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エリー・アーメリング/ブラームス歌曲集&シューマン『リーダークライス Op. 39』(公式チャンネル)

エリー・アーメリング(Elly Ameling)の公式YouTubeチャンネルで以前ブラームスの歌曲50曲をまとめた動画がアップされていたことがあり、2時間20分もの大作でしたが、いつのまにか削除されていてどうしたのだろうと思っていました。
先ほど久しぶりに公式チャンネルからアップされたのは、このブラームス歌曲集を12の動画に分散させたもので、ほぼ作品番号順にまとめられているので、同じ作品集としてどんな曲が一緒に出版されたのかという観点からも楽しめると思います。
今回はそれぞれの動画が10分前後なので、気楽に再生しやすくなっています。
アーメリングはブラームスも最高なので、ぜひ聞いてみてください。
渋いだけでない、美声によって歌われた時に感じられる新たな魅力があると思うので、ぜひ楽しんでください。
ちなみにピアニストの名前の後に追記されている年は必ずしも録音年とは限らないようで、発売された時にジャケット等に記載されている商品製作年・著作権取得年の可能性もあります。例えばノーマン・シェトラーの場合は1973年と記載されていますが、1968年録音のLPと同一音源ではないかと思われます。

エリー・アーメリング(Elly Ameling)(S)

ノーマン・シェトラー(Norman Shetler)(P)
・Harmonia Mundiの音源と同じならば録音は29-30 June 1968, Viersen

ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)(P)
・Philipsの音源と同じならば録音は22-27 January 1977, Concertgebouw, Amsterdam

・「あの下の谷には(Da unten im Tale, WoO 33/6)」:EMIの音源と同じならば録音は6-11 September 1972, Gemeindehaus Studio, Zehlendorf, Berlin

ルドルフ・ヤンセン(Rudolf Jansen)(P)
・"80 jaar"の音源と同じならば録音はほとんど14 January. 1983, Concertgebouw Amsterdam
ただし、「便り(Botschaft, Op. 47/1)」は"80 jaar"での録音表示は3 October 1978, Concertgebouw Amsterdam

・「砂の精(Sandmännchen, WoO 31/4)」:Philipsのオムニバス盤の録音と同じならば録音は22-25 February 1988, La Chaux-de-Fonds, Switzerland

・Hyperionの音源と同じならば録音は14-18 August 1990, Rosslyn Hill Unitarian Chapel, Hampstead, London

ジョージ・センデ(George Szende)(VLA)&ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)(P)
宗教的な子守歌(Geistliches Wiegenlied, Op. 91/2):EMIのクリスマスソング集のLPと同じならばP1977と表示されているので、1976年前後の録音と推定される


●ブラームス:愛の誠Op. 3/1、スペインの歌Op. 6/1、春Op. 6/2、悲しむ娘Op. 7/5
Elly Ameling - Brahms op. 3/1, 6/1, 6/2, 7/5

00:00:00 O versenk’ dein Leid (op 3/1 Liebestreu) ¹
00:02:52 In dem Schatten meiner Locken (op 6/1 Spanisches Lied) ²
00:05:12 Es lockt und säusselt (op 6/2 Der Frühling) ²
00:07:52 Mei Mueter mag mi net (op 7/5 Die Trauernde) ²
Elly Ameling
Rudolf Jansen (1990) ¹
Dalton Baldwin (1977) ²


●ブラームス:憩え、かわいい恋人よOp. 33/9、別れなければならないのかOp. 33/12、永遠の愛についてOp. 43/1、五月の夜Op. 43/2
Elly Ameling - Brahms op. 33/9, 33/12, 43/1, 43/2

00:00:00 Ruhe, Süssliebchen (op 33/9 Ruhe, Süssliebchen) ¹
00:06:27 Muss es eine Trennung geben (op 33/12) ¹
00:10:03 Dunkel, wie dunkel (op 43/1 Von ewiger Liebe) ²
00:14:38 Wann der silberne Mond (op 43/2 Die Mainacht) ¹
Elly Ameling
Rudolf Jansen (1990) ¹
Dalton Baldwin (1977) ²


●ブラームス:サヨナキドリに寄せてOp. 46/4、使いOp. 47/1、日曜日の朝にOp. 49/1、子守歌Op. 49/4
Elly Ameling - Brahms op. 46/4, 47/1, 49/1, 49/4

00:00:00 Geuss’ nicht so laut (op 46/4 An die Nachtigall) ¹
00:02:52 Wehe, Lüftchen, lind und lieblich (op 47/1 Botschaft) ²
00:05:28 Am Sonntag Morgen, zierlich angetan (op 49/1) ³
00:06:50 Guten Abend, gut’ Nacht (op 49/4 Wiegenlied) ⁴
Elly Ameling
Rudolf Jansen (1990) ¹
Rudolf Jansen (1983) ²
Norman Shetler (1973) ³
Dalton Baldwin (1977) ⁴


●ブラームス:森に囲まれた丘からOp. 57/1、あなたがほんのわずかでも微笑めばOp. 57/2、私は夢を見たOp. 57/3、ああ、この視線をそらしてOp. 57/4、そよがぬなまぬるい空気Op. 57/8、雨の間にOp. 58/2
Elly Ameling - Brahms op. 57/1, 2, 3, 4, 8, op. 58/2

00:00:00 Von waldbekränzter Höhe (op 57/1) ¹
00:02:23 Wenn du nur zuweilen lächelst (op 57/2) ²
00:04:09 Es träumte mir, ich sei dir teuer (op 57/3) ²
00:07:41 Ach, wende diesen Blick (op 57/4) ²
00:09:32 Unbewegte laue Luft (op 57/8) ²
00:13:23 Voller, dichter tropft ums Dach da (op 58/2 Während des Regens) ³
Elly Ameling
Dalton Baldwin (1977) ¹
Rudolf Jansen (1983) ²
Norman Shetler (1973) ³


●ブラームス:黄昏は上方から降り来てOp. 59/1、湖上にてOp. 59/2、アグネスOp. 59/5、わが傷ついた心Op. 59/7、あなたの青い瞳Op. 59/8
Elly Ameling - Brahms op. 59 (1, 2, 5, 7, 8)

00:00:00 Dämmrung senkte sich von oben (op 59/1) ²
00:04:05 Blauer Himmel (op 59/2 Auf dem See) ²
00:07:03 Rosenzeit, wie schnell vorbei (op 59/5 Agnes) ³
00:10:17 Mein wundes Herz verlangt nach milder ruh (op 59/7) ²
00:12:03 Dein blaues Auge (op 59/8) ¹
Rudolf Jansen (1983) ¹
Rudolf Jansen (1990) ²
Dalton Baldwin (1977) ³


