ヘルマン・プライ(Hermann Prey)没後20年(2018年)に寄せて(名唱10選)
一時代を築いた名バリトン歌手、ヘルマン・プライ(Hermann Prey: 1929.7.11-1998.7.22)が亡くなって今日(2018年7月22日)でちょうど20年が経ちました。
1980~90年代に実演で繰り返し聴くことが出来たのが今となってはとてもよい思い出として残っています。
あの頃は夢中になって来日するリート歌手を聞きまくっていたなぁと懐かしく感じます。
はじめてプライを生で聴いたのは五反田のゆうぽうと簡易保険ホールで、ピアニスト、ヘルムート・ドイチュとのシューベルト、ゲーテ歌曲集でした。
あの時のプライは全体的にゆっくり目のテンポで噛み締めるような含蓄のある歌い方をしていました。
「御者クロノスに」はプライ&ドイチュの演奏をはじめて聴いて知った為、後に別のアーティスト、あるいはプライのずっと若い頃の録音を聴いて、あまりのテンポの違いに驚いたことを覚えています。
60年代のドラマティックな艶々した声のプライ、70年代の客観性が加わり、声と表現のバランスが素晴らしかったプライ、そして80年代以降の言葉への含蓄のある深みを追求した表現をするプライと大雑把に形容するとこんな感じでしょうか。
どの時期にもプライの魅力はあって、それぞれの時期を聞き比べるのも一興かと思います。
特にシューベルトの3大歌曲集は複数回ずつ録音しているので、時期の違いを味わうのに適していると思います。
ちなみにその詳細は過去の記事(以下のリンク先)をご覧ください。
さて、プライ没後20年とはいっても、レコード会社は今のところ特別なリリースを考えていないようなので、私が動画サイトに掲載されていた中から「プライの歌うドイツリート10選」をしてみました。
●シューベルト: 魔王 D 328 (おそらくカール・エンゲル(P)?)
Schubert: Erlkönig, D 328 (probably Karl Engel(P)?)
おそらくPHILIPS録音の1970年代の録音と思われますが、DECCA時代の旧録音よりもさらにディクションが明晰でめりはりがきき、ドラマティックになっています。エンゲルも素晴らしい!
●R.シュトラウス: 献身 Op. 10/1 (ジェラルド・ムーア(P))
Richard Strauss: Zueignung, Op. 10/1 (Gerald Moore(P))
1965年録音。私が思うにプライはR.シュトラウスとの相性が抜群だと思うのですが、特にこの曲のようなパッションを感じさせる歌は絶品です!
●シューマン: こよなく麗しい月、五月に Op. 48/1 (「詩人の恋」より第1曲) (カール・エンゲル(P))
Schumann: Im wunderschönen Monat Mai, Op. 48/1 (Karl Engel(P))
EMIレーベルへの録音。「詩人の恋」の理想的な歌い手の一人がプライだと思います。彼の甘美な声はハイネの詩の繊細な若者像にぴったりです。
●レーヴェ: 甘美な埋葬 Op. 62/4 (カール・エンゲル(P))
Loewe: Süsses Begräbnis, Op. 62/4 (Karl Engel(P))
レーヴェのバラードの魅力を一般に伝えたのもプライの大きな功績の一つです。この曲はバラードではなくリートですが、プライの甘く美しい声の魅力が最大限に生かされていますね。この動画、一箇所音飛びしていますが、ご了承ください。
●ブラームス: 日曜日 Op. 47/3 (カール・エンゲル(P))
Brahms: Sonntag, Op. 47/3 (Karl Engel(P))
1962年録音。プライはドイツ民謡も沢山歌ってきましたが、ブラームスの民謡調の作品もとても良いですね。この作品などプライの為の曲と思えてしまいます。
●ヴォルフ: 春だ(彼だ) (メーリケ歌曲集より) (ジェラルド・ムーア(P))
Wolf: Er ist's (Gerald Moore(P))
1965年録音。ヴォルフの歌曲は一般にとっつきにくく捉えられがちですが、プライが歌うとなんと親密で聞きやすくなることでしょう!
