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クリスティアン・ゲルハーエル&ゲロルト・フーバー/シューマン歌曲全集スタート

現代屈指の名バリトン、クリスティアン・ゲルハーエル(Christian Gerhaher)と名伴奏ピアニストのゲロルト・フーバー(Gerold Huber)がシューマン歌曲全集に取り組むそうです。

その第1巻が間もなく発売予定です。

 こちら

彼が一人で全部歌うことになるのか、もしそうならば「女の愛と生涯」を含む女声用歌曲も彼が歌うことになるのか、興味は尽きません。

完成時(2020年予定)には10枚組のボックスになる予定とのことですから、それを待つのもいいかもしれませんね。

フィッシャー=ディースカウでさえ全曲は歌わなかったので、ゲルハーエルが師匠を超える日は遠くないのかもしれません。

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ジェラール・スゼー(Gérard Souzay)生誕100年~フランス歌曲12選

フランスの名バリトン歌手ジェラール・スゼー(Gérard Souzay, 1918年12月8日 – 2004年8月17日)が今年で生誕100年を迎えました(ちなみに、スゼーの生まれた年はドビュッシーの没年でもあり、つまり、ドビュッシーは没後100年にあたるわけです)。
パンゼラ、モラーヌ、ベルナックらの跡を継いだスゼーは膨大なフランス歌曲のアンソロジーを録音しました。
ドイツ歌曲に比べると、歌われたり聞かれたりすることの少ないフランス歌曲の復興にスゼーが遺した業績は膨大だと思います。
彼のビロードの美声は、往年のソプラノ歌手、ロッテ・レーマンを虜にし、「スゼーを聞くためならば世界のどこへでも行きたい」と言わしめたほどです。
EMIレーベルの体系的なフランス歌曲全集にも参加し、フォレ、ドビュッシー、ラヴェル、プランクの歌曲を歌ったほか、より若い時期にはPHILIPSレーベルに続々と作曲家ごとの録音を残しました。

彼はフランス歌曲だけでなく、ドイツ歌曲も得意とし、おそらくフィフティ・フィフティの割合だったのではないかと想像します。
以前自動車のCMのBGMとして、彼の「美しい水車屋の娘」の一節が流れたことがありますが、彼の爽やかな美声が疾走感を与えていたのを覚えています。

私がはじめてスゼーのLPレコードを買ったのが、シューベルトの「冬の旅」とシューベルト歌曲集で、PHILIPSレーベルの派生レーベルから安価で販売されていたものでした。
つまり、スゼーの最初の体験はドイツ歌曲だったわけですが、それだけ彼のドイツ歌曲は市場に浸透していたということなのでしょう。
彼の実演はただ一度、今は公には使われなくなってしまった津田ホールでの80年代のリサイタルを聴けました。
ピアノ共演はもちろんドルトン・ボールドウィンで、独仏の歌曲がプログラミングされていました。
当時の彼はすでに全盛期の声ではありませんでしたが、とても味わいのあるいいリサイタルでした。
別の年だったと思いますが、来日公演がFM東京で放送され、雑音がザーザー入りながらもエアチェックしたものでした。
当時学校の音楽の授業でブラームスの「日曜日」を全員歌わされたことがあるのですが、なぜか私が伴奏者の一人となり、このエアチェックのボールドウィンの演奏を聞きながら練習したのもよい思い出です。

そんな思い出深いスゼーの生誕100年を記念して、せっかくなのでフランス歌曲だけで12の録音を選んでみました(最初は10選の予定だったのですが、収まりませんでした)。
とりわけ彼の弱声は絶品だと思います。
この機会にぜひスゼーのフランス歌曲を堪能してみてはいかがでしょうか。
ちなみに下の録音はすべてボールドウィンがピアノを弾いています。

●グノー(1818-1893)「いない人」
Charles Gounod: L'absent

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1963

●ビゼー(1838-1875)「四月の歌」
Georges Bizet: Chanson d'avril

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1963

●シャブリエ(1841-1894):蝉
Emmanuel Chabrier: Les cigales

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1963

●フォレ(フォーレ)(1845-1924)「月の光」
Gabriel Fauré: Claire de lune, Op. 46-2

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P)

