江崎皓介ピアノリサイタル(2021年10月23日 カワイ川口リリアサロン)
2021年10月23日(土)
開場 14:30/開演 15:00
カワイ川口リリアサロン
江崎皓介(P)
ショパン:エチュード Op. 10-1~12
(休憩:約15分)
ショパン:エチュード Op. 25-1~12
(アンコール)
1. ショパン:夜想曲第2番 変ホ長調 Op. 9-2
2. ショパン:ワルツ第7番 嬰ハ短調 Op. 64-2
3. ショパン:ワルツ第6番 変ニ長調 Op. 64-1「小犬のワルツ」
---------
昨日、川口リリアのカワイのサロンに行き、一年ぶりに江崎皓介氏の演奏を聴いてきました。
生演奏は今年はじめてです。
某騒動で凄かった去年でさえ3回もコンサートに行ったのに...。
リモートワークが続きプライベートもだんだん出不精になってしまいました。
江崎さんは今回ショパンのエチュードのみでプログラミングし、前半はOp.10の12曲、そして後半はOp.25の全12曲を披露しました。
久しく感じていなかった音のシャワーを浴びる感覚がよみがえってきました。
エチュードといえど、ハノンやバイエルではなく、やはりショパンの芸術作品なのだと実感しました。
有名な曲があちこちに散りばめられていますが、ニックネームが付いていない曲でも馴染みのある曲が多く、それらが全曲まとめて演奏されると、単独で弾かれる時とは違った色合いを放つのが興味深かったです。
やはり江崎さんの演奏は昨年同様響きが美しかったです。
今回特に感じたのは他の演奏ではあまり強調されないような声部を際立たせることで、新鮮な魅力を感じることが出来たことです。内声もそうですが、バス音を強調するだけで随分雰囲気が変わり、聴いていて惹きこまれる箇所が多数ありました(例えばOp.25-2等)。
私の右側ブロックの一番真ん中よりの席からは手はほとんど見れなかったのですが、その代わりペダリングがよく見えて、細やかなペダルの踏みかえが印象に残っています。
ショパンは繊細な印象が強いですが、ドラマティックに畳みかけるところも魅力的ですね。
特に休憩後のOp.25では江崎さんの演奏が鬼気迫るような、何かが乗り移ったかのようなものが感じられて、12曲からなる物語のページを次々にめくっていくようなわくわくする感覚がありました。
曲が終わって次の曲に進むタイミングも音楽の一部なのだなぁとあらためて感じられた演奏でした。
アンコールは3曲でしたが、ツアーが下関、大阪と続くようですので、曲名はそれが終わった頃に追記しようと思います。
1曲目の超有名なあの曲では右手に多くの装飾を施していて興味深かったです。
何かそういう装飾の代替フレーズが記載された楽譜があるのか、それとも江崎さんが創作した装飾なのか気になり、帰り際にお見送りいただいた時に伺おうかとも思ったのですが、お疲れのところ申し訳ないと思い、一言感想をお伝えしてその場を離れてしまいました。
歌曲ファンの立場から今回ショパンのエチュードを聴いていて感じたことなのですが、ヴォルフは意外とショパンの影響を受けているのではないかと思いました。ヴォルフの歌曲のピアノパートに出てくるような音楽が、ショパンの音楽の中にいくつか感じられました。ヴォルフは若い頃音楽評論家でもあったので、その評論をひもとけば何か出てくるかもしれませんね。
余談ですが、昨今ショパンコンクールの日本人お二人の入賞がメディアでも話題になり、本当におめでたいと思いますが、普段クラシックの報道をほとんどしない一般メディアもこういう時はにわかクラシックファンになるのだなぁとひねくれた見方をしてしまいます。
でも、途中で先に進めなかったピアニストの方も素晴らしい演奏をした方がおられましたし、動画でそれぞれの演奏が聴けるので、お気に入りのピアニストをじっくり探すというのも楽しいですね。
| 固定リンク | 0
« エリー・アーメリング&ルドルフ・ヤンセン他(Elly Ameling, Rudolf Jansen, & others)フランス放送録音(1985年1月28日) | トップページ | ベートーヴェン「プードルの死に寄せる悲歌(Elegie auf den Tod eines Pudels)」 WoO. 110 »
「音楽」カテゴリの記事
- エリー・アーメリングの歌うモーツァルトのコンサートアリア2曲のライヴ音源(1968年1月23日, アムステルダム)(2023.11.05)
- ブラームス/「なんとあなたは、僕の女王よ(Wie bist du, meine Königin, Op. 32, No. 9)」を聞く(2023.12.02)
