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ベートーヴェン「酒宴の歌(Trinklied, WoO. 109)」

Trinklied (beim Abschied zu singen), WoO. 109
 (別れに際して歌う)酒宴の歌

Erhebt das Glas mit froher Hand
und trinkt euch heitren Mut.
Wenn schon, den Freundschaft euch verband,
nun das Geschicke trennt,
so heitert dennoch euren Schmerz
und kränket nicht des Freundes Herz.
 陽気な手でグラスを掲げて
 飲んで上機嫌になろうじゃないか。
 すでに結んだ友情を
 いまや運命が切り離しても
 苦しみを明るさに変え
 友の心を病ますことはない。

Nur trinkt, erhebt den Becher hoch,
ihr Bruder, hoch
und singt nach treuer Freunde weisem Brauch
und singt das frohe Lied.
Uns trennt das Schicksal, doch es bricht
die Freundschaft treuer Herzen nicht.
 さあ飲め、杯を高く掲げろ、
 きみたち兄弟よ、高く、
 そして誠実な友人の思慮深いしきたりに従って歌え、
 そして陽気な歌を歌え、
 われらを運命が引き裂くが
 変わらぬ心の友情を壊すことはない。

詩:Anonymous
曲:Ludwig van Beethoven (1770 - 1827)

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独唱と斉唱とピアノの為の歌曲。1792年頃(ベートーヴェン22歳頃)の作曲。
作者不詳の2節からなる詩にA-A'の変形有節形式で作曲されましたが、2節目がはじまる楽譜の上に"5. Strophe(第5節)"と書かれている為、2~4節があったのかもしれません。
もしかしたらテキストはベートーヴェン自身の作で、2~4節は後で書こうとしたのかもしれません(根拠のない妄想ですが...)。文献にあたれば何か分かるかもしれません。誰の別れに際しての歌なのかも分かるといいのですが...。
斉唱は各節最後の2行を独唱に続いて繰り返します。いかにも酒場の歌という感じですね。

2/2拍子
ハ長調
Allegretto

●ヘルマン・プライ(BR) & ベルリン・ハインリヒ・シュッツ・クライス & レナード・ホカンソン(P)
Hermann Prey(BR) & Heinrich Schütz-Kreis Berlin & Leonard Hokanson(P)

このタイプの歌を歌ったらプライは最強ですね(^^)

●ペーター・シュライアー(T) & ヴァルター・オルベルツ(P)
Peter Schreier(T) & Wlater Olbertz(P)

映像に楽譜が表示されます。斉唱のパートもシュライアーが一人で歌っています。シュライアーが歌うと酒の歌も爽やかさを増しますね。

●コンスタンティン・グラーフ・フォン・ヴァルダードルフ(BSBR) & ヴィーン・グスタフ・マーラー合唱団 & クリスティン・オーカーランド(P)
Constantin Graf von Walderdorff(BSBR) & Gustav Mahler Chor Wien & Kristin Okerlund(P)

ヴァルダードルフは穏やかで朴訥な雰囲気の歌唱です。

●Consuelo Gallardo(solo) & Canto Lírico & Gerard Ramos(P)

おそらくリモートで合わせた映像なのでしょう。楽しい雰囲気が伝わってきます。

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コメント

フランツさん、こんばんは。

プライさんはこういう歌を実に自然体に楽しそうに歌いますよね。
血肉になっているのがよくわかります。ウキウキしながら歌っている表情まで目に浮かびますよね(*^^*) 涙はなく、陽気に別れるお酒の場でしょうか。また会える希望があるのかもしれません。

シュライヤーの声、歌いぶりは爽やかですね。屈託なく飲んで別れて行くのでしょうか。

ヴァルダードルフのは、確かに穏やかですね。
穏やかにお酒を飲むのもいいですね。私は飲めないので、こういうお酒の席ならいいなあと思います。

リモートと言うことは、最近の
映像でしょうか。ソプラノの気負わない歌声も美しいですね。
何かが起きても、人はこうやってつながって行くのですね。素敵な映像でした(*^▽^)/★*☆♪

投稿: 真子 | 2021年1月23日 (土曜日) 18時36分

真子さん、こんばんは。
今回もコメントいただきまして有難うございます。

もうこういう曲はプライの独壇場ですね(^^)
声の厚み、滲み出る温かみ、酒場で「飲もう」と音頭をとる人の特性をすべて兼ね備えているように思います!

この曲、ベートーヴェン研究の大家平野昭さんによると「1792年11月にウィーンに出発する前にボンの友人たちや宮廷楽士たちと歌ったのかもしれない」とのことで、ベートーヴェン自身がボンを離れる前に歌をつくって送別会で披露した可能性もあるようです。曲は明るいですが、詩の作者がもしベートーヴェン自身だとしたら、やはり別れの寂しさも感じられます。
https://ontomo-mag.com/article/playlist/oyasumi033-20200117/

シュライアーは冷静にお別れしそうな歌い方ですね。

ヴァルダードルフの穏やかな歌い方はしっぽりと飲む感じでしょうか。

最後のリモート映像は昨年の12/17に公開されていますので、合唱団のメンバーがみな在宅で撮影して映像を編集したのだと思います。ソプラノの方の自然な発声が美しいですね!

>何かが起きても、人はこうやってつながって行くのですね。
本当にそうですね。昨年はじめからコンサートが軒並み中止された中でこのようなリモートのコンサートや映像配信が沢山行われ、私も楽しませていただきました。
こうして困難を乗り越えて新たな方法を生み出していくのは素晴らしいことだと思いました。

投稿: フランツ | 2021年1月23日 (土曜日) 21時26分

フランツさん、こんにちは。

素敵な記事案内をありがとうございます。
確かに歌詞を含め、ベートーベン自身の別れの時に作られたとしたら、一抹の寂しさも感じますよね。
敢えて涙は隠したのだとしたら、ちょっとぐっと来ますね。

私はめまいが出るからお酒は飲めないけど、明るく楽しい席なら好きです。もし、プライさんが同じ席にいたら、飲めなくても楽しめるように、心を砕いてくださっただろうなあ、なんて妄想しました 笑

投稿: 真子 | 2021年1月24日 (日曜日) 12時45分

真子さん、こんばんは。

>敢えて涙は隠したのだとしたら、ちょっとぐっと来ますね。

まさに私もそう思っていました。
顔で笑って心で泣いてという状況かなと思います。

真子さんは飲まないのですね。
私も軽く飲むぐらいです。
お酒が飲めない方もあの場が好きという方はいらっしゃいますよね。
今は飲み屋さんにいろんなソフトドリンクもありますし、それぞれの好きな飲み物で場を楽しめるのがいいですよね(^^)

プライはお酒の場でさりげなく気を遣ってくれそうですね。
真子さんにもきっと優しく声をかけるのではないでしょうか。

投稿: フランツ | 2021年1月24日 (日曜日) 20時27分

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