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エリー・アーメリング(Elly Ameling) 2019年5月の活動予定

今年もエリー・アーメリング(Elly Ameling)は指導者として活動し続けるようです。
本当に凄い!

オランダのゼイスト(Zeist)の国際歌曲フェスティヴァル(Internationaal Lied Festival Zeist)で5月にマスタークラスを開くそうです。

 こちら

MASTERCOURSE ELLY AMELING
"Gewerkt wordt aan liederen op teksten van Paul Verlaine(ポール・ヴェルレーヌのテキストによる歌曲)"

5月22日(水) 14:00-17:00 Grote kerkzaal, Zeist
5月23日(木) 14:00-17:00 Grote kerkzaal, Zeist
5月24日(金) 14:00-17:00 Grote kerkzaal, Zeist

彼女の他にも、ジュリアス・ドレイク(Julius Drake)(P)、アン・マリー(Ann Murray)(MS)、マルコム・マーティノー(Malcolm Martineau)(P)、ロベルト・ホル(Robert Holl)(BSBR)といった錚々たる歌曲演奏家たちが5月のオランダで指導するそうです。

ドレイクとマリーはシューベルトの歌曲、
マーティノーとアーメリングはヴェルレーヌのテキストによる歌曲、
ホルはハイネのテキストによる歌曲を指導するとのことです。

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シューベルト「愛のことづて(Liebesbotschaft, D 957-1)」を聴く

Liebesbotschaft, D 957-1
 愛のことづて

Rauschendes Bächlein,
So silbern und hell,
Eilst zur Geliebten
So munter und schnell?
Ach, trautes Bächlein,
Mein Bote sei Du;
Bringe die Grüße
Des Fernen ihr zu.
 さらさら流れる
 銀色の明るい小川よ、
 恋人のもとに急いでいるのか、
 そんなに元気よく速く流れて?
 ああ、いとしい小川よ、
 ぼくの使者になって、
 はるか離れた者からの挨拶を
 彼女に届けておくれ。

All' ihre Blumen
Im Garten gepflegt,
Die sie so lieblich
Am Busen trägt,
Und ihre Rosen
In purpurner Glut,
Bächlein, erquicke
Mit kühlender Flut.
 庭で手入れをしていた
 彼女の花々をみな
 こんなにも愛らしく彼女は
 胸に飾っている、
 そして彼女の薔薇は
 深紅に燃えている。
 小川よ、
 冷たい水で爽快にさせてあげておくれ。

Wenn sie am Ufer,
In Träume versenkt,
Meiner gedenkend
Das Köpfchen hängt;
Tröste die Süße
Mit freundlichem Blick,
Denn der Geliebte
Kehrt bald zurück.
 彼女が岸辺で
 夢に沈みこみ
 ぼくのことを思って
 ふさぎこんでいたら
 このかわいい子を
 やさしい眼差しで慰めておくれ。
 なぜならあの子の好きな人は
 もうすぐ帰ってくるのだから。

Neigt sich die Sonne
Mit rötlichem Schein,
Wiege das Liebchen
In Schlummer ein.
Rausche sie murmelnd
In süße Ruh,
Flüstre ihr Träume
Der Liebe zu.
 太陽が
 赤く輝きながら傾いていくとき、
 恋人を
 ゆすって眠らせておくれ。
 せせらぎの音で
 甘い憩いにつかせておくれ。
 彼女に
 愛の夢をささやいておくれ。

詩:Ludwig Rellstab (1799-1860)
曲:Franz Peter Schubert (1797-1828)

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歌曲集「白鳥の歌」の第1番目に置かれた歌曲が「愛のことづて(愛の便り)」です。
この歌曲集は最初の7曲がレルシュタープの詩、次の6曲がハイネの詩、そして最後の1曲がザイドルに詩による歌曲集です。
これらを「白鳥の歌」としてまとめたのは、シューベルトの意思ではなく、出版者ハスリンガーによるものです。
シューベルトの亡くなる年である1828年に作られました。

さらさら流れる小川に遠く離れた恋人への言伝を頼むというなんともロマンティックな内容のテキストに、シューベルトらしい爽やかな音楽が付けられています。亡くなる年の作品とは思えないほど明るく若々しい息吹に満ちた美しい作品です。

