エリー・アーメリング公式チャンネル動画2本更新:ショッソン『7つの歌曲』、コンサートアンコール(トゥリーナ、エリントン)
嬉しいことにエリー・アーメリング公式チャンネルに新しい動画が2本アップされていました。
●コンサートのアンコール2曲:トゥリーナ、エリントン
Elly Ameling; Two encores, Turina and Ellington
アンコール2曲、1985年10月6日フレーデンビュルフ録音
00:05 ホアキン・トゥリーナ:カンタレス(歌)
2:09 デューク・エリントン:ソフィスティケイテッド・レイディー
エリー・アーメリング(S)
ルドルフ・ヤンセン(P)
Two encores, recorded Vredenburg, October 6 1985
00:05 Joaquín Turina - Cantares
2:09 Duke Ellington - Sophisticated Lady
Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano
コンサートのアンコールとして演奏された2曲とのことです。私の知る限り初出音源ではないでしょうか。スペイン歌曲とジャズのスタンダードナンバーをヤンセンがピアノでつないで続けて演奏しているのが興味深いです。全く異なる様式の作品をこうしてまとめて披露してしまえるアーメリングはやはり凄い人ですね。
●ショッソン(一般的な表記はショーソン)『7つの歌曲』Op. 2
Elly Ameling; Sept Mélodies op. 2 - Chausson
ショッソン『7つの歌曲』Op. 2
00:05 1.ナニー
02:43 2.魅惑
04:46 3.蝶々
06:08 4.最後の一葉
08:27 5.イタリア風のセレナード
10:22 6.ヘーベ
13:06 7.ハチドリ
Sept Mélodies op. 2 - Ernest Chausson (1855-1899)
00:05 Nanny (Charles Leconte de Lisle)
02:43 Le charme (Paul Armand Sylvestre)
04:46 Les Papillons (Théophile Gautier)
06:08 La dernière feuille (Théophile Gautier)
08:27 Sérénade Italienne (Paul Bourget)
10:22 Hébé (Louise Ackermann)
13:06 Le Colibri (Charles Leconte de Lisle)
Elly Ameling, soprano
Rudolf Jansen, piano
AVRO RK3, 1-12-1982
ショッソンの『7つの歌曲』Op. 2全曲がここで演奏されていますが、このうち1曲目の「ナニー」のみ彼女の放送録音集"80 jaar"に同一音源が収録されています。実はオランダのネットラジオ局Radio 4で以前にこの全曲が放送されたことがありますが、こうして動画サイトで繰り返し聴けるようにしてもらえるのはファンにとって嬉しいだけでなく歌を勉強している方にとっても有難いことではないかと思います。ショッソンの歌曲は和声の機微がなんとも言えない味を醸し出していて、聞くたびに惹かれます。この7曲のうち「ハチドリ」はコンサートで彼女がよく歌っていて私もアンコールで実際に聴きました。歌曲集としてまとめて聴くと、ショッソンの作風の様々な側面が感じられてとても魅力的でした。そしてアーメリングの歌唱とヤンセンのピアノはいつもながらそれぞれの異なる世界観を細やかに提示してくれています。
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(2021/11/7追記)
2021/10/30の10:15-12:45、14:00-16:30にエリー・アーメリングのマスタークラスが実施されたようです。オランダのゼイストで2021/10/22-31まで催された国際リート・フェスティヴァル(Internationaal Lied Festival Zeist)の一環のようです。
Twitterに参加された方からのリポートがありましたのでリンクを貼っておきます。日本のピアニスト木口さんも参加されたそうです。
木口雄人
https://twitter.com/kiguchi_yuto/status/1453402816266096642
Margriet Schipper
https://twitter.com/MargrietSchipp1/status/1454108546119917570
それからアーメリングといくつかの録音やコンサートで名演を残した指揮者ベルナルト・ハイティンクさん(Bernard Haitink: 4 March 1929 – 21 October 2021)のご冥福をお祈りいたします。
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コメント
フランツさん、こんにちは。
ハイティンクさん、亡くなられたのですね。彼の指揮のマーラー、プライさん歌唱のCDを聞いて偲びたいと思います。
アメリングは、クラシックの歌が清楚なので、初めてポップスを聴いた時はびっくりしました。自然な表現でその様式にはまっていて。ポップスを様式とはおかしないい方かもしれませんが。
ショッソン(と本当は読むのですね)、好きなんです。
今聞いていますが、アメリングのフランス歌曲はドイツリートの時より色香を感じます。素敵ですよね。
私は、フランス歌曲の持つ世界観も好きです。
マスタークラス、開催されたのですね。すごい方ですね。
いくつになってもチャーミングで、活動されていることがうれしいです。
投稿: 真子 | 2021年11月 9日 (火曜日) 11時16分
真子さん、こんばんは。
知っている音楽家が亡くなるたびに一つの時代が去っていくのを感じますね。ハイティンクはプライとはマーラーの2大歌曲集を録音していましたよね。もっと知られてほしい録音だと思います。
意外なところでプロコフィエフの「ピーターと狼」の語り(ドイツ語版)をハイティンクの指揮で録音しているのを見つけて今聴いています。さすがプライという感じでとてもいいです!
アーメリングのポップスは意外性がすごいですよね。私はラジオで「枯葉」の録音を聴いたのが最初でしたが、彼女の声色の違いに驚いた記憶があります。本当器用ですが、もちろん努力の賜物なのでしょうね。
フランス語の第1音節は実際には伸ばさないのですが、日本語にするとみんな伸ばして表記しますよね。フォーレとかプーランクとかルーセルとかブーレーズとか。ショーソンもそうですが、最初に日本語表記したものが普及してしまったのでしょうから、ショッソンなどと書くと違和感がすごいですが、これは好みの問題なので、伸ばして書いても問題はないと思います。私は変に発音にこだわる癖があるので、こういうところ小さな抵抗をしてしまいますが、気になさらないで下さいね。
真子さんはショーソンがお好きと以前もおっしゃっていたのを覚えています。アーメリングは『温室』というショーソンの歌曲集も歌っていて録音を聴くことが出来ます。フランス歌曲はあいまいさ、けだるさがドイツ歌曲よりも強い印象があります。「色香」もありますね。
彼女は信念のようなものがあるのか次世代へ持てるものをすべて伝えておこうという姿勢が感じられます(YouTubeチャンネルの更新もその一環なのだと思います)。本当に頭が下がります。
投稿: フランツ | 2021年11月 9日 (火曜日) 18時57分