どのレチタティーヴォと少なくない数のアリアが省略されています。ちょうど休憩時間を考慮すると2時間ぐらいに収まる時間なので、実際にこの抜粋版で演奏されたのではないかと推測されます。

ヘンデルのオラトリオ『テオドーラ』はキリスト教徒のテオドーラが、同じくキリスト教に改宗した恋人のディディムスと殉教するという内容です。お互いが相手の身代わりとして訴えますが、結局二人とも処刑されてしまいます。作曲当時は不人気だったようですが、ヘンデル自身はメサイアの有名なハレルヤ・コーラスよりも第2幕最後の"He saw the lovely youth"を高く評価していたそうです。

ここでタイトルロールを歌っているアーメリングは、艶があり、声も若さゆえの豊麗さがあって、英語のディクションも明晰で本当に素晴らしいです。彼女の歌うパートは下記7曲ですが、もしお時間があれば全曲(といっても抜粋ですが)少しずつ聞いてみるのもいいかもしれません。

●アーメリングの歌っている曲(テオドーラ役)

22:26-26:40
Scene 3
13. Air (Theodora) "Fond, flatt'ring world, adieu!"

36:05-39:48
Scene 5
24. Air (Theodora)"Angels, ever bright and fair"

51:39-53:31
Scene 2
39. Air (Theodora) "Oh, that I on wings could rise"

1:01:41-1:03:38
49. Air (Theodora) "The pilgrim's home"

1:03:41-1:08:36 with Helen Watts
51. Duet (Theodora, Didymus) "To thee, thou glorious son of worth"

1:18:01-1:21:56 with chorus
Scene 2
57. Solo and Chorus (Christians, Theodora) "Blest be the hand"

1:28:17-1:32:58 with Helen Watts
Scene 6
70. Air and Duet (Didymus, Theodora) "Streams of pleasure ever flowing"

詳細は下記の通りです。

ヘンデル:オラトリオ『テオドーラ』抜粋
ライヴ録音:1974年9月19日, Radiohusets koncertsal, デンマーク

エリー・アーメリング(S: テオドーラ)
エディト・ギヨーム(MS: イレーネ)
ヘレン・ワッツ(CA: ディディムス)
ニール・ジェンキンズ(T: セプティミウス)
ウルリク・コルド(BS: ヴァレンス)
コペンハーゲン少年合唱団
デンマーク放送交響楽団
モーゲンス・ヴェルディケ(C)

Händel: Theodora (excerpts)

rec. 19 Sep. 1974, Radiohusets koncertsal, Danmark

Elly Ameling(S: Theodora)
Edith Guillaume(MS: Irene)
Helen Watts(CA: Didymus)
Neil Jenkins(T: Septimius)
Ulrik Cold(BS: Valens)
Københavns Drengekor
Radiosymfoniorkestret
Mogens Wöldike(C)

0:00-
Act 1
Scene 1
1. Overture – Trio – Courante

4:33-
2. Recitative (Valens) "'Tis Dioclesian's natal day"

5:11-
3. Air (Valens) "Go, my faithful soldier, go"

7:16-
4. Chorus of Heathens "And draw a blessing down"

9:42-
7. Chorus of Heathens "For ever thus stands fix'd the doom"

12:27-
Scene 2
9. Air (Didymus) "The raptur'd soul"

16:53-
11. Air (Septimius) "Descend, kind pity"

22:26-26:40
Scene 3
13. Air (Theodora) "Fond, flatt'ring world, adieu!"

26:40-
16. Chorus of Christians "Come, mighty Father"

30:25-
Scene 4
18. Air (Irene) "As with rosy steps the morn"

33:09-
19. Chorus of Christians "All pow'r in Heav'n above"

36:05-39:48
Scene 5
24. Air (Theodora)"Angels, ever bright and fair"

39:51-
Scene 7
28. Chorus of Christians "Go, gen'rous, pious youth"

45:00-
Act 2
Scene 1
29. Recitative (Valens) "Ye men of Antioch"

45:36-
30. Chorus of Heathens "Queen of summer, queen of love"

46:46-
31. Air (Valens) "Wide spread his name"

49:12-
32. Recitative (Valens) "Return, Septimius, to the stubborn maid"

49:52-
33. Chorus of Heathens "Venus laughing from the skies"

51:39-53:31
Scene 2
39. Air (Theodora) "Oh, that I on wings could rise"

53:42-
Scene 4
45. Air (Irene) "Defend her, Heav'n!"

