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シューベルト/私の父の墓で(Bei dem Grabe meines Vaters, D 496)

Bei dem Grabe meines Vaters, D 496
 私の父の墓で

Friede sei um diesen Grabstein hier!
Sanfter Friede Gottes! Ach, sie haben
Einen guten Mann begraben,
Und mir war er mehr;
 ここにあるこの墓石のあたりが平安でありますように!
 神の穏やかな平安を!ああ、
 ある善人が埋葬されたのです、
 そして私にとって彼は善人という以上でした。

Träufte mir von Segen, dieser Mann,
Wie ein Stern aus bessern Welten!
Und ich kann's ihm nicht vergelten,
Was er mir getan.
 私に祝福を注いでくれたのです、この男性は、
 より良き世界の星のように。
 そして私は彼に報いることは出来ないのです、
 彼が私にしてくれたことに対して。

Er entschlief; sie gruben ihn hier ein.
Leiser, süßer Trost, von Gott,
Und ein Ahnden von dem ew'gen Leben
Düft' um sein Gebein!
 彼は永眠しています、彼はここに埋められたのです。
 神からのかすかな、甘い慰めがありますように、
 そして永遠の生命の予感が
 彼の体を香りで満たしています!

Bis ihn Jesus Christus, groß und hehr!
Freundlich wird erwecken - ach, sie haben
Ihn [Einen guten Mann]* begraben,
Und mir war er mehr.
 彼を、偉大で崇高なイエス・キリストが
 親切にも目覚めさせる日まで。ああ、
 彼[ある善人]が埋葬されたのです、
 そして私にとって彼は善人という以上でした。

詩:Matthias Claudius (1740-1815)
曲:Franz Peter Schubert (1797-1828)

* in the first and third repetition: "ihn"
  in the second: "Einen guten Mann"

ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR) & ジェラルド・ムーア(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR) & Gerald Moore(P)

シビラ・ルーベンス(S) & ウルリヒ・アイゼンローア(P)
Sibylla Rubens(S) & Ulrich Eisenlohr(P)

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ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau)と共演したピアニストたち

リートの巨匠ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau: 1925年5月28日, Berlin - 2012年5月18日, Berg)がインタビューなどで共演したピアニストの数を尋ねられた時、大体100人から150人と答えていたように記憶しています。
彼はスタジオ録音に限ってもかなりの数のピアニストたちと共演しています。
例えば、ヘルタ・クルスト、ギュンター・ヴァイセンボルン、ジェラルド・ムーア、イェルク・デームス、カール・エンゲル、アリベルト・ライマン、ハルトムート・ヘルなどが挙げられるでしょう。
一方、音楽ジャーナリストたちはF=ディースカウが独奏者として名高いピアニスト、あるいはピアノがうまい指揮者と共演したことをとりわけ重視しているように感じられます。
ダニエル・バレンボイム、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、スヴャトスラフ・リヒテル、クリストフ・エッシェンバッハ、アルフレート・ブレンデル、レナード・バーンスタインら一流の音楽家たちがF=ディースカウと組んだ録音は音楽評論家たちから激賞されています。
もう一つ気づくのは、これほど多くのピアニストたちと共演しているにもかかわらず、同時代に歌曲演奏で活躍したピアニスト、例えばジェフリー・パーソンズ、ドルトン・ボールドウィン、コンラート・リヒター、ルドルフ・ドゥンケルらとの共演記録が見当たらないことです。
いろいろな事情があるのだとは思いますが、ヘルマン・プライとしばしば共演していたヘルムート・ドイチュによると、ドイチュがF=ディースカウのカセットテープを持っていることを知ったプライファンの人にそのことを責められたとのことです。
ドイチュは、プライ自身F=ディースカウの録音を聴いていることをそのファンの人は知らないのだろうと述懐しています。
意識するしないにかかわらずある種の縄張りのようなものがあって、他の歌手と結びつきの強いピアニストとの共演は遠慮するということはあるのではないかと想像します。
パーソンズがシュヴァルツコプフ、F=ディースカウと3人で談笑している写真が残っていますが、それでもシュヴァルツコプフのほぼ専属的な立場にいたパーソンズと共演することはあえて避けたのではないかと推測します。

