2020年に聴いたコンサート(江崎皓介ピアノリサイタル、高橋健介 Kotoba to Oto Vol. 1)
2020年は某騒動のせいで軒並みイベントは中止や延期に追い込まれてしまいましたが、そんな中実施まで漕ぎつけたコンサートもありました。
アーティストやスタッフの方々は想像できないほどのご苦労があったことと思います。
歌劇『ヴォルフ イタリア歌曲集』の公演についてはすでに投稿しました。
他に2つ素晴らしいコンサートを10月に聴いてきました。
実は最近ツイッターのアカウントを作り、そちらには感想を投稿していたのですが、やはりブログの方が私には向いていることが分かり、今後はツイッターのアカウントは情報収集用に残し、発信はこちらのブログで続けていこうと思います。
●江崎皓介(えざきこうすけ)ピアノリサイタル
http://www.piano.or.jp/concert/20084290
2020.10.10(土)15:00-16:30 カワイ川口リリアサロン
江崎皓介(えざきこうすけ)(ピアノ)
シューマン:ダヴィット同盟舞曲集Op. 6
(休憩15分)
ショパン:幻想曲Op. 49
ベートーヴェン:ピアノソナタ第21番「ワルトシュタイン」Op. 53
アンコール:
ドビュッシー:アラベスク第1番
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江崎皓介ピアノリサイタルを聴いてきました。いやぁ良かったです!
今年初の生音。動画も素晴らしいけれど、目の前で奏でられる音を全身に浴びる感覚!
やはりピアニストって凄いと改めて思いました!
シューマン、ショパン、ベートーヴェンと大作ばかりで聴き応えありました。
川口リリアに行く時はいつも音楽ホールの公演ばかりで、カワイのお店の奥にこんなサロン風のスペースがあるとは知りませんでした。
江崎さんの4人の作曲家(アンコールも含めて)の弾き分けが素晴らしく、タッチの変幻自在さに聞き入りました!
「ワルトシュタイン」はグリッサンドよりもオクターブの連続下行の方が指への負担は別にして難しそうな気がしますが、江崎さんのテクニックの素晴らしさもあって安心して身を委ねて聴けました。
それにしても年々シューマンが好きになっていく私です。
「ダヴィット同盟」最高ですね!
●高橋健介/Kotoba to Oto Vol. 1
https://kensuketakahashi-blog.com/kotoba-to-oto-vol-1-3/commentary/
2020.10.11(日)13:30-15:20 紀尾井町サロンホール
高橋健介(ピアノ)
水野沙六花(ピアノ)
澤原行正(テノール)
榎本郁(ヴァイオリン)
シューマン:《詩人の恋》 作品48 (澤原、高橋)
(休憩)
バーンスタイン :《キャンディード》 序曲 (水野、高橋)
サラサーテ:序奏とタランテラ 作品43 (榎本、高橋)
ドヴォルザーク:《スラヴ舞曲集》より 作品72-2 、作品46-5 (水野、高橋)
クライスラー:ドヴォルザークの主題によるスラヴ幻想曲 (榎本、高橋)
ブラームス(ハイフェッツ編):メロディのように 作品105-1 (榎本、高橋)
バッハ(高橋編):《神の時こそいと良き時》BWV106より第1曲〈ソナティナータ〉 (水野、高橋)
バッハ(高橋編):《楽しき狩こそわが悦び》BWV208より第9曲 アリア〈羊は安らかに草を食み〉 (水野、高橋)
クライスラー:愛の悲しみ (榎本、高橋)
モンティ:チャールダーシュ (榎本、高橋)
アンコール:
ラフマニノフ:ここは素晴らしい場所Op. 21/7 (高橋独奏)
グノー(バッハ原曲):アヴェ・マリア (4人全員)
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高橋健介さんが企画されたコンサートを聴いてきました。
「演奏(歌手やヴァイオリニストとの共演、ピアニストとの連弾、ソロ)、編曲、トーク、企画、プログラムの記述」等を一人でこなされたマルチな才能をまざまざと感じた時間でした。
