« 2018年11月 | トップページ | 2019年1月 »

ドビュッシー没後100年に寄せて

ドビュッシー(Claude Achille Debussy, 1862年8月22日 - 1918年3月25日)の没後100年である2018年があと二日で終わってしまうので、ぎりぎりで投稿します。
彼の歌曲はフランス・メロディーの歴史で忘れることの出来ない高峰です。
どれか気になる曲を聴いてみてください。
ここでは私の好きな曲を中心に選びましたが、この他にも優れた歌曲は沢山あります。
ドビュッシーの歌曲対訳本も出版されていますので、興味のある方は併せてチェックしてみてはいかがでしょうか。

マンドリン
Mandoline, L. 29

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P)

美しい夕暮れ
Beau Soir, L.6

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P)

美しい夕暮れ
Beau Soir, L.6

Barbra Streisand(Vocal), Columbia Symphony Orchestra, Claus Ogerman

「艶なる宴 第1集」(ひそやかに、操り人形、月の光)
Fêtes galantes 1
1. En sourdine
2. Fantoches
3. Clair de lune

Maggie Teyte(S), Alfred Cortot(P)

「忘れられた歌」(それは物憂い恍惚、わが心に涙降る、木々の影、木馬、グリーン、スプリーン)
Ariettes oubliées
1. C'est l'extase langoureuse
2. Il pleure dans mon cœur
3. L'ombre des arbres
4. Chevaux de bois
5. Green
6. Spleen

Suzanne Danco(S), Guido Agosti(P) 1951

「3つのビリティスの歌」(パンの笛、髪、ナイヤードの墓)
Trois Chansons de Bilitis
1. La Flûte de Pan
2. La Chevelure
3. Le Tombeau des Naïades

Régine Crespin(S), John Wustman(P) 1967

パリ女のバラード
Ballade des femmes de Paris

François Le Roux(BR), Noël Lee(P)

【おまけ】ピアノ曲「月の光(Clair de lune)」(「ベルガマスク組曲(Suite bergamasque, L. 75)」より第3曲)

レナード・ホカンソン(Leonard Hokanson)(P)
一般のソロピアニストのような涼し気で光沢きらきらというよりも、より温かみのある音色がホカンソンらしく感じられます。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

ゾッフェル&プライによるクリスマスソング(Joseph, lieber Joseph mein & Tochter Zion, freue dich) (1990)

今日はクリスマス・イブですね。
昨日の記事のお口直しではないですが、ゾッフェルとプライ、それにテルツ少年合唱団による素敵な映像を見つけました。

1. Joseph, lieber Joseph mein(ヨセフ、わがいとしきヨセフ)

2. Händel: Tochter Zion, freue dich(シオンの娘よ、喜べ)(よろこべや、たたえよや)

Doris Soffel(MS)(1)
Hermann Prey(BR)(1,2)
Tölzer Knabenchor(2)
Staatskapelle Dresden
Ferdinand Leitner(C)

1曲目を聞いて歌曲好きな私はあっと思いました。
ブラームス(Brahms)の「聖なる子守歌(Geistliches Wiegenlied, Op. 91-2)」の前奏、間奏、後奏にあらわれるあのメロディーと一緒なのです。
そういえば、ブラームスのこの曲の楽譜の冒頭に"Joseph, lieber Joseph mein"と書いてあったような気がします。

興味のある方は、オッターの歌でお聞きください(スパルフのヴィオラ、フォシュベリのピアノ)。
Anne Sofie von Otter(MS), Erik Sparf(Viola), Bengt Forsberg(P)

そして、2曲目は世界中いたる所で(主に表彰式で)耳にするあの曲です。
ヘンデルの「マカベウスのユダ」の有名な一節に新たな歌詞を付けて讃美歌として親しまれているそうです。

Handel: Judas Maccabaeus, HWV 63 - See, the conqu'ring hero comes!

