コルネーリウス/羊飼いOp. 8-2 (Die Hirten aus "Weihnachtslieder")(歌曲集『クリスマスの歌』Op. 8より)
Die Hirten, Op. 8-2b
羊飼い
Hirten wachen im Feld,
Nacht ist rings auf der Welt,
Wach sind die Hirten alleine
Im Haine.
羊飼いたちは野原で目を覚ましている、
夜に世界中で
目を覚ましているのは、
林にいる羊飼いだけだ。
Und ein Engel so licht
Grüßet die Hirten und spricht:
„Christ, das Heil aller Frommen,
Ist kommen!”
すると一人の天使が光を放って
羊飼いたちに挨拶し、言った、
「すべての敬虔なる者たちの救世主、キリストが
到来した!」
Engel singen umher:
„Gott im Himmel sei Ehr'
Und den Menschen hienieden
Sei Frieden!”
天使たちはまわりで歌う、
「天の神に栄光あれ、
地上の人間に
平安あれ!」
Eilen die Hirten fort,
Eilen zum heilgen Ort,
Beten an in den Windlein
Das Kindlein.
羊飼いたちは急いで去り、
聖なる地へと急ぎ、
産着にくるまった
幼子を賛美する。
詩:Peter Cornelius (1824-1874), "Die Hirten", appears in Gedichte, in 2. Zu eignen Weisen, in Weihnachtslieder
曲:Peter Cornelius (1824-1874), "Die Hirten", op. 8 no. 2b (1870), published 1871 [ voice and piano ], from Weihnachtslieder, no. 2b, Leipzig, Fritzsch
●ペーター・コルネーリウス:羊飼いOp. 8-2b
Peter Cornelius (1824-1874), "Die Hirten", Op. 8, No. 2b
ヘルマン・プライ(BR), レナード・ホカンソン(P)
Hermann Prey(BR), Leonard Hokanson(P)
---------
Die Hirten, Op. 8-2a (First version: 1856)
羊飼い (第1作)
Die Hirten wachen nachts im Feld;
so still und dunkel liegt die Welt,
die Menschen alle schlafen:
Aber die Hirten, die armen Hirten
halten Wacht bei den Schafen.
羊飼いは夜中に野原で目を覚ましている、
世界はこんなに静かで暗い、
人々はみな眠りについている、
だが羊飼いたち、哀れな羊飼いたちは
羊を見張っている。
Und sieh! ein Engel licht und schön
hernieder schwebt von Himmelshöhn,
Ein Bote auserkoren:
"Freuet euch, Hirten, Ihr guten Hirten,
der Heiland der Welt ist geboren."
するとご覧!一人の天使が美しく輝いて
天の高みから降りてくる、
天命を授かった使者として、
「喜べ、羊飼いたち、善良な羊飼いたちよ、
この世の救世主が降誕されたのだ。」
Und Engel singen ringsumher:
"Sei Gott im Himmel Ruhm und Ehr,
den Menschen Frieden werde!"
Aber die Hirten, die frommen Hirten
knieten nieder zur Erde.
すると天使たちはまわりで歌う、
「天の神に名声と栄光あれ、
人に平安が訪れるように!」
だが羊飼いたち、敬虔な羊飼いたちは
大地に跪いた。
Dann eilten sie zum heil'gen Ort,
Maria und Joseph sahn sie dort,
den Sohn gehüllt in Windlein.
Selige Hirten, die guten Hirten
beteten an das Kindlein.
その後彼らは聖なる地に急ぎ、
そこでマリアとヨセフ、
産着にくるまった御子に会った。
幸いな羊飼いたち、善良な羊飼いたちは
幼子を賛美した。
詩:Peter Cornelius (1824-1874)
曲:Peter Cornelius (1824-1874), "Die Hirten", op. 8 no. 2a (1856), published 1871 [voice and piano], from Weihnachtslieder, no. 2a, Leipzig, Fritzsch
●ペーター・コルネーリウス:羊飼いOp. 8-2a (第1作)
Peter Cornelius (1824-1874), "Die Hirten", Op. 8, No. 2a (first version)
クリスティーナ・ランツハーマー(S), マティアス・ファイト(P)
Christina Landshamer(S), Matthias Veit(P)
---------
(参考)
The LiederNet Archive (Op. 8 No. 2b)
The LiederNet Archive (Op. 8 No. 2a: First version: 1856)
ペーター・コルネリウス(Wikipedia: 日本語)
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コメント
Frohe Weihnachten!
寒い聖夜ですが、プライさんの暖かい声で心が暖かくなりました。
哀愁を帯びたメロディの中に、キリスト誕生の高揚感が織り込まれ、静かに終わって行くとこれのプライさんの表現は、さすがです!