58:36-
Scene 5
47. Air (Didymus) "Sweet rose and lily"

1:01:41-1:03:38
49. Air (Theodora) "The pilgrim's home"

1:03:41-1:08:36 with Helen Watts
51. Duet (Theodora, Didymus) "To thee, thou glorious son of worth"

1:08:51-
Scene 6
53. Chorus of Christians "He saw the lovely youth"

1:13:40-
Act 3
Scene 1
54. Air (Irene) "Lord, to Thee each night and day"

1:18:01-1:21:56 with chorus
Scene 2
57. Solo and Chorus (Christians, Theodora) "Blest be the hand"

1:22:08-
Scene 5
63. Air (Septimius) "From virtue springs each gen'rous deed"

1:24:54-
66. Chorus of Heathens "How strange their ends"

1:28:17-1:32:58 with Helen Watts
Scene 6
70. Air and Duet (Didymus, Theodora) "Streams of pleasure ever flowing"

1:33:04-1:36:15
Scene 7
72. Chorus of Christians "O love divine"

1:36:16-1:37:50
(applause)

---------

(参考)

Theodora (Handel) (Wikipedia: 英語)

Libretto (台本: 英語)

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コメント

フランツさん,
アーメリングに関する貴重な情報ありがとうございます.
早速, 録音の全部を聞きました.
私は, フランツさんが整理してくれた資料を参照しながら, 対訳のデジタル版を購入し, 歌われていない部分を対訳で補って聞きました.

私が気に入ったのは, 第24曲のアーメリングのアリア. ヘンデルの音楽の美しさと, やさしさがアーメリングの歌唱にぴったりだと感じました. そして, 第70曲のデュエットもすばらしい. 第28曲の合唱は, バッハの受難曲のよう.

聞くにあたり, フランツさんの資料がとても役に立ちました. おそらく, リブレットを参照し, 曲を聴きながら一つ一つ整理されたのだと推察します. 大変な手間であったと思います.
なお, 私が参照した対訳は, “BOOTH”と言うサイト(https://booth.pm/ja)から入手でき, “ヘンデル劇的オラトリオ対訳集” に含まれています.
バッハの声楽曲全曲の対訳本や, シューベルト歌曲全曲の対訳デジタル版を発行している若林敦盛さんの著書です.

投稿: Sandman | 2024年4月27日 (土曜日) 10時49分

先にお送りした, BOOTHのサイトのリンクが正しく動作しないようです. 最後の ) が誤記です.
下記で参照ください.
https://booth.pm/ja

投稿: Sandman | 2024年4月27日 (土曜日) 10時56分

Sandmanさん、こんにちは。
コメントを有難うございます!

さすがSandmanさん、対訳を買われて全部聞かれたのですね。
ご紹介いただいた“BOOTH”からは以前シューベルトの対訳全集を購入したことがあり、注釈も含めてものすごい労作だなぁと圧倒されたのを覚えていますが、ヘンデルのオラトリオも同じ方が訳されているのですね。地道な活動に脱帽ですね!

労いのお言葉有難うございます!私はどちらかと言うと今回の記事を作るにあたっては、Wikipediaの各曲のタイトルを参照したのですが、ちょっと歌詞と違うと思った時にリブレットで確認するという形で書いてみました。お役に立てて良かったです!

こうして聞いてみると、ヘンデルのオラトリオもとても魅力的ですよね。同い年のバッハとのあまりの違いに驚かされます。ちょうどこの記事を書いていた頃にYouTubeでアン・デア・ヴィーン劇場での最近の全曲上演の映像がアップされていたので、そちらも飛ばし飛ばしですが、視聴したりしました(8/12までの期間限定公開だそうです)。
https://www.youtube.com/watch?v=7kFjalLkQ5U

アーメリングのテオドーラ、声も表現もまさに全盛期の豊かさがあって、この録音が残されていて本当にラッキーでした!ソプラノ以外の独唱曲も合唱曲も魅力的で(コントラルトとのデュエットも美しいですよね)、初演で不評だったのはおそらく「長さ」だったのではないかと想像します。

投稿: フランツ | 2024年4月27日 (土曜日) 17時14分

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