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エリー・アーメリングのヴォルフ歌曲集!!!

エリー・アーメリング(Elly Ameling)のYouTube公式チャンネルで、なんとヴォルフのメーリケ歌曲集、スペイン歌曲集等が大量にアップされました!!!
もう大判振る舞いです。
大好きなアーメリングの歌う大好きなヴォルフの歌曲を素晴らしいピアニストのヤンセン、ボールドウィンとの共演で聴ける幸せ!!!
しかも、いくつかは初出ライヴ音源と思われます!!!(→2021/5/29追記:もしかしたら録音年月の表記間違いで、すでに発売されたライヴ音源と同じかもしれません。)
この週末はリピート決定です!

いつもこのチャンネルの動画を編集しておられるThom Janssen氏にも感謝です。

●Elly Ameling; Mörike Lieder - Wolf
ヴォルフ/『メーリケ歌曲集』より

00:00:06 Nimmersatte Liebe(飽くことのない愛) *
00:02:38 Er ist's(春だ) *
00:04:01 An den Schlaf(眠りに寄せて) *
00:06:17 Verborgenheit(隠遁) **
00:09:26 Begegnung(出逢い) *
00:10:59 In der Frühe(明け方に) *
00:13:40 Elfenlied(妖精の歌) **
00:15:50 An eine Aeolsharfe(エオリアンハープに寄せて) *
00:22:08 Lied vom Winde(風の歌) *
00:24:46 Im Frühling(春に) **
00:29:34 Storchenbotschaft(こうのとりの使い) *
00:33:35 Die Geister am Mummelsee(ムメル湖の亡霊) ***
00:37:13 Nixe Binsefuss(水の精ビンゼフース) ***
00:39:24 Auf eine Christblume I(クリスマスローズに寄せてⅠ) ***
00:44:38 Auf eine Christblume II(クリスマスローズに寄せてⅡ) ***
00:46:35 Das verlassene Mägdlein(捨てられた娘) ***
00:49:39 Lebe wohl(さようなら) ***
00:51:53 Schlafendes Jesuskind(眠る嬰児イエス) ***
00:55:19 Der Knabe und das Immlein(子供と蜜蜂) ***
00:58:00 Ein Stündlein wohl vor Tag(夜明け前のひととき) ***
01:00:12 Gebet(祈り) ***
01:02:43 Selbstgeständnis(告白) ***
01:03:58 Bei einer Trauung(ある結婚式で) ***
01:06:04 Rat einer Alten(老女の忠告) ***
01:08:12 Mausfallen-Sprüchlein(ねずみ捕りのおまじない) *

Elly Ameling
Piano
Rudolf Jansen * (recording Feb. 1989)
Rudolf Jansen ** (recording Sept. 1991)
Dalton Baldwin *** (recording Aug. 1970)

1991年のヤンセン共演録音と、1970年のボールドウィン共演録音はすでに発売されたCDやLPと同一音源ではないかと想像されます。
ところが1989年2月に録音されたライヴらしきヴォルフの音源は私は知らないので、おそらくアーメリングの初出個人所蔵音源なのではないかと思います。(→2021/5/29追記:実はすでに発売されたライヴ音源"80 jaar"に1989年2月21日録音の2曲(ねずみ捕りのおまじない、隠遁)が含まれていましたので、初めてではありませんでした。失礼しました。"80 jaar"に収録されている他のメーリケ歌曲集は1986年1月14日録音なのですが、もしかしたら今回のこの初出音源(*印の曲)も1986年が正しい可能性があります。そうすると初出音源はないことになります。)
個人的には大好きな「こうのとりの使い」の新しい音源(→2021/5/29追記:上述の通り、新しい音源ではないかもしれません。1986年のライヴ録音と歌詞を間違える箇所が同じなので、同一音源の可能性があります)が聞けたのが嬉しかったです!いやこれら全部嬉しいです!!

●Elly Ameling; Wiegenlied im Sommer - Wolf
ヴォルフ/夏の子守歌

Elly Ameling
Piano - Rudolf Jansen

こちらは箸休め的なとろけるような子守歌ですね。
ライニクの詩による美しい作品です。
録音データの記載はありませんでした。(→2021/5/29追記:"80 jaar"収録のものと同じ音源が使われているとしたら1982年5月12日録音となります。)

●Elly Ameling; Spanisches Liederbuch - Wolf
ヴォルフ/『スペイン歌曲集』より

00:06 WL No 2: In dem Schatten meiner Locken(私の巻き毛の陰で)
02:25 WL No 25: Ob auch finstre Blicke glitten(不機嫌な視線に苦しめられても)
04:38 WL No 26: Bedeckt mich mit Blumen(私を花で覆ってください)
08:07 WL No 12: Sagt, seid ihr es, feiner Herr(ねえ、あなたでしたの、素敵な殿方)
10:10 WL No 23: Tief im Herzen trag ich Pein(心の奥深く苦悩を抱え)
12:02 WL No 21: Alle gingen, Herz, zur Ruh(ものみな憩いについた、心よ)
14:01 WL No 24: Komm, o Tod, von Nacht umgeben(来たれ、おお死よ、夜に包まれて)
17:14 WL No 28: Sie blasen zum Abmarsch(出発の合図が鳴っている)
19:48 WL No 13: Mögen alle bösen Zungen(口の悪い人たちはみな)
21:43 WL No 34: Geh, Geliebter, geh jetzt(行って、恋人よ、もう行って)
25:42 WL No 30: Wer tat deinem Füsslein weh?(誰があなたのあんよを傷つけたの)
28:08 GL No 6: Ach, des Knaben Augen(ああ、嬰児の瞳は)
30:03 GL No 4: Die ihr schwebet(この棕櫚のまわりに漂う者たち)
33:04 GL No 7: Mühvoll komm ich und beladen(苦労を重ね重荷を背負って私は来ました)

WL = Weltliche Lied(世俗的歌曲)
GL = Geistliche Lied(宗教的歌曲)