最初の節と最終節は詩行とピアノのみの箇所が交互に現れ、詩人と小川が対話をしているような効果をあげています。

詩の朗読(Susanna Proskura)

詩の朗読を聞くと、脚韻なども音として感じることが出来るのではないでしょうか。

ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR) & ジェラルド・ムーア(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR) & Gerald Moore(P)

F=ディースカウのテノラールな美声とムーアの安心感のあるピアノで、大好きな録音です。

ハンス・ホッター(BSBR) & ジェラルド・ムーア(P)
Hans Hotter(BSBR) & Gerald Moore(P)

1954年5月28-30日, London録音。ホッターの深く温かい声がとても魅力的です。低く移調してもせせらぎを見事に表現したムーアが素晴らしいです。

ヘルマン・プライ(BR) & レナード・ホカンソン(P)
Hermann Prey(BR) & Leonard Hokanson(P)

1980年代の円熟期の含蓄に富んだプライの映像を味わえます。ホカンソンも温かい演奏です。

ナタリー・ストゥッツマン(CA), インゲル・セーデルグレン(P)
Nathalie Stutzmann(CA), Inger Södergren(P)

2006年東京録画。落ち着いたストゥッツマンのコントラルトの声が心地よい響きを聞かせています。

マティアス・ゲルネ(BR) & クリストフ・エッシェンバハ(P)
Matthias Goerne(BR) & Christoph Eschenbach(P)

2012年録音。落ち着いたふかふかのカーペットのようなゲルネの声に包まれるのもいいです。

松原友(T) & 小林道夫(P)
Tomo Matsubara(T) & Michio Kobayashi(P)

日本の歌曲伴奏の巨匠といってもいい小林道夫氏が演奏している姿を見られます。無駄のないスタイリッシュな演奏が相変わらず素晴らしいです。松原さんの歌もさわやかです。

ピアノパートのみ(Anna Cardona(P))

ピアノ伴奏のみです(良い演奏です)。楽譜が一緒に流れるので、動画を見ながら歌えます。

リスト編曲のピアノ独奏版(ヴラジーミル・ホロヴィッツ(Vladimir Horowitz)(P))

1929年録音。あのホロヴィッツが、リストの歌曲編曲版を弾いています。

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テオ・アーダム(Theo Adam)逝去

ドレースデン生まれのドイツの名バスバリトン歌手テオ・アーダム(Theo Adam, 1926年8月1日 - 2019年1月10日)が亡くなりました。
92歳とのことですから大往生ですが、やはり馴染みの歌手の死は寂しいものです。

 独Spiegelの記事

 Grammophonの記事

オペラ、宗教曲、歌曲と、万遍なく活動していて、東ドイツと言われていたころの国を背負っていた歌手の一人ではなかったかと思います。

私にとってのアーダムの最初の出会いは、テレビで放映されたヴァーグナーのマイスタージンガーのハンス・ザックス役でした。
長大なオペラで筋書きもよく知らないまま見ていました(最後まで見たかどうかは覚えていません。おそらく途中で止めてしまった気がします)。
ジークフリート・ローレンツがベックメッサーを歌っていたのは覚えています。

その後、彼のリートのレコードがいくつか出ているのを知り、少しずつ聴き始めました。

彼の歌唱は、フィッシャー=ディースカウのような言葉のめりはりのきいたドラマティックな感じでもなく、プライのような溢れんばかりの美声で人懐っこく聴かせるものとも異なり、独特の味わいがありました。

決して自分を前面に押し出すタイプではなく、律儀な楷書風の歌のように私には感じられました。
その渋さゆえにちょっと聴いたぐらいではなかなか魅力が伝わってこず、彼の良さを実感したのは聞き出してから随分経ってからでした。

私が唯一彼の実演を聞いたのは、1992年秋のことでした。
ルドルフ・ドゥンケルのピアノで催された歌曲の夕べでは、歌曲の歴史を一望できるかのような様々な作曲家の名曲のオンパレードでした。
こういうプログラミングが一流の歌手によって演奏されるのは、歌曲のコアなファンにとっても貴重な機会でした。
かなり沢山の歌を歌った後でアンコールで彼はシューベルトの「アトラス」を歌いました。
普通ならば本編で歌うようなドラマティックな作品です。
あれだけ歌ってもまだ「アトラス」のような重量級の歌が歌えるのは凄いと思いました。
でもよく考えれば、ヴォータンの長大な歌を延々と歌ってきた彼にとって、スタミナはたっぷりあったのでしょう。