●ブラームス:わが愛は緑Op. 63/5、おお戻り道が分かるならOp. 63/8、秘密Op.71/3 、おお涼しい森よOp. 72/3
Elly Ameling - Brahms op. 63/5, 8, op. 71/3, op.72/3

00:00:00 Meine Liebe ist grün (op 63/5) ²
00:01:33 O wüsst ich doch den Weg zurück (op 63/8) ¹
00:05:31 Geheimnis (op 71/3) ²
00:07:31 O kühler Wald (op 72/3) ²
Elly Ameling
Rudolf Jansen (1983) ¹
Rudolf Jansen (1990) ²


●ブラームス:いちご畑でOp. 84/3、甲斐なきセレナードOp. 84/4、テレーゼOp. 86/1、野の孤独Op. 86/2、夢遊病者Op. 86/3
Elly Ameling - Brahms op. 84/3, 4, op. 86/1, 2, 3

00:00:00 Singe Mädchen, hell und klar (op 84/3 In den Beeren) ¹
00:01:32 Guten Abend, mein Schatz (op 84/4 Vergebliches Ständchen) ²
00:03:33 Du milchjunger Knabe (op 86/1 Therese) ³
00:05:25 Ich ruhe still, im hohen grünen Gras (op 86/2 Feldeinsamkeit) ³
00:09:37 Störe nicht den leisen Schlummer (op 86/3 Nachtwandler) ³
Elly Ameling
Dalton Baldwin (1977) ¹
Rudolf Jansen (1983) ²
Rudolf Jansen (1990) ³


●ブラームス:宗教的な子守歌Op. 91/2
Elly Ameling - Brahms op. 91/2

00:00:00 Die ihr schwebet um diese Palmen (op 91/2 Geistliches Wiegenlied)
Elly Ameling
Dalton Baldwin, George Szende (1977)


●ブラームス:狩人Op. 95/4、私たちは歩き回ったOp. 96/2、サヨナキドリOp. 97/1、早くおいでOp. 97/3
Elly Ameling - Brahms op. 95/4, op. 96/2, op. 97/1, 3

00:00:00 Mein Lieb ist ein Jäger (op 95/4 Der Jäger) ¹→※ピアニストはおそらく1ではなく3が正しい
00:01:14 Wir wandelten, wir zwei zusammen (op 96/2) ²
00:05:03 O Nachtigall, dein süsser Schall (op 97/1 Nachtigall) ³
00:07:38 Warum den warten von Tag zu Tag (op 97/3 Komm bald) ²
Elly Ameling
Dalton Baldwin (1977) ¹
Rudolf Jansen (1983) ²
Rudolf Jansen (1990) ³


●ブラームス:メロディーのようにOp. 105/1、わがまどろみはますます浅くなりOp. 105/2、セレナードOp. 106/1、シナノキに霜が降りOp. 106/3、娘は語るOp. 107/3、娘の歌Op. 107/5
Elly Ameling - Brahms op. 105/1, 2, op. 106/1, 3, op. 107/3, 5

00:00:00 Wie Melodien zieht es mir (op 105/1) ²
00:02:13 Immer leiser wird mein Schlummer (op 105/2) ¹
00:06:24 Der Mond steht über dem Berge (op 106/1 Ständchen) ³
00:08:01 Es hing der Reif im Lindenbaum (op 106/3) ²
00:11:24 Schwalbe, sag’ mir an (op 107/3 Das Mädchen spricht) ³
00:12:43 Auf die Nacht in der Spinnstub’n (op 107/5 Mädchenlied) ³
Elly Ameling
Rudolf Jansen (1990) ¹
Rudolf Jansen (1983) ²
Norman Shetler (1973) ³


●ブラームス:砂の精WoO 31/4、あの下の谷にはWoO 33/6、きれいな恋人よ、裸足で来ちゃだめだよWoO 33/12
Elly Ameling - Brahms WoO, 31/4, 33/6, 33/12

00:00:00 Die Blümelein sie schlafen (WoO 31/4 Sandmännchen) ¹
00:03:51 Da unten in Tale läuft Wasser so trüb (WoO 33/6) ²
00:06:39 Feinsliebchen, du sollst mir nicht barfuß gehn (WoO 33/12)³
Elly Ameling
Rudolf Jansen (1988) ¹
Dalton Baldwin (1977) ²
Norman Shetler (1973) ³


●ブラームス:シナノキが立っているWoO 33/41、静かな夜にWoO 33/42、おおお母さん、欲しいものがあるのWoO 33/33、お姉ちゃんWoO 33/15
Elly Ameling - Brahms WoO, 33/41, 42, 33, 15

00:00:00 Es steht ein Lind in jenem Tal (WoO 33/41)
00:02:47 In stiller Nacht, zur ersten Wacht (WoO 33/42)
00:05:40 Och Modr, ich well en Ding han (WoO 33/33)
00:07:22 Schwesterlein, wann gehn wir nach Haus (WoO 33/15)
Elly Ameling
Norman Shetler (1973)

deutsch harmonia mundi: Norman Shetler(P)

Philips: The Artistry of Elly Ameling: Dalton Baldwin(P)→2023年4月にボールドウィンとのブラームス全曲を含むPhilipsレーベルのアーメリング・リサイタル盤全集がEloquenceレーベルからリリースされる予定なので、欲しい方はこちらのリンク先を買うよりもそちらの発売を待って購入するという選択肢もあります。

Omnium Audiovisueel: 80 Jaar: Rudolf Jansen(P)

Hyperion: Rudolf Jansen(P)

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(2023/2/23追記)

ブラームスの動画がアップされた後、今度はシューマンのアイヒェンドルフのテキストによる『リーダークライス(Liederkreis, Op. 39)』の録音が4曲ずつの3つの動画でアップロードされました。音源はPhilipsのイェルク・デームス(Jörg Demus)とのスタジオ録音のようですが、概要欄に記載された日付がOct 31, 1981となっています。
LPで発売された時は『子供のための歌のアルバム(Lieder-Album für die Jugend, Op. 79)』全曲とのカップリングで録音表記は1979年4月15-21日, La Chaux-de-Fonds, Switzerlandとなっていました。おそらく今回の動画はこのLPと同一音源で、1981年というのはラジオかなにかで放送された時の日付なのかもしれません。