Elly Ameling
Piano - Rudolf Jansen

録音データが記載されていませんが、これは彼女のキャリア最後のステレオ録音(Hyperion)と同一音源のように聞こえます。(→2021/5/29追記:Hyperionのヴォルフ歌曲集は1991年9月12-16日に録音されました。)
最後の「苦労を重ね重荷を背負って私は来ました」の苦悩の表現は、円熟期ならではの素晴らしさです。

本当は今日はフィッシャー=ディースカウの誕生日なので、彼の記事を書こうとしていたところ、この宝物のような音源を見つけてしまって急遽予定変更です。
F=ディースカウ・ファンの方ごめんなさい。
F=ディースカウについてはまたいずれ何か記事を書きます。

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ベートーヴェン「愛されない男の溜息と愛のお返し(Seufzer eines Ungeliebten und Gegenliebe, WoO. 118)」

Seufzer eines Ungeliebten und Gegenliebe, WoO. 118
 愛されない男の溜息と愛のお返し

<Seufzer eines Ungeliebten>
 <愛されない男の溜息>

Hast du nicht Liebe zugemessen
Dem Leben jeder Kreatur?
Warum bin ich allein vergessen,
Auch meine Mutter du! du Natur?
 あなたは愛を割り当てなかったのですか、
 あらゆる被造物の人生に?
 なぜ私だけ忘れられているのでしょう、
 わが母よ、自然よ。

Wo lebte wohl in Forst und Hürde,
Und wo in Luft und Meer, ein Tier,
Das nimmermehr geliebet würde? --
Geliebt wird alles außer mir!
 林や草地の中、
 空気や海の中で暮らす獣は
 愛されないでしょうか?
 私以外のあらゆるものが愛されているのです!

Wenn gleich im Hain, auf Flur und Matten
Sich Baum und Staude, Moos und Kraut
Durch Lieb' und Gegenliebe gatten;
Vermählt sich mir doch keine Braut.
 林、野原、草地で
 木や草、苔や葉が
 愛し愛されて結ばれるのに、
 私と結婚してくれる許嫁はいません。

Mir wächst vom süßesten der Triebe
Nie Honigfrucht zur Lust heran.
Denn ach! mir mangelt Gegenliebe,
Die Eine, nur Eine gewähren kann.
 衝動の中の最も甘いところから
 欲望の甘い果実は私には育たないのです。
 というのも、ああ!私には欠けているからです、
 一人、ただ一人の女性が与えることの出来る愛のお返しが。

<Gegenliebe>
 <愛のお返し>

Wüßt' ich, wüßt' ich, daß du mich
Lieb und wert ein bißchen hieltest,
Und von dem, was ich für dich,
Nur ein Hundertteilchen fühltest;
 私が知ったなら、
 あなたが私のことを少しでも大事に思っていると、
 そして私のあなたに対する思いを
 ほんのわずかでもあなたが感じていると、

Daß dein Dank hübsch meinem Gruß'
Halben Wegs entgegen käme,
Und dein Mund den Wechselkuß
Gerne gäb' und wiedernähme:
 私の挨拶に対してあなたの素敵なお返しが
 半ば応じてくれて、
 あなたの口がキスの交換を
 したりされたりしたがっていると、知ったなら、

Dann, o Himmel, außer sich,
Würde ganz mein Herz zerlodern!
Leib und Leben könnt' ich dich
Nicht vergebens lassen fodern! -
 その時、おお天よ、我を忘れて
 わが心はすべて燃え上がるでしょう!
 肉体と生命にあなたを
 いたずらに全力で求めさせないでしょう!

Gegengunst erhöhet Gunst,
Liebe nähret Gegenliebe,
Und entflammt zu Feuersbrunst,
Was ein Aschenfünkchen bliebe.
 好意へのお返しは好意を高め、
 愛は愛のお返しをはぐぐみます、
 そして火のようにさかって燃え上がり、
 灰となって火花が残るのです。

詩:Gottfried August Bürger (1747 - 1794)
曲:Ludwig van Beethoven (1770-1827)

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ゴットフリート・アウグスト・ビュルガーの二つの詩「愛されない男の溜息(Seufzer eines Ungeliebten)」と「愛のお返し(Gegenliebe)」は1774年に書かれ、「叙情詩集(Lyrische Gedichte)」の中で続けて配置されています。
この2つの詩をベートーヴェンは1つの歌曲として切れ目なくつなげましたが、一種の連作歌曲集という見方も出来るのではないかと思います(1794年終わりあるいは1795年作曲)。

「愛されない男の溜息」の詩は、その名の通りの内容で、動物も植物も愛しあうパートナーがいるのになぜ私だけいないのかと哀れな境遇を嘆く男の歌です。それに続く「愛のお返し」は、前の詩の男性が続けて語っているようにもとれますし、ひそかにこの男性に思いを寄せる女性が言っているととらえることも可能です。R.ウィリアムズ&A.マリーの歌った録音は、それぞれの詩を、嘆く男性と応える女性と解釈した例でしょう(下の音源で聴いてみて下さい)。

「愛されない男の溜息」の音楽は、上行するピアノ前奏に導かれてレチタティーヴォで始まり、第2節になると拍子が変わり、平行調に転調してメロディアスな要素が加わります。
「愛されない男の溜息」のテキストが終わった後にそのまま「愛のお返し」の冒頭の"Wüßt' ich, wüßt' ich,"が続けて歌われます。細かいピアノのパッセージをはさんで、次のAllegrettoで拍子が変わり、再度「愛のお返し」の冒頭から軽快でよりメロディアスな歌が歌われます。この2つの詩をあえて別々の曲にせず、1つにつなげる手法は、後の彼の連作歌曲集『遥かな恋人に寄せて』の先駆けと言えなくもないと思います。
不安定なレチタティーヴォで不安げに嘆く男は、曲の最後では落ち着き安定した響きを得て、きっと希望を見つけたように思えます。
苦悩から歓喜へというテーマはこの頃すでにベートーヴェンの脳裏にあったのではないかと感じました。

