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シューベルト「収穫の歌(Erntelied, D434)」を聴く

Erntelied, D434
 収穫の歌

Sicheln schallen,
Ähren fallen
Unter Sichelschall;
Auf den Mädchenhüten
Zittern blaue Blüten,
Freud' ist überall.
[Freud' ist überall.]
 鎌で刈る音が鳴り、
 穂が落ちる、
 鎌の音とともに。
 娘たちの帽子の
 青い花飾りは震え、
 喜びはいたるところにある。

Sicheln klingen,
Mädchen singen
Unter Sichelklang,
Bis, vom Mond beschimmert,
Rings die Stoppel flimmert,
Tönt der Erntesang.
[Tönt der Erntesang.]
 鎌で刈る音が響き、
 娘たちは歌う、
 鎌の響きとともに。
 月に照らされて、
 周囲に切り株がきらめくまで、
 収穫の歌は響き続ける。

Alles springet,
Alles singet,
Was nur lallen kann.
Bei dem Erntemahle
Ißt aus einer Schale
Knecht und Bauersmann.
[Knecht und Bauersmann.]
 皆飛び跳ね、
 皆歌う、
 ろれつの回らぬまま話せることを。
 収穫時の食事では、
 一枚の深皿から食べるのだ、
 使用人も農夫も。

Jeder scherzet,
Jeder herzet
Dann sein Liebelein.
Nach geleerten Kannen
Gehen sie von dannen,
Singen und juchhei'n!
[Singen und juchhei'n!]
 それから誰もがふざけ、
 誰もが抱き合う、
 それぞれの恋人と。
 ジョッキを飲み干すと
 彼らはそこから帰り、
 歌ったり、歓声を挙げたりするのだ!

詩:Ludwig Heinrich Christoph Hölty (1748.12.21, Mariensee - 1776.9.1, Mariensee)
曲:Franz Peter Schubert (1797.1.31, Himmelpfortgrund - 1828.11.19, Wien)

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以前にこの曲について投稿した記事がありますので、よろしければ以下のリンク先からご覧ください。
 こちら

秋といえば収穫の季節です。
そんなわけで、今回聞き比べるのは、シューベルトの「収穫の歌」です。
ヘルティの4つの節からなる有節歌曲です。
スタッカートのピアノパートがうきうきした気分や無骨なダンスを想起させます。
歌は各節の最終行を繰り返します。

この曲は、私がクラシック音楽を聴き始めてまだ間もない頃に、シュヴァルツコプフがEMIに録音したシューベルト歌曲を2枚組にまとめたLPを買って、その中に収録されていたのがはじめての出会いです。
ピアノはG.パーソンズで、他の歌曲と若干毛色の違う親しみやすい曲だったので、すぐに気に入ったのを覚えています。

●ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR) & ジェラルド・ムーア(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR) & Gerald Moore(P)

1970年録音。1,2,4節歌唱。歯切れのよいF=ディースカウの歌唱と、温かみのあるタッチのムーアの演奏がとてもチャーミングです。

●アンネ・ソフィー・フォン・オッター(MS) & ベングト・フォシュベリ(P)
Anne Sofie von Otter(MS) & Bengt Forsberg(P)

1996年録音。全4節歌唱。オッターの歌は威勢よく、明るく、理想的な歌唱と言えるでしょう。フォシュベリも雄弁です。

●マティアス・ゲルネ(BR) & アレクサンダー・シュマルツ(P)
Matthias Goerne(BR) & Alexander Schmalcz(P)

2009年録音。全4節歌唱。ゲルネは快活な歌を歌っている時でも真面目な感じが残っているのが面白いです。シュマルツは美しいタッチで演奏しています。

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コメント

フランツさん、こんばんは。

これはまた、こぎみのいい曲ですね。
初めて聴いたのですが、胸がすくかんじでした。

こういう曲をディースカウさんが歌うと、さらにスカッとしますね。
ムーアのピアノは上手く表現できないのですが、音がきれいなあと、いつも思います。

オッターは、宝塚の男役のようでかっこいいですね!
温かみもあって素敵でした。

デルネはいつ聴いても深々としていていいですよね。
歯切れの良さと深みのバランスが良くて、この演奏とても気に入りました(*^-^*)

シューベルトはこんな曲も作っていたのですね。
また一つ新しい曲と出会えて感謝です♪

投稿: 真子 | 2018年9月22日 (土曜日) 20時15分

真子さん、こんにちは。

そうなんです!
小気味好いという表現がまさにぴったりですね!
あまり録音されたり歌われたりすることの多くない曲なのですが、聴いていてうきうきするような作品なので、是非歌曲ファンの方に知ってもらいたいなぁと思って記事にしてみました。

ディースカウはこういうリズミカルな曲、うまいですよね。ムーアは本当にタッチがしっかりしていて魅力的で、真子さんにも共感してもらえて嬉しいです!

オッターはかつての短髪姿がいかにも男役のような凛々しさを感じましたが、数年前に生で聞いた時はよい年齢の重ね方をしているなぁと感じました。

ゲルネの声は彼独自のもので、とても魅力的ですね。実演で見た彼は足ごと体をゆらす歌い方でくまさんのようなのですが、歌唱は真摯で感動的です。

今回も一つ一つに素敵なコメントを有難うございました。
真子さんにとって新しい曲との出会いの機会となって、嬉しいです(^^)

投稿: フランツ | 2018年9月23日 (日曜日) 11時36分

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