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ヴォルフ/祈り(Gebet)

Gebet
 祈り

Herr, schicke was du willt,
Ein Liebes oder Leides;
Ich bin vergnügt, daß beides
Aus Deinen Händen quillt.
 主よ、お望みのままに、
 好ましいことでも残念なことでもお与えください。
 私は満足です、どちらでも
 あなたの御手から注がれるものでしたら。

Wollest mit Freuden
Und wollest mit Leiden
Mich nicht überschütten!
Doch in der Mitten,
Liegt holdes Bescheiden.
 喜びでも
 悲しみでも
 ありあまるほどは下さいませんように!
 ほどほどの中にこそ
 快い慎ましさがあるのです。

詩:Eduard Mörike (1804-1875)
曲:Hugo Wolf (1860-1903) 

●Hermann Prey(BR) & Gerald Moore(P)

ヴォルフの『メーリケ詩集』より第28曲。
喜びでも悲しみでも受け取れないほど多くはお与え下さいませんようにと主に祈る歌です。

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コメント

フランツさん、こんにちは。

この歌曲、メロディも詩もいいですよね。真摯な祈りが胸に染みます。私自身の祈りでもあります。

若き日のプライさんの真っ直ぐな歌が心に響きます。
酒宴のうたと全く違う表情を、ここでは見せてくれますね。

ちなみに、旧約聖書の「箴言(しんげん)」30章8節に「貧しくも無き、また富もせず、ただなくてはならない食物で私を養ってください」と言う一節があります。

ほどほどの中にこそ
 快い慎ましさがあるのです。
と言う詞をみて、この聖句を思い起こしました。
ほどほどの中にこそ、、
いいことばですよね。フランツさんの訳でしょうか。

投稿: 真子 | 2021年1月24日 (日曜日) 13時12分

真子さん、こんばんは。

真子さんもこの曲と詩を気に入ってくださっているのですね(^^)
メーリケの詩はビーダーマイアー(小市民)の特徴をしばしば指摘されています。庶民の気持ちを韻律にのせて表現しているのだと思います。一方ヴォルフは対照的に鋭利な刃物のような切れ味を持っていますが、この「祈り」での厳かで美しい旋律と、天から降ってくるようなピアノの響きは両者の天才が結びついた結果だと思います。

プライはこういう真摯な表現がまたいいですよね。

旧約聖書の「貧しくも無き、また富もせず、ただなくてはならない食物で私を養ってください」という文言のご紹介を有難うございます。
メーリケの言っている内容と近いように感じました。

>ほどほどの中にこそ、、
>いいことばですよね。フランツさんの訳でしょうか。

有難うございます。拙訳です。"in der Mitte"は直訳すると「中庸の中に」なので、極端さを好まないビーダーマイアー期の作家らしい内容だと思います。

投稿: フランツ | 2021年1月24日 (日曜日) 20時30分

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