(Seufzer eines Ungeliebten)
Moderato-Andantino
4/4拍子-3/4拍子
ハ短調(c-moll)-変ホ長調(Es-dur)

(Gegenliebe)
-Allegretto
-2/4拍子
-ハ長調(C-dur)

「愛のお返し(Gegenliebe)」の歌声部のメロディーは、後に作曲された合唱幻想曲(Fantasie für Klavier, Chor und Orchester c-Moll, Op. 80)にも取り入れられます(下の動画参照)。

ちなみに「愛のお返し(Gegenliebe)」のテキストにはハイドンも作曲しています。
(Franz) Joseph Haydn (1732 - 1809), "Gegenliebe", Hob. XXVIa no. 16 (1781/4)

●ロデリック・ウィリアムズ(BR) & アン・マリー(MS) & イアン・バーンサイド(P)
Roderick Williams(BR) & Ann Murray(MS) & Iain Burnside(P)

1曲目は男性の歌なので、2曲目を女性目線と解釈すると、男女の歌手が1曲ずつ分担して歌うというのはいいアイディアだなぁと思います。歌手、ピアニスト共に安定の素晴らしさですね。

●ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR) & イェルク・デームス(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR) & Jörg Demus(P)

F=ディースカウが歌うと、様々な部分に分かれた歌曲の構造がくっきりして、すべてが自然につながっていくのが素晴らしいです。デームスも魅力的でした。

●ペーター・シュライアー(T) & ヴァルター・オルベルツ(P)
Peter Schreier(T) & Walter Olbertz(P)

シュライアーの明晰な語りと清冽な美声はここでも素晴らしいです。ちなみにシュライアーはベートーヴェン歌曲集の録音(ライヴ含む)を沢山残している為、このオルベルツとの全集録音の他に、デームス、シェトラー、シフとの録音もあります。

●ヘルマン・プライ(BR) & レナード・ホカンソン(P)
Hermann Prey(BR) & Leonard Hokanson(P)

プライはゆったり余裕をもっていつもの味わい深い語り口で聴かせてくれます。

●フローリアン・プライ(BR) & ノルベルト・グロー(P)
Florian Prey(BR) & Norbert Groh(P)

なんと親子でこの曲を録音していました!プライ父子で聴き比べが出来ます。フローリアンは父親の貫禄に比べてより繊細な印象を受けました。

●アンネ・ソフィー・フォン・オッター(MS) & メルヴィン・タン(Fortepiano)
Anne Sofie von Otter(MS) & Melvyn Tan(Fortepiano)

オッターはコミカルかつ主人公に共感しているような歌唱で、とてもチャーミングでした。

●「愛のお返し」のメロディーが使われた後年の作品
ベートーヴェン:「合唱幻想曲」Op. 80よりFinale
Maurizio Pollini, piano
Lioba Braun, soprano
Karita Mattila, soprano
Annika Hudak, contralto
Mats Carlsson, tenor
Peter Seiffert, tenor
Lage Wedin, bass
Swedish Radio Choir
Eric Ericson Chamber Choir
Berliner Philharmoniker
Claudio Abbado, conductor

最初の15分ほどはピアノと管弦楽のみで「愛のお返し(Gegenliebe)」のテーマ等が演奏され、最後の5分弱で独唱者6人と混声合唱が加わり、「愛のお返し」のメロディーを祝祭的に歌って盛り上がります(歌詞は「愛のお返し」とは異なり、クリストフ・クフナーによるものと言われています)。その最後の部分がこの映像で楽しめます。よく指摘されているように「第九」最終楽章の萌芽がすでに感じられますね。

●カール・クリスティアン・アクテ(Karl Christian Agthe)作曲「愛されない者の溜息と愛のお返し」
Leonore Becker(Vocal) & Dirk Fischbeck(P)

録音:Latina der Franckeschen Stiftungen in Halle/Saale 2007
ベートーヴェンより8歳年長のアクテは宮廷オルガニストを務めたドイツの作曲家です。「愛されない男の溜息」ではレチタティーヴォで始めたベートーヴェンと異なり、最初から抒情的な有節歌曲として作曲していますね。「愛のお返し」も有節形式でした。

●ハイドン作曲「愛のお返し(Gegenliebe, Hob.XXVIa:16)」
ヴォルフガング・ホルツマイア(BR) & イモジェン・クーパー(P)
Wolfgang Holzmair(BR) & Imogen Cooper(P)

ハイドンは「愛のお返し」のテキストに有節形式で作曲しています。軽快で魅力的な曲ですね。

(参考)
・歌曲「愛されない男のため息―応える愛Seufzer eines Ungeliebten―Gegenliebe WoO 118」――歓喜の歌の原石――
http://pietro.music.coocan.jp/storia/beethoven_contramoreWoO118.html

・The LiederNet Archive
https://www.lieder.net/lieder/get_text.html?TextId=3310
https://www.lieder.net/lieder/get_text.html?TextId=3316

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エリー・アーメリング&マックス・ファン・エフモント他(Elly Ameling, Max van Egmond & others)/コンスタンテイン・ハウヘンス(Constantijn Huygens)作曲『聖と俗のパトディア(Pathodia Sacra et Profana)』

EMIは1970年代後半にエリー・アーメリング、マックス・ファン・エフモント達をキャスティングして、オランダの作曲家コンスタンテイン・ハウヘンスConstantijn Huygens: 1596-1687)の作品『聖と俗のパトディア(Pathodia Sacra et Profana)』を録音しました。
LP2枚組で発売されましたが、おそらく日本では発売されないままだったと思います。
現在までCD化もされていませんが、有難いことにエリー・アーメリングのYouTube公式チャンネルで全曲アップロードしてくれました(おそらく同一音源ではないかと推測されます)!!!
日本人リュート奏者でアーメリングの来日公演でも共演したことのある佐藤豊彦も参加している貴重な録音です。映像に楽譜が表示されるのは嬉しいですね!
テキストは、ラテン語、イタリア語、フランス語です。

