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エリー・アーメリング(Elly Ameling)のドキュメンタリー&コンサート動画

90歳を迎えたエリー・アーメリングのドキュメンタリー&コンサートの番組がオランダのテレビで放映されると知り、日本に住むファンは指をくわえるしかないのかと思っていたところ、なんと太っ腹なNPO Klassiek様が動画をまるまるアップして下さいました!Dank u wel.(→2023.2.15追記:テレビ放送は80分、こちらの動画は60分なので、短縮版のようですね。それでも有難いです)

こちらのページ(Videoportret Elly Ameling (Podium Klassiek Extra))

もしリンク先の動画が視聴できない場合は、そのすぐ下の"Speelt de video niet af? Klik hier"の"Klik hier"をクリックすると表示されます。

それにしてもアーメリングは雄弁に語ります。コーヒーとお菓子を前にインタヴュアーとの話を楽しむ彼女は少女のようです。BGMにはモーツァルトの「恋とはどんなものか(Voi che sapete che cosa è amor)」(←聞いた限りでは70年代のPHILIPSの録音ではなく、後年の未公開のライヴ録音と推定されます)とフォレの『レクイエム』から「ピエ・イエズ(Pie Jesu)」(←おそらく1963年11月のジュリーニとのライヴ音源と思われます)が流れ、インタヴュアーと街中に散歩に出たり、運転する姿を披露したり、お茶目におどける姿を見せたりとファン必見の内容です。

この動画、途中にセピア色の若かりし頃のアーメリングの映像がしばしば挿入されますが、若い頃の表情の愛くるしいこと!「マタイ受難曲」を歌う姿は歌同様チャーミングです。

そして後半は2種類のコンサートライヴを楽しめます。
前半の黒いドレスに金の外套をはおったものはPhilipsの「フランス歌曲集」のジャケットと同じで、さらに私がはじめて彼女の生演奏を聴いた神奈川県民小ホールでのリサイタルの時とも同じでした。彼女は同じ衣装を何度も着るタイプのようで、そういうところもいいなと思ったりします。
後半の一番最後に演奏されるシューベルト「ギリシャの神々」ではコンサートならではのハプニングが起こります。1992年のGALAコンサートですが、おそらくシューベルトにあまり詳しくないお客さんが多かったことと、照明担当スタッフのミスが重なったことから起きたものと想像されます。ぜひ確かめてみて下さい。

0:04:53-
VARA 1970
コンセルトヘバウ(Concertgebouw)(?)を歩くアーメリング

0:09:05-
Lachen, tranen, fantasie en invallen
AVRO 1978
Schubert: Ave Maria, D 839
Elly Ameling (soprano)
Dalton Baldwin (piano)
シューベルト:アヴェ・マリア(抜粋)
エリー・アーメリング(S)
ドルトン・ボールドウィン(P)

0:16:50-
若かりしアーメリング(ピアノを弾き、話す)

0:17:07-
Reiziger in muziek
VPRO 1992
Joaquín Nin: Villancico de Córdoba
Elly Ameling (soprano)
Dalton Baldwin (piano)
ホアキン・ニン編曲:コルドバのビリャンシーコ
エリー・アーメリング(S)
ドルトン・ボールドウィン(P)

0:20:10-
Matthäus-Passion
Radio Nederland Wereldomroep 1964
Bach: Er hat uns allen wohlgetan - Aus Liebe will mein Heiland sterben
バッハ:『マタイ受難曲』BWV244より「彼は我々皆を元気づけてくれました~愛ゆえに、私の救い主は死のうとしておられます」(訳はこちらのサイトを参照させていただきました)

0:25:43-
Internationaal Elly Ameling Concours
1988
Elly Ameling - sopraan
Rudolf Jansen - piano
国際エリー・アーメリング・コンクールより
エリー・アーメリング(S)
ルドルフ・ヤンセン(P)
Elly Ameling Discographyを公開されているSandmanさんからいただいたコメントによると、1988年9月25日放送のテレビ番組(NOS)で収録場所はDiligentia in Den Haagとのことです(ソース)。Sandmanさん、有難うございます!