Fröhliche Weihnachten!

| | コメント (6) | トラックバック (0)

ドビュッシー「もう家のない子供たちのクリスマス(Noël des enfants qui n'ont plus de maison)」

ドビュッシーの没後100年に当たる今年(2018年)、優れた歌曲を多く書いた彼の作品をいくつか記事にしようかと思ったのですが、せっかく12月の暮れですので、彼の自作のテキストによるクリスマスに因んだ歌曲を取り上げたいと思います。

神聖なクリスマスそのものを美しい音楽とともに堪能するのは素晴らしいことです。
そういう時期にこの曲を紹介するのは若干気が引けたのですが、クリスマスをこのテキストのように過ごす子供たちがいなくなることを願いながらここで取り上げたいと思います。

このドビュッシーのクリスマス歌曲は、戦争ですべてを失った子供の言葉が歌われます。
第一次大戦でドイツ軍によって多くの犠牲者を出したフランスの悲しみ、怒り、といった感情をドビュッシーが弱者である子供の視点で歌わせることで、より一層戦争の理不尽さを浮き立たせているように思います。

「もう家のない子供たちのクリスマス(Noël des enfants qui n'ont plus de maison)」という曲です。
私はフランス語は出来ないので、下記のリンクから「詩と音楽」の藤井さんの訳を御覧ください。

  「詩と音楽」の藤井宏行さんの訳

藤井さんが解説で書かれていることで印象的なのが、「この詩に歌われているような憎しみの心が子供の心にも深く刻み込まれ、そして争いの歴史が永遠に繰り返される」という部分です。
思わずはっとしました。
ただ悲惨で辛いというだけでなく、心の傷を負った子供たちが憎しみという感情をもったまま次の悲劇を繰り返すかもしれないのです。
ドビュッシーのテキストの最後は「フランスの子供たちに勝利を与えてください」という言葉で締めくくられます。
敵国が負けることを望むということは、次の悲劇を生み出す感情がすでに芽生えているということでもあり、純粋な子供が歌うことで肌寒い気持ちにさせられます。

そういう悲惨な歴史の繰り返しが少しでも世の中から消えてほしいという思いを胸にこの歌曲に接してみたいと思います。

エリー・アーメリング(S) & ドルトン・ボールドウィン(P)
Elly Ameling(S) & Dalton Baldwin(P)

アーメリングの澄んだ声質が生かされた歌唱です。過剰になりすぎない程度に子供になりきって歌っているように思えます。楽譜も表示されているのがありがたいです。

Petits Chanteurs de Paris

1985年の少年たちの合唱です。歌曲とほぼ同じですが、少年が歌うことで、よりリアルに胸に迫ってきます。

ヴォーカロイド(さとうささら)

最近のヴォーカロイドは本当に優れていると思います。本来感情のないはずのヴォーカロイドが言葉にしっかり息吹を吹き込んでいるのは驚きです。日本語対訳も付いていてアップされた方のお仕事ぶりに感謝したいです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

ハンス・ホッター&ハンス=ヴィリ・ホイスライン(Hans Hotter & Hans-Willi Häusslein)/フランスラジオ放送音源(1961年4月16日)

往年の名バスバリトン歌手、ハンス・ホッター(Hans Hotter, 1909.1.19, Offenbach am Main - 2003.12.6, München)の放送音源がアップされていました。
ピアノ共演はハンス=ヴィリ・ホイスライン(Hans-Willi Häusslein, 1909? - 1984, Zürich)です。
曲目はシューベルト、シューマン、ブラームスの、いずれもホッター十八番の作品が選ばれています。
1961年ということはホッターは当時52歳の円熟期に向かう頃で、包み込むような美声と解釈の深化が感じられます。

ぜひお聞きください。

Hans Hotter(BSBR), Hans-Willi Häusslein(P)

録音: 1961年4月16日, French radio broadcast

Franz Schubert(シューベルト):
01 Am Bach im Frühling (春の小川で) 0:00
02 Wohin? (どこへ) 4:01
03 Geheimes (秘め事) 6:37
04 Im Frühling (春に) 8:28
05 Gruppe aus dem Tartarus, D 583 (タルタロスの群れ) 12:44

Robert Schumann(シューマン):
06 Erstes Grün (初めての緑) 16:39
07 Wer machte dich so krank? (誰があなたを傷つけたのか) 19:15
08 Alte Laute (昔の響き) 21:18
09 Stille Liebe (静かな愛) 23:45
10 Wanderlied (さすらいの歌) 26:50
11 Die beiden Grenadiere (二人の擲弾兵) 30:11

Johannes Brahms(ブラームス):
12 Minnelied (愛の歌) 34:19
13 Heimweh II: O wüßt ich doch den Weg zurück (郷愁Ⅱ「おお戻る道が分かれば」) 36:24
14 Sonntag (日曜日) 40:27
15 Wie Melodien zieht es mir (メロディーのように) 42:20
16 Komm bald (すぐにおいで) 44:55
17 Botschaft (使い) 47:24

[おまけ]78歳(1987年頃)のホッターがヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch)とシューベルトの「ミューズの子(ムーサの息子)(Der Musensohn)」を歌っている映像です

