エリー・アーメリング&ルドルフ・ヤンセン/シューマン:歌曲集『女の愛と生涯』Op. 42
Elly Ameling - Rudolf Jansen; Frauenliebe und -leben op. 42 - Schumann
Channel名:Elly Ameling (オリジナルのサイトはこちら。リンク先は音が出るので注意!)
Elly Ameling
Rudolf Jansen - Piano
Avro Radio Feb. 3, 1983
00:00 Seit ich ihn gesehen
03:04 Er, der Herrlichste von allen
06:38 Ich kann’s nicht fassen, nicht glauben
08:52 Du Ring an meinem Finger
11:54 Helft mir, ihr Schwestern
13:58 Süßer Freund, du blickest
19:35 An meinem Herzen, an meiner Brust
21:04 Nun hast du mir den ersten Schmerz getan
エリー・アーメリングのYouTube公式チャンネルに、シューマン作曲、歌曲集『女の愛と生涯(Frauenliebe und -leben, Op. 42)』全曲がアップされました。音源は5枚組放送録音集"80 jaar"のCD2枚目に収録されたものと同日のもので、CDには録音場所も記載されています(AVRO 03-02-1983, Muziekcentrum Vredenburg, Utrecht)。
上述の組物CDは廃盤になっている可能性があるので、ここで楽譜を見ながら優れた演奏を聴けるのは有難いことだと思います。
この歌曲集はシャミッソーという男性詩人の目線から理想とした女性像を描いたものと思われ、現代の視点からは古さを感じざるを得ませんが、シューマンは一途にパートナーを愛し抜いたこの詩の女性の人生にクラーラを見ていたことは間違いないでしょう。
歌曲を歌う女性歌手のほとんどがこの歌曲集をレパートリーに持つと言っても過言ではないぐらい多くの録音が残され、アーメリングもこのライヴ録音以前に、ボールドウィンとすでにスタジオ録音を残していますが、このヤンセンとのライヴは50歳をもうすぐ迎えようとする時期の成熟した女性の歌唱として貴重な記録です。
演奏と一緒に楽譜も映してくれるので、シューマンがどのようにこの曲を作っていったのか視覚からも確認することが出来ます。また傑出したアーティスト2人がシューマンの楽譜をどのように読み解釈しているのかという観点からも楽しめると思います。
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コメント
フランツさん、こんにちは。
今日は雨の一日ですね。
突然、全身にじんましんができたかと思うと、今度はかぜで熱が出たりして、ようやく少し楽になりました。
女の愛と生涯は、アメリングの歌で初めて聞いたとき惹きつけられました。
のちにレッスンでこの曲集を勉強したのですが、アメリングの歌がしみ込んでいるなあと感じました。それほど聞き込んだ曲集です。
あげておられる音源もすこしずつ楽しませていただこうと思います。
投稿: 真子 | 2024年4月 3日 (水曜日) 15時12分
真子さん、こんばんは。
ようやく春の暖かさが感じられるようになってきたと思っていたのに、まだ雨が多いですね。
真子さん、いろいろ大変だったのですね。お体お大事にして下さいね。早く回復されますよう心から祈っております。
それから今日は台湾で大地震があったようで心配です。一人でも多くの方のご無事を祈っています。
真子さんは女の愛と生涯をアーメリングで知ったのですね。レッスンでも歌われたそうで、思い入れの深い曲集なのですね。アーメリングを聴き込んだと伺って、真子さんの歌はどんな感じなのだろうと興味があります。私はルートヴィヒ&ムーアの録音が最初だったと記憶しています。最終曲の後奏で冒頭の幸せだったころの歌が回帰するところは初めて聞いた頃はとても印象的でした。
こちらの音源もよろしければ聴いてみて下さいね。
投稿: フランツ | 2024年4月 3日 (水曜日) 20時03分
フランツさん、こんばんは。
私が持っている聞きこんだ録音は、ボードウィンとのPHILIPS盤です。若い頃のまっすぐな歌がとても魅力的ですよね。
この曲集は、お書きになっているように、シューマンは終曲の後奏に第一曲目の前奏を再び使い、彼を見つめ始めた頃の気持ちが現れて、初めて聞いた時は泣きそうになりました。にくいですね、シューマン。
当時レッスンでピアノを弾いてくれていた友人が、シューマンの曲はすばらしいけど、詩が嫌だと言っていました(笑) 確かに男性の希望願望が入っているかもしれません。
しかし、実際声に出して歌ってみると、たとえば第一曲目の「私が彼を見た時から」など、恋し始めた頃の乙女心が歌い尽くされていると思いました。
その心情にシューマンはぴったりのメロディをつけていますよね。
恋をすると言うことは理屈を超えていますし、生物としての根元的な感情ですから、どんなに時代が変わっても恋をしている人は、この曲集に共感するのではないかと思います。
今時、男らしいとか女らしいとか言うとひんしゅくをかいますが、やはり女性は自分にないものを持っているいわゆる男らしさに惹かれるもんだ、と最近も友人と話したところです。太古の昔からの遺伝子の成せる業だから仕方ないよね、と。
ちなみに、楽譜には、
「シューマン的ピアニズム
多声的書法
内声部の目だった進行」
「途切れ勝ちな動き 心理的描写」
と書き込んでいます。
投稿: 真子 | 2024年4月 4日 (木曜日) 21時33分
真子さん、こんばんは。
ボールドウィンとのPhilips録音、いいですね!アーメリングとボールドウィンが一体となって演奏しているのが素晴らしいと思います。二人とも安易な演奏効果に走らずに、作品に誠実に演奏しているのがいいです。
真子さんが楽譜に書かれたという言葉「途切れ勝ちな動き」というのは第一曲の前奏から感じられますね。恋の始まりで舞い上がってちょっと動揺している感じがよく表現されていると思います。
この歌曲集を実際に歌われた真子さんの視点、興味深く拝見しました。
この曲のテキストが古い女性観と見做されるのは、例えば第2曲の「卑しい下女の私(mich niedre Magd)」や第3曲の「みじめな私(Mich Arme)」というように相手を持ち上げるために自らを卑下した言い方をしている点が関係しているように思います。
詩人シャミッソーは男性なりに、恋に落ちた女性の舞い上がった感じを表現しようとしたのでしょう。恋は盲目を彼なりに描いてみたら自己評価の低い女性になってしまった…。
でも多くの女性歌手がこの歌曲集をレパートリーにしているのも事実です。好き嫌いの分かれる歌曲集ですが、シューマンの付けた音楽は素晴らしいと思います。特に終曲は見事ですね!
投稿: フランツ | 2024年4月 5日 (金曜日) 20時57分