ローベルト・シューマン:歌曲集『リーダークライス(Liederkreis, Op. 39)』(ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ:詩)
エリー・アーメリング(S)
イェルク・デームス(P)
Liederkreis op. 39 - Robert Schumann (1810-1856)
Text; Joseph von Eichendorff
Elly Ameling - Soprano
Jörg Demus - Piano

●異郷にてOp. 39/1;間奏曲Op. 39/2;森の対話Op. 39/3;静寂Op. 39/4
Elly Ameling; Liederkreis op. 39 - Schumann (part 1)

00:00 In der Fremde
02:32 Intermezzo
04:16 Waldesgespräch
06:49 Die Stille

●月の夜Op. 39/5;美しき異郷Op. 39/6;古城にてOp. 39/7;異郷にてOp. 39/8
Elly Ameling; Liederkreis op. 39 - Schumann (part 2)

00:00 Mondnacht
04:32 Schöne Fremde
06:02 Auf einer Burg
09:32 In der Fremde

●悲しみOp. 39/9;たそがれOp. 39/10;森の中でOp. 39/11;春の夜Op. 39/12
Elly Ameling; Liederkreis op. 39 - Schumann (part 3)

00:00 Wehmut
02:47 Zwielicht
06:11 Im Walde
07:42 Frühlingsnacht

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エリー・アーメリング(Elly Ameling)のドキュメンタリー&コンサート動画

90歳を迎えたエリー・アーメリングのドキュメンタリー&コンサートの番組がオランダのテレビで放映されると知り、日本に住むファンは指をくわえるしかないのかと思っていたところ、なんと太っ腹なNPO Klassiek様が動画をまるまるアップして下さいました!Dank u wel.(→2023.2.15追記:テレビ放送は80分、こちらの動画は60分なので、短縮版のようですね。それでも有難いです)

こちらのページ(Videoportret Elly Ameling (Podium Klassiek Extra))

もしリンク先の動画が視聴できない場合は、そのすぐ下の"Speelt de video niet af? Klik hier"の"Klik hier"をクリックすると表示されます。

それにしてもアーメリングは雄弁に語ります。コーヒーとお菓子を前にインタヴュアーとの話を楽しむ彼女は少女のようです。BGMにはモーツァルトの「恋とはどんなものか(Voi che sapete che cosa è amor)」(←聞いた限りでは70年代のPHILIPSの録音ではなく、後年の未公開のライヴ録音と推定されます)とフォレの『レクイエム』から「ピエ・イエズ(Pie Jesu)」(←おそらく1963年11月のジュリーニとのライヴ音源と思われます)が流れ、インタヴュアーと街中に散歩に出たり、運転する姿を披露したり、お茶目におどける姿を見せたりとファン必見の内容です。

この動画、途中にセピア色の若かりし頃のアーメリングの映像がしばしば挿入されますが、若い頃の表情の愛くるしいこと!「マタイ受難曲」を歌う姿は歌同様チャーミングです。

そして後半は2種類のコンサートライヴを楽しめます。
前半の黒いドレスに金の外套をはおったものはPhilipsの「フランス歌曲集」のジャケットと同じで、さらに私がはじめて彼女の生演奏を聴いた神奈川県民小ホールでのリサイタルの時とも同じでした。彼女は同じ衣装を何度も着るタイプのようで、そういうところもいいなと思ったりします。
後半の一番最後に演奏されるシューベルト「ギリシャの神々」ではコンサートならではのハプニングが起こります。1992年のGALAコンサートですが、おそらくシューベルトにあまり詳しくないお客さんが多かったことと、照明担当スタッフのミスが重なったことから起きたものと想像されます。ぜひ確かめてみて下さい。

0:04:53-
VARA 1970
コンセルトヘバウ(Concertgebouw)(?)を歩くアーメリング

0:09:05-
Lachen, tranen, fantasie en invallen
AVRO 1978
Schubert: Ave Maria, D 839
Elly Ameling (soprano)
Dalton Baldwin (piano)
シューベルト:アヴェ・マリア(抜粋)
エリー・アーメリング(S)
ドルトン・ボールドウィン(P)

0:16:50-
若かりしアーメリング(ピアノを弾き、話す)

0:17:07-
Reiziger in muziek
VPRO 1992
Joaquín Nin: Villancico de Córdoba
Elly Ameling (soprano)
Dalton Baldwin (piano)
ホアキン・ニン編曲:コルドバのビリャンシーコ
エリー・アーメリング(S)
ドルトン・ボールドウィン(P)

0:20:10-
Matthäus-Passion
Radio Nederland Wereldomroep 1964
Bach: Er hat uns allen wohlgetan - Aus Liebe will mein Heiland sterben
バッハ:『マタイ受難曲』BWV244より「彼は我々皆を元気づけてくれました~愛ゆえに、私の救い主は死のうとしておられます」(訳はこちらのサイトを参照させていただきました)

0:25:43-
Internationaal Elly Ameling Concours
1988
Elly Ameling - sopraan
Rudolf Jansen - piano
国際エリー・アーメリング・コンクールより
エリー・アーメリング(S)
ルドルフ・ヤンセン(P)
Elly Ameling Discographyを公開されているSandmanさんからいただいたコメントによると、1988年9月25日放送のテレビ番組(NOS)で収録場所はDiligentia in Den Haagとのことです(ソース)。Sandmanさん、有難うございます!

0:26:12-
Joseph Haydn: The Mermaid Song, Hob. XXVIa
ハイドン:人魚の歌

0:29:04-
Johannes Brahms: Feldeinsamkeit, Op. 86-2
ブラームス:野の孤独

0:32:44-
Hugo Wolf: Verborgenheit
ヴォルフ:世を逃れて

0:35:54-
Henri Duparc: Romance de Mignon
デュパルク:ミニョンのロマンス

0:40:52-
Johannes Brahms: Vergebliches Ständchen, Op. 84-4
ブラームス:甲斐なきセレナード

Friends for Life Gala
NTR 1992
Elly Ameling
Piano: Rudolf Jansen
フレンズ・フォー・ライフ・ガラ
エリー・アーメリング(S)
ルドルフ・ヤンセン(P)
※こちらもSandmanさんからいただいたコメントによると、1992年7月22日TV放送 (NOS)で、アムステルダム・コンセルトヘボウでの収録とのことです(ソース)。
さらに第8回エイズ予防会議に関連して開かれたコンサートと思われ、アーメリングが胸に付けている赤いリボンは, 薬物乱用の防止、AIDS に対する戦いを象徴するリボン (Red Ribbon)とご教示いただきました。
このライヴ映像と同一音源が2曲がCD化されていて、詳細はSandmanさんのサイトに記載されています。

