シューベルトの誕生日に寄せて「ダンス(Der Tanz, D 826)」
Der Tanz, D 826
ダンス
Es redet und träumet die Jugend so viel,
Von Tanzen, Galoppen, Gelagen,
Auf einmal erreicht sie ein trügliches Ziel,
Da hört man sie seufzen und klagen.
Bald schmerzet der Hals, und bald schmerzet die Brust,
Verschwunden ist alle die himmlische Lust,
"Nur diesmal noch kehr' mir Gesundheit zurück!"
So flehet vom Himmel der hoffende Blick!
若者たちは多く語ったり夢見たりするものだ、
ダンスやギャロップや酒盛りを。
突然目標を達成したかのように錯覚したかと思えば
溜息をついたり嘆いたりするのが聞こえる。
首を痛めるかと思えば胸を痛め、
天上の喜びはみな消え去った。
「今度だけは健康が私に戻ってきますように!」
このように天に希望の眼差しで懇願する!
Jüngst wähnt' auch ein Fräulein mit trübem Gefühl,
Schon hätte ihr Stündlein geschlagen.
Doch stand noch das Rädchen der Parze nicht still,
Nun schöner die Freuden ihr tagen
Drum Freunde, erhebet den frohen Gesang,
Es lebe die teure Irene noch lang!
Sie denke zwar oft an das falsche Geschick,
Doch trübe sich nimmer ihr heiterer Blick.
最近気分が塞いだ女性に
すでに最期の時が到来したのかと思い込んでいた。
だが、運命の女神パルカの歯車は止まっていなかった、
より素晴らしい喜びが彼女を照らした、
だから友人たちよ、陽気な歌を歌おう、
いとしいイレーネが長生きしますように!
彼女は確かにしばしば誤った運命を考えてしまうが
彼女の明るい眼差しが決して曇りませんように。
詩:Karl Kolumban Schnitzer von Meerau (1795-1854)
曲:Franz Peter Schubert (1797-1828)
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今日はシューベルトの誕生日です!短いけれど印象的な「ダンス」という作品をご紹介したいと思います。
シューベルトの最期の年1828年に作曲されたソプラノ、アルト、テノール、バス、ピアノの編成による歌曲。重唱でも合唱でも演奏可能です。
Breitkopf & Härtel版のシューベルト全集の楽譜では歌詞が1節しか掲載されていませんので、1節のみ歌ったり、1節を2回繰り返す録音もありましたが、最近は2節まで歌う録音も出てきました。(新シューベルト全集の楽譜に第2節が掲載されているのかもしれませんね。こちらは未確認です。)
6/8拍子
ハ長調 (C-dur)
Allegro giusto
●エリー・アーメリング(S), ジャネット・ベイカー(MS), ペーター・シュライアー(T), ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR), ジェラルド・ムーア(P)
Elly Ameling(S), Janet Baker(MS), Peter Schreier(T), Dietrich Fischer-Dieskau(BR), Gerald Moore(P)
1972年録音。第1節のみ。この豪華な顔ぶれ!生き生きとした演奏!この録音(Deutsche Grammophon)の存在を初めて知った時に狂喜したことを今でも覚えています。シューベルティアン5人の贅沢な録音です。
●ジビュラ・ルベンス(S), インゲボルク・ダンツ(A), マルクス・ウルマン(T), マルクス・シュミードル(BS), ウルリヒ・アイゼンローア(P)
Sibylla Rubens(S), Ingeborg Danz(A), Marcus Ullmann(T), Marcus Schmidl(BS), Ulrich Eisenlohr(P)
全2節。2008年8月録音。NAXOSシューベルト歌曲全集の32巻収録。第2節の歌が終わった後に再度前奏を繰り返して終わっています。丁寧かつ新鮮で良かったです。
●ヨハネッテ・ゾーマー(S), エヒディユス四重唱団, アルテュール・スホーンデルヴルト(Fortepiano)
Johannette Zomer(S), Egidius Kwartet, Arthur Schoonderwoerd(Fortepiano)
全2節。フォルテピアノの味のある音色と、見事に溶け合った四重唱が非常に美しいです。
●アクサンテュス, エドゥアール・ギャルサン(P), ロランス・エキルベ(C)
Accentus, Edouard Garcin(P), Laurence Equilbey(C)
全2節。混声合唱団による演奏。1節と2節の間に間奏を入れないで演奏しています。合唱だとより奥行きが出ますね。とてもいいです。
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