●ベートーヴェン: きみを愛している WoO. 123 (レナード・ホカンソン(P))
Beethoven: Ich liebe dich, WoO. 123 (Leonard Hokanson(P))
1974年録音。愛の言葉をこれほど優しくささやかれたら、女性は受け入れるしかないでしょう。
●プフィッツナー: 5つの歌曲 Op. 9 (1. 庭師, 2. 孤独な女, 3. 秋に, 4. 勇敢な男, 5. 別れ) (ジェラルド・ムーア(P))
Pfitzner: Fünf Lieder, Op. 9 (1. Der Gärtner, 2. Die Einsame, 3. Im Herbst, 4. Der Kühne, 5. Abschied) (Gerald Moore(P))
1965年録音。重々しさと寂寥感のあるプフィッツナーのアイヒェンドルフの詩による歌曲集をプライは5曲まとめて歌っています。明るいだけではないプライの暗めな響きの魅力にどっぷり浸かれる録音です。
●メンデルスゾーン: 歌の翼に Op. 34/2 (レナード・ホカンソン(P))
Mendelssohn: Auf Flügeln des Gesanges, Op. 34/2 (Leonard Hokanson(P))
1974年録音。メロディーラインを美しいレガートで歌うプライをたっぷり堪能できます。
●マーラー: 「さすらう若者の歌(遍歴職人の歌)」(全4曲) (ベルナルト・ハイティンク(C))
Mahler: Lieder eines fahrenden Gesellen (Bernard Haitink(C))
おそらくPHILIPS録音と思われます。感情に溺れずコントロールをきかせながらも青年らしさもしっかり感じさせるプライの名唱です。「冬の旅」を得意とした彼にとってマーラーのこの歌曲集も共感していたのではないでしょうか。
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コメント
フランツさん、こんにちは。
毎日暑いですね。
さっき買い物に出たのですが、熱気がすごかったです。
さて、私としたことがこんな素敵な記事を見逃していました(^^;(^^;
没後20年、何も出なかったですね。来年の生誕90年に期待したいです。
こんなに長く好きでいさせてくれるプライさんと、素敵な記事を書いてくださったフランツさんに感謝です!
>60年代のドラマティックな艶々した声のプライ、70年代の客観性が加わり、声と表現のバランスが素晴らしかったプライ、そして80年代以降の言葉への含蓄のある深みを追求した表現をするプライと大雑把に形容するとこんな感じでしょうか。
私も同じように感じています。
私流に言いますと、60年代は恋人、70年代は憧れの先輩(30歳で42歳ころの写真と声にやられました)、80年代以降はお父さんのようで包まれる感じがします。
選んでくださった10曲、どれも名演ですね。
>プフィッツナーのアイヒェンドルフの詩による歌曲集。。プライは明るいだけではないプライの暗めな響きの魅力にどっぷり浸かれる録音です。
そうなんですよ!
プライ=明るい というイメージを持たれがちですが、曲によって音色や響きも微妙に変えているんですよね。
聴き込んだ人にだけわかるプライさんの魔法です(*^^*)
ベートーベン「君を愛す」
>愛の言葉をこれほど優しくささやかれたら、女性は受け入れるしかないでしょう
いやもうその通りで(笑)
甘い歌なんですが、ベートーヴェンのプラトニックなメロディを損なわない歌いぶりもいいんです。
3節目の頭「Drm Gottes Segen uber dir・・」
の「Drm」のところがすごくいいんです(*^^*)
続きままたコメントしますね。
聴き比べもさしてくださっているので、そちらもまた拝見します(*^^*)
投稿: 真子 | 2018年7月31日 (火曜日) 12時30分
真子さん、こんばんは。
本当に毎日暑いですね😵
水分補給を心掛けています。
真子さんに喜んでいただけて、この記事を書いた甲斐がありました!
せっかくのプライの記念年なのにレコード会社のスルーは残念ですね。どこも状況が厳しいということなのでしょうかね。
>私流に言いますと、60年代は恋人、70年代は憧れの先輩(30歳で42歳ころの写真と声にやられました)、80年代以降はお父さんのようで包まれる感じがします。
なるほど、さすが真子さん、お気持ちが伝わってきました!