0:42:56-
W. A. Mozart: Abendempfindung, KV 523
モーツァルト:夕暮れの情緒

0:48:24-
F. P. Schubert: Lachen und Weinen, D 777
シューベルト:笑ったり泣いたり

0:50:39-
F. P. Schubert: Auf dem Wasser zu singen, D 774
シューベルト:水の上で歌う

0:54:42-
F. P. Schubert: Die Götter Griechenlands, D 677
シューベルト:ギリシャの神々

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エリー・アーメリング&フェーリクス・ドゥ・ノーブル:グリーグ&メンデルスゾーン歌曲

エリー・アーメリング(Elly Ameling)は若かりし頃、リートピアニスト、合唱指揮者として名高かったオランダのフェーリクス・ドゥ・ノーブル(Felix de Nobel)と組んで多くの放送録音を残しています。その中からいくつかがアップされていましたのでご紹介したいと思います。
特にグリーグは商業録音されていない彼女にとって珍しいレパートリーだと思います。30歳頃のみずみずしい美声を堪能できますね。

●グリーグ:初めての出会い Op. 21/1(『「漁夫の娘」による4つの詩』から)
Grieg: Det første møde, op. 21 no. 1
エリー・アーメリング(S)
Elly Ameling(S)
フェーリクス・ドゥ・ノーブル(P)
Felix de Nobel(P)
1964年放送(Sandmanさん作成のDiscographyに掲載の1963年10月23日録音と同一?)

チャンネル名:kadoguy

●メンデルスゾーン:恋する女性が手紙を書くOp. 86/3
Mendelssohn: Die Liebende schreibt, op. posth. 86, no. 3
エリー・アーメリング(S)
Elly Ameling(S)
フェーリクス・ドゥ・ノーブル(P)
Felix de Nobel(P)
1964年放送(Sandmanさん作成のDiscographyに掲載の1963年10月23日録音と同一?)

チャンネル名:kadoguy

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エリー・アーメリング様、90歳おめでとうございます!

Gefeliciteerd met je verjaardag, Elly Ameling!

エリー・アーメリング(Elly Ameling)が2023年2月8日に90歳のお誕生日を迎えられました。おめでとうございます!クラシックを聴き始めた頃からずっと親しんできたアーメリングのファンとして感慨深いです。

今年は過去のPhilipsのリサイタル盤と、Philips, Deccaのバッハ作品への参加録音がEloquenceレーベルからボックスで復活する予定とのことですので、今から楽しみにしています!これからもお元気でいてくださることを願っております。

過去の来日時のインタヴューから彼女の言葉をいくつか引用させていただきます(表記は基本的に原文のまま)。適宜、注を※で補足してあります。

●『レコード芸術』1972年4月号(インタヴュアー:高柳守雄)

「中学のころ、音楽の時間に先生から<あなたは歌に向いている。その道に進みなさい>といわれましたが、そのころは<うたえばたのしい>という程度でした」

「(ベルナックは)音楽をどうつかみ、それをいかに表現するか。そうした解釈への道を自然にたどることができるように教えてくださいました。それが結局は、だれのものでもない、その人自身の音楽へと進ませてくれるのです」

「シュヴァルツコップさんは、もちろんすばらしい歌い手です。声の美しさという以上にリートへの深い解釈にうたれます。けれど、歌い手は、だれそれのようにうたう、というものではないのです」

-ドイツの歌曲で、いちばん好きな作曲家はだれですか

「この質問、よく受けるんですが、非常にむずかしい。いいものなら、どの作曲家のものでも......レコードでは気に入ったものが二つあります。ヴォルフの《メーリケ歌曲集》と《シューマン歌曲集》」

「来年五月に、アムステルダムの歌劇場で、モーツァルトの《イドメネオ》のイリアの役をうたいます。指揮はミカエル・ギーレンですが、オーケストラはまだ決まっていません」
「オランダの歌い手の水準はけっして高いほうではありませんし、よい歌劇場も少ないのです。オペラをやるためには外国に出るのが早道ですが、歌い手になってほどなく結婚生活にはいったため、長い期間、国をあけることができなくなったのです。でも、これからはなるべく時間をさいてオペラの舞台にも立ちたいとおもっています。やりたい役ですか?《フィガロの結婚》あたりなら、適当な役があるとおもいます。それから、たとえばドビュッシーの《ペレアスとメリザンド》。《売られた花嫁》のマリー。《コジ・ファン・トゥッテ》のデスピーナ......」

●『音楽現代』1986年1月号(インタヴュアー記名なし、おそらく編集部)

-中田(喜直)さんの曲は以前からご存知だったのですか。

アメリング:そうです。中田さんの曲はこれまでも、世界中の演奏会でずい分歌ってきました。(※注:「おやすみなさい」「髪」をスタジオ録音している。コンサートでは「たあんきぽーんき」も歌っている) 日本語の発音は大変むずかしいので、あまりうまくは歌えないのですが......日本語はどこにもストレスを置かず、平坦に発音する言葉が多いので、それを歌にした場合に、どこにアクセントを置くのか分からないから、日本語の歌を唄うのはとてもむずかしいですね。一つの同じ単語でもイントネーションが違うと意味が違ってくる言葉もありますから。(後略)

-最近はリサイタル活動がほとんどで、オペラの方はあまり出ていらっしゃいませんね。

アメリング:時々はオペラにも出ますが、今は活動のほとんどは歌曲のリサイタルですね。(中略) 今は、世界中でリサイタルを行わなければならないので、今はとてもオペラに時間をさくことは出来ないような状態です。オペラに興味がなくなったわけでは決してなく、オペラも勿論好きなのですが、今は歌曲の方がより自分に合っていると思っているから、そういう活動状態になっているのでしょう。
私が何故歌曲が好きかというと、先ず詩が大好きなのですね。歌曲は詩の持っている意味をとても大切にして作られています。(中略) 歌曲の場合、非常にデリケートで陰影に富む歌い方が必要なので、そういう表現方法が可能な歌曲というジャンルに私はとてもひかれます。

-批評は気になさる方ですか。

アメリング:あまり気にしません。批評家の方々は大体正しいことをおっしゃっているのだろうと信じていますから。自分が良かったと思う演奏会のことを悪く書かれても影響はされないし、自分で悪かったと思う演奏会に対して良い批評が出たとしても、それで自分が安心するということは絶対にありえません。自分で悪いと思った演奏は誰がなんといおうと、悪い演奏なのですから。

-生まれ変わったとしたらまた歌手を選びますか?

