ベートーヴェン「ロプコヴィツ・カンタータ(Lobkowitz-Cantate, WoO 106)」
Lobkowitz-Cantate (Es lebe unser teurer Fürst), WoO 106
ロプコヴィツ・カンタータ(親愛なる侯爵閣下万歳)
SOLO
Es lebe, es lebe unser teurer, teurer Fürst!
Er lebe, er lebe, er lebe!
(独唱)
親愛なる、親愛なる侯爵閣下万歳!
万歳、万歳、万歳!
CHORUS
Er lebe, er lebe, er lebe!
(合唱)
万歳、万歳、万歳!
SOLO
Edel, edel, edel handeln, ja edel handeln,
sei sein schönster Beruf!
Dann, Dann wird ihm nicht entgehen der schönste, schönste Lohn, der schönste, schönste Lohn.
Es lebe, es lebe unser teurer, teurer Fürst!
Er lebe, er lebe, er lebe!
(独唱)
高潔な、高潔な、高潔な行動をされる、そう 高潔な行動をされる、
閣下の素晴らしき職務が高潔であらんことを!
すると、すると素晴らしき、素晴らしき報いから閣下は逃れられないでしょう、素晴らしき、素晴らしき報いから。
万歳、親愛なる、親愛なる侯爵閣下万歳!
万歳、万歳、万歳!
CHORUS
Er lebe, er lebe, er lebe ja!
Es lebe, es lebe unser teurer, teurer Fürst!
Unser teurer, teurer Fürst!
Er lebe, er lebe, er lebe, er lebe!
(合唱)
万歳、万歳、万歳!
万歳、親愛なる、親愛なる侯爵閣下万歳!
親愛なる、親愛なる侯爵閣下!
万歳、万歳、万歳、万歳!
詩:Ludwig van Beethoven (1770-1827)
曲:Ludwig van Beethoven (1770-1827)
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独唱、高声2声、バス2声、ピアノの為の「ロプコヴィツ・カンタータ(Lobkowitz-Cantate, WoO 106)」は、ベートーヴェン自身の詩によって1823年(楽譜には1823年と書かれていますが1822年の可能性もあるそうです)4月12日に作曲されました。
独唱、高声2声、バス2声、ピアノの為の「ロプコヴィツ・カンタータ(Lobkowitz-Cantate, WoO 106)」は、ベートーヴェン自身の詩によって1822年(もしくは1823年)4月12日に作曲されました。
藤本一子氏の解説によると「かつての支援者フランツ・ヨーゼフ・フォン・ロプコヴィツ侯爵の長子フェルディナント侯爵の誕生日のために作曲」されたそうです(『ベートーヴェン全集 第8巻』:1999年10月11日第1刷 講談社)。
知り合いの息子の誕生日のために自作の詩による歌を送るなんてベートーヴェンの優しい一面が垣間見えますね。
侯爵邸の官吏カール・ペータースの妻が歌うことを想定していたそうです(前述の藤本一子氏の解説)。"schönste Lohn"の箇所に技巧的な装飾があるのもこの女性のために見せ場を作ったのではないでしょうか。
4/4拍子
変ホ長調(Es-dur)
Allegro non troppo - Adagio assai - Tempo primo
●エルヴィラ・ビル(MS), クリストファー・ブルックマン(P), コーアヴェルク・ルーア, フローリアン・ヘルガート(C)
Elvira Bill(MS), Christopher Bruckman(P), Chorwerk Ruhr, Florian Helgath(C)
ソロを務めるエルヴィラ・ビルの声の美しいこと!クリストフ・プレガルディアン門下なのだそうです。
●クリスタ・イェーザー(S), ヴァルター・オルベルツ(P), ベルリン・ゾリステン, ディートリヒ・クノーテ(C)
Christa Jehser(S), Walter Olbertz(P), Berliner Solisten, Dietrich Knothe(C)
録音: Nov, Dec. 1973, Berlin. 歌と合唱とピアノの親密な雰囲気がいいですね。
●パメラ・コバーン(S), ハインリヒ・シュッツ・クライス・ベルリン, レナード・ホカンソン(P)
Pamela Coburn(S), Heinrich Schütz Kreis, Berlin, Leonard Hokanson(P)
録音: 1987-1989, Studio 10, RIAS, Berlin. コバーンは合唱パートも一緒に歌っています。
●ハイディ・ブルナー(MS), ヴィーン・グスタフ・マーラー合唱団, クリスティン・オーカーランド(P)
Heidi Brunner(MS), Gustav Mahler Chor Wien, Kristin Okerlund(P)
ブルナーの"schönster"における抑制した歌い方に惹きこまれました。
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(参考)
The "Complete" Beethoven: Day 333
『ベートーヴェン全集 第8巻』:1999年10月11日第1刷 講談社(「ロプコヴィツ・カンタータ WoO 106」の解説:藤本一子)
『ベートーヴェン事典』:1999年初版 東京書籍株式会社(「ロプコヴィツ・カンタータ WoO 106」の解説:藤本一子、小林宗生)
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コメント
フランツさん、こんばんは。
合唱も伴い、お誕生日にふさわしい、華やかで明るく楽しい曲ですね。
作詩までベートーヴェンにしてもらい、これ以上ない贅沢なプレゼントですよね。
後奏のビアノに、ちょっとモーツァルトぽい雰囲気をかんじました。
エルヴィラ・ビルはメゾソプラノで活動しているのですね。ソプラノレッジェーロのような可憐な声質ですね。
私も大好きな声です。ずっと聞いていたい!
イェーザーの深みがあるクリスタルなソプラノも素敵でした。よく為る声ですね。
コバーン、一緒に合唱していますね。
ソロ部分、表情豊かですね。
ブルーナーは、こちらのブログではおなじみの歌手ですね。
優しいメゾソプラノですよね。幼い子どもを慈しむような演奏でした。
こちらのブログもしばらくは、ゆっくり更新ですね。
お時間がとれたときには、無理のない範囲で、また素晴らしい記事を書いてくださいね。
私もコメントしていない記事もありますから、ゆっくり書かせていただきますね。
大寒波が来ていますから、どうぞご自愛ください。
またお目にかかれることを楽しみにしています。
わたしも
投稿: | 2023年1月25日 (水曜日) 20時39分
真子さん、こんばんは。
今回も丁寧に聴いてくださり、有難うございます!
本当にベートーヴェンからこんな贅沢な誕生日プレゼントをしてもらえるなんて、どれだけ徳を積んだ人なのでしょうね。
おっしゃるように後奏はモーツァルトっぽい終わり方をしていましたね。
エルヴィラ・ビル、きれいな声ですよね。ソプラノとメゾの違いは響きだけだと正直判別難しいですよね。ルートヴィヒとかファスベンダーぐらいになるとソプラノではないことは音色で分かりますが、今の歌手は声質と音域にギャップのある人が多いのでしょうかね。
他の歌手たちについてもコメント有難うございます。同じ音源を聞いて楽しんでいただけているのが伝わってきて嬉しくなります。
しばらくはペースを落としての更新とさせていただきますが、時間の出来た時にアップ出来たらと思っています。
いろんな記事をこれまで書いてきましたので、過去の記事でも楽しんでいただけたら幸いです。
本当に芯から冷える寒さですね。私の地域は冷たい風ぐらいで済んでいますが、関西は雪など大丈夫でしょうか。どうか気を付けていただけたらと思います。
投稿: フランツ | 2023年1月26日 (木曜日) 21時38分