それぞれの時期の良さを味わえるのが録音の有り難みですね。
「プライ=明るい」という印象はとても強いですよね。
普段明るい人が影のある表現をした時のギャップがより聴き手を魅了するという面もありますね。プフィッツナーのこのアイヒェンドルフ歌曲集はライヴでも取り上げているぐらいプライお気に入りの作品と思われますが、作品のもつ切なさがプライの声でさらに強調されて胸に響いてきます。これが真子さんのおっしゃるプライの「魔法」なのですね。
「君を愛す」の”drum”、あらためて聞いてみましたが、柔らかい表情がいいですね。こういう表情の繊細さはプライの美質としてもっとクローズアップされてもいい点だと思います。
いつもながら素敵なコメントを有難うございました。
投稿: フランツ | 2018年7月31日 (火曜日) 23時55分
フランツさん、こんにちは。
関東の方は台風の影響が出ているようですね。
大丈夫でしょうか?
これから接近してくるとのこと、十分ご注意くださいね。
もう幾度も幾度も聴いている演奏ですが、こうしてまたご紹介いただいて聴くと新鮮に響きます。
>プライはR.シュトラウスとの相性が抜群だと思うのですが、特にこの曲のようなパッションを感じさせる歌は絶品です!
プライさんのR・シュトラウスは本当に素敵です(*^^*)
40代の脂の乗り切ったフィリップス盤、サヴァリッシュさんとのザルツブルグ・ライブ盤のR・シュトラウスもとても素晴らしいのですが、この演奏はなんといってもこのゆったりしたテンポですね。
このテンポでこれだけ朗々と歌えるのは本当にすごい!
そして、30歳代のプライさんはこの高音(2点Aでしょうか)を、「詩人の恋」の6曲目「恨まない」もそうなんですが、胸の響きのまま歌い上げるんです。余程喉が強いのでしょうね。これはもう圧巻です。
この伸びやかな声を「どこまでも伸びていく」と評した方がいました。
ネット上の記事で読んだのですが、レコードの時代に聴いてどなたかに貸したまま返ってこなくなったが、この伸びやかな声が忘れられないと言った内容だったと思います。
この演奏を聴くたび、この方が復刻CDを手に入れられて、今は存分にプライさんを聴いておられるといいなあと思います。
「献呈」だけでこんなにも字数を使ってしまいました(笑)
1970年代のレコード雑誌に「プライは言葉への踏み込みが足りないから、シューベルトのような歌謡性のある曲はいいが、シューマン演奏には不足がある」というような事が書かれていました。
私はその評に大いに「不満があり」ました。
>彼の甘美な声はハイネの詩の繊細な若者像にぴったりです。
と、フランツさんが書いてくださっているのと同じことを感じているからです。
それに正直に白状しますと、ドイツ語をすっと読んでわからない私にはシューマンの曲に頼るところが大きいです。
そのシューマンのこの上なく甘いメロディに、プライさんの声はとてもマッチしていると思っています。
>プライの甘く美しい声の魅力が最大限に生かされていますね。
レーヴェの「甘美な埋葬」
切ない甘いメロディですね。こういうメロディを甘いだけでなく、悲しさをうまく引き出してくれるのもプライさんさだと思います。
メロディとプライさんの甘い声が響き合ってずっと聴いていたくなります。
>ブラームスの民謡調の作品もとても良いですね。この作品などプライの為の曲と思えてしまいます。
1995年の来日公演(大阪)ではブラームスも歌ってくれました。
こういう曲を歌う時のプライさんは本当に楽しそうで、客席から思わず一緒に口ずさみたくなります(笑)
「ヴォルフ: 春だ(彼だ) 」は、以前聴き比べでもご紹介くださいましたね。
一気にやって来るドイツの生命力あふれる春を見事に歌いきって気持ちがいいです。ムーアのピアノもとても好きです♪
プライさん自身ヴォルフもとても好きだったそうです。彼がいなかったら私はヴォルフを聴いていたかどうかわからないです。とっつきにくい気がして。
マーラー: 「さすらう若者の歌(遍歴職人の歌)」
1970年代の映像がYouTubeに上がっていますよね。こういう貴重な映像もぜひとも生誕90年にはDVD化して欲しいです!