0:26:12-
Joseph Haydn: The Mermaid Song, Hob. XXVIa
ハイドン:人魚の歌

0:29:04-
Johannes Brahms: Feldeinsamkeit, Op. 86-2
ブラームス:野の孤独

0:32:44-
Hugo Wolf: Verborgenheit
ヴォルフ:世を逃れて

0:35:54-
Henri Duparc: Romance de Mignon
デュパルク:ミニョンのロマンス

0:40:52-
Johannes Brahms: Vergebliches Ständchen, Op. 84-4
ブラームス:甲斐なきセレナード

Friends for Life Gala
NTR 1992
Elly Ameling
Piano: Rudolf Jansen
フレンズ・フォー・ライフ・ガラ
エリー・アーメリング(S)
ルドルフ・ヤンセン(P)
※こちらもSandmanさんからいただいたコメントによると、1992年7月22日TV放送 (NOS)で、アムステルダム・コンセルトヘボウでの収録とのことです(ソース)。
さらに第8回エイズ予防会議に関連して開かれたコンサートと思われ、アーメリングが胸に付けている赤いリボンは, 薬物乱用の防止、AIDS に対する戦いを象徴するリボン (Red Ribbon)とご教示いただきました。
このライヴ映像と同一音源が2曲がCD化されていて、詳細はSandmanさんのサイトに記載されています。

0:42:56-
W. A. Mozart: Abendempfindung, KV 523
モーツァルト:夕暮れの情緒

0:48:24-
F. P. Schubert: Lachen und Weinen, D 777
シューベルト:笑ったり泣いたり

0:50:39-
F. P. Schubert: Auf dem Wasser zu singen, D 774
シューベルト:水の上で歌う

0:54:42-
F. P. Schubert: Die Götter Griechenlands, D 677
シューベルト:ギリシャの神々

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コメント

一応、1時間じっと聞きました曲目教えて下さいましてありがとう御座います。
青い衣装の歌は説明みても分からない、いい歌ですが。
確認しました、間奏入って終わったと思ったんですね。
このまま終わるかどうか考えて、、やり直した。
アメリングは少々憤慨ぎみでしたね。
同様な事が、初来日の時私たち素人が押し寄せて毎曲ごとに拍手したので3,4曲目ぐらいに
館内アナウンスが入って、何の事と隣の人に聞いたら 拍手は作曲家ごとにと言う事でした。

私は昔ステレオが流行った頃バッハのアンナマグダレーナ、、、とか
カンタータとかのチエンバロの音がどうの、アメリングの声がのどチンコが
見えるほどだとかくだらない事しか分かりません。其の頃ハルモニアムンディとか
変な名前だなーと思っていたものです。レコード店でアメリング、アメリングと
言ってたら、はは~可愛いから良いんだなと言われ はいとは言えませんでした。
なにしろ音楽会の時代でしたから、素人は音楽会には行きにくかったし。
チエンバロと言えば大阪テレマンで同じフロアでする演奏会で音は小さいので
周りに近寄って聞いて下さいって事も在りました。もう忘れるなあ
でも、やっぱりバロック時代の声は格別です。(一瞬HANNAと間違う)
うまさは後年のほうですが。

アッ、マタイはリヒター、マティスを聴いていたかも。(全曲ではなく)
ーーーーーーーーーーー
アホな、話
モーツァルト以後を聴かないと言う事をしたことがあります。
聞こえていますが、聴かない、心に通さないと言う方法で。
その時はベートーヴェンを聴こうものなら涙が出そうになり
シューマンを聴こうものなら涙ぽろぽろの感じ
演歌なら、嗚咽を覚え。(当然その他、ポップス ロックも)
その場にいられない。

今は普通に聴いています。

(くだらないと思ったら消去していいです)

投稿: tada | 2023年2月16日 (木曜日) 14時15分

tadaさん、こんばんは。
動画、1時間聴いてくださったのですね。有難うございます!

青い衣装の歌はホアキン・ニンの「コルドバのビリャンシーコ」のことでしょうか。アーメリングのクリスマス歌曲集の録音に含まれていてCD化もされています。

英訳からの重訳なので間違っている可能性も大ですが、大体こんな感じの内容です。

お母さん、戸口に子供がいるよ、
百合よりも美しく
白いリネンにくるまれて。
お母さん、子供は冷たくなっている。
暖炉に来て
温まりなよ。
アイ(※スペイン風の掛け声)、この世に慈愛などない。

「ギリシャの神々」のハプニングもご覧になられたのですね。
このシラーの詩による歌曲、A-Bときて、最後にAに戻るのですが、Bが終わったところで客席の電気がつけられてしまい、歌が終わったと信じたお客さんが拍手してしまったというアーティストにとっては悲しいハプニングですね。ヤンセンとどうしようと話した後、手で拍手を制して最後に回帰するAの部分を最後まで歌いましたが、その後のアーメリングの表情はちょっと固かったですね。「舞踏への勧誘」のような途中で拍手が来やすいことでお馴染みの作品ならばアーティストもまだ諦めがつくのでしょうが、まさか曲の途中で明かりがついてしまうとは思ってもいなかったのでしょう。アーティストにとって予期せぬ中断は傷つくのかもしれませんね。

tadaさんの拍手のエピソードもご紹介有難うございます。
初来日を聞かれたとは何ともうらやましいです!
最近は多くのリート歌手のプログラムに「拍手はそれぞれのまとまりが終わってからしてください」という注意書きがされるようになりましたね。
おそらくアーティストが考えた流れを中断されたくないのだと思います。