Monika Wolfという人がF=ディースカウ&ヴァラディ夫妻のサイトを立ち上げていて、その中にF=ディースカウのコンサート記録も含まれています。
http://mwolf.de/kalendarium/index.htm
1947年から亡くなる2012年まで記録がつけられています。
F=ディースカウ自身が出演記録をつけていたということも大きいと思いますが、その記録にプログラムなども紐づけられていて、とても貴重な記録となっています。
そこに共演者の名前も記載されていましたので、ピアニストと判断できる人をピックアップして、エクセルにまとめました。
そのエクセルファイルをPDF化したものをこちらで公開したいと思います。

ダウンロード - dietrich20fischerdieskaus20pianists.pdf

コンサート記録に掲載されていたピアニストとチェンバリストの名前とコンサートの日付と場所をまとめてあります。
さらにコンサート記録には出てこなくて録音(スタジオ録音、放送録音、共演したがお蔵入りの録音)でのみ共演した(と思われる)ピアニストはコンサート共演リストの下に録音データをまとめてあります(コンサートで共演しているピアニストについては録音データを記載していません)。
1992年12月31日をもって歌手活動から引退したF=ディースカウですが、その後も歌手以外の活動に精力的に取り組んでいます。
メロドラマ(朗読とピアノの組み合わせ)の朗読、作曲家や作家の手紙などの朗読、ピアニストとしての演奏(主に連弾)、あるいは指揮者として、マスタークラスの指導者としても活動しています。
歌手活動をしている時にあまり時間をさけなかった活動に夢中で取り組んでいるようで、本当に音楽家として生涯を全うしたことに敬意を感じます。
メロドラマでは特にR.シュトラウスの「イノック・アーデン」とウルマンの「旗手クリストフ・リルケの愛と死の歌」がお気に入りだったようで、歌手時代には共演しなかった若いピアニストたちともしばしば共演しています。
そのような朗読者として共演したピアニストもリストに含まれていますが、その場合は「D.F-D is narrator.」と記してありますので、分かると思います。

朗読者時代のピアニストを含めてもF=ディースカウが述べた100人という人数には及びませんでした。
Monika Wolfのコンサート記録にはピアニストの名前が書かれていない場合もあるので、おそらく他にも共演したピアニストはいるのだろうと思います。

ピアニストの国籍を見ていくとF=ディースカウはお気に入りのピアニストを演奏旅行に連れていく場合と、現地のピアニストと共演する場合の両方がありました。
アメリカ旅行ではポール・ウラノウスキー、イタリア旅行ではジョルジョ・ファヴァレット、そして我が日本でも小林道夫との共演記録があります(小林さんとのシューマン歌曲集はCD化されています)。

コンサートの回数でいくと、意外かもしれませんが、ギュンター・ヴァイセンボルンとの共演がデームスやムーア、ヘルを大きく引き離して最も多かったです。
ドイツ国内の各地を演奏旅行する時はヴァイセンボルンと共演することが多いようです。

いろいろ想像がふくらむ共演者リストになっておりますので、よろしければご覧ください。

ちなみに名前だけは下に列記しておきます(詳細はPDFをご覧ください)。

※参考文献:Dietrich Fischer-Dieskau: Verzeichnis der Tonaufnahmen

Gerhard Albersheim
ゲアハルト・アルバースハイム

Hans Altmann
ハンス・アルトマン (放送録音のみ)

Vladimir Ashkenazy
ヴラディーミル・アシュケナージ

Daniel Barenboim
ダニエル・バレンボイム

Leonard Bernstein
レナード・バーンスタイン

Klaus Billing
クラウス・ビリング

Otto Braun
オットー・ブラウン

Alfred Brendel
アルフレート・ブレンデル

Benjamin Britten
ベンジャミン・ブリテン

Gerhard Burgert
ゲアハルト・ブルゲルト

John Buttrick
ジョン・バトリック

Jörg Demus
イェルク・デームス

Karl Engel
カール・エンゲル

Christoph Eschenbach
クリストフ・エッシェンバハ

Giorgio Favaretto
ジョルジョ・ファヴァレット

Irwin Gage
アーウィン・ゲイジ

Cord Garben
コルト・ガルベン (放送録音のみ:CD化されている)

