« 【朗報】アーメリングのPhilipsリサイタル盤、Decca・Philipsのバッハ録音盤の2種類のボックス2023年に発売! | トップページ | ベートーヴェン「田園カンタータ(Cantata campestre, WoO 103)」 »

シューマン「レクイエム(Requiem, Op. 90, No. 7)」(『ニコラウス・レーナウの6つの詩と、レクイエム(Sechs Gedichte von Nikolaus Lenau und Requiem, Op. 90)』より)

Requiem, Op. 90, No. 7
 レクイエム

Ruh' von schmerzensreichen Mühen
Aus und heißem Liebesglühen;
Der nach seligem Verein
Trug Verlangen,
Ist gegangen
Zu des Heilands Wohnung ein.
 苦痛だらけの労苦や
 熱い愛の炎から休みたまえ、
 至福の結合を
 願った人は
 行ってしまった、
 救世主の住処の中へと。

Dem Gerechten leuchten helle
Sterne in des Grabes Zelle,
Ihm, der selbst als Stern der Nacht
Wird erscheinen,
Wenn er seinen
Herrn erschaut im Himmelspracht.
 正しき者には明るい
 星が墓の中に差し込む、
 彼は自身が夜の星として
 姿を現すだろう、
 彼が
 主を天の壮麗さの中に見つけると。

Seid Fürsprecher, heil'ge Seelen,
Heil'ger Geist, laß Trost nicht fehlen;
Hörst du? Jubelsang erklingt,
Feiertöne,
[Darein]1 die schöne
Engelsharfe [singt]2:
 代弁者となっておくれ、聖なる魂たちよ、
 聖霊よ、慰めを欠かさないでくれ、
 聞こえているか?歓喜の歌が響き、
 祭りの音に合わせて、
 美しい
 天使の竪琴が歌っている。

Ruh' von schmerzensreichen Mühen
Aus und heißem Liebesglühen;
Der nach seligem Verein
Trug Verlangen,
Ist gegangen
Zu des Heilands Wohnung ein.
 苦痛だらけの労苦や
 熱い愛の炎から休みたまえ、
 至福の結合を
 願った人は
 行ってしまった、
 救世主の住処の中へと。

1 Dreves: "Drein"
2 Dreves: "also singt"

詩:Leberecht Blücher Dreves (1816-1870), no title, appears in Lieder der Kirche -- deutsche Nachbildungen altlateinischer Originale, first published 1846
曲:Robert Schumann (1810-1856), "Requiem", op. 90 no. 7 (1850), published 1851 [voice and piano], from Sechs Gedichte von Nikolaus Lenau und Requiem, no. 7, Leipzig, Kistner

-----------

「レクイエム」というと、モーツァルトやヴェルディ、フォレの作品のように宗教曲として演奏されるのが普通ですが、歌曲のタイトルとしてシューマンが作曲し、Op.90の最後に置いています。作者不詳のラテン語の詩をもとにドイツ語に訳したレーベレヒト・ブリューヒャー・ドレーフェスのテキストに作曲されました。テキストの冒頭連と最終連は全く同じですが、シューマンが音楽上の事情で繰り返したというわけではなく、ドレーフェスのテキストがもともとそうなっています。

グレアム・ジョンソンによると(Hyperionの解説の42頁。リンク先はPDFです)、このオリジナルの作者不詳のラテン語の詩(Requiescat a labore / doloroso at amore! / unionem coelitum / flagitavit / ...で始まる)は、ピエール・アベラールの死に対するエロイーズの嘆きを扱っているそうです(アベラールについての日本語のWikipediaのリンクはこちら)。そのような事実をもとに書かれたテキストだとしても、この詩をより普遍的な遺された人の悲しみの表現ととらえても問題ないのではないでしょうか。シューマンは長調の響きで亡き人が安息の中にいることを表現しているかのようです。

Requiem

C (4/4)
変ホ長調(Es-dur)
Langsam (♩=63)

ここでは声域の異なる4種類の演奏を選びました。どの演奏も感動的でした。

●クリスティーナ・ランツハマー(S), ゲロルト・フーバー(P)
Christina Landshamer(S), Gerold Huber(P)

●白井光子(MS), ハルトムート・ヘル(P)
Mitsuko Shirai(MS), Hartmut Höll(P)

●ペーター・シュライアー(T), ノーマン・シェトラー(P)
Peter Schreier(T), Norman Shetler(P)

●マティアス・ゲルネ(BR), マルクス・ヒンターホイザー(P)
Matthias Goerne(BR), Markus Hinterhäuser(P)

-----------

(参考)

The LiederNet Archive

IMSLP (楽譜ダウンロード)

Leberecht Dreves (Wikipedia (独語))

Gedichte / von Leberecht Dreves / herausgegeben von Joseph Freiherrn von Eichendorff / Berlin, Verlag von Alexander Duncker, / Königl. Hofbuchhändler / 1849

オリジナルのラテン語のテキストを含む文章(「Requiescat a labore」でページ内検索をしてください)

| |

« 【朗報】アーメリングのPhilipsリサイタル盤、Decca・Philipsのバッハ録音盤の2種類のボックス2023年に発売! | トップページ | ベートーヴェン「田園カンタータ(Cantata campestre, WoO 103)」 »

音楽」カテゴリの記事

」カテゴリの記事

シューマン Robert Schumann」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 【朗報】アーメリングのPhilipsリサイタル盤、Decca・Philipsのバッハ録音盤の2種類のボックス2023年に発売! | トップページ | ベートーヴェン「田園カンタータ(Cantata campestre, WoO 103)」 »