ファンになりたての頃、この曲の1曲目だけが入ったオムニバスCDを見つけて擦り切れるほど(CDだから擦り切れないんですが)聴いたことが懐かしく思い出されます。
甘く切ない歌声にため息をつきながら・・・。
後に4曲揃ったCDを見つけたときは嬉しかったです。
メンデルスゾーン: 歌の翼に
発表会でこの曲を歌うことになった時に、お世話になった演奏です(笑)
一見簡単なようなこの曲ですが、プライさんのドイツ語の歌い方がとてもエレガントで大好きです。
ドイツ語は、ともすればプツプツ切れたりゴツゴツして聞こえますが、まったくそれを感じさせないなめらかなメロディラインでうっとりさせてくれる。心地いい演奏ですよね。
合唱用に編曲された低音部を覚えてハモっています♪
彼の声は甘く優しいのに男性的であり、明るく軽やかなのに深く重厚であるという、一見兼ね備えるのが不可能な部分を兼ね備えています。
表現の深さ豊かさは、研鑽や努力の結果であることには間違いありませんが、彼の持つ声の多彩性にもあるように思った今回の記事でした。
ありがとうございました。
来年の生誕90年も期待しています!
長くなってすみません(^^;(^^;
投稿: 真子 | 2018年8月 8日 (水曜日) 16時58分
あ、書き忘れていました、魔王。
プライさんの歌う魔王はそれぞれの年代で違うんですが、ドラマチックでどれも訳になりきっていますよね。
歌い分けているというよりは、魔王、父、子供を演じ分けている感じです。
言わば一人芝居でしょうか。
息子が中一の時(1998年)、音楽の教科書(音友社)の「魔王」のページにプライさんの写真が載っていて、観賞用の演奏がプライさんの演奏だったんです。
息子が先生に聴きに行って確認していました(さすが私の息子!(笑))
残念ながら、演奏年代まではわからなかったようですが、先生はなぜヘルマン・プライを知っているのか大変驚かれたようです。
ここに上げてくださった演奏も声が美しく大好きな演奏ですし、1980年代にインターコードに入れたドイチュと共演した「魔王」も名唱ですよね。
初めてフランツさんがお聴きになったコンサートのテンポがゆっくりだったとのことですが、同時代の録音のインターコード盤もゆったりとしたテンポで、50代に入ったプライさんの声には威厳も加わっていました。
50歳代のプライさんを実演で聴かれたフランツさんが羨ましいです。
タイムスリープできるなら、1961年の初来日や、1970年代の来日公演も聴いてみたいです。
投稿: 真子 | 2018年8月 8日 (水曜日) 17時20分
真子さん、こんばんは。
ご心配いただき、有難うございます。
私の住む地域は特に雨風がひどくなることもなく、無事過ぎてくれました。こういう時は天気予報通りにならなくて良かったなぁと思います。
プライ動画の続きのコメントを有難うございました!興味深く拝見しました。
真子さんにとってお馴染みの録音だったと思いますが、一つ一つの思いを聞かせていただけて、やりとり出来ることの楽しさを改めて感じました!
R.シュトラウスに造詣の深いサヴァリッシュは多くの歌手たちのシュトラウス歌曲集でピアノを担当していますが、プライもフィリップス盤で彼を起用し、ザルツブルクライヴでも共演して、彼のピアニストとしての能力を高く買っていたのでしょうね。ここでは私の好きなムーア盤を選びましたが、ムーアがディースカウと共演した時とは違ったプライ仕様の演奏を聞かせてくれています。プライの張りのある高音は胸声なのですね。「どこまでも伸びていく」という感覚は、生で聴いた時に私も感じました。分厚い声の光線がプライのお腹から尽きることなく湧き出てくるようなイメージでした。
プライの言葉の踏み込みへの批判は、ディースカウと同時期に活躍していたという点が大きかった気がします。ディースカウの鋭いほどの言葉の切れ味は彼独自のものであって、他の人が真似するものではないと思います。現に、ディースカウのお弟子さんで現在一線で活躍しているどの歌手たちも、ディースカウほどの言葉への傾斜を見せていません(ディクションの明晰なゲアハーエルでさえ、もっと自然です)。
プライは何かと比較されてしまいましたが、彼が言葉に対して無頓着ではなかったということは、彼の自伝を読むまでもなく、しっかり聴き込めば明らかですね。
そして「詩人の恋」が本当に似合うのはプライやヴンダーリヒのような声の持ち主だと思います(もちろんディースカウも素晴らしいのですが)。
「シューマンのこの上なく甘いメロディに、プライさんの声はとてもマッチしている」という真子さんのご感想に共感します。
レーヴェやヴォルフ、メンデルスゾーンも素晴らしいですよね。「歌の翼に」の編曲版でプライとデュエットしている真子さん、素敵だと思います(^^)そういう楽しみ方もあるのですね。
マーラーの「さすらう若者の歌」の映像、YouTubeにあがっていますね。ヴァーツラフ・ノイマン指揮、SWF交響楽団との共演で、プライも若いですね。いつ頃の映像なのでしょうか(70年代?)。これは貴重な映像ですね。こういうのを放送局の倉庫に眠らせておくのは勿体ないですよね。プライの表情がテキストの主人公になりきっていて、歌も真摯な表現で素晴らしいです!生誕90年にはDVD化して欲しいですね!