Elly Ameling - Max van Egmond; Huygens - Pathodia Sacra et Profana

Constantijn Huygens (1596-1687), Pathodia Sacra et Profana

コンスタンテイン・ハウヘンス(1596-1687)/『聖と俗のパトディア』

Elly Ameling - soprano
Max van Egmond - baritone
Anneke Uittenbosch - harpsichord/organ
Toyohiko Satoh - lute
Jaap ter Linden - viola da gamba

エリー・アーメリング(S)
マックス・ファン・エフモント(BR)
アンネケ・アウテンボス(harpsichord/organ)
佐藤豊彦(lute)
ヤープ・テル・リンデン(viola da gamba)

Latijnse Psalmen
00:00:06 Multi dicunt animae meae (I)(Egmond/Satoh)
00:02:08 Domine, ne in furore tuo (II)(Egmond/Uittenbosch(org)/Linden)
00:05:40 Usquequo, Domine (III)(Egmond/Satoh)
00:08:05 Domine Deus meus (IV)(Ameling/Uittenbosch(org)/Satoh/Linden)
00:10:30 Avertisti faciem (V)(Ameling/Uittenbosch(org)/Linden)
00:12:52 Dilataverunt super me (VI)(Ameling/Uittenbosch(org)/Linden)
00:15:25 Ab omnibus iniquitatibus (VII)(Egmond/Satoh)
00:18:14 Sitivit anima mea (VIII)(Egmond/Satoh)
00:20:03 Quare tristis es, anima mea (IX)(Ameling/Satoh)
00:21:42 Iniquitatem meam (X)(Egmond/Uittenbosch(org)/Linden)
00:23:59 Domine, spes mea (XI)(Egmond/Uittenbosch(org)/Linden)
00:26:16 In quo corriget adolescentior (XII)(Ameling/Uittenbosch(org)/Linden)
00:28:21 Cognovi, Domine (XIII)(Ameling/Uittenbosch(org)/Linden)
00:30:41 Quomodo dilexi (XIV)(Egmond/Satoh)
00:33:53 Erravi, Domine (XV)(Egmond/Satoh)
00:35:54 Laetatus sum (XVI)(Ameling/Uittenbosch(org)/Satoh/Linden)
00:37:22 De profundis clamavi (XVII)(Egmond/Uittenbosch(org)/Linden)
00:40:18 Confitebor tibi, Domine (XVIII)(Ameling/Satoh)
00:43:18 Proba me Deus (XIX)(Egmond/Uittenbosch(org)/Linden)
00:45:16 Memor fui dierum (XX)(Ameling/Uittenbosch(org)/Linden)

Italiaanse aria's
00:47:45 Morte dolce "Se la doglia e'l martire" (XXI)(Ameling/Uittenbosch(harpsichord)/Linden)
00:50:27 Sospiro della sua Donna "Sospir che del bel petto" (XXII)(Ameling/Satoh)
00:52:07 Amor secreto "Temer, Donna, non dei" (XXIII)(Egmond/Uittenbosch(harpsichord)/Linden)
00:54:12 Neo di bel volto "Quel neo, quel vago neo" (XXIV)(Egmond/Uittenbosch(harpsichord)/Linden)
00:55:28 Errori di bella chioma "O chiome erranti" (XXV)(Ameling/Uittenbosch(harpsichord)/Linden)
00:56:32 Caccia amorosa "Orsa bella e crudele" (XXVI)(Ameling/Uittenbosch(harpsichord)/Linden)
00:58:33 Aria - Con la candida man (XXVII)(Egmond/Satoh)
01:01:00 Madrigale - Gia ti chiesi un sospir (XXVIII)(Egmond/Uittenbosch(harpsichord)/Linden)
01:02:04 Serenata - A dispetto de'venti (XXIX)(Egmond/Satoh)
01:05:06 Risposta dalla finestra "Che rumore sento fuore" (XXX)(Ameling/Satoh)
01:06:51 Aria - Deh, s'à tanta belta (XXXI)(Ameling/Uittenbosch(harpsichord)/Linden)
01:09:07 Aria - Va, donna ingrata (XXXII)(Egmond/Uittenbosch(harpsichord)/Linden)

Franse airs
01:11:09 Air - Que ferons-nous (XXXIII)(Egmond/Satoh)
01:13:42 Air - Graves tesmoins de mes delices (XXXIV)(Ameling/Satoh)
01:15:51 Air - Vous me l'aviez bien dit (XXXV)(Ameling/Satoh)
01:18:02 Air - Quoy Clorinde, tu pars? (XXXVI)(Egmond/Uittenbosch(harpsichord)/Linden)
01:19:34 Air - Tu te trompes, Philis (XXXVII)(Egmond/Satoh)
01:20:58 Aubade - Le Reveil de Calliste "I'ai veu le point du jour" (XXXVIII)(Ameling/Satoh)
01:22:51 Serenade - Ne crains point le serein (XXXIX)(Egmond/Uittenbosch(harpsichord)/Linden)

※上記括弧内の演奏編成は聴いて判断したので、通奏低音の編成は正しくない可能性もあります。

Huygens

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ベートーヴェン「奉献歌(Opferlied, WoO. 126)」

Opferlied, WoO. 126
 奉献歌

Die Flamme lodert, milder Schein
Durchglänzt den düstern Eichenhain
Und Weihrauchdüfte wallen.
O neig' ein gnädig Ohr zu mir,
Und laß des Jünglings Opfer dir,
Du, Höchster, wohlgefallen!
 炎が燃え上がり、穏やかな光が
 ほの暗いナラの林を照らし、
 乳香の香りが沸き立つ。
 おお、慈悲深く私に耳を貸しておくれ、
 そしてその若者のいけにえが
 至高の方よ、あなたの気に入りますように!

Sei stets der Freiheit Wehr und Schild!
Dein Lebensgeist durchatme mild
Luft, Erde, Feur und Fluten!
Gib mir, als Jüngling und als Greis,
Am väterlichen Herd, o Zeus,
Das Schöne zu dem Guten!
 常に自由の防具や盾であれ!
 あなたの生命力は穏やかに息吹をみなぎらせよ、
 空気、大地、火、大河の息吹を!
 若者として、老人として、
 父の炉のそばで、おおゼウスよ、
 善へ向かう美を私に与えたまえ!