●フォレ「ゆりかご」
Gabriel Fauré: Les berceaux, Op. 23-1

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1960

●デュパルク(1848-1933)「旅への誘い」(映像)
Henri Duparc: Invitation au voyage

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1960's

●デュパルク「溜息」
Henri Duparc: Soupir

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1962

●ドビュッシー(1862-1918)「艶なる宴 第1集」(ひそやかに/操り人形/月の光)
Claude Debussy: Fêtes galantes: Premier recueil L. 80 (En sourdine / Fantoches / Clair de lune)

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P)

●ルッセル(ルーセル)(1869-1937)「サラマンカの学生」
Albert Roussel: Le bachelier de Salamanque

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1962

●レナルド・アンヌ(アーン)(1874-1947):恍惚の時
Reynaldo Hahn: L'heure exquise

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1963

●ラヴェル(1875-1937)「5つのギリシャ民謡」(花嫁の目覚め/向こうの教会へ/私と較べられる伊達者は誰?/乳香樹を摘む女たちの歌/何と楽しい)
Maurice Ravel: Cinq mélodies populaires grecques (Chanson de la mariée / Là-bas, vers l'église / Quel galant m'est comparable / Chanson des cueilleuses de lentisques / Tout gai!)

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), 1968

●プランク(プーランク)(1899-1963)「祭りに出かける若者たち」(『村人たちの歌』より)
Francis Poulenc: Les gars qui vont à la fête ("Chansons villageoises")

Gérard Souzay(BR), Dalton Baldwin(P), Edinborough Festival, September 3, 1967

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アーメリング・ラジオ全4回シリーズ〜第2回”Die sanck een Liedt”(2018.10.14(日))

こちらで記事にしたアーメリングのラジオシリーズの2回目が2018.10.14(日)日本時間19時に始まります(プレゼンター:Evert Jan Nagtegaal)。

 

ラジオと放送内容はこちら

 

上記のリンク先の”Luister Live”をクリックしてお聴き下さい。

 

放送が終わっても、上記のサイトで好きな時に聴けるようにプレーヤーが設置されると思われます。

 

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1a. Hendrik Andriessen – ‘Magna res est amor’ (1919) – tekst: Thomas à Kempis
Sopraan Elly Ameling samen met het Koninklijk Concertgebouworkest olv. Bernard Haitink

 

b. Hendrik Andriessen – uit: ‘Miroir de Peine’ – ‘Agonie au jardin’ – tekst: Henri Ghéon
Sopraan Elly Ameling en organist Albert de Klerk

 

2. Constantijn Huygens – uit: ‘Pathodia Sacra et Profana’ – ‘In quo corriget asolescentor’
Sopraan Elly Ameling samen met Rudolf Jansen, klavecimbel.

 

3. Bertus van Lier – uit: ‘The Holy Song’ – ‘At night on my bed’
Sopraan Elly Ameling, Koninklijk Concertgebouworkest olv. Bernard Haitink.

 

4. Gioacchino Rossini – uit: Les soirées musicales no.8 ‘La Danza’
tekst: Carlo Pepoli
Sopraan Elly Ameling en pianist Rudolf Jansen

 

5. Hugo Wolf- uit: ‘Spanisches Liederbuch’ – ‘Mühvoll komm ich und beladen’ – tekst: Emanuel Geibel en Paul Heyse
Sopraan Elly Ameling met pianist Rudolf Jansen

 

6. Hugo Wolf- uit: ‘Spanisches Liederbuch’ – ‘Wer tat deinem Füsslein weh’ – tekst: Emanuel Geibel en Paul Heyse
Sopraan Elly Ameling en pianist Rudolf Jansen.