William Glock
ウィリアム・グロック

Florian Henschel
フローリアン・ヘンシェル

Hellmut Hideghéti
ヘルムート・ヒデゲティ

Ludwig Hoffmann
ルートヴィヒ・ホフマン

Franz Holetschek
フランツ・ホレチェク

Hartmut Höll
ハルトムート・ヘル

Vladimir Horowitz
ヴラディーミル・ホロヴィッツ

Raimund Hose
ライムント・ホーゼ

Theodor Jakobi
テオドア・ヤコビ

Rudolf Jansen
ルドルフ・ヤンセン (CD録音のみ)

Lotte Jekèli
ロッテ・イェケリ

Franz Jung
フランツ・ユング

Burkhard Kehring
ブルクハルト・ケーリング

Wilhelm Kempff
ヴィルヘルム・ケンプフ (LP録音のみ:CD化されている)

Hertha Klust
ヘルタ・クルスト

Michio Kobayashi (piano, harpsichord)
小林道夫

Ernst Křenek
エルンスト・クシェネク

Arni Kristiansson
アルニ・クリスティアンソン

Fritz Lehmann
フリッツ・レーマン

Daniel Levy
ダニエル・レヴィ (CD録音のみ)

Ernest Lush
アーネスト・ラッシュ (放送録音のみ)

George Malcolm (harpsichord)
ジョージ・マルコム

Martin Mälzer
マルティン・メルツァー

Siegfried Mauser
ジークフリート・マウザー

Erwin Milzkott
エアヴィン・ミルツコット

Gerald Moore
ジェラルド・ムーア

Fritz Neumeyer
フリッツ・ノイマイアー

Hans-Peter Olshausen
ハンス=ペーター・オルスハウゼン

Kjell Olsson
シェル・オルソン

Gerhard Oppitz
ゲアハルト・オピッツ

Murray Perahia
マリー・ペライア

Edith Picht-Axenfeld (harpsichord, piano)
エディト・ピヒト=アクセンフェルト

Maurizio Pollini
マウリツィオ・ポッリーニ

Michael Ponti
マイクル・ポンティ (LP録音のみ:CD化されている)

Michael Raucheisen
ミヒャエル・ラウハイゼン (放送録音のみ:CD化されている)

Ernst Reichert
エルンスト・ライヒェルト

Aribert Reimann
アリベルト・ライマン

Hermann Reutter
ヘルマン・ロイター

Sviatoslav Richter
スヴィャトスラフ・リフテル

Hans-Erich Riebensahm
ハンス=エーリヒ・リーベンザーム

Wolfram Rieger
ヴォルフラム・リーガー

Per Rundberg
ペール・ルンドバーリ

Wolfgang Sawallisch
ヴォルフガング・サヴァリシュ

Anneliese Schier-Tiessen
アネリーゼ・シーア=ティーセン

András Schiff
アンドラーシュ・シフ

Reinhard Schwarz-Schilling
ラインハルト・シュヴァルツ=シリング (放送録音のみ)

Joachim Seyer-Stephan
ヨアヒム・ザイアー=シュテファン

Norman Shetler
ノーマン・シェトラー

John Steele Ritter (harpsichord)
ジョン・スティール・リッター

Leo Stein
レオ・シュタイン (スタジオ録音のみ:一度も発売されていない)

Leo Taubman
レオ・タウプマン

Karola Theill
カローラ・タイル

Paul Ulanowsky
ポール・ウラノウスキー

Tamás Vásáry
タマーシュ・ヴァーシャーリ

Robert Veyron-Lacroix (harpsichord)
ロベール・ヴェイロン=ラクロワ

Otto Volkmann
オットー・フォルクマン

Charles Wadsworth
チャールズ・ワズワース

Margrit Weber
マルグリト・ヴェーバー

Roland Weber
ローラント・ヴェーバー

Günther Weißenborn
ギュンター・ヴァイセンボルン

Walter Welsch
ヴァルター・ヴェルシュ

Erik Werba
エリク・ヴェルバ

Rudolf Wille
ルドルフ・ヴィレ

Hans Zippel
ハンス・ツィッペル

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