次の、ランツハーマーの澄んだ明るい声自体が、救い主がお生まれになった喜びを、音として表現してくれているように思いました。
彼女の明るい美声は、闇に輝くろうそくの光のようでした。
コルネーリウスの歌曲は、もっと歌われて欲しいですね。
羊飼いというのは、当時差別され卑しいとされていた人々だったそうです。
そんな人たちに、まず喜びの知らせが伝えられた。
それまでの既成概念が覆えされた。
クリスマスのメッセージの一つです。
「天の神に名声と栄光あれ、
人に平安が訪れるように!」
これは、新約聖書ルカによる福音書2章14節から取られたものと思いますが、私には思い出深い聖句です。
高校生の時、ミッションスクールの放送部でしたので市民クリスマスに、聖書朗読で参加したのですが、
前半の朗読部分をもう一人の部員が読み終え、さあ私の番という時、ホールの人の手違いで、讃美歌に入ってしまったんです。
せっかく準備して行ったのにかわいそうと思われたのか、同行されていた先生が、最後に祈りとしてこの箇所を読むように手配してくださったんです。
クリスマスに、この聖書箇所を読む度、あの時の先生の優しさを思い出します。
この聖句通り、平和がきますようにと心から祈ります。
投稿: 真子 | 2022年12月24日 (土曜日) 22時39分
真子さん、Frohe Weihnachten!
最近かなり冷え込んできましたね。
コルネーリウスの歌曲集『クリスマスの歌』は、いろんな演奏家のクリスマスアルバムに入っていて、ドイツではとても広く親しまれているんでしょうね。
プライがDeutsche Grammophonに録音したクリスマスアルバムは、コルネーリウスの歌曲集2つにヴォルフの宗教的題材のメーリケ歌曲2曲というなかなか凝ったアルバムですね。讃美歌やよく知られたクリスマスソングも多く録音しているプライがこうしたクラシック作曲家のクリスマス歌曲でも持ち味の温かみをこめて歌っているのは嬉しいです。荘厳なところがしっとりと歌われているがゆえになおさら高揚する箇所が際立ちますね。プライは信心深かったのでしょうか、とてもテキストに共感を寄せた歌唱だと思いました。
ランツハーマーは、この記事を書いていた時は気づかなかったのですが、ちょうど今来日していて、N響と第九を歌っていたそうです(今日もマチネで歌ったようです)。若い優秀な歌手たちが続々と現れて、リートの未来は明るいと私は思っています。この「羊飼い」でも澄んだ美声でキリストの降誕をのびのびと祝福しているように感じました。
羊飼いについてのご説明有難うございます。差別されていた職業の人のところに最初にキリストの誕生が知らされたということは意義深いですね。現代社会におきかえても職業の貴賤に対する世間の見方は残念ながら変わっていないと思います。数年前の事業者への給付金についてもある職業は給付対象にならないというおかしなことがまかり通っていましたよね。クリスチャンではなくても聖書から学べることは沢山ありそうに感じました。
>「天の神に名声と栄光あれ、
人に平安が訪れるように!」
これは、新約聖書ルカによる福音書2章14節から取られたものと思いますが、私には思い出深い聖句です。
真子さんの高校生時代の素敵なお話をシェアしていただき有難うございます。いい先生に恵まれたのですね。
教えていただいた聖書の箇所で検索したら、こちらのページがヒットして読みやすかったです。
https://meigata-bokushin.secret.jp/index.php?%E3%83%AB%E3%82%AB2%E7%AB%A014%E7%AF%80
まさにコルネーリウスがこの曲で描いている情景そのものですね(コルネーリウスはテキストも自分で書くのがすごいです)。
「いと高き所に、栄光が、神にあるように。地の上に、平和が、御心にかなう人々にあるように。」(上記のリンク先「牧師の書斎」より引用)
本当に平和を祈りたいと思います。
投稿: フランツ | 2022年12月25日 (日曜日) 16時57分
フランツさん、こんばんは。
毎年恒例の、ヘルマンプライとともにクリスマスを のDVDを見ながらの、キャンドルのみでのディナーが終わりました。プライさん、もはや家族です(笑)
プライさんの信仰については、自伝には明確な信仰表明はありませんが、1995年の阪神大震災のおりに、「神が速やかに被災地に必要を与え、人々に力を与えてくださるように」というようなメッセージがサンケイ新聞に載っていました。外国の人の定型文なのか、信仰心からなのかは分かりませんが、私は勝手に信仰心だと解釈しています。
あと、自伝には「冬の旅」の解説の中に「いとしい三位一体の神が」という表現がありました。向こうの人には染み付いた感覚なのかもしれませんが。
さて、コルネーリウスは、聖書の記事を分かりやすく美しい表現で詩にしていますね。
上の方の詩はコメントしました通りルカによる福音書でしたが、下の方の詩はマタイによる福音書の生誕物語をベースにしといるようです。
福音書はマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネと四つあります。
マルコには生誕物語はなく、ヨハネでは神秘的な表現で、物語としての生誕記述があるのは、マタイとルカです。
お書きになっている給付金の問題等も含め、現代になっても悪い意味で変わっていない事はたくさんありますよね。
信仰を持っていなくても、聖書には心に響く言葉がたくさんあると思います。
ただし、聖書も古文書であり、ある時代ある地域で書かれたもの(特に父権社会の中で)ですので、バイヤスを外して読まないといけない部分はあります。
私は、文献として聖書を読む聖書批判学なんかも好きです。
ランツハーマーは、今来日しているのですか!N響との第九、年末に放送しますよね。
今日買った月刊ザテレビジョンには、ソプラノ=クリスティーナ ランドシャーマーとあります。微妙に似た名前ですよね。読みの違いでしょうか?
