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ハンス・ホッター/1963年,1962年BBCリサイタル(ヴァルター・クリーン、ポール・ハンバーガー)&1976年『冬の旅』(ジェフリー・パーソンズ)

往年の名バスバリトン歌手ハンス・ホッター(Hans Hotter, 1909年1月19日 - 2003年12月6日)の音源がいろいろアップされていましたのでご紹介します!

ホッターはCDが出始める直前ぐらいからリートにはまった私にとってはまさにバイブル的存在でした。当時EMIの歌曲音源がSeraphimというレーベルから安価なシリーズで出ていたのですが、そのLPをお小遣いをやりくりして買っていた時のラインナップにホッターも含まれていました。
同じ曲とは思えないほど低く移調した版で歌われたホッターの声と歌唱はF=ディースカウやプライに慣れていた耳にとって最初は戸惑いの方が強かったのですが、徐々にその魅力にとりつかれ、はまっていきました。
こうして往年の演奏家をたまに思い出して、思い出にひたったりするのもいいでしょうし、若い方にはこんな歌手やピアニストがいたのかと知っていただけたら嬉しいです。

まずは1963年のBBCリサイタルですが、ホッター54歳という円熟期の歌唱が聞けます。
1曲ごとにアナウンサーの解説が入るので、今どの曲を歌っているか分かりやすいと思います。
ホッターのふかふかのカーペットのような包み込む声は独自のものです。現代の歌手ではゲルネが少し近いかもしれませんが、ゲルネとホッターを続けて聞くとやはり違いますね。

シューベルトのゲーテの詩による「湖上で, D 543」がホッターの歌唱で聞けるのは珍しいように思います。ホッターの詳細なディスコグラフィー(Recordings & Discography - Hans Hotter)にもこの曲の録音記録はありませんでした。

モーツァルト等の演奏で日本でもよく知られたオーストリアの名ピアニスト、ヴァルター・クリーン(Walter Klien, 1928年11月27日 - 1991年2月10日)は若かりし頃歌曲演奏も積極的に取り組んでいたようで、ホッターともR.シュトラウス歌曲集をリリースしていますが、ここでもドラマティックだったり繊細だったりと臨機応変な素晴らしいサポートを聞かせてくれます。

※ヴォルフの「さようなら」で若干雑音が入りますのでヘッドフォンでお聞きの方はご注意ください。

Hans Hotter BBC Lieder Recital 1964

チャンネル名:Mark Hood

ハンス・ホッターBBCリサイタル
ピアノ:ヴァルター・クリーン
録音:3 December 1963
放送:22 May 1964

シューベルト:
泉のほとりで, D 530
春に小川のほとりで, D 361
湖上で, D 543
ドナウ川の上で, D 553

ヴォルフ:『メーリケ歌曲集』より
狩人の歌
郷愁
さようなら
恋人に寄せて
飽くことのない愛

R. シュトラウス:
ああ辛い、俺は不幸な男
夜の散歩
恋人の天のベッドへ遣わされた天の使者
若者の誓い

HANS HOTTER BBC Recital
BBC THIRD PROGRAMME
recorded 3 December 1963
broadcast 22 May 1964
Piano Walter Klien

SCHUBERT:
An eine Quelle, D 530
Am Bach im Frühling, D 361
Auf dem See, D 543
Auf der Donau D 553

WOLF: Mörike Lieder
Jägerlied
Heimweh
Lebewohl
An die Geliebte
Nimmersatte Liebe

R. STRAUSS:
Ach weh mir unglückhaftem Mann, Op. 21 No. 4
Nachtgang, Op. 29 No. 3
Himmelsboten zu Liebchens Himmelbett, Op. 32 No. 5
Junggesellenschwur, Op. 49 No. 6

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上記の前年のBBCリサイタルでは、共演者がオーストリア生まれのイギリスのピアニスト、ポール・ハンバーガーで、プログラムは上記とヴォルフの2曲がかぶっています。
ヴォルフについてはお気に入りの曲を集めた感じですね。
ベートーヴェンの歌曲はホッターにとっては珍しいのではないでしょうか。

※最後の方、音質の歪みがありますのでご了承ください。

Hans Hotter BBC Lieder Recital 1962

チャンネル名:Mark Hood

ハンス・ホッターBBCリサイタル
ピアノ:ポール・ハンバーガー
録音:25 April 1962

ベートーヴェン:
この暗い墓の中で, WoO. 133
憧れ, WoO. 146
君を愛す, WoO. 123
悲しみの喜び, Op. 83
五月の歌, Op. 52-4

ヴォルフ:
散歩
飽くことのない愛
狩人の歌
君のブロンドの頭を上げてごらん
月はひどい嘆きをぶちまけた
セレナーデを奏でにやってまいりました
コフタの歌Ⅰ
コフタの歌Ⅱ

Hans Hotter BBC Lieder Recital 1962

BBC THIRD PROGRAMME
25 April 1962
Piano Paul Hamburger

BEETHOVEN
In questa tomba oscura
Sehnsucht
Ich lieb dich
Wonne der Wehmut
Mailied