詩:Friedrich von Matthisson (1761-1831)
曲:Ludwig van Beethoven (1770-1827)

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フリードリヒ・フォン・マッティソンの「奉献歌」という2節からなる詩をベートーヴェンは気に入っていたのでしょうか、スケッチから様々な編成の歌曲まで生涯をかけて作曲し続けました。詩の内容はいまいち分かりにくかったですが、人身御供をゼウスに捧げる儀式でしょうか。

この詩の第1節2行目の"Eiche"は、日本語でナラ(楢)、英語でオークと呼ばれる落葉樹とのことです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%AF

曲は1794年終わりから1795年始めにスケッチが書かれ、1798年に改訂されたようです。
https://www.beethoven.de/de/work/view/4664324509401088/%26quot%3BOpferlied%26quot%3B%2C+Lied+f%C3%BCr+Singstimme+und+Klavier+WoO+126?fromArchive=5937910725476352

https://www.beethoven.de/en/media/view/5750001745526784/scan/0

https://ontomo-mag.com/article/playlist/oyasumi058-20200211/

2節からなる完全な有節歌曲で(リピート記号で繰り返される形)、コラール風に進行する荘厳な作品です。
ピアノパートの高音部は歌声部の旋律をなぞっています。

2/2拍子
ホ長調(E-dur)
Langsam und feierlich (ゆっくりと、荘厳に)

このマッティソンの詩「奉献歌」に、ベートーヴェンは後年さらに別の編成でも作曲しています。ピアノ歌曲よりも随分拡大されていますが、基本的にはピアノ歌曲の構想を発展させたものと感じました。
Op.121b
第1稿(1. Fassung):ソプラノ、アルト、テノール独唱、合唱、管弦楽(drei Solostimmen, Chor und Orchester)
第2稿(2. Fassung):ソプラノ独唱、合唱、管弦楽(Sopran, Chor und Orchester)

●シャーンドル・シュヴェート(BR) & エンドレ・ペトリ(P)
Sándor Svéd(BR) & Endre Petri(P)

シュヴェートの低音が心に響きました。

●ペーター・シュライアー(T) & ヴァルター・オルベルツ(P)
Peter Schreier(T) & Walter Olbertz(P)

いつもながらシュライアーの誠実な語りかけが印象的です。

●ヘルマン・プライ(BR) & レナード・ホカンソン(P)
Hermann Prey(BR) & Leonard Hokanson(P)

プライの歌唱は真摯で滲み出る味わいがあります。

●ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR) & イェルク・デームス(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR) & Jörg Demus(P)

F=ディースカウはやはりディクションが素晴らしいです。

●奉献歌(Opferlied, Hess 145) (WoO 126の第1稿スケッチ)
パウル・アルミン・エーデルマン(BR) & ベルナデッテ・バルトス(P)
Paul Armin Edelmann(BR) & Bernadette Bartos(P)

第1稿スケッチです。WoO 126と大きな違いはないように思えますが、第2節最後の後奏が途中で切れています。

●作品121b
0:00- 第1稿(ソプラノ、アルト、テノール独唱と四声合唱、クラリネット、ホルン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスのための)
7:27- 第2稿(ソプラノ独唱と四声合唱、管弦楽のための)

「symphony7526」さん投稿の動画。独唱歌曲の後で別編成の歌曲として作られた作品。楽譜を追いながら第1稿と第2稿を続けて聴ける至れり尽くせりの動画です。
演奏者の詳細や解説はこちら

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ヘルマン・プライ&ヘルムート・ドイチュ(Hermann Prey & Helmut Deutsch)/ブラームス『四つの厳粛な歌(Vier ernste Gesänge)』(1984年)他

ヘルマン・プライとヘルムート・ドイチュが、ブラームスの歌曲集『四つの厳粛な歌』とおそらくアンコールとしてドイツ民謡集から1曲を演奏した1984年の貴重なライヴ録音がアップされていました(場所は不明)。

HERMANN PREY: Brahms Four Serious Songs

動画投稿者:Jussi TT van Vick - 'The Opera Addict'

ブラームス/歌曲集『四つの厳粛な歌(Vier ernste Gesänge, Op. 121)』
0:00 人の子らの運命と動物の運命は同じであり(Denn es gehet dem Menschen)
4:57 私は再び太陽の下で行われるあらゆる虐げを見た(Ich wandte mich, und sahe an)
9:36 ああ死よ、お前を思い出すのはなんとつらいことか(O Tod, wie bitter bist du)
14:30 たとえ、人々の異言、天使たちの異言を語ろうとも(Wenn ich mit Menschen- und mit Engelszungen redete)

20:35 ブラームス/ぼくの娘はバラのように赤い口をしている(Mein Mädel hat einen Rosenmund)

録音:1984年、場所不詳

ヘルマン・プライ(Hermann Prey)(BR)
ヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch)(P)

当時55歳のプライの歌唱が楽しめます。噛みしめるように一語一語に思いをこめたプライの歌は、若かりし頃とは異なる重みがあって、聴いていて背筋の伸びる思いがします。
ドイチュも当時のプライのたっぷりとしたテンポに合わせるように、丁寧で硬質な響きを美しく奏でています。
アンコールのブラームス編曲によるドイツ民謡集ではシリアスな雰囲気から解放されて、プライ節全開ですね。
この短い1曲に彼の魅力が詰まっています。
プライは前へ前へ畳みかけるかと思えば、極上のピアニッシモを聞かせたりと、その押したり引いたりの駆け引きが素晴らしく(ドイチュも完全に一体になっていて素晴らしいです)、息が吹き込まれて曲が喜んでいるかのようです。
アンコールが終わった後の熱烈な拍手が会場の状況を伝えてくれていますね!

