エリー・アーメリング初期のヴォルフ「イタリア歌曲集」全曲(ハンス・ヴィルブリンク&フェーリクス・ドゥ・ノーベル)(1962年12月)
動画サイトにエリー・アーメリング(Elly Ameling)の新しい音源がアップされていたのでご紹介します!同じくオランダ出身のバリトン歌手ハンス・ヴィルブリンク(Hans Wilbrink: born 8 October 1933 in Rotterdam; died 20 August 2003 in Munich)と分担してヴォルフの「イタリア歌曲集」全曲を演奏した時の録音で、オランダの歌曲ピアノの名手フェーリクス・ドゥ・ノーベル(Felix de Nobel: born 27 May 1907 in Haarlem; died 25 March 1981 in Amsterdam)と共演しています。以前Sandmanさんに教えていただいたサイトBeeld en Geluidの音源とおそらく同じと思われ、最初の数曲は購入して所持していたのですが、その後、おそらく権利の関係で日本からは購入出来なくなってしまった為、こうして全曲を聞くことが出来て嬉しいです。アーメリングとヴィルブリンクは当時29歳、ドゥ・ノーベルは当時55歳で、歌手とピアニストの年齢差26歳です。ちなみにこの年齢差はF=ディースカウとムーアの年齢差と同じです。ベテランのピアニストが有望な若手歌手と組んで世の中に紹介していくという仕組みですね。そういえばJanny de Jong著「Elly Ameling: Vocaal Avontuur」というアーメリングについて書かれた本にこの3人の写真が掲載されていたのを思い出しました。彼女はデームスやボールドウィンと出会う前はドゥ・ノーベルとリサイタルや放送録音でよく共演していたようです。
ここでのアーメリングの声のみずみずしさは言うまでもなく素晴らしいです!安定したテクニックと言葉さばきの見事さは天性のものもきっとあるのでしょう。ヴィルブリンクのハイバリトン(バスバリトンと表記されることもあるようですが)も爽やかで聞いていて気持ちよいです。指揮や合唱ピアノもしていたドゥ・ノーブルは、歌曲のピアニストとしてシュヴァルツコプフやプライなどがオランダに来た時に共演していましたから、日本で言う小林道夫さんのような感じだったのでしょうか。ここでも46曲の難曲を表情豊かに描いていました。
それにしてもヴォルフの「イタリア歌曲集」はやはり楽しいです!!1~2分の曲が多く、全部聴いても75分ぐらい(「冬の旅」と同じぐらい)なので初めて聞くという方もぜひ試しに聞いてみてください。
録音:1962年12月18/20日, デン・ハーグ(デン・ハーハ)(Den Haag)
(※Beeld en Geluidのサイトでは1962年12月18/28日と記載されている。)
エリー・アーメリング(Elly Ameling)(S)
ハンス・ヴィルブリンク(Hans Wilbrink)(BR)
フェーリクス・ドゥ・ノーベル(Felix de Nobel)(P)
1 小さくてもうっとりとさせられるものはある (S) 0:00
2 遠いところに旅立つそうね (S) 2:04
3 あなたは世界で一番美しい (BR) 3:33
4 この世界の生みの親に祝福あれ (BR) 5:06
5 目の見えない人たちは幸いだ (BR) 6:25
6 一体誰があんたを呼んだのよ (S) 8:01
7 月がひどい不満をぶちまけ (BR) 9:12
8 さあ、仲直りしよう (S) 11:01
9 君の魅力がすべて描かれて (BR) 12:50
10 あなたは細い糸たった一本で私を捕まえて (S) 14:25
11 もうどれほどずっと待ち焦がれてきたことでしょう (S) 15:26
12 駄目、お若い方、そんな事しちゃ嫌 (S) 17:35
13 ふんぞり返っておいでだな、麗しき娘よ (BR) 18:21
14 相棒よ、おれたちゃ修道服でもまとって (BR) 19:13
15 私の恋人はとってもちっちゃいの (S) 21:24
16 戦場に向かわれるお若い方々 (S) 23:02
17 君の彼氏が昇天するところを見たいのなら (BR) 24:23
18 ブロンドの頭をあげておくれ、眠るんじゃないぞ (BR) 26:15
19 私たちは二人とも、長いこと押し黙っていました (S) 28:01
20 あたしの恋人が月明りの注ぐ家の前で歌っているわ (S) 30:05
21 あなたのお母さんがお望みでないらしいわね (S) 31:34
22 セレナードを捧げにわたくし参りました (BR) 32:37
23 君にはどんな歌を歌ってあげたらいいのかな (BR) 34:02
24 私はもう濡れていないパンを食べることはありません (S) 35:52
25 彼氏があたしを食事に招いてくれたの (S) 37:16
26 私がしょっちゅう聞かされた噂では (BR) 38:11
27 ベッドの中でへとへとの体を大きく伸ばしているというのに (BR) 39:44