WOLF
Fussreise
Nimmersatte Liebe
Jägerlied
Heb auf dein blondes Haupt
Der Mond hat ein schwere Klag erhoben
Ein Ständchen euch zu bringen
Cophtisches Lied I "Laßet Gelehrte sich zanken und streiten"
Cophtisches Lied II "Geh! Gehorche meinen Winken"

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次は1976年3月の『冬の旅』全曲です。
しかもピアノは名手ジェフリー・パーソンズ。
これも嬉しい録音です。
ホッター67歳の録音ということになりますが、もともと深い声の持ち主ですし、年齢はあまり気にならないように私には思えます。
細かい技巧的なところは若い頃とは違うのかもしれませんが、『冬の旅』を味わうのに支障はほとんどないように感じました。
「おやすみ」の最後の歌詞(gedacht)をホッターが長めに歌い続けるところは、後ろ髪を引かれる思いの主人公が眼前に浮かびました。

Hans Hotter Winterreise London 1976

チャンネル名:Mark Hood
演奏は2:40~

シューベルト:『冬の旅』全24曲
ライヴ録音:1976年3月, Fishmongers Hall, London
ハンス・ホッター(BSBR)
ジェフリー・パーソンズ(P)

Recorded live at the Fishmongers Hall in the City of London in March 1976.
Hans Hotter
Geoffrey Parsons Piano
Schubert Die Winterreisse.
Given in conjunction with a series of masterclasses in London.

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最後にヴェルディの歌劇『ドン・カルロ』の抜粋の映像もアップされていましたのでシェアします。ホッター・ファンの方だけでなくプライ・ファンの方にとってもお宝映像だと思います。プライとの映像は1960年代後半とのことです。

Hans Hotter - Verdi Don Carlo

チャンネル名:Mark Hood

Hans Hotter in Don Carlos

as King Philip II (sung in German)

1) "Ein wort noch.." ("Restate") with Hermann Prey (Posa)
2 )"Sie hat mir nie geliebt" ("Ella Giammai m'amo")

Taken from ZDF TV "Hermann Prey presents". ZDF late 1960s
No orchestra and conductor known. This is a great rarity with Hotter and Prey together, Hotter sang the role of Philip very rarely and only early in his career.

3) Grand Inquisitor Scene - Vienna State Opera
10 December 1978
Berislav Klobucar
with Simon Estes (Philip II)
Hotter sang the role of the Grand Inquisitor over 400 times during his career.
His interpretation here of the 90 years old Inquisitor is ideal.
As it should be. Hotter was approaching his 70th birthday at the time of this performance.

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コメント

フランツさん、こんばんは。

まだ全てを聞いていませんが、ホッターの歌には懐かしさを感じます。
プライさんとは、20歳も年が違うのですね。
プライさんは、ハイバリトンですが、声に厚みがあってバスバリトンに近い音質ですよね。
若い頃はドラマチックな録音を残しています。
貴重な動画をありがとうございます。

投稿: 真子 | 2021年11月15日 (月曜日) 23時18分

真子さん、こんばんは。
コメントを有難うございます!

ホッターの懐かしさ、分かる気がします。
唯一無二の声と歌ですよね。
プライとは確かにちょうど20歳違いますね。
気付きませんでした。
ホッターとプライが一緒の場に立つ映像というだけでわくわくしますね。
どちらも厚みのある声ですが、交互に歌うとそれぞれの個性が感じられていいなぁと思いながら聴きました。
映像と音が少しずれているのは惜しいですが、アップしてもらえただけでも有難いですね。

投稿: フランツ | 2021年11月16日 (火曜日) 19時33分

フランツさん、こんばんは。

>ホッターとプライが一緒の場に立つ映像というだけでわくわくしますね。
本当にワクワクします!
ご存じかもしれませんが、1959年カイルベルト指揮の「セビリアの理髪師」は、何と!ヴンダーリヒ、プライ、ホッターが共演しています。
グラモフォンは、オールフリーでDVDを出してくれていますから、輸入盤でも、日本のデッキで鑑賞できます。しかも、安価で販売されていました。
グラモフォン様々です(*^^*)

白黒でモノラルですが、この三人が出ているだけで、見ているうちに華やかなカラーになるようです。
まだ30歳そこそこのプライさんがまた、初々しいんです。
ドイツ語歌唱ですが、こんな貴重なオペラを見られるのですから、全く気にならないです。
機会がありましたら、ご覧になってみてください。

投稿: 真子 | 2021年11月16日 (火曜日) 22時46分

12分ほどの前述動画をみつけました。

下記、ご都合が悪ければ消してくださいね。

https://youtu.be/c8oSc-2PPc4

投稿: 真子 | 2021年11月16日 (火曜日) 23時00分

真子さん、こんにちは。

素敵な動画のご紹介を有難うございます(^^)

YouTubeで抜粋を見ましたが、ヴンダーリヒもプライも歌・語り・演技ともに芸達者ですよね。本当に演技ではないような自然な佇まいが素晴らしかったです。
当時はその国の言葉で歌うというのが多かったのかもしれませんね。個人的にはドイツ語でも全く違和感なかったです。

それからエリカ・ケートの動く姿と歌唱が見られたのも貴重です。

ここにホッターも出演していたとはなんとも豪華なキャストで、こうして記録が残っているのは本当に有難いことです!

投稿: フランツ | 2021年11月17日 (水曜日) 12時42分

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