若かりしアーメリングの録音はおっしゃるようにハルモニアムンディでバッハやシューベルト、シューマン、ブラームスなどがありますね。若い頃の愛くるしい写真は魅力的です(今回はじめて若い頃の動く姿を見れて大満足です)。

(一瞬HANNAと間違う)というのは、Hanna Elisabeth Müllerのことですね。彼女もアーメリングのマスタークラスに出ていたようですね。

チェンバロのコンサートで近寄って聴いてくださいということがあったのですか。そういうことがしやすい時代だったのでしょうか。楽器の性能的なものもあったのかもしれませんね。

マタイはリヒター指揮の盤は定番ですね。マティスもバッハは沢山歌っていてアーメリングとは全く異なるアプローチですがとても魅力的だと思います。

最後のお話、tadaさんの音楽への純粋な感受性ゆえだと感じました。音楽を聞いて涙を流すというのはコンサート会場だとちょっと恥ずかしかったりもしますが、泣くこと自体は精神衛生上良いみたいですよ。

投稿: フランツ | 2023年2月16日 (木曜日) 22時08分

2月13日にWEBに公開された映像について, コメントをさしあげます.

1. INTERNATIONAAL ELLY AMELING CONCOURSと題するプログラム5曲は, Beeld en Geluidに記載されているデータ (こちら)によると,
1988年9月25日放送のテレビ番組(NOS)
収録日:不明
収録場所 : デン・ハーグ, ディリヘンシア劇場Diligentia in Den Haag
曲目:
(1) ハイドン : 人魚の歌 The mermaid’s song Hob.ⅩⅩⅥa
(2) ブラームス : 野の寂しさ Feldeinsamkeit Op.86-2
(3) ヴォルフ : 隠遁 Verborgenheit (メーリケ歌曲集から)
(4) デュパルク : ミニョンのロマンス Romance de Mignon
(5) ブラームス : 甲斐なきセレナーデ」 Vergebliches Ständchen Op.84-4
ピアノ:ルドルフ・ヤンセン

2. Friends for Life Gala
Beeld en Geluidに掲載されているデータはこちら.
1992年7月22日TV放送 (NOS)
収録日:不明
収録場所 : アムステルダム・コンセルトヘボウ
第8回エイズ予防会議に関連して開かれたコンサートのようです.
アーメリングが胸に付けている赤いリボンは, 薬物乱用の防止、AIDS に対する戦いを象徴するリボン (Red Ribbon)です.
このコンサートを収録したCD(DURECO-1157542)には, アーメリングの歌う曲は2曲しか収録されていませんが, 今回4曲が聞ける訳です.
(1) モーツァルト:夕暮れの情緒Abendempfindung K.523
(2) シューベルト:笑ったり泣いたりLachen und Weinen D.777
(3) シューベルト:水の上で歌う Auf dem Wasser zu singen D.774
(4) シューベルト:ギリシャの神々 Die Götter Griechenlands D.677
ピアノ:ルドルフ・ヤンセン

投稿: Sandman | 2023年2月18日 (土曜日) 17時24分

Sandmanさん、こんばんは。
補足説明を有難うございます!

Beeld en Geluidは情報の宝庫ですね。収録日が記載されていると良かったですが、映像作品の場合は実際に演奏された日付はあまり重視されていないのかもしれませんね。

2のガラコンサートは、Sandmanさんのディスコグラフィーで以前見かけて、ネットでいろいろ探してみたのですが、数秒だけ試聴できるサイトを見つけることは出来たものの、入手するのは難しそうでした。今回のこの動画がアップされたおかげで他の曲も含めて聴くことが出来て良かったです。あのリボンについてもご教示有難うございます。そういう意味があったのですね。

それからコメント欄のリンクについてはココログの仕様だと思うのですが、URLをベタ打ちした時のみ有効で、特定の文字列にリンクを埋め込むのは出来ないようです。お手数をおかけしました。

Sandmanさんのサイトにも今回のこれらの情報がアップされるのを楽しみにしております!

投稿: フランツ | 2023年2月18日 (土曜日) 22時09分

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