(参考文献)
Wikipedia:4つの厳粛な歌

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もう1つ、プライの動画がアップされていました。1968年12月14日放映のドイツのクイズ番組(1時間46分もの長時間番組!)の中で歌を披露するプライの映像を見ることが出来ます。
「勝つのは一人(Einer wird gewinnen)」というクイズ番組のようですが、ところどころに歌が挿入され、しかも収録会場で歌っているようです。
これまでプライの歌ったところだけを抜き出して動画サイトにアップされていましたが、こうして番組全体で見ると、どういう流れでプライが登場したのかが分かって興味深いです。
ルチア・ポップも登場してロッシーニの『セビリアの理髪師』のロジーナのアリアを歌っています(28:11)。とても若々しい美声でコロコロ声を転がし、容姿も美しいです。

Einer wird gewinnen (BRD 1968) Kulenkampff, R.Blanco, H.Prey

動画投稿者:Mario Thieme

1:30:05 司会者がプライを紹介する
1:30:37 トンマーゾ・ジョルダーニ(Tommaso Giordani)/カロ・ミオ・ベン(Caro mio ben)
1:34:08 エドゥアルト・エーベル(Eduard Ebel)/静かに雪が降る(Leise rieselt der Schnee)(プライ&ヴィーン少年合唱団)

1968年の映像ですが、映りがとても鮮明で時代を感じさせません。
若かりしプライの甘い美声が堪能できます!
たった7分間の演奏の為にプライにオファーするとは贅沢ですね。

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シューベルト「酒神賛歌(Dithyrambe, D 801)」を聴く

Dithyrambe, D 801(Op. 60 No. 2)
 酒神賛歌

Nimmer, das glaubt mir,
Erscheinen die Götter,
Nimmer allein.
Kaum daß ich Bacchus den lustigen habe,
Kommt auch schon Amor, der lächelnde Knabe,
Phöbus der Herrliche findet sich ein.
      Sie nahen, sie kommen
      Die Himmlischen alle,
      Mit Göttern erfüllt sich
      Die irdische Halle.
 私を信じなさい、決して
 神々は
 一人では現れないだろう。
 陽気なバッコスがいると思ったら
 微笑む子供アモル(*恋愛の神。ギリシャ神話のEros)もすでに来ていて、
 立派なポイボス(*Apolloの呼び名の一つ)も姿を現す。
  彼らは近づき、やって来る、
  天上の神々はみな。
  神々で
  この世の会堂はいっぱいになる。

Sagt, wie bewirth' ich,
Der Erdegeborne,
Himmlischen Chor?
Schenket mir euer unsterbliches Leben,
Götter! Was kann euch der Sterbliche geben?
Hebet zu eurem Olymp mich empor!
      Die Freude, sie wohnt nur
      In Jupiters Saale,
      O füllet mit Nektar,
      O reicht mir die Schale!
 教えてくれ、
 地上に生まれた私はいかにもてなせばよいのか、
 天の合唱団を?
 あなたがたの不死の生命を私に贈ってくれ、
 神々よ!死すべき者はあなたがたに何を与えられよう?
 オリンポス山に私を引き上げておくれ!
  喜び、それはただ
  ユピテル(*ギリシャ神話のZeusと同一視される)の広間に住む。
  おお、ネクタル(*不老長寿の美酒)で満たせ、
  おお、私に杯を手渡してくれ!

Reich ihm die Schale!
O schenke dem Dichter,
Hebe, nur ein, schenke nur ein!
Netz' ihm die Augen mit himmlischem Thaue,
Daß er den Styx, den verhaßten, nicht schaue,
Einer der Unsern sich dünke zu sein.
      Sie rauschet, sie perlet,
      Die himmlische Quelle,
      Der Busen wird ruhig,
      Das Auge wird helle.
 彼に杯を手渡してくれ!
 おお、その詩人に酒をついで、
 ヘーベ(*青春の美の女神)よ、さあついで、ついでおくれ。
 天上の露で彼の両目を濡らせ、
 忌むべきステュクス(*ギリシャ神話で「冥界の川」)を彼が見ることがないように、
 私たちのうちの一人だと思いこむように。
  さざめき、したたり落ちるのは
  天上の泉だ。
  胸は安らぎ、
  目は明るくなる。

詩:Friedrich von Schiller (1759 - 1805), "Dithyrambe", written 1796, first published 1797
曲:Franz Peter Schubert (1797 - 1828), "Dithyrambe", op. 60 (Zwei Lieder) no. 2, D 801 (1826), published 1826, first performed 1828

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タイトルのDithyrambe(ディテュランベ)というのは、グレアム・ジョンソンの解説によれば、紀元前7世紀のギリシャで生まれた酒の神ディオニュソス(ローマ神話のバッコス)への賛歌とのことです。詩の中に神様の名前が沢山出てきますね。

シューベルトはシラーのこのテキストに2回作曲しました。
1回目は1813年頃にテノール、バスと四部合唱、ピアノという編成の未完の作品(D 47)で、2回目が今回取り上げる1826年作曲・出版の独唱曲(D 801, Op. 60/2)です。

はじめてこの曲を聴いたのはF=ディースカウ&ムーアの全集の録音でしたが、聴いてすぐに魅了されたのを覚えています。
躍動的かつ情熱的で聴いていて楽しいです。祝祭的な華やかさに聴く者も興奮させられます。
歌声部がヘ音譜表で書かれている為、低声歌手によって歌われることが多いですが、高声歌手でも聴いてみたいものです(低いイ音(A)を出さなければなりませんが)。
なお、この曲の一番最後に弾かれるピアノ後奏ですが、初版は前奏と同じ形ですが、旧シューベルト全集では前奏よりも短く上昇していく形に変更されています(下記に引用した録音では、モル&ガルベンが旧シューベルト全集版で演奏しています)。どのタイミングで誰が変更したのか、おそらく新シューベルト全集の校訂記録を見れば何か載っているのではないかと思います。いつになるか分かりませんが、後日何か分かりましたら追記します。

6/8拍子
Geschwind und feurig (速く、燃えるように激しく)
イ長調(A-dur)

●詩の朗読(Susanna Proskura (speaker))