 

7. Wolfgang Amadeus Mozart – ‘An die Einsamkeit’ KV.391 (340b) – ‘Sei du mein Trost’ en ‘Der Zauberer’ KV.472
Sopraan Elly Ameling en Rudolf Jansen, piano

 

8. George Gershwin – ‘I got rhythm’
Sopraan (en fluiten) Elly Ameling samen met pianist Louis van Dijk

 

9. Lady John Scott- ‘Think on me’ tekst: ‘Old Scots Air’
Sopraan Elly Ameling met Rudolf Jansen

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マティス、ファスベンダーらによる重唱曲集発売(ORFEOレーベル: 1974年8月25日ザルツブルク音楽祭ライヴ)

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超豪華なリート演奏家たちによるザルツブルク・ライヴ音源がORFEOレーベルから発売されるそうです(amazonでは発売日は2018/10/12となっています)。
録音は1974年で、マティス、ファスベンダー、シュライアー、ベリーがヴェルバ、シルハウスキーのピアノで、シューマンとブラームスの重唱曲を歌っています。
これは楽しみです。
全員集合したジャケット写真を見るだけでもわくわくしますね!
興味のある方はぜひ入手を検討されてみてはいかがでしょうか。

 こちら

シューマン(Schumann)/スペインの歌芝居 (Spanisches Liederspiel, Op. 74)

ブラームス(Brahms)/愛の歌-ワルツ(Liebeslieder-Walzer, Op. 57)

録音:1974年8月25日, Großes Festspielhaus, Salzburg (live)

エディト・マティス(Edith Mathis)(S)
ブリギッテ・ファスベンダー(Brigitte Fassbaender)(A)
ペーター・シュライアー(Peter Schreier)(T)
ヴァルター・ベリー(Walter Berry)(BS)
エリク・ヴェルバ(Erik Werba)(P)
パウル・シルハウスキー(Paul Schilhawsky)(P) (ブラームスのみ)

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アーメリング&シュウォーツ(Elly Ameling & Gerard Schwarz)/ベルリオーズ(Berlioz)「夏の夜(Les nuits d'été)」ライヴ録音(1980年)

エリー・アーメリング(Elly Ameling)の歌ったベルリオーズの歌曲集「夏の夜」Op. 7の録音で市販されているものは現在2種類あります。
TELARCレーベルのロバート・ショー(Robert Shaw)指揮アトランタ交響楽団(Atlanta Symphony Orchestra)との共演盤(1983.3.21録音)と、80歳記念の5枚組CD(Omnium Audiovisueelレーベルの"80 jaar")のdics3に収録されているケース・バケルス(Kees Bakels)指揮オランダ室内管弦楽団(Nederlands Kamerorkest)との共演による録音(1983.10.8録音)です。

今回、新しいライヴ音源がネット上にアップされました。
録音は1980年とのことで、市販の録音より3年前のアーメリングの声が聴けることになります。

 こちら

リンク先のアーメリングの大きな写真の下にあるプレーヤーの左側の▶印をクリックすると再生されます。

プログラムは、バーバーの「弦楽合奏のためのセレナード」、ベルリオーズの「夏の夜」、バッハの管弦楽組曲第3番です。
「夏の夜」の解説が10:30頃に始まり、「夏の夜」の演奏は14:47頃に始まります(2曲目「ばらの精」は、5曲目「墓地で」の後に演奏されています)。
詩はテオフィル・ゴティエ(Théophile Gautier: 1811-1872)です。

第1曲 ヴィラネル (Villanelle) 14:47-

第3曲 入り江のほとり(哀歌) (Sur les lagunes (Lamento)) 17:13-

第4曲 君なくて (Absence) 24:50-

第5曲 墓地で(月の光) (Au cimetière (Clair de lune)) 30:32-

第2曲 ばらの精 (Le Spectre de la Rose) 36:55-

第6曲 未知の島 (L'île inconnue) 43:50-47:40

Elly Ameling(S)
Los Angeles Chamber Orchestra
Gerard Schwarz(C)

ジェラード・シュウォーツ(Gerard Schwarz)は1947年ニュージャージー州生まれのアメリカの指揮者で、苗字の綴りが示すとおり、両親はオーストリア人とのことです。
アーメリングとの共演は市販の録音にはなかったと思いますが、モーストリー・モーツァルト・フェスティヴァルで共演しているようです。
オケはロサンジェレス(ロサンゼルス)室内管弦楽団(Los Angeles Chamber Orchestra)です。

ここでのアーメリングは、あたかもスタジオで録音しているかのような精緻で完成度の高い歌唱を聞かせています。
ぜひお聞きください。

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