エリー・アーメリング&ルドルフ・ヤンセン他(Elly Ameling, Rudolf Jansen, & others)フランス放送録音(1985年1月28日)
エリー・アーメリング((Elly Ameling)の1985年の初出音源がアップされていました!!
未知だった音源がどんどん発掘されていくのはファンにとってはたまらなく嬉しいです。
1985年のフランスでの放送音源とのことで、プログラムは、フォレ、ラヴェルのアンサンブル版歌曲集とシューベルトの「岩の上の羊飼い」を含む7曲です。
フォレの歌曲集『優れた歌(La bonne chanson)』は抜粋の7曲ですが、おそらくライヴでは全9曲披露されて、ラジオ番組の時間制約上第1曲、第8曲がカットされたのだろうと推測されます。
演奏形態は、フォレが歌+弦楽四重奏+ピアノ、ラヴェルが歌+フルート2+クラリネット2+弦楽四重奏+ピアノ、シューベルトは「岩の上の羊飼い」のみ歌+クラリネット+ピアノで他は歌+ピアノです。
アーメリングは1985年1月&9月にERATOレーベルにラヴェル歌曲集を録音しているのですが、その時の共演メンバーが今回の音源と同じなので、おそらくスタジオ録音と放送用録音を平行して行ったのではないかと推測されます。
そしてアーメリングの歌声、とても素晴らしかったです!相変わらずきめの細かい感触が彼女の歌から感じられます。言葉一つ一つを大切にしながら、フレーズの大きな流れも意識した至芸!
ピアノ、弦楽四重奏、管楽器とのアンサンブルも美しかったです。
それにしてもアーメリングは「岩の上の羊飼い」が好きだったようで、いろんな音源が発掘されていますね(日本では一度も披露されなかったのが意外です)。
An Elly Ameling Recital (France, 1985)
チャンネル名:kadoguy
フランス放送音源
1985年1月28日
エリー・アーメリング(S)
ルドルフ・ヤンセン(P)
ヴィオッティ四重奏団
フィリップ・ゴティエ(FL)
ジャン=ルイ・ボマディエ(FL)
ロラン・スィモンスィニ(CL)
ジャン=マルク・ヴォルタ(CL)
I. ガブリエル・フォレ:『優れた歌』Op. 61 (抜粋)
2. 曙の色がひろがり 0:00
3. 白い月 2:00
4. ぼくは不実な道を歩いていた 4:26
5. ほんとに、ぼくはこわいくらいだ 6:14
6. おまえがいなくなる前に 8:33
7. さて、それは或る明るい夏の日のことだ 10:56
9. 冬は終わった 13:24
II. モリス・ラヴェル:『3つのステファヌ・マラルメの詩』M. 64
溜息 16:27
叶わぬ望み 20:16
臀部より出でて,ひと跳びで 24:08
III. フランツ・シューベルト:
夕映えの中で, D. 799 26:58
月に寄せて, D. 193 31:12
ひそやかな恋, D. 922 34:30
乙女の嘆き, D. 191 38:30
ここにいたこと, D. 775 42:06
若い尼僧, D. 828 46:04
IV. フランツ・シューベルト: 岩の上の羊飼い, D. 965 50:49
---------
French radio broadcast
28 January 1985
Elly Ameling(S)
Rudolf Jansen(P)
Quatuor Viotti
(Philippe Goulut, violin; Mark Duprez, violin; Pierre Franck, viola; and Hugh Mackenzie, cello)
Philippe Gautier(FL)
Jean-Louis Beaumadier(FL)
Roland Simoncini(CL)
Jean-Marc Volta(CL)
I. Gabriel Fauré: "La bonne chanson", op. 61 (excerpts)
2. "Puisque l'aube grandit" 0:00
3. "La lune blanche luit dans les bois" 2:00
4. "J'allais par des chemins perfides" 4:26
5. "J'ai presque peur, en vérité" 6:14
6. "Avant que tu ne t'en ailles" 8:33
7. "Donc, ce sera par un clair jour d'été" 10:56
9. "L'hiver a cessé" 13:24
II. Maurice Ravel: "Trois Poèmes de Stéphane Mallarmé", M. 64
"Soupir" 16:27
"Placet futile" 20:16
"Surgi de la croupe et du bond" 24:08
III. Franz Schubert: Six Songs
"Im Abendrot", D. 799 26:58
"An den Mond", D. 193 31:12
"Heimliches Lieben", D. 922 34:30
"Des Mädchens Klage", D. 191 38:30
"Daß sie hier gewesen", D. 775 42:06
"Die junge Nonne", D. 828 46:04
IV. Franz Schubert: "Der Hirt auf dem Felsen", D. 965 50:49
| 固定リンク | 0
「音楽」カテゴリの記事
- 【没後100年】フォレ「月の光」(Fauré: Clair de lune, Op. 46, No. 2)を聴く(2024.12.06)
- ショパン新発見のワルツ(2024.11.23)
「コンサート concert」カテゴリの記事
- 【没後20年】ジェラール・スゼー(Gérard Souzay)の思い出と1989年来日公演プログラム(2024.11.22)
- 日本カール・レーヴェ協会コンサート・2024 (Nr. 35) (2024年9月23日 王子ホール)(2024.09.28)
- 東京春祭 歌曲シリーズ vol.39:コンスタンティン・クリンメル(バリトン)&ダニエル・ハイデ(ピアノ)(2024年4月12日(金) ライブ配信席)(2024.04.13)
- フィッシャー=ディースカウ&ムーア・ユネスコ・コンサートの映像(1974年1月9日, Paris)(2024.04.12)
- 東京春祭 歌曲シリーズ vol.37:レネケ・ルイテン(ソプラノ)&トム・ヤンセン(ピアノ)(2024年4月4日(木) ライブ配信席)(2024.04.06)
「エリー・アーメリング Elly Ameling」カテゴリの記事
- エリーの要点「宣伝」(Elly's Essentials; “Publicity”)(2024.11.23)
- 【没後100年記念】フォレ「レクイエム」(アーメリング、クライセン、ジュリーニ:1963年)(2024.11.09)
- エリー・アーメリング(Elly Ameling)の「Musings on Music」シリーズ:シューベルト「ただ憧れを知る者だけがSchubert: (Nur wer die Sehnsucht kennt, D 877/4)」(2024.11.09)
- エリーの要点「ヨーロッパ文明」(Elly's Essentials; “European Civilization”)(2024.10.19)
コメント
こんにちは, Sandmanです.