共演者は皆高橋さんと関わりの深い方ばかりで、特に後半はトークも加わりなごやかな空気でした。もちろん演奏は真剣そのものでした。
水野沙六花さん(ピアノ):高橋さん同様歌ものの演奏が多いとのこと。明瞭なタッチで、見ていて楽しくなるような演奏でした!高橋さんとの息もさすがにぴったり!今回の連弾ではすべて水野さんがプリモ(高音パート)でした。
澤原行正さん(テノール):高橋さんと大学の同級生とのこと。美声でした!絵に書いたような貴公子然としたオーラを放っていて『詩人の恋』の主人公の苦悩を第三者ではなくまさに一人称の歌として表現していました。”mein Sehnen und Verlangen(ぼくの憧れと望み)”に満ちた歌だったと感じました。
榎本郁さん(ヴァイオリン):高橋さんの高校の同級生で、当時から音楽の話をしていたそう。学生時代の仲間とプロとして同じステージに立つというのは感慨深いことだろうなぁと想像します。テクニックが凄かったです!でも歌の編曲等での美しいフレーズにこそ榎本さんの良さがあると感じました。
高橋健介さん(ピアノ):かつてジェラルド・ムーアは文筆活動や講演、録音等を通して伴奏者の仕事や心構え等を幅広くシェアしましたが、高橋さんは現代のツール(SNSや名をなした人の著書等)を活用して、演奏家、聴衆の両者に惜しみなくノウハウをシェアしています。
その多方面の才能が今回のコンサートに結実したと言えるのではないでしょうか。
今回のKotoba to Oto というタイトルに込められた由来等も話されましたが、様々なツールを一つのコンサートに集約するというアイディアは新しいと思います!
そして高橋さんの演奏ですが、とても丁寧で細やかでした!
今回サポートチケットを購入した人には特典映像のURLが送られてくるのですが、『詩人の恋』の某曲を澤原さんとリハーサルしているシーンで、二人が試行錯誤している場面がありました。完成途上の段階の演奏をシェアするというのは勇気のいることだと思いますが、今回の本番で見事に完成していました。
今日『詩人の恋』を聴いていて感じたのですが、高橋さんの演奏は常にコントロールが行き届いていながら、血が通った表現でした。そしてそれはかつて実演で聴いた小林道夫さん(高橋さんの師)から感じたものを思い出させるものでした。
最後にもう1点。
今回高橋さんは譜めくりを自分でしたのですが、めくり方やタイミングが素晴らしかったです!
外来の有名なピアニストでも静かな余韻の中派手な音を立てて譜めくりする場面をこれまで何度も見てきましたが、高橋さんは必要なら次の曲で歌い始めてからめくったりもしていました。
Bravi!!!
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コメント
フランツさん、こんばんは。
今年もあと、三時間ほどになりましたね。
コンサートが軒並み中止になる中で、生演奏を聞かれる機会が持てたこと、よかったですね。
やはり、生演奏はいいですよね。
来年は、いい年になるといいですね。そして、生演奏もたくさん聞きに行けるといいですね♪
投稿: 真子 | 2020年12月31日 (木曜日) 21時20分
フランツさん、こんばんは。
今年もあと、三時間ほどになりましたね。
コンサートが軒並み中止になる中で、生演奏を聞かれる機会が持てたこと、よかったですね。
やはり、生演奏はいいですよね。
来年は、いい年になるといいですね。そして、生演奏もたくさん聞きに行けるといいですね♪
投稿: 真子 | 2020年12月31日 (木曜日) 21時20分
真子さん、こんばんは。
いよいよ今年も残り僅かになりましたね。
今年は縁あって生演奏に3回行くことが出来ました。いずれも大満足のコンサートでした(^^)やはり生演奏はいいなぁと思いました。
本当にそうですよね。来年がよい年になることを祈るのみです。
今年も真子さんには沢山コメントをいただき、本当に有難うございました。記事を投稿するうえで大きな支えとなっていました!
どうぞよいお年をお迎えくださいね!
投稿: フランツ | 2020年12月31日 (木曜日) 22時38分