まだまだ現役といってもいいぐらいの深々とした温かい声が聴けます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ヴォルフ「こうのとりの使い(Storchenbotschaft)」を聴く

Storchenbotschaft
 こうのとりの使い

Des Schäfers sein Haus und das steht auf zwei Rad,
Steht hoch auf der Heiden, so frühe, wie spat;
Und wenn nur ein mancher so'n Nachtquartier hätt'!
Ein Schäfer tauscht nicht mit dem König sein Bett.
 羊飼いの家は2つの車輪の上、
 朝も夜も荒地の高みにある。
 多くの人がそんな宿があったらなぁ!と憧れる。
 羊飼いは王様とさえ自分の寝床を交換しないだろう。

Und käm' ihm zur Nacht auch was Seltsames vor,
Er betet sein Sprüchel und legt sich aufs Ohr;
Ein Geistlein, ein Hexlein, so luftige Wicht',
Sie klopfen ihm wohl, doch er antwortet nicht.
 夜に何か不思議なことが起こっても
 彼はおまじないを唱えて横になってしまう。
 幽霊やら魔女やら風の妖精やらが
 音を立てても、彼は返事などしない。

Einmal doch, da ward es ihm wirklich zu bunt:
Es knopert am Laden, es winselt der Hund;
Nun ziehet mein Schäfer den Riegel - ei schau!
Da stehen zwei Störche, der Mann und die Frau.
 だが以前に、本当にあまりにも騒がしいことがあった、
 よろい戸はがりがり音を立て、犬はクンクン泣く。
 そこで羊飼いがかんぬきをあけると-おや、ごらんよ!
 そこには二羽のこうのとりが番(つがい)で立っている。

Das Pärchen, es machet ein schön Kompliment,
Es möchte gern reden, ach, wenn es nur könnt'!
Was will mir das Ziefer? ist so was erhört?
Doch ist mir wohl fröhliche Botschaft beschert.
 そのカップルは、きちんとおじぎをする、
 何か言いたそうだ、ああ、彼らが話せたらなぁ!
 飼い鳥さんたちがわしに何の用だい?何か聞いて欲しいのか?
 だがどうやらうれしい知らせをもってきたようだぞ。

Ihr seid wohl dahinten zu Hause am Rhein?
Ihr habt wohl mein Mädel gebissen ins Bein?
Nun weinet das Kind und die Mutter noch mehr,
Sie wünschet den Herzallerliebsten sich her?
 君たちはライン下流の家にいたのかい?
 わしの愛する人の足をつついて彼女に子供が産まれたというのか?
 それでその子供が泣いて、母親はもっと泣き、
 愛しいあるじに戻ってきてほしいというんだね?

Und wünschet daneben die Taufe bestellt:
Ein Lämmlein, ein Würstlein, ein Beutelein Geld?
So sagt nur, ich käm' in zwei Tag' oder drei,
Und grüßt mir mein Bübel und rührt ihm den Brei!
 それに加えて洗礼をするのに、
 子羊に、ソーセージに、袋いっぱいのお金が要るんだね?
 それならこう伝えておくれ、わしは二、三日後には戻るから、
 赤ん坊によろしく言って、おかゆをかきまぜてやっておくれ!

Doch halt! warum stellt ihr zu zweien euch ein?
Es werden doch, hoff' ich, nicht Zwillinge sein? -
Da klappern die Störche im lustigsten Ton,
Sie nicken und knicksen und fliegen davon.
 だが待てよ!なぜ君たちは二羽で来たんだ?
 それって、まさか、双子ってことじゃないのか?
 するとこうのとりたちは陽気な音をたてて羽ばたきし、
 うなずき、おじぎをして、飛んで行った。

詩:Eduard Mörike (1804-1875)
曲:Hugo Wolf (1860-1903)

-----------------

ヴォルフの歌曲集「メーリケの詩(Gedichte von Mörike)」の第48番目に置かれた歌曲です。
1888年3月27日作曲。

以前の記事でこのテキストを取り上げたことがあります。

 こちら

「こうのとりが赤ん坊を運んでくる」という伝説は日本でも広く知られていますが、実は世界各地に同様の伝説があるようです。

そのあたりを詳しくまとめておられるのが下記のリンク先です。
とても分かりやすく書かれているので、ぜひご覧ください。

 こちら

私はヴォルフを聞き始めた頃からこの曲が徐々に好きになり、ついにはピアノパートを一生懸命自己流で練習するほど熱中したことを懐かしく思い出します(後奏が華やかで魅力的なんですよね)。
今回はこの曲の聞き比べをしてみたいと思います。