ソプラノ歌手ズザンナ・プロスクラが朗読しています。

●クルト・モル(BSBR), コルト・ガルベン(P)
Kurt Moll(BSBR), Cord Garben(P)

モルの深々としていながら重くなり過ぎない声がとても生きた歌唱だと思います。ガルベンのパリパリしたタッチがここで効果的だと思います。一番最後のピアノ後奏は旧シューベルト全集版で演奏されています。

●ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ジェラルド・ムーア(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Gerald Moore(P)

F=ディースカウの雄弁な語り口が素晴らしく、聴いていて体が自然に動いてしまうほどです。ムーアの安定した演奏も非常に魅力的です。

●ロベルト・ホル(BSBR), デイヴィッド・ラッツ(P)
Robert Holl(BSBR), David Lutz(P)

バスバリトンのホルの響きがこの歌によく合っているように思います。

●ジェラール・スゼー(BR), ドルトン・ボールドウィン(P)
Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P)

スゼーの気品のある歌唱がこの曲の新たな魅力を引き出しているように思います。スゼーのドイツリートは本当に魅力的で大好きです!ボールドウィンの弾むリズムが印象的です。

●クリスタ・ルートヴィヒ(MS), ジェラルド・ムーア(P)
Christa Ludwig(MS), Gerald Moore(P)

これまでお蔵入りのままで最近日の目を見た音源のようです。ルートヴィヒの強靭さも兼ね備えた歌唱はとても魅力的でした。

●自動ピアノの演奏(歌声部も含み、MIDI音源と思われます)

歌声部の正確な音程を知るのにうってつけだと思います。

他にエレナ・ゲルハルト(Elena Gerhardt)(MS) & ジェラルド・ムーア(Gerald Moore)(P)、ゲオルク・ハン(Georg Hann)(BS) & ミヒャエル・ラウハイゼン(Michael Raucheisen)(P)、ヴォルフガング・ホルツマイア(Wolfgang Holzmair)(BR) & ジェラール・ヴィス(Gérard Wyss)(P)、マルティン・ブルンス(Martin Bruns)(BR) & ウルリヒ・アイゼンローア(Ulrich Eisenlohr)(P)、トマス・メリオランザ(Thomas Meglioranza)(BR) & 内田怜子(Reiko Uchida)(P)、ティロ・ダールマン(Thilo Dahlmann)(BR) & チャールズ・スペンサー(Charles Spencer)(P)の録音を動画サイトで聴くことが出来ます。

ちなみにHyperionのシューベルト・エディションではブリギッテ・ファスベンダー(Brigitte Fassbaender)(MS)&グレアム・ジョンソン(Graham Johnson)(P)が録音しています。
https://www.hyperion-records.co.uk/dw.asp?dc=W2209_GBAJY9101118

未完の第1作(D 47)については、Hyperionの歌曲全集で補筆版が録音されており、下記リンク先で少しだけ試聴できます。
https://www.hyperion-records.co.uk/tw.asp?w=W1792

[参照]
The LiederNet Archive: Dithyrambe

Schubertlied.de

Wikipedia: ディテュランボス

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ベートーヴェン「自由な男(Der freie Mann, WoO. 117)」

Der freie Mann, WoO. 117
 自由な男

1:
Wer, wer ist ein freier Mann?
Der, dem nur eigner Wille
Und keines Zwingherrn Grille
Gesetze geben kann;
Der ist ein freier Mann!
Ein freier, freier Mann!
 誰が、誰が自由な男なのか?
 それは、自らの意志だけで、
 暴君の気まぐれではなく、
 法をつくることが出来る男。
 彼こそ自由な男!
 自由な男、自由な男だ!

2:
Wer, wer ist ein freier Mann?
Der das Gesetz verehret,
Nichts tut, was es verwehret,
Nichts will, als was er kann;
Der ist ein freier Mann!
Ein freier, freier Mann!
 誰が、誰が自由な男なのか?
 法を尊重し、
 禁じられたことは何もせず、
 出来ること以上を何も望まぬ男。
 彼こそ自由な男!
 自由な男、自由な男だ!

3(この節は出版譜に記載されていません):
Wer ist ein freier Mann?
Wem seinen hellen Glauben
Kein frecher Spötter rauben,
Kein Priester meistern kann;
Der ist ein freier Mann!
Ein freier, freier Mann!
 誰が、誰が自由な男なのか?
 その男の明晰な信念を
 奪える無遠慮な皮肉屋や、
 制御できる聖職者はいない。
 彼こそ自由な男!
 自由な男、自由な男だ!

4(この節は出版譜に記載されていません):
Wer, wer ist ein freier Mann?
Der selbst in einem Heiden
Den Menschen unterscheiden,
Die Tugend schätzen kann;
Der ist ein freier Mann!
Ein freier, freier Mann!
 誰が、誰が自由な男なのか?
 その男は異教徒の中でさえ
 人を見分け、
 徳を重んじることが出来る。
 彼こそ自由な男!
 自由な男、自由な男だ!

5(3):
Wer, wer ist ein freier Mann?
Dem nicht Geburt noch Titel,
Nicht Samtrock oder Kittel
Den Bruder bergen kann;
Der ist ein freier Mann!
Ein freier, freier Mann!
 誰が、誰が自由な男なのか?
 その男にとって、家柄でも肩書でも
 ビロードのスカートでも上っ張りでもない、
 同胞を救えるのは!
 彼こそ自由な男!
 自由な男、自由な男だ!

6(この節は出版譜に記載されていません):
Wer, wer ist ein freier Mann?
Wem kein gekrönter Würger
Mehr, als der Namen Bürger
Ihm wert ist, geben kann;
Der ist ein freier Mann!
Ein freier, freier Mann!
 誰が、誰が自由な男なのか?
 絞殺する王様という名前ではない、
 男は市民という名に
 ふさわしいが、その男に より与え得る名前は。
 彼こそ自由な男!
 自由な男、自由な男だ!