まし、ランツハーマーなら嬉しいです!!
投稿: | 2022年12月25日 (日曜日) 22時07分
真子さん、こんばんは。
プライの映像を見ながらキャンドルのみのディナー、素敵ですね。プライと共に食卓を囲んでいる様子をイメージしました。
プライは信仰告白を明確には書いていないのですね。日本の新聞に阪神大震災時のメッセージを掲載するというのはもし日本への思いがなかったらしませんよね。キリスト教圏に住んでいるというのもきっと影響しているのかなと思います。レコード会社の要望もあるとはいえ、あれほど沢山のクリスマスの歌を録音しているのは信仰心があればこそという気もしますね。コルネーリウスの「クリスマスの歌」の真摯な歌いぶりを聞いて、キリスト教の文化に誇りをもっているようにも感じました。
コルネーリウスの「羊飼い」の第1作はマタイによるものがベースなのですね。マタイとヨハネはバッハの受難曲である程度身近に感じられますが、マルコとルカもあるのですね。それぞれの記述の内容も異なるとのこと、ご教示有難うございます。
聖書は古文書とのこと、大昔の書物ですから何を言わんとしているのか解釈が難しい箇所もきっと多いのでしょうね。聖書批判学というのがあるのですね。奥の深い世界ですね。
ランツハーマーは動画でご自身の名前を発音しているのを聞くと「ランツハマー」というのが近いようです。ランドシャーマーという表記はドイツ語を英語読みのように読んだのですね。"Landshamer"の"sha"をシャと読んだのだと思いますが、ドイツ語ではシャという時は"scha"と必ずcが入るので、シャーと読むのはこの場合は間違いですね。"Lands"でランツ、"hamer"でハマーと読むのが正しいと思います。年末の第九、いつも実家に帰っているので実はほとんど見たことがないのです(それほどクラシックに馴染があるわけではない私の親は短い曲だと聞いたりするのですが、第九はちょっと長すぎるようです)。ご覧になるようでしたら楽しんでくださいね。
投稿: フランツ | 2022年12月26日 (月曜日) 21時12分
フランツさん、こんにちは。
ランツハーマー名の読みについて、ありがとうございました。
Landsまで読まずLandで読みを区切ってしまい、なおかつドイツ語を英語読みにしてしまった事から生まれた誤りなんですね。
ご本人が、ランツハーマーとおっしゃっているのでしたら、何よりこちらが正しいですよね。
年末には息子も帰ってきます。息子も第九を楽しみにしています。
第九でのランツハーマーの演奏、楽しみです!テレビだと歌っている姿も見られますし。
予約を入れ、今からワクワク。待ち遠しいです。
ご教示ありがとうございました。
投稿: 真子 | 2022年12月27日 (火曜日) 17時04分
真子さん、こんばんは。
ランツハマーさんの自己紹介動画のアドレスを貼っておきますね。2019年に来日してリサイタルを開いたそうで、日本語もまじえて器用に語っています。
https://youtu.be/25B_GHn9G3g
年末に息子さんが帰ってこられ、水入らずの時間を過ごされるのですね。親子で第九鑑賞されるのは素敵ですね。ぜひ楽しんで下さいね。うちの母はピアニストの辻井さんが好きなので、よくBSで年末の特別番組があると一緒に見たりします。駅ピアノとかフォレスタというコーラスグループも好んで見ているので音楽自体は好きみたいです。今年ものんびり過ごせたらと思っています。
投稿: フランツ | 2022年12月27日 (火曜日) 19時00分