アメリング:私は今度生まれたらヴィオラ奏者になりたいと思います。(中略) 哀調のある音色がとても好きなのです。今は自分の身体の中に楽器があるので、いつもコンディションを最高のものにしておかなければいけません。ですから今度は身体の外の楽器を演奏してみたいのです。音楽家でなければ、考古学者になってエジプトに行くか、禅のお坊さんになって京都の禅寺に住んで見たいですね。龍安寺のような庭のある寺でね。

●『音楽の友』1996年6月号(インタヴュアー:國土潤一)

「(※注:さよなら公演を行った1996年の最終公演後のインタビュー) 1953年以来歌って来ていますので、もう40年以上も歌っていることになります。もうステージで歌うのはこれで充分かな、と思います。(中略) 昨日の仙台(4月23日)での演奏が、本当に全ての最後のステージとなるはずです。『もう絶対しない!』とは言い切れないかもしれませんし、まだ『呼吸』できるうちは歌えるとも思いますが......。自分にとって『ゴール』を決めないのは良くないのかもしれませんが、でも『最後』と決めると戻って来たくなるクレージーな所はありますね......。ひょっとしたら、どこか小さな街でこっそり歌うかもしれませんね(笑)。まあ、分りませんけれど。(※注:実際には翌年の1997年5月にもアンコール公演を横浜、熊本で催した)」

「私のキャリアの中にオペラが含まれていないのには、いくつか理由があります。私はまず『ポエジー』を歌いたいのです。『音楽』における『詩』を歌っていきたいと思ったからです。(中略) もうひとつの理由は、ビジネス上の問題です。リートを上手に歌う人の方が、オペラを上手に歌う人よりも少ないと思ったからです。」

「レコーディング・レパートリーに関しては、レコード会社の意向と私の希望が一致しないことも多かったのです。いつでもベートーヴェン、シューベルト、バッハの『マタイ受難曲』......そういった依頼ばかりでした。いつも、知られていない曲も録音したいと交渉したのですが、それでもまた『音楽に寄す』等の良く知られた曲目の依頼が来るのです」

「私自身のレコーディングで言えば、本当に私自身が今でも満足しているものは、決して多くはありません。どれも不満を感じさせます。芸術家としての私の抱く理想像とのギャップを、私の耳は感じてしまうのです。(中略) でも、ヴォルフの『ミニョン・リーダー』の録音は、私のベストかもしれません。あれは悪くないです(※最初Etceteraレーベルから発売され、後にGlobeレーベルから再発売された)」

「最も思い出深いものは、日本での公演で『ミニョンの歌』を歌った時の事です。多分、東京だったと思います。ミニョンという女の子は、御承知のように半分だけ地上の人、半分は天上の人のような存在です。この『ミニョン』を歌ったコンサートの後に、一通の手紙をいただきました。そこには“私は重い癌を患っていますが、貴女の『ミニョン』を聞きました。私は貴女の歌から、私の死を直視する勇気を与えられました”と書かれていました。これこそが、本当に『ポエジー』の力なのです」

●『レコード芸術』1996年10月号(インタヴュアー:喜多尾道冬、通訳:岡本和子)

アメリング:歌うということはまさに全身運動そのものです。喉を完全に開いて、息をたっぷり使い、身体で声をサポートして表現する、それが歌うという行為なものですから。

アメリング:日本語の発声は奥に引っ込んで、なかなか前へ出てこない言語なんですね。話し言葉としてはとてもチャーミングですし、親しみがこもっていると思います。それでちっともかまわないんですけれども、ただ歌の場合はもっと声を深く前に出してこなければいけないのです。

-アメリングさんはフランスでベルナックさんに師事されたのですけれども、(中略) ドイツ・リートはどのようにして習得されたのでしょうか。

アメリング:ドイツ・リートに関しましては、伴奏者からたくさんのことを学ぶことができました。わたしがレコーディングしたいちばん最初の伴奏者はイェルク・デムスさんでした。デムスさんはウィーン出身のピアニストですけれども、わたしにいろいろと音楽上のアドヴァイスをくださって、わたしもどこか才能のようなものがあったのでしょうか、デムスさんの言うことをひとつひとつ身につけていきました。先生とか音楽学校で学ぶよりも、そうした伴奏者とか、また一緒に仕事をした指揮者から学ぶことのほうが多かったと思います。

アメリング:ドイツ・リートの場合は、歌っている本人が完全に主人公になるといいますか、歌う「イヒ=私」が詩のなかの人物の気持ちに完全に同化して、その人物が感じたり体験したりしていることをじかに聴き手に歌いかけるのがドイツ・リートではないかと思います。それに対してフランス歌曲は、(中略) もちろん例外もありますが、歌い手は自分の感じたことをいわば絵画に描いて、それを見せるような、どちらかといえば間接的に聴き手に歌いかける、あるいは語りかけるのを特徴としているのではないかと思います。

-(前略) シュトラウスとか、あるいはマーラーのソロ・アルバムがないのはどうしたわけでしょうか。(中略) それぞれのソロ・アルバムがないのが残念です。

アメリング:たしかに、マーラーとシュトラウスのソロ・アルバムはありませんが、それはどちらかといいますと、わたしの意思というよりは、レコード会社の政策で、フィリップスとかEMIがそういうものをやろうと思えばいつでも歌える状況にあります。ただ、現在シュトラウスを歌う歌い手さんが別にいるのであればなにもわたしがしゃしゃり出る必要はないと思っております。ただ、放送録音ですが、シュトラウスの≪四つの最後の歌≫を、サヴァリッシュとアムステルダムのロイヤル・コンセルトヘボウ・オーケストラと共演しました。もしかしたら将来それがCDになって発売されるかもしれません。(※注:彼女の75歳を記念してリリースされた放送録音集の5枚組CD"75 jaar"に収録されている)

アメリング:色々な考え方があるでしょうが、≪詩人の恋≫を女声歌手が歌うのはわたしは可能だと思います。ただ、≪冬の旅≫については、これはあまりに男性的な曲ですし、まだ冬のさなかに暖かい家のなかから外へ出て行って、凍りつくような寒い自然のなかを放浪しながら自分の辛い境遇を歌うというこの曲の場合、それは当時の女性の生活とあまりにもかけ離れているように思います。(中略) ただ、古い戦前の録音ですが、ロッテ・レーマンの演奏はすばらしいと思います。彼女は女声歌手としてこの曲をみごとに演奏できた、めずらしい例です。