28 侯爵夫人様じゃないんだからって、あたしに言うけど (S) 41:39
29 賤しからぬあなた様の御身分は重々承知しておりますわ (S) 42:50
30 放っておけばいいさ、あんな高慢ちきを演じる女なんか (BR) 44:35
31 どうして陽気でいられるもんか、まして笑うことなんて (S) 45:54
32 なにを怒っているの、大切な方、そんなに熱くなって (S) 47:34
33 僕が死んだら、この体を花で包みこんでおくれ (BR) 49:09
34 それから、あなたが朝早くベッドから起き上がり (BR) 51:17
35 今は亡き君の母上に祝福あれ (BR) 54:03
36 あなたが、愛する方、天国に昇る時がきたら (S) 57:40
37 君を愛することで、どれほどの時間を無駄使いしてきたことか (BR) 59:22
38 君が僕をちら見して笑い出し (BR) 1:00:56
39 緑色と、緑を身にまとう人に幸ありますように (S) 1:02:27
40 ああ、あなたのお家がガラスみたいに透き通っていたらいいのに (S) 1:03:52
41 昨夜、真夜中に私が起き上がると (BR) 1:05:18
42 ぼくはもう歌えないよ、だって風が (BR) 1:06:58
43 ちょっと黙ってよ、そこの不愉快なおしゃべり男 (S) 1:08:04
44 おお、お前は分かっているのだろうか、どれほど俺がお前を思って (BR) 1:09:06
45 深淵が恋人の小屋を飲み込んでしまえ (S) 1:11:03
46 あたし、ペンナに住んでる恋人がいるの (S) 1:12:20
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Recording: 18/20 December 1962, Den Haag
("Beeld en Geluid" says "Opnameperiode: 1962-12-18 1962-12-28".)
Elly Ameling, soprano
Hans Wilbrink, baritone
Felix de Nobel, piano
1. Auch kleine Dinge können uns entzücken (S) 0:00
2. Mir ward gesagt, du reisest in die Ferne (S) 2:04
3. Ihr seid die Allerschönste weit und breit (BR) 3:33
4. Gesegnet sei, durch den die Welt entstund (BR) 5:06
5. Selig ihr Blinden, die ihr nicht zu schauen (BR) 6:25
6. Wer rief dich denn? Wer hat dich herbestellt (S) 8:01
7. Der Mond hat eine schwere Klag' erhoben (BR) 9:12
8. Nun laß uns Frieden schließen, liebstes Leben (S) 11:01
9. Daß doch gemalt all deine Reize wären (BR) 12:50
10. Du denkst mit einem Fädchen mich zu fangen (S) 14:25
11. Wie lange schon war immer mein Verlangen (S) 15:26
12. Nein, junger Herr, so treibt man's nicht, fürwahr (S) 17:35
13. Hoffärtig seid Ihr, schönes Kind, und geht (BR) 18:21
14. Geselle, woll'n wir uns in Kutten hüllen (BR) 19:13
15. Mein Liebster ist so klein, daß ohne Bücken (S) 21:24
16. Ihr jungen Leute, die ihr zieht ins Feld (S) 23:02
17. Und willst du deinen Liebsten sterben sehen (BR) 24:23
18. Heb' auf dein blondes Haupt und schlafe nicht (BR) 26:15
19. Wir haben beide lange Zeit geschwiegen (S) 28:01
20. Mein Liebster singt am Haus im Mondenscheine (S) 30:05
21. Man sagt mir, deine Mutter woll es nicht (S) 31:34
22. Ein Ständchen Euch zu bringen kam ich her (BR) 32:37