まずは、こうのとりの姿からご覧ください。

エリーザベト・シュヴァルツコプフ(S) & ジェラルド・ムーア(P)
Elisabeth Schwarzkopf(S) & Gerald Moore(P)

1951年録音。シュヴァルツコプフの声がまだ若々しく、少し硬さも感じられるのがういういしいです。

エリーザベト・シュヴァルツコプフ(S) & ジェフリー・パーソンズ(P)
Elisabeth Schwarzkopf(S) & Geoffrey Parsons(P)

1970年代後半のDECCAに録音された彼女最後のスタジオ録音。私がこの曲をはじめて聞いたのもこの録音でした。語りの含蓄の深さは他の追随を許さない域に達しています。パーソンズの雄弁なピアノも素晴らしいです。

ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR) & ダニエル・バレンボイム(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR) & Daniel Barenboim(P)

1974年録音。F=ディースカウの語りは冴え渡り、言葉が明瞭に伝わってきます。バレンボイムは巧みな演出を聞かせています。

オーラフ・ベーア(BR) & ジェフリー・パーソンズ(P)
Olaf Bär(BR) & Geoffrey Parsons(P)

1986年録音。ベーアのディクションの美しさと柔らかい美声が魅力的です。パーソンズの完璧な描写もいつもながら見事です。

ヴェルナー・ギューラ(T) & ヤン・シュルツ(P)
Werner Güra(T) & Jan Schultz(P)

2005年録音。ギューラの澄んだテノールの声で聴くのも清々しくていいです。シュルツのピアノもうまいです。

ディアナ・ダムラウ(S) & シュテファン・マティアス・ラーデマン(P)
Diana Damrau(S) & Stephan Matthias Lademann(P)

2005年ザルツブルク音楽祭ライヴ録音。ダムラウはためをたっぷり使い、オペラの一場面のような雰囲気を作り上げています。

ペーター・シュライアー(T) & カール・エンゲル(P)
Peter Schreier(T) & Karl Engel(P)

シュライアーは演奏生活のかなり遅くなってからメーリケ歌曲集を録音しました。これはその中の1曲ですが、いつもながら言葉さばきが巧緻で見事です。エンゲルのサポートも見事です。

フリッツ・ヴンダーリヒ(T) (ピアニストはギーセン、シュタインハルト、シュタインバッハーのうちの誰かなのですが、分かったら記載します)
Fritz Wunderlich(T)

ヴンダーリヒの自宅でのプライベート録音を集めたCDに収録されたもの。彼のスタジオ録音のレパートリーにはなく珍しい音源です。

トーマス・メリオランツァ(BR) & ウチダ・レイコ(P)
Thomas Meglioranza(BR) & Reiko Uchida(P)

演奏しているところを見ることが出来ます。歌もピアノも活気と安定感があって、とても魅力的な演奏だと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ダムラウ&カウフマン&ドイチュ/ヴォルフ「イタリア歌曲集」CDリリース予定

Damrau_kaufmann_deutsch_wolf


世界中のオペラハウスで大活躍している二人の歌手ディアナ・ダムラウ(Diana Damrau)(S)とヨナス・カウフマン(Jonas Kaufmann)(T)が、ヘルムート・ドイチュ(Helmut Deutsch)のピアノでヴォルフ「イタリア歌曲集(Italienisches Liederbuch)」のCDを録音したそうです。
ヨーロッパ各地でのコンサートツアー中のライヴ収録らしいです(2018年2月18日録音)。
HMVの情報ですと、来年(2019年)1月半ば頃には入手できるようです。

 こちら

彼らは日本でも人気者ですから、いずれ国内盤も出るかもしれませんが、ヴォルフの歌曲というのはあまりCD会社としては売れるものではないので輸入盤で入手しておいた方が確実かもしれません。

この豪華な二人のスターたちは共に歌曲にも力を入れており、特にオペラのような男女の駆け引きが重要な要素となるヴォルフの「イタリア歌曲集」では、彼らの声の演技力もまた大いに期待されます。
そして、今やムーアやパーソンズの後継者として脂の乗り切ったヘルムート・ドイチュのピアノもまたとても楽しみです(ドイチュはかつてEMIにアップショー&ベーアと全曲盤を録音しています)。

ヴォルフの歌曲集の中でもメーリケ歌曲集と並んで録音に恵まれている「イタリア歌曲集」ですが、これはヴォルフファンにとっては垂涎ものですね。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2018年11月 | トップページ | 2019年1月 »