-アメリングさんのピアノ伴奏者のことをお聞きしたいと思います。いつもボールドウィンさんかヤンセンさんで、まれにデムスさんの録音がありますが、とくにこの二人、ないしは三人にお限られているのはなにか理由があるのでしょうか。

アメリング:三人ではなくてゲージさんとの共演もあり、全部で四人ですね。伴奏者の数が少ないということですが、べつにそれ以上必要とは思いません。ただ、私の場合幸い、レコード会社がいろいろなこういったチャンスをつくってくれました。(中略) ボールドウィンさんと知り合ったきっかけはフィリップスによるもので、そのときはヴォルフの≪イタリア歌曲集≫を一緒に録音しました。また、アーウィン・ゲージさんとはどういうふうに知り合ったかはちょっと思い出せませんが、ヤンセンさんに関しては、おなじオランダ人ということで、彼はすばらしい伴奏者です。伴奏者と歌い手がお互いによく知り合って、あうんの呼吸で歌を歌い、しかもおたがいの自由を尊重し合って演奏を行うということはとても重要なことだとわたしは考えています。毎晩のリサイタルで歌い手も伴奏者も、弾き方、歌い方が少しづつ変化するものですから。

アメリング:(紀尾井ホールは)とてもすばらしいホールです。ひびきが美しく、とてもよい反響がします。(中略) 日本のホールを設計する建築家は、いわゆるシュー・ボックスの形をしているホールをベストだという認識をもつようになってきているようです。(中略) 福岡にもおなじようなホール(シンフォニーホール)がありますし、大阪のイシハラホールもおなじ意味ですばらしいホールでした。(中略) 歌曲やリートの演奏の場合は、ともかく微妙なニュアンスを聴き手に伝えなければなりません。大ホールですとその味わいは消えてしまいます。

-これからはアメリングさんのリサイタルが聴けなくなるのは残念なことですけれども、録音活動はまだつづけられるのでしょうか。

アメリング:日本ではじめてリサイタルをしたのは1971年でしたけれども(※注:1972年が正しい)、オランダで歌いはじめたのは1953年からですし、イギリスの場合は1960年、アメリカは1968年ごろから、全部で40年近く送ってきていますので、もうこのへんで......というのがわたしの偽らざる気持ちです。

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エリー・アーメリング(Elly Ameling)90歳記念ネット番組情報

2023年2月8日にエリー・アーメリングが90歳の誕生日を迎えるのを記念して、いくつかの放送が予定されています。

BR-KLASSIK - KLASSIK-STARS
Zum 90. Geburtstag der Sopranistin Elly Ameling

ドイツ、バイエルンのラジオ局BR-KLASSIKの「KLASSIK-STARS(クラシック・スター)」というシリーズで55分のアーメリングの特集が組まれます。
現地時間の2023年2月8日(水)18:05~19:00放送ということは、日本時間2月9日(木)AM2:05~3:00ということで、夜中に起きなければなりません。

曲目はほとんどがLPやCDと同一音源と思われますが、1曲目のモーツァルト「この胸に戻ってきて~天があの人を私に返してくれる時」K374はズデニェク・マカル指揮バイエルン放送交響楽団の共演と書かれており、スタジオ録音のレイモンド・レッパード指揮イギリス室内管弦楽団ではないので、商品化されていない放送録音と思われます。ファンとしてはこの1曲の為に目覚ましをかけて起きる価値はありそうです。→私は翌朝早かったので聞きませんでした。残念!→(2023/2/11追記:アーカイヴがこちらにあるのを見つけて喜んだのも束の間、再生ボタンをクリックすると別の番組が流れてしまい聞けません。そこで、スマホで"BR-Radio"のアプリをダウンロードしたところ、聞けました!おそらく期間限定だと思うので、聴きたい方はスマホのアプリをダウンロードして早めに聴いてみて下さい。)

モーツァルト(Mozart):「この胸に戻ってきて~天があの人を私に返してくれる時(A questo seno deh vieni - Or che il cielo a me ti rende)」K374
ズデニェク・マカル(Zdeněk Mácal)指揮バイエルン放送交響楽団(Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks)
録音:1973年, Kaisersaal, Würzburg

フォレ(Fauré):歌曲集『閉ざされた庭(Le jardin clos)』Op. 106 (全8曲)
ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)(P)

シューベルト(Schubert):岩の上の羊飼い(Der Hirt auf dem Felsen) D965
ジョージ・ピターソン(George Pieterson)(CL)、アーウィン・ゲイジ(Irwin Gage)(P)

マーラー(Mahler):歌曲集『子供の不思議な角笛』から2つの歌曲(浮世の暮らし/誰がこの歌を作ったのだろう)(Zwei Lieder aus "Des Knaben Wunderhorn": Das irdische Leben; Wer hat dies Liedlein erdacht?)
ベンジャミン・ブリテン(Benjamin Britten)指揮イギリス室内管弦楽団(English Chamber Orchestra)

バッハ(Bach):「われは満ち足れり(Ich habe genug)」BWV82より
アンゲリカ・マイ(Angelica May)(VLC)、ギュスタフ・レオンハルト(Gustav Leonhardt)(Cembalo)

トゥリーナ(Turina):恋に夢中(Las locas por amor)
ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)(P)

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Stimme hören: Die Sopranistin Elly Ameling

オーストリアのネットラジオ局Ö1(Österreich 1)では、2月9日(木)日本時間22:05(オーストリア時間の14:05)に"Stimme hören(声を聞く)"という番組でアーメリングが特集されます(おそらく放送後一週間ぐらい聞けると思います)。

曲目は今のところ記載がないので、当日の楽しみにしておきたいと思います。

(2023.2.10追記) 曲目が分かりました。いずれも商業録音としてリリースされているものばかりですが、幅広い彼女のレパートリーを味わうには良いチョイスだと思います。

ブラームス(Brahms):子守歌(Wiegenlied) Op. 49/4
ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)(P)

シューマン(Schumann):春だ(Er ist's) Op. 79/23
イェルク・デームス(Jörg Demus)(P)

モーツァルト(Mozart):歌劇『フィガロの結婚(Le nozze di Figaro)』~自分で自分が分からない(Non lo so, cosa son, cosa faccio)
イギリス室内管弦楽団(English Chamber Orchestra)
エド・ドゥ・ヴァールト(Edo de Waart)(C)