アーメリングに関する新たな情報ありがとうございます.
前半の, フォーレとラヴェルは, コンサートならではの, アーメリングの熱意が伝わってくるような演奏でした. フォーレは抜粋であるのが残念です. ラヴェルは, 対訳を読んでも, 「梅丘歌曲会館」のWEBの解説を読んでも, とても難解な詩なのですが, フランス音楽の魅力をアーメリングが引き出していると思います.
なお, フォーレの「優れた歌」は来年の3月23日の新日フィル室内楽シリーズで, 錦織まりあと言うメゾソプラノが, おそらく弦楽四重奏と共に歌うので, チケットを購入しました. 私は, この曲をコンサートで聴いたことがないのです. ちなみに, チケットはもうわずかしか残っていません.
後半のシューベルトも素晴らしい演奏でした.
特に, 「夕映えの中で」D.799は, 私が学生の頃に初めてアーメリングを聞いたLPの第1曲で, この曲で, アーメリングに魅了され, そして, 今まで, フィッシャー=ディースカウの「冬の旅」しか聞いたことがなかった私に, シューベルトの世界の扉を開いてくれました. 私は, アーメリングの日本での公演で2回聞いているのですが, 商用録音はフィリップス版一つしかありません.
アーメリングの「岩の上の羊飼い」は, 録音がたくさんありますね. 私の記憶が確かであれば, どこかで, シューベルトの一番好きな歌曲はと問われて, アーメリングがこの曲を挙げていて, 意外に感じたことを覚えています.
昨日, フランツさんがブログに記載された, アーメリングの公式チャンネルの2本についても, 追々, 聞いてみます. 楽しみです.
投稿: Sandman | 2021年11月 7日 (日曜日) 14時38分
Sandmanさん、こんばんは。
コメントを有難うございます。
フォレの「優れた歌」室内楽版はめったに演奏されないですよね。アーメリングもスタジオ録音ではピアノ版でしたし。今や"75 jaar"の放送録音と今回の録音と二種類も室内楽版を聴けるのですから有難いです(おっしゃるとおり後者は抜粋なのが残念ですが)。
来年実演があるそうですね。楽しんできてくださいね。私も聴きたいところですが、曜日的にちょっと難しいかもしれません。
ラヴェル歌曲のマラルメの詩は難解ですよね。「溜息」の1行目などは"on"という鼻母音が3回出てきてその響きを味わう箇所なのかなと思います。アーメリングもアンニュイな雰囲気を醸し出しながら歌っていて素晴らしいと思います。
シューベルトも素晴らしいですよね!
「夕映えの中で」のエピソードを有難うございます。実は私もはじめて買ったアーメリングのLPが「夕映えの中で」で始まり「至福」で終わるPhilips盤ですので、Sandmanさんと一緒です。このLPは私にとっても思い出深いので、たまに全曲通して聴きたくなります。
それから私も彼女の実演でこの曲を2回(1996年4月紀尾井ホールと1997年5月フィリアホール)聴くことが出来ました。
アーメリングがシューベルトの中で「岩の上の羊飼い」が一番好きと答えたという情報は知りませんでした。演奏回数が多いのは彼女の好みだからということなのかもしれませんね。
公式チャンネルの最新音源も素敵でした。ぜひ聴いてみてくださいね。
投稿: フランツ | 2021年11月 7日 (日曜日) 19時50分
フランツさん
そうです. 1996年4月11日と1997年5月8日の公演です. 私と同じホールで聞かれていたのですね. 両方とも「さよならコンサート」でしたね.
投稿: Sandman | 2021年11月 9日 (火曜日) 10時12分
Sandmanさん、こんばんは。
2回とも同じホールで聴いていたのですね。あれから随分年月が経ってしまいました。さよならコンサートでしたが涙とは無縁のさばさばしたお別れだったのが彼女らしいなと思ったものでした。
投稿: フランツ | 2021年11月10日 (水曜日) 18時31分