- ブラームス/「こうして僕らは立っている、僕と僕の喜びである彼女は(So stehn wir, ich und meine Weide, Op. 32, No. 8)」を聞く(2023.11.25)
- ブラームス/「きみは言う、僕が思い違いをしていたと(Du sprichst, daß ich mich täuschte, Op. 32, No. 6)」を聞く(2023.11.11)
- ブラームス/「辛辣なことを言ってやろうときみは思っている(Bitteres zu sagen denkst du, Op. 32, No. 7)」を聞く(2023.11.18)
「コンサート」カテゴリの記事
- 江崎皓介ピアノリサイタル「ラフマニノフ生誕150周年プログラム」(2023年5月28日 大泉学園ゆめりあホール)(2023.06.03)
- エリー・アーメリング、パーセル&フランク・マルタンを歌う(1965年11月26日, De Kleine Zaal om de Hoek)(2023.03.06)
- マーク・パドモア&内田光子 デュオリサイタル(2022年11月24日 東京オペラシティ コンサートホール)(2022.11.25)
- 江崎皓介ピアノリサイタル(2022年12月10日 ミューザ川崎シンフォニーホール 音楽工房 市民交流室)(2022.12.11)
- クリストフ・プレガルディエン&ミヒャエル・ゲース/シューベルト「白鳥の歌」他(2022年10月1日(土)トッパンホール)(2022.10.02)
「ピアニスト」カテゴリの記事
- 江崎皓介ピアノリサイタル「ラフマニノフ生誕150周年プログラム」(2023年5月28日 大泉学園ゆめりあホール)(2023.06.03)
- エリー・アーメリング、パーセル&フランク・マルタンを歌う(1965年11月26日, De Kleine Zaal om de Hoek)(2023.03.06)
- エリー・アーメリング/ブラームス歌曲集&シューマン『リーダークライス Op. 39』(公式チャンネル)(2023.02.17)
- エリー・アーメリング&フェーリクス・ドゥ・ノーブル:グリーグ&メンデルスゾーン歌曲(2023.02.08)
- マーク・パドモア&内田光子 デュオリサイタル(2022年11月24日 東京オペラシティ コンサートホール)(2022.11.25)
コメント
フランツさん、こんにちは。
久しぶりにピアノコンサートにおでかけになったのですね。
やはり、生演奏はいいですよね。
私はこの日は、地元近くの薔薇園へ行って来ました。ここの薔薇園は、持病を発症した時、初めて遠出(距離的にはは遠出という程ではないのですが)した場所なんです。
久しぶりの外の風や陽射しが心地よく、薔薇の香りに包まれて幸せな気持ちになれた、そんな場所です。
私には思い出深い薔薇園です。
帰りに、三ノ宮まで行き、地元文具店のオリジナル万年筆とインク、須磨離宮ローズをセットで購入しました。
優しく落ち着いたピンクローズの軸を見ていると、気持ちが明るくなりました。
色の持つ力も大きいですね。
音色というくらいですから、声にも色があって、聞く私達の気持ちを落ち着かせてくれたり、気分をあげたりしてくれるんだなあ、なんて思いました。
音楽に関係ない話ですみません、、。
投稿: 真子 | 2021年10月25日 (月曜日) 15時17分
真子さん、こんばんは。
やはり生の音楽はいいですね。ショパンの多彩な音楽を聴いてすっかりリフレッシュ出来ました^^
真子さんは薔薇園に行かれたのですね。素敵ですね!真子さんにとって大切な記憶と結びついた場所で五感を癒してこられたことと思います。香りは過去の記憶を呼び起こしますよね。
書道をされる真子さんにとって万年筆やインクは大切な道具なのでしょうね。須磨離宮ローズって何だろうと思いググってみたらインクなのですね。
色も気持ちを落ち着かせてくれたりしますから、好きな色を回りに置くというのはよさそうですね。
三ノ宮に寄られたとのこと、確か数駅でポートタワーの近くの駅でしたよね。昔あのあたりを歩き回った時のことを思い出しました。横浜生まれなので、はじめて行ったのになじみ深い雰囲気でした。港町はいいですよね。潮の香りをかぐとわくわくします。近くに中華街もあって時間があればどこかお店に入りたかったです(帰り際に寄ったのでご飯食べる時間が残念ながらなかったのです)。また神戸行きたいです。
投稿: フランツ | 2021年10月25日 (月曜日) 20時03分