デューク・エリントン(Duke Ellington):ソフィスティケイテッド・レイディ(Sophisticated Lady)
ルイ・ファン・デイク(Louis van Dijk)(P)
ジョン・クレイトン(John Clayton)(CB)

パイズィエッロ(Paisiello):もはや私の心には感じない(La Molinara: "Nel cor piu non mi sento")
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(Gewandhausorchester Leipzig)
クルト・マズア(Kurt Masur)(C)

バッハ(Bach):カンタータ「愛するイエス、わが憧れ」BWV32~レチタティーヴォ、二重唱と合唱 (Kantate "Liebster Jesu, mein Verlangen": BWV 32: Rezitativ, Duett und Choral)
ヘルマン・プライ(Hermann Prey)(BR)
ドイツ・バッハ・ゾリステン合唱団(Chor der Deutschen Bach-Solisten)
ドイツ・バッハ・ゾリステン(Deutsche Bach-Solisten)
ヘルムート・ヴィンシャーマン(Helmut Winschermann)(C)

デュパルク(Duparc):悲しい歌(Chanson triste)
デュパルク(Duparc):旅への誘い(L'invitation au voyage)
サン・フランシスコ交響楽団(San Francisco Symphony Orchestra)
エド・ドゥ・ヴァールト(Edo de Waart)(C)

シューベルト(Schubert):セレナード(Ständchen)「聞け聞けひばりを(Horch, horch, die Lerch)」D889
イェルク・デームス(Jörg Demus)(P)

シューベルト(Schubert):ズライカⅠ(Suleika I) D720
イェルク・デームス(Jörg Demus)(P)

シューベルト(Schubert):歌劇『アルフォンゾとエストレッラ』D732より (Alfonso und Estrella, D 732: Szenenfolge Estrella-Alfonso /II)
クラース・ホーカン・アーンシェ(Claes-Håkan Ahnsjö)(BR)
ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団(Rotterdamer Philharmoniker)
エド・ドゥ・ヴァールト(Edo de Waart)(C)

ヴォルフ(Wolf):春だ!(Er ist's!)
ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)(P)

モーツァルト(Mozart):レチタティーヴォとロンド「この胸に、ああ、いとしい人よ来て。天が私にあなたを返して下さるとき」KV374 (Rezitativ und Rondo für Sopran "A questo seno deh vieni . Or che il cielo a me ti rende", KV 374)
イギリス室内管弦楽団(English Chamber Orchestra)
レイモンド・レッパード(Raymond Leppard)(C)

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Deutschlandfunk
Historische Aufnahmen
Botschafterin des Kunstliedes
Die Sopranistin Elly Ameling (*1933)
Am Mikrofon: Klaus Gehrke

2023年2月10日(金)日本時間AM6:05-6:50(ドイツ時間:2月9日(木)22:05-22:50)

このドイツの放送、直前にネット検索していてたまたま気付いて聴くことが出来ました。ミュンヒンガー指揮のモーツァルトやステッファーニの作品のような放送録音と思われる珍しい音源も含まれていて、聴けてラッキーでした。アーメリングが初期に組んでいたヘルマン・ユルホルンのピアノによるハイドンやオランダの作曲家ヘンク・バディングスの歌曲などもレコード化されているのか放送録音なのか分かりませんが、珍しい音源だと思います。その他はLPやCDで聞けるものですが、これほど貴重な放送録音が放送されるとは思っておらず、朝から一気に目が覚めました。この"Historische Aufnahmen(歴史的録音)"という番組、1週間前の放送はアーカイヴで聞けるようになっているのですが、このアーメリングの放送はなかなか聞けるようになりません。いろんな演奏家が参加しているので権利的にアーカイヴは難しいのでしょうか。

曲目

ハイドン(Haydn):とてもありふれた話(Eine sehr gewöhnliche Geschichte, Hob XXVIa:4)
ヘルマン・ユルホルン(Herman Uhlhorn)(P)

アゴスティーノ・ステッファーニ(Agostino Steffani):「スターバト・マーテル(Stabat mater)」からEja Mater
(WDR Eigenproduktion)
Maria Friesenhausen (1922-)(Sopran)
Jeanne Deroubaix (Alt)
Hans-Joachim Rotzsch (1929-2013)(Tenor)
Hans Ulrich Mielsch (Tenor)
Reiner Suchsdorf (Bass)
Günther Lemmen (Viola da gamba)
Ilse Brix-Meinert (Viola da gamba)
Dieter Vorholz (Viola da gamba)
Johannes Kocxh (Viola da gamba)
Heinrich Haferland (Viola da gamba)
Reinhold Johannes Buhl (1933-)(Viola da gamba)
Heiner Spieker (Violone)(Continuo)
Rudolf Ewerhart (1928-)(Orgel)(Continuo)

グノー(Gounod):歌劇『ファウスト(Faust)』~宝石の歌(Je voudrais bien savoir...Il était un roi de Thulé.. Un bouquet!...O Dieu! que de bijoux...Ah! Je ris de me voir.)
1958年ジュネーヴ国際音楽コンクールのライヴ
ジュネーヴ・スイス・ロマンド管弦楽団(Orchestre de la Suisse Romande, Genf)
エドモンド・アッピア(Edmond Appia)(C)

ヘンク・バディングス(Hendrik Herman „Henk“ Badings):「6つのシャンソネット(6 Chansonnettes)」~Rondeau. Parodie (4); Badinerie (5); Tambourin (6)
ヘルマン・ユルホルン(Herman Uhlhorn)(P)

モーツァルト(Mozart):モテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ(Exsultate, jubilate)」KV 165 (158a)~第1曲アレグロ(Allegro)
シュトゥットガルト室内管弦楽団(Stuttgarter Kammerorchester)
カール・ミュンヒンガー(Karl Münchinger)(C)
コンサートライヴ録音:1968年1月6日

シューベルト(Schubert):泉のほとりの若者(Der Jüngling an der Quelle)D 300
シューベルト(Schubert):ムーサの息子(Der Musensohn)D 764
イェルク・デームス(Jörg Demus)(Hammerflügel)

フォレ(Fauré):黄金の涙(Pleurs d'or)Op. 72
ジェラール・スゼー(Gérard Souzay)(BR)
ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)(P)

ガーシュウィン(Gershwin):バイ・シュトラウス(By Strauss)
ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin)(P)

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Ameling Anders / zondag 12 februari / 11.00 uur

これまでも複数回アーメリングの番組が特集されたオランダのConcertzender(コンサート放送局)というネット番組の"Die sanck een Liedt"というシリーズの一環として、"Ameling Anders(「アーメリングの別の面」という感じでしょうか)"と題された番組が予定されています。