23. Was für ein Lied soll dir gesungen werden (BR) 34:02
24. Ich esse nun mein Brot nicht trocken mehr (S) 35:52
25. Mein Liebster hat zu Tische mich geladen (S) 37:16
26. Ich ließ mir sagen und mir ward erzählt (BR) 38:11
27. Schon streckt' ich aus im Bett die müden Glieder (BR) 39:44
28. Du sagst mir, daß ich keine Fürstin sei (S) 41:39
29. Wohl kenn' ich Euren Stand, der nicht gering (S) 42:50
30. Laß sie nur gehn, die so die Stolze spielt (BR) 44:35
31. Wie soll ich fröhlich sein und lachen gar (S) 45:54
32. Was soll der Zorn, mein Schatz, der dich erhitzt (S) 47:34
33. Sterb' ich, so hüllt in Blumen meine Glieder (BR) 49:09
34. Und steht Ihr früh am Morgen auf vom Bette (BR) 51:17
35. Benedeit die sel'ger Mutter (BR) 54:03
36. Wenn du, mein Liebster, steigst zum Himmel auf (S) 57:40
37. Wie viele Zeit verlor ich, dich zu lieben (BR) 59:22
38. Wenn du mich mit den Augen streifst und lachst (BR) 1:00:56
39. Gesegnet sei das Grün und wer es trägt (S) 1:02:27
40. O wär dein Haus durchsichtig wie ein Glas (S) 1:03:52
41. Heut Nacht erhob ich mich um Mitternacht (BR) 1:05:18
42. Nicht länger kann ich singen, denn der Wind (BR) 1:06:58
43. Schweig einmal still, du garst'ger Schwätzer dort (S) 1:08:04
44. O wüßtest du, wie viel ich deinetwegen (BR) 1:09:06
45. Verschling der Abgrund meines Liebsten Hütte (S) 1:11:03
46. Ich hab in Penna einen Liebsten wohnen (S) 1:12:20
※私が以前歌曲投稿サイト「詩と音楽」に投稿した「イタリア歌曲集」の全曲訳詩はこちらの曲目リストのリンクからご覧いただけます。
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コメント
新しい情報ありがとうございます.
イタリア歌曲集全曲のアーメリングの1962年の録音が聞けるようになって, うれしく思います. 早速, 私のディスコグラフィーに反映しました.
まだ, じっくり聞いていないのですが, 1曲目からアーメリングの歌唱に引き込まれてしまいました.
フランツさんが投稿している, 梅丘歌曲会館「詩と音楽」のイタリア歌曲集の対訳は, この曲を聴くときにはいつもお世話になっています. iPadに表示して聞いています.
投稿: Sandman | 2022年10月14日 (金曜日) 11時21分
Sandmanさん、こんばんは。
やっと全曲聴けるようになって私も嬉しいです。
"Beeld en Geluid"は出来ればオランダ以外にも開放してほしいですよね。
ディスコグラフィー、膨大な量になりましたね。たまに拝見して楽しんでいます。
ヴォルフの「イタリア歌曲集」全曲のスタジオ録音はボールドウィン盤とゲイジ盤の2種類がありましたが、それらよりもずっと若い録音をこうして楽しめるのは本当に有難いなと思います。
わくわくしながら全曲聴き通してしまいました!
最後の曲(ペンナに...)の最後の「カスティリョーネ」と歌って締めるところのポルタメントの仕方がスタジオ録音の2種類とは違っていて面白かったです。
対訳もご覧いただけているとのこと、有難うございます。少しでも「イタリア歌曲集」を楽しんでくださる人が増えたらいいなと思っています。
投稿: フランツ | 2022年10月14日 (金曜日) 19時49分