7(4):
Wer, wer ist ein freier Mann?
Der, in sich selbst verschlossen,
Der feilen Gunst der Großen
Und Kleinen trotzen kann;
Der ist ein freier Mann!
Ein freier, freier Mann!
 誰が、誰が自由な男なのか?
 その男は、自らの中に閉じこもり、
 大人や子供の金で買える好意に
 抗うことが出来る。
 彼こそ自由な男!
 自由な男、自由な男だ!

8(5):
Wer, wer ist ein freier Mann?
Der, fest auf seinem Stande,
Auch selbst vom Vaterlande
Den Undank dulden kann;
Der ist ein freier Mann!
Ein freier, freier Mann!
 誰が、誰が自由な男なのか?
 その男は、確固たる立場で、
 祖国からの
 忘恩さえも耐えられる。
 彼こそ自由な男!
 自由な男、自由な男だ!

9(6):
Wer, wer ist ein freier Mann?
Der, muß er Gut und Leben
Gleich für die Freiheit geben,
Doch nichts verlieren kann;
Der ist ein freier Mann!
Ein freier, freier Mann!
 誰が、誰が自由な男なのか?
 その男は、財産や人生を
 すぐに、自由を得る代わりに与えなければならないが、
 何ひとつ失うことは出来ない。
 彼こそ自由な男!
 自由な男、自由な男だ!

10(7):
Wer, wer ist ein freier Mann?
Der bei des Todes Rufe
Keck auf des Grabes Stufe
Und rückwärts blicken kann;
Der ist ein freier Mann!
Ein freier, freier Mann!
 誰が、誰が自由な男なのか?
 それは、死に呼ばれた時、
 向こう見ずにも墓の段の上で
 後ろを振り返って見ることが出来る男。
 彼こそ自由な男!
 自由な男、自由な男だ!

詩:Gottlieb Konrad Pfeffel (1736-1809)
曲:Ludwig van Beethoven (1770-1827)

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ゴットリープ・コンラート・プフェッフェルは、後に14歳のシューベルトが書いた「父を殺した男(Der Vatermörder, D 10)」という物騒な歌曲の詩人でもあります。

ベートーヴェンはまず第1稿(Hess 146)を1792年にボンで作曲し、その後、1794年終わりから1795年始めにヴィーンで改訂して第2稿(WoO. 117)となりました。初出版は1808年で、作品番号はないもののSimrock社から「ドイツ歌曲集(Deutsche Lieder)」として「新しい愛、新しい生命(Neue Liebe neues Leben, WoO 127)」「奉献歌(Opferlied, WoO 126)」と一緒に出版されました。

出版譜には上記の第1,2,5,7,8,9,10節が記されており、第3,4,6節は省略されています。

この曲は独唱と斉唱の歌う場所がベートーヴェンによって指定されており、例えば第1節を例にとると、下の歌詞の1行目と7~8行目が斉唱(Chor)、それ以外が独唱(Eine Stimme)で歌われます。

Wer[, wer] ist ein freier Mann?
Der, dem nur eigner Wille
Und keines Zwingherrn Grille
Gesetze geben kann;
Der ist ein freier Mann!
[Ein freier, freier Mann!]
[Der ist ein freier Mann!]
[Ein freier, freier Mann!]

※[]内はベートーヴェンによる繰り返し箇所

思想的な集会でスピーチする人と賛同者が掛け合う様を描いているのでしょうか。そのわりにはのどかな雰囲気もあって、酒場の歌と錯覚しそうです。
ピアノ後奏の弱拍にsfがついているのは、弱者の抵抗の意味合いが込められているのかもしれませんね。

2/2拍子
ハ長調(C-dur)
Moderato(中庸に)

●ヘルマン・プライ(BR) & ハインリヒ・シュッツ・クライス・ベルリン & レナード・ホカンソン(P)
Hermann Prey(BR) & Heinrich Schütz-Kreis Berlín & Leonard Hokanson(P)

第1,7,9節。プライの独唱と合唱団との掛け合いが楽しいです。実際に集会で歌っているかのような雰囲気がいいですね。

●ペーター・シュライアー(T) & ヴァルター・オルベルツ(P)
Peter Schreier(T) & Walter Olbertz(P)

第1,2,9節。シュライアーが斉唱パートも一人で歌っています。こういう歌も全く違和感なく聴かせるシュライアーはやはり凄いです!

●ヴァンサン・リエーヴル=ピカール(T) & ジョン・バーナード(T) & ジャン=フランソワ・ルッション(BR) & ジャン=ピエール・アルマンゴー(P)
Vincent Lièvre-Picard(T) & John Bernard(T) & Jean-François Rouchon(BR) & Jean-Pierre Armengaud(P)

第1,7,9節。ややゆっくり目のテンポで慎重に演奏されています。

●コンスタンティン・グラーフ・フォン・ヴァルダードルフ(BR) & ヴィーン・グスタフ・マーラー合唱団 & クリスティン・オーカーランド(P)
Constantin Graf von Walderdorff(BR) & Gustav Mahler Chor Wien & Kristin Okerlund(P)

第1-10節。プフェッフェルの原詩を全部歌っています。

●第1稿(Hess 146: 1792年作曲)
コンスタンティン・グラーフ・フォン・ヴァルダードルフ(BR) & ヴィーン・グスタフ・マーラー合唱団 & クリスティン・オーカーランド(P)
Constantin Graf von Walderdorff(BR) & Gustav Mahler Chor Wien & Kristin Okerlund(P)

第1-10節。第1稿は楽譜で確認は出来ていないのですが、第2稿との顕著な違いはピアノ後奏でしょう。

●第1稿(Hess 146: 1792年作曲)
タベア・ゲルストグラッサー(S), シュテファン・タウバー(T), カントゥス・ノヴス・ヴィーン, ディアナ・フックス(P), トーマス・ホルメス(C)
Tabea Gerstgrasser(S), Stefan Tauber(T), Cantus Novus Wien, Diána Fuchs(P), Thomas Holmes(C)

第1節。2019年1月20日Wien録音。こちらも第1稿です。素朴な演奏でした。

●ピアノパートのみ(Marco Santià: piano)

7回演奏されています!

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