ハイティンクとのフィリップス盤、真子さんは第1曲のみ最初に聴いておられたとのこと、全曲盤を入手された時はさぞかし喜ばれたことでしょう(^^)
「魔王」を歌うプライはまさに一人芝居ですね。エンゲルとのDECCA盤、フィリップス盤、そしてドイチュとのインターコード盤、それぞれの時期のプライの持ち味が刻み込まれていて、どれも良いですね。息子さんのエピソード、さすがです!微笑ましく拝読しました。そういえば音楽の教科書の「魔王」のページにプライの写真が掲載されていたような気もするのですが、記憶が朧げになってしまいました。私も授業で「魔王」を聴かなかったとしたら、今頃クラシックさえ聴いていなかったかもしれません。
>彼の声は甘く優しいのに男性的であり、明るく軽やかなのに深く重厚であるという、一見兼ね備えるのが不可能な部分を兼ね備えています。
プライファンの真子さんの総括はさすがに説得力があります!相反する要素を併せ持つプライだからこそ、喜びと悲しみが同居するシューベルトをあれほど素晴らしく表現出来たのかなぁと思います。
丁寧なコメント、本当に有難うございました!!
投稿: フランツ | 2018年8月 9日 (木曜日) 18時34分
何年かぶりでお便りします。レーヴェの「甘美な埋葬」がアップされていたのでじっくり聞きました。これは例の旧バスフレコードの音源ですかね?レーヴェはプライの独壇場と言ったら言い過ぎかな。D・F=ディースカウは曲によっては柄に合わない物もあって満足できませんが、プライはすべて様になっています。私のお気に入りはほかにグラインドルとリッダーブッシュですかねぇ‥ブラームスの「ドイツ民謡」もプライが一番ですわ。それにしても昨今の録音に於ける声楽不況はひどいものですね。クラシック界自体が不況ですからそのまたマイナー分野の「歌」がだめなのはしょうがないのですが‥そんな中でYoutubeは未知の世界に手軽に入られるメディアとしてますます貴重になってきますね。
投稿: ヴォーカルディスコーズ | 2019年10月29日 (火曜日) 22時46分
ヴォーカルディスコーズさん、こんにちは。
コメントを有難うございます!
プライ&エンゲルの「甘美な埋葬」はおそらくBASFレーベルの音源でしょう。プライの十八番ですね。私はF=ディースカウのレーヴェも大好きで、彼の語りの説得力は凄いものがあります。
今回グラインドルとリッダーブッシュのレーヴェも聞いてみたのですが、いいですね!バス歌手とレーヴェのバラーデは本当に相性がいいなぁと実感しました!
ブラームスの「ドイツ民謡」も最高ですね。滲み出る人間味がこれらの素朴な旋律の行間から感じられて聞き惚れてしまいます。
CDのパッケージ売りは残念ながら今後盛り上がりは見られない気がしますが、ネット配信でもブックレットを付けてくれればまだいいのですが...。
でもLPやCDを手に取って楽しんだ世代にとってはいささか寂しいものがありますね。
リートの名手たちの名前が忘却の彼方にということは恐らく無いとは思いますが...。
投稿: フランツ | 2019年10月30日 (水曜日) 07時16分