決して派手ではないけれど、燻し銀の味わいで聞き手の胸にしっとりとしみこむような実直な歌を聞かせてくれたアーダムは、間違いなく歌曲歌手の中でこれからも忘れてはならない存在の一人であり続けるでしょう。

ご冥福をお祈りいたします。

Das Rheingold rehearsal ·Bayreuth 1965

日本語の字幕が付いています。ヴァーグナーの孫ヴィーラント(演出)や指揮のカール・ベームも出演しています。
ピアノ伴奏による貴重なリハーサル風景が見られます。

„Loge her!“ (Wotan), Friedrich Schorr & Theo Adam

1967年大阪公演の映像。「ラインの黄金」のヴォータンを歌う若かりしアーダムはすでに貫禄に満ちています。

Schwanengesang, D. 957: No. 13. Der Doppelganger (Theo Adam, Rudolf Dunckel)

アーダムの素晴らしさが凝縮された名演だと思います。シューベルトの音楽の凄みをこれほど丁寧に表現した歌唱はなかなかないのではないでしょうか。

Theo-Adam-Nacht ("Zwischentöne" und "Theo Adam lädt ein")

アーダムを特集したテレビ番組のようです。2時間38分もあるので、少しずつ楽しんでください。
ちなみに歌曲の演奏映像は以下のとおりです(目盛りを合わせてお聞きください)。
46:12~ シューマン/春の旅(Frühlingsfahrt)(抜粋)(ルドルフ・ドゥンケルのピアノ:1986年, Schauspielhaus Berlin)
47:55~ ブラームス/「愛の歌」~ドーナウの岸辺で(Am Donaustrande)(ペーター・シュライアー他女声2人との四重唱:1977年, Deutscher Fernsehfunk)
1:53:31~ シューマン/献呈(Widmung)(初めて伴奏をするという若いピアニストとの共演)
2:36:10~ シューベルト/音楽に寄せて(An die Musik)

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エリー・アーメリング(Elly Ameling)のマスタークラス映像(2018年5月24日, Internationaal Liedfestival Zeist)

エリー・アーメリング(Elly Ameling)が2018年5月24日にゼイスト国際歌曲フェスティヴァル(Internationaal Liedfestival Zeist)で催したマスタークラスと、25日の発表会の映像があがっていたので、こちらでシェアさせていただきます。
生徒は
Rutger van Oeveren, bariton
Wouter Harbers, piano
の2人です。

受講曲はメンデルスゾーン(Mendelssohn)の「さすらいの歌(Wanderlied, Op. 57-6)」です。
アーメリングはここでお馴染みの耳の横に手を当てる練習方法を受講者に伝授しています。

Masterclass van Elly Ameling, tijdens het ILFZ (Internationaal Liedfestival Zeist, mei 2018) | Rutger van Oeveren, bariton & Wouter Harbers, piano

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明けましておめでとうございます!(2019年)

皆様、昨年も大変お世話になりまして、有難うございました。
本年も細々とではありますが、ブログ執筆を続けていきたいと思います。
何卒宜しくお願いいたします。

2019年のアニバーサリーの作曲家は
ベルリオーズ(Hector Berlioz, 1803年12月11日 - 1869年3月8日)没後150年
プフィッツナー(Hans Pfitzner, 1869年5月5日 – 1949年5月22日)生誕150年
などがいるようです。

歌曲の演奏家では1929年生まれのヘルマン・プライ(Hermann Prey)、ジェフリー・パーソンズ(Geoffrey Parsons)が生誕90年にあたります(両者とも亡くなってしまいましたが)。
ちなみに私のお気に入りのピアニスト、イングリート・ヘブラー(Ingrid Haebler)も1929年生まれ説があります(1926年説もあります。ご健在ですが、すでに引退しているようです)。

彼らの新しい音源が発掘されると嬉しいですが、すでにリリースされた音源をあらためて聞いてみるいい機会でもありますね。

今年も皆様にとって素晴らしい音楽との出会いが多くありますように!

Berlioz


Pfitzner


Prey


Parsons


Haebler


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