情報はこちら

2/12(日)日本時間19時(オランダ時間の午前11時)に始まるようですが、この番組はずっとアーカイブを公開してくれますので、リアルタイムで聞けない場合も後でアクセスして聞くことが出来ます。
すでに発表されている下記の曲目はほとんど75歳と80歳の記念としてリリースされた放送録音集のCDの音源と思われますが、2番目だけはアーメリング自身の所持している未発表の音源のようです。

1. リヒャルト・シュトラウス(Richard Strauss):歌曲集『四つの最後の歌』~眠りにつくとき (‘Beim Schlafengehen’ uit: Viet letzte Lieder)
王立コンセルトヘバウ管弦楽団(Koninklijk Concertgebouworkest)、ヴォルフガング・サヴァリシュ(Wolfgang Sawallisch)(C)

2. "キャバレー"? イヴ・モンタン/ローベルト・シューマン(枯葉/トランプ占いする女) (‘Cabaret’ ? – Yves Montand- Robert Schumann (les Feuilles mortes/die Kartelegerin))
1985年、フォンス・ヤンセンのテキストを歌う(in 1985 zingt Elly Ameling met Rudolf Jansen aan de piano een tekst van Fons Jansen voor ‘de Vrienden van het Lied’, de ‘kenners van het lied’)
ルドルフ・ヤンセン(Rudolf Jansen)(P)

3. フランツ・シューベルト(Franz Schubert):岩の上の羊飼い(Der Hirt auf dem Felsen) D965
バス・ドゥ・ヨング(Bas de Jong)(CL)、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団(Radio Filharmonisch Orkest)、ジャン・フルネ(Jean Fournet)(C)

4. モデスト・ムソルクスキー(Modest Mussorgsky):歌曲集『子供部屋(Kinderkamer/Детская)』全曲
ルドルフ・ヤンセン(Rudolf Jansen)(P)

5. ジョルジュ・ビゼー(George Bizet):歌劇『カルメン』~第3幕第1場ミカエラのアリア「何を恐れることがありましょう」(uit ‘Carmen’ aria van Micaëla ‘Je dis que rien ne m'épouvante’)
王立コンセルトヘバウ管弦楽団(Koninklijk Concertgebouworkest)、ベルナルト・ハイティンク(Bernard Haitink)(C)

6. ロジャー・クィルター(Roger Quilter):もう泣くな、悲しい泉よ(Weep you no more, sad fountains, Op. 12/1)
ルドルフ・ヤンセン(Rudolf Jansen)(P)

7. ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart):歌劇『フィガロの結婚』KV. 492~第4幕第10場(No. 28) レチタティーヴォ「とうとうその時が来たわ」 (スザンナ) (uit: Le nozze di Figaro, KV. 492: Akte IV, Scene X. (no. 28) Recitativo “Giunse alfin il momento” (Susanna))
オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団(Radio Kamerorkest)、ジャン・フルネ(Jean Fournet)(C)

8. ヘンリー・パーセル(Henry Purcell):歌劇『ディドーとエネアス』~ディドーの嘆き「あなたの手を貸しておくれ、ベリンダよ~私が地中に寝かされるとき」(‘Thy hand Belinda’ rec. en aria uit ‘Dido and Aeneas’)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(Gewandhausorchester Leipzig)、クルト・マズア(Kurt Masur)(C)

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Podium Klassiek 12 februari

エリー・アーメリングの90歳を祝って、1時間の公開番組がオランダの放送局で催され、その動画がアップされました。
エリー・アーメリング・リングというリートの伝統を次につなげる指輪(アーメリングは「シンボル」と言っていました)がかつてロバート・ホル(Robert Holl)に与えられたのですが、今度はホルからアーメリングの弟子のレネケ・ラウテン(Lenneke Ruiten)に渡されました。
ラウテンはトム・ヤンセン(Thom Janssen)のピアノでプランクの「ヴァイオリン」とブラームスの「五月の夜」を歌い、その他にも様々な演奏家が演奏を披露しています(曲目の詳細はサイトに記載されています)。

アーメリングは歌を披露することはありませんでしたが、ラウテンが歌唱を披露している時にカメラがとらえるといつも歌詞を一緒に口ずさんでいました。愛弟子が可愛くて仕方がないという表情が伝わってきて微笑ましかったです。

その他、オランダ・バッハ協会の芸術監督のヴァイオリニスト佐藤俊介もバッハを披露していました。

アーメリングは番組中、頻繁に登場し、出演者みなでお祝いしている雰囲気が温かく感じられました。本当に彼女は年齢を感じさせないほどしっかりしていますね。
最後にこの番組の名物(?)のピアニストが、ガーシュウィンの"I've Got Rhythm"のアーメリングの録音が流れた後に、引き継いでジャジーな感じで見事に演奏して締めくくりました。

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Podium Klassiek extra: Elly Ameling

それから、NPO 2 Extraというテレビ局でアーメリングのドキュメンタリー(最初の15分間)と演奏が2月13日(月)オランダ時間14:20から75分間放送されるそうなのですが、残念ながらオランダ国内でないと視聴できないそうです。
オランダ在住の方、もしご覧になりましたらどんな内容だったか教えていただけたら嬉しいです。

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Luistertip: Het beste van sopraan Elly Ameling

オランダのラジオ局NPO Radio4が、彼女の録音によるプレイリストを公開しました(全27曲、1時間48分)。

SpotifyとApple Musicで全曲が聞けますので、聴いてみてください(上記のリンク先でも数秒ずつ試聴できるようになっています。Spotifyは順番はばらばらで広告も入りますが無料で聞けると思います)。

Spotify

Apple Music

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(2023年5月7日追記)

90歳になったエリー・アーメリングが今年もオランダのゼイスト国際リートフェスティヴァル(Internationaal Lied Festival Zeist)のマスタークラス2回に出演します(2023年5月17日(水)10:15-12:45/14:00-16:30(現地時間))。
偉大なリート歌手がどんな指導をするのか、今年も何かレポートがあるといいなと思います。

Internationaal Lied Festival Zeist

woensdag 17 mei 2023 / 10.15 - 12.45 uur
Masterclass professionals
Elly Ameling, master
Grote kerkzaal / Zusterplein 12 / 3703 CB Zeist

woensdag 17 mei 2023 / 14.00 - 16.30 uur
Masterclass professionals
Elly Ameling, master
Grote kerkzaal / Zusterplein 12 / 3703 CB Zeist

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